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生活保護削減のために厚労省が統計不正をしている 

安倍政権は、なりふり構わず生活保護受給を削減している。そこには行政の一貫した論理もない。あるのは、ただ、削減を実現するためのでっち上げの数値だけである。現政権は、統計不正をここでも行っている。

これが生活保護だけに留まることはないだろう。現政権は、社会保障を毎年6000億円づつ機械的に削減している。年金や、他の社会保障分野が削られる。

この一方、現政権が続けるのは、法人税減税と軍備増強である。来月にも安倍首相夫妻は、新調した600億円の政府専用機で米国・ヨーロッパを歴訪の旅に出るらしい。米国では、トランプにまた高価な軍備の輸入の約束をさせられることだろう。トランプは、わが国とFTA交渉を進めると議会で演説した。安倍首相が言う物品だけに限定したTAG等ではない。トランプの言いなりになり、一方、国内では弱者へ厳しい対応をしている。

統一地方選で、与党候補者を引きづり降ろすことだ。それによって、安倍政権を終りにさせよう。

朝日新聞デジタルより引用~~~

 ■生活保護削減、「手荒な算定」

 「『物価偽装』ともいうべき統計の乱用だ」

 統計学が専門の上藤(うわふじ)一郎・静岡大教授ら専門家は2月27日、東京都内で記者会見を開き、2013年に厚生労働省が決めた生活保護費の基準引き下げの「根拠」を批判した。

 3年かけて国費で670億円を削減。生活費にあたる「生活扶助費」の支給額が受給者世帯の96%で減り、削減幅も最大で10%に上るという、制度始まって以来の大幅引き下げとなった。削減の根拠になった算定方法には当時から、国会審議などで疑問視する声があったが、上藤教授らは一連の厚労省の統計不正を機に、改めて声を上げた。

 厚労省が削減の主な根拠としたのが、当時進んでいた「物価の持続的な下落(デフレ)」だ。その傾向を示す数値として、総務省統計局が作成する公的統計の一つ「消費者物価指数(CPI)」を基に、厚労省はCPIの品目から生活扶助に該当しないものを抜き取った「生活扶助相当CPI」という指標を独自に作り、08年と11年を比較。4・78%下落したと算出し、引き下げの根拠とした。

 上藤教授らの主張はこうだ。厚労省は08年と11年の生活扶助CPIを算出する際、対象商品数が違っているのに必要な調整をしなかった。加えて、別々の方式で算出していた。それらの数字を比較し、「4・78%」を出した――。一方、厚労省が行った別々の計算方式ではなく、総務省統計局が通常行う同一の方式を使い、上藤教授らが生活扶助CPIを計算したところ、下落率は2・3%と、厚労省とは異なる数字になったという。

 上藤教授は「相当手荒なことをしているという印象だ。データに対する厚労省の姿勢はずさんだ」と指摘。自治体で生活保護のケースワーカーの経験がある吉永純・花園大教授(公的扶助論)は「下落率を大きくするため、独自の計算方式を作り出したとしか考えられない」と批判する。

 生活保護の削減は、厚労省が11年から社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の部会で検討作業を本格化させていた。さらに12年末には、自民党が政権を奪還した総選挙の公約集で「給付水準の原則1割カット」を掲げていた。

 基準引き下げをめぐっては、取り消しを求める訴訟が全国で相次ぎ、生活扶助CPIの計算の妥当性も争われている。厚労省は取材に対して「生活扶助基準の見直しについては適切なものと考えており、訴訟においてその正当性を主張している」とし、計算方法は妥当だとする。一方、当時の見直し作業に関わった厚労省職員はこう振り返る。「生活保護に厳しい自民党政権に代わり、さらに削減しないといけないとなった。そこで『デフレ』という考えが出てきた」(太田匡彦、有近隆史)

予防医療によって健康寿命を延ばすのは結構なのだが・・・ 

終末期医療にかかるコストは、高齢者医療費の3%前後であるという。さらに、政府が主張する、予防医療によって健康寿命を延ばし、医療費を削減する、という後段は明らかなミスリード。常識的に考えても、健康寿命を延ばしても、人生最後には病気を得て亡くなることには変わらない。

こちらを参照。

この予防医療・健康寿命によって医療費を削減するという政策は、終末期医療を「簡素化」すれば医療費が大幅に削減できるという主張と裏腹の関係だ。また、予防医療を産業化する狙いもある、ということだ。

生活習慣病は個人の責任であるかのような主張も間違い。環境要因、遺伝要因がある。

社会保障に政策資源をつぎ込むのは、国民にとって良いこと。まずそこから出発すべきだ。

「自分の力で食えなくなった時が死ぬ時だ」 

以前のポストにも記したが、小泉進次郎自民党厚生部会長の発言は、自民党の方針と捉えるべきだろう。

その要旨は、「人生百年時代」という発想は、日本が世界に誇れる商品である。そのためには、現役世代の定義を18から74歳にまでにする。年金は75歳から支給する。健康寿命を考慮すると、健康を害したら年金を出そう、ということ。そして、前のポストにはなかった言葉だが、食えなくなったら死ぬこと、だと彼は言う。

食えなくなったら死ねと言う言葉は、個人の信念として述べるのであれば、問題がない。だが、年金・医療の実質的な政策策定責任者である小泉進次郎が述べると、強烈な異なる意味を帯びる。国の政策を、その線に沿って決めて行くということだ。死に方の選択は、きわめて個別的であり、政治がそれを規定するのは、国民の死をも政治が支配することになる。尊厳死を通り越して安楽死を政治的に進めることになりかねない。

自民党の社会保障・医療政策は、このようなものであることを、国民は理解しておくべきだろう。

以下、引用~~~

統計不正を猛批判も 進次郎「社会保障改革」の危ない現実
(日刊ゲンダイ)

厚労省の統計不正には、さすがに与党内からも厳しい意見が出ている。その急先鋒は毎度おなじみ、自民党の小泉進次郎厚労部会長だ。

「厚労省、目を覚ましてほしいというか、ちょっと危ないぞと」などと批判し、「解体的出直しの気持ちを持たないと社会保障改革はできない」と苦言を呈している。

だが、進次郎氏が思い描く社会保障改革も、国民にとっては「ちょっと危ない」。なぜなら、それは国民に「死ぬまで働け」と強いる冷酷なものだからだ。年明けの「福島民友」に掲載されたインタビューを読むとハッキリ分かる。進次郎氏はこう話している。

■74歳まで現役で働け

<厚労部会長として社会保障改革に取り組めば取り組むほど、間違いなく「人生100年時代」は日本が世界にアピールしていける商品という思いを強くしています>

<例えば「現役」の定義を18~74歳に変えます。今のままだと現役世代の割合は大きく減っていきますが、定義を変えれば30年先でも現役世代の割合はあまり変わりません

現役世代を増やすには定義を変えてしまえばいいとは、厚労省の統計不正と変わらない発想である。人生を「商品」と言ってしまうところにも、国民を労働力としてしか見ていない本心が透けて見えるが、インタビューの中で、進次郎氏は「死に方」についても不穏な発言をしている。

<父は動物や虫が好きで「ライオンを見てみろ。自分の力で食えなくなった時が死ぬ時だ人間も同じ。だから自分の力で食べられる時までが寿命であり、それが一番幸せだ」と言っています>

<私も延命は嫌ですね。痛みは取ってほしいけど。さっき生き方改革と僕は言いましたが、生き方と終い方はセットなんですよね>

要するに、国民は74歳まで働いて税金も年金保険料も納め、自分の力で食えなくなったら延命治療を施すことなく死んでいく。そういう未来図を夢想しているわけだ。

「国民人気が高い進次郎議員ですが、その実態は、弱者に冷たい新自由主義の申し子です。根っこの思想は安倍首相と変わらない。進次郎議員の政権批判はいつもポーズだけで、結局は政権維持に協力してきました。国民はパフォーマンスにだまされてはいけません」(政治評論家・本澤二郎氏)

自民党政権が続くかぎり、国民は搾り取られる一方だ。

社会保障予算を削って、軽減税率財源にするらしい 

消費税法には、消費税全額を社会保障に回すとしっかり規定されている。

安倍首相も、繰り返し消費税増税分は全額社会保障に回すと述べてきた。

だが、実態は、消費税のごく一部が社会保障に回されたに過ぎない。

ここで、驚くべきことに、政府は、軽減税率の財源を社会保障を削減して回すことに決めた。

膨張しきったオリンピック予算3兆円、それに政府が強行しようとしている辺野古新基地建設費用2.5兆円の財源をどうするか、まったく議論されていない。これらも社会保障を削ることで、財源を生み出す積りなのだろう。

消費税対策のために社会保障予算を削る、どう考えてもおかしなことだ。安倍政権は、これと同じことを今までも、これからもやり続ける。

以下、引用~~~

軽減税率、財源にメド 社会保障から1000億円

2018/12/10 20:00日本経済新聞 電子版

政府は2019年10月の消費増税に合わせて導入する軽減税率の財源に社会保障費から約1千億円を充てる方針だ。事業の終了で浮く事務費や過去の社会保障改革で生じた剰余分を回す。全体で約1兆円の軽減税率の財源にメドが立った形だ。

軽減税率は10%に消費税率を引き上げた後も飲食料品や新聞などの税率を8%に据え置く仕組み。低所得者の医療や介護の負担を軽くする「総合合算制度」の見送りで4千億円、たばこ増税と給与所得控除の縮小で3千億円を財源に充てることが決まっていた。

残りの3千億円は社会保障費と免税事業者への課税による増収分を回す。社会保障費のうち、18年度まで予算を計上していた低所得者向けの「簡素な給付措置」の事務費が300億円超、過去の社会保障改革で想定を1400億円上回るとしその半分を軽減税率の財源に充て1千億円とする。

70歳まで雇用引き上げ・・・未来投資会議 

健康寿命は、男性が72歳、女性が74歳だ。それ以降、平均寿命までは、大きな病気を抱えて生きることになる(のが平均ということだ)。

政府は、70歳まで雇用を引き上げ、年金受給開始もそれに合わせて引き上げる。

最初は、選択肢を増やすというようなキャッチフレーズで導入する。選択肢を増やすというキャッチフレーズは、非正規雇用の解禁の際にも盛んに言われたデマゴーグだった。その結果、労働人口の4割が、非正規雇用になった。今回の雇用制度、年金制度の改正は、以下の二点に尽きる。

〇ほぼ病気で働けなくなるまで、国民は働き続けよ。

〇年金は、病気で働けなくなったら支払う。


人口減少による労働人口減少と、年金財政の悪化とを、一挙に解決する名案だと安倍首相は考えているに違いない。

少子高齢化・年金財政の悪化に対して政権与党はいかなる手立てを打ってきたのか。高齢化進展に手を打ってこなかった歴代の政権与党。さらに、安倍政権になってから株式投資への年金資金の投資が倍増している。それが年金資金を毀損する可能性が高まっている。それらの責任を政権は取るべきなのだ。

この雇用政策の大きな改変を、未来投資会議が行っている。すでに述べた通り、未来投資会議には、労働側の委員はいない。経営者と政権与党の人間だけで決めている。その中心人物の一人は竹中平蔵である。

以下、引用~~~

企業の継続雇用、70歳に引き上げへ…首相表明

2018年10月22日 21時33分 読売新聞

企業の継続雇用、70歳に引き上げへ…首相表明

 安倍首相は22日の未来投資会議で、高齢者が希望すればこれまでよりも長く働けるよう、企業の継続雇用年齢を65歳から70歳に引き上げる方針を表明した。働く高齢者を増やすことで、人手不足を解消するとともに年金制度などの安定を図る。政府は、関連法改正案を2020年の通常国会に提出する方針だ。

 首相は会議で「70歳までの就業機会の確保を図り、高齢者の希望・特性に応じて多様な選択肢を許容する方向で検討したい」と述べ、関係閣僚に見直しを指示した。

 高年齢者雇用安定法は、高齢者の職業安定などを目的としており、企業に対して〈1〉65歳までの定年引き上げ〈2〉再雇用など65歳までの継続雇用〈3〉定年制の廃止――のいずれかを義務付けている。

高齢女性の貧困 

Frontiers blogに、近い将来、我が国の高齢者女性がさらなる貧困に陥ることが記されている。こちら。年金受給者女性の1/4は貧困状態になり、それが単身者であると1/2にまで達する、ということだ。

確かに、年金制度は、戦後すぐに女性は家庭で専業主婦になることを前提に作られた。単身の高齢女性が増えることを想定していなかった。さらに、共働きであっても、女性は圧倒的に非正規雇用である場合が多く、年金の面でハンディキャップを負っている。

そうした女性の多くは、国民年金のみ、ないし無年金で老後を迎えることになる。一部は、生活保護を受給することになるだろう。それは、社会保障コストを飛躍的に増やすことになる。

マクロ経済スライドによって毎年年金額は減らされ続けている。社会保障予算は、削減の格好のターゲットになっている。そして、年金制度のなかでとりわけ劣悪な状況に置かれているのが、単身生活の女性である。

先に紹介した、The Guardian誌の経済格差拡大の記事の内容が、我が国にも生じつつある。富める者はさらに富み、貧しい者はさらに貧しくなる社会だ。

それで良いのだろうか。

就職氷河期を生きた若年、中年層が老後を迎えるとき 

先日、The Guardian誌に載った、世界規模の経済格差拡大を指摘する論文を紹介した。

その経済格差拡大が、我が国にもより酷い形で生じつつあることも記した。現在、30から40歳台の就職氷河期を経験した世代が老後を迎えるときに、生活保護を受けざるを得ず、その社会保障コストが30兆円を超すと見込まれている。こちらの論文。そこに記されている通り、医療コストも含めると、その額を大幅に超す可能性が高い。これに対処しないと、社会は不安定化する。

この社会保障負担に、国家経済は耐えられないだろう。今、対応を考える必要がある。さらなる防衛支出等を減らすこと。さらに、増税も止む無しだ。消費税はさらに上げる必要が出てくる。その際に、国民に理解の得られるように、政治行政の改革、透明化とともに税の使い道を明示することだ。法人税増税も不可避だろう。

現状は、その真逆の方向に行っている。

国保保険料値上げ 

これまた、激烈な値上げである。

山崎史郎著「人口減少と社会保障」によると、2016年度ベースで、国保の財源の9%は、市町村が出している。法定外繰越金と呼ばれる範疇の国保財源である。

日本総研が、2012年度の国保財政を調べたところ、その財源規模は、総額9兆5331億円。そのうち、国保への法定外繰入金は、総額3882億円。109自治体は、「財政が比較的豊かなのに」法定外繰越金1012億円を出している。552自治体は、「保険料自体が低すぎる」のに、法定外繰越金1846億円を出している、とされている。法定外繰越金の大半は不必要な支出であり、それを削減して、被保険者の自己負担を増やすべきだ、という国の判断なのだろう。

組合健保、協会健保に関して言えば、後者には16.4%の国からの補てんがあるが、それ以外は、本人の保険料と雇用者からの拠出金で賄われている。公的資金が少ない、または全く入れられていないのに、国保は、上記の法定外繰越金を含めて公的資金が50%投入されているのが、「不公平である」という議論がある。

だが、国保の対象者の大半が、高齢者等の無職者、非正規雇用者になっている。経済基盤の乏しい人々だ。今後、その比率が拡大する。構造的に、国保は社会保障保険としては成立し難くなっている。そうであるのに、市町村からの補てんをゼロにし、保険料を大幅に値上げするのは、国保の存立基盤を崩す。市町村からの法定外繰越金を縮小させるのであれば、その部分は、国ないし雇用者が負担すべきではないだろうか。雇用者は、非正規雇用の拡大により、公的支出を減らし、大きな経済的利益を受けている。雇用者の社会的責任からも、国保への支援を行うべきだ。

さらに、高齢化の進展、非正規雇用の拡大により、国保はいずれにせよ存立し難くなる。国保組合、協会健保、組合健保等と国保を統一すること、国からの財政支出を拡大することが必要になる。

小松秀樹氏の述べる「第三次生活困難期」がまさに現実のものになりつつある。国民は、その覚悟ができているのだろうか。財政規律が弛緩しきっている現政権が、軍拡に走ることを容認し続けるのだろうか。

以下、引用~~~

国保保険料、平均26%上昇東京都が18年度算定
最大57%、市区町村は激変緩和へ
2018年2月17日 1:00

東京都は国民健康保険(国保)で市区町村別に算定した2018年度の標準保険料をまとめた。都内平均で1人当たり年間14万8916円と、16年度に比べ26%上昇。ほぼ全市区町村で増える計算で、最大で6割近く上がる自治体もある。各市区町村は加入者の急激な負担増を避けるため、今後数年かけて段階的に引き上げる見通しだ。

標準保険料は市区町村別の医療費や住民所得などをもとに算定した。市区町村の一般会計から赤字補填をしない前提で算出しているため、上昇幅が大きい。高齢化による医療費の増加なども上昇要因になっている。

標準保険料が最も高いのは千代田区で、16年度比11%増の18万1810円。次いで中央区(16万9059円)や目黒区(16万8373円)、渋谷区(16万6267円)の順で、いずれも増加率は2割近い。多摩地域は増加率の大きい自治体が多い。都内で増加率が最も大きいのは府中市(57%増)だ。

国保はこれまで市区町村が運営し、医療費を保険料で賄えない赤字は一般会計からの繰り入れで補ってきた。国保加入者以外の税金も赤字補填の穴埋めに投じるいびつな構造だった。人口減が進めば税収も落ち込む見通しで、一般会計への依存にも限界がある。

国は保険財政を健全化するため、18年度から国保の運営主体を市区町村から都道府県に移管。都道府県が市区町村に目安となる標準保険料などを示す仕組みに改めた。ただ、標準保険料をそのまま適用すると、加入者の負担が大幅に膨らむ。

このため、市区町村は急激な負担増を抑える激変緩和措置を講じるなどして実際の保険料を決める。千代田区は18年度の保険料を平均約18万1000円に設定。17年度比で1%増(約2000円増)になる。ただ、中間所得層以下の負担は軽くし、加入約7800世帯の9割は保険料が下がる見通しだ。

加入者の急激な負担増を避ける一方で、保険財政の赤字を補う一般会計からの繰り入れの圧縮も進める。江戸川区は保険料を平均で毎年3500円程度引き上げ、5年後に一般会計からの繰り入れをなくす計画。中野区は18年度の保険料を17年度比で約4000円増の約12万3000円とし、その後も徐々に引き上げて9年後の赤字解消を目指す。

第三次生活困難期 

たしかに、結婚も、子供を持つことも、それなりの経済的なバックグラウンドがなければ、できることではない。それは、さまざまな統計の示すところだ。少子化が激烈に進行し始めたのは1990年代であり、家族観や雇用形態の変化もあるが、もっと根本にあるのは、グローバリズム経済によって国民が困窮し、家族を形成しがたくなっていることなのだろう。

その困窮は、すでに高齢者世代の一部をも襲い始めている。

社会保障、そして地域社会の変革によって、貧困と孤立に陥る人々を助け、それによって社会の安定を維持すべきなのだが、その方向には進んでいない。

正直な感想としては、小松秀樹氏の述べる、この第三次生活困難期では、大きな社会的な混乱が生じるのではないかと思える。官僚のなかにも、問題意識を持ち、解決を見出そうとしている良識的な方がいる(山崎史郎著「人口減少と社会保障」)が、どうもすでに手遅れではないか、という感がぬぐえない。

以下、引用~~~

第三次生活困難期: 非正規雇用と社会保険

本稿は、2018年1月25日刊行の書籍『看取り方と看取られ方』(国書刊行会)第8章の「非正規労働者と社会保険」を加筆・修正したものです。日本では、貧困化、少子高齢化、孤独化が進行しています。私はこれを第三次生活困難期として一連の現象として議論することを提案しています。

NPO法人ソシノフ運営会員 小松秀樹

2018年2月20日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp
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日本では、貧困化、少子高齢化、孤独化が進行しています。私はこれを第三次生活困難期として一連の現象として議論することを提案しています。

●医療費の自己負担分が払えない
日本では、生活保護一歩手前の生計困難者が、苦しい生活を強いられています

千葉県の房総半島南端、鴨川市の亀田総合病院と館山市の安房地域医療センターで、それまで勤務していた虎の門病院との違いに驚いたことがあります。自己負担分のお金が用意できないので、入院できないという患者が珍しくなかったのです。
高価な薬剤も嫌われました。前立腺がんに対する男性ホルモンを抑制するための3か月に1回の注射は、6万円以上する高価な薬剤です。自己負担1割でも負担額は6千円を超えます。房総半島では、注射を拒否する患者が稀ではありませ
んでした。
国民健康保険は被用者保険に加入できない人の受け皿です。国民健康保険被保険者は、保険料に加えて、受けた医療に対する自己負担分を支払わなければなりません。生活保護受給が決定すると、国民健康保険から脱退し、医療扶助をうけることになります。保険料も自己負担もなくなります。
2015年度の国民健康保険被保険者3550万人の2014年の平均世帯所得は140万円、保険料は平均14万2千円でした。国民健康保険被保険者の収入はバブル崩壊後大きく減少しました。1993年度の被保険者の前年の平均世帯所得は240万円でした。22年間で所得が42%も減少したことになります。この比較には注意が必要です。2008年4月1日、後期高齢者医療制度の施行に伴い、以後、75歳以上の高齢者が国民健康保険から外れました。後期高齢者は所得が低いので、75歳以上の高齢者を除けば、1993年の被保険者世帯の平均所得はもっと大きかったはずであり、22年間の所得の減少幅はもっと大きいはずです。

●非正規雇用の増加
労働者派遣法の規制緩和で、派遣社員や非正規労働者が増えました。企業にとって、給与を低く抑えられることに加えて、雇用保険料、健康保険料、年金保険料の負担を免れることができるからです。企業にとって、法人税に比べて、社会保険料負担がはるかに大きいのです。実際、2015年度、日本の全企業62%は法人税を支払っていません(国税庁統計年報)。国際的に比較すると、日本の企業の社会保険料負担は決して大きいものではないのですが(香取照幸『教養としての社会保障』東洋経済)、企業は利益を最大化するのが使命なので、保険料負担を可能な限り低くしようとします。
今や、非正規労働者は全雇用者の3分の1を超えます。総務省の労働力調査によれば、2017年4月から6月の役員を除く雇用者は5441万人でしたが、その37%、2018万人が非正規雇用でした。正規労働者の給与は勤続年数にしたがって増えていきますが、非正規労働者の給与は増えません(平成21年度年次経済財政報告)。2016年1月20日の毎日新聞によると、非正規労働者の7割が年収200万円に届かないことが、連合などのアンケートでわかりました。

●非正規雇用と少子化
非正規雇用の増加は、少子化をさらに促進します。そもそも、非正規雇用だと結婚が難しくなります。35~39歳の大卒男性の未婚率は、正規雇用だと25.3%なのに対し、派遣・契約社員は67.2%、パート・アルバイトは85.8%でした(週刊東洋経済2016年5月16日)。結婚後の子どもの数についても、男女とも正規雇用の場合は1.90人、男性正規、女性非正規1.79人、男性非正規、女性
正規1.09人、男女とも非正規で1.36人でした。中間層から非正規雇用に人が移動し続けると、人口減少が促進され、経済も縮小します。企業は労働力を食いつぶしながら、内部留保を増やしているのです。

●非正規雇用と社会保険
被用者保険では健康保険料、年金保険料を、雇用主が50%負担します。しかし、非正規労働者は被用者保険への加入を制限されるため、国民健康保険に加入することが多くなります。厚生年金に入れない場合、国民年金のみになります。雇用主の負担がない分、保険料が重くなります。給与が少ない上に、失業保険に入れてもらえなかったり、医療保険や年金でも正規労働者より不利な扱いを受けたりします。
先に述べた国民健康保険被保険者の世帯あたりの平均所得140万円が給与所得だと仮定すると、給与所得控除を含めて年収は226万円です。男性の非正規労働者の平均年収222万円(http://www.nenshuu.net/sonota/contents/seiki.php)に近い金額になります。単身世帯だとすると、226万円の収入で、国民健康保険料14万2千円(地域によって若干異なります)、国民年金保険料19万8千円、合計34万円を支払わなければなりません。所得税、住民税が合わせて約10万円であり、社会保険料が税の3倍以上になります。収入からみると極めて重い負担です。
私は、『看取り方と看取られ方』の第8章で扱われている無料低額診療の事例カンファレンスに参加していました。このカンファレンスで、生活保護を受給していない貧困層の中に、無理して保険料を納めているにもかかわらず、自己負担分が払えないために、医療を受けていない人たちが相当数存在することを知りました。

●少子化より貧困対策を優先すべき
日本の最大の問題を少子化だとする意見をよく聞きます。しかし、貧困の解決なしに少子化は解決できないでしょう。貧困が解決できれば、少子化の解決はより容易になります。
少子化の解決には時間がかかります。人口動態統計によると、私が生まれた1949年、132万人の女児が生まれました。37年後の1986年には67万2千人、さらに30年後の2016年は、47万5千人の女児が生まれました。世代を追うごとに女性の数が減少しています。2016年生まれの女児たちは、2046年頃に母親になります。合計特殊出生率を増やせたとしても、実際に出生数が増えるまでには何世代もかかります。少子化対策は長期的課題ですが、貧困対策は短期・中期的課題です。

●国民年金と生活保護
生活保護受給者も、バブル崩壊後増え続けています。被保護者調査(厚生労働省)によれば、生活保護受給者数は1955年度の193万人から経済成長と共に減少傾向が続き、1995年度には88万人にまで減少しました。以後、増加に転じ、2015年度には過去最高の216万人に達しました。日本に居住する人の1.7%が生活保護受給者です。高齢世帯の割合が多いのですが、働ける年齢層と考えられる「その他の世帯」が、1996年度の4万1千世帯を最低に、2013年度には28万8千世帯に増え、以後、横ばいになっています。非正規労働者が若年層に多いためだと思われます。蓄えがなくて、支える人がいなければ、非正規労働者はちょっとした病気や事故でも乗り越えられません。
金融資産からも、日本で格差が拡大していることがわかります。金融広報中央委員会によれば、金融資産を保有しない世帯がバブル崩壊後、1995年の7.9%を最低に上昇に転じ、2016年には30.9%まで増加しました。一方で3000万円以上の金融資産を所有する世帯も、1995年の8.4%から2016年には14.8%に増加しました。
香取照幸は、『教養としての社会保障』(東洋経済)で、「日本経済が潰れない限り年金は潰れない、もっと言えば、年金を潰さないためには日本経済の破綻を回避しなければならないということです」と年金について多少楽観的に表現しています。厚生労働省幹部だった立場上、こうしか書けなかったのだと思います。本に提示されているデータからは、香取が事態をもっと深刻に考えて
いると想像されます。年金は制度としては潰れませんが、セイフティネットとしてのカバー範囲が小さくなり、生活保護に頼る部分が大きくなっています。
日本で雇用の非正規化が進んだのは、1990年代です。今後、生涯非正規雇用の人数が増えると想像されます。1975年生まれの人は1990年代に働きはじめました。2018年43歳になり、2040年に65歳、2065年に90歳になります。現在の状況が続けば、生涯非正規雇用の高齢者の割合は2050年頃まで上昇し続ける可能性があります。これに伴い生活保護世帯も増え続けるでしょう。
貯蓄のない非正規労働者の老後の生活はどうなるでしょうか。国民年金の80万円だけでは生活できません。生涯、非正規雇用から抜け出せないとすれば、老後、生活保護を受給せざるをえなくなります。国民年金の給付をうけると、その分、生活保護費から差し引かれます。苦しい中から無理をして年金保険料を支払っても、保護費から差し引かれるとすれば、年金保険料を支払わずに当座の生活費に回す方が、生涯の可処分所得総額は多くなります。当事者たちは、支払わないことに経済合理性があると考えるかもしれません。

●社会保障は富豪のためでもある
勤勉、質素、倹約、正直を旨とする日本の通俗道徳は、貧困に対し当事者の努力不足、道徳的欠陥によるとして、冷淡な態度をとりがちです。社会保障による救済を、怠け者を増やすものだとして否定的にみます。しかし、日本の格差は個人の努力不足によるものではありません。
社会保障も、貧者のためだけのものではありません。社会保障がなければ、先進国でも餓死者が路上で見られることになり、社会が不安定になります。

「豊かな先進国で飢饉が生じない理由は、人々が平均して豊かだからではない。仕事を持ち相応の賃金を稼いでいる限りにおいては確かに豊かであろうが、この条件を長い間満たすことができない人々も多く存在する。もし社会保障制度がなかったならば、彼らの所有物の交換権原からは、実に微々たる財しか得ることができないであろう。イギリスやアメリカで現在(1980年)みられるよ
うな高い失業率のもとでは、仮に社会保障制度がなかったならば飢餓が蔓延し、飢饉すら生じる可能性がある。これを防いでいるのはイギリス人の所得や富が平均して高いことでもなければ、アメリカ人が一般的に富裕なことでもない。社会保障制度のおかげで最低限の交換権原が保障されていることなのである」(アマルティア・セン『貧困と飢餓』岩波書店)。

シアトルの超富豪、ニック・ハノーアーは、「超富豪の仲間たち、ご注意を ― 民衆に襲われる日がやってくる」と題する講演で、現状の格差拡大に対し警告を発しました。https://headlines.yahoo.co.jp/ted?a=20170825-00002055-ted

「中流階級の成長は 資本主義経済における繁栄の源だ。」「今のような経済格差の拡大が長く続くはずがない。」「きわめて不平等な社会には警察国家や暴動が付き物です。手立てを講じなければ世直し一揆が私たちを襲いますよ。」「時間の問題です。その時が来たらそれは誰にとっても酷いことになりますが、特に私たち超富豪にとっては最悪です。」

セーフティネットを切り下げると 

こちらで取り上げた、生活保護費引き下げ検討のニュースに関して。

下記の記事に、同費の引き下げが、セーフティネット・社会保障の大きな切り下げになることが論じられている。

さらに、こうした社会保障切り下げは、内需の経済活動を抑制する。

こうやって、検討中の事項を漏らして、社会の反応をみる行政と政権。やはり後ろめたい気持ちがあるのだろう。

やってみれば良い、社会保障を切り下げ、一方法人税を大幅に減税することを。わが国の経済が、ますます低迷すること請け合いだ。

以下、引用~~~

生活保護費の引き下げ検討に怒りの声相次ぐ 保育料や奨学金の給付基準にも影響、「生活保護受給者だけの話ではない」

2017年12月08日 19時06分 キャリコネ

生活保護費の引き下げ検討に怒りの声相次ぐ 保育料や奨学金の給付基準にも影響、「生活保護受給者だけの話ではない」

厚生労働省は、生活保護費を引き下げることを検討し始めた。12月8日、共同通信などが報じた。一般の低所得世帯の消費支出より支給額が多いとの調査結果を受けて、支給額の見直しに着手したのだという。報道を受け、批判の声が相次いでいる。

生活保護の中には、アパートなどの家賃に対する「住宅扶助」や医療サービスの費用を賄う「医療扶助」などがある。今回、見直しの対象になるのは、日常生活に必要な費用に対する「生活扶助」だ。

「生活保護基準引き下げは誰も幸せにしない」

この「生活扶助」を最大1割程度引き下げる可能性があるという。報道によると、例えば、中学生と小学生の子ども2人を持つ40代夫婦は支給額が月約21万9000円から、約19万4000円に減る。65歳の高齢単身者も月約8万円から約7万3000円に減る。支給水準は5年に1度見直しており、前回2013年度にも一度引き下げられている。

これに対し、貧困対策に関わる人々や研究者からも批判の声があがっている。生活に困っている人やホームレスへの支援を行うNPO法人「ほっとプラス」の藤田孝典代表理事は、

「市民生活に甚大な影響が出るからやめろ」
「生活保護基準引き下げは誰も幸せにしない」

とツイッターで警鐘を鳴らした。ツイートに添付された画像によると、生活保護費の引き下げは「最低賃金が上がらない」など、他の制度にも悪影響を及ぼすという。

保育料無償化や給付型奨学金の対象世帯が減少

弁護士の篠田奈保子さんは、「各種の社会保障制度の減免や支給の基準となっている非課税基準にも影響します。生活保護受給者だけの話ではありません」と指摘。生活保護基準が下がると、住民税の非課税基準も下がるため、今まで無税だった人が課税される可能性が出てくる。

そうすると住民税が非課税のときは安くすんでいた保育料や介護保険の自己負担限度額が上がってしまうのだ。自民党が唱えていた保育料無償化や給付型奨学金も住民税の非課税世帯を対象に実施する予定だった。

そのため篠田さんは、

「生活保護基準引き下げにより、非課税基準自体を下げて、対象者をより少なくする作戦に出るわけね。対策してますって言えるし、対象をどんどんと小さくして予算を少なくもできるという訳ね」

と批判していた。

東京大学の本田由紀教授も「一般の低所得世帯の消費支出が減少しているから生活保護費も削減するという負のスパイラル。いじめのような」とツイート。一般社団法人「つくろい東京ファンド」代表理事の稲葉剛さんは、「絶対に許されません」と怒りを露わにし、反対署名への呼びかけを行った。「生活保護制度の充実を求める緊急署名」は2018年1月末日まで募集しているという。

また、今回の引き下げ検討は、一般の低所得者の消費支出額を踏まえてのものだというが、ネットではむしろ低所得世帯への支援が必要なのではないかという声も相次いでいる。

「『低所得世帯やばいね賃金上げるねー!』じゃないあたり、なんとも寂れた国って感じ」
生活保護費が高いんじゃなくて、それを下回るほどの低所得者層の給料がおかしいんだって」

厚労省の社会・援護局保護課の担当者は「生活保護基準部会で検討をしているが、まだ結論は出ていない。年内にも報告書をまとめる予定です」と話していた。