東京都知事選 

都知事選、何たる茶番。

小池候補、彼女が当選しそうだが、なぜ都議会自民党に公認を迫り、断られると、彼らを潰すということになるのだろうか。最初に、公認を求めたのは一体何だったのか。彼女の過去の言動からすると、極右に近い政治信条の持ち主であり、また極端な日和見であることが分かる。だが、改革者としての選挙戦をマスコミが面白おかしく取り上げている。それが仮面であることも分からずに。彼女が都知事になったら、大阪維新等と組んで、極右政党を立ち上げるのかもしれない。

増田候補は、岩手県知事時代に同県の公共事業を推し進め、県の負債を二倍以上に増やして辞めた人間。どこが実務家なのか。ジェネコンの大規模な応援を得ているらしい。自民党の政治家が、オリンピックで利権を得ようと蠢いている。

最後の、鳥越さん、ちょっと高齢に過ぎたし、脇が甘い。宇都宮さんだったら、もう少し行けたのかもしれない・・・これも、マスコミで名が知れた人物しか、選挙で勝てないというポピュリズムの反映か。

何も考えずにマスコミがもてはやす候補に率先して投票するのは論外だが、入れる先がないといって棄権するのも、巨大な勢力にフリーハンドを与える行為になってしまう。より悪くない候補に投票してもらいたいものだ。

アマチュア無線の将来 

アマチュア無線局数の推移を、調べてみた。1995年前後135万局ほどをピークにして、その後激減している。この数年、減少傾向がやや鈍ってはいるが、現在43万局程度までになっている。

年齢構成の推移のデータは得られなかったが、1990年代の最盛期は、30歳から40歳代の免許人が多かった、というのが、私の実感である。そのピークを構成していた団塊世代、そのすぐ後の世代が、アマチュア無線から遠ざかっていったのが、その後のアマチュア無線局の減少なのではないだろうか。現在、減少幅が減っているのは、ピークを形成したそのような年代の人々がリタイアにさしかかり、再開局している、ためなのではないか。

とすると、今後、団塊世代、そのすぐ後の世代が、アマチュア無線を止めるときに、これまで以上にアマチュア無線局数が激減することになるだろう。それもここ数年で明らかになってくる。

なぜこんなことを調べたのかというと、ITUの新たなスプリアス規制で、総務省当局がアマチュア無線局に対してどのような対応をするのか、アマチュア無線を今後どのようにしてゆこうと考えているのかに関心があったからだ。

総務省当局は、スプリアス基準の検証を済ませていないリグ、自作リグは、あらたに「保証認定」を受けるか、使用を中止して新たなリグに買い替えるようにとの見解のようだ。これが、国際的な当局の対応としてきわめて異例であり、官僚、その関連企業の利権を確保することだけを考えていることは以前にも記した。

この対応は、上記の団塊世代のアマチュア無線離れを促進することは間違いないのではないだろうか。実質意味のない「保証認定料」という、役人と関連企業への「しょば代」を支払い続けるほど馬鹿らしいことはない。また、今でも問題なく動作しているリグを放棄して、あらたなリグを購入するほど、退職者の懐は暖かくない。アマチュア無線を止める選択を、多くの団塊世代はすることになる。

総務省当局は、アマチュア無線局をほかの無線局と別に扱うわけにはいかない、したがって包括免許にすることはできない、という主張である。それがいかに国際的なアマチュア無線の扱いから外れているか、笑えるほどだ。アマチュア無線以外の無線局と同じに扱うというならば、実質的に書類上だけの「保証認定」なぞ止めるべきだろう。しっかり一局、一局落成検査を行うべきだ。アマチュア無線から利権を得ようと、国際標準の免許制度にしないのは、ただただ官僚と、その天下り団体の利権のためなのだ。

アマチュア無線がどうなろうと、彼らには関心外のことなのだろう。



二つの手 

Don K8MFOが撮ったEllen W1YLの近影がK5BGB経由で送られてきた。

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フロリダ在住。リモートコントロールで、ネバダのW7RNから、こうやって毎日のようにオペレートなさっている。もうすぐ90歳とのこと。

おそらく利き手であろう右手には、サポーターが巻いてある。彼女に健康状態をうかがっても、もう歳だからとほとんど何もおっしゃらないが、Donによると、長年の無線通信士としての職業病、カーパルトンネル症候群の由。

右手に痛みが出ると、左手で送信なさるらしい。左にも同じケントのパドル・・・・。

彼女とは、週に1,2回定期的に交信させて頂いている。長い話にはならないのだが、あちらで朝の活動を始める前に、私と交信するのを楽しみにしている、と仰ってくださる。

彼女は、悠揚迫らぬオペレート振りだ。どこかのMLだったか、彼女に向かってではなかったかもしれないが、リモートコントロールなぞアマチュア無線ではない、と厳しく断じた方がいた。そこで、Ellenは、怒らず騒がず、この新しい技術で自分がいかに毎日充実して過ごせるのか、ということを説いた。もちろん、暴言を吐いた方は、二の句が継げなかったのは言うまでもない。

Facebookでも友人の一人にさせて頂いているのだが、彼女は時々政治的な発言もする。きわめて明快なリベラルである。すばらしい・・・。

かすかなほほえみを浮かべた表情、Ellenの素晴らしい画像ではないか。

障害者を排除するという思想 

相模湖近傍の障害者施設で、悲惨な事件が起きた。容疑者には、何かしら精神病質な偏りを感じるが、重度障害者は抹殺されるべきだという強固な意思があったようだ。殺害された方も、重複障害の方ばかりであったという。

小児科医として、また人間として、このような障害者を排除すべきだという考えは到底容認できない。その理由は;

○人間の優劣の判断は、あくまで相対的なものである。とくに、資本主義社会にあっては、生産活動に携われるかどうかという点のみで判断されることが多く、それは人間の属性の一つを相対的に見ることでしかない。一度きり、一個だけの生命という点からしたら、そこに差異はない。

○人は、すべて何らかの遺伝子上の異常を保有している。遺伝子レベルでは、大きな差異はない。遺伝子の表現型に若干の差異があるだけで、誰であっても遺伝疾患による障害者に生まれる可能性がある。

○障害を持つお子さんと接してきた経験からすると、障害児を持つ大多数のご両親、特に母親は、お子さんを育てることに心身をささげ、家族も団結している。これは、普通の家庭ではあまり見られぬ特徴だ。逆説的な言い方になるが、障害児がそのご家庭に生まれることによって、家族がまとまり、障害児を中心に生きている姿は、神々しくさえある。

以上から、障害者を差別することは断固として反対である。

障害者を虐殺した政治体制は、ナチスである。ナチスは、優秀な形質のドイツ人を残すためと称して、障害者を多数抹殺した。この容疑者の思想は、ナチスのそれそのものだ。優秀な形質を残すなどというのは、根拠のない無意味な考えに他ならない。

容疑者は、極右の政治家、文化人をツイッターでフォローしていた、と報じられている。直接の関係はないのかもしれないが、極右の人間たちと、この容疑者は、深いところでつながっている可能性がある。

ナチスのやり方を真似て 

トルコでは、あのクーデーターを機に、反大統領派の大規模な粛清が始まっている。NHKのニュースで、トルコのマスコミが体制に従順であるといったニュアンスのことを流していたので、苦笑してしまった。そう言うNHKはどうなのか、と反射的に思ったのだ。憲法の改変、条項書き加えに関して、わが国のマスコミは、政権への批判的報道は少ない。政権の意向を慮ることが横行している。わが国のマスコミは、トルコの独裁政権を云々できる立場にはない。

国家緊急権を憲法に書き加えようと、安倍首相は考えている。表向きの理由は、自然災害時の対応のためだ。自然災害時、様々な国家統治機能をすべて内閣、内閣総理大臣に帰する、という条項である。

この国家緊急権の「加憲」は、自然災害だけを想定したものではないことは明らかだ。重大な自然災害に対しては、すでに、参議院の緊急集会、政令への罰則付与等の対応策があり、様々な現実的対応がきめ細かくなされる規定がある。

基本的人権の制限を想定し、国家統治機能のすべてを内閣、ないし内閣総理大臣に帰する制度は、独裁そのものである。いかに緊急時とはいえ、戦前・戦争中の体制への復帰、さらにそれ以上に過酷な体制の出現である。2012年自民党が公表した改憲草案には、国家緊急権について 1)発動要件を法律で定める・・・ということは、多数を占める政権与党の思うがままということだ 2)緊急事態の期限に制限がない・・・いくらでも緊急事態を延ばすことができる 3)内閣は法律と同等の政令を制定できる 事後に国会の承認を得るという規定があるが、当該政令が国会で承認されない場合に失効するとは定められていない 4)政令で規定できる対象に限定がない・・・基本的人権が制限されることは、自民党憲法憲法草案の内容から当然予想される。これは、戦時中の国家緊急権の規定よりもさらに内閣に権力を集中させる内容である。

ネットでの書き込みなどや、政権与党政治家の口からは、ドイツなどにすでに国家緊急権が憲法に規定されているという意見が聞こえてくる。ドイツは、州立国家であり、重大な自然災害時に、州境をまたいで、警察・軍・消防等が機能するために、その規定がある。立法権の移転・人権制限の規定等はない。それを、安倍首相が考えている国家緊急権と同一視することは、無知のためか、意図的に世論を誘導するためとしか思えない。

安倍首相は、安保法制導入の議論で、最初に、在外邦人が外国で有事に巻き込まれ、彼らを救い出す米軍を援助するため、という理由づけを行った。だが、それは米政府のアナウンスで、ありえない事態であることが判明した。次は、ホルムズ海峡掃海を例に出した。だが、それがまったく現実味のない例であることは、その後のイラン・米国関係の進展をみても明らかだ。現実には、自衛隊が、内戦状態に再び入っている南スーダンで、駆けつけ警護という名目で内戦に参加する作戦が、この法制に基づく自衛隊の初めての軍事行動になる。安保法制制定に際して、安倍首相は国民に対してあからさまな嘘をついた。安保法制は、米軍の世界戦略に自衛隊とわが国を参画させるための法制だったわけだ。国民にその説明は一切ない。

同じことが、国家緊急事態権を憲法に加えることでも行われる。同権がもっぱら自然災害に対応するためという理由づけがその一つだ。国家緊急事態権の憲法への書き加えの必要性が、国民にとっては受け入れやすい自然災害に対応するためという触れ込みで宣伝される。実際に、政権の提灯持ちの評論家やマスコミが、その線で同権の必要性を訴え始めている。

実際に、国家緊急事態権が憲法に書き加えられたら、その時には、憲法は廃棄されたのと同じである。

麻生財務大臣がしばらく前に、ナチスのやり方を真似たらよいと言っていたことが現実になろうとしている。ナチスは、国家緊急権を根拠に反対勢力を国会から排除し、ナチス独裁をもたらす授権法を制定し、ワイマール憲法を実質的に廃棄した。

そうなってからでは遅い。

家族の介護は、家族自身が在宅で、と現政権は国民に命じている 

介護サービスを受ける際により多くの負担が必要になる一方、給付内容が縮小される。

この一方で、在宅介護が推進される。

家族が自宅で面倒を見ろ、ということなのだ。

そういえば、自民党の改憲案には、家族を大切にせよという国民への規範規定が入っている。自民党の発想では、介護を必要とする国民の面倒は、できるだけ家族でみるように、国はできるだけ面倒はみないようにする、というわけだ。

わが国を、企業が大活躍できる国にするのが、安倍首相の目指すところだ。

そういえば、大企業の空前の内部留保がタックスヘイブンに流れて行っている問題はその後一体どうなったのだっただろうか。その内部留保の幾ばくかを社会保障に回すという話はとんと聞こえてこない。

以下、引用~~~

「2割負担」も課題に 財源苦しく、高齢者照準
16/07/21記事:共同通信社

 厚生労働省は生活援助サービスの縮小など、介護保険制度見直しに向けた議論を本格化させた。今後の検討項目には、75歳未満の高齢者の自己負担を2割に引き上げるなど、負担増・給付抑制のメニューが並ぶ。少子高齢化の進行で社会保障財源を支える現役世代の負担が年々重くなっており、高齢者にも応分の負担を求めるべきだとの見方が政府内で強まっていることが背景にある。
 
 昨年以降、政府の経済財政諮問会議などを舞台に現行制度への注文が相次ぎ、さらに消費税率10%への引き上げが先送りされたことで財源の確保がより難しくなった。財務省を中心に「制度見直しは不可避」との圧力が増す中、年末にかけて検討が進むが、高齢者から反発の声が上がっている。
 
 検討項目のうち最も抵抗感が強そうなのが、介護サービス利用時の自己負担割合引き上げ。2000年度の制度発足から1割負担だったが、昨年8月、一定の所得がある高齢者は2割に引き上げられた。財務省は対象を広げ、65〜74歳を「原則2割負担」とするよう主張するが、厚労省は「高齢者の負担は限界に近い」と慎重な姿勢だ。
 
 月ごとの利用料が高額になった場合に自己負担額に上限を設ける「高額介護サービス費」制度の見直しも課題に。公的医療保険の同様の制度に比べて一部で上限額が低いことから、引き上げ論が浮上している。
 
 一方、現役世代の負担の在り方も焦点になる。40〜64歳が支払う保険料で、収入が多い人ほど負担が重くなる「総報酬割」の導入を検討する。給与が高い人が対象となるため、大企業が中心の健康保険組合や経済団体は反対している。

子宮頸がんワクチンの副作用と価格の問題 

子宮頸がんワクチンによるといわれる副作用HANSについて、大きな醜聞が起きている。

WEDGEで医師・ジャーナリストでもある村中璃子氏が報告している。WEDGE 子宮頸がんワクチン特集 特に、3月24日、29日の記事を参照。

HANSについて、疾患の定義が不明確であり、さらに病態生理に関するHLAアリル保有率・遺伝子頻度、それに動物実験に捏造がある、というのだ。川口恭氏は下記の記事で、こうした状況を許す医療界の在り方が、ドラッグラグと高薬価を招くと述べている。

確かに、この信州大学の池田修一教授の研究活動は、故意の一定の結論への誘導・捏造の可能性が極めて高い。それを、大学がきちんと検証できるのか。また、厚労省主催の研究班が、彼らの活動の場だったのだから、厚労省にも説明をする責任がある。

WHO等から、子宮頸がんワクチンの有用性、安全性に大きな問題がないと声明が出ている。毎年、わが国では、子宮頸がんによって、3000人程度の方が命を失っている。子宮頸がんワクチンにより、その大部分を救うことができる。同ワクチンの接種を非勧奨から勧奨に戻すことを緊急に行うべきだろう。

関連して、このワクチンの価格設定について大きな疑問がある。以前にも記したが、このワクチンは一人当たり、5万円近くした。わが国で、毎年50万人が、このワクチンを受けるとなると、250億円がワクチン製造販売の製薬企業に転がり込む。外国でもほぼ同額で、このワクチンが販売されている。これが世界規模となると、数千億円から兆円の単位の売り上げになるのではないだろうか。それが毎年続く。この価格設定は、開発・治験費用を考慮しても高すぎないのだろうか。厚労省当局は、製薬企業と交渉する、ないし彼らを指導する義務があるのではないか。もしこうした高額の価格が維持されるとすると、官業の癒着が疑われる。

こうした不祥事、その疑惑が生まれる構造を徹底して明らかにし、それを改革しないと、また同じことが繰り返される。

以下、引用~~~

日本の医療界は腐っているのか?~オプジーボの光と影 番外編

※この文章は、『ロハス・メディカル』7月20日号に掲載されたものです。
ロハス・メディカル編集発行人 川口恭

2016年7月25日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp
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前回、日本はオプジーボに関する臨床試験件数が少なく、ドラッグ・ラグを招きかねないと指摘しました。少ない原因はいくつも挙げられるのですが、世界を唖然とさせるような日本の医療界の不祥事と、それがきちんと医療界内で自律的に処分されないことも、日本での試験実施を敬遠させることにつながってはいないでしょうか?

前回、「クリニカルトライアルズ・ガブ」で検索すると、オプジーボ(ニボルマブ)の臨床試験が全世界で200件ヒットする(5月25日現在)ことを、ご紹介しました。ちょうど1カ月後の6月25日に再検索したら207件ヒットしました。1カ月で7件増えたことになります。1件実施するのに何十億円単位で費用が必要なことを考えると、開発競争の激しさが、改めてよく分かると思います。

なお、地域別に見ると(重複あり)米国と欧州で5件、カナダ、中米、中東、ロシア東欧で1件増えている一方、日本では増えていません。世界との差は開く一方のわけです。そして、臨床試験を個別に見ていくことで、日本は単に試験数が少ないだけに留まらず、他国では当たり前に行われているベンチャー企業によるものや公的団体によるものが、全くないことも分かってきました。そこで、今回はこの日本の特異的構造問題を指摘しようと考えていました。

ところが6月中旬、世界の医療史に刻まれるかもしれないド級の不正疑惑が日本の指導的立場の医師に発覚し、指導層がそういうものに手を染める医療界の体質があるとしたら、それは日本の試験件数が少ないことの原因となっているであろうし、ひいてはドラッグ・ラグを招いて社会に不利益を与えている可能性が高いのに、一般のメディアが全く報じない(記事校了直前になって極めて小さく報じるようになりました)ので、予定を変更、番外編として、そちらを扱うことにしました。

今号が出る段階で既に大騒ぎになっていたら、かなり間の抜けた文章になってしまいますが、後述するように2013年発覚のディオバン事件に関係した医師が1人も免許を剥奪されていないばかりか、中には栄進すらしている例もあり、そのことがメディアでも特に問題とされていないことを考えると、この疑惑に関してもウヤムヤになる可能性は高いと恐れています。ウヤムヤになってしまった場合、多くの日本人が知らないうちに世界の人々から軽蔑され、臨床試験を日本でパスする流れがさらに進んでしまう可能性もあります。

●ワクチン禍の捏造疑惑

疑惑の舞台になったのは、『ヒトパピローマウイルス感染症の予防接種後に生じた症状に関する厚生労働科学研究事業』です。長くて読むのがイヤになった人も多いと思いますが、単語を区切って読むと、HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)を接種後、激しい体調不良に襲われた女子生徒たちが出たことを受けて、厚生労働省が委託した研究であると分かると思います。当然、その費用は公費で賄われました。

主任研究者は、池田修一氏(信州大学医学部脳神経内科、リウマチ・膠原病内科教授)と牛田享宏氏(愛知医科大学学際的痛みセンター教授)の2人(肩書はいずれも研究班としての表記)で、3月に「成果発表会」が行われています。池田氏は、単なる教授ではなく、信州大学の医学部長であり副学長でもありました。

この池田氏の発表会資料に、捏造疑惑が発覚したのです。スクープしたのは、6月20日に発売になった雑誌『Wedge』7月号で、医師資格を持つジャーナリスト村中璃子氏の記事でした。

発表資料59枚目に出てくるマウスを使った実験のスライド(http://robust-health.jp/article/images_thumbnail/2016/07/%E6%B1%A0%E7%94%B0%E7%8F%AD-570.php)に関して、池田氏の説明は虚偽だ、と村中氏は指摘しました。

スライドは、自己抗体があったら緑色に光るよう染めて撮った写真で、他のワクチン接種後のマウスの海馬(脳)は緑色に光らなかったけれども、HPVワクチン接種後のマウスでは緑色に光ったことを示しています。加えて文字でも「サーバリックス(筆者注・HPVワクチン)だけに自己抗体(IgG)沈着あり」と記しています。

自己抗体が沈着しているということは、その組織に対して免疫が攻撃を仕掛けていると考えられ、組織が破壊されても不思議はないことを意味します。脳の組織が破壊されたら、それは色々な不具合が起きることでしょう。発表資料を初めて見た際、私などは、「ああ、なるほど、激しい症状を示す人たちの脳で同じことが起きている可能性はあるな。やっぱりHPVワクチンは、他のワクチンとは違うんだな」と思ったものです。そんな報道をテレビや新聞で見たな、と思い出した方もいらっしゃることでしょう。

この発表には、色々な波及効果が予想されました。まず、生きている人の脳を切り出して抗体検査してみるわけにいかない以上、「ワクチン被害者」の脳でも同様に免疫が暴走している可能性を否定できなくなり、場所が脳だけに体のどこで何が起きても不思議はないので、被害認定・救済のハードルは下がると考えられました。また、そのような免疫暴走を起こしてしまう体質・遺伝的要因を探索して発見することで、要因保持者をワクチンの接種対象から外せるようになり、社会全体としてはより安全にワクチンの利益を享受しやすくなるとも考えられました。

スライドで名を挙げられていたサーバリックスはイギリスに本拠を置く多国籍企業グラクソ・スミスクライン(GSK)の製品ですから、池田氏の発表内容は世界中に知れ渡っていたと考えられ、きちんと論文発表された暁には、世界が注目する画期的発見になるかもしれませんでした。

ところが、村中氏が報じるところによれば、このスライドが完全なデタラメというのです。実験を担当した研究者から、他のワクチンでも緑色に光り、その写真を池田氏に渡したのに、発表スライドでは光らなかったことになっていた、との証言を引き出したと書いています。さらに、実はワクチンを接種したマウスの脳に自己抗体は沈着しておらず、別のマウスの脳切片に(抗体の入った)血清を振りかけただけ、との証言を得たとも書いています。

もし、この記事に書かれていることが本当なら、HPVワクチンだけ脳組織に悪影響を与える可能性があると見える池田氏の発表は、明らかに悪質な捏造です。

起きていないことを起きたことにしてしまうのが自然科学者として許されることでないのは当然として、「副反応」に苦しんでいる人たちの原因究明や治療法探索に誤った情報を与え妨害することになるので医師としての倫理にも反します。厚労省から委託された研究のテーマが「子宮頸がんワクチン接種後の神経障害に関する治療法の確立と情報提供について」だったことも考え併せると、悪質さは一層際立ちます。提訴が予定されている「ワクチン被害者」たちによる民事訴訟への影響も甚大でしょう。

ここまで名指しで嫌疑をかけられた以上、池田氏は研究者生命・医師生命を賭けて反論するのが当然です。本当に発表のような実験結果を得ていたのだとしたら、証拠はいくらでも残っているでしょうから、記事が言いがかりだと示すこと自体は簡単なはずです。村中氏を名誉棄損で訴えることもできます。しかし、なぜかそのような動きは聞こえてきません。記事が正しいので反論できず、むしろ騒がずにいることで世間が忘れるのを期待しているのでないか、という疑念を抱かせます。

●鈍い医療界の反応

前述のようにGSKのワクチンを名指しした以上、この疑惑は既に世界中に知れ渡っており、どのように決着するのか大いに注目されていると考えるべきです。

それなのに、研究の費用を出した厚労省、自浄作用を発揮すべき医療界の動きは鈍いのです。先ほど述べたように、記事のシロクロを付けるのは簡単なはずで、もしクロなら言語道断で直ちに処分が必要です。しかし、記事が出て10日経ってから、ようやく信州大学で学内調査を行う方向が出たというノロノロぶりです。

この自律的行動の鈍さを、どのように解釈したらよいのでしょう?

まずあり得るのは、医療界の多くの人間が、大した事案だと考えていないということです。

実際、ディオバン事件では、ノバルティス日本法人幹部が放逐され元社員は刑事被告人となった一方、事件の舞台の一つとなった千葉大で研究の責任者だった現・東京大教授が、この6月から日本循環器学会のトップである代表理事に就任しています。「あの程度は大した事案でない」と医療界の多くの人が考えているのでしょう。患者を対象とした臨床試験での不正ですら、こんな受け取
り方なのですから、マウス実験くらいで大げさなという人は少なくないのかもしれません。

しかしHPVワクチンを巡って激しい論争が起きている現実がある以上、世の中の普通の人の感覚では、明らかに重大な不正です。それに対して自律的行動が鈍いことは、医療界の多くの人間ができるだけ事を荒立てたくないと考えているから、という解釈が成り立ってしまいます。

私個人としては、単純に面倒なことに関わりたくない人が多いためだろうと考えていますが、邪推しようと思えば、日本の医療界では患者に影響を与えるような研究不正が当たり前に行われていて、変に突っつくと自分にも返ってくる人が多いから荒立てたくないに違いない、と考えることも可能です。

そう邪推できることが、臨床試験件数の少なさの原因になります。企業からすると、試験自体に巨額の投資が必要で、しかも成功確率が高くないわけですから、不確定なリスク要因はできるだけ排除しておくのが当然の危機管理です。
日本に研究不正が蔓延している可能性を否定できない以上、他に代わりがない場合以外は、別の国で臨床試験を実施した方が安全です。万一、試験が無効になったら大損害だからです。

現時点で「他に代わりがない」は、日本で承認を得るのに必要な場合に限られ、それは日本で確実に儲かるとの見通しが立つ場合に限られます。つまり、日本の医療界で研究不正が蔓延しているのでないかという世界から抱かれている疑念を払拭しない限り、ドラッグ・ラグや高い薬価となって患者や社会にツケが回されてくるのです。

●メディアはどうする?

なお、3月に池田氏の発表を大々的に報じたメディアには、事実関係を検証して、結果的にせよ間違った報道をしてしまっていたなら、訂正する責務があるはずですが、その動きがまた極めて鈍いのです。

メディアや記者に主義主張があるのは当然としても、「事実」を伝えるのは最低限死守すべきラインで、「事実を伝えない」と受け手に見限られてしまった時、異なる主張や立場の人々をつなぐことができなくなり、同人誌・放送と化すので、どうするのか要注目です。もしきちんと対応しないなら、日本のメディアの偏りもまた臨床試験件数を減らす方向に働くでしょうし、ドラッグ・ラグや高い薬価の原因の一つと言えるのでしょう。

仕事、子育てに充実した人生を送る米国人女性 

半世紀以上前からの友人、Bob W6CYXのお嬢様TeresaとTeresaの長女、Bobのお孫さんLauraが、訪日するという知らせを2,3週間前に彼から聞いた。何か問題が起きたら、なんでも手助けをする、北関東に足を延ばすのであれば周りを案内すると申し上げた。すると、Teresaからメールがあり、ぜひこちらにも来てみたいとのこと。東京、京都、箱根と回り、旅行の終盤の昨日、こちらに来てくださった。Bobの家には三度もお邪魔し、一方ならずお世話になっているので、その恩返しの意味もあり、一日のんびりとご一緒させていただいた。

Wi-Fiの調子が悪く、時々、連絡がとれなくなり、どうなるのかと思いきや、昨日午前中に、近くの駅についたとTeresaから携帯に電話が入った。車でかけつけると、ジーンズにリュックといういで立ちの親子が駅前にいた。やはりどことなくBobと似ているTeresa。静かなLaura。二人を乗せて一路日光、中禅寺湖方面に向かった。

Teresaは、シングルマザーで、仕事をしつつ、二人の娘さんを育てている最中。医療機器会社で、製品の許可を当局からもらう事務的な仕事をしているとのこと。特に除細動器の臨床試験などに関わってきたらしい。Bobのことを結構知っているつもりだったが、やはり同じ家族の別な方から伺うと、知らなかったことばかりだ。とても知的で、活発、旅行したりトレッキングをしたりすることが楽しみの由。Lauraは、州立大学サンノゼ校で機械工学を勉強する学生。ミュージカルを観劇したり、歌を歌うことが好きだというおとなしい少女だ。中禅寺湖湖畔で・・・

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私の関心もあり、ついつい政治的な問題に話が行ってしまう。Bobがかなり強固な共和党支持者であり、新自由主義経済を肯定する方なので、同じような考えかと思ったが、Teresaは政治家を信用していない、いわばアナーキストである、とのこと。その一方、貿易の障壁はなくし、自由な貿易ができるようになることが必要だという意見である。だが、TPPでは、大企業だけが利益を上げることになり、支持しない、とのことその一方、レーガンの時代から、軍拡が進められ、発展途上国で米国が行った人々へのひどい行いを、十数年前に知り、そうした歴史に反発を感じている由。自由を愛し、自由を阻害するいかなくことにも反対だが、一方、格差の問題、大企業の独占の問題、米軍の行う中東での空爆などでは、リベラルな考えを持っている様子。米国にも「緑の党」があったのか、その政党に思想的には近いとのことだった。

私は、グローバリズムが世界的に格差を生み、それが移民排斥、他民族排斥というファッシズムにつながる風潮をいたるところでもたらしていることを語った。日本では、日本会議という宗教的カルトが現政権の背後におり、戦前の体制に戻すことを画策している、とお話しした。日本会議のことはあまりご存じなかったようで、後で調べてみたいとのことだった。

自由な貿易、経済活動が維持されれば(大企業の寡占を排除したうえで)、結構バラ色の未来が開けるのではないか、という考えを持っている様子だ。大企業の寡占を排除すること自体が、何らかの規制そのものであり、そこに官僚主義がはびこる可能性がある。そうした原則的な問題、さらに現在のグローバリズムの経済政治の支配状況について、楽観的に過ぎるのではないかとも思ったが、彼女が企業活動の真っただ中にあって、自己肯定しつつ生きてゆく思想的な基盤なのだろう。活動的で建設的なアナーキズムですね、暴力を伴わない、というと嬉しそうに笑っていた。

彼女は、16歳でカリフォルニア大学デービス校に入り、国際関係論の勉強をしたらしい。ご自身でも言っていたが、成績が優秀だったようだ。経済的には厳しく、毎日アルバイトを続けた由。最初、希望していたマスコミ関係では職を見つけられず、最終的に現在の会社に入った由。除細動がらみで、心電図の心室性不整脈の診断の問題、QT延長症候群や心筋症の問題などもよくご存じの様子だった。今は、在宅で一日8時間以上仕事をしている、朝5時から全世界相手の電話会議がおこなわれることもあるらしい。すばらしい上司に恵まれ、とてもハッピーだとのことだった。50歳代半ばにはリタイアして、大学などで現在の仕事に関係する講義をパートタイムでできたらうれしいのだけどと希望を語っておられた。

義理の母上が日系の方で、彼女が十代のときにとても優しくしてくださった、それで日本という国、文化に関心を持ち、一度訪れたいと考えていた由。1,2年前に数か月地域の教養講座で日本語の勉強をなさったそうだ。もちろん会話はまだまだだが、発音が驚くほど正確で驚いた。

二番目の娘さんも、Teresaの母校に入学をすることになっており、将来は医学を志している様子。この旅行後にデービスにでかけて、引っ越しをしなければと嬉しそうだった。

夕方、宇都宮に戻り、家内も交えて夕食。

二人の娘さんを育て、仕事をこなし、人生の自信に満ち溢れたアメリカ人女性の典型のお一人だろうか。

最後に、われ我日本人への彼女の感想。何事にも控えめで、返事があいまいなことが多い、とのこと。駅などで英語で質問してもよいか尋ねると、まず「ちょっとだけだったら」といった返事だが、いつも意思疎通は完全にできる、だから、そうしたあいまいな返答をしなくても良いのではないかという彼女のアドバイスだ。仕事でも、日本人の同僚からはあいまいな返答が多いとのこと。NOと言える日本ではないが、あのように多民族国家で意思疎通するためには、明確な態度表明が欠かせないということだろう。

高齢者の非正規雇用増加 

政府が20兆円の景気対策をすると報じられている。すさまじい額だ。需要減による景気後退を、一過性の景気対策で一時的に軽減させようということなのだろう。この後に来るのは、国の借金の増大、さらに最終的には、悪性のインフレだろう。

その事態に備えて、高齢者は仕事を続ける。参院選の間、安倍首相が、雇用が100万人増えたと自慢げに述べていたのは、実は、高齢者の非正規雇用が増えていることを反映したのに過ぎない。こちら。問題の本質は、高齢者が仕事を続けなければならない事態だ。

高齢者といえども健康であって労働意欲があるのであれば、働き続けるのも良いだろう。労働人口が減少する社会になっていることからも、そうした高齢者の労働は、望ましいと言えるのかもしれない。

だが、やがて医療介護が必要になる高齢者にとって、待ち構える医療介護の窮乏化ないし二極化は凄まじい。ちょっとしたたくわえでは、まともな医療介護が受けられない社会がすぐそこだ・・・いや、すでに到来していると考えてよい。入院病床が減らされ在宅医療が推し進められているために、老々在宅介護がごくありふれたことになる。老々在宅介護の家庭では、たとえ非正規雇用であっても労働し、収入をえることはできない。

アベノミクスという名の以前から使い古された景気刺激策は、あったとしても一過性の効果しかない。それによって、結局社会保障の切り捨てが行われる。将来、悪性のインフレになる可能性も大きい。多くの高齢者は、一生働き続けなければならなくなる

病床削減の現実 

わが国の病床数は、外国と比べると多い。厚労省は、強制的に病床の介護施設への転換、ないし削減を目指している。目的は医療費削減である。手法の大部分は、診療報酬上、慢性期病床が経営的に立ち行かなくすることだ。福島原発近くの病院ですら、この記事にあるような状態なのだから、他地域は推して知るべしである。

病床を減らして、そこに入るべき患者さんはどうなるのか。介護施設は、追い付かないし、入所者にはコストもかかる。で、在宅医療の推進ということになる。それもスタッフが十分でないし、何よりも家族の負担がきわめて大きくなる。今後、団塊世代に医療の必要が出たとき・・・すぐそこなのだが・・・どのような状況になるのだろうか。

以下、引用~~~

「診療報酬改訂の荒波で病床が流される」 福島県双葉郡広野町・高野病院奮戦記 第6回

高野病院事務長
高野己保

2016年7月18日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp
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平成28年の診療報酬改定後、5月の上旬に当院からの最初の請求が終わりました。医療機関が行う請求とは、患者さんが受けた診療について、健康保険組合などの公的医療保険の運営者に医療費の明細を提出することです。明細はレセプトと呼ばれ、診療や処方した薬の費用が記載されています。これをもとに医療機関に診療報酬が支払われます。

高野病院は公床118床のうち、65床が医療型療養病床として稼働しています。療養病床とは、その名の通り長期の療養を必要とする、慢性期の患者さんを対象とする病床です。高齢化が進み、国民医療費に占める高齢者の費用の割合が大きくなり、それを抑制するために、一か月の点滴や検査などを一定の枠内に制限する、いわゆる「まるめ」と言われる制度を採り入れ、平成13年に
導入されたのです。それから15年、国は現在、地域医療構想として療養病床の?機能分化?を図る制度を進めています。療養病床における機能分化とは、介護もしくは在宅への移行するようにとのことです。

療養病床は医療区分3・2・1とADL区分A~Iに分類されて評価されます。平成28年3月末現在、当院に入院されている患者さんたちは、医療の必要性が高いとされている区分3に入る患者さんが全体の32%前後、医療の必要が低いとされている医療区分1の患者さんは1%、残りの67%は医療区分2に該当していました。

しかしながら、今回の診療報酬改定で大問題が起こりました。医療区分3が見直され、その割合が平成28年4月末で20%に減らされてしまったのです。今回の当院での見直しは、主に酸素療法と血糖検査に関してでした。酸素を毎日3L以上必要としたり、3L未満でも重篤な肺炎や心不全などを合併したりしていなければ、医療区分3には認定されなくなりました。血糖検査についても、インスリン製剤やソマトメジンC製剤を1日1回以上注射し、1日3回以上の頻回な血糖検査がなければ同様に区分3には認定されません。重症度がより高くないと認定されなくなったのです。医療区分の重症度を高くし、医療機関の診療報酬を引き下げ、入院の必要のない、いわゆる社会的入院と呼ばれている患者さんを、できるだけ家庭に戻し、医療費の削減につなげようという政策の流れ
からは致し方ないのかもしれません。

しかし、当然医療区分が下がれば、診療報酬上の点数も下がり、病院の収入は減ります。医療機関は施設基準で人員の配置が定められているため、診療報酬からの収入が減ったからといって、人員を整理することはできません。当然、人件費が経営を圧迫します。正直に言えば、今は毎日出口のない迷路を彷徨っているか、はたまた上がりの見えないすごろくをしているような気持ちです。国が療養病床の削減を進めている状況では、病院の運営は今後成り立たなくなってくる。訪問看護に力を入れようかと考えても、まだ住民が普通の生活に戻っていない地域では、無駄ではないにしても、現状では地域住民のニーズに即さないし、在宅を担う医師を確保できていない。病床を減らし患者さんと職員減らすことも、病院として存続するためには、当然考えます。

では人員配置を楽にするために、国が勧める老人保健施設に転換しようかと思えば、療養病床と同等の重症度の方たちを受け入れる施設で、今より人数を少なくしたスタッフではたして人の定着がはかれるのかわからない。そしてそもそも震災後必死に集めたスタッフを辞めさせることが、この地域の医療や住民のためになるのか。そして、病床を減らして、仮設に患者さんを戻すことが、まだ地域包括ケアが確立していないこの地域で、本当に本当に大丈夫なのだろうか。毎日毎日、道を見出しては進もうとするのですが、マンパワー、住民の生活が安定していない、などの問題にぶつかり、引き返し、また別の道を探す毎日なのです。

この5年間地域医療を死守すべく頑張ってきた院長も、この4月で81歳になり、体調も思わしくない日が続いています。この地でずっと患者さんと向き合ってきた院長ですが、このまま常勤の医師が確保できなければ、最悪の場合、すべての病床を返還しなければならない事態に陥る可能性もあります。私たちは何のためにこの地域の医療環境を守ってきたのでしょうか。私たちが病床を返還すれば、この地域に入院機能をもった医療機関はなくなります。まだまだ復興していない地域で、今回の診療報酬改定、国の方針の波は、あまりにも大きいものです。

震災の時に、そこにあってはならないとされた高野病院は、とうとう病床自体が、あってはならない病院とされてしまいつつあるのです。