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黒川東京高検検事長任期延長問題 

安倍晋三による、黒川東京高検検事長の任期延長は、これまでの法体系であってはならないことの無理強いである。

下記の記事、少し長いのだが、要点は、現在の稲田検事総長が引退するまで待って、黒川氏を次の検事総長につけるとすると、黒川氏を二度任期延長させなければならない。その際には、人事院が詳細な理由の説明を法務省に求めるはずで、黒川氏の関わる訴訟事案等の情報が人事院に伝えられる可能性がある。二度目の任期延長のハードルは、一度目よりも高くなる。従って、彼の任期延長はあり得ない、ということのようだ。

二度目の任期延長を考慮するまでもなく、この任期延長は、出だしから破綻している。首相の座にある人間が恣意的に、というか自分と、周囲の人間を訴追させぬために、自分に都合よく動く検察官を検事総長に着けるといったことは決してあってはならない。

これは、一種のクーデターであり、政権・体制をひっくり返すものだ。

安倍晋三という人間は、法規範や、体制の安定性といったものには関心がない。自らの利権と権勢欲を満足させるために、法規範を簡単に踏みにじる。改憲はその最たるもので、そこに緊急事態条項を書き加えるのが、彼の究極の目標であることが、この一件で改めて明らかになった。こうした態度・性行は、政治の在り方についての無知・無能力に由来する。

安倍晋三の能力のなさは、これまで国会の質疑を避け続け、ようやく行うとポイントをずらし、相手を攻撃し始めるという態度、さらに真剣勝負の記者会見から逃げていること等から明らかだ。現在進行中のCOVID19流行に対する対処も、対策検討会議には殆ど出ず、毎夜のように宴会を続けているだけで、何も行ってこなかった。昨日、思い付きのように学校閉鎖を「要請」した。だが、それによって引き起こされる混乱を検討した様子はない。ここでも、彼の無能力・無責任振りが露呈した。

こうした無能力は、無知と無恥から来ている。それはいわば彼の生まれ持った人格・能力に属することなのだろう。それを変えろと言っても無理な話だ。彼には首相の座は相応しくない。すぐに辞めるべきだ。

検事総長を自分の思い通りに動かしたいという、安倍晋三の暗愚の思いの裏には一体どのような犯罪・悪行が隠れているのだろうか。

以下、引用~~~

霞が関OBもカンカン…検事長の定年延長 語られぬ「条文第2項」の衝撃
毎日新聞2020年2月27日 13時00分
吉井理記

霞が関OBはカンカンである。安倍晋三政権が黒川弘務・東京高検検事長を「定年延長」した問題について、である。実は根拠となる法の条文そのものに、重大な問題が潜んでいた。安倍政権の解釈を認めると、検察官の独立などどこへやら、検察官人事を検察庁でも法務省でもなく、人事院が左右する異常事態が生じる可能性があるというのだ。語られざる論点を追った。【吉井理記/統合デジタル取材センター】

政権の意に沿う検事総長実現のため?

 おさらいしておこう。

 一般の国家公務員は国家公務員法で定年が決まっているが、裁判官に準じる「準司法官」であり、独立性の高い検察官は、検察庁法で検事総長は65歳、それ以外の検察官は63歳と独自に定められている。

 さて、2月に63歳で定年退職するはずだった黒川氏だが、安倍政権は1月末、黒川氏の勤務を8月まで延長することを閣議決定した。検察官の勤務延長は過去に例がない。異例人事の背景には、現在の稲田伸夫検事総長(63)が勇退するとみられている8月まで時間を稼ぎ、「政権に近い」との見方がある黒川氏を「後任にするため」(2月4日、衆院予算委で立憲民主党の本多平直氏)との疑念が浮上しているのだ。

 時の政権の意に沿う人物が、東京地検特捜部を含む全検察官を指揮する検事総長になればどうなるか、今さら問うまでもないだろう。

もし現検事総長が続投すれば重大な問題が

 で、冒頭の指摘に戻る。

 勤務延長は、国家公務員法81条の3に規定がある。今回、黒川氏に適用されたのはその第1項。ざっくり言うと「職員が定年退職すると、その職務が特殊であるなど、公務に大きな支障が生じる場合、1年以内で勤務を延長できる」ということだ。

 本来、「勤務延長は検察官には適用できない」というのが政府の解釈だったが、安倍首相が「検察庁法の特例以外に国家公務員法が適用され、検察官の勤務延長に国家公務員法の規定が適用されると解釈することとした」(2月13日、衆院本会議)と、お得意の「解釈変更」を持ち出し、突破を図ったのは読者もご存じの通りだろう。

 ところが、である。現検事総長の稲田氏の65歳の定年は今年ではなく来年8月である。思うところあって今年8月に勇退せず、検事総長を続投したとしよう。その場合にはさらなる矛盾があらわになるというのだ。国家公務員法に精通する次官級OBが指摘する。

 「安倍さんは『解釈変更』で国家公務員法81条の3の規定を検察官に適用するという。となると、今度は法解釈ではどうにもならない、重大な問題が生じることに気づいているのでしょうか」

「制度として検察官の独立が崩れる」

 どういうことか。勤務延長規定を記した81条の3には、1項と2項がある。

 「現在、黒川さんの件で議論されているのは『1年以内で勤務延長できる』とある1項です。これとセットの2項を見てください」
 2項は「勤務延長を『再延長』する場合、人事院の承認を得て1年以内なら延長できる」ということだ。

 仮に稲田氏が続投したとして、政権が是が非でも黒川氏を後任に据えたい、と考えたらどうするか。この規定で、今年8月までしか勤務延長していない黒川氏の勤務を「再延長」するしかない。なぜなら、検事総長は懲戒処分のほかは、国会議員や裁判官らで作る「検察官適格審査会」の議決がない限り、罷免することができないからだ。

 ところがここに、検察の立場を揺るがす言葉が潜んでいた。

 「『人事院の承認を得て』というのは実は大変なことです。一般省庁の公務員ならいい。しかし検察官も身分は一般職の行政職員ですが、準司法官として事実上、独立した存在です。だからこそ、検察官は国家公務員法とは別に、検察庁法で手厚く守られているんです」

 一般省庁なら大臣にすべての指揮・監督権があるが、事件について検察官を指揮できるのは検事総長だけだ、とOBが続ける。

 「それほどの検察官の人事に、政府の一省庁たる人事院が介入することになる。法解釈うんぬんではなく、『制度』として検察官の独立が崩れるんです」

捜査の秘密を人事院に明かさなければならなくなる?

 しかもこの「承認」について、政府はこんな見解を示していた。

 「これはまさに特例なので(中略)人事院の審査を必要としている。当初、その者を勤務延長した事情の説明、その事情が継続しているかどうかの証拠資料、そういうものを取り寄せて審査する」(1981年5月7日、衆院内閣委で当時の人事院任用局長の答弁)

 これを検察官に当てはめるとどうなるか。再延長するということは、その検察官による捜査や捜査指揮が高度かつ特殊なものである可能性が高い。その場合、職務内容は秘密そのものだ。

 しかし「安倍解釈」で国家公務員法を適用する以上、再延長時には「部外者」である人事院に、勤務延長した理由とその職務内容、さらに再延長の理由などを具体的に説明する必要が出てくるのだ。捜査の秘密は守られるのか?

 人事院生涯設計課によると、再延長には、任命権者は勤務延長の理由や職務内容、再延長する理由などを記した申請書と人事記録を人事院に提出し、承認を得ることが人事院規則で定められている。担当者は「勤務延長は特例で、再延長はさらにその特例ですから、理由や職務内容の説明が一般論ではダメです。審査では、こちらがさらに問い合わせたり、資料提供などを求めたりすることもあり得ます」と説明するのだ。

「これから人事院と協議」と法務省

 つまり「管内において遂行している重大かつ複雑困難事件の捜査・公判に対応するため、黒川検事長の豊富な経験知識に基づく部下職員に対する指揮監督が不可欠」(2月3日、衆院予算委で森雅子法相)といった一般論を唱えても認められない、ということだ。

 では、高度の捜査の秘密を抱える検察官はどう審査するのか? 「うーん。これまで申し上げたのは一般論で……それは個別のケースですので、どうしていくのか、お答えは控えます」(人事院生涯設計課担当者)

 ならばと法務省人事課に聞くと、驚くべき返答であった。「ご存じのように勤務延長を適用したのは初めてで、今回は1項のケース。まだ1項の段階なので、(2項の扱いなどについて、人事院との協議は)これから」

 勤務延長制度を適用する以上、当然、そこまで詰めていたのか、と思っていた……。法務官僚もとんだとばっちり、政権の解釈変更に振り回されている印象もないではないが。

「最初から破綻している」

 法学者の高見勝利・上智大名誉教授は開いた口がふさがらない。「最初から破綻しているんです。法律のたてつけからして、国家公務員法を検察官に適用すること自体がむちゃなんです。検察官人事を人事院が判断するなんて、こんなばかな話はない」

 検察OBは何を思うか。黒川氏と同期(83年任官)で、東京地検特捜部で副部長を務め、衆院議員の経験もある若狭勝弁護士は激怒していた。

 「あり得ないですよ。官邸が検察人事に露骨に介入してきた。政治から独立して政治と対峙(たいじ)し、不正に切り込む力を失わせる。ゆゆしき事態です」と怒りが収まらない。

 「検察官は準司法官として、給与も国家公務員法とは別に、裁判官に準じた法律で決められる。それほど独立性が意識されているからこそ、一般法である国家公務員法に対し、特例法たる検察庁法がある。検察庁法で書かなかったことに一般法の規定を持ち込むなら、わざわざ特例法を作る意味はなくなります」

「彼は検事総長になる前に辞職すると思う」

 黒川氏への思いは複雑だ。「任官前から彼とは知り合いなんです。同期だったし、若いころ、福島地検でも一緒だった。彼の性格は知っている。『検事総長になりたい』という出世欲がある男ではありません。ただ……」と、苦しげに言葉を継いだ。

 「ひょうひょうとして官僚らしくなく、政治家から『使いやすい』と思われているフシがある。彼はそんな人物じゃないんだが。『彼が事件捜査を潰した』と言う人もいるが、そんな人は検察を知らない。一人で何かを決める組織ではないんです。でも『政権に近い』『官邸を忖度(そんたく)する』といううわさがあるのは事実で、公正さが疑われることは避けられない。現場の検事や特捜部の士気にどう影響するか……。彼は検事総長になる前に辞職すると思う。私の『期待含み』ですがね」

 再び前出の次官級OB。「私は公務員の勤務延長制度はもっと柔軟に運用していいと思うが、今回は明らかにおかしい。条文上からも検察の独立を崩すのは明らかだし、制度上も齟齬(そご)がある。何も考えずにやったか、分かっていて黙っているのか。政府はどう答えるのでしょう」

佐川氏立件見送りの意味するもの 

森友学園への土地売却に関する決裁文書は、改ざん前のものがまだ公開されていない。改ざん点だけが公開されているだけである。従って、この問題の全容はまだ国民が知るところとなっていない。

それなのに、検察は、早々と佐川氏の立件を見送ることにしたと報じらている。これでは、事前に、彼の国会証言とバーターで免責をしていた、と疑われても仕方ない。

公文書たる決裁文書は、行政がどのように仕事をしたのかを後に残す文書である。それを改ざんしても罪に問われぬとなると、今後、決裁文書の改ざんをし放題になる。決裁文書によって、国民は政府の仕事を判断する。さらに、決裁文書の積み重ねが、国の歴史を形成する。決裁文書を改ざんすることは、民主主義を破壊し、さらに歴史をも改ざんすることになる。

これほどの重大な犯罪を、少数の時の権力者のために許しておいて良いのだろうか。

追加;
若狭勝氏のtweetを引用しておく・・・

大阪地検特捜部が、森友学園問題に関し、虚偽公文書作成罪と背任罪を不起訴方向で検討している旨の一部報道があった。司法試験の答案採点をしていた刑事の専門家であり、特捜部副部長にも就いていた私の立場で言えば、もともと虚偽公文書作成罪の起訴は難しいところ。しかし、公文書変造罪は十分に成立し得るし、背任罪についても起訴できるはずである。さらに、偽計業務妨害罪は十分に起訴できる。仮にこれらのこともできないことになったら、我が国の刑事司法は終わりだ。政治の力に負けるような特捜部も、もう要らない。

以下、引用~~~

<公文書改ざん>佐川氏、立件見送りへ 虚偽作成罪問えず
4/13(金) 3:00配信 毎日新聞

 大阪地検特捜部は、前国税庁長官の佐川宣寿氏(60)ら同省職員らの立件を見送る方針を固めた模様だ。捜査関係者が明らかにした。決裁文書から売却の経緯などが削除されたが、文書の趣旨は変わっておらず、特捜部は、告発状が出されている虚偽公文書作成などの容疑で刑事責任を問うことは困難との見方を強めている。今後、佐川氏から事情を聴いたうえで、上級庁と最終協議する。

 国有地が不当に約8億円値引きされたとし、佐川氏以外の同省職員らが告発された背任容疑についても、特捜部は違法性があったとまではいえないと判断しているとみられ、立件は難しい状況だという。

 決裁文書は昨年2~4月、学園側との交渉記録に加え、安倍晋三首相の妻昭恵氏や複数の政治家の名前が決裁後に削除されるなどした。当時、同省理財局長だった佐川氏が「学園と価格交渉していない」などと国会で答弁した内容に合わせるため、改ざんされたとみられる。

 虚偽公文書作成罪は、権限を持つ者が文書の趣旨を大幅に変えることが成立要件となるが、改ざんが明らかになった14の決裁文書では、契約の方法や金額など根幹部分の変更はなく、特捜部は交渉経緯などが削除されるなどしても、文書の本質は変わらないと判断したとみられる。

 一方、国有地売却では、小学校建設中に多量のごみが見つかったため、国が8億円値引きして売却した経緯が問われた。小学校の名誉校長だった昭恵氏らに同省職員らが配慮したり、自らの保身や学園の利益を図る目的で値引きしたりして、国に損害を与えたとする背任容疑の告発が相次いでいる。

 しかし特捜部は、ごみの処理による開校の遅れを理由に、学園が国に損害賠償を求める意向を伝えた▽売買契約後にごみ問題でトラブルにならないよう、国に賠償請求できない特約が盛り込まれた--などの点を重視。値引きの背景には、ごみの処理の問題や賠償請求を避ける意味合いが一定程度あったとみている。

【宮嶋梓帆、高嶋将之】

 ◇疑惑根幹、未解明のまま

 公文書改ざんや国有地の異例な値引きを巡って告発が相次いだ森友学園問題は、「なぜ8億円も値引きされたのか」という疑惑の根幹は未解明のままで、一連の問題が決着したわけではない。

 国有地で小学校開設を計画していた学園は2015年、国と借地契約を結んだ。だが、翌年に地中からごみが出たとして近畿財務局と協議し、土地評価額からごみ撤去費約8億円を引いた1億3400万円で購入。支払いも10年間の分割が認められた。昨年2月に問題が発覚して以降、撤去費の積算が過大だった疑いが次々に明らかになり、会計検査院も「積算の根拠が十分でない」と指摘。「異例ずくめ」の取引が実現した詳細な理由は不明のままだ。

 決裁文書の改ざんについても、関わった職員や指示系統は分かっていない。文書からは学園との交渉経緯の他、安倍晋三首相や妻昭恵氏の名前も消されており、職員らが忖度(そんたく)した疑惑は消えないままだ。

 財務省は改ざんに関与した職員らを処分する方針で、内部調査を進めている。真相の解明に向け、国は詳細な調査結果を公表する必要がある。【宮嶋梓帆】

警察国家への道 

官邸の意向を受けて警察刑事部長がレイプ疑惑をもみ消した疑惑は、一頃マスメディアも盛んに取り上げたが、その後追及がとんと聞かれなくなってしまった。こちらのポストで扱った事件。

かって菅官房長官の秘書官だった、その刑事部長は、秘書官在職当時、安倍首相に批判的な古賀茂明氏のテレビ朝日報道番組からの降板に関わった。降板をテレビ朝日に働きかけたことは事実だ。

政治権力と、警察がつながり、政治権力に不都合な事件・人物をもみ消したのが本当だとすると、警察の存在意義自体に疑念が生じかねない。文字通りの「警察国家」である。こうした疑惑は、共謀罪法が国民一般を監視し強権的に取り締まるものであることを予表する。

山口某の準強姦容疑疑惑問題について、元検察官の若狭勝衆議院議員が、警察刑事部長の関与を批判している。こちら。

レイプという女性に対する精神的殺人に等しい事件に、現政権に近い人物が関与したことを警察権力を用いて握りつぶした、現政権の深刻な疑惑。同じ警察官僚による、政権に批判的な人物のマスメディアからの引きずり下し。これらが本当だとすると、我が国は、法治国家であることを止め、人治による警察国家になり下がったことを意味する。これほど深刻な事件を追及しない政治、そしてマスメディアは、責任を放棄している。この安倍政権を支持している方々も、警察国家による人権蹂躙の被害者にご自身、家族が何時なるかもしれないと考えておくべきだろう。自分は大丈夫だと思い込んでいると、「マルチンニーメラー牧師の悔い」を痛切な形で追体験することになる。

被害者として名乗りを上げた女性は、山口某の不起訴を不服として検察審査会に申し立てをしている。その結果を注目して行きたい。

以下、引用~~~

安倍政権と警察の闇--元TBS政治部記者のレイプ疑惑をもみ消した?「中村格刑事部長」とは何者なのか

2017年06月17日 06時00分 週プレNEWS

「新聞やテレビに、この疑惑を本気で追及しようとする姿勢が見られないことが何より問題」と訴える古賀茂明氏
被害女性が会見を開いて話題となった、元TBS政治部記者、山口敬之(のりゆき)氏のレイプ疑惑。

『週刊プレイボーイ』でコラム「古賀政経塾!!」を連載中の経済産業省元幹部官僚・古賀茂明氏が、山口氏の逮捕をもみ消したとされる人物の闇に迫る!

* * *

このほど上梓(じょうし) した『日本中枢の狂謀』(講談社)の刊行に際し、6月5日、日本外国特派員協会で記者会見を行なった。

武器輸出三原則の撤廃、安保法制や秘密保護法のゴリ押し、メディアコントロール―ここ数年の安倍「一強」政治を見るにつけ、日本は後戻りできない危機的状況に陥っているのではないかと危惧してきた。本書ではその権力中枢による“狂ったはかりごと”と、危機からの脱出の方法を書いたつもりだ。

この会見では、やはり加計(かけ)学園に関する質問が多かったが、私が驚いたのは、会見後も多くの記者から取材の電話がかかってきたことだ。その内容は、「中村格(いたる)とは何者なのか?」。そして、「中村格氏の圧力メールはどんな内容か」というものだ。

2015年3月いっぱいで、私はテレビ朝日の『報道ステーション』のコメンテーターを降板した。その2ヵ月前の1月23日のオンエアで、安倍首相が外遊中、「イスラム国と戦う周辺国に2億ドルを出す」と表明したことを批判し、「I am not ABE」と発言したのが原因だった。

このとき、私の発言に激怒した官邸からテレビ朝日の幹部に直接、抗議のメールをしてきたのが当時、菅義偉(よしひで)官房長官の秘書官だった中村格氏だった。後にテレビ朝日関係者からそのメール内容を知らされたが、相当に激烈な言葉で私への非難がつづられていたという。

この抗議がテレビ朝日を萎縮させた。オンエア直後、報道局長や政治部長など、局幹部が集まり対応策を協議。その後、私の降板が決まった。

外国人記者らは、この中村格という名前に強く反応した。

つい最近、「安倍首相と昵懇(じっこん)」とされる元TBS政治部記者、山口敬之(のりゆき)氏のレイプ疑惑が話題となった。被害に遭った女性が「逮捕状が出ながら、警視庁刑事部長の指示で、山口氏の逮捕がもみ消された」と告発したのだ。

この刑事部長こそ、中村格秘書官その人だった。警察庁から出向していた中村秘書官は、私が『報道ステーション』を降板する4日前の15年3月23日付で、警視庁刑事部長へと異動になっていたのだ。

15年6月、山口氏の逮捕状を請求したのは警視庁高輪(たかなわ)署だった。逮捕状は犯罪の証拠などを検察がチェックし、了解をした後、所轄からの請求を受け、裁判所が交付する。それを執行直前に所轄の“雲の上”の存在である警視庁本部の刑事部長が止めたのだ。警察幹部OBに聞いてもよっぽどの事情がなければありえないという回答が返ってきた。

私の『報道ステーション』からの降板と、この事件はつながっている―つまり政権の意を受けた中村氏が、メディアへの圧力や逮捕状の取り消しに暗躍しているのではないか、という疑惑である。

真相はまだわからない。ただ、私が何よりも問題だと思うのは、新聞やテレビに、この疑惑を本気で追及しようとする姿勢が見られないことだ。事実を証明するのが難しいからか、あるいは官邸の意向を忖度(そんたく)したのか、手を引いてしまっている。

言うまでもなく、メディアの役目は権力の監視である。安倍官邸の強権を背景にした警察の腐敗疑惑から目を背けるようなことがあってはならない。徹底した調査報道を望む。

●古賀茂明(こが・しげあき)

1955年生まれ、長崎県出身。経済産業省の元官僚。霞が関の改革派のリーダーだったが、民主党政権と対立して11年に退官。新著は『日本中枢の狂謀』(講談社)。ウェブサイト『Synapse』にて動画「古賀茂明の時事・政策リテラシー向上ゼミ」を配信中

警視庁刑事部長が、逮捕をもみ消した 

元検察官の若狭氏ならではの憤りだ。

若狭氏の批判する、この中村格元刑事部長は、現在、共謀罪を取り扱うことになる警視庁組織犯罪対策部長の職にある。古賀茂明氏の報道ステーション降板を画策した人物でもある。現政権と近い関係にいる警察官僚だ。

これは政権に近い人物のスキャンダル隠蔽だが、同じ発想で、政権に批判的な者、不都合な者のスキャンダル情報のリークも権力側によって行われる。この手法は、独裁国家にしばしばみられる。ロシアのプーチン政権は、この手法で政敵を潰してきた。

そして、権力による同じ監視が国民全員に及ぶことになる。共謀罪の対象は、一般国民なのだ。ネット等でしばしば見られるネトウヨの主張「何も身にやましいことがなければ心配することはない」というのは、ナチスの宣伝相が、共謀罪を導入した際に述べた言葉だ。共謀罪の組織犯罪集団等の定義が曖昧であり、この犯罪類型は、一般国民に適用される。法治ではなく、人治の横行する社会になる。

若狭氏の憤りが、他の与党議員から全く聞かれないのは異常なことだ。

若狭勝衆議院議員・弁護士の発言を引用~~~

元TBS 記者山口敬之氏に係る準強姦罪の被疑事件につき、所轄警察署が告訴状を受理した上、カメラ映像の分析などの捜査をした結果、その疑いが相当程度にあるとして、裁判官に逮捕状を請求した。
所轄警察署の現場警察官も、昨今のえん罪事件に留意し、記者という身分にかんがみて逮捕時の影響も考慮しながら、慎重な判断のもとで、逮捕状の請求に至ったと思われる。
その上で、裁判官も逮捕の理由と必要性を認定し、逮捕状を発付した。
しかし、山口氏が空港に到着次第逮捕するべく、所轄の警察官が態勢を整えていたところ、こともあろうに、なんと、警視庁本部中村格刑事部長(当時)からの突然の指示で逮捕状の執行が見送られた。
私は、逮捕状とその執行実務に精通している。その私の目からすると、通常ではあり得ない事態。この種の犯罪で、所轄警察署が入手した逮捕状につき、警視庁本部刑事部長がその逮捕状の執行をストップすることは通常絶対にあり得ない。
裁判官の判断は何だったのか。そもそも、裁判官は、逮捕する理由も相当ではなく、逮捕の必要もない、ひいては、逮捕するに適さない案件に逮捕状を発付したということなのか。
私は、珍しく怒りを抑えきれない。
中村刑事部長(当時)に問い質したい。
裁判官の逮捕を許可した判断と、何がどう変わったのか。逮捕状の発付後に、裁判官の判断を覆す特殊な事情が生じたとでもいうのか。
逮捕状の執行を阻止した説明を納得のいく形でしない限り、私は中村刑事部長(当時)を許せない。
これまで多くの人が、何にも代え難い法治主義を守るため、我が国の刑事司法の適正に向けて努力してきたのに、警察内部からその適正を崩壊させることは絶対に容認できない。
ちなみに、昨日、国会において、性犯罪については、被害女性の心情に配慮して捜査などを行なうべきと議決した。この精神にも甚だもとる。
現在、アメリカ大統領が、FBI長官に対する捜査妨害をした疑いで窮地に追い込まれている。捜査ないし刑事司法への不当な圧力は、どの国でも法治主義を危うくするものとして由々しき問題となる。

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