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医療機能評価機構・医療安全調査機構は自己存続・拡大が目的になっている 

院内自殺は、医療事故ではない。院内自殺を食い止める努力は、医療機関側に求められるが、医療機関が提供する医療によって生じる患者に不利な事象とは言えない。たとえ、それが予測不能であったとしても、根本的に医療機関に責任を負わせることは誤りだ。

医療機能評価機構と、医療安全調査機構は、院内自殺を医療事故として捉えることで、利権を拡大しようとしている。この二つの天下り団体は、医療機能評価、医療安全調査という呼称とは裏腹に、医療機能を貶め、医療安全を危うくする組織でしかない。

こうした天下り団体は、組織の存続・拡大が自己目的化する。

以下、MRICより引用~~~

「自殺は重大医療事故」と発表した医療機能評価機構は即時訂正を
厚労省は、医療安全調査機構の事故調センター指定の取り消しの検討を

現場の医療を守る会代表世話人
坂根Mクリニック 坂根 みち子

2017年9月14日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp
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医療安全を担うはずの組織が暴走している。

8月28日に、日本医療機能評価機構が「入院患者の自殺は重大な医療事故」と記者会見した(1)。自殺は様々な要因で起きるが医療事故ではない。現在の医療事故の法的な定義に照らしても、医療事故にはあたらない。機構の真意を「忖度すれば」、注意喚起するために善意で発したものかもしれない。しかしながら、法の定義を無視して公表すれば、言葉が一人歩きをするのは目に見えている。その場合、自殺の原因は医療機関の手落ちとされ訴訟を誘発されかねない。悪意のない善意というには、あまりに非常識である。

このような法を逸脱した用語を用いた提言が、傘下の認定病院患者安全推進協議会が出てきた時に、日本医療機能評価機構にはそれを検証する義務がある。今回の問題で、機構にチェックシステムが欠如していることが露呈した。機構はこの事実を厳粛に受け止め、速やかに提言を訂正し、世間に間違ったメッセージを発信した過ちを認めて頂きたい。

今、日本で医療事故を取り扱う組織としては、日本医療機能評価機構と日本医療安全調査機構がある。日本医療機能評価機構は、永年にわたり、ヒヤリ・ハットを含めた広義の医療事故情報を収集し、分析・提言してきた。

これに対し、2014年に改正された医療法では、「加えた医療による」「予期せぬ死」であると管理者が認めたものを医療事故と定義し、すべての医療機関を対象に医療事故調査支援センターに報告するように定めた。日本医療安全調査機構は、そのセンター業務を担っている。それまで広義の医療事故を担ってきた日本医療機能評価機構ではなく、医療安全調査機構が法的に極めて限定して定義された医療事故だけ担うようになったため、制度が複雑化し、無駄な重複が生じていることは、何度も指摘してきた(2)。

「自殺は医療事故」と発表した日本医療機能評価機構よりさらに問題なのは、医療事故調査支援センターの指定を受けている日本医療安全調査機構である。2014年に始まった医療事故調査制度は、全医療機関を対象とした初めての制度のため、今まで日本医療機能評価機構が担ってきた仕事の繰り返しにならないように、報告対象を極めて限定し開始されたものである。ところが、センターが行っていることは、

1.報告対象の拡大推進(3)(4)→報告数は予算とリンクするので、センターへの報告をうながすことは利益相反にあたる。

2.定義に当てはまらない合併症の分析・公表(5)(6)→第1報 中心静脈穿刺合併症 第2報 肺血栓塞栓症 →いずれも予期出来た既知の合併症で、そもそも報告対象ですらない。

日本医療機能評価機構がやってきた医療事故情報収集等事業をベースに考えた時、センターに課せられた仕事は、全医療機関を対象に、今まで指摘されていなかったシステムエラーを発見し、今まで出来ていなかった現場の具体的な医療安全のための改善策を実行させることである。繰り返しはいらない。

残念ながら、医療安全調査機構には日本の医療安全全体を俯瞰して、過去の事業との連続性を考え無駄を省く視点は全くない。
それどころか8月30日のキャリアブレインのニュースによると、機構はセンター調査結果の公表を検討していると言う。

日本医療安全調査機構(高久史麿理事長)は30日、医療事故調査制度を円滑に運営するために設置している「医療事故調査・支援事業運営委員会」を開いた。この中で委員会事務局は、医療機関または遺族が院内事故調査の結果に納得がいかず、医療事故調査・支援センター(センター)に依頼した再調査の結果を、個人情報保護に留意した上で、公開することを提案した(7)。
何度も繰り返し指摘してきたが、この制度は遺族の納得(~紛争解決)のための制度ではなく、今後の医療安全を高めるため、言わば未来の患者のための制度なのである。

センター調査結果の公表は、事故情報を収集分析して、医療現場にフィードバックするという法の趣旨を明らかに逸脱している。この制度のための2017年度の予算は9.8億円に上る。不要な報告を促し、二番煎じの不要な分析に人と予算を費やし、現場の医療安全のために具体的なアクションを起こすのではなく、従来通りの報告書作りに終始し、遺族への対応に拘泥しているセンターは、むしろ医療現場に余分な仕事を増やしている。厚労省は、日本医療安全調査機構のセンターとしての指定を取り消し、日本医療機能評価機構に制度を一本化する必要がある。

2011年に医療事故調査制度が完備したスウェーデンでは、日本のような混乱は起きていない。制度が一本化されていること、センターの仕事は、報告→分析→システムエラーの発見→情報共有→医療現場の改善、というサイクルが徹底しているのである。センターにいる法令系スタッフの仕事は、法に則って行われているかチェックすることである。日本のセンターの法律家はなすべきことを間違えていないだろうか。また、スウェーデンでは、起きてしまった事故に対しては、無過失補償制度が完備していることも制度が上手く回っている大きな要因である。

日本での本質的な問題は、センターの仕事を検証するシステムがないことである。遵法精神に乏しい無駄の多い医療安全団体の存在こそ、検証されるべきである。莫大な税金が使われてる以上、それは厚労省の仕事のはずだが、如何だろうか。

<参考>
(1)「入院患者自殺は重大医療事故」、日本医療機能評価機構が提言
https://www.m3.com/news/iryoishin/553856?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD170828&mc.l=243230019&eml=dec73da708e24678ff79160c0fd3035d
https://www.psp-jq.jcqhc.or.jp/post/proposal/3192
(2)坂根 みち子 医療事故調査制度混乱の原因は日医とセンターにあり? これでは管理者が混乱する ? http://medg.jp/mt/?p=7070
(3)医療事故 届け出促進へ 関係機関が統一基準 制度低迷打開  http://mainichi.jp/articles/20161012/ddm/001/040/209000c
(4)“事故調”、係争例もセンター調査の対象に 日本医療安全調査機構、運営委員会で確認 https://www.m3.com/news/iryoishin/499221
(5)日本医療安全調査機構 医療事故の再発防止に向けた提言
第2号 急性肺血栓塞栓症に係る死亡事例の分析
第1号 中心静脈穿刺合併症に係る死亡の分析―第1報―
https://www.medsafe.or.jp/modules/advocacy/index.php?content_id=1
(6)坂根みち子 医療事故調査・支援センターは、医療の「質」の問題に手を出してはいけない http://medg.jp/mt/?p=7586
(7)事故調センター調査の公開を提案 日本医療安全調査機構の運営委員会
https://www.cbnews.jp/news/entry/20170830135742

勤務医の労働 

勤務医の労働実態のアンケート調査。回答率が31%と低く、問題意識の高い医師が多く回答している可能性もあるが、私から見ても、この調査結果は実態をほぼ反映しているように思える。

この結果をみて言いたいこと・・・

日本医療機能評価機構」が、毎年「ヒヤリハット」事例の集計分析をしているが、この勤務実態に照らし合わせた解析・提言をしたことを聞いたことがない。この機構は一体何をやっているのだろうか。「労働政策研究・研修機構」は、是非上記機構にその解析が意味のないことを直言してもらいたい。

財務省や厚生労働省は、この勤務医の勤務実態を盾にとって、開業医も「楽をしていないで」勤務医と同じように働けと言わんばかりの政策を打ち出している。在宅医療診療所等、その最たるものだろう。24時間365日開業医に働くことを強要する制度を、何のためらいもなく打ちだしてくる。開業医は、彼らなりに様々な雑用に追われ、診療以外の時間も拘束されている。それを観ずに、開業医が楽をしている、勤務医を見ろというのは誤りである。そして、開業医の労働条件を勤務医と同じにするのは愚かなことだ。

で、最終的に、このような労働条件で働く医師に自分の生命を預けられるかを、是非患者になりうる国民の方々に問いただしたい。




以下、二つのソースを引用~~~



勤務医の4割、過労死ライン ヒヤリ・ハット経験8割
2012年9月24日(月)19:16

 病院で働く医師の4割が過労死ラインとされる月80時間以上残業しているとの調査結果を、独立行政法人「労働政策研究・研修機構」がまとめた。疲労感を感じる医師の8割以上は事故につながりかねない「ヒヤリ・ハット」を経験しているという。

 調査は昨年12月、インターネットを通じて全国の勤務医1万1145人を対象に行った。有効回答は3467人。

 調査によると、主な勤務先以外での労働を含めた1週間の労働時間は、平均53.2時間。60時間以上が全体の40%を占め、80時間以上も10%いた。週60時間の勤務は、労働基準法の法定労働時間(週40時間)を上回り、時間外労働は過労死ラインとされる月80時間になる計算だ。




宿直明けも通常労働86% 病院勤務医の実態調査
12/09/24
記事:共同通信社
提供:共同通信社


 宿直明けの日も通常通り働く勤務医が86・2%に達していることが、厚生労働省所管の独立行政法人「労働政策研究・研修機構」が実施した勤務医アンケートで23日分かった。年次有給休暇(年休)の取得が年3日以内の人が47・2%に上ることも判明。過酷な労働実態が浮き彫りとなった。

 調査は昨年12月、ベッド数20床以上の病院に勤める全国の医師1万1145人を対象に実施し、有効回答率は31・0%。

 調査では、勤務医の67・4%が宿直をしていると回答。回答者全体のうち、宿直が月に5~6回(7・9%)、7~9回(2・2%)、10回以上(0・7%)と、週1回を上回るペースの人も

 宿直時の平均睡眠時間は「4時間以上」が52・7%で最多だったものの、半数弱は4時間足らず。3~4時間未満(27・7%)、2~3時間未満(10・4%)、2時間未満(5・8%)のほか「ほとんど眠れない」との回答も3・5%あった

 宿直明けの勤務は、86・2%が「通常通り勤務する」としたほか「午前中勤務し、午後から休み」が9・8%で、ほとんどの人が明けの日も働いていた。

 1年間に取得した年休数は1~3日が24・9%。1日も取得していない人も22・3%いて、計47・2%が3日以内にとどまった。

『初歩的なミスを犯さないようにしましょう』 

医療は、人の手を介して行われることが多く、残念ながら、思い込みや、うっかりによるミスは必然的に起きる。そうした事例のうち、明らかな事故に至らずに済んだケースを、「ヒヤリ・ハット」と呼ぶ。ヒヤリ・ハット事例の分析を通して、ミスをできるだけ少なくすることが大切なのだ。

だが、ヒヤリ・ハット事例を集めて「解析」している、日本医療機能評価機構にとっては、そのようなヒヤリ・ハットの防止は、どうでも良いことのようだ。ヒヤリ・ハット事例が増えた減ったということは無意味だ。そうした事例を報告するかどうかは現場の判断であり、各医療機関・各医療人の判断だ。同じようなケースの再発を防止するために、個々のケースの背後に、どのような問題が潜んでいるのかを、徹底して解析し、その背後の問題を解決することが必要なのだ。

以前にもここで記したことがあるが、同機構のこの問題の根本的な解決には極めておざなりである。人のミスがあるとしたら、「初歩的なミスが目立った」などといったごく表面的な分析ではなく、そのミスの起きる背景に迫らなければ無意味なのだ。特に、関与した医療人の労働条件がどうであったのかを、是非調べる必要があると思うのだが、同機構の報告には、その観点からの解析はない。

「初歩的なミスが目立った、気をつけましょう」というまるで幼稚園児への注意のような結論でよいのだろうか。同機構は、医療機関の「機能」を認定する事業を、高額な対価を取って行っているが、その認定項目に、医療従事者の実際の労働条件の検証がない。あるのは、スリッパーを履いては駄目だとか、塵くず入れには蓋を付けろだとか、どうでもよいことばかりだ。医療におけるミスは、人的なものが多く、その背後には深刻なシステムエラーが隠れている可能性があるという事態を、同機構は直視しようとしない。

同機構の公表したデータとコメントをそのまま報道する読売新聞にも、医療情報部という専門部署があると思うのだが、こんな無意味どころか、医療不信を煽るだけの有害な情報を垂れ流すことを猛省してもらいたい。医師の強制配置などという人権無視・現状無視の論陣を張る上に、この体たらくでは、存在しないほうがマシだ。


以下、引用~~~

医療現場の「ヒヤリ・ハット」最多22万件
09/08/26
記事:読売新聞
提供:読売新聞

 一つ間違えると医療事故につながりかねない「ヒヤリ・ハット事例」が2008年、国内の大学病院など主要236医療機関で22万3981件に上ったことが、財団法人・日本医療機能評価機構のまとめで分かった。

 前年を1万4765件上回り、統計を取り始めた05年以来、過去最多となった。

 ヒヤリ・ハットの調査目的は、多くの医療機関が事例を共有して事故を防いでいこうというもの。同機構は過去最多となったことについて、「医療の質が低下しているわけではなく、現場で安全に関する意識が高まった表れ」としている。

 最も多かったのは、薬の処方・投薬に関するもので、4万6952件(21・0%)。次いで人工呼吸器や栄養補給のチューブの接続ミスなど「ドレーン・チューブ類の使用・管理」(14・3%)、リハビリ中の不適切な介助など「療養上の世話」(8・4%)が続いた。

 原因としては、薬剤名などの「確認不十分」(24・4%)など初歩的なミスが目立った。

ヒヤリ・ハット事例の数だけを問題にするのはピントはずれ 

医療は医療従事者による作業が多いために、医療従事者のエラーが、事故に結びつきやすい。事故に結びつきうるような事象を、ヒヤリ・ハット事例として、検討し、再発防止に寄与する作業がが行なわれている。

日本医療機能評価機構という特殊法人が、全国の病院(一部の病院)から、そうした事例の報告を受け、解析している。同機構が、そのような事例が20万件以上あったと公表した。それを、毎日新聞が報じている。

このようなヒヤリ・ハット事例の報告、その報道には、ほとんど意味が無く、さらに国民を不安に陥れるのが関の山だ。

第一に、ヒヤリ・ハット事例は、数の多寡だけを問題にするのか、問題解決を遠のかせる。そうした事例の原因をこそ突き詰めて、その原因を除くのでなければ、同じ問題が繰り返される。医療は労働集約的なのであるから、医療従事者がエラーをする原因に、労働条件の問題がないのか。同機構のヒヤリ・ハット事例の解析では、この点の追及が極めて甘い。医療というシステムのエラーをこそ問題にすべきなのに、個々の医療従事者の個別問題にしてしまっていることが多い。

同機構は、医療機関を認可する事業を行なっていて、重箱の隅をつっつくような検査をするのに、医療従事者の労働条件についての検討は極めておざなりである。現実を厳しくチェックしようとしない。同機構が、ヒヤリ・ハット事例の背後にある、医療システムのエラーを突き詰めようとしないことと、認定事業における医療従事者の具体的な労働条件の検討に関して、無関心であることは、同根の問題だ。注意喚起の情報を出すだけのは全く無意味だ。

さらに、上記のような問題をはらむヒヤリ・ハット事例を、その多寡という点だけを報道するマスコミ・・・この場合は、毎日新聞であるが・・・にも大いに反省してもらいたい。ヒヤリ・ハット事例は、医療従事者がサボっているために起きている、注意が不十分なために起きている、医療従事者よしっかりせよ、というだけの報道なら、全く無意味である。一つのヒヤリ・ハット事例の背後には、多くの問題が横たわっており、個別的に検討すべきことなのだ。さらに、多くの場合、医療システムのエラーが隠れている。ケースによっては、医療行政の瑕疵までを追及しなければならない。それなのに、20万件超という報告数だけを読者に訴えかける報道姿勢は、大いに問題だ。

同様の内容の過去のエントリー。ここ。同じ毎日新聞の清水記者・・・勉強をしていないのかな・・・。


以下、引用~~~

<医療事故>「ヒヤリ・ハット」事例が20万件超 07年
8月13日18時41分配信 毎日新聞


 厚生労働省の関連団体の日本医療機能評価機構(東京都)は13日、07年の医療事故報告の収集結果をまとめ、事故の一歩手前の「ヒヤリ・ハット」事例が初めて年間20万件を超えたと発表した。うち4分の1以上が調剤など薬に関する事例で、ミスに気付かなければ患者の命にかかわる危険があったケースも1000件以上あった。

 同機構は「注意喚起の医療安全情報を出した後に同様の事故が繰り返されるケースも目立っており、医療機関は事故情報をもっと活用してほしい」と話している。

 事故情報収集は同機構が04年10月から取り組んでいる。07年に規模や地域別に抽出した全国240病院から報告があったヒヤリ・ハットは、前年より1万3607件多い20万9216件。内訳では(1)薬の処方、準備、調剤(27%)(2)医療器具(チューブ類など)の使用・管理(17%)(3)療養上の世話(9%)--の順に多く、当事者は看護師が73%を占めた。

 全体の65%はミスがあったが患者に影響はなかったケース。逆に3689件は事前にミスに気付いたが、見過ごされていれば患者の生命に影響した可能性があり、うち1059件が薬の関係だった。

 薬のヒヤリ・ハットは準備段階での薬剤名や量の間違い、投与中の点滴速度間違いなどが多く、同機構は「薬剤師、看護師、医師らの役割分担が複雑なため、ミスが起こりやすい」と分析している。

 一方、07年に実際に起きた医療事故は、報告義務のある273病院から前年より30件少ない1266件の報告があり、うち死亡は142件だった。【清水健二】


最終更新:8月13日18時54分

医療事故を減らすことに役立つのか? 

医療事故、それに結びつきうるが大事に至らなかった事例(ヒヤリハット事例と言われている)を、日本医療機能評価機構が全国の医療機関から集計して、発表した。それを、下記の通り、毎日新聞が報道している。

同機構の報告は毎年同じような形式だが、無意味な数値の羅列が続く。各医療行為の母集団の数が分からなければ、統計的な数値を出しても意味がない。例えば、午前中に医療事故が多いというのは、もともと午前中に医療行為を行うことが多いからではないのか。

また、医療は、労働集約的な事業だ。医療スタッフの労働条件について、個々に検討考察することが、医療事故を減らすためには必須だ。

同機構は、医療事故に関わった医師や看護婦の、事故前1週間の労働時間を調べている。例えば、平成19年1から3月までの、医師の平均労働時間は、49.7時間であり、昨年1から12月までの値53.2時間よりも減少しているらしい。大体、一週間に一回以上の当直という名の夜間労働を行っていることを考え、医師不足が顕在化していることを考えると、この数値は、にわかに信じがたい。

この数値には、非常勤医師の労働時間が加味されていると、同機構は「逃げている」が、非常勤医師は、他の医療機関でフルタイムの仕事をしているはず。その労働時間を加えるべきである。こうした、労働時間が大して長くないというデータを出すことは、厚生労働省の意向を受けてのことではないかと疑われても仕方あるまい。医療機関の機能を評価するためには、医療スタッフの労働条件の評価を正確に行うことが必要なのだ。でなければ、同機構が真に第三者なのかどうか、大きな疑問符が付く。

さらに、労働条件を問題にするならば、医療事故を起こす2,3日前の勤務状態も検討しなければ意味がない。事故前、2,3日前の労働条件が、事故に直結する可能性が高いからだ。

同機構の報告の後半には、具体的な事例の記述が、ジャンル別に行われている。その結論と予防対策として、「観察をしっかりする、ダブルチェックする、経験不足のスタッフが担当したので教育をしっかりする」といった医療スタッフに直接関わる事項が並ぶ。どのようなスタッフが、どのような労働条件で、起こしたのか、個別の医療システムに問題がなかったのかを検討すべきなのではないか。「観察・チェックをしっかりする、教育をしっかりする」といったありきたりのスローガンを並べても、医療事故は減らない。

同機構の報告責任者、野本元九州大学教授が述べている通り、医療事故の多寡を問題にすべきではない。しかし、同機構のこの報告が、医療事故・ヒヤリハット事例を減らすことを目的に過去9年間活動してきたとするなら、医療事故・ヒヤリハット事例が「増えている」ことに対して、同機構の責任も生じる。少なくとも、あまり意味のあるとも思えぬ報告を毎年繰り返し出すことはそろそろ再考の時期に来ているのではないか。

毎日新聞は、この報告の内容をただそのまま報告するのではなく、批判的に検討できないのか。医療のことはおろか、統計の初歩も分からぬようでは、医療報道を行う資格に欠ける。

以下、引用~~~

医療事故1296件中死亡152件 患者移動中が最多
07/07/19
記事:毎日新聞社
提供:毎日新聞社
ID:634700


医療事故:1296件中死亡152件 患者移動中が最多----06年

 日本医療機能評価機構が18日公表した06年の医療事故情報年報によると、大学病院など報告義務がある273カ所の医療機関から寄せられた医療行為に起因する事故は、1296件(前年比182件増)で、死亡事例は152件(同9件増)。発生場面では、患者移動中(102件)▽開腹手術(42件)▽内視鏡治療(26件)▽静脈注射(19件)などが多かった。

 また「ヒヤリ・ハット」の事例は、1276カ所の医療機関から19万5609件の報告があり、うち患者の生命に影響する間違いに事前に気付いたケースが3155件あった。【清水健二】

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