食料安全保障が破壊される 

何時からかfacebookに時々モンサントの広告が載るようになった。学術的な広報といった体の広告。大学の研究機関などにも、モンサントは、おそらく研究費をばら撒いて食い込んでいるらしい。政治に対しても、同じように賄賂すれすれの政治献金を行っているのではないか。

食料自給は、安全保障のもっとも大切な要素の一つ。それが、モンサントのようなグローバル企業によって脅かされている。モンサントは、発展途上国であくどい商売を続け、人々から批判され続けている。遺伝子組み換え植物というリスクのありうる商品を展開し、モンサントの発売する農薬にしか効かないように遺伝子操作する、一代限りの遺伝子操作を加えられ、種を再利用することができない、といったことを繰り返し、それによって莫大な利益をグローバルに上げている。

我が国の政権は、国民の食糧安全保障の大きな要であった、種子法を廃止することに決めた。モンサントのような種子・農薬会社を日本の農業に入り込ませるための決定だ。そこには、国民の食の安全を守る意志は見られない。農業は大切な社会的共通資本であることを、政権は理解していない。

以下、岩上安身氏のIWJのMLから引用~~~

 日頃、口にしている食物が一体どこからきているのか、僕たちはあまりに無関心で、気づけば取り返しのつかない事態に直面しています。

 岩上さんは昨日、山田正彦・元農水相にインタビューしました。元農水相の山田さんは現在、「日本の種子(たね)を守る会」の顧問として、種子法が廃止されることに強い警鐘を鳴らしています。

 昨日の日刊IWJガイドでもお知らせしましたが、種子法は1952年、日本の主権回復とほぼ同時に成立された法律で、この法律こそが食糧難にあえぐ戦後日本の食料安全保障を支えてきました。

 種子法は、米、麦、大豆といった「基礎食料」について、その良質な種子の安定的な生産と普及は「国が果たすべき役割だ」と義務づけ、品質向上のための農業試験場の運営など、国が責任をもって予算を配分してきました。その結果、長い期間をかけてコシヒカリのような美味しいお米が全国で誕生し、今日の食卓に並んでいます。

 しかし、TPP協定と日米2国間合意に伴い設置された「規制改革推進会議」が種子法の廃止案を取りまとめ、状況は急展開を迎えます。

 TPP日米2国間合意文書は、「日本政府は(略)外国投資家その他利害関係者からの意見および提言を求める。意見及び提言は(略)定期的に規制改革会議に付託する。日本国政府は規制改革会議の提言に従って必要な措置を取る」と規定。規制改革推進会議は、まさにモンサントのような多国籍企業に日本の農地を売り渡す「多国籍企業の要求受け入れ窓口」という役割を担っています。

 「規制改革推進会議の提言に政府が従う」とは、すごい文言ですよね。IWJは、日米地位協定をどう運用するかを協議する「日米合同委員会」の存在を問題視してきましたが、岩上さんは山田氏インタビューの中で、規制改革推進会議について、「経済版・日米合同委員会だ」と指摘しています。

 その規定どおり、政府与党は種子法廃止法案を今年4月に可決・成立させ、種子法は来年3月いっぱいで廃止されることが決まりました。

 種子法の廃止によって、さまざまな悪影響が懸念されます。中でもF1種子(ハイブリッド種=異なる性質の種を人工的にまぜ合わせてつくった雑種の一代目)や遺伝子組換え作物が広く出回ることは間違いありません。山田さんは、F1種の危険性を次のように指摘しています。

 「日本で出回っている野菜のほとんどがF1種。F1種は無精子の種で、これを食べた蜜蜂の雄が不妊症になったんです」

 日本ではすでに、日本モンサントの米「とねのめぐみ」や「つくばSD」が出回っていますが、これらはまさにF1種です。

 山田さんによると、モンサントと農家の交わした契約では、化学肥料も農薬もモンサント指定のものを使わなければならず、できたお米もセブンイレブンや吉野家など、全量指定したところに売らなければいけません。

 「つくばSD」の契約者は、もし収量が事前の予想よりも落ちた場合、悪天候などの影響を生産者側が立証しなければ、その不足分を賠償しなければいけない、という契約になっていることいいます。農家にとってこんな理不尽な契約があるでしょうか。また、F1種はノーマルな種と違い、1度きりしか収穫できず、毎年モンサントなどの種子会社から種を購入しなければなりません。

 農薬から肥料まで指定され、収穫量まで規定され、翌年以降も毎年種を買い続けなければならない――これでは、農家が種子会社の支配化に置かれたも同然です。

 山田さんによると、現時点で37%しかない日本の食料自給率は、種子法廃止で14%にまで下がってしまう可能性があり、もし、この状態で日米間に亀裂でもできたりすれば、自力で種から作物を育てる力を失った日本が国民の生命を守れるはずもありません。安倍政権はあれだけ「安全保障」と声高に叫びながら、生命を保障する「食料安全保障」を多国籍企業に売り渡してしまおうとしているんですね。

 山田さんによると、EUでは農家の収入の8割が所得補償されており、農業は産業ではなく食糧であり、安全保障であるという認識が共有されているようです。インタビューでは、憲法に「食料安全保障」の規定を盛り込んだスイスの国民投票の事例も紹介してくださいました。

10月にはイタリアも視察した山田さんは、既成政党批判で若者の支持を集める政党「五つ星運動」の大幹部・リカルド・フラカーロ議員と会談しました。「五つ星」は、「大事な法案は国民が直接投票によって決めよう」と、住民投票の条例づくり運動からスタートした政党で、イタリアのコメディアン、ベッペ=グリッロ氏が設立。現在は下院で与党に続く第二党にまで急成長を遂げています。

 山田さんの呼びかけで、リカルド議員が11月28日には来日し、講演することが決定。IWJも中継しますので、改めて告知します。

 また、山田さんはインタビューで、やがて日本でも遺伝子組換えの表示義務がなくなり、「日本は遺伝子組換えの氾濫国になるだろう」とも懸念を示されています。インタビューを見逃した方は、ぜひアーカイブでご覧ください。

社会保障における、不幸の均霑 

知り合いの精神科医から聞いたところでは、精神障害者・・・多くが、長い経過のうつ病や統合失調症の患者達・・・の障害年金が、ばさばさと切られている由。社会保障は「合理化」しなければならない面があるのは分かるが、だが、障害年金をほぼ機械的に「切る」という形で、社会保障を抑制するのは頂けない。彼らにとって、その年金が生きるために必要なものであることが多いからだ。

行政の立場からは、生活保護等との平等性を確保するといった理由づけが行われるのかもしれない。だが、それは、不幸の均霑だ。下のレベルに合わせようという、行政に特有の論理だ。

所得控除を、高所得者、高齢者を中心に下げることも議論されている。低所得者の所得税減税と抱き合わせにするらしいが、力点は前者にあるのは当然だろう。高所得者という縛りも、徐々に引き下げられて、国民全般の所得控除の引き下げになって行くのは目に見えている。ここにも、不幸の均霑の論理がある。

以前のポストで、第二次世界大戦中、徴兵制がなぜ広く行われるようになったかを、ある本から学んだことを記した。こちら。不幸の均霑という論理は、大衆に受け入れやすい。だが、それを用いて、国民生活や、国民の生命自体を危機に晒す策動を、行政と政権が画策するのだ。

本音を言えば、国家財政を考えると、増税は今後不可避だと思っている。だが、「不幸の均霑」から小賢しく逃れている連中がいる。また、不幸の均霑の論理で社会保障を切り下げることには反対だ。社会のセーフティネットが破壊されると、社会の安定が損なわれる。目に見えぬところで進められる、社会保障の切り下げに注目してゆく必要がある。

日本の製造業の劣化 

最近、日本の製造業の劣化が著しい。というか、以前から劣化していたことが明るみに出始めている。

最近、一年間で明らかになった製造業の不祥事。twitterから・・・

三菱重工→大型客船撤退
三菱航空機→MRJの相次ぐ納期延期
東芝→米国の原発事情で巨額損失
タカタ→不良エアバッグで経営破綻
日産→不正検査発覚
神戸製鋼→データ改竄発覚
日立→英高速鉄道で初日から故障

これは、独立した別な問題がたまたま同時に表面化したということなのか。おそらく、根は深い。日本企業、その従業員、経営者は、一つの方向にまとまって進む時には強いが、社内で行われる不正を正す等流れに抗して行動しなければならないことは苦手なのではないか。右肩上がりの成長期には、この同じ方向に向いて突っ走る国民性というかエートスは、成長を助けた。だが、グローバリズムの競争がわが国を襲い、コスト削減の嵐が吹き荒れ、それまで吹き溜まっていた闇の部分が表面に出てきた、ということなのではないか。神戸製鋼のように、政治家・行政・防衛省と強く結びついたことが、不正の発覚を遅らせた可能性のある企業もある。これも、高度成長期に処理されずに残った残渣なのだろう。具体的に問題とその原因が検討されるのを待ちたい。日本の製造業の転換点にあるような気がする。

神戸製鋼の不正は、取引会社6000社、製品の納入先は全世界500社以上に上ると言われている。不正は40年前から行われており、何度かそれの一端が明らかになったが、今回のことで、会社全体が不正に関与していたことが明るみに出た。米国関係政府部門が、神戸製鋼に情報提供を求め、本格的な調査に乗り出すようだ。この規模からすると、神戸製鋼は存立するのが困難になることだろう。

ところが、「おっとっとの」報道が入ってきた。神戸製鋼の社債を日銀が買い支えている、というのだ。社債総額1500億円の約1/3を日銀が購入したらしい。社債は、不正発覚後、暴落していたのだが、日銀の買いオペのおかげか、価格が持ち直しているとも言われている。日銀は、一体何を考えているのだろうか。

神戸製鋼は、安倍首相が政治家になる前に勤めていた会社だそうだ。神戸製鋼と、安倍首相、原発、防衛省などとの密接な関係をリテラが報じている。こちら。

BOC会長逮捕 

リオオリンピック招致をしたBOC会長が、賄賂を贈ったことで、逮捕された。こちら。

贈収賄の相手、金額まで、JOCとそっくりではないか。

さて、東京オリンピック招致にJOCによる贈収賄があったと、フランス・ブラジル当局が認めた。この疑惑をきちんと解明するかどうか、我が国が法治国家であるかどうかが問われる。そして、この贈収賄によって、誰が利権を得ているのか徹底して解明されるか、が問題になる。

電通は、独占禁止法違反のブラック企業 

電通の違法残業事件、検察の求刑は罰金50万円だそうだ。労災自殺せざるを得なかった高橋まつりさん。それに1700名に及ぶ違法労働条件を受け入れざるをえなかった社員は、このようなかるい求刑にはとても満足できまい。これでは、労基法違反を奨励するようなものだ。

電通は、広告業界の50%を占め、マスコミに穏然たる影響力を行使し、政治権力とも密接な関係を築いてきた。明らかに、独占禁止法の精神に悖る企業である。

独占禁止法は(1)私的独占、(2)不当な取引制限、(3)不公正な取引方法を禁止している。

広告業界の50%のシェアを占め、二位の博報堂の20%に大きな差をつけている。これが、不当な取引制限、不公正な取引方法を生み出している。マスコミは、電通の闇を報じられない。広告業界にこれだけの独占シェアを持つ企業だからだ。最近、フランスとブラジルの検察当局は、東京オリンピック招致に際して、電通関連会社を介して巨額の賄賂が渡ったと認定した。その事実も、マスコミではほとんど報じられない。電通は、政治権力とも密接な関係を結び、政治権力に有利になるように世論形成している。きたるべき国民投票でも、時の政治権力に有利に働くように電通が動くと言われている。東京オリンピックの招致、情報、広報等で、電通は巨額の利益を挙げている。その背後には、政治家・財界人が蠢く。

そんな企業が、労基法を完全に無視した過重労働を、社員に課してきた。それに対する求刑がたったの50万円なのだ。

電通は、解体し、幾つかの会社に分けるべきだろう。また、社会的不公正を行うことに対するぺナルティは、会社が存続しえないほどに大きくすべきである。

以下、引用~~~

過労死、日本全体で意識変えて=高橋さん母-電通初公判

2017年09月22日 16時51分 時事通信

電通の違法残業事件で、労災自殺が認定された高橋まつりさん。写真は大学4年だった2015年3月、卒業旅行で米国を訪れた際に撮影したもの(遺族提供)

 広告大手電通の違法残業事件で、2015年末に過労自殺した元新入社員高橋まつりさん=当時(24)=の母幸美さん(54)が22日、厚生労働省で記者会見し、「電通の職場改善に全ての社員が強い意思で取り組んでほしい。そのためには株主や顧客、日本全体の意識が変わらなければならないと思う」と訴えた。

 電通の初公判は同日東京簡裁で開かれ、幸美さんは息子と共に傍聴。会見にはまつりさんの遺影と一緒に臨み、「公の裁判で裁かれ、感慨深いものがあった」などと涙ながらに語った。

 度重なる是正勧告にも従わず、検察側に顧客最優先と指摘された企業体質は「本当にその通りだ」と述べ、「社員、顧客、全てが狂った常識の中で回っていたのではないか」とも問い掛けた。

 同社の山本敏博社長は法廷で起訴内容を認めて謝罪し、改善を誓った。しかし、幸美さんは「まつりは生前、残業するなと言われながら、新入社員は死ぬほど働けと理不尽なことを言われ、この会社はおかしいと語っていた。にわかには信じがたいという思いでいっぱいだ」と述べた。 

オリンピック招致に、賄賂とタックスヘイブンが絡む 

電通・政財界が、一体となって、東京オリンピック招致を実現した。そこには大きな闇の部分がある。こちら。

オフショア金融機関の問題も、その後一向に対処したという話が聞こえてこない。タックスヘイブンの口座は、ほとんどが偽名で、捜査は難しいのだろう。が、国家的犯罪、政治経済犯罪の隠れ蓑になっている可能性が極めて高い。電通もパナマ文書に名が載っていた。オフショア金融機関を通して、電通が、こうした賄賂を国際オリンピック委員会の担当者に渡るように手配した可能性がある。

賄賂を贈るのは、何かを期待してのことだ。オリンピック開催で、誰かが、大きな利権を得ようとしている。誰が、どのような利権を得るのか、国民は知らされていない。賄賂の原資は、税金だ。

このような賄賂絡みの催し、巨額の税金を使う催しは、もう止めるべきではないだろうか。

以下、引用~~~

東京、リオ五輪で買収と結論
英紙報道、招致不正疑惑

2017/9/14 18:59

 【ロンドン共同】2016年リオデジャネイロ五輪と20年東京五輪招致の不正疑惑を巡り、ブラジル司法当局が両五輪の招致委員会から、当時国際オリンピック委員会(IOC)委員で国際陸連会長だったラミン・ディアク氏(セネガル)を父に持つパパマッサタ・ディアク氏に対し、多額の金銭が渡った可能性があると結論づけたことが分かった。英紙ガーディアン(電子版)が13日、報じた。

 フランス当局の捜査を基に書類をまとめたブラジルの当局は、IOC内で特別な影響力があったラミン・ディアク氏を買収する意図があったとしている。

経済的不平等の進行 

昨年は、8名だったが、今年は5名だ・・・全世界の富の半分を保有している、富裕層の人数である。経済的不平等の凄まじい進行だ。

そうした富裕層の人間、ビル ゲイツやズッカーバーグが、競合者と如何に競い合って、その富を築いたか。彼らは、既存の技術や自ら所属する大学の名前に助けられてたまたま成功を収めたに過ぎない。そして、彼らの社会貢献が如何に偏ったものであるかを、この論文が述べている。

マイクロソフトがこれほど世界を支配できたのは、グローバリズムが存在したためなのだ。米国の経済を成長させた理由は、グローバリズムという戦略を取ったためだ。だが、それは、上記の通りの格差を生み出した。

わが国でも、実質賃金は1990年代半ばをピークとして、右肩下がりに下がってきている。その一方、企業収益(当期純利益)は2000年以降、2008年のリーマンショックの時期を除き、右肩上がりに上がっている。企業の内部留保は、昨年過去最高を記録した。一方、生活保護受給者数が上昇を続けている。

それに対する反発が、現在進行中のナショナリズムの形を取った、反グローバリズムの動きだ。だが、トランプはラストベルトの人々の声に応えることなく、ウォールストリートの声の代弁者になっている。わが国も同じだ。自己責任を強調するリバタリアン的な浅薄な思潮が支配的だ。それが自らの権利を奪い、経済的に簒奪されることになるのを分からずに、愛国主義の外見をまとったグローバリズムの醜い政治的な妖怪が社会を支配するに任せている。破滅への道を進んでいるのだ。

『愛国的リバタリアン』 

内田樹氏の評論。いつもながら鋭い。こちら。

愛国的リバタリアンの先頭に立つのは、安倍首相である。

政権のマスメディア戦略に乗せられる、または乗る国民 

秋篠宮長女の婚約(実際には婚約まで至っていない)報道を、前川前文科省事務次官の証言報道と同時にぶつける。さらには、その直前に、前川氏の風俗がらみの記事を読売新聞に載せさせる。両方ともに、内閣官房の企図したことであることは、直接、間接の証拠で明らかになっている。こうした陰謀が果たして許されるのだろうか。

国民に正常な判断力があれば、これほどあからさまなマスメディアを用いた陰謀がなされたら、政権支持率は急落するはずだ。だが、そうはおそらくならない。国民の民度の問題というべきか、それとも政権のマスメディア戦略が効を奏したというべきか、私には分からない。こうした政権の裏側のやり方は、そう遠くない将来、国民に向けて容赦なく実行されることだろう。国民は痛みを被らなければ、それに気づかないのかもしれない。

内田樹氏の言う、国民に痛みを強要する政権、それを国民が理解するにはまだ時間がかかるのだろう。

池上彰氏の読みはさすがである。

以下、引用~~~

 5月26日付朝日新聞デジタル (池上彰の新聞ななめ読み)加計学園「総理の意向」文書 それでも認めないトップ

 5月16日の夜7時、NHKニュースが「秋篠宮ご夫妻の長女の眞子さまが、大学時代の同級生の男性と婚約される見通し」という特ダネを報じました。これを受けて新聞各紙は翌17日の朝刊で追いかけます。各紙1面トップで報じる中、異彩を放ったのが朝日です。「眞子さま婚約へ」という記事は2番手で、1面トップに加計(かけ)学園の新学部は「総理の意向」という別の特ダネをもってきたからです。
    *
 この紙面構成にするに当たっては、社内で議論があったのではないかと勝手に推測しています。加計学園をめぐる特ダネ記事を1面トップにするか、眞子さまの婚約見通しをトップにするか。

 朝日は独自路線を選択しました。いい判断でした。

 加計学園の新学部に関し、安倍晋三首相の意向が働いたかどうか。これが最大の焦点でした。それを示す内部文書が文部科学省の中にあったというのですから、スクープです。

 〈安倍晋三首相の知人が理事長を務める学校法人「加計学園」(岡山市)が国家戦略特区に獣医学部を新設する計画について、文科省が、特区を担当する内閣府から「官邸の最高レベルが言っている」「総理のご意向だと聞いている」などと言われたとする記録を文書にしていたことがわかった〉

 そうか、ついに決定的な証拠が出たか。一読して、そう感じたのです。

 朝日の特ダネに敏感に反応したのが毎日です。17日夕刊で、すぐに追いかけました。次のように。

 〈毎日新聞が文科省関係者から入手したA4判の文書によると、「獣医学部新設に係る内閣府の伝達事項」と題された文書には「平成30年4月開学を大前提に、逆算して最短のスケジュールを作成し、共有いただきたい」「これは官邸の最高レベルが言っていること」と早期の開学を促す記述があった〉
    *
 この記事を読むと、毎日が入手した文書は、朝日が得ていた文書と同一のようです。朝日の記事が重要な特ダネだと毎日も理解したのです。

朝日が報じた文書について、同日午前、菅義偉官房長官は「どういう文書か。作成日時だとか、作成部局だとか明確になってないんじゃないか。通常、役所の文書はそういう文書じゃないと思う」と語ったそうです(18日付朝日朝刊)。官房長官は怪文書扱いしたのですね。不思議な対応です。

 本来、このような重大な事実を推測させる文書の存在が報道されたら、「重大な問題を提起している。早速事実関係を調べてみたい」と答えるべきなのではないでしょうか。それが、怪文書扱いして調べようとしないのは、何か不都合なことがあるからではないかと思ってしまいます。

 この官房長官の記者会見でのコメントに、朝日は事実をもって反論します。18日付朝刊で、作成日時と「対応者」の4人の実名が書かれていると報じたのです。

 さあ、こうなったら、実名が記された人たちは、なんと答えるのか。朝日は19日付朝刊で伝えています。18日の国会答弁で、「わからない」「記憶はない」と繰り返したというのです。

 さらに20日付朝刊で、文科省が文書の存在を調べたが「存在は確認できなかった」と松野博一文科相が発表したと報じています。「個人が省内で使っているパソコンは調べなかった」というのです。
    *
 これを調査というのか。都合の悪い文書の存在が明らかにされたため、関係者たちが右往左往している様子がわかります。

 この対応に朝日は追い打ちをかけました。25日付朝刊で文科省の前川喜平前事務次官のインタビュー記事を掲載。事務次官在職中、問題の文書を見たと証言したのです。

 怪文書ではなくなりますが、松野文科相は25日の参議院文教科学委員会で、「すでに辞職された方の発言であり、文科省としてコメントする立場にない」と述べています。何としても認めたくない。教育行政のトップは、こういう人なのです。

権力による個人攻撃 

前川前文科省次官の証言に関して、明らかになっていることが一つある。

その証言の直前に、読売新聞が彼の個人攻撃を始めたということである。週刊新潮の記事によると、彼の個人情報は内閣から与えられたものらしい。その証拠に、同時に菅官房長官が、前川氏の個人攻撃を始めた。

以前のポストから繰り返している通り、安倍政権にとって都合の悪い人物の個人情報をマスメディアを通して流し、その人物への信頼を貶めようとする戦術を、安倍政権、内閣は取っている。それは、質の悪い権力乱用である。

その同じ政権が、個人的なプライバシーを諜報活動や、通信傍受活動によって捜査段階で得ることによって成立する共謀罪を法制化しようとしている。これは単なる偶然の一致ではない。

田中龍作氏の下記の記事に、読売新聞が権力の走狗となっている様子を的確に記されている。読売新聞もマスメディアとして哀れだが、その背後には権力を乱用する存在がいる。その存在は、国民全体を監視し、権力に批判的な国民を、貶めようとしている。

以下、引用~~~

 5月26日付警察官僚の手先となり前次官追い詰める読売新聞(田中龍作)

 警察庁出身の上司に、自分が風俗店に出入りしている写真を見せつけられて「こういう所に出入りしているらしいじゃないか」。

 現職時代の昨秋、官邸に呼びつけられて、こう咎められたのが文科省の前川喜平・前次官だ。

 前川氏が「総理のご意向」を明るみに出すと、読売新聞は、氏が新宿の風俗店に出入りしていた、と報じた。

 読売が “スクープ” した経緯は『週刊新潮』(25日発売)に詳しく書いてあるので、筆者はこれ以上述べない。

 示し合わせたかのように菅官房長官は、前川氏の個人攻撃を始めた。官邸と読売新聞が一体となって前川氏への人格破壊攻撃を仕掛けたのである。

 「誰と誰が付き合っている。不倫関係にある」「アイツはよくソープに行く」「あの男は資産をこれ位持っている」…警察は日本最大の個人情報データバンクだ。

 尾行、盗聴、防犯カメラがそれを可能にする。特に風俗業界は警察の管轄下にあるため、こと細かな情報まで入ってくる。

 元警察庁長官が、現在、官邸事務方の頂点に君臨する。安倍政権に不都合な人物の人格破壊なんぞ朝飯前だ。
22日(左)と26日(右)の読売新聞朝刊。前川氏を意図的に貶めるコメントが目立つ。

 文科行政の最高責任者だった前川氏は25日、弁護士に付き添われて記者会見した。場所は弁護士会館。氏が置かれた状況を物語っていた。

 読売新聞記者の質問に背筋が寒くなった。「現職中に知り得たもの(情報)を流布する(よく聞き取れず)のは、守秘義務違反に当たると思わないか?」

 身を賭して権力の不正を暴いた人物を、権力の手先となって追い詰める。新聞という公器を持つ大企業が、である。

 別の社の記者が「権力の脅しか?」 と問うと、前川氏は「そんな国家だとは思いたくない」と答えた。

 何者かが前川氏を「国家公務員法第100条」違反で告発し、読売新聞があることないことを書き立てる。世論が湧いたところで検察が動く・・・悪夢が現実とならないことを祈るのみだ。

   ~終わり~