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HPVワクチンの安全性 

昨日か今日のNHKの朝のワイドショー、朝いち、で、HPVワクチンを取り上げたらしい。

あるSNSで、その番組について、母親になりたての方が語っていた。その番組が言うには、「HPVワクチンには副作用がありうるので、受ける際は、自己責任で!」というのが結論だったようだ。

間接的な情報なので、この通りだったかどうかは分からない。だが、少なくとも視聴者の一人が、このように受け止めた内容だったということは重大だ。

何となれば、HPVワクチンは、一時問題とされた慢性疼痛のような副作用は、コントロール群と比べて有意差がない、すなわちワクチンで多く生じるということはない、というコンセンサスがすでに得られているから、だ。

一方、HPVワクチンで子宮頸がんの7割が予防可能で、9価の新しいワクチンだとそれが9割まで上がる。子宮頸がんによる死亡者は毎年2000人で、発症率が一時下がったものが最近再び増えている。こうしたことから、HPVワクチン接種は、必須といえるほど重要になってきている。

HPVワクチンの安全性については、WHOの予防接種の安全性を教宣する委員会GACVSが、確認し、接種を勧めている。下記のサイト3ページには、日本での「副作用問題」が根拠のないもので、接種者と非接種者にそのような症状が生じる率は変わらないことを述べている。

こちら。

NHKには医療保健に詳しい解説者がいるのだろうに、何故、最初に述べた様な誤解を生じうる放送を行ったのだろうか。

まさか、HPVワクチン勧奨に腰が引けている厚労省への忖度ではないだろうな?

歯科医療の現状は、医療全体の近未来像 

現在の歯科医療の状況は、医療全体の近未来だ。

歯科医師が増産され、その一方歯科医療のコストは抑えられ続けてきた。その結果、歯科医療は薄利多売、歯科技工はコストカットを求めて海外へ発注である。こう言っては語弊があるかもしれないが、「安かろう、悪かろう」へ一直線である。歯科医師会幹部は、間接選挙であり、一般会員の要望ではなく、行政の要望に従う傾向がある。

優良な技術を持つ歯科技工士が枯渇するという事態も驚きだったが、自殺者を出すまでに現場の歯科医師を追い詰め、個別指導という行政支配の手段を用いて、あくまで医療機関の診療報酬を減らそうとする行政に静かな怒りを感じる。

政府は、社会保障予算を、自然増分を含めて毎年5000億円、機械的に減らし続けている。それが歯科医療、さらには、医療全体にジワリと効いてくる、ということだ。現政権を支持するということは、政府・行政それに業界上層部のやりたい放題を認める、ということだ。

以下、MRICより引用~~~

現在とこれからの歯科界を担う皆さんへ

津曲雅美

2019年5月8日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp
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現在とこれからの歯科界を担う皆さんへ

4月の所属群市区歯科医師会の例会で、以下の要望を出すつもりでしたが、出すのは止めました。どうにもならないと考えたからです。それより、不特定多数の皆さんに届ける方が得策だと考えました。歯科技工士は近い将来、実質的にはいなくなると思います。滋賀県歯科医師会の会立歯科技工士専門学校は定員20名のところ学生数4名まで落ち込み、今年3月に閉校になりました。知る限
りでは、歯科技工士の技術は落ちました。人手不足で、いい技工士さんが来ないそうです。いっとき、あれだけ騒がれた中国への技工物委託、その結果とんでもない技工物が患者さんの口に入る、歯科医師も生活に困窮し、安い中国に委託する、まずは売り上げ至上主義に陥る、長らくこの世界に居た者として、阿鼻叫喚の地獄絵図を見る日がそこまで迫っていると感じます。ある私立歯科大学に合格し、ある歯科衛生士専門学校は落ちた方がいるそうです。歯科医師の質も落ちたと感じます。

時局対策委員会設置の要望

国民は税金を払い、国会議員、地方の首長と議員に選挙権と被選挙権をもっています。構成員全員が平等な基本的権利をもつ、これが近代社会の鉄則です。我々は日歯と県歯と群市区歯の個人会員です。県歯などには一応基本的権利がありますが、日歯に対しては会費を払うだけで、基本的権利は全くありません。日歯代議員は会員から見れば間接選挙、日歯会長は間接の間接選挙で、こういうのは「ない」というのです。金だけ払って無権利、皆さん、こんなことをよく我慢していますね。個人的と言われても、私には考えられないことです。

日歯は個人会員をもたない連合体ではありませんし、社会的には日歯の歯科医療に対する意思決定は、歯科医師の歯科医療に対する意思決定です。役員は会員の審判を受けないから、やりたい放題してきました。京都贈収賄事件、日歯連事件、東歯大同窓会贈収賄事件そして2007年の技官の恫喝による都歯会員の自殺事件のときの日歯と都歯の黙殺・・・これらは役員がやった犯罪で、会員は全く無関係です。会員が無権利だからチェックが効かないのです。

また、そうだから平成16年の東北歯会連絡協で福島県の安斉専務が「日歯が保険医の指定を行うよう主張すべきだ」と発言しています。平成17年の都道府県歯科医師会会長会議では井堂日歯会長が「歯科医師免許更新制導入に関し、日歯が主導権をとり、そのために日歯生涯研修を重用するべき」と発言しています。

2009年の千葉県歯の代議員会で「集団的個別指導について、点数が下がらなければ個別指導だと威圧的な指導が行われている。会員擁護の立場から県歯は千葉厚生局とどのように対応しているのか」との藤本代議員の質問に、大河原理事は「日歯はこの問題に触れると更に厳しくされる、との懸念をもっている、政治的なアプローチが必要だ」と腰の引けた回答をしています。

そして2007年技官の恫喝による都歯会員自殺事件では、桜井議員と小池議員、保団連と東京歯科協などがあれだけ闘ってくれたのに、日歯と都歯は完全に無視しました。こんな犯罪ばかり起こして、会員に対して権力を持とうとして、そして会員擁護はしないのです。まさに無責任状態です。

これが日歯の現状です。無権利でお任せするのと、権利をもったうえでお任せするのは、意味が違います。日歯会員が日歯会長、日歯代議員に直接選挙権をもつべきです。

ある方が「厚労省は日歯の言うことしか聞かない。一人一人の歯科医師の意見を聞いていたら、きりがないから」ということでした。私も二度厚労省を尋ねましたが、面会拒否でした。保団連が厚労省と話し合いの場をもてるのは、主に共産党の国会議員の紹介があるからで、日歯は議員の紹介なしで厚労省と話し合えます。個人や小グループで国や国民にアッピールしている方がいます。
勇気ある行動で敬意を表します。だが、歯科医療のことを本当に考えるなら、職域代表団体である日歯にモノを言わせるのが正道だと思いますし、それに手を付けないで・・というのは大きな片手落ちだと思います。まずは日歯を変えることです。

また、中医協で多数決で負けるのは仕方ありません。改定点数はもらっておかないと、もっと悪くなりますから、もらうべきです。その上で「しょうがないから受けますが、これでは、こんな低報酬では物理的にできません。どうなってもしりませんよ」と毎回言っておくべきです。そうでないと、認めます、それでOKですということになります。

日歯会長、日歯代議員の直選を実現させ、日歯を会員のための組織にする、中医協でどうなっても知りませんよ、とダメ押しをする、これら二つは、歯科医療、歯科界が生き残るための生命線です。今でも99%歯科界は凋落すると思いますが、これら二つができなければ、歯科界の再生は完全に断たれます。

以上の理由で、本会や滋賀県歯に仮称時局対策委員会を設置して、日歯などに直接要望する事を要望します。私は歯科界を去る身です。関係ないと思ってます。しかし、一生の職業として歯科医師を選んで、そして生きてきました。愛着はあります。歯科医療を守るためにお考え下さい。

国保料値上げ、国保料滞納、国保証取り上げ 

国民健康保険は、主に自営業者、無職の方等が加入しており、財政がひっ迫している。2019年度に、各都道府県が提示する「標準保険料率」をもとに市町村が国保料を改定する。その結果、8割の自治体で平均4万9千円の値上げになると予想されている。その結果は、この記事にある通り、国保料の滞納が増える可能性が高い。滞納が1年間以上になると、国保証が取り上げられ、一旦すべてが自己負担になることがある。

新聞赤旗から引用~~~

国保料滞納269万世帯 3分の1 国保証取り上げ
18年度厚労省調査

 国民の4人に1人が加入し、自治体が運営する国民健康保険制度で、2018年度に保険料・税(国保料)を滞納していた世帯は、全加入世帯の15%近い約269万世帯であることが、厚生労働省の調査で分かりました。また、国保料滞納世帯の3軒に1軒は、滞納を理由に正規の被保険者証(国保証)を取り上げられ、安心して医療を受けられない状況にありました。

~~~引用終わり

で、実際に国保証を取り上げられるケースがどれほどいるのか、そのような方々が医療を受けられるのかが、福岡県議会で議論されている。

こちら。

自分は大丈夫と思っていても、いつ何時、病気に冒され仕事を失うかもしれない、または他の理由で国保料を支払えなくなる可能性がある。誰にでも起きるリスクだ。

そうすると、医療に満足にかかれないということになる。国保加入全世帯の5%は、保険証を取り上げられ、そうした事態に現になっている。今後、高齢化が進行し、この状況は悪化する。

それを黙って見過ごしていて良いのか。

年2000時間の時間外労働 

途方もない残業時間である。医師には、年に2000時間までの残業を認めようと厚労省が言っている。

1990年代に、厚労省は、それまで充足しているとしていたのを急に不足していると、医師数の見方を180度変え、医師育成数を増やす方向に舵を切った。救急医療等での医師不足を解決するために、医学部を増やし、定員を大幅に増やした。医師数は、その後4割弱増加した。

だが、医師不足が叫ばれている救急医療・地域医療の中核を担う、外科・小児科の医師は減少傾向にある。

これは、厚労省の医師数をただ単に増やす政策が失敗だったことを意味する。

厚労省は、専門医資格を取る際に、地域医療従事を義務化しようとしているが、それもうまく機能しない可能性が高い。

まずは、人手不足の医療現場の労働環境・待遇を改善することだ。医師数を増やしたり、強制人事を行うことで解決しない。

その上、この非人間的な時間外労働の認可となると、救急医療・地域医療はますます崩壊することだろう。

以下、引用~~~

朝日新聞デジタル

医師ユニオンと過労死遺族、残業年2千時間案に反対
姫野直行 2019年1月17日23時40分

 医師の働き方改革を検討する厚生労働省が、一部の医師の残業上限時間を年1900~2千時間とする案を示したことを受け、勤務医の労働組合「全国医師ユニオン」が17日、緊急声明を出した。憲法や労働基準法に違反する可能性がある働き方改革は許されないとしている。

 声明は、厚労省案が法の下の平等を定めた憲法14条や「生存権」を定めた憲法25条のほか、労働基準法にも違反すると指摘。「医師不足や医師の偏在は医療政策の失態。医師個人に責任を転嫁することは言語道断」と批判した。同ユニオンが2017年に行った勤務医労働実態調査で4割の医師が健康に不安をもっており、51・6%が労働時間規制に賛成していたという。

 過労死した医師の遺族も反対を表明した。小児科医だった夫を過労自殺で亡くした「東京過労死を考える家族の会」の中原のり子共同代表が会見に同席。遺族からの「働く医師たちの命を守るためではなく病院が罰則を受けないでいいように検討された案にしか思えない」や「医師の過酷な勤務を知っていたら娘を医師などにはさせなかった」などの意見を紹介した。(姫野直行)

医師の過重労働 

医師の過重労働を軽減することは、医療の安全のために必要なこと。ひいては、国民のためになることなのだ。

行政も、司法もさらに医療の機能を評価すると豪語している医療機能評価機構も、この問題については沈黙している。

医療事故に対して、医師や他の医療スタッフの過重労働という観点から分析がされてきただろうか。医師・医療スタッフを叩きさえすれば良いという発想がないかが、厳しく問われている。

以下、引用~~~

「君死にたまう事なかれ」 ~医師の過重労働は許容限度を越えている~

つくば市 坂根Mクリニック
坂根みち子

2018年12月19日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp
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この半年で、身近にいる医師が3人突然死した。一人は同級生で、彼には中高大学生の子供が3人、後輩にはまだ小さい2人の
子供が残された。遺族は哀しみの只中にいて、グリーフケアを受けることもなく、ひたすら耐え、目の前の子供を育てることで精一杯の日々を過ごされている。

後輩の医師を研修医の頃から育ててきた直属の上司は、忘年会の挨拶で、人格者でもあった彼について語りながら、言葉に詰まり、自分を責めた。ご自身もずっと過重労働の中で、たくさんの患者の命を救ってきたドクターである。誰もが、やり切れない思いを抱えながら、どこかに贖罪の意識を抱えながら、それでも目の前の患者を救うために立ち止まることが出来ない。そして、次は自分の番だと心の中では思っている。

一体これは、各医療機関で解決出来る問題なのだろうか。奈良県立奈良病院産婦人科医師らが「宿直は月8回以上、日直は通常勤務から連続で32時間以上」などという過酷な勤務が常態化しているとし、改善を求めて提訴し最高裁で勝訴したのが2013年。訴訟はその後も繰り返され、その度に医師側が勝訴しているが、奈良県は、抜本的な解決は一地方団体では無理と言うことで匙を投げている。

現在、全国の医師の1割は、年間1920時間を越える時間外労働に従事している。4割の医師は、過労死基準の年間960時間を越える時間外労働(週60時間を越える労働)をしている。厚労省は、このような医師の働き方が、全業種を通じて最大のブラック状態だと認めている。ところが、自ら定めた労災基準(1)がありながら、医師の時間外労働の上限について、医師不足の地域などでは例外として年間1920時間、月の平均に換算すると160時間まで認める方向だという。12月13日NHKニュース(2)
このような恣意的な行政判断が許されるものなのだろうか。厚労省の医系技官は、遵法精神が乏しいのか、あまりに現場知らずなのか。SNSが発達した今は昔と違う。流石に医療現場には怒りの声が溢れている。

日本の医療界は、労働団体は無いに等しい。現場の医療を守るべき日本医師会を始めとする各医療団体は、まず経営者の視点でものを考える。厚労省の諮問機関は、利害関係調整の場となり、予定調和を乱す意見の持ち主は呼ばれない。他の労働団体、患者団体も、医師の過重労働はあまり問題にしない。ましてやそれが国民の医療安全を損なっているという認識はされていない。ヨーロッパや北欧が、医師の労働時間を週48時間程度に厳しく制限しているのは、患者安全のためでもある、とはっきり認識しているのと雲泥の差である。

勤務医中心の団体である全国医師連盟が厚労省の長時間労働容認の方針に反対する緊急声明を出した(3)。その中で、特に以下の2点は、重要である。*地域医療の維持と長時間労働改善を両立させる唯一の抜本的方法は、急性期病院の集約化による一病院当たりの医師数増加を基盤とした交代制勤務の導入である。*厚生労働省、日本医師会、各病院団体は医療提供体制維持が不可能である現状を放置してきたことを率直に詫び、医療の持続、安全性確保のため、急性期病院の集約化、再編が必要であることを国民に説明し、そのロードマップを明示すべきである。

現場の医療者を守るのは誰か。残念ながら厚労省も医師会も医療団体もあてにならない。メディアも医師の働き方改革は5年先延ばしされ、長時間労働が容認されるという垂れ流し報道しかしない。その背景にある深刻な問題に踏み込むのが、メディアの真骨頂であろうに。日本の司法はどうだろう。医療事故が起きたとき、他の先進国のように、医師の過重労働という背景要因まで分析して判断してきたことがあったのだろうか。そして、医療安全団体はいったい何をしているのか。「過労死ラインを超えて医療安全は守れない」となぜ言わない。この期に及んでなぜ声を上げないのか。この国はどこかおかしい。

(1) 脳心臓疾患の労災認定
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/rousai/dl/040325
-11.pdf?fbclid=IwAR2_u6GFWI1IOClyRpVj37JcMwpHw1v4OZ5sggNSDNHg7l5iqyetX
3CNflY
(2)https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181213/k10011745141000.html?fbc
lid=IwAR39Nnj_Kwmyaant1iu4Y9A5j9uTDV-IAsUTpGSy2wxEYRnhrm_Vd4UP6pQ
(3)一般社団法人 全国医師連盟 理事会 緊急声明
医療安全を脅かし、勤務医の過労死基準超の長時間労働容認に断固として反対
する 平成30年12月14日
http://zennirenn.com/news/2018/12/-301214-2.html?fbclid=IwAR1XP-amwEct
k18eYKAvi2zjQExXLjBYqRAybQmwRv6q173cQvrJT-kh1nY

妊婦加算廃止に思う 

小泉進次郎が、診療報酬上妊婦加算が少子化対策に反すると問題提起し、厚労省は、あっさり同加算を凍結した。きっと年度替わりの時期に、同加算を廃止する積りなのだろう。

臨床現場では、妊婦への配慮はいろいろと手間がかかる。投薬一つとっても、妊娠時期に応じて、種類、投薬量を加減しなくてはいけない。医師のその技術に対する貴重な診療報酬を、いとも簡単に廃止する、そのセンスが理解できない。

この加算の診療報酬は、初診時75点、再診時38点だそうだ。自己負担は250円から128円程度である。この負担増が、少子化を促進するのか。納得できない。

妊婦へ対処する手間を技術料として評価した貴重な診療報酬だったが、ポピュリスト政治家の下らぬ言で、廃止になる。

現在の政権が推進している金融緩和政策によって、国家財政はどんどん悪化している。経済学者、エコノミストの多くが、近い将来国家財政破綻が来ると予測している。その際に、最初に破たんするのが医療。そうすると、128円、250円どこの話しではなくなる。そうでなくても割安な医療のコストが跳ね上がり、さらに保険が効かなくなる。小泉進次郎のようなポピュリスト政治家達が、そうした事態をもたらすように政策を推し進めている。

いつかは明確に予測できないが、近い将来、国家財政の破綻は確実に起きる。国債の未達が少しずつ増えてきている。国債を引き受ける投資家がいなくなる、ないし/かつ国債を爆買いしている日銀のバランスシートが毀損されることにより、円の信用が落ちる=極端な円安に傾くことによってインフレが進行する。それで医療制度が破たんする、という道筋が見えてきている。

医療機関初診料値上げは適切 

医療機関の初診料を、消費税増税とともにわずか(数十円単位?)で上げることが議論されているようだ。

それに対して、SNSでは、また値上げかと医療機関に反感を示すような議論が多い。

だが、この値上げを批判するのは間違いだ。

そもそも、消費税は、医療機関にとって損税。医療機関は、物品購入などに対して消費税を支払うが、収入たる窓口収入・診療報酬では消費税は上乗せされていない。正確に言うと、ごくわずか上乗せされているのだが、下記の基金にその分の資金を「分捕られている」のだ。

この地域医療介護総合確保基金は、地域の医療介護施設の維持・発展のために用いられることになっているが、配られる資金の大部分は「箱物」建設に用いられている。行政が、この基金の差配を支配することで、利権を得ている構図が見えてくる。地域医療介護は、財政的に極めて厳しい状況にある。消費税分の診療報酬は、直接各々の医療・介護機関に支払われるべきなのだ。

こちら。

このわずかな初診料値上げが行われても、大部分は、この基金に吸い上げられてしまう可能性が高い。問題は、このピンハネ構造にある。

また、もともと診療報酬における「技術料」は、国際的にみてもきわめて低い。診察料は、その技術料の中核部分だが、それを低いままにしておいて良いはずがない。

こうして、医療費を抑えることにより、やがて国家財政が破たんするときには、まず最初に医療制度が立ち行かなくなる。小林慶一郎編著「財政破綻後 危機のシナリオ分析」において、国家財政破たんがまず社会保障の崩壊、医療機関の財政破綻をもたらすことが述べられている。それは遠い将来の見通しではない。すぐそこまでやって来ている。

この程度の技術料の見直しに、硬直的な反対を示すことは見当外れであり、本当の問題を見過ごすことになる。

厚労大臣が医師の人事権を握る 

医師のサイトm3をしばらく訪れていなかったら、「凄い」法改正が行われていた。

厚労大臣が、各学会に向けて、専門医の配置を指示できる仕組みが出来上がりつつあるのである。

専門医機構を介するのは面倒だ、厚労大臣が直接指示するようにしよう、ということなのだろう。

これは既定の路線だったのかもしれない。専門医機構は、専門医試験の事務だけを担当し、医師の人事権を行政が直接握るというスキームである。

かくて医師は、高額な専門医試験受験費用、資格維持費用を専門医機構に払いつつ、学会に学会費を払い続けなければいけなくなる。その上、行政による人事権により仕事・居住地まで指示されることになる。

だが、行政の思い描く、官製医局というか、行政による徴医制は、思い通りには実現しないだろう。

その理由はいくつもあるが;

〇職業選択の自由を侵す制度となる。憲法の基本的人権にも抵触する。
〇医師の身分保障、労働環境の整備まで、行政は行わない・・・人事権の美味しいところだけを行政がつまむことになる。確かに、ドイツ等では、行政の指示により、医師は一定期間地域医療に従事することになっているが、その背景には手厚い医師の身分の保証がある。医師からは、すべての医師を公務員化するようにとの要求がでるかもしれないが、医療費削減の強い要請のあるなか、そのようなことは決して行われない。 
〇日本医療機能評価機構という天下り先を潤し、行政の権益にのみ資するような、この制度に囚われることを嫌悪する雰囲気が若い医師の間に蔓延する可能性が高い。
〇公的医療保険はおそらく高齢化の進展のための財政難、貧弱な医療政策により、ジリ貧になる。すると、この新たな制度と相まって、自費診療、さらには関連別業種に医師が向かうことになる。
〇行政と直接関係のない、任意団体である学会と厚労大臣の関係も法的に不明確。厚労大臣が、学会に「命令を下す」ことができるのだろうか。学会の抵抗が予想される。

機を見るに敏な優秀な学生たちは、きっと医学部を敬遠するようになることだろう。現在の医学部人気は、一種のバブルだから、それが沈静するだけでも良いのかもしれない。

高校生の諸君には、この行政による医療支配の進展をよくよく見て、自らの将来を決めてもらいたいものだ。

それにしても、専門医機構とは一体何のため?

以下、m3より、このニュースの一部を引用~~~

 先の通常国会で成立した改正医師法で、新専門医制度において、国が日本専門医機構等に対し、意見を言う仕組みが新設された。地域医療に重大な影響が及ぶ懸念がある場合など、特に必要があると認めるときなどは、「必要な措置」の実施を要請することができる。その対象は同法上、「医学医術に関する学術団体その他厚生労働省令で定める団体」となっている。省令案では、日本専門医機構だけでなく、基本領域の18学会を加え、計19団体とした。厚労大臣が、同機構を通さず、学会に直接要請ができる枠組みが誕生することになる。

終末期医療の法制化 

終末期医療を原則的に患者本人の意思に基づいて決定すること、最終的には尊厳死を認めることは、現在の医療にとって重要な課題である。急増する医療費の多くが、終末期医療に費やされていることにも我々は関心を向ける必要がある。

だが、延命中止・尊厳死を法制化するのは慎重であるべきだ。とくに、現在の政権のように基本的人権を抑圧する傾向の強い政権政党が、そのような立法に携わるのは問題が多い。

人が死ぬ状況は、様々だ。各々が生きてきた人生、周囲の状況によって大きく変わるからだ。患者本人・家族それに医療現場の意向が、最大限に尊重されるべきだろう。ホスピス等終末期医療の体制を充実させなければならない。

以下、引用~~~

終末期医療:延命中止、意思確認に力点 自民、新法検討

2018年09月16日 06時30分 毎日新聞

 自民党は、終末期医療のあり方を規定した新法作成の検討に入った。終末期医療を巡っては2012年に超党派の議員連盟が尊厳死法案をまとめているが、本人の意思に反して延命措置が中止されることへの懸念が根強い。同党は、法案を抜本的に見直し、継続的に本人の意思を確認するなど手続きに力点を置いた新たな法案への練り直しに着手。与野党各党の賛同も得て早ければ来年の通常国会への提出を目指す。【酒井雅浩】

 末期がんや老衰により回復の見込みがない患者に対し、人工呼吸器の装着や人工透析などの延命治療を施すのは、患者の苦痛や家族の介護負担などを考慮すると必ずしも患者のためにならないとの考え方がある。一方で、現行法では医師の延命措置の中止が刑事責任を問われる恐れもあり、医療従事者を中心に法整備を求める声が出ていた。

 12年の法案は「終末期」について患者が適切な医療を受けても回復の可能性がなく、死期が間近と診断された状態にある期間と定義。延命措置を中止できるのは、患者が書面などで意思を表示している場合とした。ただし、この規定に従わずに延命措置を中止することもできるとしている。

 だが、終末期患者の7割は、意識不明や認知症などのため自分の意思が伝えられないとのデータもある。障害者の団体などからは「意思を示すことができない患者が尊厳死に追い込まれるのではないか」などの懸念が示された。法案は国会提出に至っていない。

 そこで、自民党の終末期医療に関するプロジェクトチームは8月29日の会合で、法案をゼロベースで見直すことを決めた。

 近年、医療現場では、最期の迎え方を患者本人と家族、医師らが継続的に話し合う「アドバンス・ケア・プランニング」(ACP)の取り組みが進んでいる。継続的に話し合うので本人の意思の変化も反映できる。

 同党は新法案にACPの考え方を盛り込み、患者の意思決定のあり方の透明化を医療現場に促し、国民の理解を得たい考えだ。

産科医療補償制度が、脳性麻痺医療訴訟を増やしている 

私自身、臨床から離れたこともあり、産科医療補償制度のことは意識の外になってしまっていた。同制度が、立ち上げ時に、心配された医療訴訟の増加をもたらしている。

この制度は、不幸にして分娩時に脳性麻痺にかかったお子さんを経済的に救うことを目的に作られた制度だ。

だが、その制度が、脳性麻痺の責任を医療機関・医師に求める訴訟を増やしている、というのだ。

脳性麻痺は、1000出生に1から2例、一定の割合で必ず生じる。その内、9割は胎内で生じる、すなわち分娩の問題で生じるのではない。こちら参照。この制度の「原因分析」によって、脳性麻痺訴訟が増えることは、本旨ではないし、脳性麻痺の発症機構からして、医学的に大きな問題を孕む。

この制度を運用する日本医療機能評価機構は、莫大な内部留保を蓄えている。一年で100億円程度余剰金を得ている。ご存知の通り、同機構は、巨大な天下り組織である。

行政が、不適切な医療行政を行い、利権をえる一方、医療はおそらく根拠のない医療訴訟の増加に直面している。

以下、引用~~~

脳性麻痺訴訟の提訴が急増している

この原稿は月刊集中6月末日発売予定号からの転載です。

井上法律事務所所長 
弁護士 井上清成

2018年6月21日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp
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1.脳性麻痺に関する紛争・訴訟の増加
平成30年(2018年)4月11日、日本記者クラブにおいて、公益社団法人日本産婦人科医会の医療安全部会が、「産科医療補償制度の現状と今後の課題」に関して記者懇談会を行い、その要旨が日本産婦人科医会報5月号に掲載された。目に付いたのが、「紛争・訴訟の減少」という項目である。もちろん、文字通り本当に紛争・訴訟が減少しているのならば、喜ばしい。「紛争・訴訟の減少」の項目では、「近年の産婦人科の訴訟件数の推移は減少傾向にある。産科医療補償制度開始後にはその傾向は顕著であり、10年前に比べて3分の1になっている。本制度の補償対象事例において、本制度とは別に損害賠償請求等がされたのは、補償が決定した2,233件のうち97件(4.3%)にすぎず、このうち訴訟提起事案は51件であった(平成29年12月末における集計)。」などと述べられていた。そのまま記者発表の額面通りの評価でよいのならば誠に喜ばしいことであるけれども、残念ながら、客観
的な動態の数値はそうではない。実際は、産科医療補償制度の補償対象事例となった重度脳性麻痺に関する紛争や訴訟は、近時になって急増しているのである。

2.産科医療補償制度の9年間の推移
確かに、近年の「産婦人科」全体の「訴訟件数」の推移は、減少傾向にあると言ってよい。平成24年(2012年)の年間59件以降、平成29年(2017年)までの5年間は年間56件・60件・50件・52件・54件とほぼ50件台で推移し、低位で安定していた。ほぼ3倍であった平成18年(2006年)の年間161件、ほぼ2倍であった平成19年(2007年)の年間108件の頃とは隔世の感がある。もちろん、訴訟減少の最大の要因は、脳性麻痺のみを対象とする産科医療補償制度のためなどではなく、産科医の逮捕と刑事責任追及が行われた福島県立大野病院事件での無罪判決(平成20年〔2008年〕8月20日福島地裁)の強烈なインパクトのためにほかならない。

さて、それはともかく、ここでの最も重大な問題は、産科医療補償制度のお蔭で、脳性麻痺の紛争(損害賠償請求事案)や訴訟提起事案が果たして本当に減少したのかどうかということであろう。引用した日本産婦人科医会報の「平成29年(2017年)12月末における集計」だけでは、どちらであるとも全くわからない。そこで、平成25年(2013年)時点における資料(平成25年11月27日付け公益財団法人日本医療機能評価機構産科医療補償制度運営委員会「産科医療補償制度見直しに係る報告書」40頁・参考5「紛争の防止・早期解決に係る状況」)と併せて考えることにしよう。
産科医療補償制度は平成21年〔2009年〕に開始したので、平成30年〔2018年〕である本年が制度開始10年目となる。そこで、産科医療補償制度のこれまでの9年間の推移を、前半期(平成21年〔2009年〕~平成25年〔2013年〕。ただし、正確には、統計時点の都合上、平成25年〔2013年〕5月末までの4年5ヶ月間)と後半期(平成26年〔2014年〕~平成29年〔2017年〕12月末まで。ただし、正確には、統計時点の都合上、平成25年〔2013年〕6月1日からの4年7ヶ月間)との2つの時期に分けて見ることとする。

3.後半期は件数2倍・割合3倍に激増
前半期における「産婦人科」すべての「訴訟事件」は合計370件(ただし、ここは丸々5年間の件数)で、そのうち重度脳性麻痺に関する紛争(損害賠償請求事案)は33件で、さらにそのうちの訴訟提起事案は17件であった(平成25年11月27日付けの前掲資料より)。つまり、「重度脳性麻痺に関する訴訟件数」の「産婦人科すべての訴訟件数」における割合は、4.6%である。ところが、後半期における「産婦人科」すべての「訴訟件数」は合計216件(ただし、ここは丸々4年間の件数)で、そのうち重度脳性麻痺に関する紛争(損害賠償請求事案)は64件で、さらにそのうちの訴訟提起事案は34件であった。つまり、「重度脳性麻痺に関する訴訟件数」の「産婦人科すべての訴訟件数」における割合は、15.7%である。 
したがって、後半期は、前半期と比べて、重度脳性麻痺に関する訴訟件数が17件から34件に倍増してしまった。さらに、産婦人科全般に占める重度脳性麻痺の訴訟件数の割合も、4.6%から15.7%へと3倍にも増加しているのである。
前半期と比べて後半期には、産婦人科全般の訴訟件数のみならず全診療科目の訴訟件数も明らかに減少しているにもかかわらず、重度脳性麻痺に関する訴訟提起事案(もちろん、紛争全般も。)だけがひとり全く逆方向に激増してしまった。件数が2倍、割合は3倍にもというのでは、たとえ諸原因による誤差を十分に考慮したとしても、それらだけでは済ませられない。尋常でない増加ぶ
りと評価してよいであろう。
誠に残念なことではあるが、これこそが客観的な数値である。到底、産科医療補償制度関連だけは、「紛争・訴訟の減少」はしていない。

4.産科医療補償制度の現状と今後の課題   
産科医療補償制度は、確かに開始当初の前半期には重度脳性麻痺に関する紛争・訴訟を減少せしめた(と思いたいところではある。ただし、ひいき目に見ないとすると、全診療科目や産婦人科全般の大きなトレンドと並行しただけだとも評しうる)。しかし、いかように捉えようとも、産科医療補償制度が浸透した後半期になって、急激かつ大幅に、紛争・訴訟が増加してしまった。これこそが、産科医療補償制度の現状であり、確かな事実なのである。
そうすると、今後の課題は、「紛争・訴訟の増加」の原因を取り除いて「紛争・訴訟の減少」に転じさせるべく、改善策を講じることにほかならない。
産科医療補償制度が浸透した後半期になってからの「紛争・訴訟の増加」であることからして、最も有力に考えられる原因の筆頭は、やはり「原因分析のあり方」である。現状の「原因分析のあり方」では、その一から十まで「紛争・訴訟の増加」の誘因になっていると考えられもしよう。そうすると、その原因分析の本質は尊重しつつも、諸々の技術的な「あり方」については全面的に改善する方がよい。
丁度良い改善のモデルがある。院内事故調査を中心として、非懲罰性と秘匿性の原理に導かれた「医療事故調査制度」が、まさにそれであろう。全診療科目に普遍的な制度として現に施行されている「医療事故調査制度」を見習って、産科医療補償制度だけに特有な「原因分析のあり方」の現状を改善していくべきである。