自民党 金融財政部会 が述べる Xday その(2) 

6.政策対応の基本的な考え方

政府は、国債金利の急上昇を未然に防ぐためにも、平素より常に市場の動向に関心を持って注視しておくべきであるが、我が国において、仮に、国債価格が将来への国債償還への不安を主因として短期間大幅に下落し更に市場関係者の動揺が収まらない状況が生じたような場合に、深刻な事態に発展させるこ
となく沈静化させるためには、まず、財政に対する信認を回復することが必要不可欠であり、財政再建について、強いメッセージと断固たる具体策を示さなければならない
また、国債市場の動揺を最小限に抑えるとともに、国民経済を守るため、思い切った対応を機動的にとらなければならない。その際には、関係閣僚や日銀総裁が迅速に連携を取って対応にあたることができるような緊急対策本部を速やかに立ち上げる。

(1)財政政策

国債金利が急騰する事態を沈静化させる最も重要な政策は、財政再建の道筋を示し実行することである。国債の将来の償還に対する不安から金利の急上昇が起きた後、財政再建を行おうとすれば、その時点では、IMF支援が実際に行われるかどうかは別としても、ギリシャやアイルランドで見られるような、危機前に必要とされるレベルを大幅に超える極めて厳しい歳入・歳出の見直しを行わざるを得ず、社会保障の削減や思い切った増税も含めて、­ 国民経済に極めて大きな影響を与えることを覚悟しなければならない
(注)ギリシャ・アイルランドの財政健全化策を対GDP比で我が国の経済規模に置き換えると、ギリシャの財政健全化策は単年度で約31兆円、アイルランドのそれは単年度で約18兆円の財政健全化策に相当する
(なお、我が国の社会保障関係費全体は28.7兆円)

ア)まずは、財政当局は、財政再建に向けた強いメッセージを緊急に発する。
国民に対し財政の極めて厳しい状況を訴えつつ、中長期的な財政健全化をどのように図っていくのか、政府として明確なビジョン、具体的な目標及びそのための工程表を、その法制化も含め決定し、財政再建に向けた強いメッセージを発するとともに、当面の財政再建策を早急に実施しなければならない。

イ)具体的な財政再建策の策定に当たっては、歳入・歳出両面にわたって、あらゆる選択肢を視野に検討していかなければならない。例えば、歳出面においては、主要な歳出分野である社会保障・地方向け歳出についても、市場の信認確保のためには、思い切った見直しが必要不可欠である。一方、歳入面においても、消費税を含め、あらゆる税目について増税を検討せざるを得ない

ウ)政府は、こうした具体策を一歩一歩着実に実現することにより、日本国債に対する信認を揺るぎないものにしなければならない。
そのためには、こうした事態に至った原因について国民に真摯に説明し、財政再建の進め方について理解を求める必要がある。また、市場との関係や国際社会との関係でも、財政再建に対する政治の揺るぎない意思及び具体的な対応策について明確に伝達するとともに、きめ細かな情報発信や丁寧な対話を行わなければならない。

(2)国債管理政策
国債市場において金利が急騰した場合には、
ア)まず、国債発行が円滑に進むよう、発行計画の見直しや買入消却等を機動的かつ柔軟に実施しなければならない。
イ)あわせて、市場との丁寧な対話を行い、政府の財政の現状や財政再建に向けた取組みを含め、正確かつわかりやすい情報をタイムリーに提供していく。その際、格付会社に対しても、我が国の財政再建へのコミットメントを含め、国債市場を巡る状況を丁寧に説明し、我が国の強いファンダメンタルズに理解を求めなければならない。

(3)金融政策
国債市場での金利の急激な上昇により、金融機関間のカウンターパーティリスク(*取引の相手方のことで、そこが債務不履行を起こすなどして、損害が発生する危険性例えば、銀行間どうしの取引で資金を貸し出した相手が破綻したり、一般企業でも取引の相手方が契約の不履行を起こすなどのケースが考えられます。)が顕著に意識され、金融機関間および対企業への資金供給の目詰まりを起こし金融市場が機能不全に陥る可能性がある。
日銀は、こうしたことを回避するため、前例に囚われず思い切った潤沢な資金供給を金融市場に対し機動的に行う。
そのため、日銀は、市場での資金の供給の円滑化を図り、国債市場を安定させるため、国債の買い切りオペ(日銀が金融調節のため、銀行や証券会社を相手に行うオペレー ション<公開市場操作>の1つ。銀行などが保有する長期国債を買 い取ることで、金融市場に資金が潤沢に回る効果が期待できる)額の大幅な増額を図らなければならない。
また、あわせて、リーマンショック時に米国FRBが講じた一連の非伝統的な措置や量的緩和策を参考に、リスク資産等の購入も思い切って行わなければならない。

(4)金融行政
国債金利が急騰する局面では、まずは、市場の過度な変動を助長する投機的な動きを防止するため、値幅制限やサーキット・ブレーカー等既存の規制を活用し市場の沈静化に努めるとともに、状況に応じ、これらの厳格化等の市場の沈静化策について関係者において検討する。
また、国債市場の動揺が他の金融市場等に伝播し、経済活動全体に不透明感を生じさせないよう、他の関係当局や海外当局とも緊密な連携をとり、金融システムの状況にかかる情報の適切な提供や市場参加者との対話などを通じて更なる市場の安定化に取り組む。
また、必要があれば、リーマンショック時の対応等も参考に、金融機関規制の適用について、監督上の弾力的な対応を検討する。併せて、金融機関の財務状況によっては、金融機能強化法の活用も検討する。なお、急激な市場環境の変動により流動性が極端に低下する場合は、企業会計についてリーマンショック時の対応等も参考に、市場の信認に配意しつつ、関係者において柔軟な対応がなされなければならない。

(5)その他
国債市場の混乱が、株式市場、為替市場等に波及し、経済のファンダメンタルズから乖離した投機的な動きが顕著となった場合には、関係当局において、海外の当局とも連携しつつ、適切に対処しなければならない。

7.終わりに

(1)国債の将来の償還に対する不安をきっかけとした金利の急上昇は、欧州諸国の例を見るまでもなく、我が国として厳に避けなければならない。我が国では少子高齢化が急速に進んでおり、これ以上、後世世代への「つけ回し」を行うべきではない。現在の財政状況を放置し、金利上昇というさらなる重­荷を後世に押し付けるのであれば、それは、我が国の未来に責任を持つべき現世代の怠慢と言わざるを得ない。そのような事態を断固として避けるべく、財政健全化を着実に進めなければならない。

(2)さらに、今回の東日本大震災からの復旧・復興については、巨額の国費を投入する必要があり、我々としては復興再生国債の発行を考えている。
この国債の発行にあたっては、あらかじめ償還の道筋を明らかにし、国債市場の不安定要因を除去することは当然のことであり、この点について留意する必要がある。

(3)我が国において将来の国債金利の高騰等の懸念がまだ現実味を帯びていないのは、市場において、国債発行が限界を迎える前に、政府が財政健全化に向けた具体的な取組みを行うとの期待が存在しているからである。
民主党政権は、マニフェストの問題点を真摯に反省し、その抜本的な見直しを行うとともに、税と社会保障改革の議論を軌道に乗せなければならない。これが、厳しい財政状況の下、民主党に真に求められることであり、それができないなら、民主党は潔く政権を退くべきである。

(4)我々、責任野党の自民党としては、市場関係者や学識経験者、政策当局と綿密な意見交換を行い、金利が急上昇した場合の万一の備えについて、検討を行ってきた結果、本報告書をとりまとめることとなった。ことの性格上詳細について文章にしていないところもあるが、今回の報告書の最大の目的は、民主党政権の無責任な財政政策に警鐘を鳴らすことであり、その内容を実行せざるを得ない事態に陥らないことを切に希望するものである。
(以上)

自民党 金融財政部会 が述べる Xday その(1) 

自民党が野党であった平成23年に、国の財政危機から国債価格暴落、利率暴騰という事態に陥ることを想定した報告を、同党政務調査会、財務金融部会が出している。Xdayプロジェクト等と少しふざけたタイトルだが、内容は深刻だ。

民主党が「バラマキ政策」をしているとこきおろし、財政健全化を行うように提言している。少し長いので二つのポストに分けて、アップする。

民主党の政策が「バラマキ政策」であったと切り捨ててよい者かどうかは、また一つ別な問題だが、ここで財務金融部会が述べていることが、自民党が政権に返り咲いてから、そのまま、いやもっとひどい形で進行しているのではないだろうか。日銀による国債の引き受けは、200兆円というレベルまで積み上がり、それをいつ止めるか、日銀総裁は言明しない・・・というより、言明できないのだろう。言明した途端に、このXdayが現実のものとなるからだ。

今、給与のベースアップだといって(それも大企業だけのことだろうが) 国民は、一時的なバブルの多幸感に包まれているかのようだ。この金融緩和による多幸感は、続かない。近い将来、必ず、ここで述べられる通りのシナリオが実現するだろう。自民党の幹部は、分かってやっているのだろうか。、

国民へ与える影響について、かなり抑制して書いてぁqる。国債暴落によって、日銀への信認が失われ、円安が進む。輸入物資は、さらに高騰し、物価自体も際限なく上がる。さらに、多くの金融機関は、経営が成り立たなくなり、経営破たんすることだろう。国民の資産がそこで失われる。

今の日銀首脳は、新自由主義経済を信奉する方々なのだろう。彼らは、経済現象はすべからく貨幣現象であるとして、貨幣流通を統御することで、経済をいかようにも動かせると考えているようだ。だが、流通するのは、貨幣だけでなく、貨幣に準じた種々のnear moneyがあり、それらすべてを把握し、統御することは、政府・日銀と言えどもできない。さらに、一旦インフレが始まると、インフレが進行するという国民の思いが、さらにインフレを加速させる自己実現期待をもたらす。それがハイパーインフレの実態だ。

自公政権内からは勿論のこと、野党、マスコミからも、こうしたリスクについて語る人間が出てこない。または、いたとしても主流にはならない。バブリーな経済に伴う多幸感、それは長続きしないはずだ、

以下、同報告~~~

平成23年6月1日
自由民主党 政務調査会
財 務 金 融 部 会
X-dayプロジェクト


1.はじめに(PT立ち上げの経緯・目的)

国債の大量発行が続く中、財政は極めて厳しい状況にある。自民党は、「責任ある政治」を標榜し、財政健全化責任法を国会に提出するなど、財政健全化を強く訴えるとともに、それと合わせ、経済成長を確保するための政策の実現を主張してきた。

民主党政権は、こうした状況を直視せず、マニフェストの実施にこだわり、かつ、無駄の削減や政策の見直しによる財源確保の公約を守れなかったため、財政、ひいては我が国の経済、そして我が国の将来を危うくしている。こうした民主党政権下では、国債価格が急落するという悪夢が起こらないとは言い切れない。

国債が急落するとすれば、それは民主党の政策に起因する人災である。先般の大震災にも見られるように、災害というものは起きて欲しくないと考えていても起きる時には起きるものである。このような政党が与党である限り、我々としてはそうしたことが起きたときのリスクマネジメントとして、我が国経済・社会に与える影響を最小限に抑える方策を用意しておかなければならないと考える。

このため、民主党政権に警鐘を鳴らす意味でも、万が一、国債価格が将来の国債償還への不安を主因として短期間で大幅に下落し更に市場関係者の動揺が収まらない状況になったような場合の政府・日銀や市場関係者がとるべき対応について検討する本プロジェクトチームを昨年12月に立ち上げ、政策当局や市場関係者、学識経験者を交え、議論を重ねてきた。

2.PTの活動概要

(1)PT は、昨年12月~4 月にかけて、行政当局・日銀・金融機関・学識経験者からのヒアリングを実施し、意見交換を行った(詳しいヒアリング日時・ヒアリング先については別紙参照)。
(2)ヒアリングに際しては、①学識経験者からは財政健全化の必要性及び今後­ の見通し、②国債保有を行っている金融機関等からは、国債の保有状況、今後の市場の見通し、国債に係るリスク管理等、②政策当局(含む日銀)からは、国債市場の現状と見通し、海外の財政危機の例、長期金利を決定する要因と上昇した場合の影響、過去にとられてきた政策対応などについて、集中的に意見交換を行った。

3.財政を巡る現状

(1)わが国の財政は、バブル崩壊以降の経済の低迷等に加え、1990 年代以降の急激な少子高齢化に伴い、社会保障関係費が著しく増加し、歳出の相当部分を占めるようになるなど極めて厳しい状況となっている。
毎年1兆円程度、社会保障関係費の増が見込まれる中、歳出の抑制は必ずしも進まず、こうした状況にも対応するため、消費税を含む税制抜本改革の実施が一刻を争う喫緊の課題となっていた。

(2)こうした中、2009年に民主党が政権与党となったが、民主党は、厳しい財政状況の中、子ども手当、高速道路の無料化等のバラマキ政策を実施に移した。その後も、マニフェストの実施に拘泥し、国債発行が税収を上回る予算を2年連続で組むなど、無責任な財政運営を行っている。その結果、国・地方の長期債務残高は、対GDP比で184%にも上っている。

(3)加えて、今般の大震災の発生により、財政にかかる負荷は益々大きいものとなる。財政健全化を図りつつ、復興支援に適切に対応することが重要である。その意味で、先月の三党合意において、「復旧・復興のために必要な財源については、既存歳出の削減とともに、復興のための国債の発行等により
賄う。復興のための国債は、従来の国債と区別して管理し、その消化や償還を担保する」とされたことは意義深い。

(4)一方で、海外では、ギリシャ・アイルランドでは財政危機が顕在化し、IMF・EUが金融支援を行っており、また、ポルトガルもIMF・EUへの金融支援を要請している。市場では、ソブリンリスクが強く意識されており、こうした状況も踏まえ、主要先進国等は、歳入・歳出両面にわたって、財政健全化努力を強めている。我が国の財政状況と欧州諸国の相違点についてはよく議論されるが、少なくとも、以下の点は、我が国としても教訓とすべきであろう。

ア)財政危機の発生の契機は、例えば、ギリシャは統計問題、アイルランドは不良債権問題と、一様ではなく、様々な経路を通して顕在化しうるため、経済財政状況を注意深く把握・分析する必要がる。

イ)国は、一度市場の信認を失うと、財政危機が一気に進行し、資金調達が困難になる。特に、債務残高が大きく、金利上昇に脆弱な我が国で仮に金利が上昇すれば、危機が急速に深刻化するおそれがある。
ウ)危機発生後の対応としての財政再建のメニュー(歳入歳出両面の取り組みと国内の構造改革)は非常に厳しいものとなるため、危機が顕在化する前に、財政健全化を着実に進める必要がある。

エ)断固たる財政再建策を進めるには、政治的なコミットメントは欠かせないが、ポルトガルのように、政治情勢が不安定であることは問題である。なお、1994年、スウェーデンにおいても、大きな政府を目指す社会民主政権が政権与党へ復帰する中、国内大手保険会社が国債購入を停止したこともあり、金利が急上昇したという過去の事例にも留意する必要がある。

4.国債市場を巡る状況

(1)我が国の国債市場は、運用部ショック(1998年)やVARショック(2003年)など、一時的な金利上昇局面はあったものの、諸外国と比較すると、概ね低い金利で推移しており、安定している。

(2)このように、国債市場が安定している理由について、需給要因としては、①我が国における豊富な個人金融資産の存在や、②経常収支黒字に基づく海外からの資金流入の継続があげられる。
また、市場の構造要因としては、③国内投資家による安定的な保有、そして、財政に係る要因としては、④消費税の引上げ等財政ポジションを改善する余地の存在が指摘されている。

(3)市場関係者や学識経験者は、上記のような要因により、現時点では直ちに国債金利が急騰するような状況になるわけではないとしている。
他方、引き続き国債の大量発行が予想される中、殆どの者が国内の安定消化を支えてきた要因は以下の通り変化してきていると指摘しており、その中には、財政健全化が着実に進展しなければ、遠くない将来、例えば、今後7、8年以内に、国の債務残高が国内貯蓄の残高(家計の金融資産残高)を超え、経常収支赤字に陥るおそれもあって、国債発行は限界に達すると警告している者もおり、財政健全化が着実に進展しなければ、万が一の事態がそう遠くない日に現実となることも否定できない。

ア)急激な少子高齢化を背景に、家計の貯蓄率は低下しており、また、200兆円に上る企業の現預金も、経済動向によっては減少することも考えられる。したがって、家計貯蓄等による国債ファイナンスも徐々に厳しい状況になってきている。
また、貿易黒字は概ね減少傾向にあり、経常黒字も従来同様の高いレベルで維持できる保障はない。このため、ほぼ国内だけで資金調達できる環境が未来永劫続くとは言えなくなってきている

イ)また、国債の主体別売買高を見ると、海外投資家は、現物市場で16%、先物市場で62%を占め、そのプレゼンスは高い。さらに、民主党政権における税と社会保障の一体改革の議論は、社会保障の機能強化の議論が先行しており、仮に消費税の引上げによる増収のうち社会保障の純粋な機能強化に充てる部分が大きくなると、財政ポジションの改善度合いは相対的に小さくなる。

5.国債金利が急上昇した場合の影響

(1)このように、遠くない将来、膨張する国の債務を国内貯蓄で賄えなくなる可能性があり、その場合、海外からの資金調達に頼らざるをえない。海外の投資家に、我が国国債に投資してもらうには、拡大する財政リスクに見合ったリターンが必要となり、国債金利が大幅に上昇する可能性がある。

(2)国債金利の大幅な上昇は、時系列順に整理すると、金融・経済・財政等、我が国のマクロ経済全般に、大きな影響を与える。

ア)まず、金融についてみると、金融機関は 600 兆円に上る国債を保有しており、金融機関ごとに資産・負債の満期構成等が異なるため、国債金利の大幅な上昇が金融機関の財務に与える影響は一概には言えないものの、一定程度の影響があることは否定できない。特に、一部の金融機関において、財務状況が大きく変化する可能性がある他、国債市場の動揺が、他の市場に伝播したり、経済活動全体に不透明感を生じさせたりするようであれば、金融システムについての疑念を生じるおそれがある。

イ)次に企業については、こうした金融機関の貸出等の活動が萎縮することに加えて社債市場の機能が低下することにより資金調達が停滞したり、市中金利が上昇することから投資が抑制されるなど、その活動に影響を受けるおそれがあるだけでなく、過大な債務を抱える企業の経営基盤が揺るがされかねない。­

ウ)個人については、市中金利の上昇は、年金受給者等にメリットとなる面はあるものの、住宅ローンの借入金利の上昇等を通じてデメリットとなる面が大きい。

エ)また、財政についてみると、国債金利の上昇により、利払い費は大幅に上昇する。特に、新規財源債及び借換債の発行額が150兆円を越える我が国では、1%の金利上昇は 1 年で1兆円、2年で2.5兆円、3年で4.2兆円の利払い費の増加を意味する。これは、既に、厳しい財政状況を一層厳しくするものであり、特に、社会保障関係費の伸びが毎年1兆円程度見込まれる中においては、我が国財政の信認そのものを揺るがすものである。こうした状況への対応として、歳出の抑制、歳入の確保、ないしは両者の組み合わせを行うしかない。

オ)なお、国債市場は株式市場、為替市場等他の金融市場とも密接に関連しており、そうした影響にも十分留意する必要がある。市場が大きく変動する局面では、投機筋の動きが活発化することが予想され、そうした価格変動を増幅する動きも念頭におかなければならない。

続く

VK4TJ John 

Johnとしばしば交信したのは数年前になるだろうか。FEAの14メガのネット中、またその後に何度もお目にかかった。二日前に、数年ぶりに21メガで呼んで頂いた。どうしていたのか尋ねると、SKCCの周波数でQRSの運用をしていたとのことだ。そういえば、FEAネットでもとてもゆっくりなCWで交信をしていた。ただ、私相手のときには、フルスロットルで飛ばしてくる。この数年間も変わらずに出ていたらしい。私のことを7メガで良く聴くのだが、ノイズが多く呼べないとのことだ。

彼は昨年夏にリタイア。5、6年前に彼から私がいつリタイアするか尋ねられたものだったが、期せずして同じ時期にリタイアすることになったわけだ。奥様のかねてからの希望で、広い土地に転居するらしい。来月9日の予定で、今はその準備で忙しくしている様子。奥様が転居を希望されたのは、飼っている動物たちのためらしい・・・カンガルー、ワラビー、鳥その他もろもろ、計30匹(羽)に上る。転居の距離は20マイル(kmだったか・・・)だけなのだが、これらの動物を移動させるのが一苦労になりそうだと言っていた。でも、楽しそう。転居準備のために現在は、7m高の仮設のアンテナだそうだ。

このところ、VKの局から呼ばれることが多い。あちらではビギナーのオペが育っているようだ。Johnのような、後輩を育成する意欲を持つOMが多いためだろうか。私も、そのような役回りをと考えることもあるが、7メガを聴いていると、大多数はリポート交換だけの交信で、後は和文使いの方が1、2割程度。ほんの少数いる英文での交信をなさる方も、特定のグループで固まっている。時にはお呼びしてみるのだが、迷惑になるのかもしれない・・・と考え、つい億劫になる。Johnのあのボランティア精神に学ばなくてはいかんな・・・。Johnは、広大な新しい住処に移ったら、JA向けにロンビックを張るからと、冗談交じりに語っていた。私の聞き間違いでなければ、147haの広さで、多くの木々があるらしい。彼の強力な信号が聞こえてくるのも、そう遠いことではない。

社会保障費削減とともに、またはその前に行うべきこと 

社会保障費削減が、財政再建の核心だそうだ。現在の財政状況では、ある程度の削減も致し方ないのだろう。

だが、その前に

〇国会議員の定数削減、給与削減、さらに政党助成金を含めた様々な特権的な手当の見直しを行うべきだ。最近、安倍首相が事務所経費として、3年間で300万円を計上していたことが報じられている。その内容が、すさまじい。アイスや、菓子類等々・・・。小渕優子現象は、政治家全体に蔓延しているようだ。まず政治家が、身を切らなければだめだろう。

〇給与の減額は地方公務員だけで良いのか。国家公務員も当然給与削減すべきだろう。昨年は、この財政状況で、給与の引き上げを行っている。

〇高級官僚の天下りを止めさせる。彼らが天下りした先で、国家予算がじゃぶじゃぶ浪費されている。

これらのことを行うべきだ。

私の本音を言えば、いくらこうした節約しても、国家財政の破綻はまず間違いなく起きる。沈みかけた泥船であろうが、そこで利権をむさぼる連中は、ほってはおけない。また国が再興するときの体制のために、こうした改革を行っておかねばならない。さもないと、同じことを繰り返してしまう。


以下、引用~~~

財政再建へ社会保障費減 自民行革本部が提言

記事:共同通信社
15/01/22

 自民党の行政改革推進本部(河野太郎本部長)は21日、財政再建策を議論する党内組織を新設し、社会保障費や地方公務員給与の大胆な引き下げを検討するよう求める提言をまとめた。

 政府が2020年度の基礎的財政収支黒字化に向けた計画を今夏に策定するのを踏まえ、歳出減への抵抗が予想される省庁や関係議員をけん制するのが狙いだ。

 提言は、毎年1兆円程度の自然増が見込まれる社会保障費の見直しが歳出改革の核心との認識を強調。そのためには、医薬品の公定価格である薬価の引き下げが欠かせないとした。

 民間より高いとの指摘がある地方公務員給与の削減も要求。新設組織から党政務調査会の各部会長に対し、担当する政策分野で歳出削減策をそれぞれ提出するよう指示を出すことも求めた。

 一方、政権の経済政策「アベノミクス」による税収増を踏まえ、実際の税収よりも低く見積もられる傾向がある政府の試算の在り方を見直すことも提起した。

政府はISISによる人質事件を放置し、解決のための民間の努力をむしろ妨害していた 

ジャーナリスト常岡浩介氏の外国特派員協会での記者会見。こちら。この記者会見、マスメディアがどれだけ報じるか分からない。是非拡散して頂きたい。

彼の記者会見で分かったこと。

〇少なくとも警察公安外事三課は、昨年10月には、ISISによる邦人二人の拉致は分かっていた。政府も分かっていたのだろう。

〇当初、ISISは、建前かもしれないが、邦人二人の人質から身代金を奪ったり、見せしめのために殺害する積りはないと言っていた。常岡氏と、元同志社大教授に、イスラム法廷での証人になるように依頼してきた。

〇常岡氏への警察公安部の捜査によって、常岡氏とISISの連絡手段が断たれた。

〇政府・外務省は、ISISと連絡がとれる立場の彼に、仲介を依頼してきていない。、

〇北海道大学学生のISIS参加の一件は、信ぴょう性にかける。どうも外事三課がでっち上げた事件の臭いが濃厚。


以上のことからうっすらと見えてくることは、政府は、この人質事件の状況を把握していた、それにも拘わらず、この時期に安倍首相が中東訪問をして、ISISを刺激する発言を行った、ということだ。

安倍首相は、ここで邦人人質に危害が及ぶことを承知の上で、行動しているのかもしれない。だとすると、それは集団的自衛権を中東で行使するための材料にするためなのだろうか。まさかとは思うが、あり得ない話ではない。

もう一つ、この公安部の「捜査」「情報取得」「立件」のやり方を見ていると、秘密保護法が、彼らの権力を歪な形でますます増大させること、国民に真実を伝えぬためにその法律が用いられることが危惧される。

安倍政権の中東関与の仕方が危機をもたらす 

イスラム国による邦人人質事件については、様々なところで議論がされている。私にはよく分からないこともあるので、多くを述べることは避けたい。が、やはり安倍首相の外交政策・行動が拙劣であったと思われる、今後ともイスラム過激派はわが国に敵対的行動をとるだろうことを感じる。

まず、人質になったジャーナリストには、昨年末から過激派の接触があったと報じられている。それが、本当の接触だったのか等情報が少ないが、政府は、邦人がイスラム国に人質にされている認識はあったわけだ。イスラム国を巡って緊張の高まっている中東に出かけて、反イスラム国の発言をし、中東諸国に資金援助を行えば、イスラム国側がどのような対応に出るか、予測は十分できたはずである。イスラム国によると思われる脅迫の映像が流された後の、菅官房長官の記者会見は、「関係国と協議をして・・・」の一点張りだった。また、中東での安倍首相の記者会見は、質問をあらかじめ出してもらっての記者会見だったようで、返答のあんちょこを見ながらのみっともない記者会見だった。十分な情勢認識と、それに対する対応を、自分の言葉で語るだけの能力、準備がなさそうであった。

今回の安倍首相の中東訪問は、財界人等を46名もひきつれたもので、各国で総額2900億円の援助を約束している。表面上は、中東の和平を働きかけると言いつつ、内実は、経済的利潤を求めた訪問だったのではなかろうか。そうした外交姿勢は、安倍内閣による「武器輸出三原則の破棄」とも通じる。安倍内閣は、「国際紛争の助長を回避する」という武器三原則を破棄し、武器輸出の制限を大幅に緩和した。日本製部品を搭載した、米国のステルス戦闘機をイスラエルに輸出することを可能にすることが、同原則破棄の直接の動機であったと言われている。これまでの平和主義をかなぐり捨て、武器輸出であれ何であれ、利益を求める財界に同調し、「死の商人」外交を率先たものだ。中東の和平を働きかけるという中東訪問の表向きの目的がいかに欺瞞に満ちたものであるか、中東の人々には一目瞭然なのではないか。イスラエルへの一方的な肩入れであり、それによる利益追求である。このように、安倍首相は、イスラエル対パレスチナという構図の上でも中東和平を遠ざける方向に明らかにコミットした。

今回の脅迫を受けて、安倍政権としては、テロリストには屈しないという決定をするだろう。それは原則的には正しい。だが、上記の通り、中東和平を遠ざける方向で中東にコミットしたことにより、日本国民には多きな危険が及ぼされることになる。人質にされた方々も交渉道具にされることになってしまった。集団的自衛権の行使は、中東を想定しているのは明らかだ。それによって、さらに日本国民の安全は失われることになる。安倍首相は、中東和平を促すと言いつつ、内実は、、中東の人々のことだけでなく、日本国民のことも全く考えていない。

国民の安全保障が疎かにされている 

先日のNHKクローズアップ現代で扱っていたが、非認可の老人介護施設が、かなりたくさんあるらしい。環境は劣悪で、介護スタッフも十分と言えない、そのような施設だが、医療機関や行政からの要請で入居者を受け入れているようだ。公的に認可された介護施設に入れぬ高齢者がたくさんいるということだ。

介護報酬の切り下げが行われることになり、介護保険を用いる介護施設のなかには立ち行かなくなるところも出てくるだろう。非認可介護施設は、今後とも増え続けるのかもしれない。特に、高齢化が今後急激に進む、東京等大都市では、介護施設の不足がより際立ってくることだろう。

介護スタッフが全国的に足りなくなる、という下記の報道。平均給与が20万円をわずかに超えるだけの収入で、どうやって介護スタッフが生活できるというのだろうか。「確保策を強化する」ということは、文字通り「行政の確保する姿勢を強化する」、「そのように見えるようにふるまう」ということなのではないか、と勘繰りたくもなる。

竹中平蔵パソナ会長の率いる、経済財政諮問会議では、外国人による介護を考えている、という話もある。外国人を労働力として呼び込み、低賃金で働かせる積りなのだろうか。そのための介護報酬切り下げか?外国人を介護スタッフとして呼び入れることは、それはそれで、また大きな問題になりそうだ。パソナのような人材派遣業社が甘い汁を吸うだけになるのではないか。利益相反の立場にある竹中平蔵のような人物が、こうした重要な政策で自らに利権を呼び込んでいるとしたら(それは大いにありうる)、それは犯罪だ。

もう一度繰り返すが、300兆円近い内部留保を貯めこんだ大企業に対して、毎年1.5兆円超の法人税減税を新たに行う。それと、こうした貧しい介護政策との整合性はどうなのか、是非安倍首相に伺いたいところだ。、安倍首相は、国家の安全保障にいたく熱心だ。しかし、社会保障制度は、国民の安全保障なのだ。彼には、国民の安全保障の視点が抜け落ちている。

以下、引用~~~

介護職、30万人不足 確保策強化へ 25年度政府推計

記事:朝日新聞
15/01/17

 「団塊の世代」がすべて75歳以上になる2025年度に、介護職員が全国で約30万人不足する恐れがあることが厚生労働省の調査でわかった。厚労省は人材確保策を強化する方針だ。

 厚労省によると、介護職員は13年度で非常勤を含めて約177万人いる。

 厚労省は、各自治体に介護サービスの需要や確保できる介護人材の数を推計してもらった。その結果、25年度には最大約250万人の介護職員が必要と見込まれるのに対し、確保できるのは220万人ほどという見通しになったという。

 厚労省は15年度から介護職員の子育てによる離職を防ぐため介護事業所の保育施設運営費を補助したり、人材育成に積極的な事業所を公的に認証する制度を始めたりする。(蔭西晴子)

行政による医療支配 

医師が専門医たるにふさわしいことを各専門学会が認定し、専門医の称号を、これまで医師に与えてきた。ペーパーテストで何が分かるかという疑問がないではなかったが、それでも専門家が医師の技量を判断することにある程度の理屈はあるように思えた。

ところが、行政サイドから、専門医の技量にバラつきがある、統一した専門医制度に改めようと働きかけがあり、各学会は、あっさりそれを受け入れた。実際のところは、各学会が専門医を認定し、それを新たに作られた「日本専門医機構(以下、機構と省略)」という組織が、専門医の称号を授与する、という形式になるようだ。

これでは収まらず、各学会を機構の「社員」とするという提案がなされている様子。

何のことはない、行政の作る機構下に、各学会が配属されることになるわけだ。学会は、機構に対して、入会金と年会費を払うことになる。専門医授与に対する対価を、機構が医師に求め、さらに継続に対しても金が必要になるのだろう。

行政がこの機構を立ち上げた目的は;
各学会を配下に収める
〇医師を専門医という資格で支配する・・・専門医の資格で、診療報酬、行政手続き上のメリットを与え(恐らく、経済的メリットは小さいはず)、専門医を持たぬ者には経済的なデメリットが生じるようにする。
専門医の数、配置を将来は行政が決めることができるようにする
天下り先の一つにする

すでに、難病の公的支援を得る際の診断書は、専門医でなければならなくなっている。何故専門医認定に行政が関与しなければならないのか、全くもって不可解である。機構は、学会が叛旗を翻せば、すぐに立ち行かなくなると思われるが、学会のボスも行政から丸め込まれているのだろう。

行政による、医師、医療の支配体制は、以前予測した通り、以下のように進行しつつある。

医療事故調・・・医療事故の側面から、医療を監視し、支配する
日本専門医機構・・・医師の資格の面から、医師個人を経済面、人事面を通して支配する
日本医療機能評価機構・・・医療機関を支配する、産科補償制度による大規模な内部留保の獲得

各機構は、厚労省官僚の天下り先になっている。

医療現場にいる医師諸兄姉にとっては結構大変な状況のような気がする。それとも、若いころからせっせと独楽鼠のように働き続けさせられてきたので、このような行政による支配にもあまり痛みを感じないのだろうか・・・。だが、行政のこの野望は、医療を確実に劣化させる。劣化させて、それを補うと称して、新たな支配構造を持ち込む。それが彼らのやり方だ。

CW界で進行中の事態 

アマチュア無線、ことにCWのアクティビティについて、繰り返し記していることだが、最近、ほぼ確実にこれが言えるのではないかと思うようになった。

私の考える流れはこのようなものだ・・・

1)アマチュア無線人口減少およびCWという技能にチャレンジするハムが少なくなる。
                       
2)そのアクティビティ低下に対処するために、コンテスト、アワードさらにはオンエアーミーティングがぞろぞろと企画される。これらの催しは、アクティビティを物理的に上げる方法である。ハムの「内的必然性」ではなく、クラブへの所属、単なる競争意識からアクティビティが上がる。

3)当該時期、バンドは一時的ににぎわう・・・ここで重要なことは、そうでなくても少数派の「普通の交信」を楽しむハムが、居場所を失くしてアクティビティを下げること。

4)当該催し物が終わると、その反動として、それらに参加していたハムはアクティビティを下げる。表面的な充足感と、「疲れ」が彼らに訪れるからである。2)のアクティビティ刺激策は、やがて飽きをもたらし、通常の刺激には反応しなくなる。

この1)から4)へ進むサイクルを際限なく繰り返し、そのたびに全体のアクティビティは徐々に下がり続ける、というらせん状の下降運動をすることになる。

毎週末になると、どこからともなくコンテストの呼びかけが聞こえてくる。今日も、少なくとも三つのコンテストが同時進行中である。

良い悪いという判断は置いておき、これが現実に進行している事態なのではあるまいか。

介護の切り捨て政策 

介護報酬マイナス改定について、現場を良く知る方の批判である。

入院医療をできるだけ短期間にして、その後の慢性期医療を介護施設ないし在宅で行おうという国の方針にも反する。

介護施設の内部留保についての議論も納得できる。マスコミは、介護施設の内部留保の中身について何も報じない。要するに、介護報酬を減らすために財務省がでっち上げた議論であることが分かる。

現在、政府・日銀の政策で物価上昇が続いている。その環境下での介護報酬マイナス改定は、介護施設、そので働くスタッフにあまりに重い。一方で、大企業を主な対象とする法人税の減税が、計1.5兆円以上も計画されている。納得しがたい政策だ。

今後介護を受ける、または在宅介護を利用する国民一人一人に、介護の貧困化という形でこの政策が影を落とすことになる。もう一度記しておこう。消費税を5から8%に増税する際に、安倍首相は、増税分はすべて社会保障に回す、と明言していた。介護の切り捨てを行うとは一言も言っていない。

以下、神奈川保険医協会サイトより引用~~~

介護報酬マイナス改定を厳しく指弾する

現場の士気を砕き、冷水を浴びせる

2015年1月17日(土) 桑島政臣(神奈川県保険医協会政策部長)

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 1月14日、介護報酬をマイナス改定とする次年度予算案が閣議決定された。全産業平均より月額「10万円も」低い賃金で働く介護現場へ、この「マイナス改定」のメッセージは重く響き、ギリギリで踏ん張っている現場職員の士気を確実に挫き、砕くことになる。当然、労働集約型産業、人的集約産業である介護サービスの質を落とし、介護事業所の存立さえ揺るがすことになる。2025年問題に対応する国策、地域包括ケアの構築にも逆行している。不理解による乱暴な議論の下、マイナス改定となった経緯も看過できない。われわれは、この介護報酬マイナス改定と暴論での政策決定に断固抗議する。

 介護保険は、介護の社会化、介護地獄からの解放の世間の期待を背に受け2000年4月に制度がスタートした。5回の報酬改定(03年:▲2.3%、05年:▲1.9%、06年:▲0.5%、09年:+3.0%、12年:+1.2%)の累積で▲0.6%となっており、2000年時点の水準すら割り込んでいる。制度発足当初、必要な介護サービスの6割をカバーする水準からの出発であり、決して「潤沢」ではない「不十分」なサービス状態が起点だったことが忘れ去られている。今回、改定率▲2.27%となったが、これで累積▲2.85%となる。介護心中、介護虐待は依然、後を絶たない。孤立死は社会問題化した。

 介護事業は人件費率が6割、7割と医療以上に高い、個別的対人的サービスである。マイナス改定は、介護現場で働くものの将来を暗くする。全産業平均給与32万円(月額)に対し、介護現場は22万円と10万円も低く年間120万円もの格差がある。介護保険制度以前の措置制度の時代より一貫して低いままである。報道では加算措置の拡充で職員一人あたり月1万2000円を積み増すとされているが、基本サービスの報酬が大きく下がるため、「賃上げ分」を増額しても「基本給」が下がることとなり、総額で賃上げとならないことは関係者には自明である。しかも、利用者と相対する直接処遇職員、つまり介護職員に関する加算であり、ケアマネジャーや看護師、生活相談員、調理師、事務員など全職員の半数を占める間接処遇職員の賃金に関しては無視されている。世間を欺く「朝三暮四」である。

 この引き下げにより、総額2270億円、国庫1180億円の負担軽減と無邪気に讃え、政府の説明を鵜呑みにした報道も目につくが、介護サービスの質が落ち、薄氷を踏む事態に陥るだけである。「マイナス改定」は、この「社会」が下した介護現場への「評価」、「烙印」である。

 今次改定に向けた財務省の審議会や、経済財政諮問会議では、企業と社会福祉法人との会計の違いや財務特性の不理解に胡坐をかいた、特別養護老人ホーム(特養)の内部留保2兆円が槍玉に挙げられた。社会福祉法人の内部留保は施設などに既に使われた財産を含み、現金・預金が全てではない。特養は基本金が必須であり、ほとんど当初の基本金は施設建設、設備整備に投入され、減価償却39年で40年後にゼロとなる。ゆえに、その分の保有は必然である。施設・設備に使途限定の国庫補助金も架空収入とし繰越しとなる。しかも施設の建替費用、職員の年功に応じた賃金上昇分などは、「事業継続」「再生産」に必要な合理的な内部留保であり、当然である。これらは、余剰でも何でもない。

 非正規労働者の大量創出により、賃金を切り詰め結果的に「顧客」を減らし、社会保険制度はじめ不安定な身分の層を厚くするなどで成した、大企業の285兆円に上る「内部留保」とはその内実も質も、金額も桁違いである。社会保障を犠牲にしないとの首相の意志が報じられたが、次年度は法人実効税率2.51%の引き下げで1.2兆円、16年度は累計で3.29%下げ最終的に1.5兆円を軽減し、大企業に優遇となる。

 人は石垣、人は城。介護の世界への人材集中は時代の要請である。改めてマイナス改定を指弾する。