軍産複合体は、倫理的に不可なだけではなくビジネスとしてもリスクが大きい 

雑誌「世界」6月号に、本田浩邦氏が「武器輸出の経済リスク」と題する論考を載せている。安倍政権になって、遮二無二推し進められている武器輸出、産軍複合体化、軍学共同研究への警鐘である。わが国の武器輸出は、人道上、安全保障上、憲法上の問題があるが、ビジネスの点からも問題がある、という。

国際的に、現在の武器市場では、「オフセット取引」が主流になっている。オフセット取引といは、武器の取引に際して、武器を輸入する開発途上国から、輸出国に対して、武器生産への参加、技術移転、その他の開発援助を求める取引である。武器輸出は、元来政治的汚職の温床にもなっている。「オフセット取引」では、輸出企業が見返り契約を履行するために、実質的にかなりの債務を負うことになる。それをオフセット債務という。オフセット債務が、武器輸出額に占める割合は、スエーデンのサーブ社129%を筆頭に、ロッキードマーチン社の74.3%と続き、欧米の軍事企業では大体10から50%前後である。

武器取引は、軍事・外交の複雑な力学が支配する。米国は官民挙げて、日本の軍事企業との提携を模索している。そこでは、日本企業は米国企業の従属的なパートナーとなる。安倍政権が、それまでの「武器輸出三原則」を撤廃し、実質的に武器輸出を解禁した背景には、米国の意向がある。米国軍事企業は、日本企業と共同することで、リスク分散を図る。だが、その関係は上に述べた通り、非対称な関係であり、米国軍事企業に従属する形での日本企業による武器輸出が行われる。我が国から技術が流出し、利益の背後に隠された莫大な「オフセット債務」に長期間苦しめられることになる。

米国軍事企業は、武器輸出自体では大きな利益を得ることができなくなっており、武器に関する特許を多く得て、その使用料で利益を確保しようとしている。オバマ時代のTPP、様々なFTAが知的財産権を重視しているのはそのためだ。特許権の保護を米国の司法制度の枠組みで行うことを米国政府は画策している。我が国が軍事技術の面で米国に追随せざるを得ない状況を固定化するのである。

米国政府は、武器輸出を行う際に、それによって国際秩序の軍的なバランスを保ち、戦争への「抑止力」を確保する、と説明する。わが国政府も、武器輸出を行う際に、同様の説明をすることだろう。だが、英国の歴史家、マイケルハワードは、二つの大戦はヨーロッパの文化に深刻な変化をもたらし、ヨーロッパ諸国はもはや戦争を「政治の道具」とさえ見なさなくなった、と述べた。悲惨な惨禍をもたらした戦争の経験がヨーロッパに再び戦争の惨劇を繰り返さぬための抑止力として作用している、というのだ。東アジアにおいても、程度は弱いかもしれないが、同じ力学が各国民の意識の深層で働いている可能性がある。わが国政府が、武器輸出を本格化させ、改憲への動きを強め、その条件整備のために秘密保護法を制定したことは、そうした抑止力に反することであり、近隣諸国の警戒感を煽り、緊張を高める。日本は、今、産軍複合体が米国軍事企業に追随する道を歩むのか、平和経済を目指す道を歩み続けるのかの分岐点にある。

以上のような内容だ。

軍事企業は、軍事紛争・戦争を欲する。軍事企業が栄えることは、世界の各地で彼らが作る武器により、より多くの人々が苦しむことになることを意味する。上記の論考に記されたように、ビジネスとしてもリスクは高い。米国の企業に振り回され、東芝は実質破たんした。同じことが武器輸出企業に再び起きる危険性がある。倫理的にも、実務上からも、武器輸出を行う軍事産業は不可なのだ。

こともあろうに、わが国で「武器見本市」が開催されている。今のところ、企業イメージの低下を恐れて、表立ってこうした催しに参加する企業が格段に増えているということはないらしい。だが、政府の意向と、目の前の利益に目がくらんで、「死の商人」の仲間に入る企業が今後増えてゆく可能性がある。それは、結局、経済的にも、安全保障の面でも我々に多大な負担を課すことになる。

我々は、問われている、次の世代のために、このままで良いのか、と。

以下、引用~~~

★死の商人おことわり! 6.12 武器見本市 "MAST Asia" 抗議アピール

日時:6月12日(月)
  午前11時30分に集合、12時~13時30分まで 抗議アピール
集合場所:JR京葉線「海浜幕張駅」南口の改札外 
     
※横断幕やプラカードを掲げて、マイクアピールも行いながら、参加者にチラシを配ります。プラカード持参歓迎。非暴力のアクションです。

<呼びかけ> 武器輸出反対ネットワーク(NAJAT)
問合せ・連絡先 090-6185-4407(杉原)

 6月12日から14日まで、千葉県の幕張メッセで海軍関係の武器見本市「MAST Asia 2017」(海上防衛技術国際会議/展示会)が開催されます。戦後初の大型武器見本市となった2015年5月のパシフィコ横浜での開催以来、2年ぶりとなります。森本敏元防衛大臣が実行委員長を務めています。

MAST Asia 2017 ホームページ
https://mastconfex.com/asia2017/

MAST Asia 2015 の報告ビデオ
https://www.youtube.com/watch?v=yTAlRYUcFYo

 今回も前回同様に、防衛省、経産省、外務省が後援しており、日本からは防衛省・海上自衛隊をはじめ、三菱重工などの軍需企業が出展します。また、米ロッキード・マーチンをはじめとする世界33ヶ国の軍需企業や軍関係者が参加し、最新の武器が展示されます。関係者による様々な会議も行われ(一般参加者は展示のみ参加可能)、森本敏元防衛相が実行委員長を務めます。

 約3年前の2014年4月、安倍政権は一片の閣議決定によって、「国是」とされていた「武器輸出三原則」を撤廃しました。安倍首相は「成長戦略」の一環に武器輸出を位置づけ、トップセールスを展開しています。現在までに、武器本体の輸出こそ難航しているものの、日英ミサイル共同研究などの武器の共同研究、共同開発は着実に進展しています。

 そして、民間企業や大学を武器開発に巻き込もうとする動きも強まっています。防衛省の軍事研究推進制度の予算が昨年度6億円から、今年度は一気に110億円に激増するなど、日本版の「軍産学複合体」づくりが本格化しています。その先にあるのは、人工知能すら組み込んだ最先端の無人兵器などの開発に、日本の技術者や研究者が加担させられる構図です。

 トランプ米大統領は、隣国イエメンを無差別に空爆して多数の民間人を殺傷しているサウジアラビアと、12兆円もの武器輸出契約を結びました。世界で悲惨な紛争が続いている背景には、戦争を利用する国家に加えて、戦争で儲ける軍需企業=「死の商人」の存在があります。

 こうした世界の中で、日本政府と市民がなすべきことは「死の商人国家」の仲間入りをすることではなく、武器輸出三原則を復活させて、世界の武器貿易をやめさせることではないでしょうか。

 軍隊の保有や交戦権を否定した憲法9条のある国で、武器見本市を開くことは本来、許されません。かけがえのない人の命を奪うための武器や技術の展示が大手を振ってまかり通ることを見過ごすわけにはいきません。私たちは「MAST Asia 2017」の中止を求めます。そして、日本政府や軍需企業に対して、武器輸出をやめるよう強く要求します。

 「MAST Asia 2017」の参加者に私たちの思いを訴えます。ぜひご参加ください。また、このアクションについて、お知り合いにもお伝えください。

<MAST Asia 2017 参加予定国>
英国、オランダ、スウェーデン、スペイン、ドイツ、ノルウェー、フランス、ポーランド、ポルトガル、インド、インドネシア、シンガポール、タイ、大韓民国、フィリピン、ベトナム、マレーシア、オーストラリア、アメリカ合衆国、カナダ、チリ、ブラジル、アラブ首長国連邦、オマーン、カタール、クウェート、サウジアラビア、トルコ、バーレーン、南アフリカ、イスラエル、イタリア、日本(以上33カ国)

【武器輸出反対ネットワーク(NAJAT)】
メール anti.arms.export@gmail.com
FAX 03-5225-7214
TEL 090-6185-4407(杉原)
ブログ https://najat2016.wordpress.com/
ツイッター https://twitter.com/AntiArmsNAJAT
フェイスブック https://www.facebook.com/AntiArmsNAJAT/

---------------- 以下、転送 -----------------

〈拡散希望です〉

★「武器見本市」抗議連日スタンディング@JR海浜幕張駅南口

【せんそうの どうぐ つくるのやめよう!】

6月12日~14日までの3日間、千葉市幕張メッセにて武器見本市 MAST Asia 2017 が開催されます。
https://mastconfex.com/asia2017/

私たち《安保関連法に反対するママの会@ちば》は、「だれの子どももころさせない」を合言葉に活動を続け、ゆえに人の命を奪う武器をつくることにも反対しています。

戦争・武器によって傷つき、命を落とす子どもを地球上から無くすために活動している私たちは、この見本市が私たちの地元 千葉で開催されることに強い怒りを覚えています。

また、このMAST Asia 2017 のホームページには「Supported by~」として、防衛省、経産省、外務省が名を連ねていることも看過できません。

日本が「国」として「せんそうのどうぐ」を作り、積極的に「売り出す」国になってしまっていることに、情けなさも覚えています。

6月12日(月)~14日(水)の3日間、私たちは連日、抗議のスタンディングを行います。

◇非暴力で平和的な抗議行動です。
私たちと思いを共有してくださる方であれば、どなたでもご参加いただけます。

ご参加、そしてこの情報の拡散にご協力いただければ嬉しいです。

よろしくお願いいたします。

《日時》
6月12日(月) 午前11時~
6月13日(火) 午前10時半~
6月14日(水) 午前10時半~
〈いずれも終了時間は未定です〉
《場所》
JR海浜幕張駅(南口)

軍産学複合体が成長を続けている 

1)安倍政権になってから、日本防衛装備工業会JADIから自民党への政治献金が、旧民主党政権時代から60%増えて3.9億円に達したという記事。JADIは、軍事企業の集まりである。

ブログ「Everyone says I love you」から、こちら

2)軍事産業の研究開発の面で、政府は研究機関・研究者にアメを与えている。防衛装備庁は、「安全保障技術研究推進制度」の2017年予算枠として、110億円を概算要求し、満額が認められた。前年度が6億円だったので、実に20倍近い増額である。大学は交付金が年々減らされ、研究資金が乏しくなる中、この予算に学会は大揺れである。日本学術会議は、戦争につながる研究は行わないことを過去二度にわたり表明してきたが、どうもそれがなし崩しにされそうだ。

3)防衛予算は、安倍内閣になってから毎年引き上げられている。オスプレイ、PAC3といった軍備は、米国政府の言いなりの価格で購入を続けている。

4)外国に自衛隊を派遣し、戦争をさせる法案を政府は通した。南スーダンでの自衛隊任務の一つが「駆けつけ警護」という、わが国だけで通用する名称の任務だ。それは、内戦に関与して戦闘行為を行うことに他ならない。戦争への参加だ。今後、日米安保のガイドライン改定によって、自衛隊は世界中どこにでも派遣されることになった。日米安保の密約によって、有事の際には、自衛隊は米軍指揮下に入るように取り決められている。戦争をする方針は、確立した。

こうして、軍事研究・防衛予算・自衛隊装備・自衛隊海外派遣が、互いに連関しており、それによって軍産学複合体が形成されてきていることが見えてくる。自民党は、それによって甘い汁を吸っている。

この軍産学複合体は、かのアイゼンハウアー大統領が退任演説で警告した組織である。彼は、それが国家・社会に過剰な影響力を行使する可能性、議会・政府の政治的・経済的・軍事的な決定に影響を与える可能性を告発したのである。

わが国では、首相自らが、この軍産学複合体の形成にのめり込んでいる。その危険性に警告を発するような政治家は、少なくとも政府内にいない。

「安全保障技術研究推進制度」 

中東は、軍備の壮大な実験場、試験場になっている。以前にも記したが、昨年末の段階で、米ロ仏等がシリアに行った空爆は、8000回以上、金額にして8000億円以上になっている。シリアの惨状は、かえって増すばかりだ。だが、軍産複合体は、こうした武力抗争地帯で、自らの武器を試験し、消費し利益を上げることを目指している。

わが国政府・軍事企業も、その一翼に加わり、「血」の代償として得られる甘い汁を吸おうと画策している。

防衛省は、莫大な予算の「安全保障技術研究推進制度」を立ち上げ、民間の研究者を篭絡しようとしている。大学は、毎年のように交付金を減らされ、研究費がますます乏しくなっている。そうしておいて、この軍事関連研究を推し進めさせようとしている。

下に引用する記事のように、大学によっては、研究が軍事に利用されることを拒否する立場を貫いているところもある。また、研究者には、研究成果に対して機密情報の縛りが生じうることもあり、今のところ、軍産複合体の意図は実現していないようだ。だが、現状の研究費の状況が続けば、何時まで持つかは分からない。

軍事企業は、「血」に飢えた企業だ。国際紛争をたきつけ、増悪させ、さらに長期間続くように画策する。そうした企業と、防衛省は、以前から癒着していた。2007年には、軍事企業と防衛省の次官が贈収賄で逮捕された。軍産複合体は、国内的にも、国際的にも、厳しい監視下に置かれるべきなのだ。それは、結局、国民が行うしかない。我々が選挙権を行使する際に、当該政党、候補者が、軍産複合体へどのような態度を取っているのかを調べ、投票することだ。それをしなければ、巡り巡って、我々にも軍産複合体と、それに連なる政治家によって災禍がもたらされる。

高齢者医療・介護の予算を削り350億円の予算を浮かす一方で、こうした「血」に飢えた連中のための予算100億円が請求されている。

以下、引用~~~

軍事研究助成18倍 概算要求6億→110億円 防衛省、産学応募増狙う

2016年9月1日毎日新聞朝刊

 防衛省は三十一日、過去最大の総額五兆一千六百八十五億円に上る二〇一七年度予算の概算要求を発表した。一六年度当初予算比2・3%増。このうち、企業や大学に対し、軍事に応用可能な基礎研究費を助成する「安全保障技術研究推進制度」予算として、一六年度の六億円から十八倍増となる百十億円を要求した。資金提供を通じ「産学」側に軍事研究を促す姿勢を強めた。(新開浩)
 この制度は、軍事への応用が期待できる基礎研究を行う機関に、最大で年約四千万円の研究費を三年間助成する内容。制度が創設された一五年度は三億円の予算枠に百九件の応募があり、九件が採用された。一六年度は予算を六億円に倍増したが、応募は前年度の半数を下回る四十四件に減少。採用は十件だった。
 応募が減った背景には、主に大学での軍事研究の拡大に対する研究者の警戒があるとみられる。新潟大学は昨年、学内の科学者の倫理行動規範に「軍事への寄与を目的とする研究は行わない」と明記。京都大は今年、学長らでつくる部局長会議が、軍事研究に関する資金援助は受けない従来の指針を再確認した。
 一方、自民党の国防部会は五月、軍事研究費の助成制度を百億円規模に増額するよう提言。多額の武器開発費を投じる中国への対策が必要だと強調した。これを受けた今回の大幅増要求により、防衛省は一七年度以降、研究テーマ一件当たりの助成費の増額や研究期間の延長を目指す。
 これまでに助成対象となったテーマは、レーダーに探知されにくいステルス性能が期待できる新素材の開発や、海中での長距離・大容量通信を可能とする新型アンテナの研究など。
◆軍事費増やす構図
<大学の軍事研究に反対する「日本科学者会議」事務局長の井原聡東北大名誉教授(科学史)の話> この助成制度は、民生にも役立つ技術を研究するという名目で、軍事費を増やすシステムだ。研究者を大金でからめ捕るやり方は許し難い。助成額を大きくすることで、減少した応募件数を増やす狙いではないか。

~~~

関西大学、good jobである。

以下、引用~~~

<関西大>「軍事研究」研究者の申請を禁止
毎日新聞 12/7(水) 20:52配信

 関西大(大阪府吹田市)は7日、防衛装備庁が防衛装備品に応用できる研究を公募して資金提供する「安全保障技術研究推進制度」について、学内の研究者が申請することを禁止する方針を決めた。他大学の申請に共同研究者として名を連ねることも認めない。また、軍事を所管する国内外の政府機関の研究や、民間企業の軍事目的の研究にも協力しない方針を明確に打ち出した。

 昨年度、学内の教員が同制度の資金提供に応募したことをきっかけに、議論してきた。以前から研究倫理として、「基本的人権や人類の平和・福祉に反する研究活動に従事しない」と定めており、この原則に沿って判断したという。

 関大の芝井敬司学長は「『研究の抑制になる』との意見もあったが、大学としての姿勢をはっきりする必要がある」と説明した。

 安全保障技術研究推進制度は、軍事用と民生用のどちらにも応用できる「デュアルユース」研究を進め、防衛技術の基盤強化などを目的に2015年度からスタート。しかし、軍事研究との接近に抵抗感を示す研究者も多く、新潟大が昨年10月、学内の「科学者行動規範・行動指針」に「軍事への寄与を目的とする研究は行わない」と明記するなど、各地の大学が対応を検討している。また、日本の科学者の代表機関「日本学術会議」も、防衛省から資金を受けることの是非などについて、議論を続けている。

 関大の方針について、防衛装備庁の担当者は「応募するかしないかはそれぞれの研究者が判断することで、コメントする立場にない」としている。【大久保昂】

武器輸出の問題 

安倍政権は、2014年に、武器輸出を原則禁じてきた武器輸出三原則を破棄、新たに防衛装備移転三原則を定め、武器輸出に向けて大きく舵を切った。国際的なわが国の平和国家という評価を大きく変える、この根本的な変更を「閣議決定」で行ったことは、集団的自衛権容認を同じ「閣議」で決めたことと通じるものがある。国会審議を経ず閣議によって、国の形を変えることを平然と安倍政権は行ってきた。

武器の国際的な取引は、国際紛争の勃発・長期化に深く関係している。それはわが国の安全・防衛にも関わっている。武器輸出を解禁することの意味を、世界6月号「死の商人国家になりたいか」に掲載された論文を参考に記してみたい。

冷戦終結後、一時的に激減した武器取引は、2005年から再び急増した。スエーデンのストックホルム国際平和研究所によると、世界の軍事費は1991年に6790億ドルだったものが、2014年には1兆7760億ドルに増えている。2.5倍の増加だ。中東地域の武器輸入は、2005~09年から、2010~2015年にかけて、61%の増加をみせている。最大の武器輸出国、米国は1990年代防衛予算削減に踏み切った。武器市場を世界に求め、武器の輸出規制を緩和、対外有償軍事援助支援制度を使って、軍事企業の武器輸出を促進させてきた。

軍事企業は、多国籍化し、その業務内容も復興支援を含むふく多角産業化している。1990年代から、軍事産業の合併・買収が進み、巨大化・多国籍化した。その資本構成では、機関投資家が多数を占める。それにより、各国が、軍事産業を監督、制御することが難しくなった。紛争地域への間接・直接の武器輸出だけでなく、復興開発事業をも引き受ける多角化が、軍産複合体で進んだ。いわば、火をつけ、火を消すことに、同一の軍事企業が関与するマッチポンプ型の紛争への関与である。

武器は、不適当な国に横流しされないようにという建前で輸出されても、武器商人の手によって、武器輸出国の「敵」に渡ることは、過去にしばしば見られた(以前に紹介したアンドルー ファインスタイン著「武器ビジネス」にそうした多くの例が詳細に記述されている)。様々な縛りをつけても、輸出された武器は、どこのだれの手に渡るかはわからない。中東諸国が武器の輸入国の大きな割合を占める。そのなかで、サウジ・UAE・カタールから、ISISに武器が流されていることはよく知られた事実らしい。良い武器、悪い武器の区別はないわけだ。中東での紛争が続くことで軍事企業が利益を上げ続けられるという本音が、軍事企業自身からも聞こえてくる。

わが国の軍事産業は、これまで武器輸出が規制されてきたこともあり、さほど大規模ではない。武器調達市場の規模は2兆円ほどで、全工業生産の0.8%程度だ。主要軍事企業である、三菱重工、川崎重工ともに、売り上げに武器の占める割合は、たかだか1割程度だ。だが、EUの軍事企業に結果としては落札で負けたとはいえ、オーストラリアへの潜水艦の売却のプロジェクトは、4兆円超の巨大プロジェクトだった。そうした商談が成立すれば、わが国も主要な武器輸出国への仲間入りをすることになる。安倍政権は、武器輸出を成長戦略の一環としている。

オーストラリアは、中国と密接な関係にある。自国のダーウィン軍港を、中国に99年間借款する契約を、オーストラリアは中国と結んでいる。潜水艦という高度な軍事機密が、中国側に渡る可能性が十分あった。また、安倍政権は、フランスとの間で、武器技術を供与する取り決めを結んでいる。フランスから中国への技術移転はかなり自由に行われている。そこでもわが国の軍事機密の中国への移転が行われる可能性がある。かように、武器・軍事技術は、国境を容易に超えて、友好国ではない国、集団に渡る可能性が十分ある。

わが国が、武器輸出を行うようになると生じる問題は以下のようなことになるだろう。

○軍事企業が成長し、軍産複合体を形成。それが、世界各地の紛争に関与することになる。世界平和から逆行する。現在は、武器輸出を厳格にコントロールすることこそが必要だ。

○これまで武器を輸出しない平和国家としての国際的な評価が地に落ちる。これは、紛争の多い開発途上国への支援に大きな支障をもたらす。

○今は軍事企業の規模はさほど大きくはないが、世界有数の武器輸出国になる可能性は十分ある。世界的に軍産複合体は、国家レベルでコントロールできぬまでに大きくなっている。軍産複合体は、紛争を煽り、さらに復興支援をすることで利益を上げ続ける。わが国の軍事企業が、そうした腐敗した軍産複合体に組み込まれる可能性が高い。

○武器・軍事技術は、いったん海外に移転したら、どこに渡るかは分からない。非友好国・テロ集団へ渡る可能性も十分ある。

○武器輸出により、特定の国家・集団に加担することにより、わが国が彼らに敵対していると見なされる。現に、ISISは、わが国を有志連合に所属すると述べており、武器輸出を含めた有志連合への軍事面でのさらなる加担で、わが国、在外邦人がテロの標的になる可能性が高くなる。武器輸出は、紛争に直接関与することに他ならない。



武器輸出で利益がでた、喜ばしい、ということだけでは済まないのだ。武器輸出により、さまざまな軍事的な緊張が高まれば、それに対する防衛対策を取らねばならなくなる。その国家予算をねん出するために、市民生活がさらに犠牲になる。

世界的な視野で、この問題に対処しなければならない。

輸出用兵器の開発 

この飛行機、どこで使うのだろうか。レーダーに捉えにくということは、少なくとも、防衛に用いるものではなさそうだ。まず輸出することを考えているのだろう。

軍事関連の産業・事業は、すべからく秘密となる。兵器輸出の世界は、表・裏があるが、いずれにせよ秘密性ゆえに、腐敗が起こる。我が国でも、兵器の生産、輸出入は特定秘密とされる可能性が高い。そのための特定秘密法なのだ。

兵器の貿易では、輸出した兵器が最終的に「敵」の手に渡ることもある。自国で生産した兵器が、自国、自国民を攻撃することにもなりうるわけだ。

我が国は、憲法の定める平和主義によって武器輸出を厳しく禁止してきた。ところが現政権は、武器輸出を始めた。これは、国際社会における我が国の平和国家という地位を貶める。そして、紛争地域で人々の命を奪い、彼らをさらに苦しめることにつながる。

さらに、一旦増大した軍需産業は、自己増殖をし始め、軍備の拡大、兵器輸出を自己目的化する。それが、第二次世界大戦後の各地の紛争の誘因、悪化要因ではなかったのか。共産主義諸国のみならず、民主主義を標榜している国々・・・いわゆる大国だ・・・が、兵器輸出により莫大な利益を得てきた。政治のトップにいる人間が、兵器輸出でキックバックを得てきた。恥ずべき歴史だ。我が国も、遅まきながら、その利権にあずかろうとしている。安倍政権よ、恥を知れ。

以下、引用~~~

国産ステルス実証機が初飛行…防衛省など開発
2016年4月22日(金)10時59分配信 読売新聞

 防衛装備庁は22日、敵のレーダーに探知されにくいステルス性能を備えた国産初の先進技術実証機「X―2」の初飛行を、愛知県営名古屋空港(豊山町)―航空自衛隊岐阜基地(岐阜県各務原市)間で実施した。

 X―2は午前8時50分頃、県営名古屋空港から離陸。全長約14メートル、全幅約9メートルの白い機体は、随伴機2機とともに北へ向かい、約30分後に同基地に降り立った。着陸後、機体から出たパイロットは、関係者10数人に拍手と花束で迎えられた。

 X―2は防衛省が三菱重工業やIHIなどと研究開発を進めてきた。初飛行は当初、2月中旬の予定だったが、地上での走行試験や機体の調整に時間がかかって遅れていた。