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Oblivion 

今日は、仕事場で自分の患者を数名診た後、近くの町の救急診療所のお手伝い。5時間で40名以上は診ただろうか。インフルエンザA、Bの競演。インフルエンザの検査をしてほしいという患者が多くて困った。検査には、行うべき時期があるし、万能でもない。臨床状態や、周囲の状態を診て、医師が行うべきかどうか決めるべきもの。でも、患者周囲も、家族も、検査をしろの一点張り。検査をした上に、抗インフルエンザ薬を用いていたら、医療費は一体どうなるのだろうか。そんな話を、最初は患者の親御さんに話しつつ診療していたが、その内、疲れてきて、機械的に検査をし、抗インフルエンザ薬を出すようになってしまった。救急診療所には、検査試薬が山ほど置いてあった。

その仕事を終えて、再び自分の仕事場へ。急患を二人診て、自分の部屋に落ち着いたところだ。別なブログには紹介済みだが、ソルガベッタの弾く、Oblivionを貼っておく。ピアノトリオ版は以前にもこちらで紹介したが、とてもこころに残る曲だ。ピアソラの生きた時代を反映しているのか、それともピアソラにうつ病圏の心理があったのか、鬱々とする旋律が全体を流れる。ガベッタは、最初から決然として、短調の旋律を歌い上げる。途中、長調でその鬱とした気分に抗うような旋律が出て、ガベッタは、さらに高調させて演奏するが、再び、暗い憂愁の思いの旋律に戻って行く。そこで、ガベッタは、ほんのわずかに感傷を見せるが、再び情熱的に憂愁の歌を歌い上げ、最後はテクニカルな装飾音で終える、といった演奏。

暗く鬱々とする旋律だが、癒しを感じる。「忘却」というタイトルもよし。

あの野戦病院のような、医師患者関係の希薄な仕事など忘れてしまえという天の声か。

週末の交信 

昨夜、週末ののんびりした気分で7メガに出た。JA4IIJ Takeshiさんから呼ばれた。お孫さんがいらっしゃるそうで、時々そちらからの混信がある模様。オーディオマニアの彼が、ソルガベッタのエルガーについてコメントをしてくださったので、普段どのような音楽をお聴きになるのか伺った・・・しばらくして、同じ質問を以前お伺いしたことだったことを思い出した。Takeshiさんも忘れやすくなっておられると謙遜されるが、私の忘れっぽさの方が圧倒的に酷そう。

で、彼はバッハの鍵盤音楽を良く聴かれる由。グールドのゴールドベルク変奏曲、特にその最終録音が良いとのお話しだった。バッハの鍵盤音楽としては、平均律しかあまり聴かない。かねがね素晴らしいという評価のグールドを聴いて見なくてはなるまい。

彼との交信を終わる頃、Steve N6TTとBob W6CYXから同時にブレークがかかった。30m高の3エレを使うSteveの信号が圧倒的に強いが、Mt Hamiltonの中腹から出ているBobの信号も結構な強さ。Bobは、7月28日にCarmelで恒例のバッハ音楽祭があることを、Takeshiさんとの交信を聴きながら是非伝えたいと思って出てきたと仰っていた。今年の主要な演目が、Takeshiさんと話題にしていたマタイ受難曲らしい。Rillingはさすがにもうリタイアしたのだろうと思って念のために指揮者を尋ねると、やはり別なドイツ人の指揮者に代っている様子。1990年前後にBobからこの音楽祭のことを聞かされ、その際の指揮者が、Rillingだったのだ。そのまた20年程前に私は、Rillingの指揮するシュトットガルトバッハアンサンブルの演奏でマタイ受難曲を、東京で聴き深い感動に包まれたことがあったのだ。時間が経った。

Steve N6TTからは、Aronの脳出血の状況、意識は戻らず、MRIで脳幹部への出血も確認されたことを伺った。明日(今日)にも別な施設に移送されるようだ。Aronが外傷を負ってから、もう3週間。ある「決断」をしなければいけない時が迫っているのかもしれないと、彼は言っていた。ブログでの気丈な言葉と裏腹に、Amyのこころは、大きな葛藤と哀しみに支配されているに違いない。

ソル ガベッタによるエルガー・チェロ協奏曲 

ソル ガベッタによるエルガーのチェロ協奏曲。ガベッタについては、以前、その演奏をBSで観て、感想をしるしたことがあった。ここ

エルガーのこの曲でも、完璧な技術が光る。まるで楽器が自分の身体の一部のようだ。着ている衣装の印象もあるのか、やや暖色系の表現だが、それでもエルガーの霧がかかったような憂愁の思いを聴くことができる。時々、コンミスの方に向かって微笑みかけながら弾いている。



彼女がサンサーンスのチェロ協奏曲について語りながら、演奏も聴かせる作品もYoutubeにアップされている・・・ドイツ語を早口でまくし立てているので内容は分からないのだが、才能と美貌、それに恐らく音楽界での機会にも恵まれたチェロ奏者だということが良く分かる。

でも、やはり、かのデュプレの演奏を思い出してしまう。デュプレの演奏に思い入れがあるためなのか、ガベッタには、まだ何かが足りない(ように自分には思える)。デュプレの人生をこの音楽に重ね合わせて聴いてしまうためだろうか。

口をきゅっと引き締めて、楽器を思い通りに操るガベッタ。憂愁と哀切の旋律を自由に伸びやかに紡ぎだす、この若きチェリストがさらに成長することを期待をこめて見守りたい。

ソル ガベッタ 

録画してあったソル ガベッタというチェリストの演奏を見た。

25歳の新進気鋭の演奏家らしい。愛らしいブロンドの女流チェリスト。
アルゼンチン国籍、スイスで教育を受けたらしい。

シューマンのアダージョとアレグロ、ラフマニノフのソナタ、それにスペイン系の良く知らない作曲家の技巧的な作品というプログラム。

華奢な身体からは想像もできぬ豊かな音楽。変化に富み、良く考えられた表情、それに統御されたダイナミックの変化。最後の曲で、ほんのわずか技巧的な粗がみられたが、技術的には良く完成されている。デュプレを思い起こさせる外見だが、彼女の奔放な演奏とはかなり異なる。理知的な演奏だ。

左手の指、DIP関節(指の先の方の関節)を反らして弦を押さえるのは、演奏方法としては御法度のはずだが、低いポジションから、それで弾ききっている。指を壊さないのかなぁ・・・。

一つ一つの音を、意志を込めて弾く彼女の演奏には、理知的に音楽を理解し、主観ではなく、音楽の内容そのものを訴えようとする態度が見られる。ラフマニノフなどという凡庸な作品ではなく、フォーレ、フランクとかブラームスのソナタを聴いてみたいものだ。シューマンはアダージョの幽玄な歌も、力に溢れたアレグロも良かった。

楽しみなチェリストの登場である。

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