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日本医療機能評価機構という、医療に巣食う鵺 

日本医療機能評価機構については、これまで何度も取り上げてきた。

同機構の事業内容が無意味であるだけでなく、むしろ医療従事者の劣悪な労働条件を隠蔽し、さらに経営の厳しい医療機関に、認定評価費用と称して、多額の金を要求することを述べてきた。さらに、産科医療補償制度を、どういうわけかこの特殊法人が扱うことになり、それによっても10億円単位の収入が見込まれることも述べてきた。

2006年から2008年までの医療事故・ヒヤリハット事例の報告を、同機構が公表した。ここ

同機構が行っているのは、こうした事例を集計して、注意喚起を行うだけである。こうした事例の背後にある、システムの問題、労働環境の問題にまで切り込まない。これでは、医療事故防止には殆ど意味がない

同機構の会計収支を覗いてみた。ここ。事業収支は殆どトントンなのに、4億円の国庫補助があることが記されている。平成22年度予算でも3.4億円の国庫補助が組まれている。内部財産が、3億円以上あることも分かる。常勤理事は一人だけだが、その退職金の引当金として6千万積み続けていることも分かる。

どうしてこのような組織が「事業仕分け」されないのか、レンポウ議員に膝つめ談判をしてみたい 笑・・・恐らく、こうした「成長」を見込める特殊法人は、将来の天下り先として確保する、というのが、官僚の真意なのではないだろうか。


平成20年度収支(100万円の単位で四捨五入)

事業収入 18.4億

国庫補助  4.1億

収入計  22.8億 

支出計  18.2億 (内、一般会計への繰り入れ金 1129万を含む)

常勤役員一人の退職金引当金 6千万

官僚の責任逃れ 

官僚の天下り先の一つ、日本医療機能評価機構が、先ごろ、産科医療補償制度を始めた。その制度は、医療機関の負担する保険料の半分が、同機構と保険会社の懐に収まるトンでもない制度であることを何度か記してきた。

この制度を医療全般に拡大しようという動きがあることも何度か目にした。

臨床研究に際しての無過失事故に対して、患者に補償することを医師に義務付ける指針が、厚生労働省から出されたらしい。上記の動きと頚城を一にするものだろう。

ところが、抗がん剤等副作用の必ず起きる薬の臨床研究に対しては、保険会社がビジネスにならないとして、保険給付の対象から外すと言っているらしい。

下記のMRICで配信された東大上准教授の発言にあるように、こうした臨床研究に伴う無過失事故・副作用等の患者救済は、国が担うべきことだ。それを医療現場、医師に押し付けるのは、官僚の責任回避以外の何者でもない。

またしても、官僚が、医療を破壊している。こうした事態に対して、国民が異を唱えなければ、事態はどんどん悪化するばかりだろう。


以下、MRICより引用~~~


■□ 国内での臨床研究が事実上不可能に □■
~がん難民時代~

東京大学医科学研究所
先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携研究部門
准教授 上 昌広

■「高度医療」制度は事実上、実行不可能

骨髄移植を待っている患者さんがこの3月頃から移植を受けられなくなる可能性があることが、先般、明らかとなった。必要なキットの不足が確定的という。国内未承認のキットを輸入して使用する道もあるにはあるが、600~900万円程度の医療費が患者負担となり、事実上、骨髄移植は手の届かないものとなる。そこで全国骨髄バンク推進連絡協議会(会長:大谷貴子氏)が、厚労省に迅速な対応を求めるための署名活動を行っている。

※電子署名はこちら
http://spreadsheets.google.com/viewform?key=pqieimcJLRy0uIomKE4-eZw

いっぽうの厚労省は、「高度医療」という制度(http://www.mhlw.go.jp/topics/2008/04/dl/tp0402-1a.pdf)をこの国内未承認のキットに適用し、手続き的なことを含め医師にあたらせることを考えている
という。ところが問題は、「高度医療」制度そのものが様々な問題を内包し、事実上、実行不可能な面が多いことである。すなわち残念ながら、「高度医療」制度を適用しても患者さんが骨髄移植を受けられる解決策とはならない。

以下、「高度医療」を事実上、運用不可能にする要因のひとつ、厚労省の「臨床研究に関する倫理指針」に着目してみたい。


■厚生労働省が「臨床研究に関する倫理指針」を改定

平成20年7月31日に改定された「臨床研究に関する倫理指針」(以下「本指針」という)が本年4月1日より施行される(http://www.mhlw.go.jp/general/seido/kousei/i-kenkyu/rinsyo/dl/shishin.pdf)。

今回の改訂で注目すべきは、被験者保護の規定が新設されたことである。その理念自体は肯定されるべきではあるが、方法を誤れば、わが国の医療に壊滅的な打撃を与えかねない。実際、本改訂により、将来の国内のがん治療に大きな影響を与える条項が含まれることとなったので、以下に紹介する。


■臨床研究による健康被害に対し医師個人が無過失賠償責任を負うことに

本指針の「第2研究者等の責務等1研究者等の責務等(4)(以下「本条項」という)」では、「研究者等は、第1の3(1)1に規定する研究(体外診断を目的とした研究を除く。)を実施する場合には、あらかじめ、当該臨床研究の実施に伴い被験者に生じた健康被害の補償のために、保険その他の必要な措置を講じておかなければならない。」と規定されている。なおここで、「第1の3(1)1に規定する研究」とは「介入を伴う研究であって、医薬品又は医療機器を用いた予防、診断又は治療方法に関するもの」を指し、「その他の必要な措置」とは、「例えば、健康被害に対する医療の提供及びその他の物又はサービスの提供」のことである。

条文のままではわかりづらいが、要するにこの条項は、医師個人に、臨床研究の実施に伴い被験者に生じた健康被害に対し、

●無過失賠償責任を負うことを前提に、本指針に伴い民間保険会社により新設される予定の無過失賠償保険等に加入することを義務付けることないし、

●健康被害に対し医療の提供を行ったり、財物やサービスの提供をするなど履行の方法を例示して、無過失賠償責任を負わせることを規定している。

ちなみに、本指針「第4インフォームド・コンセント1(1)」には「・・・臨床研究に伴う補償の有無・・・十分な説明を行わなければならない。」とあるが、上記のように「研究者等の責務」として無過失賠償義務を規定している以上、補償が無い場合は想定できず、無意味な記載である。

また、同じく「第4インフォームド・コンセント1(3)」の細則に但書として「研究者等に故意・過失がない場合には、研究者等は必ずしも金銭的な補償を行う義務が生ずるものではない」と示されており、医師は原則として無過失賠償責任を負うものの、例外的に負わない場合がありうる旨が記載されているが、それが本来あるべき医師の責務の編に無く、何ゆえインフォームド・コンセントの編にあるかは不明である。さらに言えば、例外的に負わないのはどのような場合かがまったく不明である上に、そもそも本則と相反する規定を細則で定めるという、矛盾を含んだ指針となっている

そうしてみると結局、本条項の意味するところは、臨床研究によって被験者に生じた健康被害について無過失賠償責任を医師等に負わせること、また、その支払いを確実にさせるために、新設される予定の無過失賠償保険等に加入する義務を医師に負わせること、というように言い換えられる。


■厚労省医系技官が医師個人へ責任転嫁

本条項が被験者保護の理念にもとづくものであり、この理念が重要であることについて異論はまず出ないであろう。しかし問題は、これを医師個人の責任とすべきなのか、そもそも国として責任をもって取り組むべきことなのか、という出発点の議論がすっぽり抜け落ちていることである。「医師の過失責任を追及する民事訴訟とは異なる発想から患者の健康被害を救済しよう」という理念は、医療政策の一環として、まさに国が実現すべき施策であるとは考えられないだろうか。厚労省医政局研究開発振興課の医系技官が、このような政策立案に正面から取り組むことなく、はなから医師個人の責任であるとして議論を進めたのは、なぜなのだろうか。

本指針の改正に向けて厚労省の作業が開始されたのは、2007年6月である(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/08/dl/s0817-7b.pdf)。厚労省はこれまでも多くの国家賠償訴訟に悩まされ続けてきたが、2006年、2007年といえば、ちょうど薬害肝炎訴訟の結審が各地の地裁・高裁で立て続けに出されていた時期だ。

被験者保護という国民本位の発想というよりは、国家賠償訴訟を恐れ、官僚の責任回避を第一とする思惑が見え隠れしないだろうか


■損害賠償額の高騰化

仮に、医師に過失がなくても賠償責任を負うとした場合について考えてみよう。

昨今、裁判において認容される損害賠償額が高騰化し、訴訟数は増加の一途をたどっている。特に死亡事例や障害等級の高い事例では1億円を超える判決が多く見られるようになった。(実際、それにより日本でも医賠責(医師賠償責任保険)は破綻寸前、あるいは実質的に破綻しているといってよく、医師が医療を続けられなくなる医療崩壊もすでに現実的とする識者もいる。)

ここで、重度の障害が発生した場合には、いわゆる積極損害に当たる入院費用(ほとんどの場合、入院費用は数百万円以内には納まる)については、金銭に代えて現物給付として医師自らが診療をすることで代替できるが、その後の障害に対する介護費用や逸失利益については、金銭をもって支払うより外ない。また死亡事例においては、現物給付の余地はないので全額が医師負担となる。

となると、医師にそのような資力があることは稀であるから、保険への加入が必要不可欠となる。


■新設予定の「臨床研究補償保険」の穴

しかし、本指針作成のために行われた平成20年7月10日の科学技術部会「臨床研究の倫理指針に関する専門委員会」において、特別ゲストとして参加した東京海上日動火災および損害保険ジャパンの両社ともに、「リスクの高い抗がん剤、免疫抑制剤等は保険対象外」との意見を述べた。

東京海上日動火災:「抗がん剤についてはご指摘に近いような、引受けが困難な状況は考えられるのではないかと思っています」

損害保険ジャパン:「基本的なスタンスとしては、抗がん剤は持たない方向で検討したいと思っています」

第6回議事録(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/02/txt/s0213-2.txt)
第6回議事資料(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/02/s0213-6.html)

抗がん剤治療においては、軽度のものも含めれば、ほぼ100%の患者に何らかの副作用が発生する。このような高頻度の健康被害に対する保険は、ビジネスとして成立しないということは、容易に理解できよう。

したがって、この時点で本条項は医療現場に不可能を課す条項となったのである。であれば当然、削除しなければならなかったにもかかわらず、厚労省は、上記専門委員会から3週間後の7月31日に告示された「臨床研究に関する倫理指針」において、本無過失補償条項を強行に採択した。

そして予定通り、東京海上日動火災や損保ジャパン、三井住友海上など大手損保各社は、新設する「臨床研究の補償保険」において、抗がん剤を保険対象外とする見込みとなっている(日刊薬業2009/01/20)。


■がん治療に対する臨床研究は事実上不可能に ~がん難民時代~

本指針はあくまで厚労省の「指針」であって、厳密な意味での法的拘束力は有しない。しかし実際には、研究費等を“てこ”に事実上の強制力を持つこととなり、結果として厚労省医系技官の更なる権限強化に与するものである。また、医師が無過失賠償責任条項を含んだ臨床研究契約を個々の被験者と締結した場合には、当然に法的拘束力を生ずることとなる。何より、医師が行う臨床研究は、製薬会社が新薬開発を目的として行う治験とは異なり、それを行うことで収益を生ずるものではない。にもかかわらず医師に過度な金銭的負担を負わせるというのは、事実上の禁止を言い渡しているのと同じである。

厚労省が医療についての監督・責任官庁であらんとするならば、山のような書類と責任を現場へ押し付けて自己保身ばかりするのではなく、現場に活気を与え、「何かあったら責任は厚労省が引き受ける」という気概を見せなければ、現場との溝は深まるばかりである。

■まとめ

以上、本年4月1日の「臨床研究に関する倫理指針」の施行により、国内での抗がん剤の臨床研究が困難となることは明らかである。冒頭に紹介した骨髄移植についても、「高度医療」制度による患者救済は、もとより見込めないといえる。日本のがん治療は世界から大きく遅れ、日本のがん患者が適切な治療を受ける機会を奪われることとなるだろう。

産科補償制度の不幸な出発 

これまで何度か取り上げてきた、産科補償制度の運用が開始された。

この制度の問題は;

1)異常分娩による脳性まひ児には適用されない。脳性まひの診断という最もコアな部分は、数少ない小児神経科医に丸投げ。

2)この制度の適用を受けたとしても、産科医は訴訟されるリスクが減るわけではない。むしろ訴訟費用が、この補償制度によって生み出される可能性がある。

3)当局側も公表しているが、積み立てられる保険金の2割から5割が、支払われない。支払い対象が絞られているため、5割前後が、民間保険会社と日本医療機能評価機構の手元に残ることになる。その額は、毎年150億円にも上る。社会福祉的な制度において、これだけ余剰金が出ること自体、異常だ。

4)日本医療機能評価機構は、医療機関の機能評価を行なっているが、その内容はお粗末であり、さらに高額の認定料を取っている。同機構のトップには、日医の元幹部と厚生労働省の天下り役人が居座っている。こうした特殊法人は、このような事業を行なうのに相応しくない。

5)こうした脳性まひ児の養育は、本来国の社会保障が担うべきことだ。

6)この制度への加入が、本来全く別な事柄である、診療報酬の特定の加算を算定する前提条件になっている。その加算、ハイリスク分娩管理加算自体、この制度による補償と何の関係もない。診療報酬という、患者と医療機関の一種の契約関係に、この制度を広く行き渡らせようとする意図が無理矢理詰め込まれたことになる。

7)この制度によって、産科医療の崩壊が進んだ場合、誰が責任を取るのか?民間保険会社か、同機構か、それとも厚生労働省の役人か?恐らく誰も責任を取らないだろう。ウヤムヤのうちに、取りやめになるか、国の責任によって行なう事業に変更されることだろう。


以下、引用~~~

日本医療機能評価機構 産科補償制度、小児科医に「診断協力」要請へ
09/01/07
記事:Japan Medicine
提供:じほう

 通常分娩で出生した脳性麻痺児を対象に1月1日から始まった「産科医療補償制度」で、運営を担う日本医療機能評価機構は、補償対象となるかを診断する小児科医らへの協力依頼に乗り出す。制度の補償対象となる脳性麻痺児を適切に診断するため、日本小児神経学会などを通じて「診断協力医」を募り、委嘱する方針だ。同機構は「厳しい産科の現状を踏まえて創設する制度だが、円滑な運営には小児科医の協力が不可欠」とし協力を求めている。

 産科医療補償制度では、在胎週数33週以上、出生体重2000g以上の重度脳性麻痺児が補償対象となるが、基準を下回る場合であっても個別審査によって補償対象となる場合がある。

  補償対象となった子どもには、一時金と分割金を合わせて3000万円が支払われるが、「高額の補償が発生するため、実際に脳性麻痺を診断する小児科医には大きな重圧がかかる」(同機構)という。

  このため、同学会の認定医や、「肢体不自由」の認定にかかわる小児診療を専門分野とする医師をあらかじめ、「協力医」として委嘱。専用の診断項目を設けた診断書を使って補償対象となる可能性があるかを診断してもらう考えだ。

  同機構は昨年12月26日に同学会会員1000人程度に、協力を依頼する文書を発送した。

加入率98.6%、補償対象は「ほぼカバーできる」

 制度の円滑なスタートへ焦点となっていた同制度への加入率は、昨年12月24日までに98.6%(病院・診療所99.2%、助産所94.8%)に達した。

  制度運営を担う同機構では「引き続き加入を呼び掛けるが、補償対象者をほぼカバーできると思う」と話している。

  民間保険商品を活用して創設した同制度では、分娩施設を強制加入させることができない。未加入施設で生まれた脳性麻痺児は補償対象とならないため、厚生労働省や同機構は加入率100%を目指している。

  昨年12月24日現在、全3272施設のうち未加入施設は45施設(病院・診療所23施設、助産所22施設)となっている。また、加入手続きが遅れた25施設は今年1月からの補償開始には間に合わないため、同4月から開始となる。

  同機構は「制度への加入をハイリスク分娩管理加算の算定要件にしてもらったり、広告可能にしてもらったりしたことが(加入率を向上させる上で)大きかった」としている。



「周産期医療の崩壊をくい止める会」の新しい方針 

「周産期医療の崩壊をくい止める会」は、福島県立大野病院事件の被告であった医師を支えるために生まれ、彼に物心両面のサポートをしてこられた、と理解していた。今回、同医師の刑事裁判で無罪が言い渡され、同会の今後がどうなるのか、どうするのか注目していた。

今日、同会の責任者をしていらっしゃる福島県立医大産婦人科佐藤教授名で、以下のようなメールが来た。同会は、使命を終えたが、分娩に伴い命を不幸にも落とされる母親が、年に50名程度存在する(この数は、国際比較で最小とはいえないまでも、かなり小さい数なのだ)。そうした方の御遺族に、見舞金を差し上げるようにするので、引き続き寄付を依頼したいという内容であった。

この方針には、私は強い疑問を感じる。第一に、こうした不幸な死亡の多くは、現代の医学でいかんともしがたい死なのであって、それは御家族には受け入れ難い不条理であったとしても、医療に瑕疵がなければ、その事実を御家族に受け入れていただくことが必要なことなのだ。医療者として、救命し得なかったことには、忸怩たるものを感じるところはあるとしても、見舞金のような形での哀悼の意の表現は、御遺族と社会に誤解を招く可能性が高い。

さらに、まだまだ不完全な形だが、産科医療補償制度が公的に開始されようとしている。現制度には大きな問題がある。が、もし御遺族に何らかの補償が行われるべきであるならば、医療者側からではなく、公的な資金によって行なわれるべきことだ。現制度の問題点を解決した新しい制度下で何らかの補償が行なわれるべきことだろう。

同会のこの今後の方針は、福島県立大野病院事件によって、2年間法廷で戦うことを余儀なくされた医師の意向に、果たして沿うことだろうか。私は、全く逆の方向を向くことになると危惧する。

産科医療補償制度加入医療機関は7割程度 

だそうだ。助産所の加入は、5割程度。現在、この制度を運営する、日本医療機能評価機構は、やっきになって、この制度への参加を呼びかけている様子だ。

脳性まひ児の内、分娩に関わるものに対して、3000万円の補償金を支払う。そのために、分娩一回につき、日本医療機能評価機構が、3万円づつ医療機関から徴収し、損害保険会社から保険を買うということになるらしい。

推計では、年間500から800名に支払うことになるらしい(この推計は、多すぎるように思える・・・以前の、産科医療補償制度についてのエントリーを参照されたい)。

年間100万の出生があり、すべてこの保険に入るとすると、上記の支払い人数で計算しても、保険会社の利益は、50から20%程度、金額にして、150億円から60億円となる。この利益率は、普通の損害保険と比べて、高い。

上記支払い人数は、これほど多くはならないはずであり、さらに損害保険会社は、支払いをできるだけ少なくするように動くはずだ。とすると、利益率は、50%をはるかに超える可能性が高い。

こうした「ぼろい」儲け話に、日本医療機能評価機構のような天下り特殊法人がからんでくる。特殊法人にも、かなりの有形無形の旨みがあるのだろう。

出発点の理念は間違っていないが、実現すると、このように民間保険会社と天下り官僚が甘い汁を吸う構図になるケースの典型だ。

官僚の新たな利権か? 

お産では、一定の確率で脳性まひ児が生まれる。これは、医学が進歩しても、減らせないのが実情だ。そうしたケースが、医療の瑕疵があるとして、訴訟になり、産科医療を萎縮させている。そうした状況を改善するために、新たに産科医療補償制度が出来た。一分娩に対して、3万円の保険料を、医療機関が支払い、万一児が脳性まひになった場合に、3000万円の補償を行なおうという制度だ。以前の拙ブログのエントリーを参照されたい。

一つの大きな問題は、この補償制度を民間保険会社の保険に委ねるということだ。保険会社の収入に対する支出に関して、様々な試算があるが、50%以下になることがほぼ明らかのようだ。保険会社としては、営業活動もせずに、毎年定期的に100万の出生(政府・官僚の政策のために、この出生数は徐々に少なくなってきているが・・・)により、莫大な固定収入が得られることになる。

この補償制度が、厚生労働省官僚の新たな利権の源になる臭いが、ぷんぷんする・・・。

厚生労働省は、民間保険を医療に噛ませる政策を、別にひっそりと、だが医療現場に大きな影響を与える仕方で打ち出した。臨床研究の副作用に対する補償義務を医療機関に負わせ、さらにそれを民間保険を用いて補償させようという方針を出したのだ。臨床研究に際しての患者さんへの副作用に、何らかの補償が行なわれるべきだが、それを一律医療機関に負わせ、さらに民間保険を用いるとしているのは、いささか奇異に思える。ここでも、新たな利権を求めようとする官僚の意図を読むのは、読み過ぎだろうか・・・。


以下、引用~~~


副作用に補償義務 厚労省が臨床研究の倫理指針改定
08/07/24
記事:毎日新聞社
提供:毎日新聞社

臨床研究:副作用に補償義務 厚労省が倫理指針改定

 厚生労働省は23日、新たな治療法開発などを目的に医療機関が行う臨床研究の倫理指針を5年ぶりに改め、被験者(患者)に健康被害が起きた際の補償を義務化する方針を決めた。近く関係機関に改正指針を通知し、来年度、運用を始める。

 薬の副作用や医療機器の不具合による健康被害は、承認済みや承認に向けた治験であれば国の救済制度などで補償が受けられる。しかし、医師が倫理委員会の承認を経て自主的に新薬の効果を調べるような場合は対象外。臨床研究では、医療機関側に過失がない限り被害補償がないことの了解を得たうえで参加してもらうケースも多かった。

 改正指針では、研究者の責務として、補償のための必要な措置と被験者への事前説明、文書による同意を義務付けた。金銭補償については保険会社が新たに商品化する損害保険への加入を求める。【清水健二】

産科無過失補償制度を弄ぶな 

m3という医師向けのサイトで、m3編集部の方が、産科医療補償制度について、その制度を立ち上げようとしている、日本医療機能評価機構の河北理事にインタビューをしている。

医療に無過失の分娩出生の結果、脳性まひになる児が、確実に存在する。そうした児に対する支援は、医療ではなく、社会保障制度として行うべきではないだろうか。

さらに、日本医療機能評価機構という、医療に寄生して肥大化してきた官僚の天下り団体が、この事業に当たるのはきわめて不適切である。対象の審査は、産婦人科・周産期の専門家が行い、補償の給付は、官僚機構とは別な組織が行うべきだ。さらに、民事訴訟の抑制策も、必要となる。

以下、引用とコメント~~~

――2006年11月の自民党の「医療紛争処理のあり方検討会」の報告書を受けて、議論がスタートしたとお聞きしています。

 自民党の「医療紛争処理のあり方検討会」は様々な検討を行っていますが、われわれはそのうち、11月29日の報告書「産科医療における無過失補償制度の枠組みについて」を基に、検討を進めました。委員会には様々な立場のメンバーがおり、まずはフリーディスカッションから始めました。しかし、あくまで自民党の報告書で示された枠組みを前提に、われわれの報告書をまとめています。

自民党の報告書は、医師の責任追及をするものではないと謳っているが、内実は、刑事訴追・民事訴訟に際して、調査結果を渡すものであり、医師の責任追及に加担するものだ。自民党の報告書の枠組みを前提にしている段階で、この制度の危うさが分かる。

――改めて産科医療補償制度の目的をお教えください。

 目的は二つあります。分娩は病気ではありませんが、分娩をきっかけに、一定数の脳性麻痺の子供が生まれるため、医療者の過失の有無を問わず、子供およびその家族を社会的に支援するのが目的の一つです。国の福祉政策につなげるための制度であり、一定期間、子供の介護などにかかわる経済的支援をすることが第一です。 

脳性まひは、1000出生に対して、1から2の頻度で生じる。その大半(9割)は、胎内での問題で生じる、即ち、分娩と直接の因果関係がないとされている。とすると、脳性まひ児の養育支援は、医療ではなく、社会福祉が担うべきである。

 その一方で、分娩は医療行為であることも確かです。脳死麻痺の子供が生まれた場合、産婦側と、医療機関・医師・助産婦の間で、意見の食い違いが生じることがあります。こうした場合、特に明らかな過失がない場合に、両者の溝を埋めるのが、もう一つの目的です。裁判になれば、両者の時間的・精神的負担は大きいので、この産科医療補償制度で両者の負担軽減を目指しています。同時に、産科医が、いたずらに紛争に巻き込まれることなく、安心して分娩に取り組める体制作りにつながることも期待しています。

医療側に過失がないのであれば、医療が負担を強いられるのは間違っている。ここでのロジックは、患児家族サイドに偏っている。医療側に過失がないのであれば、それに対して、紛争を起こすこと自体が誤りである。

 補償の対象になるのは、年間800件前後、多くても1000件程度だと考えています。

年間出生が、100万件として、脳性まひの頻度が、1/1000出生とすると、少なくとも、1000人の脳性まひ児が生まれている。現実は、恐らくこの2倍程度。補償の対象は、後にこの理事が語っているように、「先天的な要因、一部の未熟児などを除いた、分娩を機に生じた」脳性まひなので、この数字の1/10程度になる。即ち、実際のところ年間100から200名程度ではないか。民事訴訟を起こされ、医療機関が敗訴すると、この補償は出なくなるので、補償対象はさらに少なくなる可能性が大きい。

――制度は、分娩の際の医療事故(過失の有無を問わず)により脳性麻痺となった子供および家族への補償と、事故原因の分析・再発防止策の検討という、二つの柱から成っています。

 まず申し上げておきたいのですが、この制度では医師などの責任を問うことは一切考えていません。この点は安心してほしいと思います。

 本制度では、日本医療機能評価機構が主体となり、運営組織を設置し、その下に各種委員会を設け、補償のための審査や、原因分析、再発防止策の検討などを行います。

 補償の対象は原則、出生体重2000kg以上かつ在胎週数33週以上で脳性麻痺になった場合で、重症度が身体障害者等級の1級および2級に該当する子供です。つまり、「分娩を機に」というのが前提なので、先天的な要因で脳性麻痺になった場合などは対象外になります。

 まず補償対象に該当するか否かを審査し、該当すればこの時点で補償金を支払います。ここでは、医療側に過失があるか否かは問いません。その後に、原因分析に入ります。その結果は、当事者にフィードバックするほか、再発防止策の検討を行い、産科医療の質向上に役立てます。原因分析の過程で過失が明らかになった場合には、それ以外の補償制度との調整を行います。

――「過失が明らかになった場合」に、「調整する」とはどのような意味なのでしょうか。

 脳性麻痺の原因を分析した結果は、医療機関と産婦側の双方に連絡します。何らかの過失が認められた場合、当然、双方が知るところになるわけです。提訴するか否かは当事者の判断ですが、例えば、産婦側が提訴し、分娩機関の過失が認定され、損害賠償責任があるとされた場合、既に支払った産科医療補償制度による補償金は本来、分娩機関が負担すべきものなので、求償してもらうことになります。したがって、補償のための審査、原因分析・再発防止、求償は、時期が少しずつずれることになります。

  本制度は、結果として「無過失」、つまり誰の責任でもない脳性麻痺の子供を、社会の責任として支えようという仕組みです。これまでは仮に裁判になっても、分娩機関の損害賠償責任が認定されなかった場合、子供の介護費用などはすべて親の負担になっていました。この負担を軽減するのがこの制度です。

――例えば、この補償制度で2000万円を産婦側に支払い、後に民事裁判で医療機関に8000万円の賠償責任が確定した場合はどうなりますか。

 2000万円も医療機関に負担してもらうことになります(編集部注:産婦側が受け取るのは、2000万円+8000万円ではなく、8000万円)。

――報告書には、「医学的観点から原因分析を行った場合、分娩機関に重大な過失が明らかであると思料されるケースについては、専門委員会に諮る」とあります。

 この制度は、分娩機関から保険料を徴収して運営する准公的な仕組みですから、「重大な過失が明らかである」場合は、その過失責任までは負う必要はありません。当事者が示談や裁判などのアクションを起こさない場合、われわれが「分娩機関が過失の責任を負うべきである」ことを働きかけます。

日本医療機能評価機構が、過失の有無を判断するのか。できるのか。結局、責任追及をしているではないか。

――無過失補償制度の創設で、現場の医師の間には、「補償金という形で経済的な支援を受けるため、それを基に産婦側が提訴するケースが増えるのでは」という懸念があります。

 もしあるとしても、それは一時的な現象でしょう。確かに、この制度からの支払いが経済的な支援となるため、訴訟が増えるかもしれません。だからといって、本制度が、裁判における過失の認定基準を左右するわけではありませんので、原告側が勝訴する確率は今と変わりません。ですので、われわれは心配していませんし、分娩機関も心配しないでいただきたいと考えています。

民事・刑事訴訟で、医学的には認めがたい判決が、多く出されている。訴訟の頻度が増えるのであれば、そうした医学的にみて間違った判決を下される医療機関・医師が増えることを意味する。近年の民事訴訟では、億単位の賠償判決が下されることが多い。とすると、この補償金を、民事訴訟の訴訟費用に当てて、より多くの賠償金を得ようとする動きが出ることが、当然予測される。心配するなと、気安く言ってもらっては困る。

――行政には、事例の報告などは行うのでしょうか。

 統計処理したデータは報告しますが、個別の事例を報告することはありません。

――ところで、補償のための審査や原因分析はどのような形で行うのでしょうか。

 審査は、書類審査が基本です。フォーマットを用意し、記入してもらいます。ほとんどが書類審査で終わるでしょう。必要に応じて現地に赴く場合もあるでしょうが、わずかでしょう。また原因分析のために、分娩時の診療録・分娩監視記録も併せて提出してもらうことを想定しています。原因分析に当たっては、可能な限り、当事者の意見もお聞きします。

審査する能力があるのかどうかが大きな問題。さらに根本的に、補償を行う者と、審査する者が同一であると、補償を少なくする動機付けが必ず起こる。両者は、別組織にすることが絶対必要である。

――これは強制ではなく、民間保険で運用する形になるのでしょうか。

 はい。立法措置は伴いませんので、加入を強制することはできません。前述のように準公的な仕組みですが、任意の保険です。日本医療機能評価機構が主体となり、損害保険会社などに参加してもらい運営していく形になります。当事者である医療機関が加入しない限り、制度としては成り立ちませんので、90%以上は加入していただきたいと考えています。

日本医療機能評価機構は、病院の機能評価を一件300万円何がしかで引き受け、潤沢な資金を得てきた。その機能評価たるや、形式的なもので、ただただ会議とペーパーワークを増やすものであるらしい。機能評価を、高額の更新料を支払い、更新することを求められた病院が、更新をしなくなってきている、とも聞く。そのような状況の、日本医療機能評価機構は、この補償事業を、新たなビジネスチャンスと捉えたように思える。

この補償制度で、同機構に入る収入の額・・・
一件の出生につき、5万円の保険料納付が求められるようだ。100万出生の90%が加入するとすると、90万出生。同機構の保険料収入は、450億円となる。

一方、同機構が補償金として支払う額・・・
同機構が推測している1000名が対象になるとして、200億円。ただし、、「先天的な要因、一部の未熟児などを除いた、分娩を機に生じた」脳性まひであり、民事訴訟で医療機関が敗訴したものを除く、という厳しい条件を課せば、対象数はこの1/10以下になる。即ち、20億円以下になるはずだ。

上記の通り、同機構は、この補償制度で大幅な黒字になるはず。どうしてこんな制度設計が許されるのだろうか。

もっと根本的な疑念として、無過失のケースに対する補償をするために、何故医療機関が保険金を支払わなければならないのか、という大きな疑問が残る(健康保険の出産一時金を上げて、実質医療機関の負担がないようにする、といった議論も聞こえるが、これも官僚お得意のはしご外しで、容易に外される可能性が高い)。こうした問題は、本来、社会保障が扱うべき問題ではないのだろうか。


 この3月21日に予定されている機構の理事会で正式決定します。2008年10月からは妊婦の登録をしてもらい、2009年1月くらいに、遅くても2009年度中に実際に事業を始めたいと考えています。

産科無過失補償制度 

産科無過失補償制度について、日本医療機能評価機構内の委員会が議論している。

この委員会の提案する制度には反対だ。

理由は、

○脳性麻痺は周産期の問題以外に由来することが大半であることが分かっている。それなのに、「補償」という、あたかも医療側が過失を犯したかのような表現は間違い。この発想では、根本的な問題解決にならない。社会が、脳性麻痺を持って生まれてきた子を支えるという視点が必要だ。

○日本医療機能評価機構は、以前のエントリーにも記したように、高額の評価認定料金を医療機関に要求して、殆ど意味のない機能評価なるゴミ箱の隅をつつくような認定作業をしている。驚くべきことに、評価する人間を、医療機関が飲み食いさせることを公然と要求する。そのように酷い天下り法人なのだ。医療を食い物にする、こうした存在自体を決して許すべきでない。

○この「補償」を受けたからといって、患者側がその後民事訴訟を提起することが可能のようだ。この「補償金」を用いて、民事訴訟に訴える可能性もあり、そうなれば産科医療の崩壊を加速させる可能性がある。


以下、引用~~~

日本医療機能評価機構 補償金支払いで信託案も 産科無過失制度で意見
07/10/12
記事:Japan Medicine
提供:じほう

 日本医療機能評価機構は9日、産科での無過失補償制度創設に向けた「産科医療補償制度運営組織準備委員会」を開き、脳性麻痺児に対する補償や審査、原因分析・再発防止の在り方について議論した。事務局は補償額の支払いについて、一時金のみの支給と、一時金と定期的な支払いの組み合わせなどが想定されると説明したが、それぞれ問題点があるとして、意見がまとまらなかった。ただ折衷案として、患者の看護、介護に適切に使われるよう、「一時金をどこかに信託してはどうか」との提案もあった。

 補償金の支払いについて委員会では、脳性麻痺児の看護・介護負担の継続的な軽減や、養育までを考慮すると「一時金だけでなく定期支払いを組み合わせるべき」との認識が大勢を占めた。ただ損保会社側は、組み合わせは保険商品としての設計が難しくなるほかランニングコストもかかり、補償金の支払いに充てる財源が不足する可能性があるなどと懸念を示した。野田愛子委員(野田・相原・石黒法律事務所)は、交通事故の事例を引き合いに「一時金を親と親せきで使い込んでしまったケースを見てきた」として、一時金のみの支払いを不安視。損保会社側の指摘も踏まえた上で、「一時金をどこかに信託することはできないのか」と提案した。
  審査、原因分析・再発防止の在り方については、飯田修平委員(全日本病院協会常任理事)が「それぞれ別の組織が行うべきで、同じ組織での審査、原因分析・再発防止はいけない」と強調した。ただ、原因分析については明らかに過失が認められた場合、病院などに賠償を求める「求償」と密接にかかわるとの意見もあり、結論は持ち越した。


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