医師の労働時間調査 当直はカウントせず 

厚労省が、医師の労働時間調査を行った。平均が週60時間程度という結果。結果はこちら。内閣府の行う世論調査の類とは異なり、一応調査対象は無作為で選ばれ、母集団とは相違しない(傾向がある)ということを示している。

だが、この調査には決定的な欠点がある。

当直勤務は、実働時間だけを労働時間に算定している。当直は、夜間勤務であり、すべてが労働時間にカウントされるべきなのだ。そうしないと、実態を反映しない。当直では、仕事場に泊まり込んで、いつ起こされるか分からぬ状況で、心身ともに休まることはない。当直が夜間労働であることは明らかだ。当直勤務こそが、医師の労働条件を左右するのであり、それを労働時間に入れないことは、労働行政統計上明らかな誤りである。

回答率も問題だ。10万人の医師に質問を行ったらしいが、回答者は1.5万人程度。特に若手医師の回答率が悪い。これで意味のある統計が出せるのだろうか。母集団と回答者群とがいくつかの属性に関して異ならない、と報告書は述べているが、圧倒的に回答者が少ないことは、それ自体ある種のバイアスになっている可能性が高い。例えば、忙しい医師は、こんな面倒な質問には答えていられない、というようなことだ。これでは意味のある統計とは言えない。

先日の内閣府の社会への満足度調査でも言えるが、母集団をもっと代表するサンプルを得る努力を何故しないのだろうか。当直を労働時間にカウントしない等、行政にとって都合の良い結果を導くための統計は必要がない。

「社会に満足」過去最高65%・・・という「統計」データ 

社会に満足している国民が65%という世論調査の結果が内閣府から公表された。結果はこちら。

層化二段無作為抽出によって10000人を選び出し、個別面接法によってデータを得たらしい。中央調査社という組織は、かなり大きな調査会社であり、歴史もある。ただ、設立当初から行政との関係は深かったようだ。

データをみて疑問に思ったこと;

○高齢者層の回答率が若年者層に比べて高い。

○回答を得られなかった群に、一時的不在という理由のケースが多い。

この二つの事象から見えてくることは、調査者は平日の日中に被調査対象の方を居宅に訪れているのではないか、ということだ。すると、若年層は少なく、一時不在ということも説明がつく。

母集団と、この有効回答群の間に、年齢構成、収入、その他の点で統計的な差異がなかったのか。統計は、調査対象の取り方で結果が大きく変わる。

この「社会に満足している」という項目は、2009年度が30%台だったものが、毎年右肩上がりだそうだ。それも、何か人為的な要因があることを想定させる。

このようなデータで、世論を誘導しようとしている何者かがいるのかもしれない。

その何者かが誘導しようとした世論の方向は・・・医療介護・社会保障を始めとして社会全般に大いに満足しているが、どうも安全保障の面で危機的になりつつある、軍備はこれまで以上に拡充し、集団的自衛権は米国と共同して世界中で大いに行使し、隣国の敵基地に対して先制攻撃を行ってもらいたい・・・かな・・・。財政危機もあるので、消費税のさらなる引き上げは止む無しという基調もありそう。

公表の日時は、4月1日。でも、内閣府は大真面目である。

以下、引用~~~あまり真剣に読まない方が良いかもしれない~~~

 4月1日付朝日新聞デジタル 「社会に満足」過去最高65% 2割は外交に不安という記事をご紹介します。
 内閣府は1日、「社会意識に関する世論調査」の結果を発表した。日本の外交が「悪い方向に向かっている」と思う人が26・7%で、1年前より8・1ポイント増えた。内閣府の担当者は「北朝鮮のミサイル発射や米国のトランプ政権発足などが影響した可能性がある」と分析している。
 内閣府はこの調査を毎年実施しているが、今回から対象者を20歳以上から18歳以上に引き下げた。1月19日~2月5日に面接で行い、5993人から回答を得た(回答率59・9%)。
 「日本で悪い方向に向かっている分野」について26項目を挙げ、複数回答で聞いた。「国の財政」が37・1%(前回比0・9ポイント減)で最も多く、「地域格差」28・5%(0・6ポイント増)、「防衛」28・2%(4・0ポイント増)、「景気」27・4%(2・1ポイント減)と続いた。「外交」は5番目で、増加幅が大きかった。
 「良い方向に向かっている分野」は「医療・福祉」31・4%(2・2ポイント増)、「科学技術」25・8%(3・3ポイント減)、「治安」22・0%(2・2ポイント増)など。
 「現在の社会に満足しているか」との質問では、「満足している」が65・9%(3・9ポイント増)で過去最高となり、「満足していない」は33・3%(3・9ポイント減)だった。(大久保貴裕)

森友学園が取得した土地に関わる疑惑 

森友学園の取得した国の土地、その取得手続きについて、様々な疑問が提起されている。

国、民間、再び国へ、その後森友に貸与・売却

その土地が、元来運輸省の管理する土地で、新関空株式会社という政府出資ではあるが民間の会社に現物供与された。だが、手続きに「錯誤」があったとして、その取引はなかったものとされ、土地は再び国のものとなった。その直後に、その土地は森友学園に、当初は貸与(これも異例)、さらに売却された。この土地の所有権の動きが不自然だと、元検事郷原信朗氏が述べている。こちら。

新関空への現物供与手続きに「錯誤」があったために、土地が国のものになったという経過を、行政は説明する責任がある。

~~~

賃料の不自然な減額

国の土地を定期借地権で賃貸すること自体が稀なことらしい。それに加えて、賃貸料が、森友学園の要望に沿って半額近くまで減額されたことは異様だ。鴻池議員は請託受諾を否定しているが、何らかの政治的な圧力が行政にかかった可能性が高い。これは犯罪だ。

以下、引用~~~

「森友学園:賃料、不自然な減額 国側「軟弱地盤」理由に」

2017年03月04日 21時25分 毎日新聞
森友学園:賃料、不自然な減額 国側「軟弱地盤」理由に

 大阪市の学校法人「森友学園」が取得した大阪府豊中市の国有地を巡る問題で、国が「土地に元は池沼だった部分もあるが、価格への影響は考慮しない」とする不動産鑑定を基に賃料を決めながら、学園側に促される形で約3カ月後にやり直した価格調査で判断を一転させ、池沼部分の存在などを理由に大幅に賃料を減額していたことが分かった。国は不動産鑑定の後に工事費がかさむ軟弱地盤と判明したためと説明しているが、根拠としたのは不動産鑑定の約3カ月前に学園側が実施したボーリング調査結果だった。

 小学校開校を目指す学園は、豊中市内の国有地(約8770平方メートル)に着目した。2013年9月、国有地の取得公募に応募し、一定期間の貸借後に土地を購入する形で取得することになった。

 国有財産を所管する財務省近畿財務局の依頼で、大阪市内の不動産鑑定士事務所は15年1月9日、賃料は年間約4200万円が適当と査定した。鴻池祥肇(よしただ)参院議員事務所の陳情記録では同日、森友学園の籠池泰典理事長が「高すぎる。何とか働きかけしてほしい」と相談し、2000万~2300万円の賃料を希望したとされる。事務所側は便宜を図ったことはないとしているが、その後の財務局との賃料交渉は学園側のペースで進んだ。

 賃料約4200万円の根拠は、不動産鑑定士事務所が作成した評価書だ。問題の国有地はかつて池沼や田があった場所だが、価格への影響は考慮する必要はないと判断した。しかし財務局は約3カ月後、学園側からボーリング調査結果を示されたことなどを理由に、同じ鑑定士事務所に「価格調査報告書」を作成させた。報告書では池沼があったことを考慮すると判断を変え、ボーリング調査結果も踏まえて賃料を約3600万円に減額した。

 ただ、このボーリング調査は1月の評価書が作成されるより前の14年10月時点のデータ。価格設定を巡る国と学園側との交渉は不可解な経緯が多く、国会審議で追及している民進党からは「なぜ15年1月の評価書を作る際に反映させなかったのか」と疑問の声が上がっている。

 財務局と学園は15年5月に貸し付け契約を結ぶが、この2回の査定を経て賃料は年2730万円まで下方修正され、学園側の希望額に近づいた。一連の価格評価について国は適正な対応だったと強調するが、野党は「学園の要望に沿う形で、できるだけ賃料を安くした疑いが強まった」としている。【服部陽】

パチンコ業界と、アマチュア無線界は同じような利権の温床 

パチンコ業界が、警察官僚の天下り先、利権の源になっていることはよく知られている。先ごろのリゾートカジノも、そのために作られることになる。天下りが利権をどのようにして生むのか、また一つ分かったことがある。

今日の衆議院予算委員会。民進党の議員が質問したところでは、パチンコ・パチスロの機械の型式試験というものがあるそうだ。それを一手に引き受けているのが、保安通信協会という団体。こちらにその説明がある。一つのモデル当たり150万円以上を、同協会はメーカーから試験料として受け取っているらしい。同協会は、この型式試験等で毎年数十億円の収入を上げている。

もちろん、この協会には、警察官僚が多数天下っている。

これ以外にも、パチンコ業界は、様々な形で、警察官僚の天下りを受け、彼らに利権を与えている。

アマチュア無線界も同じだ。JARD・TSSが、従来の保証認定はもとより、新スプリアス規制という新たな規制で、収入を得ようとしている。(多くの場合、不必要な)規制をしき、それによって利権を得る、同じ構造だ。この二組織が、悪質なのは、検査も試験もせずに、ただ書類上の保証認定で、アマチュア無線家から金を巻き上げていることだ。書類上の保証認定に一体どのような意味があるのだろうか。末端のユーザーであるアマチュア無線家に、保証認定を受けさせるのもおかしな話だ。製造メーカーが規制の適合試験を受けるだけで十分なはず。または、厳密にいえば、実際の無線局で個別に検査するべきなのだ。いずれにせよ、国際的な標準のアマチュア無線の免許制度からかけ離れた、時代錯誤の規制だ。2、3千円の自作機を実際に用いる際に、それと同額の保証認定料を支払う。愚の骨頂ではないか。アマチュア無線が、青少年の科学的な探求心を養う上で果たしてきた役割を、行政官庁はおろか、JARL・保証認定組織が壊している。愚かなことだ。

JARDにはJARL元理事が横滑りしており、両者には官僚も天下っていることだろう。あのJARLでさえ、天下りを受け入れているわけだから、この二つの組織JARD・TSSには多数天下っていると考えて間違いない。こうした中小の天下り先には、法的規制から外れて下々の官僚が天下るのだろう。

こうした天下りによって、不必要な規制が敷かれ国民に不便と金銭的負担を強いる、また税金が補助金等として天下り先に国庫から流れる、天下り先は行政とのつながりを利用してさらに悪辣に利潤を上げる、この大いなる利権の構図が、わが国のいたるところにある。某アマチュア無線機器メーカーは、JARLと組んで、ある無線機の市場を独占しようとしている。これも同じような構図だ。

こうした利権構造が、国民に直接どれほどの害を及ぼしているのか、税金の無駄遣いにつながっているのか、想像するに難くない。この利権構造が、わが国の将来を危うくする。

森友学園への土地提供は、背任行為、または・・・ 

森友学園に売却された土地は、それ以前に他の組織が購入を打診していた。その価格は5億円超。だが、近畿財務局は「安すぎる」として、その申し出を断った。

だが、近畿財務局は森友学園には、実質ただ同然で土地を提供していた。

これが本当だとしたら、近畿財務局の背任行為である。

同局の背任行為でないとすれば、このように不可解な土地の提供が行われた経緯を、近畿財務局は明らかにする責任がある。

国の土地は、国民の資産である。それを恣意的に特定団体に無償で提供することは許されない。

以下、引用~~~

国有地売却「ただ同然」 土地浄化に約1億3千万円負担
朝日新聞デジタル 2/21(火) 7:14配信

 財務省近畿財務局が大阪府豊中市内の国有地(8770平方メートル)を近隣国有地の価格の約1割で学校法人「森友学園」(大阪市)に売った問題で、民進党は20日の衆院予算委員会などで、国が1億3400万円で売る一方で、土壌の汚染物質などを除去する費用1億3176万円を負担していたと指摘した。その上で、「国の収入は差し引き約200万円。ただ同然だ」との見解を示した。

 土地の売買契約書や2009~12年に国土交通省が実施した地下の構造物調査、土壌汚染調査などによると、この国有地全域の深さ3メートルまでの地下から廃材や生活ごみが見つかり、一部区域の表土から環境基準を超える鉛とヒ素が検出された。豊中市は13年4月、約472平方メートルを特定有害物質の汚染区域に指定。財務局は15年5月、森友学園と10年間の定期借地契約と期間内の売買予約契約を結んだ。

 15年7~12月、森友学園が全域の地下3メートルまでのコンクリート片など720トンと、鉛などの汚染土1090トンを除去し、汚染区域の指定は解除された。除去費1億3176万円を国が負担する合意書が16年3月に交わされ、同年4月に森友学園に振り込まれた。

 その後、森友学園側から「地下にさらに大量のごみがある」という報告と購入希望の連絡があり、財務局は同年6月、鑑定価格9億5600万円からごみ撤去費として見積もった8億1900万円などを引いた1億3400万円で売却した。

朝日新聞社

安倍政権、最高裁判事人事に介入か 

安倍首相は、NHK会長、内閣法制局長官等の人事を恣意的に自らに都合の良いように決めてきた。特に後者は、集団的自衛権を憲法解釈だけで可能にした点で、立憲主義政治歴史上大きな汚点を残した。マスコミへの恫喝も、効を奏し、政権批判の声が限りなく抑制されている。官僚人事権も政権が握っており、行政機構も安倍政権の思うがままである。

ここで、安倍政権が、最高裁人事に介入した疑いが濃厚になった。下記の記事にもある通り、最高裁は内閣(行政)に対して違憲立法審査権を行使し、権力行使を憲法の観点から抑制する三権分立の一つの要素であり、立憲主義という点でも非常に重要な役割を担っている。その最高裁の人事に、行政の長である安倍首相が恣意的に介入するとなると、立憲主義がさらに破壊される危険が高まる。

blogos.comより引用~~~

1月27日付安倍内閣が最高裁人事に介入か 山口厚最高裁判事(猪野 亨弁護士)

2017年1月13日、安倍内閣は最高裁判事が定年退官を迎える最高裁判事の後任を閣議決定しました。
定年退官
 桜井龍子判事 2017年1月15日
 大橋正春判事 2017年3月30日
後任
 山口厚氏
 林景一氏
 さて問題になるのは、何故、このような人事が行われたのかです。
 従来、不文律で最高裁判事は、出身による枠組みがありました。おおよそ次の枠組みとなっています。
 裁判官出身 6名
 弁護士出身 4名
 検察官出身 2名
 行政官出身 2名
 法学者出身 1名
 桜井判事は行政官であり、その枠には林景一氏(外交官)が入り、大橋正春判事は弁護士であり、その枠に山口厚氏ということになりますが、これまでの枠組みが壊されました。山口氏は、弁護士登録をしているとはいえ、本籍は学者(刑事法)です。
 既に弁護士枠が減らされたということについては、ネット上でも飛び交っており、問題視されています。これは次に述べるとおり、「既得権」という問題ではありません。
早稲田大学ホームページより。本籍は学者です
https://www.waseda.jp/top/news/47921
 先日、私は、はじめてこの山口氏の任命の経緯を知りました。といっても核心部分はわかりません。
 日弁連理事会報告が昨日の札幌弁護士会常議員会でありました。
 中本日弁連会長からの報告(伝聞)になりますが、概要、次のとおりです。
 日弁連から、弁護士の中から推薦名簿を最高裁判所裁判官推薦諮問委員会に提出したが、その中には山口厚氏は入っていなかった。
 政府からこれまで以上に広く人材を集めたいという意向をを受け、最高裁が日弁連提出の推薦名簿以外に山口厚氏ら複数名を加えた。これについて日弁連に対し意向確認等はなかった。
 結果は、日弁連提出の推薦名簿以外の山口厚氏が任命された。

 この「政府から」の「政府」が具体的に誰を指すのか、「最高裁が~加えた」というときの「最高裁」とは具体的には事務総局なのかなどまだまだわからないところがあります。日弁連執行部では「調査中」ということでした。
 最高裁の人事が従来の慣例を破って安倍政権が最高裁人事に直接、介入してきたという疑いが出てきた、しかもかなりそれが濃厚だという問題です。
 最高裁判事は、内閣が任命しますが(憲法79条1項)、最高裁は内閣(行政)に対して違憲立法審査権を行使することによって権力行使を憲法の観点から抑制する国家機関(最高裁)の構成員であり、立憲主義という点でも非常に重要な役割を担っています。
 この人事を内閣が恣意的に行うのであれば、内閣に都合のよい人事をすることによって最高裁の独立性が失われ、内閣の事実上の統制下に置くことを可能にしてしまいます。
 司法の反動と言われていた時期は、まさに時の自民党政権によって露骨に行われていた時期です。1969年、最高裁長官に石田和外最高裁判事が就任して以降、司法の反動化が強力に推進されました。
 それが東西冷戦の崩壊以降、最高裁の反動化に歯止めがかかったかのような状態になりました。
 日の丸・君が代判決でも不起立の教員に対する懲戒処分でも減給以上の処分が取り消され、国家公務員による休日の政党機関紙配布を無罪とした事件、刑事の分野でも痴漢冤罪でも無罪判決を導くなどの画期的な判決もありました。
 さらに婚外子に対する相続割合を2分の1にした相続法の規定を違憲とした判決については、自民党内保守派の怒りを爆発させていました。
「家制度って何だろう? 婚外子差別違憲判決」
 そうした最高裁の人事に露骨に安倍政権が手を入れてきたのではないかということです。
 直接には、日弁連が安倍内閣が推進した安保関連法制に反対し、共謀罪に反対し、世論にも影響力のある日弁連に対する報復処置ともいえます。
 安倍政権による人事介入は、他の分野でも露骨に行われてきました。安倍政権は、自らに都合の悪い内閣法制局長官人事にも介入し、むりやり集団的自衛権行使容認派の小松一郎氏を長官としました。これまでの慣例を破っての人事というところに特徴があります。
「内閣法制局の恣意的人事 ナチスの手口に学べ!」
 NHKの籾井氏の人事も同様ですが、従来の慣例というものは、恣意的な人事を排除、防ぐという意味ではとても意味があるものでした。
 これを一内閣があちこちでぶち壊して恣意的人事を行うというのは、いかにも前近代的というだけでなく、恐ろしさが充満しています。
 今まではバランスによって成り立たせていた統治機構に関して、権力の集中が起きることになります。内閣法制局であり、最高裁になると立憲主義の危機にもつながります。内閣のお目付役をすべて自分の言うことを聞く者にすげ替えてしまうのですから。
 次々と慣例を破る姿は、全く抑止が働かなくなるということもであります。
 その人事権を使った恫喝は極めて大きな影響力を与えますから、次第に批判はなりを潜めることになります。
 安倍政権の手法が危険であることを改めて示されました。こうしたやり方は、例えば外国での例では大統領が親族や友人ばかりを側近に用いたりする場合がありますが、安倍氏の手法はこれ以上に恐ろしいということです。親族や友人の場合には端的に「汚職」だったり、「蓄財」のためだったりしますが、統治に関わる部分で政権の意向に沿うだけの人物の登用は「独裁」です。

行政による医療からの簒奪 

緩和病棟ホスピスの定額診療報酬を受ける条件に、日本医療機能評価機構の病院機能評価がまだ続いている。この問題は、以前にも取り上げた。こちら。同機構による病院評価は、行政が病院の様々な「機能」を検定する制度だ。だが、その内実は、ほとんど意味がないことの羅列である。ひどい場合は、スリッパの形状や、ごみ箱の蓋の有無とかを問題にするらしい。もっとも大切な、医療機関従業員の労働環境、労働条件については、おざなりで形式的な評価しかしない。

以前のポストにも記したが、評価を受けるために数百万円規模の金を医療機関が要求され、毎年数十万円、さらに評価基準改定時に新たな受診と同じだけの金が要求され続ける。いわば、医療現場の貴重な収入を、ねこばばしているのだ。その病院機能評価に対する医療機関側の「評価」は右肩下がりで、受診する医療機関も減り続けている、と聞いている。同機構は、産科医療補償制度で百億円単位の内部留保を確保したため、この病院機能評価にはあまり積極的ではない様子。だが、緩和病棟の診療報酬にからみ、この病院機能評価というおかしな制度が「強制」になっていることは、社会的な公正さの点で到底納得が行かないものだ。診療報酬制度のなかで唯一この病院機能評価が強制されている項目である。人生最後の時を患者さんが過ごされる緩和病棟で、金をむしり取るねこばばを行政が行っていることには痛烈な批判がなされるべきだ。

実は、これ以外にも、医療を行政、その天下り組織が「食い物」にしている事例は、どんどん増え続けている。新たな専門医制度もその一つ。実務は学会に丸投げで、事務処理を担当する専門医機構と関連学会に莫大な専門医認定の手数料、更新料が入る。専門医資格が、実質的に勤務医となり仕事を続けるために必要条件になりつつある。医師は、あまり意味のない座学とリポート、そして多額の取得、更新手数料を支払わせられる。専門医取得・更新に多くの時間を割かれ、医師はさらに疲弊し、経済的にも負担を強いられる。これで潤うのは、官僚の天下る専門医機構と学会の幹部たちだ。

医療事故についても、同様の構図が見え隠れする。日本医療安全調査機構・医療事故調査・支援センターは、盛んに医療事故の報告例が少ないとマスコミに垂れ流している。その一方で、同機構は医療事故の原因調査再発防止のみに専念するという原則を逸脱し、医療訴訟事例も積極的に調査する事業を行っている。報告例が少ないと宣伝するのは、報告例数の増加が同機構の収入に結びつくからだ。このブログに後で引用しようと思っているが、同機構のそうした在り方について、坂根みち子医師が痛烈な批判を行っている。

ここでは触れないが、医学教育分野、診療報酬においても、同様の事例がある。

こうした天下り組織による、医療からの簒奪は、結局、医療の窮乏化、貧困化を招き、それによって患者にしわ寄せが及ぶ。

こうした簒奪の構図は、結局のところ、国民生活のいたるところに存在し、負の影響をもたらしている。政治はそれを黙認し、マスコミもほとんど問題にしようとしない。

マイナンバー漏洩は必ず起きる 

マイナンバー制度が、国民各々のためではなく、行政のための制度であることは以前何度かアップした。同制度のデメリットが、こちらのサイトにまとめてある。その最後に、メリットについてのサイトにリンクが張ってある。両サイトをつらつら読んでみて、どう考えても、行政とデータベース会社のための制度であるようにしか思えない。

米国では、社会保障番号による犯罪が多発していることも以前記した。ネット上で一旦拡散した情報をもとに戻すことはできない。マイナンバーに、さまざまな個人情報を紐つけるのはリスクが高すぎる。マイナンバーを行政が一元管理するリスクは、昔の社会保険庁での情報漏洩を思い返せば、明らかである。

情報をガードするシステムをいくら高度に張り巡らしたところで、情報を扱う公務員が、このニュースにあるような意識であると、マイナンバーの漏洩が、意図的、ないし意図せずに行われるのは必至と言えるだろう。

以下、引用~~~

年金機構:情報流出発覚後もルール守られず PCに保存

2016年12月17日 10時52分 毎日新聞
 日本年金機構の年金情報流出問題で、昨年6月の問題発覚後も機構の内部ルールが守られず、各地の年金事務所などのパソコンに個人情報が保存されていたことが会計検査院の調べで分かった。調査を求められた機構が、全国的に「全て削除した」と報告した後も、端末に個人情報が残っていたという。ずさんな情報管理の実態が改めて露呈した。

 機構は以前からパソコンのハードディスク上に個人情報を保存しないよう定めていた。検査院は問題発覚後の昨年末から今年6月までに、大手前(大阪市)など7年金事務所と東京事務センターで、端末に個人情報が保存されていることを確認し、機構に調査を求めた。

 機構側はすぐには対応しなかったが、社会保障と税の共通番号(マイナンバー)を利用するために国の個人情報保護委員会などから情報管理の徹底を求められ、今年8月以降に削除作業を進めた。

 機構は9月末に検査院に削除が完了したと伝えたが、検査院が再度調べたところ、高崎広域事務センター(群馬県)など2道県の施設で個人情報が残存していたことが判明し、改めて調査を求めた。

 政府は11月8日、サイバーセキュリティー対策が強化されたとして、機構によるマイナンバー利用を来年1月から認める政令を閣議決定した。機構はその後の12月になって、少なくとも13都府県の19施設で計78ファイルが消去されていなかったため端末から削除したと検査院に伝えたという。

 機構の経営企画部は「個人情報を保存しないルールを徹底させたい」としている。【松浦吉剛】

「ビッグデータ」という名の壮大な無駄遣い 

取り上げるまでもないニュースだと思ったが・・・

学校健診のようなデータを、統計処理するためには、健診の評価を定められた基準で行わないと、意味がなくなる。質の良いデータが必要なのだ。レセプトデータも、標準化されておらず、また診療報酬制度によって医学的とは言えぬ診断名がついている。良質なデータとは言えない。

それに、学校健診の実情を、行政は知っているのだろうか。学校医は減らされる傾向にあり、数百人の健診を一日で行うといったスケジュールが一般的だ。こういっては語弊があるかもしれないが、きわめて表面的な診察に終わらざるを得ない。要するに、健診という人手をかけなければならない作業を、人手はかけずに行っているわけだ。これで意味のあるデータが得られるとは到底思えない。

それに、個人情報の保護の点からも、危うい感じがする。業者に情報提供をする際には、匿名化するとあるが、分析情報を本人、地方自治体に戻すとあるので、完全な匿名化ではない。既往歴等は、もっとも高度なプライバシーに当たるのに、こんな中途半端な情報の扱いでは、情報漏洩の問題が起きる可能性が高い。

結局、今流行りの「ビッグデータ」を扱う業者この(報道では「学校健診情報センター」)、そうした業者に天下る官僚のための、税金を用いた、ビッグデータビジネスを作り上げようとしているだけなのではないか。もしかすると「ビッグデータ利用機構」なる特殊法人を立ち上げる積りなのかもしれない。

データの質、正確さ、基準がはっきりしていなければ、意味のあるデータは得られない。

これは、壮大な無駄遣いになる。

以下、引用~~~

学校健診記録を「ビッグデータ」に長期保存…成人期の病気予防に活用
行政・政治 2016年11月22日 (火)配信読売新聞

 文部科学省と総務省、京都大発のベンチャー企業は、学校健康診断の記録を「ビッグデータ」として活用する新事業を始めた。

 健診記録は中学卒業後に廃棄されてきたが、長期間保存して成人期の病気の予防などにつなげるという。

 近年の研究で、心筋梗塞や糖尿病など成人期の病気の多くに、小学校低学年までの健康状態が影響を及ぼすこともあることが分かってきた。京都大の教授らによるベンチャー企業「学校健診情報センター」(京都市)は、健診記録が病気の予防などの研究に役立つと考え、昨年度、国公私立の学校の児童・生徒を対象に健診記録のデータベース化に着手した。

 各自治体の個人情報保護条例に基づき、学校から個人が特定できない形で健診記録の提供を受ける。研究目的は自治体や学校を通じて保護者に伝え、自治体が持つ生徒の乳幼児期の健診や母親の妊婦健診の記録なども一部取り入れる。

 昨年度は試験的に、東京都荒川区、香川県坂出市、山口県防府市など11市区町の58の中学校で実施し、5689人分を収集。今年度は、50市区町で約5万人分を集める本格的な作業に入り、1万数千人の収集を終えた。少なくとも10年間続け、200万人分のデータを集める計画だ。

 将来、児童・生徒が生活習慣病などになった場合、自治体が管理する国民健康保険の診療報酬明細書(レセプト)などから病気の情報を得て、健診データをつなぎ合わせ、同じ病気になった人の子ども時代の共通点を探り、発症や重症化の予防に活用する。記録を基に分析した児童・生徒の健康状態を学校を通じて本人に、学校間の比較などを自治体にそれぞれ戻して、健康管理や医療政策に役立ててもらう。

 個人情報に詳しい新潟大法学部の鈴木正朝教授(情報法)の話「健診記録は個人情報だが、各自治体の条例に基づいて取り扱っているならば、手続き上は問題はないだろう。国保のレセプトや、がん検診の記録なども医療研究に有効利用していくべきだ」

          ◇

【学校健康診断】  学校保健安全法に基づいて小、中学校で毎年1回行われている。身長や体重、栄養状態、既往症のほか、心臓、尿、視力の検査など約40項目を調査。健診記録は学校側が保管しているが、中学卒業から原則5年後に廃棄されている。

医師・看護師等の働き方ビジョン 

厚労省が「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」なる審議会を立ち上げた。こちら

医師・看護師の働き方について、様々な観点から検討を加え、その方向性を示そうということらしい。

医師についていえば、教育・研修・医療従事の各時期を事細かに制度設計しようということだ。今のところ、医療が公的保険によって成り立っているので、こうした行政の方針は、医師の人生そのものを規定する面が強い。

特に、来年にも導入されることになっている専門医制度を軸に、医師の職業人としての在り方を行政が定め、管理しようとしているように見える。患者の価値を最初に掲げることは結構なことだが、現実の問題としては、医師の労働環境の悪さが医療安全や患者の満足度に悪影響を及ぼしているのではないだろうか。まずは、医師の労働環境の悪さ、とくに長時間労働の是正を掲げるべきではないのか。それが、ひいては患者第一の価値実現につながるはずだ。

行政主導の医療体制の構築は、これまで医療をどのように変え、今後どのようにしようとしているのか。新臨床研修制度が大学医局の人事権を潰して、地域医療はどうなったのか。現在の、医師の大量増産体制をこのまま続けて、団塊の世代がいなくなったあと、医師諸君は一体どうなるのか。行政の反省と、過度な医療制度への行政の関わりの問題が検証されていない。これでは、医療制度はさらに混迷することになる。

看護師の統計で驚いたのは、その数が医師以上に右肩上がりで増えていることだ。その養成数に拘わらず、おそらく、看護師は労働条件の悪さから、結婚を機に家庭に入ってしまうことが多く、養成し続けても現場では看護師の数が足りない状況が続いているのではないか。これは、人的インフラの壮大な浪費ではあるまいか。

行政主導の、こうした医療制度設計の背後に、医療を行政が支配することによる利権がある。行政が、自らの利権を求めて、医師・看護師の人生設計を左右しようとすると、それは失敗する。そのような制度設計に人は従わないからだ。

この審議会、あとたった2か月で最終報告を出すらしい。すでに、行政による「叩き台・・・という名の原案」は作られており、審議委員はそれにお墨付きを与えるだけなのではないか。この審議委員には、医療現場を知る人が少ない。あまりにいい加減な審議会構成だ。それも偏に、行政主導を実現するためのことなのだろう。