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経済安保法案は、特定秘密保護法の民間への拡大版 

この経済安保法案は、特定秘密保護法の内容を、行政・マスコミから、民間の一般研究者・国民に拡大させる法案だ。

経済安保と言えば、安倍政権が、強権的な政策によって、わが国が独占的にシェアを支配していた半導体製造に欠かせぬ物質・部品の製造を韓国等に持ち去られたことを思い出す。政治と通産行政の杜撰さが、この国の経済安全保障に危機をもたらしている。

政府の言うところの防衛装備品、すなわち武器の製造で利益を上げることに政府は熱心だ。それだけでなく、民生品であっても武器製造に転用できる技術の研究開発を政治・行政が監視し違反者を捜査し罰則を与えるシステムを作り上げることをこの法案は目的としている。経済安保に関与する研究開発かどうかは、行政が秘密裡に一方的に判断し、民間への規制の行き過ぎをチェックする組織、システムを欠く。

立憲民主党は、特定秘密保護法の拡大をするためのこの法案に、内閣委員会で賛成した。「民間企業の活動に配慮する」という付帯決議が行われたからだ、という。だが、法案の内容には変更はなく、実質的に特定秘密保護法の民間への拡張が行われることになる。立憲民主党の「立憲」が泣く。

国民の主権、基本的人権を抑制する改憲を目指す現政権に、このような立法を行わせるのは最悪の選択だ。

以下、引用~~~

 2022年4月6日
経済安保法案による秘密保護法制の拡大に反対する声明
                                                               秘密保護法対策弁護団

1 本日2022年4月6日、衆議院内閣委員会において、岸田政権が国会に提出した「経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律案」(以下、「経済安保法案」という。)について、立憲民主党の提案していた「自由かつ公正な経済活動を維持する」という観点からの修正を拒否し、原案が採決された。経済安保法案は、明日7日の本会議で審議・採決される見通しとされている。

2 経済安保法案は、「安全保障の確保に関する経済施策を総合的かつ効果的に推進することを目的」とし、安全保障の確保に関する経済施策として、①特定重要物資の安定的な供給の確保(サプライチェーンの強化)、②特定社会基盤役務の安定的な提供の確保に関する制度(サイバー攻撃等から防御する基幹インフラ整備)、③特定重要技術の開発支援、④特許出願の非公開に関する制度を創設することを内容としている(法案1条)。

  しかし、経済安保法案は、経済活動が軍事・安全保障目的に従属することとなり、政府が自由な経済活動に介入してこれを規制し、学問・研究の自由を侵害するものである上、秘密保護法制の拡大をするという点でも重大な問題がある。特定秘密保護法に反対し、その運用を監視している私たち秘密保護法対策弁護団としては、この秘密保護法制の拡大の問題に焦点を絞って、以下、反対意見を述べる。

3 経済安保法案により、秘密保護法制が拡大され、企業秘密の範囲が不当に拡大される。上記の①、③、④については、民間人に対しても、「事務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない」として、罰則付きで守秘義務を課すものとなっている。

しかも、この「秘密」は、特定秘密保護法の「特定秘密」に限定されるものではなく、本来は経済活動の自由に属する「特定重要物資」、「特定重要技術」、「特許出願情報」を保有する者を対象として「事務に関して知り得た秘密」とだけ規定されるのみで、「秘密」の範囲が不当に拡大されるおそれがある。軍事技術に転用が可能な技術とのレッテル貼りをすれば、あらゆる技術が対象となりかねず、既に大川原化工機事件のような冤罪事件も生じている。

しかも、国会に設けられた情報監視審査会の監視対象にすらならず、秘密の範囲の拡大を防止する歯止めがない。
そして、秘密漏洩・盗用に係る処罰条項によって、特定重要物資の安定的な供給の強化については、取扱業者に対して、生産、輸入 、保管状況等について国が調査する権限を持つとされるため、企業活動に対する過度な介入・統制を招きかねない。

さらに、先端的な特定重要技術の研究開発の官民協力については、基本指針に基づき、「特定重要技術」(いわゆる軍事技術)の研究開発等に対し政府が支援を行い、官民パートナーシップと称する「協議会」によって、軍事技術につながる特定重要技術の研究開発を政府が一元的に管理・統制するシステムとなるおそれがある。官民協議会では、研究開発に必要な資料や説明などの協力を求めることができ、研究者らには「求めに応じる」よう努力義務が課された。知り得た機微情報は、研究者らにも国家公務員と同等の守秘義務が求められる。

これは、官民と大学・研究機関の協力による秘密の軍事技術の開発につながる提案である。このような開発体制に巻き込まれた研究者は、守秘義務の名の下に、軍事技術の研究からの離脱も、意見表明をすることも許されなくなるおそれが高い。これはユネスコの科学及び科学研究者に関する勧告で認められている、軍民両用技術の開発における「研究を離脱する権利と責任」「意見表明と報告の権利と責任」を無効なものとしてしまう危険性がある。

4 以上により、私たち秘密保護法対策弁護団は、経済安保法案による秘密保護法制の拡大、すなわち、特定秘密保護法によって主に官に対して課された秘密保護法制が、民間企業や大学・研究機関にまで拡大されることに反対する。上記の懸念を払しょくできるように経済安保法案を抜本的に修正するか、そのような修正がなされないのであれば廃案とすべきである。

米国の世界戦略構想下に諾々として入って良いのか? 

米国の9.11後の戦争戦費の推定を米国の研究者が行っている。

実際に戦争に費やした予算だけでなく、米国のテロ対策費用、退役軍人への社会保障等をすべて含む。中東での対テロ戦争だけであり、アフリカ等での軍事による出費は含まれていない。

2018年度の支出の推定額を含めた総額は、5.6兆ドル(610兆円)。さらに、今すぐ中東での戦争を終えたとしても、今後数十年間にわたって、借金の利払いとして7.9兆ドル(860兆円)の支出が必要になる、という結果だ。驚くべき戦争コストである。さらに中東諸国の戦争被害のコスト・犠牲を考えなければならない。こうした戦費のかなりの部分が、軍事企業に流れる。若者・民間人を犠牲にして、軍事企業に儲けさせるのが戦争なのだ。

こちら。

イラク戦争は狭義の集団的自衛権行使の戦争ではないが、その他の軍事行動は、集団的自衛権の名のもとに戦われた。

米国の若者、数十万人の犠牲が生じたことは言うまでもない。

このような状況なので、米国は世界戦略を変えざるをえない。日本にその一端を担わせようとしている。その結果が、安倍政権による集団的自衛権を認める強引な憲法解釈の改変であり、様々な戦争関連法の策定である。

それにわが国は一体耐えられるのか。第二次世界大戦後、米国は世界各地で集団的自衛権の名のもとに戦争・軍事行動を行ってきた。自衛隊は、米軍と司令部まで一体化し、米軍の指揮下で軍事行動を行おうとしている。多くの自衛隊員が犠牲になる。退役兵が医療社会保障をもっとも多く必要とするのは、戦争後数十年経ってからだ。この論文でも、第一次世界大戦の退役軍人は1960年代に、第二次世界大戦退役軍人は1980年代にもっとも多くの社会保障を必要としたと記されている。これから、国力が低下し、少子高齢化がどんどん進むわが国で、それに耐えることができるのか。

安倍政権は、客観的なこうした見通しをまったく持っていない。苦労させられるのは、次の世代の方々だ。それで良いのか。

地位協定ポータルサイト 

沖縄県は、地位協定のポータルサイトを立ち上げた。日米地位協定が、諸外国と米国の間の地位協定と比べて、我が国にとりいかに屈辱的な内容であるのか、明確に示すためだろう。

かのイラクでは、治外法権的な米軍人に対する裁判の例外を認めようとしなかった。それが、米軍撤退につながった。他の要因もあったのだろうが、自国のなかで治外法権を積極的に認めるわが国の政官とは違う。

改訂されて、対象の地域的限定がなくなった(すなわち、自衛隊は米軍の指示により世界中どこにでもでかけるようになった)日米安保ガイドラインとともに、この改訂されない日米地位協定を何とかしないといけない。もう、冷戦構造は終わったのだ。わが国は、独立国として歩みだすべきなのだ。

こちら。

限定的集団的自衛権という安倍首相の説明は虚偽である 

安保法制を国会で審議していた際に、安倍首相が集団的自衛権の具体的な行使について説明したのは、下記のような状況であった。

外国で有事が起きる。その際に、邦人を避難させるのに米軍が出動する。避難する邦人を乗せた、米軍艦艇を自衛隊が援護する。それが集団的自衛権の行使である、という説明だ。

だが、こうした米国以外の民間人の避難救出には、米軍は関与しないことが、米軍の行動規定に記されており、明らかな虚偽であることが判明した。

実際に、集団的自衛権行使が行われたのは、北朝鮮威嚇のために出動する米軍艦船を海上自衛隊の艦船が防護するためであった。また、米軍からの要請で、北朝鮮船籍の艦船の監視活動も行われている。ともに、偶発的な戦闘活動に巻き込まれる可能性のある状況だ。

集団的自衛権行使に関する法律は、上記の通り、邦人保護のためではなく、米国の世界戦略を補佐し、代理となるためであることが判明した。

この報道にある、集団的自衛権行使が限定的になる、という安倍首相の説明は、虚偽である。安倍首相は、我が国の国会で安保法制について議論する前に、その成立を米国国会で約束したことでも分かる通り、我が国を米国の属国化をさらに押し進める。その論理的帰結としても、集団的自衛権が限定的となることはあり得ない。

以下、引用~~~

集団的自衛権行使は限定的 首相、自衛隊9条明記案巡り
2018年1月30日12時33分

 安倍晋三首相は30日の衆院予算委員会で、安全保障法制で限定的な集団的自衛権の行使が可能になったとしたうえで、憲法9条1項・2項を残して自衛隊を明記しても、「フルスペックの集団的自衛権の行使は認められないのではないかと考えている」と述べた。自ら提案した自衛隊明記案で集団的自衛権の範囲が変わることはないとの考えを示したものだ。

 衆院会派「無所属の会」の原口一博氏の質問に答えた。首相は憲法9条について「日本の平和と安全を担っている自衛隊の存在自体をしっかりと憲法に私は明記するべきであろうと考えている」と持論を展開。自民党内などにある2項削除論については、「9条2項を変えるということになればフルスペックの集団的自衛権の行使を認めることも可能になると思う」とも語った。

トランプと安倍の好戦性 

米国、バージニア州シャーロットビルでは、ナチズムを信奉する白人至上主義者達がデモを行い、それに対抗する反ナチズムの人々との間で衝突を起こし、死傷者が出る騒ぎになっている。その状況に対して、トランプ大統領は、暴力を非難したものの、大元の問題であるネオナチの人種差別主義への批判は行わなかった。トランプが、この地域から所謂ラストベルトにかけての没落しつつある白人労働者層を支持者に持つためなのだろう。

その白人労働者層は、元来民主党を強く支持してきた。だが、鉄鋼産業、自動車産業の衰退により、彼らの豊かな生活は脅かされている。それらの産業の衰退は、元来、鉄鋼産業が技術革新に乗り遅れ、オートメーション化が遅れたためで、国内問題なのだ。だが、トランプは、自由貿易と不法移民が、その白人労働者の中間層の仕事を奪いつつあると宣伝して、大統領選を戦い、彼らの圧倒的な支持を得た。特定企業を名指しして、生産を国内に戻させても、オートメーション化・合理化は止まらない。トランプを支持してきた白人労働者層は、徐々にトランプ政権では何も解決しないことを知り始める。

その事実が、社会的に表面化したのが、この暴動ということなのではないだろうか。

ここからが本題なのだが・・・

そのトランプは、アフガニスタンへのMOAB爆撃、シリアへの空爆等のような対外軍事行動に打って出る可能性がある。政権浮揚をもたらすためだ。前二者は、確かに劇的ではなかったが、多少の支持率の上昇をもたらした。現在、マスコミが盛んに喧伝し、米国世論が強い関心を示しているのが、北朝鮮問題だ。この問題は、繰り返しここで述べている通り、米国の長年にわたる北朝鮮への軍事的圧力が原因であり、また中国等の経済制裁の不徹底が悪化させてきた。北朝鮮の体制は、非人道的であり、支持することは決してないが、軍事的圧力を強めるだけでは解決しない。また、軍事的攻撃になると莫大な人的、物的損害を韓国、我が国にも生じる。

独、仏、露、中、韓などの首脳は、トランプの北朝鮮への軍事的な威嚇、軍事行動の自制を呼びかけている。当然のことだ。たとえ、トランプが威嚇だけだったとしても、偶発的な戦争の勃発のリスクは高まっている。一方、我が国の安倍首相、小野田防衛大臣は、米国の軍事行動に批判的にならないばかりか、集団的自衛権の行使によって、北朝鮮ミサイルを打ち落とすこと、さらには北朝鮮ミサイル基地への先制攻撃まで考慮すると述べている。

この軍事行動、すなわち戦争への前のめりな態度は一体何で起きているのか。これは、一つには、安倍政権の元来の性格だろう。国家主義的な政権であり、軍事行動によって国家をまとめ、憲法も戦争のできるものに変える、ということだ。そうしたレジーム、彼らの二世代、三世代前の保守政治家のレジームに、わが国を導くのだ。もう一つは、安倍政権の支持の低下を食い止めるためだろう。軍事行動をとれば、大きな被害がでるが、それは自分たちの政権を維持することに寄与すると、一か八かの賭けに出ている。戦争は、政治も経済もご破算にする出来事だ。そのご破算は、国民の財産・生命の莫大な喪失を招く。

このトランプと安倍の好戦性は、異様だ。国民は、戦争が起きたらどのような事態になるのか、よく考えるべきだろう。

「民間人に扮した」米国兵士の救助訓練 

安保法制に基づき、自衛隊が米国人救助訓練をする。この記事では、「民間人に扮した」米国兵士となっているが、この訓練は、米国兵士救助訓練である可能性が高い。というか、それしか考えられない。

米軍は、国外での有事の際に、他国の民間人を救助することはない。日米が対等な関係であるとすると、自衛隊も国外で米国人だけでなく外国民間人の救助を行うことはないはずだ。とすると、この訓練が、米国民間人救助のためというのは、誤り、否国民を欺く報道だ。

安保法制が、日米ガイドラインの改定で、自衛隊が米国の世界戦略を補佐することになったために作られた法律であることが、徐々に明らかになってゆく。そもそも、日米安保条約の密約では、有事の際には、自衛隊は米軍指揮下に入ることになっている。

日本は戦争をする国に、いつの間にか変えられた。安倍首相は、それを後から追認するための改憲を行うといよいよ表明した。

以下、引用~~~

自衛隊 初の米国人保護の訓練、防衛省が発表

2017年01月18日 02時20分 TBS

 防衛省は、自衛隊が安全保障関連法に基づく邦人救出の訓練を来月、タイで行い、このなかで日本人とともに初めてアメリカ人を保護する訓練を行うと発表しました。
 海外での邦人救出は安全保障関連法に基づく自衛隊の新しい任務で、日本人以外の外国人も一定の条件の下、保護することが可能となっています。

 今回の邦人救出訓練は来月15日から自衛隊が毎年参加しているタイでの多国間訓練=コブラゴールドの中で行われます。海外の国で災害が起き、治安が悪化したことを想定して、陸上自衛隊や、航空自衛隊が参加し日本から運んだ軽装甲機動車やC130輸送機などで日本人を退避させます。この訓練には、民間人に扮した数名のアメリカ兵も参加し、保護の依頼を受けて、日本人とともに自衛隊が救出します。

 邦人救出訓練は昨年12月、国内では行われていますが、アメリカ人の救出訓練は初めてのことです。(17日19:22)

「死んでいい隊員を用意しておく」 

IWJ主催の講演会「元自衛隊の立場から戦争法について」で、昨年11月に、元自衛官の井筒高雄氏が自衛官の雇用について語っている。

それによると、自衛隊は「死んでいい隊員を用意しておく」ということだ。現在、自衛隊員の年齢構成は、前線には立たず指揮命令だけを担当する中高年の隊員は、ほぼ充足しているが、前線で実際に戦う兵士相当の若い隊員が不足しているらしい。そのために、最近は、年季制の非正規雇用を増やしており、彼らが前線に立つことになる。階級が下で、就業年数が少ない方が、戦死した際の自衛隊側の経済的負担が少なくて済むという判断だ。それは、「セオリー」である由。

現在、少子化と、リスクが増えたことにより、学生に「予備自衛官補」という制度での入隊を促しており、さらに奨学金を学生に与えることも検討しているらしい。まさに、経済徴兵そのものではないだろうか。

現実に、自衛隊隊員が戦死した場合の、家族への補償はどうなるのか。また、戦争を行わない前提の自衛隊隊員は、外国で「敵」を殺害した場合、外国の法律で裁かれる可能性がある。また、捕虜になったとしても戦時捕虜として扱われない。さらに、場合によっては、帰国してから刑事事件として立件される可能性もある。

そのように不安定かつ危険極まりない条件で、自衛隊を南スーダンに送り出す、政府・防衛省は一体何を考えているのだろうか。前のパラグラフで述べたような問題があるからとして、憲法改正に持ち込む可能性が極めて高い。交戦権を認め、自衛隊を軍隊にするのだ。そうすれば、自衛隊に米軍の世界戦略の一翼を担わせ、世界の紛争地域、大国の利権が絡む地域に自衛隊を派遣することができるようになる。わが国の人的、経済的損失は莫大なものになる。これまで、武力を海外で決して行使しなかったわが国の平和国家として立場は崩壊する海外邦人はより多くの危険にさらされ、わが国もテロリズムの対象になる。

安倍首相が国会で自衛隊員に万歳三唱した光景が、近未来に悲劇的な状況で再現される、うすら寒いものとして迫ってくる。

経済的徴兵 

米国では、大学の学費が高い。年500万円などありふれた額だ。それで、奨学金を得るために、若い者が軍隊に入るのだ。裕福な者の子弟は、軍務につかない者が多い。建前は、自由意志による志願だが、実質は経済的な理由による徴兵に近い。

今夕、TBS TVの報道番組で放映していたのだが、わが国でも、平均所得と大学進学率が低い地方自治体ほど、自衛隊への入隊率が高いと報じられていた。以前から、そうした統計があるのではないかと思っていたが、それは、教え子が自衛隊に多く入隊しているという高校の教師の方が自分で調べたものらしい。その方は、青森県の方だ。青森では、地場産業が少なく、経済的に厳しい家庭が多いために、高校を卒業すると、自衛隊入隊が一つの選択肢になっているようだ。

最初に、「駆けつけ警護」の任務を命令されたのは、青森県の自衛隊部隊である。

かって、稲田防衛庁長官は、女性セブンのインタビュー記事でこのように語っていた。

──母親の中にはこの先、徴兵制が復活して子供が戦争に巻き込まれると心配する人もいる。徴兵制が復活しないと断言できるか。

稲田:私にも大学生の息子がいますが、赤紙で徴兵されるのは絶対に嫌です。憲法は徴兵制を認めていないし、今のハイテク化した軍隊に素人を入れても使いものにならず、徴兵撤廃が世界の流れ。日本で徴兵制の復活はありえません。

※女性セブン2016年5月26日号


彼女の論旨は、徴兵制が日本ではありえないこと、自分の息子が徴兵されるのは拒否することである。

しかし、上記の通り、青森等では、経済的理由と関連する自衛隊入隊が多い。いわば、米国と同様の、経済的な徴兵である。そのことを、稲田防衛大臣はどのように受け止めるのだろうか。自らの家族は「徴兵される」のは嫌だと言いつつ、この現実を放置し、さらに南スーダンで自衛隊員が亡くなったら責任を取るというは整合性があるのか。自衛隊のトップに立つ政治家として許されるのだろうか。

稲田防衛大臣「駆けつけ警護」発令 

稲田防衛大臣が、「駆けつけ警護」を南スーダンに派遣する自衛隊に対して命令した。

繰り返し述べている通り、「駆けつけ警護」とは、単なる警察活動ではない。内戦状態のなかで戦闘行為に積極的に加わることになる。自衛隊員は、殺し、殺されることになる。

これで、わが国の平和国家としての歩みは終わりを迎えた。

稲田防衛大臣は、この自衛隊の新業務で何か起きた時には、全責任を取ると語った。自衛隊員が亡くなったときにどのように責任を取るつもりなのだろうか。責任を取れるものなのか。

わが国へのテロ攻撃が現実のものとなる。アフガン・イラク戦争以降、米国・ヨーロッパで起きたテロがわが国で起きる可能性が出てきた。さらに逼迫しているのが、海外在留邦人へのテロ攻撃だ。医療分野などで紛争地域で活躍する民間人が標的になる可能性が高まる。

南スーダンで自衛隊が戦闘行為に巻き込まれる 

昨日の衆議院予算委員会を少し視聴した。

○まず、安倍首相は、憲法改正問題について表面上柔軟姿勢を見せているが、結局は機会を見て一気呵成にやるつもりだろう。国会審議では、逐条審議を行わない、すべて憲法審査会で行う、憲法改正の是非は前の参議院選挙で国民に問い、自民党が支持を得た、というのである。自民党の国民主権を蔑ろにする憲法草案を、憲法審査会での議論の「ベースに据える」らしい。

憲法を一括して、「改正」するということは、国の形を根本的に変えることだ。先進国では行われていない。これは一種のクーデターになる。

○自衛隊の南スーダンでの活動について。現地では、今年7月から政府軍と反政府軍の戦闘が激化しており、ソースによっても違うが、300から1000人程度の死者が出ている。中国軍PKOにも2名の死者が出た。自衛隊宿営地そのものには攻撃はないが、6km程度離れたところには、着弾がある由。政府は、これを「内戦状態とはとらえない」ばかりか、「戦闘でもない」と言い張っている。その目的は、自衛隊のPKO活動をあくまで続けさせることにある。

○自衛隊に下される「駆けつけ警護」の命令によって、自衛隊は政府軍、反政府軍と直接戦闘することになる。上記の通りの状況なので、負傷者、戦死者が出る可能性が極めて高い。安倍首相の意向は、そうした自衛隊の活動は、危険を伴う自衛隊職務の一環であり、たとえ戦死者が出たとしても、安保法制に基づく命令を下す安倍首相自身が責任を取る積りはない、ということのようだ。

○南スーダンには、3名の医官が派遣されているが、外科手術はできない。外科手術が必要になったら、負傷者を別な地域に送らなければならない。6mmの銃で銃撃を受けた場合、2分以内に止血処置をしないと、失命する危険が高くなる。が、南スーダンでは、そうした処置を負傷した自衛隊員が受けられる可能性は低い。(しばらく前の当ブログのポストで言及した)救命処置のできる自衛隊員の教育は、これからカリキュラム、教材をそろえ、来年には開始したい、という防衛省幹部の意向だ(遅すぎる!)

ここからは、南スーダンでの自衛隊による安保法制による業務についての私の感想になる・・・やはり、ここで自衛隊が戦闘に巻き込まれ、戦死者がでることを、政府は見込んでいる、というか、それを一種「期待している」のではないか。もちろん、戦死者が出ることを彼らが望んでいるとは思わないが、今後、米国とのガイドライン改定に沿って自衛隊を世界各地で米軍の補完軍隊として戦闘に加えさせるための「予行演習」をしているのではないか、と強く感じた。予行演習とは何か。国民がそうした自衛隊による戦争行為を受け入れ、戦死者が出れば、それはわが国の防衛に寄与したとして奉るように持ってゆくための予行である