オリンピック招致に、賄賂とタックスヘイブンが絡む 

電通・政財界が、一体となって、東京オリンピック招致を実現した。そこには大きな闇の部分がある。こちら。

オフショア金融機関の問題も、その後一向に対処したという話が聞こえてこない。タックスヘイブンの口座は、ほとんどが偽名で、捜査は難しいのだろう。が、国家的犯罪、政治経済犯罪の隠れ蓑になっている可能性が極めて高い。電通もパナマ文書に名が載っていた。オフショア金融機関を通して、電通が、こうした賄賂を国際オリンピック委員会の担当者に渡るように手配した可能性がある。

賄賂を贈るのは、何かを期待してのことだ。オリンピック開催で、誰かが、大きな利権を得ようとしている。誰が、どのような利権を得るのか、国民は知らされていない。賄賂の原資は、税金だ。

このような賄賂絡みの催し、巨額の税金を使う催しは、もう止めるべきではないだろうか。

以下、引用~~~

東京、リオ五輪で買収と結論
英紙報道、招致不正疑惑

2017/9/14 18:59

 【ロンドン共同】2016年リオデジャネイロ五輪と20年東京五輪招致の不正疑惑を巡り、ブラジル司法当局が両五輪の招致委員会から、当時国際オリンピック委員会(IOC)委員で国際陸連会長だったラミン・ディアク氏(セネガル)を父に持つパパマッサタ・ディアク氏に対し、多額の金銭が渡った可能性があると結論づけたことが分かった。英紙ガーディアン(電子版)が13日、報じた。

 フランス当局の捜査を基に書類をまとめたブラジルの当局は、IOC内で特別な影響力があったラミン・ディアク氏を買収する意図があったとしている。

経済的不平等の進行 

昨年は、8名だったが、今年は5名だ・・・全世界の富の半分を保有している、富裕層の人数である。経済的不平等の凄まじい進行だ。

そうした富裕層の人間、ビル ゲイツやズッカーバーグが、競合者と如何に競い合って、その富を築いたか。彼らは、既存の技術や自ら所属する大学の名前に助けられてたまたま成功を収めたに過ぎない。そして、彼らの社会貢献が如何に偏ったものであるかを、この論文が述べている。

マイクロソフトがこれほど世界を支配できたのは、グローバリズムが存在したためなのだ。米国の経済を成長させた理由は、グローバリズムという戦略を取ったためだ。だが、それは、上記の通りの格差を生み出した。

わが国でも、実質賃金は1990年代半ばをピークとして、右肩下がりに下がってきている。その一方、企業収益(当期純利益)は2000年以降、2008年のリーマンショックの時期を除き、右肩上がりに上がっている。企業の内部留保は、昨年過去最高を記録した。一方、生活保護受給者数が上昇を続けている。

それに対する反発が、現在進行中のナショナリズムの形を取った、反グローバリズムの動きだ。だが、トランプはラストベルトの人々の声に応えることなく、ウォールストリートの声の代弁者になっている。わが国も同じだ。自己責任を強調するリバタリアン的な浅薄な思潮が支配的だ。それが自らの権利を奪い、経済的に簒奪されることになるのを分からずに、愛国主義の外見をまとったグローバリズムの醜い政治的な妖怪が社会を支配するに任せている。破滅への道を進んでいるのだ。

『愛国的リバタリアン』 

内田樹氏の評論。いつもながら鋭い。こちら。

愛国的リバタリアンの先頭に立つのは、安倍首相である。

政権のマスメディア戦略に乗せられる、または乗る国民 

秋篠宮長女の婚約(実際には婚約まで至っていない)報道を、前川前文科省事務次官の証言報道と同時にぶつける。さらには、その直前に、前川氏の風俗がらみの記事を読売新聞に載せさせる。両方ともに、内閣官房の企図したことであることは、直接、間接の証拠で明らかになっている。こうした陰謀が果たして許されるのだろうか。

国民に正常な判断力があれば、これほどあからさまなマスメディアを用いた陰謀がなされたら、政権支持率は急落するはずだ。だが、そうはおそらくならない。国民の民度の問題というべきか、それとも政権のマスメディア戦略が効を奏したというべきか、私には分からない。こうした政権の裏側のやり方は、そう遠くない将来、国民に向けて容赦なく実行されることだろう。国民は痛みを被らなければ、それに気づかないのかもしれない。

内田樹氏の言う、国民に痛みを強要する政権、それを国民が理解するにはまだ時間がかかるのだろう。

池上彰氏の読みはさすがである。

以下、引用~~~

 5月26日付朝日新聞デジタル (池上彰の新聞ななめ読み)加計学園「総理の意向」文書 それでも認めないトップ

 5月16日の夜7時、NHKニュースが「秋篠宮ご夫妻の長女の眞子さまが、大学時代の同級生の男性と婚約される見通し」という特ダネを報じました。これを受けて新聞各紙は翌17日の朝刊で追いかけます。各紙1面トップで報じる中、異彩を放ったのが朝日です。「眞子さま婚約へ」という記事は2番手で、1面トップに加計(かけ)学園の新学部は「総理の意向」という別の特ダネをもってきたからです。
    *
 この紙面構成にするに当たっては、社内で議論があったのではないかと勝手に推測しています。加計学園をめぐる特ダネ記事を1面トップにするか、眞子さまの婚約見通しをトップにするか。

 朝日は独自路線を選択しました。いい判断でした。

 加計学園の新学部に関し、安倍晋三首相の意向が働いたかどうか。これが最大の焦点でした。それを示す内部文書が文部科学省の中にあったというのですから、スクープです。

 〈安倍晋三首相の知人が理事長を務める学校法人「加計学園」(岡山市)が国家戦略特区に獣医学部を新設する計画について、文科省が、特区を担当する内閣府から「官邸の最高レベルが言っている」「総理のご意向だと聞いている」などと言われたとする記録を文書にしていたことがわかった〉

 そうか、ついに決定的な証拠が出たか。一読して、そう感じたのです。

 朝日の特ダネに敏感に反応したのが毎日です。17日夕刊で、すぐに追いかけました。次のように。

 〈毎日新聞が文科省関係者から入手したA4判の文書によると、「獣医学部新設に係る内閣府の伝達事項」と題された文書には「平成30年4月開学を大前提に、逆算して最短のスケジュールを作成し、共有いただきたい」「これは官邸の最高レベルが言っていること」と早期の開学を促す記述があった〉
    *
 この記事を読むと、毎日が入手した文書は、朝日が得ていた文書と同一のようです。朝日の記事が重要な特ダネだと毎日も理解したのです。

朝日が報じた文書について、同日午前、菅義偉官房長官は「どういう文書か。作成日時だとか、作成部局だとか明確になってないんじゃないか。通常、役所の文書はそういう文書じゃないと思う」と語ったそうです(18日付朝日朝刊)。官房長官は怪文書扱いしたのですね。不思議な対応です。

 本来、このような重大な事実を推測させる文書の存在が報道されたら、「重大な問題を提起している。早速事実関係を調べてみたい」と答えるべきなのではないでしょうか。それが、怪文書扱いして調べようとしないのは、何か不都合なことがあるからではないかと思ってしまいます。

 この官房長官の記者会見でのコメントに、朝日は事実をもって反論します。18日付朝刊で、作成日時と「対応者」の4人の実名が書かれていると報じたのです。

 さあ、こうなったら、実名が記された人たちは、なんと答えるのか。朝日は19日付朝刊で伝えています。18日の国会答弁で、「わからない」「記憶はない」と繰り返したというのです。

 さらに20日付朝刊で、文科省が文書の存在を調べたが「存在は確認できなかった」と松野博一文科相が発表したと報じています。「個人が省内で使っているパソコンは調べなかった」というのです。
    *
 これを調査というのか。都合の悪い文書の存在が明らかにされたため、関係者たちが右往左往している様子がわかります。

 この対応に朝日は追い打ちをかけました。25日付朝刊で文科省の前川喜平前事務次官のインタビュー記事を掲載。事務次官在職中、問題の文書を見たと証言したのです。

 怪文書ではなくなりますが、松野文科相は25日の参議院文教科学委員会で、「すでに辞職された方の発言であり、文科省としてコメントする立場にない」と述べています。何としても認めたくない。教育行政のトップは、こういう人なのです。

権力による個人攻撃 

前川前文科省次官の証言に関して、明らかになっていることが一つある。

その証言の直前に、読売新聞が彼の個人攻撃を始めたということである。週刊新潮の記事によると、彼の個人情報は内閣から与えられたものらしい。その証拠に、同時に菅官房長官が、前川氏の個人攻撃を始めた。

以前のポストから繰り返している通り、安倍政権にとって都合の悪い人物の個人情報をマスメディアを通して流し、その人物への信頼を貶めようとする戦術を、安倍政権、内閣は取っている。それは、質の悪い権力乱用である。

その同じ政権が、個人的なプライバシーを諜報活動や、通信傍受活動によって捜査段階で得ることによって成立する共謀罪を法制化しようとしている。これは単なる偶然の一致ではない。

田中龍作氏の下記の記事に、読売新聞が権力の走狗となっている様子を的確に記されている。読売新聞もマスメディアとして哀れだが、その背後には権力を乱用する存在がいる。その存在は、国民全体を監視し、権力に批判的な国民を、貶めようとしている。

以下、引用~~~

 5月26日付警察官僚の手先となり前次官追い詰める読売新聞(田中龍作)

 警察庁出身の上司に、自分が風俗店に出入りしている写真を見せつけられて「こういう所に出入りしているらしいじゃないか」。

 現職時代の昨秋、官邸に呼びつけられて、こう咎められたのが文科省の前川喜平・前次官だ。

 前川氏が「総理のご意向」を明るみに出すと、読売新聞は、氏が新宿の風俗店に出入りしていた、と報じた。

 読売が “スクープ” した経緯は『週刊新潮』(25日発売)に詳しく書いてあるので、筆者はこれ以上述べない。

 示し合わせたかのように菅官房長官は、前川氏の個人攻撃を始めた。官邸と読売新聞が一体となって前川氏への人格破壊攻撃を仕掛けたのである。

 「誰と誰が付き合っている。不倫関係にある」「アイツはよくソープに行く」「あの男は資産をこれ位持っている」…警察は日本最大の個人情報データバンクだ。

 尾行、盗聴、防犯カメラがそれを可能にする。特に風俗業界は警察の管轄下にあるため、こと細かな情報まで入ってくる。

 元警察庁長官が、現在、官邸事務方の頂点に君臨する。安倍政権に不都合な人物の人格破壊なんぞ朝飯前だ。
22日(左)と26日(右)の読売新聞朝刊。前川氏を意図的に貶めるコメントが目立つ。

 文科行政の最高責任者だった前川氏は25日、弁護士に付き添われて記者会見した。場所は弁護士会館。氏が置かれた状況を物語っていた。

 読売新聞記者の質問に背筋が寒くなった。「現職中に知り得たもの(情報)を流布する(よく聞き取れず)のは、守秘義務違反に当たると思わないか?」

 身を賭して権力の不正を暴いた人物を、権力の手先となって追い詰める。新聞という公器を持つ大企業が、である。

 別の社の記者が「権力の脅しか?」 と問うと、前川氏は「そんな国家だとは思いたくない」と答えた。

 何者かが前川氏を「国家公務員法第100条」違反で告発し、読売新聞があることないことを書き立てる。世論が湧いたところで検察が動く・・・悪夢が現実とならないことを祈るのみだ。

   ~終わり~

未熟な民主主義社会 

白井聡氏が、この論考でいささかいら立ち気味に、現在の日本社会の民主主義・政治意識がいかに劣化しているか、というより成熟していなかったかということを述べている。

安倍政権は、まさにやりたい放題である。彼の目指す、戦前の国家主義体制への回帰が実現しそうにも見える。が、安倍政権には言うこととなすことの違いも目立つ。戦後レジームを否定しつつ、政治的には米国に隷従し、さらに経済の上では、国家主義とは相いれない新自由主義的政策を取っている。戦前の体制に戻り様がない。国民の間における自民党の支持は決して絶対多数ではない。むしろ、徐々にその絶対支持者数は減少してきている。その証左が、本来相いれなかった公明党との共同がなければ、選挙で多数を維持できないことだ。

国民に犠牲がでる、ないし腐敗が表に出てくることが明らかになれば、安倍政権は容易に崩壊する。

そこで何が政治の主導権を握るのか。このような未熟な民主主義社会では、さらなる独裁的な政治家が出現するリスクもあるのではないだろうか。無党派層という大多数の国民が、自らの置かれた状況を理解し、政治参加することが重要なのだが・・・。

以下、引用~~~

民主主義考 白井聡さんが語る安倍政治(上) 国家権力の腐敗と本質
白井聡 | 京都精華大学人文学部専任講師(政治学・社会思想)
5/22(月) 0:46

■朝鮮半島危機があぶり出したもの

実際に日本に対してミサイル攻撃がある可能性は現時点ではほぼないと考えている。最も頼りになる指標は、在韓米人に対して退避指示を米政府が出していないことだ。1994年に米クリントン政権が北朝鮮の核開発を止めようと考え、先制攻撃した場合の被害を試算した。だがその数字があまりに膨大だったため「北の核開発問題」の武力行使による解決を断念し、今日に至る。

いま試算すれば当時よりも大きな被害が算出されるだろう。従って普通に考えれば北朝鮮への先制攻撃などあり得ない選択だ。だが、トランプ政権のとる方向性はいまだ不透明だ。硬軟いずれをとるにせよ、従来とは異なる仕方で行くと宣言している。

仮に戦端が開かれたならばどうなるか。北朝鮮と韓国を隔てる国境、38度線ではソウルに向けて砲台が並べられている。日本へ向けられた弾道ミサイルの基地も複数ある。先制攻撃となればまずそこをたたくことになるが、もちろんつぶし切れない。

核兵器の小型化にどの程度成功しているか定かではない。毒ガスや細菌兵器の開発も進められている可能性がある。日本への報復攻撃があれば、数万人~数十万人が犠牲になる恐れもある。
こうした話をしていると、とても虚しくなる。何が虚しいか。それは、私たちの運命の根本部分を米国の決断が握っているという事実に直面するからだ。同時に、私たち自身がそうした状態に自らを追い込んできた。米国に支配され、かつ支配された状態に依存してきたのだ。

そこで安倍首相の発言の重大な意味を考える必要がある。

トランプ大統領は「全ての選択肢がテーブルの上にある」と言った。そこには先制攻撃という選択肢も含まれるわけだが、安倍首相は躊躇なく「支持する」と言った。それは、「私たちには犠牲を払う覚悟がありますよ」という決意表明にならざるをえない。だが、いつ私たちはそんな覚悟について相談されただろうか。一度たりともそんな相談を受けていない。安倍首相は、国家と国民の運命そのものを勝手に売り渡した。

■能天気のツケ

これまで、在日米軍は重要であり、日米安保体制を強化しなければならない、という主張のために「北の脅威」は常に引き合いに出されてきた。確かに、さまざまな側面で北朝鮮という国家は常軌を逸している。だが、だからといって、米国に頼ればよいとする姿勢がいかに能天気であったかということがいま突き付けられている。そのツケを最悪の形で払わされかねないという状況は去っていない。当座の危機が去ったとしても、それで「めでたしめでたし」という話では全くない。朝鮮戦争がいまだ終わっていないという異常な状態に、東アジアの諸国民がどうやって決着をつけるのかという難題を直視しなければならない。

ところが政府は何をやっているか。各地でミサイル対策の避難訓練をしている。馬鹿丸出しである。ミサイル攻撃にさらされたとき、公民館に逃げ込んだところで何の意味があるのか。竹槍でB29を落とそうとしていた頃から進歩ゼロだ。こういう無意味なことをやることの目的はただ一つで、支配者に盲従する自分の頭で考えないロボット人間を作るためである。しかも、多数の自治体が自ら進んでこの恥ずかしい訓練に取り組んでいる。レジーム(体制)全体が劣化し、腐りきって朽ち果てるのを待つのみ、という現在の政治状況を映し出している。

■消失する民主化

これは何もなかったところから、いきなり腐り始めているわけではない。明治以来の国家権力の本質が表出し始めているという見方の方が正確だ。この国の国家権力が民衆の自立的な活力を信頼することによって社会を成り立たせようとしたことは一度たりともない。

1945年の敗戦によって民主化されたというは全くの嘘だということ。敗戦のショックと占領という究極の外圧によって、権威主義的な政治が一時的に薄らいだだけのことだ。民主主義を形だけ標榜する政治は70年余りを経てその本来の姿に戻りつつある。

■「愚民」の選択

しかし、何も為政者のみが悪いのではなく、このような状態を許容しているのは、究極的には国民大衆だ。昨年7月の参院選の際、神奈川新聞が実施したアンケート結果を見て私は衝撃を受けた。質問は、参院選で焦点となっている「3分の2」の意味を知っていますか-。100人に聞いたところ67人は「知らない」と回答したという。憲法改正を発議するためには「両院それぞれ3分の2以上の賛成」が必要という数字であり、今後安倍政権が進めたがっている改憲論議を踏まえれば、参院選の最も重要なテーマだったはずだ。

だがおよそ7割の有権者はそのことを認識していなかった。正論を言えば、こんな状況下で普通選挙をやっている事の方が間違っている。

かつて制限選挙が当たり前だった時代の普通選挙導入論に対する批判は、「判断力のない人々(愚民=貧乏人と女性)に選挙権を与えたら、ろくでもない政治家を選ぶので危険だ」というものだった。貧しい人や女性には判断力がないという考え方は間違っているが、しかし判断力がない人間に参政権を与えるのは不適切、という論理はもっともである。

だが、普通選挙制度は導入された。ではかつての批判にどう答えてきたのか。最も筋の通った反論は、「判断力が未熟な場合があるとしても、人は判断力を高めるべく努力するはずだ」というものだ。

今日の惨状をみたとき、この反論は成り立つのか。人口の大多数が義務教育の年限を超えて教育を受けているはずなのに、最低限の政治知識も持ち合わせていない。それは要するに、公民たろうとする意思がないということだろう。あるいは、地方に行けば投票先について「うちは昔から代々ずっと○○先生に決めていますから」という話をよく聞く。現に未熟であるだけでなく、その自覚もない。

戦後日本の民主主義が成功したかのようにみえたのは、経済成長によって社会が安定していたからにすぎない。民衆の政治的成熟度の点では、日本はアジアの最後進国に成り下がりつつある。

※本稿は5月18日「神奈川新聞」朝刊に掲載されました。

白井聡
京都精華大学人文学部専任講師(政治学・社会思想)
1977年、東京都生れ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒、一橋大学大学院社会学研究科博士課程単位修得退学。博士(社会学)。政治学者の立場から「いま何が起きているのか」を考え、分析します。私の専門は、政治哲学とか社会思想などと呼ばれる分野です。哲学・思想のプリズムを通して、現実の本質に迫りたいと思います。著書に、『未完のレーニン』(講談社選書メチエ)、『「物質」の蜂起をめざして――レーニン、〈力〉の思想』(作品社)、『永続敗戦論――戦後日本の核心』(太田出版)、共著に『日本人が知らないウィキリークス』(洋泉社新書)などがある。朝日新聞社「WEBRONZA」寄稿者。

受動喫煙による疾病罹患と医療費 

IARCの発がん物質リストにおいて、受動喫煙は発がん性ありと断定されるグループ1に入っている。受動喫煙は、発がんだけでなく、さまざまな病気を発症させる。こちらを参照。とくに、気道疾患である、気管支喘息やCOPDの大きなリスクファクターだ。外来で仕事をしてきた時には、喫煙者の親御さんには、お子さんのためにぜひ禁煙してもらいたいとお願いしてきた。

厚労省が重い腰を上げ、受動喫煙防止法案を作ることにしたようだが、自民党内部から異論が出ているらしい。どうも国会の大臣室は、大臣の判断で喫煙可とされるかもしれない、とのことだ。タバコは趣味の問題なのだから、それに口を挟むなといった、喫煙者の主張が聞こえてくるようだ。大臣には、どんどんタバコを吸って、癌になるか、慢性閉そく性肺疾患になるかしてもらって結構だが、受動喫煙を防ぐことは、政治家として国民のために行うべきだろう。

受動喫煙による医療費を推計した記事。

以下、引用~~~

肺がん・脳卒中など…受動喫煙の医療費、年3200億円超
17/05/13記事:読売新聞

 喫煙しない人がたばこの煙を吸い込む受動喫煙で病気になり、余計にかかる医療費は年3000億円を超すという推計を厚生労働省研究班がまとめた。
 対策強化を盛り込んだ健康増進法改正案の今国会への提出を厚労省が目指すなか、受動喫煙による健康被害の大きさが浮き彫りとなった。
 研究班は、国の検討会が昨年発表した「たばこ白書」で受動喫煙との因果関係を「確実」とした肺がん、虚血性心疾患、脳卒中について分析。職場や家庭で長期にわたり間接的に煙を吸った40歳以上の人で、2014年度に余計にかかった医療費を算出した。
 その結果、医療費は肺がんが約340億円、虚血性心疾患が約960億円、脳卒中が約1900億円で、計約3200億円に上るとした。患者数はそれぞれ約1万1000人、約10万1000人、約13万人だった。
 研究班は患者が治療で仕事を休むことによる経済損失も推計。三つの病気の合計で損失は約820億円に達するとした。
 分担研究者の五十嵐中・東京大学特任准教授(薬剤経済学)は「職場や家庭で煙を吸った非喫煙者に、膨大な医療費がかかっていることが分かった。対策を急ぐべきだ」と話している。

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受動喫煙で、COPDによる死亡率が上昇することを示した最近のわが国の疫学研究。

以下、引用~~~

Int J Public Health. 2017 May;62(4):489-494. doi: 10.1007/s00038-016-0938-1. Epub 2017 Feb 17.
Passive smoking and chronic obstructive pulmonary disease mortality: findings from the Japan collaborative cohort study.
Ukawa S1, Tamakoshi A2, Yatsuya H3, Yamagishi K4, Ando M5, Iso H6; JACC Study Group.
Author information
Abstract
OBJECTIVES:
To elucidate the association between passive smoking at home and chronic obstructive pulmonary disease (COPD) mortality via a large-scale nationwide cohort study in Japan.
METHODS:
Never smokers (n = 34,604) aged 40-79 years at baseline (1988-1990; 4884 men, 29,720 women) were included in the analysis. Passive smoking at home was measured based on self-reported frequency of weekly exposure to passive smoking at home. An inverse probability of treatment-weighted competing risk model was used to calculate the hazard ratio (HR) and 95% confidence interval (CI) for COPD mortality.
RESULTS:
During a median follow-up of 16.4 years, 33 participants (10 men, 23 women) died of COPD. The HR for participants exposed to passive smoking at home ≤4 days per week or those who had almost daily exposure to passive smoking at home had a significantly increased risk of COPD mortality (HR 2.40, 95% CI 1.39-4.15, HR 2.88, 95% CI 1.68-4.93, respectively).
CONCLUSIONS:
The present findings suggest that avoiding passive smoking at home may be beneficial for preventing death due to COPD among never smokers.

わが国の経済格差の拡大 

月刊誌『KOKKO』編集者 井上伸氏のブログ によると、アベノミクスなる政策は、富む者をさらに富ませ、貧しい者をさらに貧しくする政策である、ということだ。富裕層トップ40人の資産は、第二次安倍政権になっておよそ2倍になった。52.5%の世帯の資産が富裕層40人の資産と同じになったのである。こちら。今後、収入が年金のみの高齢者が増え、この格差はさらに拡大することだろう。

小泉政権から顕著になった新自由主義的な政策を、安倍政権も着実に引き継いでいる。新自由主義的政策は、市場のフロンティアを、海外に求め得なくなり、国内の中間層をターゲットとして搾取するようになった。その当然の帰結が、この格差の拡大だ。貧しくなった層は、社会的弱者を包摂する制度を拒否する、むしろ更なる新自由主義的な政策の徹底を求める。差別と怨念の渦巻く社会が到来する。小さな政府を実現しえなくなると、ポピュリズムによる国家主義的な政治に親和性を示すようになる。

米国では、あからさまに大規模な法人税減税と、富裕層への減税が行われようとしている。中下流階級の白人が多いというトランプ支持者は、それでもトランプを支持し続ける。

非合理的なるもの 

新潟県知事米山隆一氏の、森友学園の何が問題か、と題する論考。合理的精神の欠如そのものだ、という点に共感する。

だが、自民党政権の目指すのは、結局、この森友学園が行ってきた「教育」を、全国民に強制することなのではないだろうか。

情報速報ドットコムにアップされた、創生日本の集まりにおいて、同党議員が声高に叫ぶ国家神道に基づく国家主義の国家の樹立こそが、安倍政権の目指すものなのだ。基本的人権、国民主権、平和主義の否定である。こちら。


その体制は、戦前、教育勅語によって祭政一致の国家神道体制に教化された国民が、原理主義的な軍部と一緒になり、国を破滅へ導いた体制に連なる。その体制下で、権力と利権を貪った官僚、一部の民間人がいた。現在の安倍政権の中枢にいる政治家たちは、その体制への復帰を目指している。

自民党の目指すものは、その非合理的なものなのだ。従って、米山氏の言う非合理的な教育の否定は、その背後にあるこの国家神道体制の否定でなければならない。

国民が知らぬうちに、戦前の非合理な祭政一致体制に逆戻りさせられようとしている。

以下、引用~~~

4月10日付米山隆一の10年先のために - 森友学園の何が問題か

森友学園について、誰が、何故、何時、何処で、どう関与したか、その当否が様々に取り上げられています。

 その一つ一つが問題なのは勿論その通りなのですが、私は、この問題の最大の問題は、森友学園(塚本幼稚園)で行われていた教育の明らかな不合理さと、それを目の当たりにしながら、現役の国務大臣はじめとする複数の政治家や、保守を掲げる名だたる識者が、問題発覚まで何の疑問も持つことなく、称揚し続けた合理的精神の欠如であると、思っています。
 
 後知恵の様で恐縮ですが、塚本幼稚園の特異な教育方法は2~3年前からインターネットでは有名で、私は当時から強い違和感を持っていました。
 
 少々話が飛んでしまいますが、私には今3歳になる姪がいます。身贔屓的になかなか利発で色々な言葉を良く覚える子ですがしかし、彼女に意味も分からぬ教育勅語を一字一句違わず暗記させ、毎朝直立不動で暗唱させようと思ったら(HPでは「朗唱」となっていますが、来賓の前で「暗唱」している動画が流布しています。)、ほぼ間違いなく、虐待に近い強制が必要でしょう。仮に保母さん方の献身的努力の末強制なしにそれができたとして、世の中には色々な子供がいます。当然何度言ってもできない子供もいるはずです。すべての子供が一糸乱れずあれができるという事は、ほぼ間違いなく、意思によってであれ能力によってであれ、いずれにせよ出来ない子供を強制的に排除していたのだろうと推測されます。

 それだけではありません。
森友学園のHP( http://www.tukamotoyouchien.ed.jp/about/ )によると、森友学園では幼稚園児が、正坐をし、論語を読み、そろばんをはじき、将棋をマスターし、ラグビーにいそしみ、年を通じて水泳をし、大正琴を演奏し、鼓笛隊の練習をし、様々な絵画・製作活動にいそしんで多数の表彰を受けていました。そんなことが、実際問題可能でしょうか?齢49歳になる私がやっても明らかにパンクするというか一目見て過剰で、これまた虐待に近い強制があったか、若しくは全くの誇大宣伝であったということでしょう。

 これらのことは、決して推論が難しいことではありません。数年前からインターネットに出回っていたあの映像を見て、たった一度HPを見るだけで、多少なりとも一般的な常識のある人になら、簡単に推測出来たことだと思います。

 ところが一般の人よりもはるかに見識が高いと思われている現職の国務大臣が、国会議員・地方議員が、保守を掲げる名だたる有識者が、そんな事をこれっぽっちも考えもせず、森友学園の教育を絶賛し、入学を勧めていたのです。

 その理由は、「森友学園が教育勅語を暗唱させていたから。」「森友学園が戦前精神主義的教育をしていたから。」以外にあるでしょうか?私はないと思います。

 これら有識者の方々は、おそらく本当に心から、「教育勅語を暗唱させさえすれば、幼稚園児の心身が鍛えられ、誰もかれもがたちどころに一言一句違わず直立不動で暗唱できるようになり、この超人的といえるスケジュールを次々こなせるようになる。」と信じていたのだと思います。

 百歩譲って具体的にそこまで思ってはいなかったとしても、この見識あふれる有識者の方々は、「教育勅語」「戦前精神主義の復活」という言葉を聞いた瞬間に、彼らにとって崇高なその精神論で頭がいっぱいになって、客観的事実の確認や、批判精神に基づく推論や検証の必要性といった、合理的精神の一切合切をきれいさっぱり忘れ去って、ただただ理事長である籠池氏の言を頭から信じ込み、その思い込みに基づく識見を多くの国民に披露し、それに従って行動することを勧めた事は否定できないでしょう。

 それで日本の行く先は、正しく示されるのでしょうか?「敵を知り己を知れば百戦殆うからず。敵を知らず己を知らざれば戦う毎に殆うし。」。合理的精神の欠如した、精神論によって導かれる政治は、国を危うくするものでしかありません。 

 私は、根拠なき精神論に惑わされず、客観的な現状認識に基づいて、現実的で合理的な対策を講ずる県政を進め、子供たちの未来のために、合理的精神を培う、合理的教育を行っていきたいと思います。

未婚率の上昇が続く 

生涯未婚率の増加が止まらない。この因果関係は明白で、大半が経済的理由で結婚できない、その結果少子化が進行するということだ。

未婚率が1990年代から右肩上がりに上昇し始めた。最近数年間は女性の未婚率が高くなっている。特に、女性の34歳までの未婚率が3割前後になっており、それは少子化に直接結びつく。

1990年代から、ということは、高度成長期が終焉を迎え、グローバル化が進行した時期である。非正規雇用が増え、賃金は抑制され、大都市部の生活費は相対的に高くなった。未婚率が高い地域は、地方に加えて東京が上位に来ている。これは東京の生活費が高くて家庭を持ちにくいためなのだろう。

いわば、グローバル化という更なる富の追求によって、国民(の中間階級)が貧しくなり、少子化・人口減少を招き、国力が却って低下する、という逆説的な現象を生じているわけだ。

これで、66%の国民が社会に満足している、という統計データを出す政府は、オカシイと思わないのだろうか。

以下、引用~~~

生涯未婚率、男性23%・女性14% 過去最高
朝日新聞デジタル 4/5(水) 20:25配信

生涯未婚率、男性23%・女性14% 過去最高
生涯未婚率は上昇傾向が続く

 50歳まで一度も結婚したことがない人が2015年に男性で4人に1人、女性で7人に1人いたことが、国立社会保障・人口問題研究所の調査で分かった。こうした人の割合を示す「生涯未婚率」は、10年の前回調査から男女とも3ポイント以上増えて過去最高を更新した。

 研究所は5年に1回、国勢調査を分析して生涯未婚率を割り出している。今回は男性が前回調査比3・23ポイント増の23・37%、女性は同3・45ポイント増の14・06%だった。男性は1970年まで、女性は60年まで1%台が長い間続いたが、その後、増加傾向に拍車がかかっている。

 都道府県別でみると、男性では沖縄の26・20%がトップで、岩手26・16%、東京26・06%が続いた。女性は東京の19・20%が最も高く、次いで北海道17・22%、大阪16・50%だった。低いのは男性では奈良18・24%、滋賀18・25%、福井の19・19%で、女性は福井の8・66%、滋賀の9・21%、岐阜の10・00%だった。

 同研究所が昨年9月に公表した出生動向基本調査によると、「いずれは結婚したい」と考える18~34歳の未婚者の割合は男性85・7%、女性89・3%だった。高水準だが、「結婚資金」や「結婚のための住居」の確保が障害と考えている人が多く、研究所の担当者は「非正規労働者の増加も生涯未婚率の上昇に影響している」とみている。(井上充昌)