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高齢女性の貧困 

Frontiers blogに、近い将来、我が国の高齢者女性がさらなる貧困に陥ることが記されている。こちら。年金受給者女性の1/4は貧困状態になり、それが単身者であると1/2にまで達する、ということだ。

確かに、年金制度は、戦後すぐに女性は家庭で専業主婦になることを前提に作られた。単身の高齢女性が増えることを想定していなかった。さらに、共働きであっても、女性は圧倒的に非正規雇用である場合が多く、年金の面でハンディキャップを負っている。

そうした女性の多くは、国民年金のみ、ないし無年金で老後を迎えることになる。一部は、生活保護を受給することになるだろう。それは、社会保障コストを飛躍的に増やすことになる。

マクロ経済スライドによって毎年年金額は減らされ続けている。社会保障予算は、削減の格好のターゲットになっている。そして、年金制度のなかでとりわけ劣悪な状況に置かれているのが、単身生活の女性である。

先に紹介した、The Guardian誌の経済格差拡大の記事の内容が、我が国にも生じつつある。富める者はさらに富み、貧しい者はさらに貧しくなる社会だ。

それで良いのだろうか。

就職氷河期を生きた若年、中年層が老後を迎えるとき 

先日、The Guardian誌に載った、世界規模の経済格差拡大を指摘する論文を紹介した。

その経済格差拡大が、我が国にもより酷い形で生じつつあることも記した。現在、30から40歳台の就職氷河期を経験した世代が老後を迎えるときに、生活保護を受けざるを得ず、その社会保障コストが30兆円を超すと見込まれている。こちらの論文。そこに記されている通り、医療コストも含めると、その額を大幅に超す可能性が高い。これに対処しないと、社会は不安定化する。

この社会保障負担に、国家経済は耐えられないだろう。今、対応を考える必要がある。さらなる防衛支出等を減らすこと。さらに、増税も止む無しだ。消費税はさらに上げる必要が出てくる。その際に、国民に理解の得られるように、政治行政の改革、透明化とともに税の使い道を明示することだ。法人税増税も不可避だろう。

現状は、その真逆の方向に行っている。

国保保険料値上げ 

これまた、激烈な値上げである。

山崎史郎著「人口減少と社会保障」によると、2016年度ベースで、国保の財源の9%は、市町村が出している。法定外繰越金と呼ばれる範疇の国保財源である。

日本総研が、2012年度の国保財政を調べたところ、その財源規模は、総額9兆5331億円。そのうち、国保への法定外繰入金は、総額3882億円。109自治体は、「財政が比較的豊かなのに」法定外繰越金1012億円を出している。552自治体は、「保険料自体が低すぎる」のに、法定外繰越金1846億円を出している、とされている。法定外繰越金の大半は不必要な支出であり、それを削減して、被保険者の自己負担を増やすべきだ、という国の判断なのだろう。

組合健保、協会健保に関して言えば、後者には16.4%の国からの補てんがあるが、それ以外は、本人の保険料と雇用者からの拠出金で賄われている。公的資金が少ない、または全く入れられていないのに、国保は、上記の法定外繰越金を含めて公的資金が50%投入されているのが、「不公平である」という議論がある。

だが、国保の対象者の大半が、高齢者等の無職者、非正規雇用者になっている。経済基盤の乏しい人々だ。今後、その比率が拡大する。構造的に、国保は社会保障保険としては成立し難くなっている。そうであるのに、市町村からの補てんをゼロにし、保険料を大幅に値上げするのは、国保の存立基盤を崩す。市町村からの法定外繰越金を縮小させるのであれば、その部分は、国ないし雇用者が負担すべきではないだろうか。雇用者は、非正規雇用の拡大により、公的支出を減らし、大きな経済的利益を受けている。雇用者の社会的責任からも、国保への支援を行うべきだ。

さらに、高齢化の進展、非正規雇用の拡大により、国保はいずれにせよ存立し難くなる。国保組合、協会健保、組合健保等と国保を統一すること、国からの財政支出を拡大することが必要になる。

小松秀樹氏の述べる「第三次生活困難期」がまさに現実のものになりつつある。国民は、その覚悟ができているのだろうか。財政規律が弛緩しきっている現政権が、軍拡に走ることを容認し続けるのだろうか。

以下、引用~~~

国保保険料、平均26%上昇東京都が18年度算定
最大57%、市区町村は激変緩和へ
2018年2月17日 1:00

東京都は国民健康保険(国保)で市区町村別に算定した2018年度の標準保険料をまとめた。都内平均で1人当たり年間14万8916円と、16年度に比べ26%上昇。ほぼ全市区町村で増える計算で、最大で6割近く上がる自治体もある。各市区町村は加入者の急激な負担増を避けるため、今後数年かけて段階的に引き上げる見通しだ。

標準保険料は市区町村別の医療費や住民所得などをもとに算定した。市区町村の一般会計から赤字補填をしない前提で算出しているため、上昇幅が大きい。高齢化による医療費の増加なども上昇要因になっている。

標準保険料が最も高いのは千代田区で、16年度比11%増の18万1810円。次いで中央区(16万9059円)や目黒区(16万8373円)、渋谷区(16万6267円)の順で、いずれも増加率は2割近い。多摩地域は増加率の大きい自治体が多い。都内で増加率が最も大きいのは府中市(57%増)だ。

国保はこれまで市区町村が運営し、医療費を保険料で賄えない赤字は一般会計からの繰り入れで補ってきた。国保加入者以外の税金も赤字補填の穴埋めに投じるいびつな構造だった。人口減が進めば税収も落ち込む見通しで、一般会計への依存にも限界がある。

国は保険財政を健全化するため、18年度から国保の運営主体を市区町村から都道府県に移管。都道府県が市区町村に目安となる標準保険料などを示す仕組みに改めた。ただ、標準保険料をそのまま適用すると、加入者の負担が大幅に膨らむ。

このため、市区町村は急激な負担増を抑える激変緩和措置を講じるなどして実際の保険料を決める。千代田区は18年度の保険料を平均約18万1000円に設定。17年度比で1%増(約2000円増)になる。ただ、中間所得層以下の負担は軽くし、加入約7800世帯の9割は保険料が下がる見通しだ。

加入者の急激な負担増を避ける一方で、保険財政の赤字を補う一般会計からの繰り入れの圧縮も進める。江戸川区は保険料を平均で毎年3500円程度引き上げ、5年後に一般会計からの繰り入れをなくす計画。中野区は18年度の保険料を17年度比で約4000円増の約12万3000円とし、その後も徐々に引き上げて9年後の赤字解消を目指す。

第三次生活困難期 

たしかに、結婚も、子供を持つことも、それなりの経済的なバックグラウンドがなければ、できることではない。それは、さまざまな統計の示すところだ。少子化が激烈に進行し始めたのは1990年代であり、家族観や雇用形態の変化もあるが、もっと根本にあるのは、グローバリズム経済によって国民が困窮し、家族を形成しがたくなっていることなのだろう。

その困窮は、すでに高齢者世代の一部をも襲い始めている。

社会保障、そして地域社会の変革によって、貧困と孤立に陥る人々を助け、それによって社会の安定を維持すべきなのだが、その方向には進んでいない。

正直な感想としては、小松秀樹氏の述べる、この第三次生活困難期では、大きな社会的な混乱が生じるのではないかと思える。官僚のなかにも、問題意識を持ち、解決を見出そうとしている良識的な方がいる(山崎史郎著「人口減少と社会保障」)が、どうもすでに手遅れではないか、という感がぬぐえない。

以下、引用~~~

第三次生活困難期: 非正規雇用と社会保険

本稿は、2018年1月25日刊行の書籍『看取り方と看取られ方』(国書刊行会)第8章の「非正規労働者と社会保険」を加筆・修正したものです。日本では、貧困化、少子高齢化、孤独化が進行しています。私はこれを第三次生活困難期として一連の現象として議論することを提案しています。

NPO法人ソシノフ運営会員 小松秀樹

2018年2月20日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp
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日本では、貧困化、少子高齢化、孤独化が進行しています。私はこれを第三次生活困難期として一連の現象として議論することを提案しています。

●医療費の自己負担分が払えない
日本では、生活保護一歩手前の生計困難者が、苦しい生活を強いられています

千葉県の房総半島南端、鴨川市の亀田総合病院と館山市の安房地域医療センターで、それまで勤務していた虎の門病院との違いに驚いたことがあります。自己負担分のお金が用意できないので、入院できないという患者が珍しくなかったのです。
高価な薬剤も嫌われました。前立腺がんに対する男性ホルモンを抑制するための3か月に1回の注射は、6万円以上する高価な薬剤です。自己負担1割でも負担額は6千円を超えます。房総半島では、注射を拒否する患者が稀ではありませ
んでした。
国民健康保険は被用者保険に加入できない人の受け皿です。国民健康保険被保険者は、保険料に加えて、受けた医療に対する自己負担分を支払わなければなりません。生活保護受給が決定すると、国民健康保険から脱退し、医療扶助をうけることになります。保険料も自己負担もなくなります。
2015年度の国民健康保険被保険者3550万人の2014年の平均世帯所得は140万円、保険料は平均14万2千円でした。国民健康保険被保険者の収入はバブル崩壊後大きく減少しました。1993年度の被保険者の前年の平均世帯所得は240万円でした。22年間で所得が42%も減少したことになります。この比較には注意が必要です。2008年4月1日、後期高齢者医療制度の施行に伴い、以後、75歳以上の高齢者が国民健康保険から外れました。後期高齢者は所得が低いので、75歳以上の高齢者を除けば、1993年の被保険者世帯の平均所得はもっと大きかったはずであり、22年間の所得の減少幅はもっと大きいはずです。

●非正規雇用の増加
労働者派遣法の規制緩和で、派遣社員や非正規労働者が増えました。企業にとって、給与を低く抑えられることに加えて、雇用保険料、健康保険料、年金保険料の負担を免れることができるからです。企業にとって、法人税に比べて、社会保険料負担がはるかに大きいのです。実際、2015年度、日本の全企業62%は法人税を支払っていません(国税庁統計年報)。国際的に比較すると、日本の企業の社会保険料負担は決して大きいものではないのですが(香取照幸『教養としての社会保障』東洋経済)、企業は利益を最大化するのが使命なので、保険料負担を可能な限り低くしようとします。
今や、非正規労働者は全雇用者の3分の1を超えます。総務省の労働力調査によれば、2017年4月から6月の役員を除く雇用者は5441万人でしたが、その37%、2018万人が非正規雇用でした。正規労働者の給与は勤続年数にしたがって増えていきますが、非正規労働者の給与は増えません(平成21年度年次経済財政報告)。2016年1月20日の毎日新聞によると、非正規労働者の7割が年収200万円に届かないことが、連合などのアンケートでわかりました。

●非正規雇用と少子化
非正規雇用の増加は、少子化をさらに促進します。そもそも、非正規雇用だと結婚が難しくなります。35~39歳の大卒男性の未婚率は、正規雇用だと25.3%なのに対し、派遣・契約社員は67.2%、パート・アルバイトは85.8%でした(週刊東洋経済2016年5月16日)。結婚後の子どもの数についても、男女とも正規雇用の場合は1.90人、男性正規、女性非正規1.79人、男性非正規、女性
正規1.09人、男女とも非正規で1.36人でした。中間層から非正規雇用に人が移動し続けると、人口減少が促進され、経済も縮小します。企業は労働力を食いつぶしながら、内部留保を増やしているのです。

●非正規雇用と社会保険
被用者保険では健康保険料、年金保険料を、雇用主が50%負担します。しかし、非正規労働者は被用者保険への加入を制限されるため、国民健康保険に加入することが多くなります。厚生年金に入れない場合、国民年金のみになります。雇用主の負担がない分、保険料が重くなります。給与が少ない上に、失業保険に入れてもらえなかったり、医療保険や年金でも正規労働者より不利な扱いを受けたりします。
先に述べた国民健康保険被保険者の世帯あたりの平均所得140万円が給与所得だと仮定すると、給与所得控除を含めて年収は226万円です。男性の非正規労働者の平均年収222万円(http://www.nenshuu.net/sonota/contents/seiki.php)に近い金額になります。単身世帯だとすると、226万円の収入で、国民健康保険料14万2千円(地域によって若干異なります)、国民年金保険料19万8千円、合計34万円を支払わなければなりません。所得税、住民税が合わせて約10万円であり、社会保険料が税の3倍以上になります。収入からみると極めて重い負担です。
私は、『看取り方と看取られ方』の第8章で扱われている無料低額診療の事例カンファレンスに参加していました。このカンファレンスで、生活保護を受給していない貧困層の中に、無理して保険料を納めているにもかかわらず、自己負担分が払えないために、医療を受けていない人たちが相当数存在することを知りました。

●少子化より貧困対策を優先すべき
日本の最大の問題を少子化だとする意見をよく聞きます。しかし、貧困の解決なしに少子化は解決できないでしょう。貧困が解決できれば、少子化の解決はより容易になります。
少子化の解決には時間がかかります。人口動態統計によると、私が生まれた1949年、132万人の女児が生まれました。37年後の1986年には67万2千人、さらに30年後の2016年は、47万5千人の女児が生まれました。世代を追うごとに女性の数が減少しています。2016年生まれの女児たちは、2046年頃に母親になります。合計特殊出生率を増やせたとしても、実際に出生数が増えるまでには何世代もかかります。少子化対策は長期的課題ですが、貧困対策は短期・中期的課題です。

●国民年金と生活保護
生活保護受給者も、バブル崩壊後増え続けています。被保護者調査(厚生労働省)によれば、生活保護受給者数は1955年度の193万人から経済成長と共に減少傾向が続き、1995年度には88万人にまで減少しました。以後、増加に転じ、2015年度には過去最高の216万人に達しました。日本に居住する人の1.7%が生活保護受給者です。高齢世帯の割合が多いのですが、働ける年齢層と考えられる「その他の世帯」が、1996年度の4万1千世帯を最低に、2013年度には28万8千世帯に増え、以後、横ばいになっています。非正規労働者が若年層に多いためだと思われます。蓄えがなくて、支える人がいなければ、非正規労働者はちょっとした病気や事故でも乗り越えられません。
金融資産からも、日本で格差が拡大していることがわかります。金融広報中央委員会によれば、金融資産を保有しない世帯がバブル崩壊後、1995年の7.9%を最低に上昇に転じ、2016年には30.9%まで増加しました。一方で3000万円以上の金融資産を所有する世帯も、1995年の8.4%から2016年には14.8%に増加しました。
香取照幸は、『教養としての社会保障』(東洋経済)で、「日本経済が潰れない限り年金は潰れない、もっと言えば、年金を潰さないためには日本経済の破綻を回避しなければならないということです」と年金について多少楽観的に表現しています。厚生労働省幹部だった立場上、こうしか書けなかったのだと思います。本に提示されているデータからは、香取が事態をもっと深刻に考えて
いると想像されます。年金は制度としては潰れませんが、セイフティネットとしてのカバー範囲が小さくなり、生活保護に頼る部分が大きくなっています。
日本で雇用の非正規化が進んだのは、1990年代です。今後、生涯非正規雇用の人数が増えると想像されます。1975年生まれの人は1990年代に働きはじめました。2018年43歳になり、2040年に65歳、2065年に90歳になります。現在の状況が続けば、生涯非正規雇用の高齢者の割合は2050年頃まで上昇し続ける可能性があります。これに伴い生活保護世帯も増え続けるでしょう。
貯蓄のない非正規労働者の老後の生活はどうなるでしょうか。国民年金の80万円だけでは生活できません。生涯、非正規雇用から抜け出せないとすれば、老後、生活保護を受給せざるをえなくなります。国民年金の給付をうけると、その分、生活保護費から差し引かれます。苦しい中から無理をして年金保険料を支払っても、保護費から差し引かれるとすれば、年金保険料を支払わずに当座の生活費に回す方が、生涯の可処分所得総額は多くなります。当事者たちは、支払わないことに経済合理性があると考えるかもしれません。

●社会保障は富豪のためでもある
勤勉、質素、倹約、正直を旨とする日本の通俗道徳は、貧困に対し当事者の努力不足、道徳的欠陥によるとして、冷淡な態度をとりがちです。社会保障による救済を、怠け者を増やすものだとして否定的にみます。しかし、日本の格差は個人の努力不足によるものではありません。
社会保障も、貧者のためだけのものではありません。社会保障がなければ、先進国でも餓死者が路上で見られることになり、社会が不安定になります。

「豊かな先進国で飢饉が生じない理由は、人々が平均して豊かだからではない。仕事を持ち相応の賃金を稼いでいる限りにおいては確かに豊かであろうが、この条件を長い間満たすことができない人々も多く存在する。もし社会保障制度がなかったならば、彼らの所有物の交換権原からは、実に微々たる財しか得ることができないであろう。イギリスやアメリカで現在(1980年)みられるよ
うな高い失業率のもとでは、仮に社会保障制度がなかったならば飢餓が蔓延し、飢饉すら生じる可能性がある。これを防いでいるのはイギリス人の所得や富が平均して高いことでもなければ、アメリカ人が一般的に富裕なことでもない。社会保障制度のおかげで最低限の交換権原が保障されていることなのである」(アマルティア・セン『貧困と飢餓』岩波書店)。

シアトルの超富豪、ニック・ハノーアーは、「超富豪の仲間たち、ご注意を ― 民衆に襲われる日がやってくる」と題する講演で、現状の格差拡大に対し警告を発しました。https://headlines.yahoo.co.jp/ted?a=20170825-00002055-ted

「中流階級の成長は 資本主義経済における繁栄の源だ。」「今のような経済格差の拡大が長く続くはずがない。」「きわめて不平等な社会には警察国家や暴動が付き物です。手立てを講じなければ世直し一揆が私たちを襲いますよ。」「時間の問題です。その時が来たらそれは誰にとっても酷いことになりますが、特に私たち超富豪にとっては最悪です。」

セーフティネットを切り下げると 

こちらで取り上げた、生活保護費引き下げ検討のニュースに関して。

下記の記事に、同費の引き下げが、セーフティネット・社会保障の大きな切り下げになることが論じられている。

さらに、こうした社会保障切り下げは、内需の経済活動を抑制する。

こうやって、検討中の事項を漏らして、社会の反応をみる行政と政権。やはり後ろめたい気持ちがあるのだろう。

やってみれば良い、社会保障を切り下げ、一方法人税を大幅に減税することを。わが国の経済が、ますます低迷すること請け合いだ。

以下、引用~~~

生活保護費の引き下げ検討に怒りの声相次ぐ 保育料や奨学金の給付基準にも影響、「生活保護受給者だけの話ではない」

2017年12月08日 19時06分 キャリコネ

生活保護費の引き下げ検討に怒りの声相次ぐ 保育料や奨学金の給付基準にも影響、「生活保護受給者だけの話ではない」

厚生労働省は、生活保護費を引き下げることを検討し始めた。12月8日、共同通信などが報じた。一般の低所得世帯の消費支出より支給額が多いとの調査結果を受けて、支給額の見直しに着手したのだという。報道を受け、批判の声が相次いでいる。

生活保護の中には、アパートなどの家賃に対する「住宅扶助」や医療サービスの費用を賄う「医療扶助」などがある。今回、見直しの対象になるのは、日常生活に必要な費用に対する「生活扶助」だ。

「生活保護基準引き下げは誰も幸せにしない」

この「生活扶助」を最大1割程度引き下げる可能性があるという。報道によると、例えば、中学生と小学生の子ども2人を持つ40代夫婦は支給額が月約21万9000円から、約19万4000円に減る。65歳の高齢単身者も月約8万円から約7万3000円に減る。支給水準は5年に1度見直しており、前回2013年度にも一度引き下げられている。

これに対し、貧困対策に関わる人々や研究者からも批判の声があがっている。生活に困っている人やホームレスへの支援を行うNPO法人「ほっとプラス」の藤田孝典代表理事は、

「市民生活に甚大な影響が出るからやめろ」
「生活保護基準引き下げは誰も幸せにしない」

とツイッターで警鐘を鳴らした。ツイートに添付された画像によると、生活保護費の引き下げは「最低賃金が上がらない」など、他の制度にも悪影響を及ぼすという。

保育料無償化や給付型奨学金の対象世帯が減少

弁護士の篠田奈保子さんは、「各種の社会保障制度の減免や支給の基準となっている非課税基準にも影響します。生活保護受給者だけの話ではありません」と指摘。生活保護基準が下がると、住民税の非課税基準も下がるため、今まで無税だった人が課税される可能性が出てくる。

そうすると住民税が非課税のときは安くすんでいた保育料や介護保険の自己負担限度額が上がってしまうのだ。自民党が唱えていた保育料無償化や給付型奨学金も住民税の非課税世帯を対象に実施する予定だった。

そのため篠田さんは、

「生活保護基準引き下げにより、非課税基準自体を下げて、対象者をより少なくする作戦に出るわけね。対策してますって言えるし、対象をどんどんと小さくして予算を少なくもできるという訳ね」

と批判していた。

東京大学の本田由紀教授も「一般の低所得世帯の消費支出が減少しているから生活保護費も削減するという負のスパイラル。いじめのような」とツイート。一般社団法人「つくろい東京ファンド」代表理事の稲葉剛さんは、「絶対に許されません」と怒りを露わにし、反対署名への呼びかけを行った。「生活保護制度の充実を求める緊急署名」は2018年1月末日まで募集しているという。

また、今回の引き下げ検討は、一般の低所得者の消費支出額を踏まえてのものだというが、ネットではむしろ低所得世帯への支援が必要なのではないかという声も相次いでいる。

「『低所得世帯やばいね賃金上げるねー!』じゃないあたり、なんとも寂れた国って感じ」
生活保護費が高いんじゃなくて、それを下回るほどの低所得者層の給料がおかしいんだって」

厚労省の社会・援護局保護課の担当者は「生活保護基準部会で検討をしているが、まだ結論は出ていない。年内にも報告書をまとめる予定です」と話していた。

セーフティネットの破壊 

低所得世帯の収入の方が、生活保護費よりも低いので、低い方に合わせる、という厚労省の論理。まさに、不幸の均霑である。

不幸の均霑の行き着く先は、セーフティネットの完全な破壊以外ないだろう。

生活保護の不正受給などを問題にする向きもあるが、それは極めて少数。むしろ、生活保護を受けるべき人が受けていない捕捉率の低さこそが問題だ。

生活保護等受けることはないとタカをくくっている方、この競争社会では何が起きるか分からない。明日は我が身かもしれない。

こうして国民のセーフティネットを破壊しておきながら、国会議員と官僚は、公務員給与は毎年のように引き上げ、さらに国会議員年金の復活を画策している。行政・立法の社会倫理が失われている。

以下、引用~~~

生活保護費、最大1割下げ
厚労省、5年ぶり見直し
2017/12/8 02:01
©一般社団法人共同通信社

 厚生労働省は7日、来年度の生活保護費見直しで、食費や光熱費などに充てる「生活扶助」を最大1割程度、引き下げる検討に入った。年齢や世帯形態によって増額となるケースもあるが、一般の低所得世帯の消費支出より支給額が多いとの調査結果を踏まえ、見直しが必要と判断した。

 生活扶助の支給水準は5年に1度見直している。全体では前回2013年度に続き2回連続で引き下げとなる見通し。都市部を中心に高齢単身世帯などが多く含まれ、反発が強まりそうだ。

 一部の子育て世帯で減額幅が大きいため、厚労省は別の案も検討している。

立ち行かなくなる公的年金 

年金財政は、早晩立ち行かなくなる。遠因は、高度成長期に、年金資金を公共事業に湯水のように流し込んだことがある。当初、個々の国民が積み立てた年金資金を老後に受け取る積み立て式だったものが、年金資金が公共事業・公共投資に際限なく用いられたことで、それが不可能になり、現役世代が年金受け取り世代を養う賦課方式に変えられていった。高齢化が進展すれば、賦課方式は立ち行かなくなることは当然のことだ。それが現実になりつつある。

そこで、政府は年金受給年齢を段々と引き上げ、さらに公的年金給付は増やさず、私的年金で老後の生活を賄うように誘導しつつある。社会保障政策の放棄である。

厚労省の年金財政の見通しを見ても、様々な条件のシミュレーションがあり、実体をぼやかしてあるが、高度経済成長など望むべくもなく、少子高齢化への対策も何も打ち出されない現状では、年金財政は最悪の条件で進行してゆくものと思われる。 こちら
さらに、年金資金の株式市場への投資を、安倍政権になってから大幅に増やした。現在、資産バブルが進行中で、何時かはそれが破たんする。その際に、年金財政は大きく毀損される。すると、この厚労省のシミュレーションを下回る可能性も出てくる。

安倍首相は、国民に自助努力を促しているが、彼や、これまでの政権の責任は一体どうなるのだろうか。

以下、引用~~~

私的年金拡大の政府方針、「老後は自分で何とかしろ」の意味
8/27(日) 13:00配信 マネーポストWEB

公的年金だけでは老後の生活はままならない

 厚生年金や国民年金の保険料が値上げされ、受給額は毎年カットされ、さらには75歳年金受給開始も検討される一方で、政府は公的年金の保険料とは別に、iDeCo(イデコ)など企業やサラリーマンが個別に掛け金を積み立てる「私的年金」の普及拡大に力を入れている。

「少子高齢化が進展する中で、国民の老後の所得保障を充実させていくためには、公的年金に加え、企業や個人の自助努力による私的年金を充実させていくことは重要な課題と認識しております」

 安倍晋三・首相は今年3月の参院本会議でそう強調した。だが、国民の「老後の所得保障」は公的年金の役割のはずだ。国民や企業が公的年金の他に掛け金を負担する私的年金は国による保障でも何でもない。

 政府は「100年安心」を謳った小泉政権時代の年金改革(2004年)で「年金は将来にわたって現役時代の収入の5割を下回らないようにする」と国民に約束し、現在の安倍政権も約束を引き継いでいる。しかし、5年ごとに行なわれる厚労省の年金財政検証(2014年)では、働く高齢者や女性の割合が大きく増えなければ、40年後の年金給付の水準は今より3~4割目減りし、現役世代の平均収入の5割を割り込むことがわかった。

 首相が私的年金に加入しろというのは、老後の生活に“公的年金が払えないから自分で何とかしろ”という意味に他ならない。現役時代にコツコツ年金保険料を支払ってきた高齢者は「自助努力」と言われても納得がいかないはずだ。

 現在の高齢者がサラリーマン時代の保険料の総額を計算すると、驚くべき金額になる。

 厚労省の標準モデル(現役時代の平均月収40万円で厚生年金に40年加入)の場合、支払った年金保険料の総額は2948万円に達する。大卒総合職の60歳定年時の退職金(一時金と企業年金の合計)は大企業が多い経団連の調査で約2374万円、東京都産業労働局がまとめた中小企業のケースで平均1123万円だから、老後の蓄えとなる退職金以上の金額を国に保険料として納めてきたのだ。これは「自助努力」そのものだろう。

 高齢者を75歳まで働かせることで年金を減額し、“老後の保障は私的年金に加入せよ”とはどの口がいうのか。

※週刊ポスト2017年9月1日号

高齢化の進展と認知症患者の激増にどう対処するのか 

厚労省が2012年に行った、日常生活支援度Ⅱ以上の認知症高齢者数の将来推計は下記のようになっている。

平成22年(2010) 283万人(9.5%/65歳以上人口比)
平成24年(2012) 305万人(未算出)
平成27年(2015) 345万人(10.2%/65歳以上人口比)
平成32年(2020) 410万人(11.3%/65歳以上人口比)
平成27年(2025) 470万人(12.8%/65歳以上人口比)

右肩上がりで生活支援を要する認知症高齢者が増え続ける。生産年齢人口の減少とは逆に、高齢化が進み、それに伴い認知症患者が激増する。これは確定的未来予測だ。

これに対する施策として、厚労省は在宅医療介護を推進するとしている。こちら。読みにくく、理解しがたい資料なのだが、在宅医療介護を、多職種のチームワークで実現する、ということだ。大きな比重を占めるはずの、日常の生活支援については殆ど記述がない。以前のポストにも記した通り、それは家族が担うことになる。老々介護が多くなる。また、単身者の場合はどうするのか。夜間の生活介護の支援はどうなるのだろうか。夜間の在宅での生活介護に介護業者の支援を得るとなると、きわめて高額になり、それは介護家族そして介護保険財政も直撃することだろう。やはり、最終的には施設での介護しかないのではないだろうか。

介護施設での認知症患者への対応には、施設の不足だけでなく、スタッフの不足から来る、下記の論考のような問題がある。貧弱なインフラとマンパワーによる施設介護も地獄の様相を呈することになる。在宅医療介護を推し進めようとする厚労省には、この問題を解決する能力と財政基盤が欠けている。ベビーブーマーがすべて後期高齢者になる2025年は、すぐそこだ。この問題をこそ、解決すべきなのだが、安倍政権は債務を積み重ねつつ軍備増強路線をひた走っている。

ただし、この論考の著者の勧める、その低コスト労働力として外国人介護士の大幅な導入は問題を解決することにはならない。まずは、介護士・看護師の待遇改善を行い、その職種から現在のスタッフが離職することを防ぐことだ。でなければ、外国人介護士を導入しても、現在と問題は何ら変わらない。さらに、人種問題も引き起こすことになる。介護医療は労働集約型産業であり、スタッフへの待遇の改善がどうしても必要になる。

以下、MRICより引用~~~

拘束しなければ高額の賠償請求も、あまりに足りない看護師・介護士

この原稿はJB PRESS(4月12日配信)からの転載です。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49699

看護師・保健師
坂本 諒

2017年5月17日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp
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私は看護師だ。大学を卒業してから3年間、精神医療センターに勤務した。入院患者の多くは認知症の患者で、何らかの身体疾患を持っていた。私は、日中3~4人、夜間6~7人の患者を受け持っていた。
ある夜勤の日、認知症の患者から「ここから出してください。帰りたいんです」と言われた。私は、「そうですよね、入院も長くなってますし、そろそろ帰りたいですよね」と答えた。
患者は「そうなんです。私は普通の患者です。縛られてるんです。出してください」と返してきた。この患者は、認知症の進行によって治療の必要性を理解できず、普段は意思疎通が図れなかった。彼からこのような言葉が出たことに
、私は驚いて立ち尽くした。
患者は、誤嚥性肺炎を繰り返し、そのたびに絶食し、補液や抗生剤を投与していた。しかし、患者は、認知機能の低下によって点滴の必要性を理解できず、自分で管を抜いてしまいそうになることがあった。

●拘束したくないが避けられない事情

加えて、サクション(肺炎によって喉元に溜まった痰を管で吸引すること)の必要性を理解することが困難で、暴力で抵抗していた。
また、歩行が困難な状態であるが、1人でベッドから降りようとするため、家族の了承を得て、拘束(抑制帯で縛ること)をしていた。

拘束は、寝たきりの状態をつくる。拘束で“管理”をすることはできても、それは“ケア”ではない。患者は、寝たきりの状態が長く続き、身体機能は低下し、拘縮(関節が固くなり動かなくなること)が進んだ。初めは自力でご飯を
食べられていたが、それも難しくなった。
誰もが、拘束や寝たきりを避けたいと思うが、認知症によって自らの安全を保てない場合、対応できる看護師の人数が不十分であれば、拘束は避けられない

事実、拘束の件数は、厚生労働省の調査が始まった2003年以降、増加の一途を辿っている。認知症以外の疾患を含む拘束件数は、2003年度の調査で5190人であったのに対し、2013年度の調査で1万229人と倍増している。

病院には、患者の転倒・転落を防止する義務がある。実際に、拘束をせずに転倒・転落による負傷・死亡が発生し、患者の家族が損害賠償を請求した事例がある。
負傷における訴訟では、グループホームに入所中の79歳の認知症患者が、1人で椅子から立ち上がり、転倒・骨折した事例がある。入院費用や傷害慰謝料など、400万円の支払いが事業者に命じられた。
死亡における訴訟では、ショートステイをしている81歳の認知症患者が、夜間に1人でベッドから立ち上がって転倒し、急性硬膜下出血で死亡した事例がある。
死亡事故という重大事故であったこと、また認知症があるため、指示を従わないことによる患者側の責任はないと判断されたことから、3402万円の損害賠償責任が認められた。

私たち看護師は、「拘束をしない選択」と「少ない人員配置による限界」との間で、ジレンマを感じている。私の働いていた急性期の病棟では、1人の看護師が、日中3~4人、夜間6~7人の患者を受け持っていた。
慢性期の病棟より受け持ち患者数は少ないものの、認知症の患者に常時付き添うことは難しい。慢性期の病棟では、1人の看護師が20人の患者を受け持つことがある。そのような状況では、さらに目が届かないだろう。
拘束は寝たきりをつくり、寝たきりは身体機能の低下を引き起こす。私たちは、この問題への対策を考えなければならない。

●圧倒的に足りない看護師、介護士

現状では、圧倒的な人員不足があるため、まずは人手を増やす方法が考えられるだろう。看護師や介護士の人数が増えれば、1人当たりの受け持ち患者数は減るため、手厚いケアができる。
しかし、実際に看護師や介護士の人数を増やすことは難しい。介護士を目指すための学校では定員割れが起きており、看護師は需要に対して供給が少なく、大学や専門学校が毎年新設され続けている状況だ。
あるいは、無資格のボランティアに、患者の見守りを依頼することはどうか。
しかし、ボランティアに義務はなく、さらに専門職ではないため、何か問題が起きた時に責任を取ることは難しい。実際、私の働いていた病棟では、ボランティアに認知症患者の見守りを依頼することはない。

認知症で自らの安全を保てない場合、1人で歩けないにもかかわらず、ベッドから降りようとすることがある。患者の力が強ければ、1人では対応できない。
実際に、暴れる患者には複数人の医療者で対応する。入院中は、点滴や経管栄養のルート、手術部位などに挿入されるドレーン、気管切開部に挿入されるカニューレなど、生命にかかわる管があるため、無資格のボランティアが見てい
る間に抜けてしまっては大変だ。

では、海外からの移民看護師を受け入れることはどうか。
看護師であれば、専門的な教育を受けている。ケアにおける言語の壁はあるが、専門職ではないボランティアと比較すれば、医療的な観察・処置はカバーできる。近年、専門職の移民は増加しており、特に医療分野においての増加が顕
著だ。
移民は、年間20万人程度であれば、経済効果があるとされている。それならば、積極的に移民を受け入れ、委譲できる部分を任せることで、人員不足を補えるかもしれない。
日本の看護師の給与は、海外、特に東南アジアの看護師と比較すると、かなり高い。タイの看護師の月給は約3万3000円で、他国から看護師が流入するシンガポールでも約13万3000円である。

●米国に倣い人材を海外に求める必要

一方、日本の看護師の平均月給は35万円だ。高い給与や充実した教育環境があれば、優秀な人材が来てくれる可能性がある。
日本の移民看護師の受け入れ開始は2008年であり、受け入れは定着していない。一方、日本と同様に看護師不足の問題を抱える米国は、フィリピンからの移民看護師を多く受け入れている。
フィリピンには、米国植民地時代に導入された看護教育のカリキュラムがあり、さらに英語を話すことができる。米国の看護師の平均月給は、病院勤務で37万円~62.5万円と高い。フィリピンの看護師の平均月給は9800円であるため、
高給与の米国への移住は魅力がある。

グローバル社会の中で、一時的な右傾化が進み、極端に閉鎖的な国が増えてきている。しかし、閉鎖的な環境が必ず停滞をもたらすことは、歴史から明らかになっているはずだ。
超高齢社会の今、日本は新たな局面に立たされている。グローバル化に柔軟に適応するか、閉鎖的になってしまうのか、選択をするのは私たちの世代だ。
閉鎖的になることを選択し、人手不足で火車のようになるならば、グローバル化に適応して移民を受け入れ、超高齢社会における圧倒的な看護師不足を補う方が賢明ではないか。

年金受給開始年齢が引き上げられそうだ 

しばらく前に、年金受給資格が「10年間以上の加入」に緩和された。政府は大盤振る舞いしたな、と思っていた。

そうしたら、高齢者の定義を70歳以上に引き上げる、というニュースが飛び込んできた。この定義に従って、年金受給年齢を徐々に75歳程度まで引き上げるのではないだろうか。とすれば、「10年間以上年金に加入していれば、受給資格が得られる」という政策は、大盤振る舞いでも何でもないことになる。ただ単に、年金加入者を増やす手段ということだろう。

現在国民年金の納付率は約6割20歳代だと、2から3割にまで下がる。納付していない人々が仮に納付することになったとしても、その9割が納付の減免ないし免除対象になるという。国民年金は、すでに実質破たんしている。厚生年金も、徐々にその財政状況は、高齢化の進展に伴い悪化するはずだ。

そこで、上記の通り、受給年齢引き上げによって、給付総額を減らす方針が出てきたのだろう。賃金の減少に合わせて、年金額を下げることも、先ごろ国会を通過した法案で実現している。受給年齢引き上げは、ただ単に年金を高齢になるまでもらえないだけでなく、その年齢まで年金保険料を支払い続けなければならないことを意味する。

もし年金給付開始年齢が75歳にまで引き上げられると、健康年齢の平均が70歳前後であるから、数年間は病気をおしてでも払い続けることになるのか。また、平均寿命は80歳前後だから、大多数の方が年金をもらえるのは数年間だけということになりかねない。

私は、年金の受給資格を厳しくし、給付を減らすことは、現在の年金財政では仕方ないと思う。だが、それと同時に行うべきことが幾つもある。

一つは、高齢化が到来することはとっくに予測されていたのに、こうした事態に至るまで放置した責任を明確にすること。特に、積み立て方式がいつの間にか賦課方式に変えられていたこと、さらに年金基金を貪った天下り団体がかってあったこと、その責任を明確にすることが必要だ。高度成長期に、高齢化人口減少社会を見据えて、年金財政の面の準備をすべきであったのに、何もしてこなかったことは、当時の政権政治家・官僚の失態だ。

二つ目は、国民年金に税をもっとつぎ込むことだ。国民年金だけでは生活できないのは明白であり、税金によってその額を増やさないと、結局、生活保護等の社会的なコストが多くなる。

三つ目、議員たちは、議員年金を再び実現しようとしている。これは絶対反対だ。議員年金を確保したら、国民の年金問題を議員は自分の問題として考えなくなる。国民の年金の枠内で彼らも年金を受給すべきだ。

四つ目、国の税金の使い道をもう一度考え直す必要がある。防衛予算が毎年増やされている。国内経済の退縮を考えると大きな伸びだ。特に、「米国政府の言いなりの値段で」高額な武器・軍事機器を購入していることに対処すべきだろう。米国の世界戦略に積極的にコミットする政策も、財政面から維持できなくなるはずだ。再び増え続ける公共事業も見直すべきだ。それに、現在、政治が監視すべきなのにしていない、官僚の天下り法人への助成金がどれほどあるのだろうか。医療関係の特殊法人も、この数年で雨後の筍のように増え続けている。海外へのODA、援助の類も今のまま続けるべきではない。

五つ目、タックスヘヴンの問題。今年春大きな話題になったパナマ文書で示唆された、税金逃れの海外投資を徹底的に洗い出すべきだ。その後の報道では、オフショアの口座の大多数は、偽名ないし個人情報の盗用によるものらしい。それ自体犯罪行為だ。それを政府は追及すべきだが、何も追及する気配はない。企業役員、官僚、政治家が、税金を逃れて蓄財している可能性があるのではないか。

六つ目、大企業が恩恵を被る法人税減税を元に戻すこと。むしろ増税すべきだ。大企業は、すでに様々な税の控除の恩恵を受けており、諸外国と比べて、公的な負担は決して高くない。大企業の内部留保は、400兆円に達している。その一方で、公的な負担を軽減され続けている。適切な法人課税で、年金財政のハードランディングを避けることができる。

現在の高齢者たちは、年金に依存しなくても生活できるのだろうか。このまま政権政治家と官僚が年金をずたずたにするのを見過ごして良いはずがないと思うのだが・・・。

以下、引用~~~

高齢者「70歳以上に」 内閣府、定義引き上げ提言
2016/12/20 1:22日本経済新聞 電子版

 内閣府は技術革新などがなされない場合、2030年には生産年齢人口が1%減少し、日本で低成長が定常化するとした分析をまとめた。高齢者の定義を70歳以上に引き上げることも提案。定年延長や、医療や介護サービスで、高所得の高齢者の負担を増やすといった施策を想定する。構造改革の基本的考え方として、政府の経済政策に反映させる。

高齢者、社会保障負担増、給付減 

ある程度の収入のある高齢者の社会保障給付を減らし、社会保障負担を増やすらしい。ある程度の収入のある高齢者の場合、こうした処置は受け入れざるを得ない。が、年金額が、現役世代の給与水準に合わせて減らされる可能性もあり、インフレが進むと厳しくなるかもしれない。それに、財務省は、こうした国民への負担増を、際限なく続ける可能性もあり、注意が必要だ。消費税の増税も、現在の国の財政からすると不可避だろう。

以下、引用~~~

現役並み収入の高齢者ら、医療費負担増へ 来年度から
16/11/16記事:朝日新聞

 厚生労働省が来年度から実施する医療や介護の負担増の大枠が固まった。現役世代並みの収入がある70歳以上の人は医療費の自己負担上限が上がり、新しく75歳になる人は保険料の軽減特例がなくなる。大企業の会社員らは介護保険料の負担が増える。さらに対象を広げるか財務省と調整し、年内に最終決定する。
 
 医療費では、年収に応じて自己負担月額の上限を定める「高額療養費制度」を見直す。年収が370万円以上で70歳以上の人は、上限を現役世代並みに引き上げる。年収370万円未満で住民税を払っている人も含めるかどうかは調整する。
 
 75歳以上の後期高齢者には年収が低い人を対象に保険料を軽減する特例があるが、来年度から新たに75歳になる人を対象に廃止する。すでに75歳以上の人は3年かけて段階的に廃止することも検討する。
 
 現役世代の介護保険料は、医療保険の被保険者の収入総額に応じて割り当てる「総報酬割」を来年度から数年かけて段階的に導入する方針。健保組合の約7割と共済組合のほぼすべてで保険料が上がる見通しだ。
 
 厚労省はこうした負担増などによって、来年度で約1400億円の社会保障費の抑制をめざす。
 
■医療や介護で固まった負担増
 
【医療】
 
・現役世代並みの収入がある70歳以上の毎月の自己負担上限引き上げ
 
 例)年収370万〜770万円で外来医療費が月100万円の場合=約4万4千円→約8万7千円

ブログ主コメント;
年収370万円で、外来医療費100万円以上かかっている場合、扶養家族なしとして、所得税と介護保険料でおおよそ年20万円、残りは250万円(以下)。月20.8万円(以下)の手取りとなる。持ち家の場合は良いかもしれないが、ローンを抱えていたり、借家の場合は、結構厳しいかもしれない。介護を必要となったり、重篤な病気を抱えた場合も、さらに厳しくなることだろう。もちろん、現役世代でも非正規雇用の方などは、これよりも厳しい財政状況の方が多いのかもしれないが・・・。

 
・新たに75歳になる人の保険料の軽減特例を廃止
 
 例)年金収入が80万円以下=9割軽減→7割軽減
 
【介護】
 
・大企業の会社員や公務員の保険料引き上げ
 
・一般的な収入の人の毎月の自己負担上限引き上げ
 
 課税所得145万円未満で市区町村民税課税世帯=約3万7千円→約4万4千円