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改憲内閣 

安倍首相は、公明党と調整することなく、改憲発議を国会にかけることに決めたようだ。以下のLiteraの記事にもある通り、加藤・稲田・下村という日本会議思想にどっぷり浸かった面々を改憲に関わる役職に就けたことからも、その意欲が見て取れる。

だが、一方、国民投票で否決されることも想定しているようで、つい最近、改憲の国民投票と、政権の信任とは別だと、安倍首相は予防線を張っている。

政権にはしがみつきつつ、改憲国民投票は、一度試しにやってみようかというスタンスである。国民投票を行うことになって、否決されても責任はとらないと今から言っているわけだ。この無責任さだけからしても、首相という職務を任せられない。

改憲をすると言いつつ、改憲の中身が安倍首相の口から全くと言ってよいほど説明されていない。彼が言っているのは、自衛隊を父親に持つ子供さんが虐められるから、憲法に自衛隊の存在を書き込む、ということだけ。そのようなことはあるわけがなく、情緒に訴えるやり方は、安保法制のときに外国で有事に巻き込まれた母子を救うという、あのあり得ない状況設定と同じだ。

安倍首相という人物は、知的能力にかなり問題があり、また議論がまともにできないことが、この数か月の間に明らかになってきた。きっとまともな議論はしないで、改憲に突き進もうとすることだろう。現在の体制で、経済的に恵まれている、電通、そしてマスコミが、安倍改憲を全面的にバックアップする。民放は、改憲の宣伝を限度なく受け入れるとしているので、マスコミが世論を誘導することが懸念される。

現時点で、改憲の最大の問題である、緊急事態条項の導入が殆ど議論されていない。これは、明らかに戒厳令、国民総動員令に匹敵する内容で、少なくとも自民党案では留め金が全くなく、独裁を可能にする。おそらく、自民党は、この条項導入を最後まで隠すか、自然災害絡みで持ち出そうとするはずだ。以前にこの条項の問題点を当ブログでも何度か指摘した。

今後のわが国の進路が決まることになる。

以下、Literaより引用~~~

 数々の疑惑や不祥事、無責任な姿勢によって国民からの不信感も強いこの3人を、なぜ安倍首相は要職に引き立てたのか。言うまでもなく、稲田元防衛相と下村元文科相は筋金入りの歴史修正主義者であり戦前復古主義者である。また、稲田元防衛相と加藤厚労相は完全な安倍首相の言いなりとなる手下のような存在だ。しかも、加藤厚労相はいかにも頭の悪いネトウヨ発言やヘイト発言を自らすることはないが、安倍首相の好戦思想、歴史修正主義的主張を代弁しつつ、そうした安倍政権の本質が国民から危険視されないよう、欧米諸国の反発を得ないよう、どう騙すかを考えるような狡猾さがある。

 つまり、改憲に向けた組織づくりのために、自分の思想を反映する下村を憲法改正推進本部のトップにおき、自らの意向を党と調整させる役目として稲田を、そして国会への改憲案提出のキーマンとなる総務会長に傀儡である加藤を抜擢したのだ。実際、加藤は安倍首相が秋の臨時国会での改憲案提出を目指していることについて、早くも「党の憲法改正推進本部でも議論を深めていく。関心を持って注目しながら対応したい」とコメントしている。

 ネトウヨ大臣が集結した内閣と、戦前回帰を目論む役員が揃ったいま、安倍首相がついに憲法改正に乗り出す──。まさに悪夢のような人事だが、その分、国民に馬脚を露わすのも案外早いかもしれない。本サイトも注意深く目を向けていくつもりだ。

自民党改憲の本音 

改憲の本音、「創生日本」会議での一コマ。

こちら。

彼らは、憲法から「平和主義」「国民主権」「基本的人権」を抜き取り、「国体」と「皇室」を重視する。おそらく、後二者の背後にある、大日本帝国憲法下で権力と利権を貪った連中と同様の輩が、この改憲を推進しようとしているのだ。

自民党改憲案を子細に検討すれば、現憲法で実現した、最初の三つの普遍的な価値が注意深く取り去られるか、無効にされることが分かる。

現在の自民党の改憲は、こうしたものなのだ。とくに安倍首相は、国民が受け入れやすい「虚偽」の説明をする。国民は、彼らの本音を知らないと、改憲が実現してからでは、国民主権は奪われてしまう。

緊急事態条項が現実になる 

自民党の法務大臣経験者 長勢甚遠氏が、「創生日本」の集まりで、『現憲法の「平和主義・基本的人権・国民主権」をなくさなければ、自主憲法とは言えない。』と述べた。こちら。現憲法の優れたこの三条項を、廃止するというのが、自民党改憲案の本音なのだ。

それを手っ取り早く実現するのは、緊急事態条項を憲法に書き込むことだ。これがあれば、立法・司法・行政の権限・機能がすべて首相に一括付与されることになる。まさにナチスに学んだ支配権の確立方法だ。

そんな馬鹿なことが起きるはずがない、という方もいるかもしれない。しかし、安倍首相がこれまで憲法を無視し、解釈改憲してきたことを考えると、その先には、緊急事態条項しかありえない。先の衆議院選挙での自民党選挙公約に、緊急事態対応という和らげた言葉で書き込まれた。

IWJの岩上安身氏が、この問題を特に強調して発言をしている。彼が言う侵略戦争に我が国が独自で突っ走ることはないとは思うが、米国との集団的自衛権による米国世界戦略への加担は十分あり得る。トランプ大統領は、イラン、北朝鮮で危機を煽っている。アフガニスタンには、軍隊を増派した。安保法制、秘密保護法等は、米軍の世界戦略への加担のための法整備だった。元来、安保条約制定時、有事の際には、自衛隊は米軍指揮下に入ることが密約として定められていた。それが公然となり、実際に自衛隊と米軍との合同が行われている。

「平和主義・基本的人権・国民主権」が、所与のものであり、当然のことであった時代は過ぎ去ろうとしている。それが失われないように戦うか、失われたときに戦うか、我々の眼前の現実は厳しい。

以下,IWJより引用~~~

NEW★UP!【衆院選2017・緊急事態条項】自民党の選挙公約にある「緊急事態対応」は「ナチスの手口」だ!〜社民党・福島みずほ参院議員「基本的人権の制約がアウシュビッツにいたった」 2017.10.19
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/402185

 2017年秋の衆院選選挙公約に自民党は憲法改正を盛り込み、自衛隊の明記・教育の無償化・参議院の合区解消と並んで「緊急事態対応」を4項目の一つに設けた。「緊急事態対応」とは選挙向けに急いであつらえた名称だが、紛れもなく「緊急事態条項」のことである。その実体は2012年の自民党の憲法改正草案第9章の「緊急事態」と何ら変わらない。

 2017年10月2日、岩上安身のインタビューの中で社民党の福島みずほ参議院議員が緊急事態条項の法的諸問題を浮き彫りにした。福島議員は、「緊急事態条項の最大の問題は国会の立法権を取り上げること」と指摘し、国家授権法によって全権力を掌握、基本的人権を停止させ、アウシュビッツでのホロコースト(ユダヤ人大虐殺)をもたらしたナチ・ドイツを引き合いに出し、その危険性を説明した。

 この猛毒のような緊急事態条項を、目立たないように、話題にならないように、こっそりと、今回の選挙公約に入れている自民党の真の目的とは何なのか。緊急事態条項は1938年制定の国家総動員法と非常によく似ている。国家総動員法の目的は国家国民の総力をあげての侵略戦争の遂行であり、その結果が、無残な敗戦だった。この緊急事態条項が、新しい侵略戦争を隠れた目的にしていないと、はたして断言できるだろうか。そして、その結果は前回の敗戦よりも遥かに深刻で凄惨な結末をもたらすのではないか。(IWJ編集部)

国民投票の問題点 

制度としての国民投票の問題点を以前このブログでも取り上げたことがある。ビジネスジャーナルで、同じ方が問題点を繰り返し指摘している。こちら。

問題は

〇広告宣伝のコスト、方法等に制限がないこと。資金力のある組織・政党=改憲側が、マスコミを最大限動員して、勝つことが見込まれる。

〇これまで政権与党に食い込んでいる電通が、改憲に向けたキャンペーンを張ることになる。電通は、広告業界では、独占企業である。

〇改憲発議のスケジュールは、改憲側が握っており、発議の前に秘密裏に準備を進め、有利な戦いを進める可能性がある。

安倍首相の改憲の本丸は、非常事態条項であると言われている。彼は、これまで憲法を無視し、解釈によって改憲と同じことを行ってきた。その政治手法からして、非常事態条項は、彼にとって究極の目的なのではないか、と思われる。

最初の改憲発議によって、それが実現する危険がある。

自らの発言によって墓穴を掘った、希望の党の小池百合子党首は、勢いのあるときに、「テレビが選挙をやってくれる」と豪語したらしい。また、あの口から出まかせのような公約は、世論調査によって人々の関心がもっとも高いことを並列させただけのものであった、市場調査を利用した代物であったとも言われている。

改憲政党のマスコミを最大限利用した国民投票での宣伝は、国民をどのように動かすことになるのか。唯一、ネットでの情報のやり取りが、対抗手段になるはずだが、護憲の思想・人々を組織化することが果たしてできるだろうか。改憲の見通しが出てきたら、早急に対応を練る必要がある。

安倍首相に改憲を議論する資格なし 

昨日の報道ステーション、星氏のコメントが秀悦。

これまでの経緯;

憲法53条に基づき、国会開会を野党が求めた>それに対し、安倍政権は3か月間無視し続けた>今月下旬、臨時国会を開く>だが、すぐに国会解散の予想>選挙の大きな争点は、改憲の是非。

星氏曰く、「改憲を云々する前に、まずは現憲法を守ってからにしてもらいたい。」

憲法を踏みにじる安倍首相に、改憲の是非を問う資格はない。

安倍首相の改憲への「思い」 

憲法については、与野党が合同して、憲法調査会で時間をかけて議論を続けてきた。憲法は、国の形を決め、さらに権力の暴走を阻止する法律であるから、国民的な議論を根気強く続ける必要がある。改憲は、国民のなかからその必要性が指摘されて初めて、日程に上るべきことだ。

それを、安倍首相は、時間を切って改憲する、という。彼自身の「思い」を実現するためだ。憲法調査会が積み上げてきた議論なぞ、ちゃぶ台返しである。国民投票という直接民主制に訴えるには、ことのほか慎重で時間をかけた議論が望まれる。だが、安倍首相はいかにも拙速である。

安倍首相が、改憲を今行うべきではない理由はいくつもある。

一つは、彼が現在の憲法を守っていないこと。安保法制を制定し、集団的自衛権行使容認したことで、憲法の平和主義を破壊した。そうした人物が、自分の「思い」を実現するために、改憲を行うべきではない。

改憲をすべき積極的な理由がないことも重要。自民党改憲草案は、時代錯誤そのものだ。安倍首相は、その草案自体も無視して改憲に突き進もうとしている。非常事態条項の導入を安倍首相が意図している。非常事態条項は、自然災害時の体制としては不要である。すでに参議院の緊急集会(憲法54条2項)法律による政令への罰則委任(憲法73条6項)等が自然災害時に備えて準備されている。後者に基づき、災害対策基本法の定める厳格な要件下で、緊急時に内閣は四つの事項について、一時的な立法権が認められることになっている。現憲法制定時にも非常事態条項に通じる国家緊急権を定めるべきではないか、という議論があったが、国家緊急権は乱用の危険があるから憲法には規定しないという結論を得ている。現在の法体系で、自然災害等の緊急事態には対応できる体制になっている。

ところが、安倍首相は、自衛隊の存在を加憲の形で9条に滑り込ませ、9条を実質反故にすることや、学費無償化という国民受けの良い改憲項目の陰で、緊急事態条項の制定を画策している。これは、戦前の体制に戻す一環であり、ナチスがワイマール憲法を骨抜きにし、権力を掌握した全権委任法の手法と同様である。自らにさらなる権力を集中させることを安倍首相は考えている。それが、彼の改憲に向けての「思い」のわけだ。その「思い」の実現に手を貸せと言われる国民は大きな迷惑だ。

以下、引用~~~

安倍首相、自民改憲案「夏に絞る」=臨時国会提出へ議論加速
7/23(日) 16:14配信 時事通信
 
安倍晋三首相(自民党総裁)は23日、横浜市で開かれた日本青年会議所の会合で青木照護会頭と対談した。

 首相は憲法改正について、「自民党は政権与党として責任感を持って憲法議論を深めていく。この夏に汗を流しながら(改憲項目を)絞っていく」と述べ、今秋の臨時国会への自民党案提出に向け、党内の意見集約を加速させる意向を示した。

 内閣支持率の急落を受け、党内外から慎重な対応を求める声も出る中、首相は自らが掲げる2020年の新憲法施行を目指す姿勢を鮮明にした形だ。また、首相は「各党はただ反対するのではなく、『自分たちはこう考えている』という案を持ち寄ってほしい」と述べ、野党側にも提案を促した。 

改憲国民投票における広告・宣伝の問題 

「世界」5月号に、本間龍氏が、電通とオリンピック・改憲国民投票に関する問題を投稿している。オリンピックも電通が取り仕切り、電通のための催しになるが、ここでは、改憲国民投票問題について彼の論考を参考にまとめてみたい。

衆参の選挙でメディアに投入される広告宣伝費は約500億円。2週間のみの国政選挙に比べて、60から180日に及ぶ改憲国民投票までの選挙期間からして、改憲国民投票の広告宣伝費はその数倍から10倍に上ることが予想される。

改憲国民投票の広告宣伝は、電通が担う。電通は、2015年度の売上高が単体で1兆5千億円、連結で4兆5千億円に上る。これは二位の博報堂の各々2から3倍に相当する。公正取引委員会は、すでに電通の寡占化に対して、公平性・透明性が必要だと指摘している。さらに、電通が人事等を通して自民党と密接な関係にあることが以前から指摘されている。その一方、昨年電通が社員に過酷な時間外労働を強制していた実態が明らかになった。いわば、違法企業である。このような企業に、国の行く末を決める国民投票の広告宣伝を任せて良いはずがない。だが、現状の自公政権の議席数からして、そのまま電通が政権与党とタッグを組み、改憲に向けた国民投票を実現すべくメディア対策・広告宣伝を行うことになる。それを我々は今から認識しておく必要がある。

広告業界で仕事をしていた、本田氏の指摘は以下のようなことだ。改憲国民投票の発議は、政権与党がいつ行うか決めることができる。その発議は、今年秋から来年夏までの間に行われる可能性が高い。国民投票法によると、投票前2週間以外は、無制限に広告を打つことができる。企業献金等の予算が潤沢で、実際のスケジュールを決められる政権与党は、マスメディアへの広告(優良時間枠の独占、広告出演者の確保、広告回数の多寡等)で圧倒的な優位に立つ。また、民放の番組で、改憲について扱う場合に、広告宣伝費の多寡で、改憲派は有利に、護憲派は不利に扱われる可能性が高い。

本田氏は、広告宣伝に関わる費用・回数の規制、報道内容の公平性の担保などの確保等が必要だと提言している。だが、自らに有利に国民投票を進めたい改憲派の現政権が、それをのむ可能性はない。護憲派、少なくとも現在の立憲主義を否定する政権での改憲を認めぬ人々は、こうした事態を見越して準備しておく必要がある。

その準備としては
○現憲法の歴史・役割についてよく知ること
○改憲内容が、まるで日替わり定食のように変えて提出されてきているが、その本質は、あくまで戦前の国家主義への回帰であり、国民主権を蔑ろにするものであることを理解すること
○既存のマスメディアは、ネット社会が出現する前のように圧倒的な力を持っていない。ネットを通じて、護憲の必要性を訴え続けることだ。
○マスメディアが公平を欠く番組構成・内容を取り扱ったら、そのマスメディア、番組スポンサーには丹念に批判・抗議を行う。
○現在の高齢者ではなく、次の世代が改憲された国家主義的憲法に翻弄されることになる。次の世代、その次の世代を育てている方々に十分理解して頂く。
○オリンピック誘致では電通、その関係者がだいぶ悪事を働いているようだ。電通という巨大独占企業は、日本のためにならない。電通への批判を強めることが必要だろう。

世論調査では、9条改憲等不要という意見が多いようだが、政府が北朝鮮危機を異様に煽った影響などにより、そのような世論は容易に逆転されうる。政府・電通の世論誘導に乗ることなく、本質的なものを見据えて、今後とも国家主義への反対と護憲とを目指してゆきたい。

ナチスのやり方を真似て 

トルコでは、あのクーデーターを機に、反大統領派の大規模な粛清が始まっている。NHKのニュースで、トルコのマスコミが体制に従順であるといったニュアンスのことを流していたので、苦笑してしまった。そう言うNHKはどうなのか、と反射的に思ったのだ。憲法の改変、条項書き加えに関して、わが国のマスコミは、政権への批判的報道は少ない。政権の意向を慮ることが横行している。わが国のマスコミは、トルコの独裁政権を云々できる立場にはない。

国家緊急権を憲法に書き加えようと、安倍首相は考えている。表向きの理由は、自然災害時の対応のためだ。自然災害時、様々な国家統治機能をすべて内閣、内閣総理大臣に帰する、という条項である。

この国家緊急権の「加憲」は、自然災害だけを想定したものではないことは明らかだ。重大な自然災害に対しては、すでに、参議院の緊急集会、政令への罰則付与等の対応策があり、様々な現実的対応がきめ細かくなされる規定がある。

基本的人権の制限を想定し、国家統治機能のすべてを内閣、ないし内閣総理大臣に帰する制度は、独裁そのものである。いかに緊急時とはいえ、戦前・戦争中の体制への復帰、さらにそれ以上に過酷な体制の出現である。2012年自民党が公表した改憲草案には、国家緊急権について 1)発動要件を法律で定める・・・ということは、多数を占める政権与党の思うがままということだ 2)緊急事態の期限に制限がない・・・いくらでも緊急事態を延ばすことができる 3)内閣は法律と同等の政令を制定できる 事後に国会の承認を得るという規定があるが、当該政令が国会で承認されない場合に失効するとは定められていない 4)政令で規定できる対象に限定がない・・・基本的人権が制限されることは、自民党憲法憲法草案の内容から当然予想される。これは、戦時中の国家緊急権の規定よりもさらに内閣に権力を集中させる内容である。

ネットでの書き込みなどや、政権与党政治家の口からは、ドイツなどにすでに国家緊急権が憲法に規定されているという意見が聞こえてくる。ドイツは、州立国家であり、重大な自然災害時に、州境をまたいで、警察・軍・消防等が機能するために、その規定がある。立法権の移転・人権制限の規定等はない。それを、安倍首相が考えている国家緊急権と同一視することは、無知のためか、意図的に世論を誘導するためとしか思えない。

安倍首相は、安保法制導入の議論で、最初に、在外邦人が外国で有事に巻き込まれ、彼らを救い出す米軍を援助するため、という理由づけを行った。だが、それは米政府のアナウンスで、ありえない事態であることが判明した。次は、ホルムズ海峡掃海を例に出した。だが、それがまったく現実味のない例であることは、その後のイラン・米国関係の進展をみても明らかだ。現実には、自衛隊が、内戦状態に再び入っている南スーダンで、駆けつけ警護という名目で内戦に参加する作戦が、この法制に基づく自衛隊の初めての軍事行動になる。安保法制制定に際して、安倍首相は国民に対してあからさまな嘘をついた。安保法制は、米軍の世界戦略に自衛隊とわが国を参画させるための法制だったわけだ。国民にその説明は一切ない。

同じことが、国家緊急事態権を憲法に加えることでも行われる。同権がもっぱら自然災害に対応するためという理由づけがその一つだ。国家緊急事態権の憲法への書き加えの必要性が、国民にとっては受け入れやすい自然災害に対応するためという触れ込みで宣伝される。実際に、政権の提灯持ちの評論家やマスコミが、その線で同権の必要性を訴え始めている。

実際に、国家緊急事態権が憲法に書き加えられたら、その時には、憲法は廃棄されたのと同じである。

麻生財務大臣がしばらく前に、ナチスのやり方を真似たらよいと言っていたことが現実になろうとしている。ナチスは、国家緊急権を根拠に反対勢力を国会から排除し、ナチス独裁をもたらす授権法を制定し、ワイマール憲法を実質的に廃棄した。

そうなってからでは遅い。

安倍政権の目指すもの 

改憲は緊急事態条項の創設から行うと安倍首相が国会で言明した。。

緊急事態条項とは、戒厳令のことである。戒厳令は、内乱等にともない、国民の基本的人権を制限し、国家、すなわち時の政権が財政、行政、警察、軍事を掌握し、それらを自由に執行できることを可能にする。内乱等は、時の政権が規定する。もっとも民主的と言われたワイマール憲法から、ナチスが生まれたのは、この条項をナチスが利用したからである。様々な国家で軍事クーデーターが起きるのも、この条項によってだ。

時の権力者に全権を委任するということだ。

その条項創設を、安倍首相は改憲で最初に行うと言明した。

権力の暴走を抑制し、阻止するはずの憲法が、その機能を果たさなくなる。

政権は、緊急事態条項は、自然災害などに対処するために必要だ、と宣伝することだろう。だが、自民党改憲案に、同条項がいかなるものであるか、明確に記されている。

戦争法制の必要性を、有事の際に在外邦人を退避させる米軍艦船を援護するために必要だ、というありえない立法事実の説明を安倍首相は行った。

成立した戦争法案によって、自衛隊がまず派遣される任務は、石油利権に絡んで大国が代理戦争をしている南スーダンでのPKO活動である。このような議論は、戦争法案の国会審議中にはほとんどされなかった。

政府が述べる緊急事態条項の必要性には、同じようなゴマカシがある。これは、戒厳令創設そのものだからである。国民に知られたくない本質を隠すゴマカシである。

こちらに、安倍政権の目指す緊急事態条項の説明がわかりやすく載っている。