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「ホルモン牛問題」 

日米FTAは、ウィンウィンの関係だと安倍首相は豪語している。が、それは事実に反する。自動車関税の引き上げを阻止するために、日本は農産物等に関して全面降伏した。トランプが交渉終了後、農業分野で大勝利したと述べたが、それが正しい。

今後安価な米国産牛肉が大量に輸入され出回る。だが、その牛肉には問題がある。成長促進剤として牛にエストロージェン等を投与されていること、さらに月齢20か月を超える牛も輸入されるためBSEのリスクが増えることである。

さらに、こうした農産品が低関税で輸入されることにより、わが国の農業に壊滅的な打撃を与える。食料自給率が40%からさらに下がる。食の安全だけでなく、食料安全保障面でも、大きな問題を背負うことになる。


女性自身より引用~~~

失うだけの「日米貿易協定」…懸念される“ホルモン牛問題”
記事投稿日:2019/10/02 06:00 最終更新日:2019/10/02 06:00

「今回の日米貿易協定は、米国が欲しいものだけを取って、日本は失うだけの結果に終わりました。トランプ大統領は日本に対し、現在2.5%の自動車の輸出関税(乗用車)を“25%まで引き上げる”と脅してきました。日本はそれを避けるために“それ以外のことはすべて受け入れます”という交渉をしてしまったのです」

こう語るのは、『食の戦争 米国の罠に落ちる日本』(文藝春秋)の著者である、東京大学大学院農学生命科学研究科の鈴木宣弘教授だ。’15年、日本と米国を含む12カ国で合意した環太平洋パートナーシップ協定(TPP)。’17年にトランプ大統領が誕生したことで、米国は一方的にTPPを離脱し、日本に2国間の貿易協定を結ぶように迫ってきた。

「すでに発表されている日米貿易協定の合意内容によると、米国産牛肉にかけられている関税を現行の38.5%から段階的に9%まで引き下げられることになります。さらに、豚肉は低価格品の従量税を現行の1キロ482円から段階的に50円まで下げ、高価格品の関税は現在の4.3%から最終的には撤廃されます」(鈴木教授)

政府は日米貿易協定の内容が「TPP水準」であることを強調しているが、TPPに盛り込まれている自動車の関税の将来的な撤廃は見送りに。さらに、中国との関係悪化で、米国内でだぶついているとうもろこし250万トンを購入させられるというオマケもついた。まさに日本は一方的に“失うだけの結果”に終わったのだ。

「貿易交渉では農林水産省は完全に排除されました。今の安倍政権を裏で動かしているのは経済産業省。自分たちの天下り先である自動車、鉄鋼などの関連産業を守り、利益を増やすためだけに、食料や農業分野を米国に差し出してしまったのです。ほかにも乳製品、小麦、大豆など、米国産農産物への市場開放が一層進むことは避けられない事態になっています」(鈴木教授)

米国産牛肉の関税が大幅に引き下げられると、これまで以上に輸入量は増え、低価格の米国産牛肉が国内市場で大量に売られることになる。そこで懸念されるのが、“ホルモン牛”問題だ。

ハーバード大学の元研究員で、ボストン在住の内科医である大西睦子さんが解説する。

「1950年代から、米国のほとんどの肉牛にエストロゲンなどのホルモン剤が投与されています。これらのホルモンが、牛肉に残留していた場合、発がん性が懸念されるのです。とくにエストロゲンの一種、エストラジオールの発がん性については、乳がん、子宮内膜がん、卵巣がんのリスクを上昇させることが、疫学的に証明されています」(大西さん)

米国ではじつに90%以上の肉牛に“肥育ホルモン剤”と呼ばれるホルモンが投与されているという。この薬剤を使うと牛は早く太り、普通に飼育した牛よりも数カ月も早く出荷できる。肥育ホルモン剤は日本国内で育てられる肉牛には使用されていないが、これを使用した牛肉はすでに米国内から輸入されており、市場に多く出回っている。

「規制緩和、自由貿易を名目に、危ない牛肉や豚肉、そして農産物がどんどん輸入されてくる。このままでは国内生産者が減り、現在も37%ほどしかない日本の食料自給率(カロリーベース)が近い将来に10%台になってしまう可能性も。そうなってからではもう手遅れなのです。自分や家族の命を守るために、国内で安全安心な農作物を作っている生産者を見つけて、買い支えていくべきでしょう」(鈴木教授)

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農民連のニュースに掲載された、鈴木教授のインタビュー記事。エストロージェンは乳がん、前立せんがん等の発症に関与している。EUでは、成長促進剤としてエストロージェンを牛に投与することは禁じられている。また、BSEも例数は少ないながら、まだ発生している。これまでBSE発症がまずないと言われていた年齢20か月以下の牛だけをわが国は輸入していたものが、月齢制限が撤廃された。すなわち、BSEの発生する可能性が出てきた。かように、食の安全の観点からは由々しき事態になっている。

こちら。

辺野古 官製談合疑惑 

関電の原発工事費還流事件、さらに5年前関電元副社長によって明らかにされた歴代首相への巨額献金は、原発工事にからみ、業者、原発立地自治体政治家、電力会社幹部、そしておそらくは国政政治家の間で、金が分配され、彼らが国・国民に大きな背任を行っていたことを示している。

同じ問題が、さまざまな公共工事、公的な事業にもあることが強く疑われる。

辺野古建設資材に関する官製談合疑惑を、しんぶん赤旗が報じている。

このままでは、日本は本当に政官業によって食い荒らされ、ますます貧しくなってゆく。

それを黙って受け入れるのか?

以下、引用~~~

辺野古 官製談合疑惑
日曜版スクープ 資材単価 入札前に示す

(写真)沖縄防衛局が岩ズリの単価を伝えた補足説明書の仕様書

 沖縄・辺野古の米軍新基地建設埋め立て工事の入札前に、発注者の沖縄防衛局が、工事費の大半を占める資材単価を入札参加希望業者に教えていました。発注機関職員が予定価格や入札に関する秘密を教示することを禁じた官製談合防止法に抵触する疑いがある、と専門家は指摘しています。(日曜版9月15日号で詳報)

 問題の工事は2018年2月8日に入札が行われた「シュワブ(H29)埋立工事(1~5工区)」。大手ゼネコンが幹事社の共同企業体などが受注しています。

 入札前の同年1月25日、沖縄防衛局は工事の主要資材である岩ズリ(規格外の砕石)の単価(1万1290円/立方メートル・運搬費込み)を記載した「補足説明書」を入札参加希望業者にファクスで送付しました。岩ズリの単価は、沖縄防衛局が予定価格を見積もるため民間会社に委託して「特別調査」したものです。

 会計検査院元局長の有川博・日本大学総合科学研究所客員教授は「官製談合防止法に抵触する疑いがある」と指摘します。「積算の過程は守秘する必要がある。しかも埋め立て工事費のなかで岩ズリ価格は大きな割合を占める。その単価を入札前に業者に伝えるのは、予定価格を教えることに匹敵する」

 工事の契約金額のうち岩ズリ価格は約4割から6割超を占めます。

 岩ズリの単価については日本共産党の小池晃書記局長が参院予算委員会(3月5日)で、新基地建設の他の工事に比べ3倍も高いことを追及しています。

ゲノム編集食品が、それと分からぬまま流通するようになる 

ゲノム編集食品が、知らぬ間にそれと分からぬまま消費者に売られることになる。

食品は、健康に直接かかわる製品だ。遺伝子操作された食品が、健康被害をもたらさない保証はない。

少なくとも、ゲノム編集食品であることを、食品に明示すべきだろう。できれば、ゲノム編集食品も、EUと同じく遺伝子組み換え食品と同様の規制をすべきだ。遺伝子操作による影響を軽視すべきではない。

沖縄タイムスより引用~~~

社説[ゲノム編集食品]表示義務なしの再考を
2019年9月24日 07:30

 口に入れる食品だけに不安が拭えない。

 消費者庁は、ゲノム編集技術を使って品種改良した農水産物の大半について、表示することを義務付けない、と発表した。

 ゲノム編集食品は特定の遺伝子を切断してつくられる。外部から遺伝子を挿入する場合は安全性審査が必要で表示を義務付ける一方で、挿入しない場合は安全性審査が不要で表示を義務付けない。開発が進む食品の大半は挿入しないタイプという。

 表示を義務付けない理由として、遺伝子の改変がゲノム編集によるものか、品種改良で起きたのか科学的に判別できないことと、表示義務に違反する商品があっても見抜けないことを挙げる。

 この説明に納得する消費者がどれだけいるだろうか。

 見抜けないことが表示しない理由にはならない。開発者や生産者を追跡すれば可能なはずだ。消費者目線に立たなければならない官庁として無責任のそしりを免れない。

 生産者や販売者らが包装やウェブ上などで表示するよう働き掛けるという。生産者や販売者の自主性に任せるもので、実効性は不透明だ。

 ゲノム編集食品は早ければ年内にも市場に出回る見通しだ。表示なしでは、消費者は遺伝子の一部が改変された食品と知らずに購入し、食べる可能性がある。消費者が商品を選択する権利を奪うことになりかねない。

 消費者庁が消費者の視点よりも、生産者や販売者らを重視しているように映ることは大きな問題だ。仮に健康に被害が出た場合には誰が責任をとるのだろうか。

    ■    ■

 厚生労働省も同じタイプのゲノム編集食品について安全性審査をせず、届け出制にすると通知した。法的に義務のない届け出である。届け出なくても罰則がない以上、これも実効性に疑問符が付く。

 厚労省が審査を求めないのは遺伝子を壊したタイプは自然の中でも起こり得る変化だからという。だがゲノム編集は新しい技術である。楽観すぎる見方というほかない。

 東京大医科学研究所の研究グループが昨年5~6月実施したインターネット調査でゲノム編集の農作物を「食べたくない」と答えた人が4割超。予期せぬ悪影響が起きないか、誰も分からないと言っても過言でない技術に不安を覚えるのは当然である。

 欧州連合(EU)の司法裁判所は昨年7月、ゲノム編集食品も遺伝子組み換え作物として規制すべきだとの判断を示している。政府は消費者の懸念に応えるのが先である。

    ■    ■

 ゲノム編集の技術を使った農水産物として肉付きのいい魚や血圧を下げる成分を増やしたトマト、芽に毒のないジャガイモなどの開発が大学などの研究機関で進む。

 ゲノム編集食品は昨年6月に政府が決定した「統合イノベーション戦略」に盛り込まれた。食品として流通させることを最優先に前のめりになっているようにみえる。

 健康に直接関わる問題である。届け出も、表示も義務化すべきである。厚労省、消費者庁に再考を求めたい。

文科省が、経産省の一部局になった 

このニュースを、前川喜平元文科省事務次官は、文科省が、経産省文科局になったと言って揶揄していた。

官僚が学問を評価すると、ロクなことはない。そうでなくても毎年大学交付金を「機械的に」削減してきたのに、そこに官僚が大学の研究を評価するシステムを導入したという記事。

研究は、あまり注目されていない部門、成果が出るまでに時間のかかる部門もある。将来、飛躍的な科学技術の発展に貢献する学問は往々にしてそうした部門から生まれる。さらに、目に見えて成果が出ないように見える人文科学の研究をどのように評価するのか。人文科学から生まれる、歴史、思想の理解が、時代を動かす原動力になるものだ。こうした学問への畏敬の念が、官僚には皆無だ。その事態を、この記事が端的に示している。

これでは、国が没落する。

以下、引用~~~

国立大4校の交付金増 文科省、論文コスト初評価
大学 社会
2019/8/9 18:23

東工大は引用回数が多い論文を低コストで生み出せた評価が最も高かった(大岡山キャンパスの本館)=東工大提供

文部科学省は9日、国立大学の教育研究や経営改革の成果を相対評価して運営費交付金を傾斜配分する新方式について、2019年度の各大学の評価結果を公表した。全86大学のうち16大学については、引用回数が多い論文をより低コストで生み出せた大学を高く評価。東京工業大が最も高い評価を受け、計4大学の交付金を上積みした。

19年度の交付金の総額は18年度と同額の1兆971億円。各大学の規模などに応じて交付するが、一定額を拠出させ、1千億円を評価に応じて再配分する。

19年度からは1千億円のうち700億円を相対評価の対象とした。「会計マネジメント改革状況」「教員1人当たりの外部資金獲得実績」「若手研究者比率」など大きく分けて5つの指標で評価。再配分率は90~110%とした。

「世界で卓越した教育研究を目指す」と位置付けられている16大学は論文生産コストでも評価。16年~18年11月までの引用回数が上位10%に入る論文の件数と、交付金や科学研究費補助金を比較。低コストで論文を生み出せた大学を評価した。

論文コストによる再配分率は東工大が110%で最も高く、東京農工大、名古屋大、京都大がそれぞれ105%。筑波大、金沢大、岡山大は最も低い90%だった。

1千億円のうち残り300億円は従来と同じ方法で、大学が自ら決めた目標に対する進捗状況で評価した。再配分率は95.1~105.0%で、100%を超えたのは86大学中25大学だった。

高等教育・研究の劣化 

我が国の科学研究の失速については、以前アップした。こちら。このポストを記した当時は、イージスアショアのコストは2000億円と見積もられていたが、それがいつの間にか6000億円に膨らんでおり、さらに増えるのではないかと言われている。効果が定かでないこのミサイル防衛システムを、北朝鮮との緊張が緩和しつつある中で、どうしても導入するのは、米国の属国として米国大統領の命ずるままに我が国の国民の資産を米国に差し出すということだ。その一方で、研究予算を削り、政官が大学に利権を要求する競争的研究資金を導入し続けている。その結果が、科学技術研究の遅れと、政官の腐敗だ。

高等教育行政が、科学研究だけでなく、全般に劣化している。経済界の要求に沿って、産業にすぐに役に立つ研究・学問が奨励され続けている。端的に言えば、ヘンテコな名称の学部・学科の誕生だ。本当のイノヴェーションを起こす基礎的な研究がなおざりにされている。研究予算削減だけでなく、こうした悪い意味での実利を追求させる教育行政が、我が国の科学技術研究・基礎的学問研究を蝕んでいる。

私の前のポストに大分ダブルが、団藤保晴氏が我が国の科学技術研究の失速・退歩についてBLOGOSに投稿している。

こちら。

科学技術力の低迷 

我が国の科学技術力が低下しているという記事。

その理由は明らかだ。大学への補助金、運営交付金が「機械的に」減らされ続けてきたことによる。とくに、文系の基礎的な学問が蔑ろにされているが、すべての学部で経済的に苦しくなっている。

国立大学運営交付金の推移は、こちら。

代わりに大学研究に、例の軍事研究のようにひも付き研究予算を多くつけるようになっている。だが、それでも特に地方大学の経営状況は悪化する一方。

その収入不足をどうやって補うか・・・産業界が非正規雇用を増やしたように、大学も任期制のポストを増やし続けている。研究者の非正規化である。すると、足を地につけた研究ができなくなる。また、人員自体が減らされており、常勤ポストも含めて、研究に割ける時間が減っている。

これで、科学研究の地盤沈下が起きているという分かりやすい構図だ。THS等の大学ランクでも、我が国の大学は軒並みランクを落としている。最高が東大の46位だったか・・・アジアでも、中国、韓国、シンガポールなどの大学に抜かれている。

現政権は、イージスアショアの導入に2000億円をポンとだすが、こうした基礎的な研究分野への予算は削りに削っている。これは、将来のわが国の国力を削ぐことになる。

以下、東京新聞から引用~~~

日本の科学技術「力が急激に弱まった」 白書を閣議決定
小宮山亮磨2018年6月13日06時29分

 政府は12日、科学技術について日本の基盤的な力が急激に弱まってきているとする、2018年版の科学技術白書を閣議決定した。引用数が多く影響力の大きい学術論文数の減少などを指摘している。

 白書によると、日本の研究者による論文数は、04年の6万8千本をピークに減り、15年は6万2千本になった。主要国で減少しているのは日本だけだという。同期間に中国は約5倍に増えて24万7千本に、米国も23%増の27万2千本になった。

 また、研究の影響力を示す論文の引用回数で見ると、上位1割に入る論文数で、日本は03~05年の5・5%(世界4位)から、13~15年は3・1%(9位)に下がった。

 海外の研究者と共同で書いた論文ほど注目を集めやすいが、日本の研究者は海外との交流が減っている。00年度に海外に派遣された研究者の数は7674人だったが、15年度は4415人に。海外から受け入れた研究者の数も、00年度以降は1万2千~1万5千人程度で横ばいを続けている。

 白書は大学に対し、会議を減らして教員らが研究に割ける時間を確保することなどを提言。政府には研究への十分な投資や、若手研究者が腰をすえて研究に取り組める「環境の整備」などを求めた。(小宮山亮磨)

軍事研究を大学から締め出す 

軍事研究、武器輸出は、倫理的に不適切であるだけでなく、ビジネスとしてもリスクが高いことを何度かアップしてきた。こちら。


最大の問題は、平和国家としてのわが国の信用を落とし、現実に世界各地で今も続く紛争を悪化させる問題だ。

だが、現政権は、安全保障技術開発推進制度を拡充し、大学・研究機関に軍備・武器関連技術の開発を促してきた。それは、武器輸出により当該企業に儲けさせるためである。

交付金を減らされ続ける大学にとっては、こうした制度で得られる資金は、研究継続のためにのどから手が出るほどに欲しいものだろう。だが、武器輸出国家への転落を食い止めるために、大学には踏ん張ってもらわねばならない。日本科学者会議が、我が国の大学で軍事研究を否定するないし制限する立場をとっている大学の一覧を公表している。こちら。だが、こうした大学は全大学の1/3程度に過ぎない。研究費が足りない若手研究者を中心に、軍事研究、軍事転用可能な民生の研究を自由化し、安全保障技術開発推進制度を利用できるようにしてもらいたいという動きもある。

現政権は、経済的な面から、科学研究を軍事に向けようと画策している。これは大きな禍根を残す。

京都大学が、軍事研究を行わない方針をサイト上で表明したという記事。社会的にこうした動きを支持し、支援することが大切だ。

以下、引用~~~

京大、軍事研究しない方針
「人類の幸福脅かす」

2018/3/28 23:16
©一般社団法人共同通信社

軍事研究を行わないとホームページで発表した京都大
 京都大は28日、軍事研究に関する基本方針をホームページで発表し、人類の幸福などを脅かすことにつながる軍事研究は行わないとした。

 方針では、京大の研究活動は平和貢献や社会の安寧、人類の幸福を目的とするものだと指摘。軍事研究はそれらを脅かすことにつながるとして、京大の研究者は、研究活動が社会に与える影響を自覚しながら、社会からの信頼に応えていくことが求められるとした。

 個別の事案に関して判断が必要な場合、学長が設置する委員会で審議するとした。



学問研究の後退 

京大の再生医科学研究所で、論文の捏造があったと話題になった。所長の山中伸弥教授をマスコミの一部は攻撃しているが、山中教授は捏造論文の直接的指導責任があるわけではなく、ちょっと的を外している。

論文を捏造した助教は、有期の任期のスタッフであり、限られた期間に業績を上げなくてはという焦りがあったのではないだろうか。勿論、捏造をした責任は重たいが、研究者の有期雇用の問題が背景にあるような気がする。再生医科研では、スタッフの9割が有期雇用であり、山中教授は仕事の半分を研究費集めに費やしているらしい。有期雇用が多いのは、もちろん人件費が潤沢とは言えないためだ。再生医科研は、それでも研究費が他の研究室と比べると多いと言われている。日本の医学研究の財政基盤が如何に貧弱であるかが分かろうというものだ。

理系の研究者はまだ恵まれているらしい。文系は、研究費のみならず、研究室・研究者のポジション自体が減らされ続けている。基礎的な学問は、特定の大学でしか研究できないように、文科省はもってゆくつもりらしい。

その一つの帰結が、この記事の内容だ。わが国から先端的な研究が、きわめて出にくい状況になっている。これは、国力の後退を意味する。

以下、引用~~~

科学論文数、日本6位に低下…米抜き中国トップ
18/01/25記事:読売新聞

 【ワシントン=三井誠】科学技術の研究論文数で中国が初めて米国を抜いて世界トップになったとする報告書を、全米科学財団(NSF)がまとめた。

 中国を始めとする新興勢力が研究開発費を大幅に増やして力をつける一方、日本はインドにも抜かれ、存在感を低下させている。

 報告書は各国の科学技術力を分析するため、科学分野への助成を担当するNSFが2年ごとにまとめている。2016年に発表された中国の論文数は約43万本で、約41万本だった米国を抜いた。日本は15年にインドに抜かれ、16年は中米印、ドイツ、英国に続く6位。昨年、文部科学省の研究機関が公表した13~15年の年平均論文数では、日本は米中独に次ぐ4位だった。

科学技術論文数の減少 

今でも時々Pub Medで医学文献の検索を行う。そこに出てくる文献のトップオーサーに中国、韓国系の研究者が多くなっている。これはこの10、20年間とくに目立ってきた。相対的にわが国の医学研究論文の質・量が低下しているのではないかと心配していた。

人口当たりの論文数は、結構善戦しているという文献もあったが、やはり総数では減少傾向にあるのか。大学の法人化が始まり、運営交付金が毎年のように機械的に減らされ続けている、大学スタッフの数が減らされていることと関係していると考えるべきだろう。

科学技術は、高等教育によって生まれる。高等教育がおろそかになるということは、国の将来に暗い影を落とす。

以下、引用~~~

日本の科学研究失速、論文6%減…過去10年間

2017年08月09日 09時14分 読売新聞
 日本の科学技術の研究論文数が、過去10年間で6%減ったことが、文部科学省科学技術・学術政策研究所の調査でわかった。

 論文数が減少したのは欧米などの主要国の中では日本だけで、日本の科学技術研究が失速している様子が改めて浮き彫りになった。

 各国の大学や研究機関の研究者が有力誌に発表した自然科学分野の論文数を、所属機関の国ごとに分類して計測した。日本は2013~15年の年平均論文数が6万4013本で、米国、中国、ドイツに次ぐ4位だったが、03~05年の年平均論文数6万7888本からは6%減少していた。

 米国、英国、フランス、ドイツ、中国、韓国の6か国の論文数は、同じ期間にいずれも増加していた。特に中国は323%増で4倍以上に、韓国は121%増で2倍以上になっていた。

「研究者版経済的徴兵制」 

安倍政権の軍産学複合体拡充の試みは止まらない。

防衛省は2015年度から、「安全保障技術研究推進制度」を設け、大学・研究機関・民間企業の研究に研究資金を提供し始めた。予算規模は2015年度3億円、2016年度6億円だったものが、2017年度は110億円と、二けた違いの予算に膨らんでいる。だが、応募数は、2015年度が109件(採択9件)であったものが、2016年度には44件(採択10件)と半減した。この制度の胡散臭さに研究者が気づいたためだろう。だが、これまでこうした軍産合同の研究に批判的だった日本学術会議は、「防衛」にからむ研究だったら良いのではないかという議論を始めている。大学への交付金が毎年機械的に減らされ続けており、軍産学複合体の研究への忌避感が研究者の間で薄らいでしまう、ないし背に腹は代えられぬとそうした研究に手を染め始める研究者が増えることが危惧される。

安倍政権は、軍産学複合体の拡大を図り、武器輸出を経済成長の一つの柱にすることを目論んでいる。それは、平和国家というわが国の国際的な評価を台無しにする。さらに、秘密保護法、安保法制、そして今国会審議中の共謀罪法案によって、安倍政権は戦争をする国を実現しつつある。それの一環として、科学研究者を、「研究者版経済的徴兵制」(「兵器と大学」 小寺隆幸 岩波ブックレット)の下に置くことを、上記制度で目論んでいる。

科学研究を、軍事に転用するデュアルユースを目指した、より広範な有識者会合「安全保障と科学技術の研究会」を、内閣府が発足させる。いよいよ国家規模で、軍産学複合体の拡充を目指すことになる。

沖縄へのきわめて冷淡な現政権の視線と、第二次世界大戦への反省に立つ、平和のみへの科学の貢献という視点を蔑ろにする現政権の思惑とは、共通の基盤から出てきている。

この軍事国家への歩みは、国民を不幸にする。

以下、引用~~~

軍学共同 防衛省以外も推進 技術開発へ「研究会」 内閣府、月内にも設置

2017年2月5日 朝刊 東京新聞

 軍事に転用できる大学や民間研究機関などの技術(軍民両用技術)開発を推進するため、内閣府が今月中にも、有識者会合「安全保障と科学技術の研究会」を発足させることが、内閣府への取材で分かった。研究会は防衛省だけでなく、他省庁も巻き込んで軍民両用技術の開発を進める方策を探る予定で、軍学共同に反対する研究者らからは批判の声が高まっている。

 政府関係者によると、研究会は、自民党国防族らの要望などを受け設置される。内閣府の政策統括官(科学技術・イノベーション担当)の下で議論し、検討結果は「総合科学技術・イノベーション会議」(議長・安倍晋三首相)に反映される。同会議は国の科学技術政策を担い、関連予算をどう配分するか決めている。

 内閣府は、軍民両用技術の推進を唱える政策研究大学院大学の角南(すなみ)篤教授や、大手防衛企業幹部、日本学術会議の大西隆会長などに参加を打診しているという。

 研究会では、テロ対策技術や防衛技術の開発に重点が置かれる。軍事転用可能な大学などの研究に助成金を出す防衛省の「安全保障技術研究推進制度」にとどまらず、ほかの省庁が主導して大学や研究機関の研究を防衛技術に転用できる仕組みなどを検討する。

 内閣府の担当者は「テロや防災など幅広い分野から議論し、防衛省だけでなく各省庁が安全保障に資する科学技術をいかに発展できるか考えたい」とする。議論を公開するかは未定。軍事研究を巡っては、国内の研究者を代表する機関「日本学術会議」が一九五〇、六七年の二度にわたり「軍事目的の研究をしない」とする声明を掲げているが、昨年から声明の見直しを含めた議論が続いている。

◆「おぞましい策謀」学術会議フォーラムで批判

 軍民両用技術開発を推進するための研究会が内閣府に設置されることになった。大学や民間研究機関などの研究の軍事転用を巡っては、日本学術会議を中心にその在り方の議論が進められている。その結論も待たずに、国が軍学共同へと突き進む姿勢に、研究者の批判は高まっている。

 日本学術会議の安全保障と学術に関する公開フォーラムが四日、東京都港区で開かれ、防衛省が大学や民間に助成する制度への批判が相次いだ。

 東大大学院の須藤靖教授は「安全保障に過度に依存する基礎研究など信じ難い。制度に応募しないと合意すべきだ」と防衛省の制度を批判。臨床研究情報センターの福島雅典センター長は「政府の軍民両用はおぞましい策謀だ。科学者は人類の未来に重い責任があることを忘れてはならない」と主張した。

 研究者の間に防衛省の制度を危険視する見方が広がる中、政府与党は逆の動きを強める。自民党のある防衛族議員は「中国は桁違いの金で核開発を進めている。のんきなことは言ってられない。大学や民間の軍事技術への取り込みは必須だ」と研究会の発足を促した理由を説明する。

 フォーラムに参加した新潟大の赤井純治名誉教授は、「人類の福祉や平和に貢献できるような科学の在り方を無視した動きだ。国策の名の下に研究者が軍事研究に加担させられた歴史を繰り返そうとしている。あるべき学問とは何かという視点が完全に抜け落ちている。亡国の施策だ」と批判する。 

(望月衣塑子)

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