救急医療はさらに厳しくなりつつある 

この時期になると、大学病院で当直をしていた頃のことを思い出す。途切れぬ救急患者。ふと外を見ると白々と夜が明け始めているということを何度経験したことか。

救急車の出動回数が過去最高を更新し続けている、という。今後とも、高齢化が進み、救急医療の現場が忙しくなることはあっても、落ち着くことはないのだろう。特に小児科の救急患者は多い。救急にかからなくても良いのではないかと思われるケースが圧倒的に多い。しかし、親御さんにとっては、その判断が難しいのかもしれない。少なくとも、日中、平日に医療機関にかかれるのであれば、そうして頂きたい。それは、医療資源の整った時間帯にかかることで、患者さんにとっても、また医療現場にとっても良いことなのだ。

大学病院や大病院といえども、救急は極めて少人数の医療スタッフが行っている。医師の多くは、36時間連続労働だ。救急現場は疲弊しきっている。救急医療は、社会的に守らねばならない、共通の社会資源なのだ。夜間、休日の方が都合がよいとかかる患者さん、その親御さんには是非考えて頂きたいことだ。

マスコミは、救急車が患者さんの受け入れ先を見つけられず、様々な医療機関に当たらねばならない事態を、「たらい回し」と暗に医療機関を非難する論調で記事にしてきた。が、ここにきて、事態がそれほど単純ではないことにようやく気付いてきたようだ。救急医療現場は、私が現場にいた頃から比べて、数倍の忙しさなのではないだろうか。このままでは、本当に救急医療が必要な方に適切な治療を早期に施せぬ事態になる。

夜間、文字通り不眠不休で救急医療に携わるスタッフ諸兄姉のことを改めて思い起こす。感謝あるのみ。

以下、引用~~~ 

救急車出動、過去最多591万件 入院必要ない人が半数

桑山敏成

朝日新聞 2014年12月19日16時50分


 昨年1年間の全国の救急車の出動件数は約591万件と過去最多だったことが、総務省消防庁が19日に公表した2014年版の消防白書から分かった。搬送された人は延べ約534万人で、国民24人に1人が搬送された計算になる。

 搬送された人の54%は65歳以上の高齢者。出動件数が過去最多を記録するのは4年連続で、同庁は「高齢化が進み、今後も増える可能性がある」とみる。

 搬送された人の病気やけがの程度を見ると、入院の必要がない軽症や軽傷が50%を占めている。

 119番通報から救急車の現場への到着時間は平均8・5分で、10年前より2・2分遅くなった。通報から患者が病院に入るまでの平均時間は39・3分と10年前より9・9分遅く、2時間以上かかった人が約2万8千人いた。大都市を中心に、受け入れる医療機関を探すのに時間がかかるケースがあるという。(桑山敏成)

第一世代抗ヒスタミン薬は、小児の多くで禁忌 

第一世代抗ヒスタミン薬が、小児の多くで禁忌であることを報じる記事。こちら

2歳以下では如何なる場合も禁忌。6歳以下の風邪症状に対しての投与も禁忌。

神経系の副作用を生じうるためだ。

市販薬の所謂風邪薬にはこの成分が入っているわけだが、変えるのか?小児科医も、我々の世代では第一世代抗ヒスタミン薬を漫然と出している場合がある。要注意。だいぶ前から言われていたことだが・・・。

現政権の詐欺的行為 

現在の国の財政状況では、公的サービスの削減は止むをえぬ面がある。が、こうした社会福祉政策・労働政策の一方で、法人税減税、さらに特定の自動車大企業への補助の新設等が行われようとしている。政府は、それを選挙で明言しなかった、むしろ社会福祉の充実だけを訴えてきた、国民への詐欺である。

また、集団的自衛権行使関連法案、日米ガイドラインの改訂の結果は、来年の統一地方選挙のあとに国会提出ないし公表するらしい。この二つは、自衛隊を、米国の世界戦略に加担させる具体的な計画だ。それによって、自衛隊が戦場に赴くことになる。当然、戦死者が出ることになる。さらに、わが国がテロリズムの標的になる。テロによって亡くなる方も出ることだろう。それを公表するのを統一地方選挙のあとにする、即ち国民には隠すということだ。安倍内閣が、これらの施策が、国民に危害を及ぼすことになることをよく承知しているのだろう。労働条件の改悪・社会福祉の切り捨てを、総選挙後に矢継ぎ早に打ち出すことと相似である。

昨夜のニュースは、今期のボーナスが5%の伸びで、バブル以来最高の伸びだと報じていた・・・しかし、その調査対象は、150社ほどに過ぎない。また、実質賃金、GDPがマイナスを続けているのに、日銀は、わが国の経済、給与水準はゆっくりと向上しているというスタンスを崩していない。マスコミは、こうした大本営発表が可笑しいことになぜか口をつぐんでいる。

いよいよ、泥船が荒海に乗り出す。船の中では情報統制が敷かれ、皆、金融緩和というあとで酷い二日酔いの生じる酒に酔いしれている。


以下、引用~~~

労働規制の緩和加速 医療、介護は負担増

記事:共同通信社

14/12/15

 雇用労働は、安倍政権が成長戦略に掲げる規制緩和に向けた動きが加速する。社会保障では、選挙中に与党が触れずにやり過ごした医療や介護の負担増の議論が進む。

 働いた時間ではなく成果で評価する「ホワイトカラー・エグゼンプション」導入に関し、厚生労働省の審議会での話し合いは年明けにヤマ場を迎える。野党や労働組合は「残業代がゼロになる」と反対しているが、政府は来年の通常国会で法改正を押し切る構えだ。

 派遣労働者の受け入れ期間制限をなくす労働者派遣法改正案は衆院解散で廃案になったが、再び提出する見通しだ。

 厚労省は通常国会で医療保険制度改革を目指す。市町村が運営する国民健康保険を都道府県に移管するとともに、低所得高齢者への保険料軽減措置を縮小する方針だ。

 来年度介護報酬改定では、高齢者の在宅生活支援サービスに手厚く配分し、特別養護老人ホームの相部屋に月1万5千円程度の部屋代負担を求めることを軸に調整する。

 年金は来年4月に給付抑制策が始まり、実質減額となる公算が大きい。


CWの二通りの楽しみ方 

先日、Karl DJ5ILが、FOCのMLで、CQを出しても普通の交信をする相手がいないことを嘆く発言をした。西ヨーロッパでも同じかと思い、私も、こちらでも同じ状況だと発言した。CW愛好家には、コンテストのように、現実社会や我々の生活とは関係のない、記号の体系でやりとりをする人々と、CWを読むことで、生活や人生にかかわる話しをする人々がいる。昔は、その両方の楽しみ方をするハムが多かったが、最近は、その一方に偏り、とくに前者が増えているのではないか、という私の持論だ。私が、普段あまり発言することがないためか、ML上、それに私信の形で、結構たくさんの反応があった。その内容を分けると、

1)私の議論に賛成である・・・会話の成立する交信が少なくなっている

2)自分は、その両方の運用をしている

3)CWによる会話はネットに置き換えられ、さらに我々は忙しい時代に生きている・・・だから、記号体系のやり取りだけで良いのだ

面白いことに、2)と述べる方が、コンテストクラブと化したとあるクラブのトップだったりする。3)も、FOCの現在の事務長をしているRoger G3SXWの見解。10月にお目にかかったJim N3JTも同じような意見だった。昔、ラグチューを楽しんでいた彼らも、みごとに時代の変化に乗っている、ということだろうか。1)は、比較的少数のような気がした。FOCにおいてさえ、この状況だ、他は推して知るべしだろう。

これも持論の繰り返しになるが、閉じた記号体系のやり取りを繰り返しても、そこには本当の楽しさ、この趣味を持って良かったという喜びが生まれてこないような気がする。CWで読み解く楽しみこそが、我々に本当の喜び、充実感を与えてくれるのではないだろうか。時代の潮流としては、この生き方は、もう遅れており、どんどん少数になっているようだ。今年の年頭の抱負にも述べた(英文の方のブログ)のだが、このことをまとめてFOCの機関誌でも公表しておかないと、機会を逃してしまう・・・もう今年は無理なので、来年に持ち越しか・・・。、

小渕優子現象 

小渕優子氏は、今回の選挙でぶっちぎりの得票で当選した。

政治資金規正法で訴追されている人間が、このように立候補し、楽々と当選するのは、おかしなことだ。

週刊誌によると、彼女は毎月のように高級料理店で豪勢な食事を楽しみ、それを政治資金で処理していたらしい。一介の食事代が、数万から20数万円だ。どう考えても、政治的な会合に利用できぬような料理店がぞろぞろとリストアップされている。

さらに、証拠隠しとも受け取られる事実が明らかになっている。

少なくとも指摘されていることの一部は、本人が知らぬ間に行われていたことなのだろうが、これらのことは知らないでは済まされない。

こんな人物が、将来の首相候補と持ち上げられていた・・・いや、この選挙で禊は済んだとばかり、自民党の中で、重要な地位を占めることになるのかもしれない。

彼女が最初に当選したときに、政策を尋ねられて、これから考えると答えたのは有名な話だ。有力政治家の子弟であれば、政治的な見識も何もなくても、担がれて地盤を継ぐ。そして、地方と中央の間の顔であれば、それで存在価値は十分なのだろう。自民党政権の政治構造が見えてくるような小渕優子現象である。


以下、引用~~~

前経産相関係先、PCのHD破壊

2014年12月19日(金)10時51分配信 共同通信

 小渕優子前経済産業相(41)の関連政治団体をめぐる政治資金規正法違反事件で、東京地検特捜部が10月に関係先を家宅捜索した際、会計書類などを保存していたとみられるパソコンのハードディスク(HD)が既に破壊されていたことが19日、関係者への取材で分かった。

 小渕氏の関連政治団体をめぐっては、支援者向け観劇会などの支出が収入を大幅に上回っていたことが判明しており、特捜部はHDが壊された経緯を調べている。

 特捜部は10月30日以降、元秘書で群馬県中之条町長を辞職した折田謙一郎氏(66)の自宅や町役場などを家宅捜索した。

わが国が「死の商人」になる 

政府は、今年4月に武器輸出を認める決定をした。さらに、武器輸出企業に財政支援をするようだ。

「防衛省は18日にも有識者による検討会を立ち上げ、今後は財政投融資などを活用した資金援助制度を創設。武器輸出企業に長期で低利融資する」(日刊ゲンダイ)という。

わが国は、戦後武器輸出を原則禁止してきた。それは、憲法の平和主義の具体化の一つであった。それによって、国際的に日本が平和国家であるという名誉ある評価を受けてきた。

が、武器輸出を選挙区的に行い「死の商人」となることで、その評価は地に落ちる。さらに、わが国がテロリストの標的になる可能性も高くなる。集団的自衛権行使と相まって、国内でテロリズムが起きる可能性が格段に高まる。

安倍政権は、着々と事実を積み上げてゆく。その向かうところは、「戦争のできる国」である。自衛のためではない戦争を、海外に派兵して行う国への変換だ。

そのために税金が使われる。

一方で、これからさらに充実させるべき介護への支出を減らす方針が示されている

先の衆議院選挙で、安倍政権を支持した、ないし批判しなかった結果がこれから続々と出てくることだろう。

公務員支給ボーナス額を低く見せるカラクリ 

公務員のボーナスが出たようだ。平均69万円ほど。他人のサイフにはあまり関心がないのだが、これには、額を少なく見せるごまかしがあるらしい。

一つは、管理職を除いた公務員を対象にしていること。

もう一点、五段階の勤務評定がなされているようだが、その中間の評価群だけが対象とされていること評定は優秀な方に多く、中間よりも高い評価が、大半を占めるらしい

公務員給与が、民間を参考にしているといいつつ、その民間とは、規模の大きい企業であることを思い起こさせる、

何故、こうした小細工をして、支給ボーナス額を低く見せようとするのだろうか。これらの小細工を除くと、平均支給額は90万円を軽く超えるらしい。こうした情報統制を目にすると、他でも同じように情報をコントロールしているのではないか、と疑わざるを得なくなる。特定秘密保護法も、行政にとって都合の悪いことをかくすためではないと断言できるか、はなはだ怪しい。

ボーナスの額を決めた人事院には、何かしら、後ろめたい気持ちがあるのだろう。確かに、国の借金が1000兆円を超える財政の元で、大盤振る舞いをしたとはとても言えないのだろう。

これから社会福祉の切り捨て政策が、矢継ぎ早に出てくることになっている。

沈みゆく泥船に乗っていることが分からないのだろうか。乗っているからこその大盤振る舞いか・・・。

Don N7EF 

冬至前後の7メガは、日の暮れる前と、夜更けてからしか、北米西海岸に開けない。その中間の時間帯は、スキップしていることが多い。昨夜、遅くなってから(午後10時過ぎ)7メガに出ていると、Don N7EFが呼んできてくれた。彼のことは、このブログでも何回か取り上げている。こちらなど。

普通の交信をする局が少ないと、例によって、彼に嘆いた。彼の返答は

1)Wの連中は、JAのハムには言葉の壁があるので、話しかけても仕方ないと諦めている。

2)ラグチューを楽しんでいるWも結構いるのだが、皆小さい設備なので、JAと交信するわけにはいかないのだる。

ということだった。

2)に関しては、確かに、冬場が深まってから、近くがスキップしているときに、7メガの上の方で、のんびり交信しているWの連中が聞こえる。総じて強い信号ではない。私もビームを上げてからは、時にそんな方々の中に入れて頂いたこともあったが、最近はなかった。ワイアーアンテナでは、少なくともラグチューは難しいかもしれない。

1)も、確かに、ということだ。そう決めつけられて、コールしたくれないとしたら、大変残念なことだが・・・。

私からは、以前からここかしこで繰り返しているように、Wのなかにも、CWを受信できないハムが結構いることを申し上げた。印象では、半数位の方は、簡単な問いかけをしても、返答がない。一部はデコーダーを用いているようだ、とも言った。

で、この議論の結論なり、今後の方針(笑)は、出なかったのだが、1)に関して、こちらが変わらないと、むこうも変わらない、ということを理解できたような気がする。悪循環に陥るのか、どれとも食い止められるのか、の境にあるわけだ。

彼が突然、テストがあるというので、何のことかと思ったら、縦ブレ電鍵を持ち出し、和文記号で何やら送ってくる。分からないというと、SOUDESUKAと打ったつもりだとのこと。それの正しい和文符号をゆっくりお教えした。コピーを一生懸命している様子。7015から7020辺りに出ている和文専門局を呼べなくて残念だったが、これで呼べる、とDonは言う。これだけで、ツートトツーツーツーとやられても、ワブナーの皆さんは少し戸惑うかもしれないが・・・Donが、門戸を開いているという意思表示にはなるのかもしれない。

彼のお子さんたちは、クリスマスには帰郷しないので、奥様と二人で過ごす様子。彼が旅行嫌いであることを私は良く知っているから、「どこかにでかけないのかとは尋ねない」と言うと、「その通りだ、私が出かけるのは、銀行と郵便局のみ」といって私を笑わせてくれた。このセンス、私は大好きである。

衆議院選挙の結果 

衆議院選挙は、マスコミの予想通りの結果に終わった。

安倍首相は、産経新聞とのインタビューで、この選挙は「護憲勢力」を追い出すことを目的にしていた、しかしむしろ「改憲勢力」が減少した、と述べている。衆議院では改憲発議に必要な議席を確保したが、参議院では達しておらず、すぐに改憲へ動き出すわけにはいかない。しかし、憲法改正が、彼の一番の眼目であることは覚えておく必要がある。

憲法の意味、現憲法の価値を、我々は忘れがちになる。歴史的に、近代憲法は、国家権力が国民の基本的人権を踏みにじることを抑えるために生まれた。そして、現憲法は、わが国のこれまでの発展と、国際的な平和国家としての評価をもたらした。これらのことを良く脳裏に刻み付けておく必要があるように思える。それを失ってから、その価値、意味を思い出しても遅い。

「アベノミクス」については、ここでも繰り返し記したが、第二、第三の矢というのは実在しないか、全く機能していない政策である。第一の矢の金融緩和も失敗に終わることが見えてきている。日銀が莫大な国債を買い入れ、その資金を市中に流すことによって、経済を活性化させる、という政権与党の説明だった。が、現実は、その国債買い入れ資金は、日銀の当座預金という口座に眠ったままで、市中経済に出回っていない。経済が淀んで見えるのは、需要が相対的に減っているからで、資金の欠乏ではないのだから、当然のことだ。

政府の本当の金融緩和の意図は、発行せざるを得ない大量の国債を、日銀に買い取らせることによって、国債が市場で消化しきれず、その価格が暴落し、利率が上昇するのを、なんとしても防ぐ、ということにある。戦争中の経済体制である。金融緩和を止めると、その国債価格暴落が生じうるので、金融緩和を止められぬ泥沼に陥っている。さらなる国債発行に歯止めが掛けられぬ状態だ。この政策は、やがて訪れる財政破綻の傷を深くする。

実際のところ、実質賃金は16か月連続減少、GDPも二期連続低下である。年金資金、日銀資金などによって維持されてきた株価も下落を始めた。この金融緩和策が失敗に終わることは既定にことのように思える。

~~~

で、今回の選挙の結果は、自公政権を積極的に支持するというよりも、政権を託しうる政党がないからとりあえず自公に任せておこうという選択だったのではなかろうか。戦後最低だった投票率は、投票しても変わらない、消極的な選択でいまのままでも良い、という国民の意思表示だったような気がする。自民党は、33%の得票率と、前回の衆議院選挙よりは多少伸ばしたが、国民人口全体に占める得票率はたかだか17%だ。これで、国の形、行く末を、少数の自民党指導者の意図通りにするのはなし、だ。共産党の飛躍、沖縄での自公政権への否という民意の意味を、自公政権は理解すべきだ。

問題は、野党だ。民主党政権の「失敗」を良く考えると、野党が政権を担えるかどうかは、現在の官僚体制とどれだけ対峙し、コントロールできるかにかかっているように思える。財務省は、これまでのぼろを出さずに利権を守ることに汲々としているし、外務省は日本の権益ではなく日米関係という新たな国体(山口二郎氏の言葉)を守ることだけを考えて行動している。こうした官僚組織に切り込み、真に公のために働く、自己目的化しない官僚制度を作り直す必要がある。勿論、自民党の新自由主義的な発想、さらに政調部会、官僚、業界の癒着による、閉ざされた利益誘導政治に対する、アンチテーゼとしての政策を確立することも必要だろう。

集団的自衛権行使容認は、ナチスの全権委任法制定に比すべき暴挙である 

安倍首相が、歴史に残るとしたら、やはり立憲主義を否定し、民主主義の根幹を破壊した人物としての評価だろう。

集団的自衛権の行使は、他の国のために戦争をするということであり、憲法で許容される個別的な自衛権とは根本的にことなる。歴代の内閣も、その解釈でここまでやってきた。ところが、中国、韓国という隣国との緊張関係を自ら強めておき、それで安全保障を強化することが必要になった、そのための集団的自衛権だという安倍首相の論理だ。

問題は、閣議で決めたという形式を取ったが、首相の独断で、集団的自衛権という憲法の理念に反することを決めたことだ。憲法は、権力の暴走から国民を守る機能がある。権力の座にある安倍首相が、一存で憲法を無力化し、否定した。民主主義の存立基盤の一つである、立憲主義の否定だ。

未だ集団的自衛権行使の具体的な内容が明らかになっていない。が、選挙後に矢継ぎ早に新たな法律が作られ、それによって自衛隊がどのように米軍の世界戦略の一端を担うかが明らかになることだろう。後方支援に留めるとか言っても、派遣される場所は戦場である。やがて、戦争の前線に自衛隊が立たされることになる。さらに、当面の米国の世界戦略の対象は、イスラム原理主義勢力だ。わが国が、彼らのテロの対象に必ずなる。NATO諸国は、アフガン等で千人単位の戦死者を出している。日本国民の安全をまもるためという建前の集団的自衛権は、国民に血を流すことを要求する。また、米国世界戦略に乗ることは、これまで営々と築いてきた平和国家日本という栄誉をかなぐり捨てることになる。

今回の選挙で一番深刻で、重要な問題が、この立憲主義の否定である。ナチスドイツが、権力をほしいままにするために、当時もっとも理想的と言われた人権尊重のワイマール憲法を無力化した。それが、全権委任法だ。ナチスの全権委任法制定に比すことができる暴挙である。その意味を国民は十分知らされていない。