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脊髄性筋萎縮症の遺伝子治療 保険収載のニュース 

私が自治医大の小児科に入局した時の主任教授は、鴨下重彦先生だった。とても温厚で静かな先生だったが、専門については熱いパッションを持った先生だった。彼が神経を専門とするようになったきっかけの一つが、森永ヒ素ミルク事件に医学生として関わったことだったと後で伺った。

他の複数の面接官と一緒の就職面接では、私は鴨下教授から将来どのサブスペシャリティを勉強したいか尋ねられ、大きな声で「免疫か血液を」と答えた。鴨下教授は、その答えに少し苦笑なさっていたように見えた。後で考えると、鴨下教授の専門は神経病理なので、神経を専攻したいという答えを期待しておられたのかもしれない・・・。

様々な研究班があったが、新設の医学部だったので、研究体制はまだあまり整っていなかった。2年目に医局に導入された電子顕微鏡を担当するように言われた。銅代謝異常のMenkes Kinky Hair病という病気の肝臓病理を少し研究した記憶・・・厚生省の班会議で初めて報告した。勿論、鴨下教授の代理。様々な高名な研究者に混じって、どんな発表をしたのやら・・・東北大学の小児科等が、きわめて整然とした研究成果を発表していて、感銘を受けたのを覚えている。でも、最終的に神経系の研究にはあまり馴染めず、結局母校の免疫遺伝学の教室に自ら移動したのだった・・・。

それはどうでも良い話なのだが、教授が神経専門ということもあり、神経系の患児がカンファレンスでしばしば取り上げられた。筋緊張が落ちる乳児floppy infantという病態の患児が時々そうした対象になった。その際に、この脊髄性筋萎縮症という病気・・・当時はWerdnig Hoffmann病と呼ばれていた・・・が、鑑別診断に必ず取り上げられた。脊髄前角にある下位運動ニューロンの変性疾患。後に遺伝子異常が解明されるこの病気は極めてまれな病気。当時は遺伝子異常については分かっていなかった。で、私は、この病気の患児を実際に経験した記憶がない。

この病気の遺伝子治療が保険収載されたというニュース。

こちら。

1億6千万円という薬価には、正直驚くが、orphan drugとしての開発コストを考えると、致し方ないのかもしれない。日本には25名の対象患者がいる由。どれほどまで機能が回復するか知らないが、根本治療になるので、大きな福音だろう。

開発コストを考えると致し方ないとは書いたが、長期的にみると、やはり少し高すぎ。2歳までが対象なのだろうから、一年で12、13名、新たに対象患者が現れることになる。これがずっと続くわけで、製薬会社にとっては大きな利益になる。おそらく、今後の薬価改定で薬価が段階的に引き下げられることにはなるのだろうが、医療保険財政の圧迫にならないような薬価にすべきだろう。

様々な先天性疾患の遺伝子異常が解明されてきている。遺伝子をヴェクターウイルスに乗せるなどの方法で、患児・患者に投与し、その遺伝子異常を治療する方法が開発されて行く。その際の医療費負担をどうするかをよく検討する必要がある。

製薬会社は、ならしてみると、利益率が20%前後と高利益体質。これは製薬会社スタッフの努力の賜物ではあるが、健康という価値には経済の原則が当てはまらないことも関係している。生命にかかわることとなったら、どのような経済的負担でも負おうとすることになる。医学・薬学の進歩を我々が享受するための仕組み、特にこうしたorphan drugのような治療を社会的に受け入れるための仕組みをよく検討する必要がある。製薬企業・研究者が対象患者の少ないorphan drugを研究する意欲を失わないようにするためにも。

集中治療の現状 

集中治療の現状を、日本集中医療学会理事長が述べている。戦慄の走る内容だ。

こちら。

集中医療の拡充、施設・機器・マンパワー面での拡充が待ったなし。さらに、一般医療機関での防護機器・PPEの充実への支援も必要だ。

お肉券やお魚券を検討したり、マスクを全国民に配ることを決めたりする前に、政府はやることがある。

院内感染による医療の逼迫 

朝日新聞が、院内感染の拡大を報じている。こちら。

院内感染の問題について、facebookで医師の方が、提言をしている。

以下、引用~~~

福島 淳也
21時間前
賛同して頂ける、多くの医療従事者、友人の方。
ご協力頂ける皆様方、シェアよろしくお願い致します。
筑波大学2000卒業、消化器内科医をやっております。
今踏ん張っている友人達はこの投稿見れてません。
ご協力をよろしくお願い致します。
重ねて、よろしくお願い致します。

既に都内、首都圏の多くの病院は大変逼迫しております。
都内だけでも、院内感染が報道だけで
永寿総合病院、慶應大学病院、国立がんセンター等多数。
院内感染が発生していなくても多数の患者引き受けで
手術室や内視鏡、化学療法など停止中の病院も多数。
また、幸い、運良く院内感染が起きてない、もしくは
これから院内感染の判明する危険なコロナ患者事例は
街の内科医の耳にも数十と届いています。
大学病院が手術をできない状態、
東京は医療崩壊していないのでしょうか???

今回の新型コロナでの一番大変な点は患者の搬送です。
軽症者であれ、重症者であれ、搬送時の従事者の
ものすごく高い精神的、肉体的ストレスは変わりません。
最も社会の弱い層のすぐ側で感染爆弾を運ばないといけないからです。

お願いです。
① コロナ専用病院をどこかに。
まとめるだけで患者さんへの院内感染リスクが消えます。
残念ながら、都は8万床中4000を平均割し、
300床の病院に15人受け入れを指示しています。
今、全ての病院がその対応で院内大混乱中です。
1000床を4つ。他は通常にしないと、
このままではすべての病院のオペ室が停止します。
② 軽症者は軽症者だけ隔離施設に(都内は選手村しかないでしょう)
③ 全ての病院に都の備蓄している200万枚の医療防護服などの配布を
 本当に足りてません。なくなれば小手や面がない状態で
 真剣勝負をやるようなものです。

都が上記やるには 緊急事態宣言をやらないと
都知事は用地の収容など出来ません。

緊急事態宣言、今本当にやらないと
多くの病院が先に詰みます。


~~~

今ならまだ間に合うかもしれない。都、近郊に住む方々は、行政(厚労省、官邸)、政治(近隣の政治家)に意見を送って頂きたい。この医師の方が述べている内容、またはそれを自分の言葉で置き換えて。この医師の方の意見に加えるとすれば、検査の徹底も求めるべきだろう。都は、まだ検査を必要とする方の5%しか検査をしていない(感染者数・死者数を少なく見せかけている)。

この医療の崩壊は、新型コロナウイルス感染だけではなく、他の病気にかかっても満足な治療が受けられなくなることを意味する。

日本は、集中治療の体制が脆弱なので、重症者が増えたら、本当にアウトになる。

国立感染研 年間予算40億円 

現在、新型コロナウイルス感染症の検査で過酷な忙しさの国立感染研、その年間予算は過去10年間で20億円削られ、40億円だそうだ。

国立感染研は、国民の健康を様々な角度から支えている。さらに、国立研究所として世界的な研究も行うことが期待されているはず。だが、人員削減、予算の抑制が甚だしい。

147機購入することにしているF35戦闘機は一機147億円、メンテコストを加えると500億円を超える。一機のコストである。

戦闘機一機の27%の予算が、国立感染研の予算だ。

国民の健康と安寧を維持する仕事をする国立感染研に対して、あまりに予算が少ないのではないだろうか。

このことだけからも、如何に現政権が軍事優先で、国民生活をなおざりにしているかが分かる。

新型コロナウイルス感染 帰還者への対応 国内の準備 

武漢からの邦人帰還。飛行機は、密室で人々が一定時間過ごすことになるので、こうした場合不適当な移動手段。今回は、他に手段がなく飛行機での帰還は仕方のないところだろう。帰還後症状のない人たちは、ホテルに一時滞在ないし自宅へ帰るそうだ。ホテルも部屋が人数分確保されておらず一部は相部屋。相部屋ではそこで感染が生じ得る。

これでは、感染拡大は免れないだろう。米国や、オーストラリアでは帰還者を、2週間は隔離している。帰還者自身もそれを望むのではないだろうか。

安倍首相が、チャーター機を飛ばして邦人帰還をさせるとマスコミで自分の手柄のように喧伝しているが、内実はお粗末。おまけに、エコノミークラスの片道料金(それも高めの正規料金)をバッチリ帰還者から徴収している。

それから繰り返すが、診断のための検査体制を、各地で早急に確立すべき。都道府県に一つの検査センターでは不十分。その上で、重症者のための施設も確保すべきだ。

新型コロナウイルス感染症 

新型コロナウイルス感染症については情報がある程度出てきている。中国当局が武漢市の状況等を隠蔽していることが危惧されている。だが、WHOは、これがパンデミックの状況ではない、緊急事態宣言ではない、としている。検疫で、この感染症を防ぐことは無理であり、すでに個人レベルで感染症予防対策を打つことが重要になっている。現在のところ、基礎疾患をもつ高齢の方がハイリスクで、それ以外の方は重症化していないようだ。だが、これも今後どうなるかは分からない。

このウイルスの遺伝情報が今月上旬には中国の研究者から公表され、その迅速なことに驚いた。この情報をもとに、診断の技術は確立されているはずだが、末端医療機関では利用しずらい状況なのではないだろうか。SARS感染流行時には、死者の2割は医療従事者だった。当時、医療現場にいた私にも切実な問題だった。行政は、まずかかりつけ医に相談するようにとアナウンスしていたが、末端の医療機関では対処するのが難しかった。あわててN95マスクを仕入れて、用いる等していた。末端の医療機関で、この新型コロナウイルスの診断ができるような体制を作ること、さらにウイルス防御のコストを診療報酬に上乗せできるように、当局には配慮してもらいたい。それが、国民の安全につながる。

こうした事態で不安を抱えながら、医療現場で奮闘しておられる諸兄姉には、こころからの敬意を表明し、感謝を申し上げたい。ご自身の健康を大切に仕事をお続けいただきたい。


東京の救急医療 

高齢化が進み、在宅医療が推進されている。救急出動は、今後も増え続ける。東京では、一頃救急医療の搬送先を見出すのに時間がかかることが「たらい回し」として問題になった。搬送に要する時間、救命率等では、東京は、いまだ全国中で「最悪」らしい。こちら。

オリンピック開催期間中、またその後も、東京の救急医療は危ない橋を渡り続ける。

以下、引用~~~

2019年の救急出動件数 過去最多を更新

2020年01月10日 06時12分 TBS

 東京消防庁は去年1年間の救急隊の出動が82万件を超え、過去最多を記録したと発表しました。

 東京消防庁によりますと、去年1年間の救急隊の出動は速報値で82万5933件となり、統計を取り始めた1936年以降、過去最多となりました。夏の記録的な猛暑で熱中症での救急搬送が大幅に増えた2018年よりもおよそ8000件増加し、2年連続で記録を更新しました。高齢者の搬送が増えたことが原因とみられています。

 月別では、インフルエンザや風邪の流行などの影響で1月が最も多かったということで、東京消防庁は注意を呼び掛けています。(09日21:58)

公的医療保険の対象範囲縮小が始まる 

高齢者の医療費負担を2割にする。市販類似薬、花粉症治療薬、シップ等は自費にする・・・と。

医療費削減はもちろんのこと、日米FTAで、米国から医療の米国化を求められることに対応したのではないか。

次に来るのは、処方薬全部の自費化、公的医療保険の範囲縮小だ。

そして、国民は高額の民間医療保険に入ることが必須となる。勿論、その保険の大多数は米国のグローバル資本である。

以下、引用~~~

市販類似薬は保険対象外 病院処方の風邪薬など 医療費抑制へ政府調整
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191201-00000501-san-soci

 政府は30日、全世代型社会保障改革の一環として、市販の医薬品と同じような効果があり代替が可能な薬(市販品類似薬)について、公的医療保険の対象から除外する方向で調整に入った。市販品は全額患者負担だが、病院で処方箋をもらって薬を購入する場合、自己負担は1~3割で、残りは税金や保険料から賄われる。政府は自己負担を引き上げることで医療費抑制につなげたい考えだ。

全世代型社会保障検討会議
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/201911/26zensedai.html

具体的には、70歳までの就業機会確保の法案の早期提出を図るとともに、中小企業の負担感や生産性向上に配慮しつつ、厚生年金の適用範囲をどうするか。また、医療などの分野を含めて、年末の中間報告や、さらに、来年夏の最終報告に向けて、具体的な調整を進めていく必要があります。
西村全世代型社会保障改革担当大臣を中心に、加藤厚生労働大臣など関係大臣は、本日いただいた御意見を踏まえつつ、与党との調整も十分に図りつつ、とりまとめに向けて、具体的な検討を進めていただくようにお願いいたします。

急性期病床削減 

すでに取り上げた話題だが・・・政府は、急性期病床の削減をどうしても進める積りらしい。

この「医療改革」を進めているのが、経済財政諮問会議。基本的に財界の意向を反映している。社会保障の柱である医療制度を、経済界にとって都合の良いものに改変しようとしている。病床数・医療機関配置等の医療制度の根幹に手を付けるのに、現場で働く人々・社会保障の専門家の声をどうして聴かないのだろうか。これでは、国民にとってより良い制度になるはずがない。

急性期病床を国際比較すると、わが国では多すぎるということになるが、各国で急性期病床の定義が異なる。わが国は、リハ回復期病床も急性期病床に含まれている。それを除けば、とくに多いとは言えない。精神科病床は確かに国際比較で見ると多いが、精神科病床を出た後の患者の受け入れ態勢の問題もあり、一概には比較はできない。

診療実績の多寡・・・それも聞くところによると、外科の手術件数だけを指標にしたらしい・・・だけで、病院の統廃合を決めるのは、乱暴すぎる。地域の特殊性、患者サイドの需要を考慮すべきである。

さらに、今後数十年間、高齢化・多死の状況が続く。急性期病床がもっとも必要となる時期に入って行く。それなのに、急性期病床を削減することは、医療現場をさらに疲弊させ、救える命も救えないことになりかねない。厚労省は、在宅医療を進めるつもりのようだが、現在の核家族化で、一体誰が患者のケアをすることになるのか。これから激減する生産年齢人口をさらに減らすことになるのではないだろうか。

以下、引用~~~

安倍首相 病院再編と過剰なベッド数の削減など指示
2019年10月28日 17時50分 毎日新聞

高齢化を踏まえた将来の医療体制をめぐり、安倍総理大臣は、経済財政諮問会議で、持続可能な地域医療体制を構築するため、都道府県ごとに策定された構想に基づいて、病院の再編とともに、過剰なベッド数の削減などを進めるよう関係閣僚に指示しました。

総理大臣官邸で開かれた、28日の経済財政諮問会議は社会保障制度改革が議題となり、民間議員は、都道府県ごとに作成され、2025年までに目指すべき医療体制の将来像を示した「地域医療構想」について、「実現に向けた進捗(しんちょく)が十分ではない」と指摘しました。

そのうえで、厚生労働省が公立 公的病院の再編、統合をめぐり、診療実績が特に少ないなどの全国400余りの病院名を公表したことを踏まえ、「病院や過剰なベッドの再編は、公立 公的病院を手始めに、官民ともに着実に進めるべきだ」などと提言しました。

これを受けて、安倍総理大臣は、「限られた財源を賢く活用し、国民生活の質の向上を図ることが重要なポイントになる」と述べたうえで、持続可能な地域医療体制を構築するため、「地域医療構想」に基づき、病院の再編とともに、全国でおよそ13万床あるとされる過剰なベッド数の削減などを着実に進めるよう、加藤厚生労働大臣ら関係閣僚に指示しました。

社会保障・医療の切り下げはさらに進む 

先日、厚労省地域医療構想WGは公的病院1400超の内、400超を統廃合すべしと答申した。私立病院3000にも統廃合をかんこくすることになるらしい。

衆院での予算委員会、さらにm3での議論を見聞きすると、この統廃合の根拠は主に外科手術の件数によっているらしい(WGは6つの指標に基づくとしているが)。さらに、北海道等の地方で大きく削減される傾向がある。北海道は、半数が統廃合の対象。また、この統廃合対象選定にはどうも各個病院、その周囲の政治的な動きがからんでいる、即ち地域でのニーズの多寡を科学的に分析しているようには思われない。

日本では、入院病床が外国に比べると多く、急性期病床を中心に削減する方向で検討することはやむを得ないことなのかもしれない。

だが、医療事情の良くない地方を統廃合のメインの対象とするのは、地域医療を破壊することになる

高齢化が進展中で、今後急性期病床のニーズは高まる。

急性期を脱したその後の受け皿が貧弱。どうも厚労省はさらに在宅医療を進める積りらしい。だが、その担い手はどうする積りなのか。

こうした問題を放っておいて、ただ医療費削減のための病院統廃合、急性期病床削減に突き進むのは大きな問題だ。

政府は何しろ社会保障・医療のコストを削減することを目指している。

その一方で、関電疑惑のような国民の財・税金の私物化の問題はそのまま。政治家は、違法な企業献金を世間に知られぬように受け取っている。

さらに問題だと思うのが、安倍首相が外遊のたびに外国にばら撒く援助・・・総額55兆円に達するという。この背後には、援助にわが国の企業が関与し、そのキックバックが政権与党に回っているのではないかという疑惑がぬぐえない。聞くところでは、対外援助に伴う企業から政治家へのキックバックは3%。兆の単位のキックバックを政権与党政治家達は手に入れているのではないか。この対外援助と国内の社会保障の切り下げとは明らかにバランスを欠いている。

社会保障を政府はさらに切り下げる。

以下、引用~~~

政府、社会保障1300億円圧縮
薬価引き下げや介護負担増

2019/10/12 21:00 (JST)
©一般社団法人共同通信社

 政府は2020年度予算で高齢化に伴う社会保障費の伸び(自然増)を例年並みに1300億円程度圧縮する検討に入った。自然増は5千数百億円になる見込みで、薬の公定価格(薬価)の引き下げなどにより4千億円台に抑える。複数の政府関係者が12日、明らかにした。厚生労働、財務両省が年末の予算編成に向け調整する。

 社会保障制度の支え手である20~64歳の現役世代の人口は減少し、高齢化の進行で医療や介護、年金などの社会保障費は膨らみ続けている。