軽度介護事業所半減 報酬減で採算懸念 

10月2日付の毎日新聞によると、「軽度介護事業所半減 報酬減で採算懸念」と報じられている。

要介護1,2度、要支援1,2度という軽度介護保険利用は、来年春から各自治体が扱うことになる。それに伴い、介護報酬が2割程度引き下げられる。それにより、介護を事業として成り立たせることが困難になる、ということだ。参画を続ける事業者は、訪問介護で5割、デイサービスで3割しか残らない見込みだ。


もともと、介護報酬は、引き下げられ続けてきたが、ここにきて滅茶苦茶な引き下げである。これでは、介護を事業として成立させられない。国は何を国民に求めているかというと、軽度介護は、自分たちで対処しろ、ということだ。介護を家族が何とかするか、それとも自費で何とかしろ、ということだ。

高齢化により、介護が必要になるのは、いわば必然だ。軽度の介護とは言っても、必要としている方にとっては極めて大切な生活支援だ。それから国は手を引くという意思表示である。

結果は、介護の必要な度合いがさらに進む。それによって、国の介護事業負担は結局増えるだろう

もう一つは、老々介護等によって、不幸な転帰をとる方が増える。救急医療も、先行きかなり厳しい状況であることは少し前のポストにもアップした。

介護の担い手がいない、さらには死に場所も見つけられない、という状況がすぐそこまで迫っている。

一方、国は安全保障が脅かされているとして、軍備に金を使い、外交上立場を高めようと外国へ金を身の程知らずにばら撒いている。オリンピックでは、3兆円の予算が費やされる。国民が介護を受けられず、また死ぬ場所がないことになりそうなのに、政治はこの有様である。

米国のマスコミが、わが国のネトウヨを表して、肉屋を熱烈に支持する豚と言ったらしいが、ネトウヨの代わりに選挙民と置き換えても良いのかもしれない。

要介護認定は、介護が必要になってから受けるべき 

要介護認定・更新を行うためのコストが、これほどかかるとは知らなかった。一件2万円。そして、要介護認定を受けて、サービスを受けていない人が100万人。そのコストが毎年200億円。介護が必要になれば、その時点で要介護認定は受けられるそうだ。

これは利用者の方で考えなくてはならない、問題だ。医療介護は、共通社会資本なので、皆で大切に用いることが必要だ。

以下、引用~~~

利用者も意識変えて 無駄な支出、財政圧迫 「

記事:共同通信社
14/08/22

 「どうしてデイサービスに行けなくなっちゃうの?」。昨年4月、埼玉県東松山市に住む女性(86)は、納得できない様子でケアマネジャーの男性に問いかけた。

 女性は足を骨折して家にこもりがちになったため、外出の機会を持ってもらおうと息子が2012年に要介護認定を申請。最も軽い要支援1と認定され、週に2回デイサービスに通った。

 他の高齢者との交流や運動で女性は心身ともに元気になり、1年後の要介護認定の更新では介護の必要がない「非該当」に。ところが女性が日中過ごせる適当なサークル活動などはなく、息子は「どうにかサービスをまた利用できるようにしてほしい」とケアマネに要望。新たに認定を申請し直した結果、要支援1とされ、利用を再開した。

 「体の具合が良くなれば、本来はうれしいことのはずなんですが...」と複雑な表情を見せるケアマネ。介護保険制度は自立支援を理念に掲げるが「要介護度が改善すると、受けられるサービスが減るので利用者からたいてい文句を言われる。必要がないのにサービスを使おうという、誤った『権利意識』が強い人もいる」と漏らす。

 一方、要介護認定だけ受けてサービスを使わない人もいる。横浜市内に住む80代の夫婦はそれぞれ3〜4年前に要支援2の認定を受け、毎年更新しているが、サービスは利用していない。認定を受けている理由について、夫は「2人とも持病があり、いざというとき安心だから」と話す。

 だが実際には、介護保険サービスはあらかじめ要介護認定を受けていなくても、利用申請した日から使うことができる

 横浜市では認定や更新1件ごとに約2万円の費用がかかっており、サービスを利用しない人の分は事実上、無駄な支出になっている。夫婦を担当するケアマネの村上一夫(むらかみ・かずお)さんは「それは説明したのだが、希望を拒否するわけにもいかない」と悩ましげだ。

 国民健康保険中央会のデータによると、12年現在、認定を受けている人のうちサービス未利用者は2割弱の約100万人。1件2万円で認定費用を単純計算すると年間200億円に上る。ある大手介護事業者の幹部は「削減できれば、このお金はほかのことに使える。国の財政が厳しい中、利用者にも意識を変えてもらう必要があるのではないか」と指摘している。

24時間地域巡回型訪問サービス 

人生を終えるまで、老後を自宅で過ごすことができるのは誰しも望むところだろう。でも、それを可能にするには、家族・行政それに介護職の方々の多くの支えと労力が必要となる。それが可能なのはむしろ少数の恵まれた人々だ。

厚生労働省は、在宅介護を進める積りのようだ。彼らの主要な意図は、施設介護よりも公的なコストをかけぬことにあるような気がする。下記の「定額で24時間」在宅介護(地域巡回型訪問サービス)は、それを実現する主要な方策として提案されているように思える。「利用者負担が増えないように」とされているが、出来高でなく、定額にするのは、国や地方自治体の負担を考えてのことではないか。(ただし、一日1、2回の定期的な訪問を定額とし、それ以外を出来高とするオプションも言及されているが、それでは、現状と殆ど変わらない、または定額部分の額によってはかなり利用者にとって割高になりそうな気がする。)

介護を受ける側の問題としては、不要不急の介護の要求をする方が出てくるのではないだろうか。短時間の訪問介護を定額で何度でも受けられるとなると、それこそ何度でも訪問介護を要求する方も出てくるだろう。それは介護者を疲弊させないだろうか。

介護をする側にとっては、そもそもより短時間の介護のために複数回呼び出され、その報酬が定額で一体ペイするのか(行政は、ペイするかどうかギリギリの報酬にする可能性が高い)、さらにこうしたシステムで介護者の士気は落ちないのか。全国展開した介護業者が、不正を行なったことで業務停止になったことも思い起こす(あれも、厚生労働省の責任がなかったのか)。

一つの地域に一業者と指定するのは、医師の強制配置を思い起こさせる。介護業者・介護者を経営面からきっちり縛る定額制と、地域毎に行政が業者を指定する配置制度により、介護を行政が完全に統御する積りなのだろう。これは、医療の明日の姿かもしれない。

そもそも、24時間介護が必要になったら、やはり施設介護の方が効率的であり、持続可能性があるのではないだろうか。自分自身がそう遠くない将来、介護を受ける可能性があることを念頭に置いて、この問題を考えてゆかねばならない。行政の権益拡大の道具にされるのだけは真っ平だ。蛇足なるが、介護保険が出来た当時は、国庫支出が50%だったものが、いつの間にか25%に下げられていることに気付いた・・・。


以下、引用~~~

訪問介護、定額で24時間…厚労省素案
10/10/22
記事:読売新聞
提供:読売新聞


「短時間・複数回」可能

 厚生労働省が、介護保険制度改正で2012年度からの導入を目指す「24時間地域巡回型訪問サービス」の素案が22日明らかになった。

 時間帯を問わず、定期的にヘルパーが自宅などを訪問して短時間の介護を行うほか、利用者からの要請で随時駆けつける仕組みを設ける。一人暮らしや、重度の要介護状態になっても住み慣れた地域で暮らし続けられるようにするのが狙いだ。

 介護保険の受給者は約403万人に上り、その7割が自宅などでサービスを受けている。在宅生活を支える24時間訪問サービスは、菅首相の肝いりで、厚労省の有識者検討会がとりまとめを行ってきた。

 検討会の中間報告案によると、おむつ交換や水分補給などの訪問介護について、1回の介護時間をこれまでの最低20分以上から、10-15分程度と短くする代わりに、1日に複数回、定期的に訪問できるようにする。また、利用者から連絡があった場合、相談に応じたり、介護・看護職員を派遣したりする。

 現在の訪問介護は30分以上の利用が7割弱を占め、1日の訪問回数も最重度の利用者でも平均1・1回にとどまる。このため、「必要以上に介護時間が延びるケースもあり、実際の身体介護のニーズに合っていない」などの声が出ていた。

 利用料については、現在は、滞在時間や訪問回数に応じて料金が増える「出来高払い」制だが、利用者負担が重くならないよう、1日何回利用しても負担が変わらない定額制を、一定の範囲内で採用。具体的には、随時訪問と、1日1-2回の定期訪問を定額制として、それ以上の定期訪問は別料金とするなどの案がある

 事業所がサービスを提供する地域は、利用者の自宅まで30分以内で駆けつけられる範囲を想定。採算がとれるように、一定規模の地域を一つの事業所が担当する「エリア担当方式」の導入などが検討されている。

 同省は検討会の報告を基に、制度の詳細を検討。来年の通常国会に介護保険法改正案を提出する方針だ。

[解説]深夜の職員確保、料金設定も課題

 同居する介護者の6割が60歳以上と、老々介護が深刻化する中、昼夜を問わずに、ヘルパーが巡回する新サービスは、高齢者が可能な限り在宅で生活するために欠かせない仕組みだ。

 介護保険制度では、自宅での訪問介護は1日あたりの回数が限られる。このため、頻繁に介助が必要な高齢者の場合、家族介護が不足しているなどの理由で、在宅生活の継続が困難になる人が多い。特別養護老人ホームの入居待機者約42万人のうち、約6万7000人は在宅で暮らす重度者だ。

 ただし、導入へのハードルも高い。深夜に働く介護職員の確保や待遇をどうするのか。事業者の採算を確保しつつ、利用者が負担可能な料金をどのように設定するのか。綿密な制度設計が求められる。(社会保障部 野口博文)