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報告書を「受け取らない」のは、目の前の問題から目を逸らすこと 

この問題が明るみになった時、麻生財務相は、「だから若い時から金(老後の不足金2000万円)を貯めておけ」と、いつもの調子で記者たちに説教していた。あの説教は一体どうなるのか。閣議決定で、あの説教はなかったものとする、とでもするのだろうか。・・・余談だが、彼の政治資金報告書によると、2015から17年の3年間、飲食費が毎年2000万円前後だった。彼にとっては、2000万円はちょっと努力すれば貯まる金額なのだ。

それに、参院予算委で、「あの報告書案を読んでいない」と、彼は堂々と答弁していた。自分が諮問したWGの報告書案に目を通さない財務大臣の仕事とは一体何なのだろうか。

挙句の果ては、自分たちに都合が悪いとなると、報告書を受け取らない、報告書を認めないと言い出す。これでは、諮問会議やWGは、政権の思い通りの結論になるように常に誘導していることがバレバレではないか。政権に都合悪くても、報告を受け取り、それを施策に生かすことが必要だ。

この報告書は、金融庁が証券会社・銀行に利益誘導するために、即ち国民を投資に向かわせるために作らせたとも言われている。一体金融庁はどこを向いているのか、と言いたくもなるが、WGで展開された議論は正鵠を得ている。この報告書に書かれていることは、ファクトだ。厚労省年金課長も参加して、年金では不足することを述べている。この報告書の議論内容は正しいのだ。

結局、この記事の最後にある通り、公的年金では老後の生活には不十分であるという事実は変わらない。今後、マクロ経済スライドが発動され続けると、40歳の国民は、老後に3600万円不足すると試算されている。非正規雇用の方は、それ以上に老後の資金が不足するはず。この試算には、介護、介護関連費用等が含まれていない。

これこそ「国難」だろう。軍事、大企業、富裕層優先の政策を抜本的に改め、社会保障に予算を向けるべきだ。

以下、引用とコメント~~~

金融庁の報告書、麻生財務相「受け取らない」

2019年06月11日 12時34分 産経新聞

 95歳まで生きるには夫婦で2000万円の蓄えが必要とした金融庁の報告書について、麻生太郎財務相兼金融担当相は11日の記者会見で、「世間に著しい不安を与えており、これまでの政府の政策スタンスとも異なる」と述べ、正式な報告書として受け取らないことを明らかにした。(不安を覚える方が正常。この事態に震撼しない方が鈍感すぎる。受け取らないことで問題がなくなるということは、ない。)

 報告書では総務省の家計調査を基に、夫65歳以上、妻60歳以上の無職世帯では、毎月平均5万円の赤字が生じているとし、今後30年の人生があるとすれば、単純計算で2000万円が必要と試算した。(上記に述べた通り、若い方にとっては、必要な老後資金は、この額を大幅に超す。今後非正規雇用の方の退職が増えて行く。彼らは国民年金しか受け取れない。非正規雇用の方の退職、マクロ経済スライドの発動によって、この家計調査に基づく必要額はさらに大きくなる。)

 麻生氏は「赤字という表現を使ったのは極めて不適切」と述べた上で、「高齢者の生活は多様で、毎月貯金を取り崩している人もいるだろうし、息子と一緒に暮らして困っていない人もいる。平均値で出すのには無理がある」とした。(詭弁。平均値で議論することは間違いではない。もっと正確に議論するなら、平均値よりも中間値を取るべきだろう。すると、高齢者の収入はさらに低くなる。)

 また、政策スタンスとの相違点については「公的年金は老後の生活をある程度賄うことができると言ってきた。スタンスが違うというのはそういうことだ」と述べた。(これも詭弁だ。ある程度賄える、ということは、相当程度賄えぬ部分が出るということ。)

現政権は、年金問題を先送り、隠蔽しようとしている 

また問題を隠そうとしている。

賦課方式で現役世代が退職世代を養う年金制度が立ち行かなくなることは明々白々。年金は徐々に引き下げられる、それによって制度が「100年安心」なのであって、国民は安心どころではない。今後、終身雇用がなくなる、無くならないとしても、退職金は期待できない。老後の生活を自己責任でと言われても、一体どうしたら良いのか、というのが国民の疑問だ。

政府は、その疑問に真正面から答えず、この金融庁WGの報告、それに記された現実を隠蔽しようとしている。年金だけでは老後の生活が成り立たないことは、家計調査から明らかであり、このWGの報告を否定しても、その事実は変わらない。

どのような形になるにしても、国民は重い負担を負わされることになる。国家予算のなかで社会保障予算をどのように位置づけるのか。軍事費や、軽減された法人税・所得税、それにもともと低いキャピタルゲイン課税、タックスヘブンで課税逃れをしている資産、そうした問題と並行して、年金制度を考えてゆく必要がある。

一つ忘れてはならないのは、年金は当初積み立て方式だったものが、年金資金を財政投融資で湯水のように浪費し、その挙句賦課方式にならざるをえなかったという経過だ。本来国民の資産であるものを、一部の政官の人間が自らの利権のために浪費した経過を、明らかにし、どこに問題があり、誰が責任を取るべきだったのかを検討することが必要だ。同じように、国民の税金・資産を陰で私物化している組織・人物がいるのではないか、それを止めさせるために、年金が破壊された過程を検証しておく必要がある。

そして、現政権のように自己責任を国民に押し付けるやり方を是とするのかどうか、という選択も我々に突き付けられている。二階幹事長がいみじくも述べているように、現政権は今のところ、根本的な問題の解決を先送りする、ないし隠蔽しようとしている。「候補者に迷惑をかけぬように」という彼の言葉には、怒りの前に唖然とするばかりだ。

以下、引用~~~

自民、金融庁に報告書の撤回要求
公明代表「猛省促す」

2019/6/11 12:53 (JST)6/11 12:54 (JST)updated
©一般社団法人共同通信社

 自民党は11日、金融庁に対し、老後資金として2千万円が必要とした金融庁金融審議会の報告書への抗議を伝え、撤回を要求した。林幹雄幹事長代理が国会内で金融庁幹部に伝えた。公明党の山口那津男代表は記者会見で「いきなり誤解を招くものを出してきた。猛省を促したい」と不快感を示した。

 自民党の二階俊博幹事長も「2千万円の話が独り歩きして国民の不安を招き、大変憂慮している」と自民党本部で記者団に語った。報告書の撤回を要求した理由に関し「参院選を控えており、党として候補者に迷惑を掛けないよう注意していかねばならない」と説明した。

年金財政検証の結果公表も、参院選後 

政府は、年金の財政検証結果公表を参院選後に先延ばしする。日米貿易交渉結果と同じ。ともに、国民にとってはかなり厳しいものになるはず。

こちら。

金融庁が、公的年金では、老後に2000万円足りなくなる、と述べて、騒ぎになった。すると、自助でそれを何とかしろという部分は、慌てて取り消した。金融庁の公表したその文章を読むと、結局、彼らは年金政策を議論しているのではなく(年金がこのままでは持続可能でないことは明らかなのだが)、国民に「投資の勧め」を行うことが本旨だったようだ。

年金基金の半分を、鉄火場に突っ込み穴を開けただけで済まず、国民全体に「投資」をさせようということだ。あの報告書案の最後にオブザーバーとして、証券会社や銀行がずらっと並んでいることからも明らか。

もっとうがった見方をすると、年金基金・日銀だけでは、「官製相場」を維持できなくなった(ETFなぞ大半を日銀が買い込んでいる)、それで、国民の蓄えを先行きが怪しい株式市場・債権市場に誘導しようという魂胆のようだ。

今後、終身雇用は続けられないと財界が言いだし、恐らく、中年すぎには正規雇用の労働者が首を切られるようになる。で、非正規雇用で老後も70歳過ぎまで低賃金で働くことになる。現在30%の世帯は貯蓄がゼロ。それでいて、老後は自助努力せよ、と政府は言う。実際は、生活保護等の社会保障需要が大きく伸びる。もちろん、それも給付水準が下がる。

国民を待ち受けるのは、暗い将来でしかない。

株式投資により、年金資金15兆円超の損失 

年金資金が株式に投資され、昨年最後の四半期で15兆円の損失を出した。株を高値でつかんでいる可能性が高く、さらに総額36兆円といわれる投資総額分を株価下落局面で売り抜けるわけにはいかず、年金資金の損失はさらに拡大する可能性が高い。

安倍首相は、以前、年金資金の投資状況によっては、年金減額もありうると国会で述べた。

「アベノミクス」の成果とされてきた株価も、今後の展開はかなり怪しくなっており、我々の年金支給額を直撃する可能性が出てきた。

官製相場は、土台砂上の楼閣なのである。

以下、日刊ゲンダイより引用~~~

 公的年金を運用する「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」が1日、2018年10~12月期の運用実績を公表。なんと14兆8039億円の赤字だった。利回りはマイナス9.06%。7兆8899億円の赤字を出して大問題になった15年7~9月期を大きく上回る過去最大の損失額だ。GPIFが抱える150兆円資産の約1割が、わずか四半期で消えてしまった。

「最大の要因は、アベノミクスの一環として、14年10月にポートフォリオの見直しを行ったことです。国内株と外国株の比率をそれぞれ12%から25%に引き上げ、巨額資金を株式市場に振り向けた。それで株価は2万円台に上昇しましたが、GPIFの資産が市場の変動の影響をモロに受けるようになってしまった」(経済評論家・斎藤満氏)

ガチヤバイ、年金機構 

「年金がガチヤバイ」というキャッチコピーに対して、年金機構は委託料3000万円を支払っていたらしい。

かるいノリのキャッチコピーをSNSへポストし、ねんきんネットに人々を誘導するためらしい。

それにしても、この他人事のようなキャッチコピー、それに高額な委託料。真剣さ、切実さが皆無である。杜撰である。こんな組織が、年金資金を株式投資に数十兆円と投資し、官製相場を作り上げている。ほんとうにヤバイのは、年金機構である。

こちら。

年金は、開発途上国レベル 

我々への年金給付はカットされ、我々の年金料支払いは増やされている。

複雑な制度にするのは目くらまし。さまざまな手順を踏んで、減額するのだったら、もっと見通しの良い制度設計にすべきだろう。どうして、給付をカットせざるを得ないのか、年金料は増やさざるを得ないのかを国民が分かるように説明すべきだ。そのプロセスを国民が理解できるようにすべきだろう。

こちら。

あの基幹統計の改ざんを前にすると、年金制度自体に不信感を持たざるを得なくなる。

国際的に見て、わが国の年金制度はどうなのか。オーストラリアの研究機関が出している

Melbourne Mercer Global Pension Index

という年金の国際比較の指標がある。年金を、十分さ、持続性、それに統合性という三つの観点から指標化している。

こちら。

この比較で行くと、わが国の年金制度がかなり低い評価であることが分かる。開発途上国と同じレベル。

大企業の内部留保は、世界有数の巨額になっている。その一方、社会保障は、最低レベルなのである。それが現実なのだ。その現実を見せぬように、行政・政府は巧妙に仕掛けを作っている。

年金情報の外部委託、情報漏洩の可能性 

日本年金機構法という法律があって、業務を積極的に外部委託することが定められている。こちら。年金行政の一次的な業務全般が外部委託されている。

下記の報道の一件は、起きるべくして起きた。年金情報は、重要な情報なので、漏洩する可能性は高い。これが例え、日本の業者であったとしても、情報漏洩は必ず起きる。

情報漏洩が起きると、それを回復する手立てはない。年金情報が、「マイナンバー」と紐つけされると、様々な個人情報が漏洩することになる。

年金情報という国民にとって大切な情報の扱い方がおかしいのではないか。外部委託することによる、メリットとデメリットをしっかり比較検証しているのだろうか。外部委託先に公務員が天下っているという問題はないのだろうか。

以下、引用~~~

500万人分の個人情報が中国業者に 年金情報入力を再委託
3月19日 19時05分

日本年金機構からデータ入力の業務を委託された東京の会社が、契約に違反しておよそ500万人分の個人情報を中国の業者に渡し、入力業務を任せていたことが厚生労働省などへの取材でわかりました。

日本年金機構は、去年8月、東京・豊島区にある情報処理会社におよそ500万人分のマイナンバーや配偶者の年間所得額などの個人情報の入力業務を委託していました。

ところが、厚生労働省などによりますと、この会社は、中国の業者にデータの一部を渡し、入力業務を任せていたということです。

これらの個人情報は、公的年金の受給者が所得税の控除を受けるために日本年金機構に提出したもので、年金機構とこの情報処理会社が交わした契約では、個人情報を保護するため、別の業者への再委託を禁止していました。

厚生労働省によりますと、中国の業者から個人情報が外部に流出した事実は今のところ確認されていないということです。

この情報処理会社については、データの入力が進まず、少なくとも6万7000人の受給者が所得税控除が受けられず、本来よりも少ない年金しか受け取れない事態となっていて、日本年金機構が、中国の業者への再委託との関連など詳しいいきさつを調べています。

情報処理会社は、NHKの取材に対し「コメントできない」としています。
一方、日本年金機構は「現在調査中でコメントを差し控えたい」としています。

「委託先の業者を厳格にチェックへ」
個人情報の保護に詳しい立命館大学情報理工学部の上原哲太郎教授は「国が集めた個人情報は本来、厳格に管理する必要があり、業者に委託する場合は入力が終わればデータを消去するなど細かい決まりが設けられているが、再委託をすると、こうした厳格なルールが及ばなくなるおそれがある。国や日本年金機構などは、委託先の業者が適正に個人情報を扱っているのか厳格にチェックしていくことが強く求められている」と指摘しています。

年金資金の株による運用で生じうる巨大損失 

もう何度も取り上げた話題だが、年金資金による株式投資の問題。予想損失額が、政府から公表された。驚きの数字だ。

株式投資にはリスクが付きもの。年金資金を株式で運用する諸外国では、年金本体ではなく、所得比例部分に相当する部分のみを運用対象にしている。年金本体を株式投資するのは日本だけ。それも最大67%の年金資金を投入することになっている。株式投資運用の目的は、表面上株価を高く維持することにある。日銀もETFで株式投資をしている。これも同じ目的だ。株価は、本来、時の経済状態を反映する指標の一つで、それを政府が操作しようとすることは禁じ手のはずだ。以前、同じことを政府が行おうとしたときには、PKO price keeping operationとマスコミに批判された。が、今回は、マスコミはダンマリである。

株式運用で想定される損失額は、21から26兆円に上ることが、政府答弁で明らかになった。これは年金資金総額の最大20%に相当する。これとて、政府の試算であるから、低めに見積もられている可能性がある。巨額の株式投資は、小回りが利かないことと、GPIFが行う情報開示によってマネーゲームに長けた外国資本に、食い物にされる可能性が、極めて高い。

問題は、このような巨大な損失が出た場合の対処方法を決めていないこと。結局、年金減額、年金料増額ということになるのは明らかである。問題の先送りだ。今後増税が続く可能性も高く、このような損失を生じた場合に、年金だけで生活することはまず無理(今でも無理)となる。

これも何度も記したが、公務員の共済年金の株式投資比率は低いまま。また、長期間議員をしている政治家は、名目上廃止された議員年金を受給する資格があり、その年金額は破格に高い。年金とはいえ、100%国家予算から出る「恩給」のようなものだ。彼らが、我々の年金の運用方法を決め、実際に運用している。彼らの利権を確保するためだとしたら、倫理的に許されない。

今後、年金を受給する予定の世代の方は、よくよく覚悟しておくべきだ。株式投資により、年金財政がさらに厳しくなるその時になって、政府は様々な言い訳をするだろう。だが、問題は今進行中の滅茶苦茶な年金資金運用にあるのだ。

所謂、世論にもこの問題を批判する声があまり上がってこないことが不思議でならない・・・やはり、政府のじゃぶじゃぶの金融緩和で潤っている方が多いのだろうか・・・。


以下、日刊ゲンダイの本日の記事から引用~~~

約130兆円の年金資産を運用するGPIFは昨年10月、「国内株式」の投資比率を12%から25%に引き上げる(外国株を含めた最大投資比率は67%・・・ブログ主注記)ことを決めた。そこで民主党の長妻昭衆院議員が、運用見直しで想定される今後の損失額を質問主意書で問いただし、9日付で政府答弁書が閣議決定したのだが、その中身にビックリ仰天だ。経済「中位」のケースで、「確率95%で予想される最大損失額」は約21・5兆円となり、見直し前の損失額(約10・4兆円)と比べて2倍に膨らんだからだ。

 答弁書によると、仮に「リーマン・ショック」が起きた2008年度に当てはめた場合、損失(想定)額は約26・2兆円で、当時の損失額(約9・3兆円)の3倍近くになる。

年金の見通しは暗い 

年金の財政検証結果というデータが厚労省から公表されている。こちら。

将来の年金水準を予測するのに、様々な因子がからむので、致し方ないのかもしれないが、全般に見ずらく理解しにくい。行政の図式は、理解しにくいように作られていると受け取られても仕方ない。国民は、これでは理解できない。

給与水準が1から2%程度上昇するという予測条件は、オカシイのではないか。近年、給与水準は下がり続けている。「アベノミクス」なる借金垂れ流しが続けば、物価水準が上がり、表面上賃金があがるかもしれないが、それはそれできちんと明示すべきだ。

さらに、経済成長率、運用利回りの予測値も高すぎる。3%の運用利回りを確保するのは、至難の業なのではないだろうか。運用利回りは、株式投資を導入して、どのような結果になるのか。年金資金のように小回りの利かない資金の投資では、株式市場で食い物にされるのが落ちだろう。少なくとも、大幅な負の運用利回り、即ち元本割れが生じる可能性がかなりある。

この楽観的な見通しの図でも理解できることは、平均給与に対する年金額の比率は、どんどん下がることだ。

2006年に止めたはずの議員年金は、年金支給は続いており、100%公的資金がつぎ込まれている。我々の受給資格取得に必要な25年間に比べて、10年間という短期間で受給資格が得られ、年金額も比較にならぬほどに高い。掛け金も確かに高いのだが、それを考慮しても、年金掛け金総額を得るのに必要な年数は、我々の年金の半分程度と短いのだ。こうした年金を得ている、議員経験の長い連中にとっては、我々の年金がどうなるのか、あまり関心は持てない、言ってみれば、どうでもよいのだろう。

彼らに年金制度をまかせっきりにしておけない。この年金の予測のデータをじっくりご覧になり、議員年金と是非比べてみて頂きたい。

年金の粉飾決算 

年金受給開始年齢の引き上げを、厚生労働省が主張し始めている。

そもそも、彼らに年金を扱う、能力・資格があるのだろうか。年金を、財政投融資や、特殊法人への投資に回し、大きな焦げ付きを生じさせてきたのは彼らだ。また、2004年小泉政権当時、年金保険料の引き上げ、年金額の引き下げをする代わりに『100年安心プラン』を打ち出した。年金額が、現役世代の50%を下回らない、今後100年間は年金財政が破たんしないことを約束する内容だった。

2009年に定期的な年金制度の見直しが行われた。そこで、『100年安心プラン』は、着実に実行されているという結論を、厚生労働省は出した。これがトンデモナイ粉飾であることを、学習院大学経済学部教授の鈴木亘氏が、ちくま新書「年金は本当にもらえるのか?」で述べている。

鈴木氏によると、2009年の財政検証では、賃金上昇率が当年は0.1%、その翌年(2010年)には3.4%に急激に上昇すると仮定し、労働力率も大幅に改善、国民年金の未納率は4割から2割に驚異的な改善をすると仮定している。さらに、運用利回りを、2004年の3.2%を大きく上回る4.1%に想定している。これらの数値は、現状を全く反映していない。年金額が現役給与額の50%を下回らないようにするという「目的」から逆算されたものではないか、と鈴木氏は結論づけている。

何故行政による、こうした粉飾決算が可能になるのかと言えば、企業の監査法人にあたるチェック機関が存在しないことが原因であると、鈴木氏は述べている。たしかに、厚生労働省が、年金を集め、運用し、給付を行い、その上に、年金行政のチェックを自らが行う、現体制では、粉飾を行うのは容易なことだろう。本来は、政治がチェックを行うべきなのだろうが、これまで年金の運用等によって生まれる権益に政治家自身が与ってきたこと、さらに強大で強固な官僚組織にメスを入れるには、1年そこそこで交代する大臣はあまりに非力であったこと等で、チェック機構足りえなかったのだろう。

もうすぐ、年金の準備金も減少し始める。厚生労働省は、それが枯渇することはないと言っているが、それは大嘘だ。この準備金が枯渇しないうちに、年金制度の改革、それに年金の運用主体と別に、官僚以外からなる監査機構を作り出すことが急務のはずだ。現在も優位にある共済年金を、厚生年金や、国民年金と一本化すること、官僚の年金行政を監視し、年金財政の客観的な評価を行う第三者組織を作るべきだ。