熊本地震における報道統制 

NHKが熊本地震を報道する際に、各地の震度を地図上に表示する。そこでおかしいと思ったことがあった。必ず、地図に入るべき鹿児島県が必ず「切れている」のだ。熊本県に接するように薩摩川内市がある。そこには、唯一稼働中の川内原発があるのだ。どうも、川内原発における震度を意図的に表示しないようにしているのではないか、と思った。

今日の「日刊ゲンダイ」によると、その想定はドンピシャのようだ。籾井NHK会長が、政府・行政の公表すること以外報道しないように、と現場に命じていたらしい。その意図を、現場が慮って、川内原発は大丈夫であるという政府発表だけを報じ、同地での具体的な震度を故意に伏せた、というのである。情報統制そのものだ。今のところ、川内原発では重大な事故は起きていないようだが、地震は西南方向に向かって進展する気配を見せていたので、川内原発が今後ともに安全であるとは言えない。国民の不安を煽らないように報道統制する、というのは逆さまだ。国民の不安を煽る原発再稼働中の川内原発についてこそ、その震度等を適切に報じるべきなのだ。

我が国には、わかっているだけで2000の活断層があるという。学会が監視し続けているのは、その内110だけ。さらに、これ以外に6000の活断層があるとの予測もある。現に、今回の熊本地震では新たな未知の活断層が地震活動をおこしたと考えられている。要するに、活断層が近傍にない地域は、我が国には存在しない。どこにでも活断層がある可能性があるわけだ。その国土に、54の原発を設置しているのは、ほとんど狂っているとしか言いようがない。

福島第一原発事故の起きる5年前に、津波などの自然災害によって原発は全電源喪失を起こすことはない、したがってその対策をとる必要はない、と国会で答弁した安倍首相が、今も首相の座にある。そして、彼と、その配下の籾井会長が、報道統制を行っている。これは、犯罪的なことである。

我が国の報道の自由は世界72位 

国境なき記者団が公表した「世界報道の自由度ランキング」、我が国はまた順位を落とした。世界72位。

菅官房長官は、我が国では報道の自由は保障されている、と反論している。特定秘密保護法が施行されて1年経つが、報道が委縮していることはない、という。

だが、特定秘密保護法のもとでは、何が特定秘密なのか分からない、特定秘密を調査・報道しようとしただけで重罰に罰せられる、となると、ジャーナリストが「特定秘密に該当しそうなことがら」を取材し、調査しようとしなくなる。それは、報道の自由を内側から崩すものだ。

また、電波を用いたマスコミが「政治的公平性を欠く」報道をしたと総務大臣が判断したら、その局に停波を命じることができるとなれば、報道現場は委縮することは間違いないだろう。または、時の政権に迎合する報道をすることになるだろう。これは、明らかに政権によるマスコミの恫喝だ。

菅官房長官の言う通りだとすると、ここで示されるようにジャーナリストが抗議するわけがない。

首相が、特定のマスコミ経営者と定期的に食事をともにしている、という。緊張感を持つべき両者の関係があまりに近すぎる、馴れ合いになっていることを示している。

政権は、見えないところで、また外的な強制力をもって、マスコミを委縮させ、自らの意図する方向に導こうとしている。ものごとの本質を報道し、腐敗する権力を監視する役目を果たすべきマスコミが、機能しなくなる。権力の座にあるものは、自らの権力を乱用することを厳に戒めなければならない。政治家には、その矜持が求められている。現政権には、その自己抑制がない。彼らは民主主義を破壊しようとしている。

以下、引用~~~

報道の自由度、日本は世界72位に後退
2016年4月21日(木)19時53分配信 TBS

 日本では最近、政権と報道機関の関係が問題となっていますが、国際NGOが調査した日本の「報道の自由度」は世界で72位になってしまいました。政権が批判的なメディアを次々と訴えている韓国よりも、自由度は下なのです。なぜ、こんなことになってしまったのでしょうか。
 国際ジャーナリスト組織=「国境なき記者団」が発表した「世界報道の自由度ランキング」。世界180の国と地域における報道の自由度を、メディアの独立性などを基準に評価したものですが、日本は、前年の61位から72位に後退、3年連続で順位を落としました。

 国境なき記者団は、安倍政権がメディアの独立性を脅かしていることや、主要メディアで「自己検閲」が増加していることなどが、日本の民主主義の土台を危ういものにしているとしています。また、福島原発事故や日本の国防などが“国家機密”となっていて、厳しい法律で守られているとも指摘しています。

 最も報道の自由度の高い国はフィンランドで、韓国は70位と、日本よりも自由度が高いという結果となっています。

 日本での表現の自由の状況について調査を行った国連人権理事会の特別報告者、デビッド・ケイ氏も、今月19日、報道の自由が深刻に脅かされているとする調査結果を発表しています。

 「何を基準に、どういうもので、こういう結果にしたかについては、政府の立場で申し上げることは控えたいと思いますが、表現の自由、報道の自由、当然編集、そうしたものの自由は極めて確保されている」(菅義偉官房長官)

 菅官房長官は、このように述べ、日本が順位を落としたことについて反論しました。また、順位が下がった理由として秘密保護法の施行が指摘されてる点については、「施行されて1年以上たつが、報道が萎縮するというような実態は全く生じていない」と述べました。(21日15:13)

マスメディア報道の自由に関する、国連人権委の指摘 

国境なき記者団が、我が国の報道の自由を2015年度世界で61位と評価したことはすでに記した。開発途上国、専制国家なみのレベルだ。

国連人権理事会の特別報告者が来日し、現在の放送法ではマスメディアに政府が介入しかねないとして、同法の改正が必要であると、述べたらしい。高市総務相は、面会を拒否したようだ。

国境なき記者団の評価が、国際的にみて妥当なものであることを、改めて示したものだ。

放送法は、国家権力がマスメディアに干渉することを排除することを目的にしている。同法4条は、倫理規範であって、国家権力が干渉するための条項ではない。本来は改正の必要はないはずだが、高市総務相のようにこの条項を曲読する権力者が出ることを防ぐために、倫理規定であることを明示し、マスメディアに国家権力は干渉してはならないという条項を加えるべきなのかもしれない。

国連人権委から、このような指摘を受けるのは、きわめて不名誉なことだ。

以下、引用~~~

放送法は「改正を」=対メディア圧力に懸念-国連報告者
2016年4月19日(火)19時29分配信 時事通信

 日本の「表現の自由」の状況を調査するため来日した国連人権理事会のデービッド・ケイ特別報告者は19日、放送局への停波命令の可能性に触れた高市早苗総務相の発言などによって、日本のメディアの独立性が脅かされているとの認識を示した。その上で、放送法は政府の介入を許しかねないとして「一部改正する必要がある」と述べた。東京都内での記者会見で語った。
 ケイ氏は、政治的公平を規定する放送法第4条に違反した場合、同第174条により政府が停波を命じる権限があることに「非常に大きな懸念」を表明。「公平か不公平かは、非常に大きな議論を要する。政府がコントロールすべきではない」と語った。来日に合わせた高市総務相との面会を何度か申し入れたが、国会会期中を理由に断られたとも明かした。