共謀罪捜査にビッグデータが利用される 

確かに、個人番号にビッグデータを紐つけされ、それが共謀罪容疑で捜査に用いられたらと思うと空恐ろしくなる。ビッグデータは、例のXKEYSCOREというネット監視システムによって蓄積される。個人情報、プライバシーを思うように覗くことができる、警察当局に捜査権限に伴う権力が集中する。村木厚子女史に対する検察の証拠でっち上げを思い出すべきだ。警察・検察が誤らないということは決してない。こうした捜査手段・権限を得て、でっち上げがむしろ横行する可能性がある。権力があるところには、必ず腐敗が起きる。

それに繰り返し記している通り、共謀罪は、政治家・財界人それに警察・検察を含む公務員の、選挙・業務にかかわる犯罪が除外されている。組織犯罪が生じ易い彼らの業務が共謀罪の対象から外されていることは、共謀罪の対象犯罪が恣意的に選ばれていることを意味する。

このような警察による共謀罪の捜査を許して良いものだろうか。

videonews.comより引用~~~

マル激トーク・オン・ディマンド 第837回(2017年4月22日)
誰が何のために共謀罪を作ろうとしているのか
ゲスト:清水勉氏(弁護士)
司会:神保哲生、宮台真司
【ダイジェスト版】https://youtu.be/OqLZI1MTPYY
【掲載ページ】http://www.videonews.com

 この法律を通せなければ、東京五輪・パラリンピックを開けなくなるかもしれない。安倍首相がそうまで言い切った以上、政府は何があっても今国会で共謀罪を成立させるつもりなのだろう。

 実際、共謀罪の審議が4月19日に始まり、政府は5月中旬の成立を目指すとしている。

 しかし、ここまで欺瞞に満ちた法案も珍しい。政府はこの法案をテロ準備罪などと呼ぶことで、あり得ないほどデタラメな法律を何とか正当化することに躍起のようだが、この法律にはそもそもテロを取り締まる条文など一つとして含まれていない。

 にもかかわらずメディアの中には、この法案を政府の要望に沿う形で「テロ準備罪」(読売、産経)だの「テロ等準備罪」(NHK)と呼んで憚らないところがあることも驚きだが、この法律は断じてテロ対策法などではない。いや、そもそもこの法律が必要であると政府が主張する根拠となっている国際組織犯罪防止条約(別名パレルモ条約)は、それ自体がマフィアのマネーロンダリングなどを取り締まるためのもので、テロを念頭に置いた条約ではない。

 では、この法律は何のための法律なのか。今回は珍しくマスメディアの中にも政府の意向に逆らってこの法案を「共謀罪」と呼び続けるところが出てきているが、当たり前のことだ。これは日本の法体系に共謀罪という新たな概念を導入することで、日本の刑事司法制度に根本的な変革をもたらす危険性を秘めた法律だからだ。

 犯罪には突発的に起きるものもあるが、その多くは計画的に行われる。計画的な犯罪の場合、実際に犯行が実施される前段階で、犯罪を計画したり準備する必要がある。近代司法の要諦である罪刑法定主義の下では、基本的には実際の犯罪行為が行わるまで個人を処罰できないが、殺人罪などの重大な犯罪については、計画や準備しただけで処罰が可能なものが例外的にいくつか定められている。ただし、それは殺人のほか、航空機強取等予備罪、私戦予備罪、通貨偽造準備罪など、国家を転覆させるような極めて重大犯罪に限られている。

 共謀とは、準備、計画の更に前段階で、犯罪を犯す意思を確認する行為を指す。これまでは国家を転覆させるような重大犯罪の場合でも、訴追するためには最低でも犯行の準備や計画が行われている必要があったが、共謀罪が導入されれば、それさえも必要としなくなる。しかも、今回は懲役4年以上の犯罪が全て対象となるため、詐欺や著作権法違反、森林法違反、廃棄物処理法違反などの一般的な犯罪を含む277の犯罪がその対象となる。例えば、著作権も対象となっているため、音楽ソフトを違法にコピーしたり、著作権をクリアできていない曲を演奏するライブイベントを構想したり相談するだけで、共謀罪違反で逮捕、訴追が可能になる。

 政府は対象が組織的犯罪集団であることや、具体的な犯行の準備に入っていなければ、訴追対象にはならないと説明している。しかし、法律には何が「組織的犯罪集団」や「準備行為」に当たるのかが明示されていないため、警察にその裁量が委ねられることになり、まったく歯止めはなっていない。

 共謀罪は過去に3度国会に上程されながら、ことごとく廃案になってきた。犯罪行為がないまま個人を罰することを可能にする法律は、個人の思想信条や内面に法が介入につながるものとして、市民社会の強い抵抗に遭ってきたからだ。

 今回の法案もその危険性はまったく除去されていない。しかし、情報問題や警察の捜査活動に詳しい清水勉弁護士は、今回の共謀罪には過去の共謀罪にはなかった新たな危険性が含まれていると指摘する。それは情報技術の急激な進歩に起因するものだ。
 
 今や誰もがスマホなどの情報端末を利用するようになり、巷には監視カメラなど個人の行動をモニターする機器が溢れている。映像から個人を識別する顔面認識カメラも、導入が間近だと言われている。

 共謀罪が導入され、犯行の事実がなくても逮捕、訴追が可能になれば、警察の裁量で誰もが捜査対象になり得る。集積されたビッグデータを使えば、捜査対象となった個人の行動を過去に遡って詳細に収集、把握することも可能だ。それはまるで全ての国民が24時間公安警察に見張られているような状態と言っても過言ではない。

 本人がどんなに気をつけていても、例えばある個人が所属するSNSグループ内で飲酒運転などちょっとした犯罪行為が議論されていれば、共謀と認定することが可能になる。そのSNSグループに参加しているその人も、「組織的犯罪集団」の一部と強弁することが可能になり、捜査の対象となり得る。早い話が警察のさじ加減次第で誰でも捜査対象となり得るのだ。そして、一度捜査対象となれば、情報は過去に遡って無限に収集されることになる。

 これでは政府に不都合な人間の弱みを握ることなど朝飯前だ。気にくわない他人を陥れることも容易になるだろう。
 
 21世紀最大の利権は「情報」だと言われて久しい。多くの情報を収集する権限こそが、権力の源泉となる。共謀罪が警察の情報収集権限を無尽蔵に拡大するものであることだけは間違いない。

 とは言え、東京オリンピックを控えた今、日本もテロ対策は万全を期する必要がある。まったくテロ対策を含まない共謀罪なるデタラメな法案の審議にエネルギーを費やす暇があるのなら、過去に日本で起きたテロ事件を念頭に置いた、日本独自のテロ対策を練るべきだと清水氏は言う。日本での大量殺人事件は秋葉原無差別殺傷事件や相模原「津久井やまゆり園」殺傷事件などを見ても、いずれも単独犯で、共謀罪ではまったく取り締まることができないものばかりだ。しかも、日本の治安は今、過去に例がないほどいい状態が保たれている。ことほど左様に、今回の共謀罪はまったく意味不明なのだ。

 テロ対策には全く役に立たない共謀罪を、誰が何のために作ろうとしているのか。政治はその刃が自分たちに向けられていることを認識できているのか。清水氏とともに、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)

■ゲストプロフィール
清水 勉(しみず つとむ)
弁護士
1953年埼玉県生まれ。78年東北大学法学部卒業。88年弁護士登録。専門は情報問題。「明るい警察を実現する全国ネットワーク」代表を兼務。2014年より政府情報保全諮問会議メンバー。共著に『秘密保護法 何が問題か――検証と批判』、『「マイナンバー法」を問う』など。

実質的負担率の低さは、北欧諸国並み 

bloomberg.comの記事、米国の租税負担が低いことを示しており、さらに低い租税負担を求めるならば、チリや、ニュージーランドに移住すべきだ、と皮肉っている。こちら。

この記事に出てくる租税負担率の国際比較は、子供のいない独身者についての比較だ。わが国は、24位と先進国中ではかなり低いほうだ。

実質的な負担率の国際比較はどうだろうか。以前、当ブログでも紹介した、井出英策氏の「日本財政 転換の指針」に、実質的な負担率の国際比較が出てくる。実質的負担率とは、負担率(租税・社会保険料・フローの財政赤字の対GDP比)から、受益率(教育費・医療費・社会的保護の対GDP比率)を相殺したものだ。これの方が、より総括的な国民の負担率を表現している。それによると、日本の実質的負担率は、北欧諸国のそれと同程度なのだ。わが国は、少ない負担率から少ない受益率が相殺し合い、一方、北欧諸国は、負担率・受益率がともに大きく、実質的負担率という結果だけは同程度になっている、ということだ。

わが国は、1981年の行われた法人税増税以降、2012年の消費税増税まで、基幹税の純増税は行われてこなかった。それが、低負担、低受益をもたらした。それによって、租税負担感が強まり、政治行政への不信が渦巻く社会になった。政治行政への不信・不満は、増税を行い難くさせてきた。その結果が、現状の財政と、社会福祉予算の削減になっている、という論旨を、井出教授は展開している。

現在の財政状況、それに社会福祉の貧しさから脱却し、互いが支え合う社会を実現するためには、増税は避けては通れない道なのだろう。

井出教授は、民進党の理論的リーダーの一人になった様子。彼の今後の活躍に期待するところ大である。

『佐川理財局長の答弁を完全に崩壊させる新資料が発覚!』 

HARBOR BUSINESS ON LINE上で、菅野完氏が財務省佐川財務局長の虚偽発言を証明する証拠書類をアップいしている。
「佐川理財局長の答弁を完全に崩壊させる新資料が発覚!」と題する、こちらの記事。(情報速報ドットコム経由で得た情報。)

財務省官僚がこうまでして隠蔽しようとする背後には、彼らと安倍首相にとってよほど都合の悪いことがあるに違いない。でなければ、一民間組織に過ぎない森友学園に、財務省がこれほど入れ込むはずがないし、また国会でそれが問題にされて、財務省官僚がこれほど隠そうとすることはあり得ない。

菅野氏は、まだ段ボール箱4箱分の資料を持っている由。森友事件の真相、政治が国の財産を私物化している事実、愛国主義を唱えつつ右翼の一部がどれほど酷いことをしているかということを明らかにしていってもらいたいものだ。

森友学園問題は、まだ終わらない。

オプジーボの顛末 

オプジーボの薬価を引き下げるという、厚労省等の動きが欺瞞であるということを示した論考である。

現行薬価は、英国の5倍、米国の2倍以上である。英国では、さらにdiscountするように製薬会社に迫っているらしい。

中医協で薬価を決める過程は、公開されていない。製薬会社の申し立てる原価の積み上げで決まるらしい。その原価に問題があるか、公正な検討がされているとは思えない。製薬会社にとって有利になるように決められている可能性が極めて高い。そこには官業の利権がある。以前から指摘している通り、製薬企業には多くの官僚が天下りしている。

この論考の筆者は、今回の引き下げでも、官僚と製薬企業、さらには学会までもが利権を確保することだけを考えていると結論付けている。この薬を使用するのに、専門医の資格を必要とする、ということにするのだ。以前から記している通り、厚労省は、専門医制度をてこに医師・医療界の支配をさらに強めようとしている。専門医制度は、学会の利権でもある。会員が増えれば、それだけ学会の収入が増えるからだ。オプジーボ薬価をできるだけ高く維持できれば、小野薬品にとっても大きなメリットだ。

オプジーボよりも効果の高いと思われる薬が市場に出るのを見越しての、若干の値下げは、患者のことや、保険医療制度のことを考えてのことではない。

昨日だったか、安倍首相がオプジーボの大幅な値下げを指示したという。どれほど下がるか分からないが、首相が一言命じただけで、薬価が下がるというシステム自体がおかしい。中医協なぞ要らないということではないか。

というわけで、人気取りの首相、利権を確保しようという学官業、こんなことでは医療が潰れる。

以下、引用~~~

より効くキイトルーダ対策か やっと薬価引き下げ、の茶番 オプジーボの光と影(5)

この文章は、『ロハス・メディカル』2016年9月20日発行号に掲載されたものです

ロハス・メディカル編集発行人
川口恭

2016年10月11日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp
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理不尽なまでに高いオプジーボ(ニボルマブ)の薬価は、どうやら2018年4月の定期薬価改定を待たず2017年中にも引き下げられるようです。しかし同時に、公益を考えているとは思えない言動が業界で相次ぎ、とんだ茶番と言わざるを得ません。

これまでなら治療法のなかった末期がん患者さんたちに希望の火を灯しているオプジーボは、腎細胞がんへの適応拡大も承認されることになりました。対象者やご家族にとって実に嬉しい知らせだろうと思います。そのように希望の火が広がっていくのは素晴らしいことです。

一方で、その薬価がとてつもなく高く、健康保険財政と蔭に控える国家財政を圧迫、社会問題化しています。問題の薬価が、厚生労働省と薬価について審議する中央社会保険医療協議会(中医協)の怠慢そして薬価算定制度の不備によって生じているものであり、現行ルール通りの用量変更による再算定を行った場合の2・25倍、ルール変更に踏み込み対象患者数拡大まで反映して算定し直すとした場合の10倍以上になってしまっていることは、この連載の初回に指摘しました。

現行の薬価改定は、診療報酬改定と同時に2年に1度行われることになっていて、つまりオプジーボの薬価はこのまま何もしないと2018年4月まで引き下げられないことになります。さすがに中医協でも4月13日の総会で、発言力の大きな中川俊男委員(日本医師会副会長)が「薬価収載された医薬品の効能・効果が大幅に拡大された場合に、(中略)薬価がそのままというのは誰が考えてもおかしい。(中略)対象が拡大された時点、効能・効果が拡大された時点で薬価を見直すという仕組みにはできないのでしょうか」と問題提起、厚労省の担当者も「今後そういったルールをしっかり議論していく必要がございます」と答えるやりとりが行われ、対応を探るようになりました。

厚労省は3カ月半後、7月27日の中医協総会で、オプジーボに関して「特例的な対応」の検討を提案、翌8月に開かれた同薬価専門部会では10月に「緊急的な対応」の案を示すと明らかにしました。これにより、オプジーボの薬価が2017年中に引き下げられることは、ほぼ間違いないと見られます。加えて厚労省は、オプジーボを含む「新規作用機序医薬品」の「最適使用推進ガイドライン」なるものを策定し、使える患者や医療機関、医師の要件を定める方針も明らかにしています。

◆うごめく欲張り村
厚労省はさらに、今回判明した不備を修正すべく、「効能追加などで大幅に市場規模が拡大した場合」「薬価収載当初から市場規模が極めて大きい場合」に対応できる抜本的な制度改革の検討も提案しました。

この一連の動きを見れば、ようやく制度の不備が修正され、一般社会から見て受け容れやすい形に近づくのだな、と普通の人は思うところでしょう。

しかし残念ながら、そうならない可能性が高そうです。

7月の中医協総会で、元々は制度見直しを強く主張していたはずの中川委員は、煮え切らない態度に終始しました。

これについて、業界誌『医薬経済』の2016年8月15日号は、
――この真意について、中川氏は中医協後、本誌などに「17年度に期中改定を行わずに、その分は『貯金』しておいて、18年度にまとめて薬価を引き下げることも検討に値するのではないか、という意味だ」と語っている。オプジーボを含む薬価引き下げ財源を、あくまで診療報酬本体に充当することを前提にすべきとのスタンスを示したことになる。
と書いています。

多くの方は、何を書いてあるのか分からないと思います。分からなくて当然です。一般人からすると信じられない業界の常識が前提になっているからです。

その前提とは、これまで定例の薬価改定(引き下げ)でお金が浮くと、そのお金は原則として診療報酬改定(引き上げ)の原資になっていた、ということです。よって中川委員の発言の意図は、診療報酬改定がない年にお金を浮かしても業界内では使えないので、制度を抜本的に改革したら業界が損をする、ということになります。いったん医療の財布に入った以上、それは業界で使って当然だ、という意識です。

記者相手に解説してみせるくらいですから、それほど変なことをしているという意識はないのでしょう。ただ、普通の感覚では、元を辿れば保険料や公費なのだから社会に返すのが当然、と思うはずです。もしオプジーボ騒動に良かった点があるとするなら、業界のこの狂った常識が白日の下に晒されたことなのかもしれません。


◆ちゃっかり利権拡大
というわけで、社会が強く要求しない限り制度の抜本改革は骨抜きになり、オプジーボの特例改定と「新規作用機序医薬品」に関するガイドラインの整備だけが進みそうです。

この点について、少しでも前に進むのだから良しとすべきじゃないか、と思っている方がいるなら、とんでもない勘違いだと申し上げておきます。厚労省は、自分たちの不手際を反省するどころか、ドサクサ紛れに利権拡大を図っているとしか考えられません。

先に、ガイドラインの方の問題点を指摘してしまいます。

使うべき患者の基準を定めるのは当たり前の話ですが、それが科学的根拠や医学的妥当性に基づくものでない場合は医療不信のタネになるということを、本連載の2回目で指摘しました。そして科学的根拠や医学的妥当性は、既に薬事承認審査の段階で検討され、それに基づいて適用が定められているわけです。その適用を保険償還の段階でさらに絞り込もうとするなら、科学的根拠や医学的妥当性ではない物差しを持ち込む必要があり、これまで薬事審査と保険がほぼ直結運用されてきた歴史を踏まえると、そんなに簡単な話ではありません。よって、今回の検討の主眼は、新規作用機序薬剤(要するに高額な薬剤)を処方できる医療機関や医師の要件を定めることにあると言えます。

この要件とは一体どういうものになるでしょうか。要件が定められると一体どういうことが起きるでしょうか。

オプジーボの場合、メーカーである小野薬品工業が専門家と協議して定めた自主基準で、処方できる施設の要件として第一に、(1)日本呼吸器学会の専門医が当該診療科に在籍 (2)日本臨床腫瘍学会のがん薬物療法専門医が当該診療科に在籍 (3)がん診療連携拠点病院、特定機能病院、外来化学療法室を設置している施設のいずれか のどれかを満たすよう求めています。(3)の施設で(1)(2)が1人もいないということは考えにくいので、実態としては専門医の有無が線引きの境目になっていると分かります。

新たに定められるガイドラインも、客観性を担保しようとするなら、似たようなことにならざるを得ないでしょう。

これについて、医師の上昌広・医療ガバナンス研究所理事長は、web雑誌『Business Journal』で「大きな批判がなければ、高額薬の処方は学会の認定する専門医に限定されそうだ。(中略)厚労省、学会のいずれにも都合がいいからだ。厚労省にとっては、医療統制に使える手段が増える。学会にとっては、新たな利権の創出だ。(中略)学会は何もしなくても会員が増え、会費収入が入ってくる」と指摘します。

それが患者や社会の利益につながるのなら、利権になってしまって構わないとも言えるのですが、どう考えても不利益の方が大きそうです。

例えば、ガイドラインの基準を満たした患者が、要件を満たさない医療機関・医師を受診した時のことを考えてみてください。その医師・医療機関が、要件を満たす医師・医療機関へ直ちに紹介しないと、患者は治療の選択肢を不当に狭められることになります。患者数の少ない難病ならともかく、今回のガイドラインが必要になるのは比較的患者数の多い疾患で、その患者を直ちに他施設へ紹介する、など非現実的であることはお分かりいただけると思います。

引き下げて当然の薬価を引き下げずに、処方を絞る方で薬剤費総額を抑え込もうなどと不遜で姑息なことを考えるから、こんな机上の空論しか出てこないのです。


◆ライバルの登場
ここからは、今回検討されているオプジーボ薬価「特例引き下げ」に、ほとんど意味がないことを説明します。

本連載の2回目に、免疫のブレーキを外す作用の抗PD-1抗体であるオプジーボは、化学療法で免疫が傷めつけられる前の一次治療から使う方が効果を見込めるのでないかとの考え方もあること、一次治療に使う治験も行われているので、その結果次第では使われ方が変わるかもしれないことを紹介しました。

その注目の臨床試験結果は8月に発表され、非小細胞肺がんの薬物一次治療に使った場合の効果が既存の化学療法を上回れなかった(コラム参照)ため、業界に衝撃が走りました。

衝撃が走ったのは、抗PD-1抗体は薬物2次治療として使うという決着になった、からではありません。市場の勢力図が大きく塗り替わるかもしれないから、です。

本連載の3回目に紹介したように、抗PD-1抗体として、ペンブロリズマブ(商品名・キイトルーダ)というものもあり、既に悪性黒色腫と非小細胞肺がんで承認申請済みで、年内にも承認されると見られています。

そのキイトルーダでは6月に、非小細胞肺がんの一次治療で化学療法を上回る結果を出した(コラム参照)との発表があり、オプジーボでも同様の結果が出るに違いないと予測されていたのに、そうではなかったわけです。2剤で明暗が分かれ、それが業界で驚きをもって受け止められたのです。

キイトルーダの方がPD-1への親和性が高い(結合が強い)ことは、以前から知られていました。2剤の試験対象患者が完全に同じではないので決めつけるのは早計ですが、キイトルーダの方がよく効くのかもしれません。キイトルーダの米国での価格は、1人あたり年間15万ドル(約1500万円)です。今後、一次治療に用いる用法の承認申請も行われると見られます。


◆その薬価は?
キイトルーダが我が国でも承認され保険収載されると、当然ながら薬価が決められることになります。

現行の決まり方では、世界で最初に承認されたために原価積み上げのみで決められたオプジーボと違って、同じ作用機序の薬であるオプジーボの薬価を基準に、オプジーボより優れている点があるなら加算を行い、さらに米英独仏の平均薬価を参照して調整されるという流れになります。

分かる範囲で仮に数字を当てはめて計算してみる(計算方法の詳細は『ロハス・メディカル』2016年9月20日号をご参照ください)と、1人年間約2400万円と米国での価格に比べても充分に高く、それでいてオプジーボより3割安いというメーカーからすると絶妙の金額になります。

より効くかもしれない薬が、3割安く提供されるわけですから、使える患者に関しては雪崩を打ってオプジーボからキイトルーダへと置き換えられる可能性が高いです。医師や医療機関は望まなくても、さすがに保険者が圧力をかけることでしょう。そうなれば待望の「日の丸医薬品」であるオプジーボは、一気に売上を落とすことになります。

でも、そこで「特例引き下げ」と称して、キイトルーダより少し安いくらいの薬価への調整が行われたとしたら、どうでしょう。雪崩を打つような置き換えは起きず、メーカーである小野薬品工業の利益も守られることになります。つまり今回の「特例」はメーカーに厳しい顔をして見せていますけれど、実態としては大甘なのです。

そもそもオプジーボのメーカーであるBMSと小野薬品工業は、キイトルーダのメーカーである米メルクを特許侵害で一昨年9月に訴えており、その訴えが認められれば特許のライセンス料が発生しますので、どちらの薬が売れても小野薬品工業の利益になります。キイトルーダを米国の1・6倍の値段で買わされる日本社会だけが、いい面の皮です。

ちなみに、オプジーボの薬価が用量変更による再算定ルールを厳密に適用した2・25分の1だったとしたら年間約1550万円で、米国でのキイトルーダ価格とほぼ同じということも付言しておきます。

このように考えてみると、オプジーボ騒動を本当に深刻に受け止め、公益のために対応するというなら、「特例」検討などという時間のかかることをする前に、まずは現行再算定ルールを厳密に適用して2・25分の1まで薬価を引き下げるはずです。それによって、後から承認されてくるキイトルーダの方の薬価も、米国並みで収まります。しかし、そのような動きは全くなく、小野薬品工業にとってありがたいタイミングまで引っ張ってから引き下げるという話ですから、要するに今回の厚労省の提案は騒動を煙幕に利権の拡大を図る茶番でしかないのです。

一般国民や保険者は、もっと怒るべきだと思います。

それぞれの試験結果

・オプジーボ
 メーカーであるブリストル・マイヤーズスクイブ(BMS)の発表などによると、これまでに薬物治療を受けたことがなく腫瘍の5%以上にPD-L1が発現している非小細胞肺がんの541人を無作為に2群に分け、片方にはオプジーボを単剤使用、片方にはプラチナ製剤をベースとする化学療法を行った結果、オプジーボは、主要評価項目である無増悪生存期間(※)での優位性を示せませんでした。
・キイトルーダ
 メーカーである米メルクの発表などによると、これまでに薬物治療を受けたことがなく腫瘍の50%以上にPD-L1が発現している非小細胞肺がんの305人を無作為に2群に分け、片方にはキイトルーダを単剤使用、片方にはプラチナ製剤をベースとする化学療法を行った結果、無増悪生存期間および全生存期間の両方とも化学療法より優位であることが分かり、その差が明らかであるため倫理的配慮から試験は途中で中止されました。
※治療開始時点から、死亡または病状増悪が確認されるまでの時間

「国のために血を流せ!} 

自衛隊では、昨今、海外派遣に関するアンケートが実施されているそうだ。選択肢は三つ。

海外派遣を積極的に受け入れる、上司からの命令であれば受け入れる、拒否する。

拒否すると答えた場合は、上司から強力な説得を受ける、おそらく恫喝されるのではあるまいか。で、結局は、海外派遣を受け入れることになる、という話だ。

安保法制という名の戦争法制の最初の適用として、南スーダンで駆けつけ警護という呼び名の内戦への参画が自衛隊に命令される。戦死者が出るのは、必定である。その際に、上記のアンケートによって、本人の自由意志で南スーダンに赴いたと、自衛隊・防衛相は主張するのだろう。

現防衛大臣は、このような思想の持主である。国旗が美しぃ、国のためには血を流せと絶叫する姿は、いささかカルトじみている。彼女の考えは、国家が優先されるべきであり、我々は国家のために命を投げ出せ、という戦前の思想である。

自民党の改憲草案も、国家が個人に優先するという思想で貫かれている。我々は、戦後70年間、そうした思想と対極の憲法のもと平和に過ごしてきた。これだけ長い間、戦争に直接かかわらないで済んだ時代は、わが国の近現代史にない。だが、彼らは時代を逆行させようとしている。自衛隊員に対して行われる踏み絵のようなアンケート、結論は答える前に出ているアンケートが、国民一人一人に突き付けられることが現実になる。

記者クラブのお粗末さ 

昨夜、NHKの夜のニュース番組を見ていた。途中でニュースを中断し、安倍首相のキューバ ハバナでの記者会見を長時間かけて実況中継していた。記者会見とは言うが、安倍首相の演説を拝聴し、その後二三の記者が質問をするという形式で行われた。よく聞いていると、質問は予め決められた質問者が既定の質問をしている。道理で安倍首相は、立て板に水で返答ができるわけだ。記者クラブのおぜん立てによる、予定調和の記者会見である。これでは、安倍首相の言いたいことだけを伝える、宣伝のための会見になってしまうではないか。記者会見は、記者が丁々発止で問題点への回答を、政治家に迫る場であるはずだ。

我々は、この調子で、政権の流したい情報だけを見聞きさせられているわけだ。マスコミは、その存在理由を失っている

で、豊洲新市場問題も、都庁詰めの記者クラブの面々は一体これまで何をしてきたのだろうか。マスコミは今になって盛んにあら捜しに忙しいが、莫大な予算をつぎ込んで建てられた新市場の設計の段階から、情報に接することができたのは、記者クラブの記者たちだったのではないか。土壌が汚染されていた場所に、食物の市場を建てることには大きな問題が起こることは、素人でも分かる。そこをなぜこれまで、行政や政治家に突っ込まなかったのだろうか。様々な行政案件の背後にある問題まで明らかにするのが、マスコミの使命なのではないか。それをしないのであれば、都庁・都議会付属の宣伝機関でしかない。

政権と行政の宣伝担当としてのマスコミは要らない。

ja1kihさんへの返信 

何かの不都合で、返信ができなくなってしまいました。アフガニスタンMSF病院への米軍の誤爆の記事コメントへの返信です・・・

フェースブックで米国の知り合いが、この誤爆を材料に政府が銃規制の論陣を強めるのではないかということを冗談めかして言っておりました。あちらの、少なくとも一部の保守的な考えの国民は、その程度にしか、この事件を捉えていないのでしょう。空爆は、無垢の人々を傷つけ、殺すということに思い至らないのでしょうか。イスラム教徒は敵だという短絡的な思考がどうやって形成されるのか、それをただすためにはどうしたらよいのか、なかなか難しい問題だと思います。

KB6VSE再び、そしてJS6TMW 

昨日お昼前、14メガが西海岸に良く開けていた。ノイズも少なく、安定して信号が入感していた。W4の局と交信するSteve KB6VSEを発見した。交信終了後、コール。すぐに応答があり、しばらくぶりとあいさつを交わした。HEXビームを上げたのが嬉しいらしく、ちょっとまてと言ってビームをこちらに向けた。ピークでS9まで振るようになった。もともとBenbowからの彼の信号は強かったのだが、ビームにしたことで一段と安定して入感するようになった。

お嬢様に二人目のお子さんがこの数日中に生まれるので、そのご家族と、母上の住むベイエリアに2、3日中に向かうらしい。トレーラーハウスを引っ張って行き、実家の前に停車して、そこで過ごす様子。一族に新しいメンバーが加わるのはおめでたいことと申し上げた。Eurekaの家にも定期的に訪れているらしい。

私が家内と義理の両親を訪ねたことを話した。年老いた親が、徐々にいろいろなことができなくなってゆくのを見るのは辛いことだが、だが彼らに会うと、こうやって生きてゆくのだと、彼らの存在自体によって諭されているように感じる、と申し上げた。彼も母上を見ていて、同じように感じる由。

彼は、北カリフォルニアに二つの家を持ち、さらにベイエリアの母上が住む実家を、母上がそこで住むことがなくなったらどうするのか尋ねた。彼には、同じくハムの兄上がいるので、彼と相続することになるのだろうと思っていた。返事は、簡単だった。売却する、そしてそのお金は寄付をする、というのだ。実家のあるPalo Altoのあたりは、あまりに人が多く、車の行き来が増えてしまった。戻るつもりはない、という理由だ。それは理解できるのだが、売却で得た金を寄付する、という言葉に少し驚いた。そう決めた理由までは伺わなかったが、社会的な活動を大切にし、貧しい人々、資金を必要とする団体に積極的に寄付をする米国人の良い伝統が、彼のこの決断にも表れているのではないか、と思った。高名な社会学者・・・ウェーバーと同時代に生きた・・・が、20世紀初頭の米国の社会制度を研究して、そうした社会の在り様を論文に記していたと思うのだが、米国の健全な側面にはまだまだ学ばねばならないことが多い。それを再び感じたことだった。

Steveは、夕方のビールを呑むといって引っ込んだ。すると、弱い信号で私を呼ぶ局がある。JS6TMWという局だ。しばらく私とSteveとの交信を聴いていたが、声をかけたくなって呼んだ、とのこと。上手な英語を使う方だなと思ったら、同じSyeveというハンドルで、AI6KXという母国のコールを持つ米国人だった。4WにGPとのこと。ビームを沖縄に向けるとラグチューが可能なまでに信号た強くなった。72歳で、QRPおよびFT101ZDという年季の入ったリグで運用している由。奥様が日本人で、産婦人科の医師をなさっている由。彼は私と同じくHOUSE HUSBANDだと言って笑っていた。

のんびりとした時間が過ぎてゆく、平日の14メガ。これからしばらく楽しめることだろう。・・・でも、ラグチューを楽しんでいる方は、内外ともに本当に少なくなったものだ・・・。

国債をリスク資産と評価することを検討 

株価の上昇が続いている。買いを入れている主体は、外国勢らしい。短期の投機的資金なのだろう。今年度の予算は、96兆円と過去最高の規模になるようだ。

一方、バーゼル銀行監視委員会が、国債をリスク資産と位置付けることを検討していると報じられている。リスク資産となれば、銀行は巨額の引当金を積み上げなければならなくなる。日銀は272兆円、民間銀行は178兆円もの国債を買い込んでいる。国債にはリスクがあるということになれば、金融機関の負担さらに信用の問題が出現する。

異次元の金融緩和策が、何をもたらすのか、この先、遠くない将来に明らかになる。

社会保障費削減とともに、またはその前に行うべきこと 

社会保障費削減が、財政再建の核心だそうだ。現在の財政状況では、ある程度の削減も致し方ないのだろう。

だが、その前に

〇国会議員の定数削減、給与削減、さらに政党助成金を含めた様々な特権的な手当の見直しを行うべきだ。最近、安倍首相が事務所経費として、3年間で300万円を計上していたことが報じられている。その内容が、すさまじい。アイスや、菓子類等々・・・。小渕優子現象は、政治家全体に蔓延しているようだ。まず政治家が、身を切らなければだめだろう。

〇給与の減額は地方公務員だけで良いのか。国家公務員も当然給与削減すべきだろう。昨年は、この財政状況で、給与の引き上げを行っている。

〇高級官僚の天下りを止めさせる。彼らが天下りした先で、国家予算がじゃぶじゃぶ浪費されている。

これらのことを行うべきだ。

私の本音を言えば、いくらこうした節約しても、国家財政の破綻はまず間違いなく起きる。沈みかけた泥船であろうが、そこで利権をむさぼる連中は、ほってはおけない。また国が再興するときの体制のために、こうした改革を行っておかねばならない。さもないと、同じことを繰り返してしまう。


以下、引用~~~

財政再建へ社会保障費減 自民行革本部が提言

記事:共同通信社
15/01/22

 自民党の行政改革推進本部(河野太郎本部長)は21日、財政再建策を議論する党内組織を新設し、社会保障費や地方公務員給与の大胆な引き下げを検討するよう求める提言をまとめた。

 政府が2020年度の基礎的財政収支黒字化に向けた計画を今夏に策定するのを踏まえ、歳出減への抵抗が予想される省庁や関係議員をけん制するのが狙いだ。

 提言は、毎年1兆円程度の自然増が見込まれる社会保障費の見直しが歳出改革の核心との認識を強調。そのためには、医薬品の公定価格である薬価の引き下げが欠かせないとした。

 民間より高いとの指摘がある地方公務員給与の削減も要求。新設組織から党政務調査会の各部会長に対し、担当する政策分野で歳出削減策をそれぞれ提出するよう指示を出すことも求めた。

 一方、政権の経済政策「アベノミクス」による税収増を踏まえ、実際の税収よりも低く見積もられる傾向がある政府の試算の在り方を見直すことも提起した。