ハスラー モービルホイップ物語 

今朝、7メガでAkiさん JJ1TTG/6を見つけてお呼びした。彼は、休日には必ずといってよいほど、ゆっくりしたCWで7メガに出現する。いかんせん、信号強度はあまり強くない。彼は、コメットの2m程度のホイップを使っているようだ。伺ったところによると、ルーフサイドに設置されているのは利点だが、やはり中間ローディングとはいえ、電波輻射部分が30cm程度と短い。モービルアンテナとしては、効率はそれほど良くないのではないか、と思った(想像していた通りだ)。小さい設備で楽しむのが、彼流の行き方なので、それに対して差し出がましいかとは思ったが、80年代から90年代にかけて大いに私が利用したハスラーのモービルホイップを使っていただけないか、と質問した。かねてから考えていたことだった。「そのアンテナは昔のCQ誌に広告が載っていた、関心がある」とのお返事だったので、近々、このアンテナは九州に新たな住処を見出すことになる・・・実は、実際の使用には、ちょっと問題があることが判明したのだが、後で記そう。

このホイップにまつわる思い出のいくつか・・・既出の話題もあるが、乞ご容赦。

1980年代から90年代にかけて、今は亡き、Steve WA6IVNとほぼ毎晩のように交信していた。私が大学病院の当直のときも、当直室のわきに停めた車から、彼と交信した。リアバンパーにアンテナを設置した場合、車の進行方向にS一つから二つのゲインがあることを彼から教えてもらった。彼とは長話になることが結構あり、交信終了直後ローディングコイルに触れると、結構熱を持っていた。Steveの流れるような高速のCWがまだ耳に焼き付いている。この当直交信は、1980年代前半のことだったか。

私が大学病院に通勤する際に、このモービルホイップを用いて、7、14辺りによく出ていた。以前記した、同業のお二方と朝の通勤時にスケジュールを組んで、和文で交信したものだった。JA3ASU、JE8MFGのお二人。京都と、苫小牧。固定局からは楽勝なのだが、モービル同士だとスリル満点である。お二人ともにモービルだった。毎朝お会いするのがしきたりだった。春から夏にかけての数か月間だけの出来事だったが、いまでもはっきり覚えている。JA3ASUさんをその後ぱったり聞かなくなってしまった。一度学会で京都を訪ねたときに、おいしいしゃぶしゃぶを彼にごちそうになった。彼は、もう70歳台後半か・・・1980年代後半のことだったか・・・。

K5PKA John(後のWG3U、W1ITU)と20年以上振りに14メガでお会いしたのも、このアンテナを用いているときだった。まさかモービルで、東海岸まで届き、それなりのラグチューができるとは思っていなかった。CONDXが良かったのだろう。その後、定期的に・・・とはいっても、数年間の間隔が空くこともあったが、交信を積み重ねてきた。最近、W1ITUとして再会し、英文ブログ、こちら、に掲載した写真の二人のお子さんたちも立派に成人なさったことを伺った。彼に、モービルでお会いしたのは、1990年前後のことだ。

1980年代、埼玉のとある病院に非常勤で週一度でかけていた。仕事を終え、大学に戻る際に、高速道路上からN5VVとか、AH6JFとラグチューをした記憶がある。N5VV Kurtのことは、ここで以前記したが、CWの名手である。彼の送出するCWは、コリンズのリグであることも相まって、少し広めの単語間隔がとても心地よい。彼がペンシルバニアに引っ越してからは、聴く機会がなくなってしまった・・・小さな設備で今も出ておられるようだが、残念ながら聞こえない。AH6JF Shidoさんとは和文である。彼はCONTESTに熱心に出ておられ、コールもtwo by oneのものに替えられた記憶があるが、2000年前後からお聞きしていない・・・お元気なのだろうか。あまり速く走ると、アンテナ基部の接触不良が起きるのがご愛敬だったが、それでもこのように小さい設備ではるばる北米やハワイまで飛ぶのかと感心しきりであった。マニュアルトランスミッションの車で、膝の上にパドルを載せて、よくやったものだ・・・一言で言うと、狂っていた。

長男、それに旧友の今は亡き中島さんJH1HDXと三人で信州から、加賀市のJA9FNCさんのところまで車で移動したことがあった(これについても以前記した)。乗鞍から、確か、神岡を経由して北陸道に出て、一路加賀市へ、というコースだった。JA9FNCさんには、道中7メガでずっとお相手をしていただき、道案内をお願いした。その時にも、このホイップが活躍した。これもやはり1990年代前半だったろうか。

このホイップ、ちょっとくたびれているが、まだ現役として使える。重いのだが、しっかりした造りで、コイルも直径が大きくQは高い。問題は、リアバンパーか、リアの牽引フックに装着するタイプなので、最近の車ではまず装着できない。何らかの工事を車に対して行う必要がある。または、Akiさんのように仮の場所からの運用で、固定のアンテナとしても十分使える。コイルは、7、10、14、18、21と揃えている。実際に用いたのは、7、14、21のみ。

Akiさんは、中古のアンテナに拘わらず引き取ってくださる由、ありがたい限りだ。まだ若いAkiさんになんとか利用して頂ければ、この上ない幸いだ。私の無線人生の一幕を飾ってくれたハスラーモービルホイップは新たな歩みを始める。

これも最近始めた、終活の一つ。

ハスラーモービルホイップ近影。

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ITUによる新スプリアス基準の本質 

以下に上げる文章は、ITUが1997年に決定した新たなスプリアス基準に関する説明である。

その内容から、今回わが国の当局、ならびにJARD・TSSが行っている強制的な規制が不適当であることを示唆する点を述べてみたい。別にアップする、新規制に反対する理由を合わせてお読みいただきたい。なお、この内容は拡散してくださることを希望する。

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RECOMMENDATIONという条文の位置づけが、この方面の素人の私にはわからないが、強制力のある法規的な規定ではなく、推奨される規定ということなのではないか。

この規制の目的は、当該送信設備が、他の業務に支障を来さぬことにある。とくに、デジタル通信、ブロードバンド通信の出現、宇宙環境での通信の頻用などが、この新たな規制を制定するに際して、念頭にあることが分かる。

実際のスプリアス輻射は慣例上送信設備の高周波電力が送信アンテナ系に付加される場所で計測されているが、実際は、アンテナ、伝搬、そのほかの環境要因で大きく変化する。実際のスプリアス輻射の限界は、m)に示されるような条件で変化するはずであり、送信設備段階における機械的な均一の規制はなじまないのではないだろうか。

~~~

以下、ITU-R SM.329の訳;

Rec. ITU-R SM.329-7 1
RECOMMENDATION ITU-R SM.329-7
SPURIOUS EMISSIONS*
(Question ITU-R 55/1)
(1951-1953-1956-1959-1963-1966-1970-1978-1982-1986-1990-1997) Rec. ITU-R SM.329-7
The ITU Radiocommunication Assembly,
considering
a) that Recommendation ITU-R SM.328 gives definitions and explanatory notes which should be used when
dealing with bandwidth, channel spacing and interference scenarios; when distinguishing between out-of-band emissions
and spurious emissions; and when specifying limits for out-of-band emissions;

ITU-R SM.328は、以下のような定義と説明を与える。その定義と説明は、周波数占有帯域、チャンネル間隙、妨害状況等に対応する場合、帯域外輻射とスプリアス輻射とを区別する場合、帯域外輻射の制限を特定する場合に用いられるべきである。

b) that a difficulty faced in applying the limits for spurious emissions is knowing precisely the value of the
necessary bandwidth and exactly where in the spectrum the limits for spurious emissions should begin to apply,
particularly for services using broadband or digitally-modulated emissions which may have both noise-like and discrete
spurious components;

スプリアス輻射の限界を適用することが困難なのは、以下のことを理解することである。必要な周波数帯域を守ることに価値があることを正しく理解すること。スプリアス輻射の限界が最初に適用されるべき周波数帯はどこなのかを正確に理解すること、である。ことに後者については、ノイズ様および不連続のスプリアス要素を生じることのある、ブロードバンドないしデジタル変調の輻射を用いた業務に関して、である。

c) that limitation of the maximum permitted level of spurious emissions at the frequency, or frequencies, of each
spurious emission is necessary to protect all radio services;

ある単独周波数または複数の周波数における、許容される最大のスプリアス輻射レベルの限界は、すべての無線業務に妨害を与えないことが必要である。

d) that stringent limits may lead to an increase in size or in complexity of radio equipment, but will in general
increase protection of other radio services from interference;

厳格な規制は、無線設備の規模や複雑さを増す可能性がある。しかし、一般に、それによって、ほかの無線業務への妨害を与える可能性が低くなる。

e) that every effort should be made to keep limits for spurious emissions and out-of-band emissions, both for
existing and new services, at the lowest possible values taking account of the type and nature of the radio services
involved, economic factors, and technological limitations, and the difficulty of suppressing harmonic emissions from
certain high power transmitters;

現在行われている、さらに将来行われるであろう無線業務双方に対して、スプリアス輻射と帯域外輻射の限界を守る努力がなされなければならない。ただし、それは以下の点を考慮し、可能な限り低廉なコストで行われるべきである。即ち、この規制に関わる無線業務の形式・本態、経済的な要因、技術的な制限、特定の高出力送信機からの高調波輻射抑制の難しさを考慮すべきである。

f) that there is a need to define the methods, units of measurements and bandwidth, and the bandwidths to be
used for measurement of power at frequencies other than the centre frequency. This will encourage the use of rational,
simple, and effective means of reducing spurious emissions;

以下の項目を定義すべきである。即ち、測定と周波数帯域の方法、単位、中心周波数以外の周波数における電力の測定に用いられる周波数帯域である。こうすることによって、スプリアス輻射を軽減する合理的で、簡素かつ有効な方法を見出すことができる。

g) that the relation between the power of the spurious emission supplied to a transmitting antenna and the field
strength of the corresponding signals, at locations remote from the transmitter, may differ greatly, due to such factors as
antenna characteristics at the frequencies of the spurious emissions, propagation anomalies over various paths and
radiation from parts of the transmitting apparatus other than the antenna itself;

送信アンテナに供給されるスプリアス輻射の電力と、送信設備から離れた場所における当該信号の信号強度の間には大きな違いが生じうる。その違いを生む因子は、以下のような事項である。スプリアス輻射の周波数におけるアンテナの特性、様々な伝搬における変異、アンテナ以外の送信設備からの輻射である。

h) that field-strength or power flux-density (pfd) measurements of spurious emissions, at locations distant from
the transmitter, are recognized as the direct means of expressing the intensities of interfering signals due to such
emissions;

送信設備から離れた場所における、スプリアス輻射の電界強度ないし電波密度 power flux-density (pfd)の測定は、そのような輻射による妨害の強度を示す直接的な方法である。

j) that in dealing with emissions on the centre frequencies, administrations customarily establish the power
supplied to the antenna transmission line, and may alternatively or in addition measure the field strength or pfd at a
distance, to aid in determining when a spurious emission is causing interference with another authorized emission, and a
similar, consistent procedure would be helpful in dealing with spurious emissions (see Article 18(S15),
No. 1813(S15.11), of the RR);

中心周波数における輻射を扱う上で、行政は慣例的にアンテナ送出ライン(ブログ主;フィーダーのことだろう)に加えらる電力を確定する。その代わり、ないし追加として、あるスプリアス輻射が他の確立した輻射系に障害を起こしていることを確認する際に、離れた場所における電界強度ないし電波密度を測定することもできる。同様の方法が、スプリアス輻射に対処する際に有効だろう。

k) that for the most economical and efficient use of the frequency spectrum, it is necessary to establish general
maximum limits of spurious emissions, while recognizing that specific services in certain frequency bands may need
lower limits of spurious emissions from other services for technical and operational reasons as may be recommended in
other ITU-R Recommendations (see Annex 4);

周波数帯域の最も経済的で有効な利用のために、スプリアス輻射の全般的な限界を定める必要がある。一方、特定の周波数帯における特定の業務が、他の業務から受けるスプリアス輻射のより低い限界を、技術的かつ運用上の理由から設定することが必要になることもありうる。後者については、他のITU-R(付設4)で推奨値が示される。
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* Note by the Editorial Committee. – The terminology used in this Recommendation is in conformity, in the three working
languages, with that of Article 1 (S1) of the Radio Regulations (RR) (No. 139 (S1.145)), namely:
– French: rayonnement non essentiel;
– English: spurious emission;
– Spanish: emisión no esencial.
2 Rec. ITU-R SM.329-7
l) that transmitters operating in space stations are increasingly employing spread-spectrum and other broadband
modulation techniques that can produce out-of-band and spurious emissions at frequencies far removed from the carrier
frequency, and that such emissions may cause interference to passive services, including the radioastronomy service,
recognizing however, that spectrum shaping techniques, which are widely used to increase the efficiency of spectral
usage, result in an attenuation of side band emissions;

宇宙ステーションで運用される送信設備は、拡散スペクトラム、他のブロードバンド変調技術を援用することが多くなってきた。それが帯域外輻射・スプリアス輻射をキャリアー周波数から離れて生じることがある。そのような輻射は、放射線天文学業務のような受動的な業務に妨害を与えることがある。ただし、周波数帯域利用をより効率化するために広く用いられている帯域形成技術は、隣接帯域での輻射減弱をもたらしている。

m) that spurious emission limits applicable to transmitters are a function of:
– the radiocommunication services involved and the minimum protection ratio determined in every frequency band;
– the type of environment where transmitters could be found (urban, suburban, rural, etc.)
– the type of transmitter;
– the minimum distance between the transmitter in question and the potential victim radio receiver;
– all possible decouplings between the antenna of the interfering transmitting antenna at the reception frequency and
the receiving antenna of the radio receiver including the propagation model, polarization decoupling and other
decoupling factors;
– the probability of occurrence of the spurious radiation of the transmitter when the receiver is active;
– the fact that a transmitter is active or idle, or that there are simultaneous active transmitters;

送信設備に適用されるスプリアス輻射の限界は、以下のような条件によって決まる。
-関係する無線通信業務、各周波数帯において決定される最小の防護比率
-送信設備の置かれた環境の違い(市街地、準市街地、郊外等々)
-送信設備の形式
-問題の送信設備と、妨害を受けている可能性のある最小の距離
-当該周波数のおける妨害の原因となる送信アンテナと、受信設備の受信アンテナの減結合。この減結合因子としては、伝搬状態、極性による減結合、他の減結合因子が含まれる。
-受信設備稼働中に送信設備に生じるスプリアス複写の可能性
-送信設備が稼働中かどうか、同時に稼働している送信設備がないかどうか

n) that some space stations have active antennas and the measurement of power as supplied to the antenna
transmission line cannot cover emissions created within the antenna. For such space stations, the determination of field
strength or power flux-density at a distance should be established by administrations to aid in determining when an
emission Is likely to cause interference to other authorized services,

宇宙ステーションにはactiveなアンテナを持つものがあるが、アンテナ送出系に加えられる電力の測定が、そのアンテナ中で生じる輻射をカバーできないことがある。そのような宇宙ステーションにあっては、ある距離離れた場所での電界強度ないし電波密度の決定は、他の確立した業務への障害を起こしていることが確かかどうかを決めるために行政が確定すべきである。

改めて、新スプリアス規制に反対する 

スプリアス新規制がアマチュア無線局免許に導入され、JARD・TSSがその保証認定を開始した。この規制をアマチュア無線局免許に課すこと自体の問題、JARD・TSSが書面上の保証認定を行うことの問題を改めてここで指摘したい。

法の不遡及の原則 

新たな法律が制定施行される場合、その制定時点以降に法が効力を持つ、という原則。こちらに説明がある。もちろん、例外も生じうるが、例外の場合に国民(アマチュア無線家)に大きな経済的負担、事務手続き上の負担を課すことは不適切である。

ITUの新規制の説明

次に掲載するポストにアップした通り、この規制は、デジタル通信、ブロードバンド通信を主要な対象としたもので、既存の無線通信業務に障害を与えぬことを目的としている。スプリアス輻射は、本来、送信設備から離れた受信アンテナ・受信設備で計測されるべきであって、送信設備の送信アンテナ系への出力段階で計測されるのは、あくまで慣例である。したがって、現に他無線業務への障害を生じていないアマチュア無線の総体的に低い高周波電力送信設備そのもののスプリアス輻射の規制は、この規制の本質から外れる。

JARD・TSSの問題

この両者は、「書面上の審査」によって、アマチュア無線局新規免許ないし再免許申請の必須事項を保障する、という制度を公表、実施している。スプリアス輻射、バンド外輻射という極めて技術的、かつ個別的な事項を、「書面上の審査」だけで判断することは不可能である。JARD・TSSは民間組織にすぎず、その経営内容も十分開示されていない。JARDは、7000万円の「投資活動」を行っていると、そのウェブサイトで公表している。アマチュア無線免許に直接関与するこうした団体が、経営、財務状況を公表せず、余剰資金を投資活動に回すことは、その公益性から許されない。言い換えれば、公的な組織が、情報開示を行って初めて、アマチュア無線免許制度に関与すべきである。

諸外国の規制状況

私の調べた限りでは、米国、シンガポール、ドイツでは、新たな規制がアマチュア無線免許の条件になっていない。わが国の新規制は、国際標準から著しく逸脱している。

以上から、アマチュア無線局免許に対するスプリアス新規制は、撤回すべきである。

ラジアル一本のヴァーチカル 

昨夜遅く、寝る前に7メガに出た。北米に開けているようだったが、誰も聞こえない。Steve JS6TMWが呼んでくれた。カリフォルニア出身のハムで、奥様が沖縄の産婦人科医・・・今は行政に進まれたらしい・・・の方である。すでに70歳を超えておられる。

台風シーズンは、アンテナをすべて下していた。HEXビームはくみ上げ途中だそうだ。7メガのこれまでのダイポールを下して、ヴァーチカルを張った由。ラジアルは、一本だけで、北向きに張ってあるという。それでは、ground plane動作をしない、対称に一組以上のラジアルを張らなければだめなのではないか、と尋ねた。それは分かっているが、ラジアル一本のヴァーチカルでラジアル方向にゲインが得られるということを知って、意図的に一本にしているとのことだ。ラジアルは、給電点近くに大きなローディングコイルの入ったものではなく、エレメントの途中にコイルを入れてある由。

でもやっぱり、ground plane動作をさせるために・・・と私も乏しい知識で食い下がったのだが、彼は、ラジアルを南方向にも張ってあり、南北方向のラジアルをリレーで切り替えられる、とのこと。で、実際に切り替えてもらうと、Sで1から2の違いがある。北方向に確かにビームが出ているようだ。南方向のラジアルでも、南に同じだけのゲインがあるのだろうから、この半分が正味のゲインとしても、明らかな違いだ。

このラジアル方向のゲインは、車のホイップを後部バンパーに設置した時に、車の進行方向にゲインが現れることを、経験的に知っていたので、驚くべきことではなかったが、それでも、Steveがリレーでラジアルを切り替えて実験していることに感銘を受けた。あと二方向にラジアルを張り、すべてリレーで切り替えようかとも思ったが、リレーに雨水が入らないようにすることが難しいので、断念した由。ビームパターンは極めてブロードだと思えるので、二本のラジアルでも実用上は問題ないのだろう。関心があるのは、それら二本のラジアルをパラにつないで、ground plane動作にさせた場合、どうなるかだ。ぜひそれもやってみて頂きたいと申し上げた。

その昔、釣り竿にワイアーを添わせ、トップはいい加減にコイル状にしたヴァーチカル一本で無線をやっていたころを思い出した。ラジアルを外ではんだ付けするために、300wの大きなはんだ鏝を手に入れたのだった・・・あの情熱はもうないなぁ。でも、ビームが使えなくなったら、フローティングのground planeをもう一度試してみたいものだ。

交信の最後に、次は2エレのフェーズドアレーですね、というと、彼は喜んでいた。

バグキーの良さ 

昨日、7メガでたまたまBarry VK2BJを見つけた。W0の局と交信中。彼が使っているのは、バグキーだ。先ごろ、FOCでバグキーの催しが開催され、そこでBarryも刺激を受けたらしい。MLでは、なかなか眼鏡にかなうバグキーが見つからないと言っていたので、バグキーデビューは、しばらく先かと思っていたのだ。しかし、彼は、外観が美的にあまりピンとこないと言っていた、BegaliのIntrepidを入手、この1週間で練習を積み、デビューを果たしたらしい。普段は、エレキーによる高速の美しいキーイングなので、どことなくあどけないバグキーのキーイングで彼の信号を聞くのは新鮮だった。

考えてみるに、CWによる通信は、いくらキーボードを用いても、通信効率は低い。要するに、低速の通信モードだ。しかし、だからこそ、リアルタイムで通信する際に、短い時間の間に何をメッセージとして送るか考え、それを間違えずに送ることが大切になる。おしゃべりのように、話題があっちに飛び、こっちに寄り道し、というわけにはいかない。この「頭を使う」ところが、CW通信の一つのだいご味だろう。その低速CWを生み出す究極の道具がバグキーだ。ハンドキーも良いが、長時間では疲れる。バグキーは、かってコマーシャル通信でも盛んに用いられた通り、長時間の通信にも向く。

バグキーは、使い手の個性が出る。同じモデルでも、微妙に違う。セッティングの変数が多く、さらに短点のウェイト、微妙な雑音(これも味わいの一つ)、長点の不揃いさ、短長点の微妙な間隔、すべてが送り手によって異なるのだ。この個性があるから、コールを聞く前に、その送り手が誰であるのか推測ができることが多い。この多様な個性のキーイングがバグキーの面白さ、魅力なのかもしれない。

上記の点を見方を変えてみると、エレキーやキーボード送信と比較して、符号に揺らぎがあることが、聞き手に心地よさをもたらす面がある。たしかに、機械送信のような整った符号を長時間連続して聞かされていると、疲れてくる。バグキーでは、その点、微妙な揺らぎからくる、ここちよさがある。音楽で、同じ速度のインテンポで最初から最後まで進むのと、適切なアゴーギクを伴いつつ表現するのとでは、後者が優れているのは間違いない。それと似たような関係なのだろう。我々の生命には、揺らぎがあるのと対応しているのかもしれない。

というわけで、バグキー熱が、FOCメンバーのなかで広まるのではないだろうか。最近、クラブに入ったDon WB6BEEや、Benny K5KVがバグキーのグルである。私といえば、バグキーの遅さに耐えかねて(あれ、書いていることが支離滅裂・・・)、エレキーに戻ってしまうこともないとは言えないのだが・・・。

Barryは、骨肉腫で治療を続けている奥様Margaretに良く効く化学療法剤が見つかり、だいぶ良くなったと言っていた。何か月か前に、彼女がその病気であることをうかがってから、その後の経過がどうなのか、気にかかっていた。彼と奥様は、希望を持ちつつ、治療を続けると以前から仰っていた。昨日は、Barryはとりわけ元気そうだった。本当に良いニュースだった。

MM3暴走 

昨夜、焦った。日ごろ使い慣れている、AEAのMM3というキーヤーが暴走をし始めたのである。メモリーは消え、キーイングの短長点比が、1:3よりもだいぶ小さくなり、調節ができない(というか、調節する設定を忘れた 笑)。元来、ハングアップすることがしばしばあったキーヤーなので、CPUがお釈迦になってもおかしくはない。だが、この30年間以上使い慣れたキーヤーで、符号の形も気に入っている・・・さて、どうしたものか。

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次は、ベンチャーのキーヤーかな等と様々な思いが浮かぶ。そこで思い出したのが、KO6U Nathanにebayで購入してもらったMM3がどこかにある、ということ。収納を開けてみると、きれいなMM3が出てきた。これを入手したときに、パドル操作とキーイング符号の間に、若干の・・・とはいっても、QRQの場合無視できない遅れがあり、使うのを止めたのだった。古いMM3では汚れで良く見えない機能表示が、このMM3ではよく見える。リセットを設定すると、動作はおそらく初期の設定に戻った。メモリーもできるようになった。やれやれである。若手のバリバリのCWマンだったNathanには感謝である。彼は長らく望んでいた子供ができて、それ以降バッタリ無線には出てこなくなってしまった。またお会いしたら、お礼しなくては・・・。

というわけで、メカニカルな部分のない、キーヤーのような機材は、めったに壊れないものだと思い込んでいたが、やはり壊れることもある、というありふれた教訓を残してくれたエピソードであった。

美しいキーイングのキーヤーを一つ入手しておいた方が良いかな・・・。

パドルの話 

昨夜、お馴染みのJohn K1JDと7メガで交信した。ちょっと挨拶だけということで交信を始めたのだが、使っているパドルの話になり、つい長話。

彼は、Chevronのパドルを使っていたが、接点不良があまりに頻繁に生じるので、BegaliのStealthに替えたらしい。Chevronは私も所有しており、そのトラブルについては、こちらに記した。これは個体差ではなく、Chevron全般、特に初期のモデルないしロットの製品に見られるトラブルらしい。その後、モデルチェンジをしており、接点については改善されている模様だ。だが、接点を保持するコラムとボルトのネジの間の接点不良については改善されているかどうか不明。

私が、Bencher製のMercuryを今用いている、接点不良は皆無なのだが、接点間隔をちょっと大きめにとると、打鍵時にレバーの反動の感覚が生じることだけが問題だ、と申し上げた。彼に言わせると、それは磁石の反発力が非直線的なためだということだったが、良く分からず。私は、レバーの不要振動の問題だと思うと言った。原因はどうであれ、その若干のうち心地の悪さという点では一致した。

で、面白い話。彼は、かってのBencherの社主 Bob W9KNIから直接買ったのだが、当時、すでに亡くなっていたSteve N2DANのオリジナル部品を使っていたので、オリジナルモデルと同じMercuryであるということだった。私のMercuryのシリアルナンバーは、1030.彼のMercuryのナンバーはいくつか尋ねた。ちょっとまて、鍵のかかった保管庫から取り出してみるから、とのこと。しばらく待つと、彼のは1047で私のよりも新しいということが判明。すると、私のMercuryもオリジナルモデルと同等品ということになるか・・・。うれしいような、ちょっとがっかりのような・・・。

Begaliの各モデル各種を、ローマに旅行した際に、すべて試し打ちをして、Stealthがベストだという結論だった、とのことだった。先ほど、メールが彼から来て、高速CWを楽しむハムを尋ね、Begaliのオーナーを交えて、試し打ちをしたらしい。Sculptureでは、打鍵時にうち当たる感じ、衝撃を受ける感触・・・彼に言わせると、joltingとのこと・・・があるが、Stealthでは、cushioningであるとのこと。

イタリーでは、ipadがとても高価で、彼の手持ちのipadと、同じく高価なStealthとを物々交換した、とあった。

Begaliを手に入れるとすると、Stealthということになるか・・・しかし、490€は高い・・・それに、使えるかどうかは別にして、パドルが三台も運用デスク上に並んでいるので、これ以上手に入れるのは、一種のフェティシズムになるのではないだろうか、と途方に暮れるのである。

自作をしても・・・ 

昨夜、f/bのCW愛好家グループのサイトで、Jesse W6LEN等とたわいもない話で盛り上がった。Jesseの最初の無線設備は、Space Spannerという再生型受信機と、ヒースキットの最初のモデルAT-1という送信機だったという。1956年のことだ。初めてのDXがJA1EF局で、彼とは長い間連絡をとりあっていたが、残念ながら、SKになられた由。

w6len.jpg

AT-1というモデルのことは初耳だったので、ネットで検索してみた。ここにそのリグを紹介するvideo clipがある。



このモデルの簡素な美しさにまず心惹かれる。フロントパネルの対称性を重視したレイアウト。不要なものは何もなし。クリスタルコントロールで全バンドをカバーする。CW専用というところが良い。450ボルトの高圧をファイナルにかけているらしいが、あの小さなプレートバリコンで耐圧は大丈夫なのか・・・とは思うが、29.5ドルの当時の価格、現在価格で200ドル程度、では致し方ないのかもしれない。シャーシやケースもしっかりしている。VFOや変調器も後付けできる。

無線を始めたころは、こんなリグでやっていたなと改めて懐かしくなった。それに、1950から60年代のアメリカの黄金時代を象徴するような立派な入門者向けの送信機ではないか。

何時かはまた自作をと思っているが、作るのであれば、こんな基本的な構成の真空管のリグが良い。

でも、ふと思った、天下り団体にお金を払って、スプリアス新基準に適合するという、書面だけでの審査を受けなくてはならないのか・・・書面だけで、どうやって保証するというのか。

自作しても、実際にオンエアーでは使わないことになりそうだ。ちょっと夢をみて、また現実に戻された。

QSTに掲載された、リグ性能の定量的比較 

ARRLの機関誌QSTは、リグやアンテナの定量的比較を以前から載せている。わが国のコマーシャル雑誌、ましてJARLニュースでは考えられないことだ。

W6CYXが、QSTに掲載された、リグの比較一覧を送ってくれた。こちら

主観的な比較ではなく、客観的な指標を用いる比較は、ユーザーにとって有用なだけでなく、メーカーにとっても次の開発、設計に資するところがあると思う。勿論、これらの指標だけで、リグの優劣が決まるわけではない。これ以外に、基本の感度、選択度だけでなく、使いやすさ、音質、コストパフォーマンス等も重要な因子だろう。現代のリグで考慮されていないと思われるのは、CW受信音の優劣。シンプルなリグで、受信音が良いリグはないものか・・・。

BPL実験局に免許 

米国のFCCが二つの短波帯のBPL実験局に免許を付与した、との記事。バンド帯域は、広いもので1MHz。3.5から14メガの全アマチュアバンドがカバーされてしまっている。出力は50W。ほかの通信に妨害を与えたら、直ちに送信を止めること、という条件付きらしいが、産業化、実用化されると、力関係では、アマチュア無線は不利になる。

短波を用いたアマチュア無線、一体どうなるのだろうか。

記事は、こちら