「人質司法」 

籠池氏夫妻が逮捕されてから4か月弱になる。勾留され続け、家族との面会も禁止されている。

長期勾留は、建前では、証拠隠滅・逃亡の恐れがある場合だけ認めらることになっている。が、自白第一主義のわが国の警察司法では、長期勾留が頻繁に行われている。この番組にも出てくるが、裁判所が勾留を認めないのは、たった3.9%だという。

籠池氏夫妻は、国と大阪府の補助金を不正取得したとして逮捕・起訴された。起訴が行われた時点で、検察は公判維持に必要な証拠を得ているはずだ。長期勾留の理由は、検察にはない。

籠池氏夫妻が、黙秘を続けていることが長期勾留の理由の一つなのだろうが、自白偏重は冤罪の温床だ。もう一つ、重大な疑惑がある。やはり森友学園疑惑について、彼らが自由に述べることを、首相官邸が嫌っていることも理由なのではないか。

この番組の最後に周防監督が述べているが、この「人質司法」の問題は、人権の問題である。この問題を自分の問題として考えなければ、制度は変わらない。人権を否定するこうした司法制度を変える必要がある。この「人質司法」の背後に、政治的な意図があるとしたら、安倍首相は徹底的に追及されるべきである。

TBS週刊報道LIFE 19日の報道 「人質司法」 必聴である。

こちら

籠池夫妻の勾留が続く 

籠池夫妻の勾留がまだ続いている。こんな状況らしい。本来、補助金不正受給に対する罪で訴追されるはずが、大阪地検は、詐欺罪というより重い罪で訴追した。そして、これほど長く勾留を続ける。安倍首相への忖度なのか、それとも上からの指示なのか。徹底した家宅捜索を受けており、さらに逃亡の恐れもない。それなのに、勾留を検察は続ける。法治国家ではありえない。

安倍首相に盾突くとこうなるという見せしめか。

籠池康典氏、大阪拘置所新館(冷暖房あり、窓なしの部屋)に勾留中
昼か夜か分からない三畳の小部屋に押し込められている

籠池夫人、大阪拘置所旧館(冷暖房なし)で勾留中

手紙、接見は全くダメ

最高裁判事 国民審査についてのメモ 

最高裁判事 国民審査投票 についての私的メモ

木澤克之判事::加計学園監事(弁護士会の推薦を無視して安倍が任命)

小池裕判事::森友学園への国有地売却問題に関して電子データ保全要求申し立て却下を確定

菅野博之判事:辺野古新基地建設での国と県が争う裁判で県の上告を棄却

検察は、巨悪を眠らせ続けるのか 

大阪地検特捜部は、森友学園疑惑について、元理事長夫妻を逮捕拘束し、詐欺罪で立件しようとしている。

一方、近畿財務局、財務省さらにその背後にいるであろう人間への背任の追及は、ない。

関係者の集まりでの、このような発言が録音媒体として出てきているのに、巨悪は眠り続けようとしている。

以下、引用~~~

 9月11日付Yahooニュース 国と「口裏合わせ」のようなやりとり(フジテレビ系(FNN))

大阪地検特捜部は、11日にも森友学園の籠池泰典前理事長(64)らを、詐欺などの罪で起訴する方針。国有地の売却問題では、FNNが独自に入手した音声データから、新たに口裏合わせの疑惑が浮上した。

大阪地検特捜部は、森友学園の前理事長、籠池泰典容疑者と妻の諄子容疑者(60)を8月、大阪府から補助金およそ9,250万円をだまし取った疑いで再逮捕し、11日にも起訴する方針。

一方、国が森友学園に国有地を8億円値引きして売却した問題では、国は、地中深くから新たなごみが見つかったため、撤去費を値引きしたと説明してきた。

しかし、FNNが入手した音声データには、校舎の建設が始まった直後に、国側と学園側が、新たなごみが見つかったように口裏合わせしたとも取れるやり取りが記録されていた。

国側の職員とみられる人物「3メートルまで掘ってますと。そのあとで土壌改良というのをやって、その下からごみが出てきたというふうに理解してるんですね。その下にあるごみっていうのは、国が知らなかった事実なんで、そこはきっちりやる必要があるでしょうという、そういうストーリーはイメージしてるんです」


工事業者とみられる人物「そういうふうに認識を統一した方がいいのであれば、われわれは、合わさせていただきますけれども、でも(3メートルより)下から出てきたかどうかっていうのは、わたしの方から、あるいは工事した側の方から、確定した情報として伝えていない」

池田 靖国有財産統括官(当時)とみられる人物「資料を調整する中で、どういう整理をするのがいいのかということで、ご協議、協議させていただけるなら、そういう方向でお話し合いをさせていただければありがたいです」
不透明な取引について、近畿財務局で40年以上国有地の売却などに携わっていた元職員は、「『本当にまずい処理だった』というのは、複数の(現役)職員から声が出てますね」と語った。

工事関係者は、口裏合わせの疑惑について、「8億円値引きするということは最初から決まっていた」と証言しているが、近畿財務局は、「録音状況などが確認できないので、コメントできない」としている。

引用終わり~~~

この報道を受けて、東京新聞望月衣塑子記者の発言は、下記の通り~~~

大阪地検特捜部は「背任事件での立件は充分、今の証拠関係から可能だ」として、粘りの捜査を続けているにもかかわらず、東京の最高検幹部や法務省幹部が「背任には問えない」と言い続けてるようだ。

死刑制度の重み 

金田法相の死刑執行命令を下した理由が、どうもしっくりこない。残忍な事案だったではなく、徹底して冤罪の可能性は排除できたというならまだ理解できないことはない(可能性をゼロにすることは不可能なのだが・・・)。社会心理学者の小坂井敏晶氏によれば、米国での刑法犯の冤罪は1.3%に上るという。起訴された刑法犯の99.9%が有罪となる日本ではさらに冤罪率は高まる可能性がある。死刑制度は、死刑執行の実務を担う刑務官に、尋常ならざるストレスを与え続けている。死刑囚と長い時間をかけてこころを開き合う関係になる刑務官。しかし、刑務官は、むごたらしい絞首刑に死刑囚を処する実務を負うことになる。その精神的な負担は、尋常なものではない。犯罪を償わせるために、人を殺す死刑という制度の重みを、金田法相は感じていないように思える。

以下、引用~~~

2人の死刑執行、金田法相「極めて残忍な事案」

2017年07月13日 15時15分 TBS

 金田法務大臣は、13日、死刑囚2人が刑を執行されたことについて会見し、「いずれも極めて残忍な事案で慎重に審議し、死刑の執行を命令した」と述べました。1人は再審請求中だったとみられます。

 死刑が執行されたのは大阪拘置所の西川正勝死刑囚(61)と、広島拘置所の住田紘一死刑囚(34)の2人です。関係者によりますと、西川死刑囚は再審請求中で、請求中の死刑執行は99年12月以来ということです。

 「いずれの事件もまことに身勝手な理由から、被害者の尊い人命を奪うなどした極めて残忍な事案。慎重な検討を加えたうえで死刑の執行を命令したしだい」(金田勝年 法相)

 金田大臣は13日に執行した2人が再審請求中かどうかは「答えを控える」とした一方で、一般論として「再審請求を繰り返す限り執行がなされないということになりかねない。やむを得ない場合もある」との考えを明らかにしました。(13日14:37)

共謀罪法の運用を法務省がチェックする? 

共謀罪法は、対象、手続きが不明確で、恣意的に運用される可能性が高い。

その点に関する国民の不安を払しょくするためと称して、法務省は共謀罪法の実際の運用について検察庁に報告を求めることにした。

だが、検察庁は法務省の傘下になる行政機関。いわば、同業である。

警察が刑事犯罪で逮捕を執行しようとするときに、裁判所に逮捕状を請求する。裁判所は、その逮捕が適切かどうかを判断して逮捕状を出すことになる。一応のチェック機能だ。ところが、逮捕状発行が拒否されるのは、実際の統計から実に0.05から0.07%である。逮捕する前に、被疑者のアリバイをチェックする等必要な手続きを経ていないにも関わらず、逮捕状が発行されることもあるという。チェック機能が働いているとは言い難い。

だから。法務省が共謀罪法の運用をチェックすることには、期待するわけにはいかない。

きちんとチェックするならば、完全な第三者が行うことと、情報公開することだ。おそらく、それは法務当局はやらないだろう。

この法務省によるチェックは、国民の不安を和らげるための「見せかけ」「口実」だろう。

このように捜査機関にフリーハンドを与える、対象・手続きの不確かな法律は、撤廃されるべきだ。この法律は、刑法体系そのものを根本的に変え、国家権力が国民を監視する手段となる。

繰り返しになるが、「適切な運用」を期待しなければならない法律は、そのことだけで「不適切」なのだ。

朝日デジタルから引用~~~

法相、検察庁に全件報告求める訓令 「共謀罪」適用巡り
2017年7月11日13時21分

 法務省は11日、「共謀罪」法が適用される全ての事件について、検察庁に事件受理から裁判確定までの報告を求める大臣訓令を出した。金田勝年法相は閣議後の記者会見で「適切な運用をするよう関係機関への周知につとめたい。我が国は裁判所の審査が機能し、捜査機関による恣意(しい)的な運用はできない仕組みだ。(同法の新設によって)捜査機関が常時、国民の動向を監視するような監視社会にはなりようがない」と述べた。(小松隆次郎)

共謀罪施行 

共謀罪が今日から施行される。

共謀罪は、すでに何度も記した通り、対象、捜査手法、容疑等ついて不明確な内容であり、捜査当局に大きなフリーハンドを与える。

恣意的な運用により、処罰されるべきでない人々が処罰されるようになる。

共謀罪導入時、批判の対象にならぬように、捜査現場が慎重に運用すると警察当局が述べている。だが、捜査現場の適正な運用に期待をかけるような法律は、法律として失格だ。刑法体系を根本的に変える、共謀罪法はすぐに廃止すべきだ。

たとえ今は慎重運用されているとしても、将来、共謀罪を用いて、政治・社会を監視し支配しようとする政治家が出てくる可能性がある。今でさえ、自らに反対の声を挙げる、国民の一部を「あのような人たち」と排除し、敵対しようとする政治家がいるのだから。戦前の治安維持法が、国民に徐々に牙を剝くようになった歴史を知るべきだ。将来の世代のために、このような法律を残すことはあってはならない。

以下、引用~~~

7月10日付朝日新聞デジタル(問う「共謀罪」 施行に思う)裁判官は警察に問いただす勇気を 

■元裁判官・水野智幸さん(55)

何が処罰されるのかが不明確。疑問はいっさい解消されていません。



政府は、適用対象は「組織的犯罪集団」であり限定をかけたと言いますが、一般人が含まれるかどうかをめぐり、国会での説明は二転三転しました。犯罪の構成要件である「準備行為」も、「花見か下見かをどう区別するのか」と議論になりましたが、日常の行為との区別は難しい。ひとえに捜査当局が怪しいと見なすかどうか、そのさじ加減にかかっていて、恣意(しい)的な運用が懸念されます。

また、犯罪の実行行為がおきて捜査が始まるという原則が、根本から変わります。事前の任意捜査の範囲が際限なく広がります。今でさえ、警察が、犯罪の疑いのある人物の自動車にGPS端末を勝手に装着して行動を監視したことが明るみに出ました。証拠を集めるために、盗撮や盗聴、メールの傍受、尾行など日常的な監視は不可避なのです。

警察は「共謀罪」という大きな、危うい武器を手にしたわけです。警察内部でチェックが働く仕組み作りがより重要になってきます。監視の方法や捜査対象の選定が恣意的にならないような、内部基準を作っていただきたいと考えています。
裁判官も重大な責任を背負うことになりました。

警察から令状請求があった段階で、厳しい目で審査することが求められます。少しでも疑問があれば、警察に問いただす勇気と矜持(きょうじ)が求められています。

準抗告(不服申し立て)での裁判官の役割も重要です。逮捕された容疑者の勾留について、弁護側が申し立てる準抗告を形式的に退けるのではなく、容疑者の抱える事情に丁寧に耳を傾けるのです。威力業務妨害罪などに問われた沖縄県の基地反対派リーダーについて、裁判所は準抗告を繰り返し却下し、約5カ月の長期勾留を認めることになりました。こうした姿勢は改めるべきです。
犯罪の対象などを厳格化し、乱用を防ぐ基準をいかに構築するか。これからの実務家や研究者の英知が問われています。

捜査現場で「適正運用」を図らなければならない法律が施行される 

捜査現場で適正運用を図る、ということ自体が、この法律の立て付けの悪さを物語っている。

適正運用を図ると言うことは、「不適正な運用」も可能だということだ。官邸と警察官僚が一体化するような状況では、この法律は、国民に対して害悪を及ぼし得る。

おりしも、黒川弘務法務省官房長が、法務省事務次官に昇格した。彼は、甘利明前経済再生担当相の口利き賄賂容疑で、彼の秘書二人を不起訴にしたと言われている。彼は、法務検察官僚で実権を握り、現政権にベッタリの関係にある。マスコミで政権の宣伝に勤しんでいた、山口敬之氏が、準強姦疑惑を起こし、所轄警察の意向で逮捕状が出されていたが、その逮捕は突然取りやめさせられた(何度もここで記した)。逮捕を中止させた中村格警察庁刑事部長(当時)だった。彼も、黒川新法務省事務次官と同じく、官邸と密接に通じ合った警察官僚だ。そうした法務警察官僚のもとで、この不適正運用可能な共謀罪法が施行される。このような法務警察官僚のもとで「不適正運用」するために、この法律が作られたと考えるべきだろう。政権と警察検察権力のための法律だ。

政治家の口利き賄賂はやりたい放題、政権に近い人物の犯罪疑惑はお咎めなし、一方軽微な犯罪、その疑いがかけられるだけで、犯罪の実行前計画段階から処罰される共謀罪を国民に幅広く適用しよう、ということだ。共謀罪では、自白が主要な検挙の根拠になり、冤罪も必発だ。

甘利明議員は、真相を説明すると言ったきり何も説明していない。山口某は外国に逃亡したまま。政治家や仲間内の人間には甘く、国民には厳しく、というダブルスタンダードが始まる。

現政権には退場してもらい、このような悪法は廃止する必要がある。

以下、運用~~~

共謀罪:11日施行 消えない「乱用を危惧する声」

2017年07月09日 19時59分 毎日新聞
捜査現場では「適正運用」図る模索も

 「共謀罪」の成立要件を改めた「テロ等準備罪」を新設する改正組織犯罪処罰法が11日、施行される。政府は、各国で協力して組織犯罪を未然防止する「国際組織犯罪防止条約」の国内法が整備されたとして、条約締結の受諾書を同日中にも国連事務総長に寄託する。捜査機関の乱用を不安視する声が相次いだことを受け、捜査現場では適正運用を図る模索も見られる。【鈴木一生、川上晃弘】

 「十分な時間的余裕を持って報告すること」。警察庁は先月23日、都道府県警に同罪に関する通達を出した。適正な運用のため「当面の間、警察庁への報告を求めることにした」とし、報告の時期は「捜査を行おうとするとき」としている。

 同罪は、組織的犯罪集団の団体の活動として2人以上で犯罪を計画し、うち1人以上が計画に基づく実行準備行為を行った場合に、計画した全員を処罰できる。対象犯罪は277で、幅広い犯罪で処罰が可能となる。

 国会審議で野党側は「内心の自由を侵害する恐れがある」と成立に強く反対した。捜査開始前の報告を求める今回の通達について、警察庁幹部は「こうした通達は極めて異例だが、国会でもさまざまな指摘があり、責任を持って判断することが必要と考えた」と説明する。

 法務省も取り調べの録音・録画(可視化)の実施を検討するよう周知する通達を全国の地検などに送付。また、同罪を適用した場合は法相への報告を求める大臣訓令も出す。事実上、警察庁と法務省が全国の現場の運用をチェックする体制を取ることになる。

 今のところ、捜査現場で実際に適用しようとする動きはない。検察幹部は「条約締結が唯一の目的の改正。要件が厳しすぎて、ほとんど適用されないのではないか」とみる。

 だが、乱用を危惧する声は消えない。日本弁護士連合会は成立後、中本和洋会長名で「さまざまな懸念は払拭(ふっしょく)されていない。対象犯罪の妥当性や更なる見直しの要否についても十分な審議が行われたとは言い難い。恣意(しい)的に運用されることがないように注視し、法の廃止に向けた取り組みを行う」との声明を出している。

山口敬之氏準強姦罪もみ消し疑惑 

山口敬之氏準強姦罪もみ消し疑惑は、このブログで何度か取り上げた。

被害を受けたと訴える詩織さんは、現在検察審査会に山口氏の不起訴が不当であるとして審査を請求している。

事件の直後から彼女に相談を持ち掛けられてきたジャーナリスト清水潔氏が、文化放送の番組で、この事件の真相を語った。文字起こしされている。こちら。

事件の悪質性はもちろんのこと、強く感じるのは、公権力が恣意的に運用される恐怖である。山口氏の逮捕を取りやめるように指揮した、この元刑事部長は、現在警視庁の組織犯罪対策部長の職にある。共謀罪を担当する部署だ。すでに何度も記している通り、彼は官邸に連なる人物だ。国家権力にとって都合の悪い犯罪を恣意的にもみ消すとしたら、その逆、国家権力にとって都合の悪い人物の犯罪をでっち上げる可能性があるということだ。前川前文科省事務次官の個人情報をマスコミに流したり、官房長官記者会見で官房長官を追及する記者の素性を警察に調べさせたりすることは当然のこと、それ以上のことをするのではないか、という恐れだ。共謀罪という社会に網の目を巡らす手段を入手した警察権力は、国民に牙をむく可能性がある。

詩織さんの勇気ある告発の行方を注視して行きたい。

共謀罪法施行を前に 

ネットを回っていると、共謀罪法が、テロ対策のため、TOC条約批准のために必須だと主張している方々が、未だいることに驚かされる。政府が主張した、共謀罪法の必要性をそのまま信じ込んでいる様子。

だが、同法はテロ対策のためではない。我が国は、13本のテロ防止関連国際条約をすでに締結している。共謀罪法は、テロ対策と言いつつ広範な犯罪を網羅し、監視社会を生むもので、国民の思想信条表現の自由そしてプライバシー権を侵すものとなる。

TOC条約は1990年代に経済的な国際組織犯罪を対象にして生まれた条約だ。ネットが社会に行き渡っていない時期のもので、9・11よりも前に作られた。テロを対象としたものではない。テロが頻発している欧米諸国はTOC条約に加盟しているが、残念ながら、テロを抑えることはできていない。共謀罪法を制定して、この条約を締結しなければ、オリンピックが開催できない等というのは、虚偽である。

共謀罪で立件するためには、様々な手法で容疑をかけた者を監視することが必須だ。ネット・電話などの通信傍受、尾行等が堂々と行われるようになる。警察は、車の監視システム、防犯カメラ、顔認証システム等により、特定個人の行動を把握することができるようになっている。そして、密告と自白強要が、これまで以上に進められる。

出来上がった共謀罪法は、立法するための根拠を欠き、さらに粗雑な法体系になっている。憲法自体に違反する内容だ。この法律は、公安警察によるさらなる監視を通して、社会の自由闊達さのみならず、我々の内心の自由を侵食する。前川前文科省事務次官への監視は、特定秘密保護法の対象案件を扱うための適性検査の一環として行われた、という報道もある。また、菅官房長官への本来あるべき記者会見を果敢に実行している、東京新聞望月記者について個人情報を得るべく警察が動いたということも言われている。こうした監視が、国民すべてに対して行われることとなる。

だが、今月11日、あと一週間で共謀罪法が施行される。これほどの悪法が施行されることに対して、しかし、まだやるべきことがある。木村草太教授が、それを述べているのでご紹介したい。

この悪法は、ぜひ撤廃すべきだ。そのためには、次の国政選挙で、安倍政権、それに続く自公政権には退場してもらう他ない。

以下、引用~~~

沖縄タイムスより引用~~~

タイムス×クロス 木村草太の憲法の新手

木村草太の憲法の新手(59)「共謀罪法」施行を前に これからなすべき4つのこと

2017年7月2日 19:54木村草太の憲法の新手共謀罪

 前回論じたように、「共謀罪」法の成立過程には問題が多い。そんな法案が無修正で成立したことは非常に残念だが、施行も間近となった今、これからなすべきことを4点指摘したい。

 第一は、未遂処罰との関係整理だ。共謀罪法では、傷害罪など、刑法において未遂処罰規定のない犯罪についてまで、その共謀を罰する。刑法が「既遂にならなければ処罰の必要がない」と評価した犯罪について、未遂のさらに前段階にすぎない共謀を処罰するのは、あまりにも不合理だ。政府・与党は、せめて未遂処罰規定のない犯罪を対象から除く修正だけでも検討すべきだ。

 第二は、捜査手続きの適正確保だ。自白偏重の問題が指摘されて久しい。しかし、近年になっても、長い身柄拘束を背景に、不当に自白を強要したと思われる事案が発生している。例えば、神保哲夫『PC遠隔操作事件』によれば、2012年に発生したPC遠隔操作ソフトを使った連続脅迫事件で、警察は4人も誤認逮捕してしまった。うち2人は犯行を自白し、しかも、調書には犯人しか知りえない情報すら含まれていたという。

 従来から処罰対象となっていた殺人の予備罪を立件しようとすれば、凶器となるナイフやひもなど、客観的な物証が存在するはずである。しかし、共謀にはそうした物証はないことも多いだろう。その結果、自白に頼る部分が多くなり、長期間にわたる拘束や心理的圧迫による自白が冤罪(えんざい)を産む危険は大きい。捜査段階での弁護士の立ち会いを義務化するなど、本格的な対応が必要だ。

 第三は、憲法による限定だ。憲法31条は、刑事手続きの適正と共に、刑事実体法の適性をも求める規定だと理解されている。刑事実体法の適正には、「刑罰を科すに値する法益侵害がない限り、刑罰を科してはならない」との原則が含まれている。共謀罪法は、危険度が非常に低い準備行為まで処罰対象に含んでおり、「処罰範囲が過度に広範であり違憲だ」と評価される可能性もなくはない。

 この点、最高裁は、過度に広範な法文について、その適用を限定することで合憲性を担保する限定解釈をしてきた。例えば、国家公務員法の条文は、公務員によるほぼすべての政治活動を処罰対象とするように見える。しかし判例は、公務員の中立性を損なうおそれを「現実的」に発生させる行為のみを処罰対象とすべきだとした。共謀罪の処罰対象も、犯罪発生の危険が明白かつ現実的に差し迫っている計画のみに限定すべきだろう。

 最後に、死刑廃止への取り組みだ。共謀罪制定は、国境を越える犯罪についての国際協力の枠組みを定める国際組織犯罪防止条約(TOC条約)に入るために必要と政府は説明していた。この点、TOC条約16条7項は、犯罪人を引き渡すときに、相手国の刑罰の内容を考慮することを認めている。つまり、死刑廃止国が、死刑を存置する日本への犯罪人引き渡しを拒否するという事態があり得るということだ。諸外国との協力を本気で望むなら、諸外国の趨勢(すうせい)に合わせ、死刑廃止の検討が急務である。

 共謀罪法について、今後、検討すべきことは多い。(首都大学東京教授、憲法学者)