オフショア金融機関による不正蓄財、脱税行為その後 

昨年春、パナマペーパーが問題になり、一頃、盛んに報道されたが、その後、このスキャンダルについてのさらに突っ込んだ報道がない。私の見聞きしたところでは、TBSラジオのSession Twentytwoが唯一、パナマペーパーに載った口座の名前のほとんどが偽の名前ないし奪われた口座名だったと報じていた。下記のように、パナマとの間で、銀行口座情報を交換するとしても、そうした偽の口座であれば、真実は解明されない。

ICIJのパナマペーパーについてのサイト。こちら。世界的規模で、オフショアファイナンスの問題が引き続き追及されている。すべてに目を通していないが、アフリカに与えられる数百億ドル規模の支援金と同額が、毎年オフショアに蓄えられていること、パナマの投資システムの透明性を検討するための委員会が設立されたが、国際的な3名の委員の内2名はすでに辞任したこと等が目につく。特に、後者が示す通り、パナマの投資環境の透明性が確保されないのであれば、パナマペーパーの投げかけた世界規模の不正な蓄財の問題は、解決から程遠い。

わが国の税務当局、政権が、この問題についてどれだけ本気なのかが試されている。

以下、引用~~~

日本とパナマ 銀行口座などの情報を交換する協定発効へ

2017年02月13日 14時26分 TBS

 いわゆる「パナマ文書問題」を受けて国際的な課税逃れの防止が叫ばれるなか、財務省は、日本とパナマの間で銀行口座などの情報を自動的に交換する協定が3月12日に発効すると発表しました。
 財務省は、日本とパナマの政府間で銀行口座などの情報を自動的に交換する協定に必要な手続きが終わり、3月12日から協定を発効すると発表しました。パナマが他の国と銀行口座などの情報を交換する協定を結ぶのは初めてです。

 今後、国税庁は、日本人がパナマ国内に持つ預金や証券などの金融口座や取引明細などの情報を定期的に取り寄せられるようになります。

 脱税などがあった場合は、課税年度にかかわらず、さかのぼって情報を入手することも可能で、悪質な課税逃れの防止にどこまでつながるか注目されます。(13日11:52)

企業内部留保が、過去最高を記録 

企業の内部留保が、さらに増大し、366兆6860億円に達し、過去最高を記録しているという記事。こちら

アベノミクスという壮大な金融緩和、財政出動は、ひとえに企業の内部留保を増大させることに寄与した。また、富裕層の収入を増大もさせた。一方、内需を増やしていない。

企業の内部留保のかなりの部分が海外への投資に回っており、租税回避されている。OECDは、租税回避によって失われている税金は、26兆円に上ると試算している。しかし、わが国の当局は、租税回避の現状を調査する様子がない。

消費税増税延期、タックスヘイブン課税で対処すべきだろう 

世界経済が未曽有の下振れ危機に襲われているとG7サミットで述べて、世界から失笑を買った安倍首相。本音は、消費税増税を回避したい、それに際して自らの経済政策の失敗を隠したいということのようだ。

消費税増税が行われないと、社会保障の充実ができなくなる、という報道。高齢者への現金支給などはやめればよい。

消費税増税分は、社会保障にもっと使うのかと思いきや、30%弱しか充てないことが分かる。

社会保障の充実は、できる。タックスヘイブンに流れている、巨額の金、利息収入に課税すればよいのだ。日本の大企業だけで55兆円の金をタックスヘイブンに移転している。個人資産を含めたら、どれだけになることか。それに課税すれば、済むことではないか。タックスヘイブンについては、こちら

だが、政府・マスコミは、この問題に切り込まない。NHKと電通が、タックスヘイブン利用企業に名を連ねているからだろう。政治家たちも身から錆が出そうなのではないか。

この問題は、国の財政、すなわち我々への課税と密接に関わっている。タックスヘイブンを利用している企業・個人のために国の本来あるべき税収が減っている。それを穴埋めするために、国民にさらに課税されるからだ。

以下、引用~~~

税収増充てる予定、社会保障充実策は困難に
2016年5月29日(日)10時9分配信 読売新聞

 消費税率の引き上げによる税収増を充てる予定だった社会保障の充実策の多くは、増税が延期になれば、棚ざらしになる見通しだ。

 政府は10%への増税により、軽減税率の影響を除いても税収が年約4・4兆円増え、そのうち約1・2兆~1・3兆円を社会保障の充実策に回す計画だった。

 年金分野では、受給するのに必要な保険料の払込期間を25年から10年に短縮するとともに、所得が少ない高齢者らに原則、年6万円の給付金を配る政策を予定していた。これらの政策には約6000億円を充てるはずだった。このほか、低所得者の介護保険料を軽減する施策や、国民健康保険に対する財政支援の強化に約4000億~5000億円、保育所の運営費支援に約1000億円をそれぞれ使う予定だった。

租税回避している人物が、社会保障費削減を提言する 

政府の経済財政諮問会議が5月11日に開かれ、安倍晋三総理大臣が社会保障について、「医療・介護分野における徹底的な『見える化』を行い、給付の実態や地域差を明らかにすることにより、より効果的で効率的な給付を実現していく」と表明した。効率化とは、社会保障費の削減に他ならない。

この会議に、民間人として参加している、東レ・サントリーそれぞれの経営者は、パナマ文書に名前が載っている。租税回避をしていることが即違法ではない。が、違法すれすれのところで、税の納付を忌避する人物が、このように社会保障の削減を国民に強要する提言をすることに加担しているとしたら、倫理的に許されることではない。

租税回避は、それを行う人物・法人が利益をえるだけでなく、その額が不当に多いこともあり、国家財政を逼迫させる。それによって、税制の公平性が大きく損なわれ、国家財政が圧迫される。そして、税を納めて国を成立・維持するモラルが崩壊する。

パナマ文書について「調査しない」と即座に言明した菅官房長官 

パナマ文書の存在が明らかになっての各国の対応は、こちらに記した通りだ。無視する、ないし反発したのは、中国・ロシア・ウクライナそれに我が国だけ。

形だけでも、調査するとアナウンスすればよいものを、菅官房長官は「調査しない」と言明してしまった。他の三カ国同様、何か後ろめたいことがあるか、または問題の重大性を把握できない能力不足なのか、あと3日で明らかになる。

以下、引用~~~

犯罪行為の説明要求=パナマ文書提供者が初声明
2016年5月7日(土)1時33分配信 時事通信

 【ベルリン時事】タックスヘイブン(租税回避地)の利用実態を暴いた「パナマ文書」を南ドイツ新聞に渡した匿名提供者が初めて公に声明を出し、文書が流出したパナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」の創業者、従業員、顧客は「犯罪行為における自分たちの役割について答えなければならない」と迫った。
 南ドイツ新聞が文書を共有した国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が6日、提供者の声明を発表した。声明は「所得の不平等は時代を特徴付ける問題の一つだ」と述べ、文書内容の報道後に租税回避地をめぐる議論が高まったことは「心強い」と評価した。
 自分の身元には言及せず、「私はいかなる政府、情報機関のためにも仕事はしていない」と強調。司法当局がパナマ文書を分析すれば、「何千件も起訴されることになる」と指摘し、問題の深刻さを訴えた。 

パナマペーパーの内容が、5月10日に公表される 

5月10に、パナマペーパーの内容が明らかにされるらしい。

これは、ネットで拾ってきたもの。なかなかウィットが効いている。パナマペーパーの存在が明らかになった時点で、「調査しない」とすぐに述べた菅官房長官。そのなかにまずいことがある、と言っているのと同じだ。租税は国の存在基盤の一つ、それを疎かにすることがあれば、国の存立を危うくする。その危機感が官房長官にはまるでなさそうだ。

さて、5月10日、我が国のマスコミはどう報道するのだろうか。

以下、引用~~~

アメリカ:調査開始
イギリス:調査開始
フランス:調査開始
ドイツ:調査開始
スイス:調査開始
スペイン:調査開始
オランダ:調査開始
スウェーデン:調査開始
アイスランド:首相辞任
オーストラリア:調査開始
ニュージーランド:調査開始
シンガポール:調査開始

--------------文明国と土人国を隔てる壁----------------------

中国:報道規制
ロシア:「プーチン大統領を貶める陰謀」
ウクライナ:「全く問題ない」
日本:「調査しない」、マスコミは報道自主規制

租税回避・・・「セコム創業者」を例にして 

パナマ文書の存在が明らかになってからすでに3週間が過ぎた。租税回避の問題に関して、我が国の政府は無視する姿勢で、マスコミもはなはだ動きが悪い。

我が国の実業家が、どのように租税回避地と関わってきたかという記事がある。こちら。セコムは、現在、我が国最大の警備保障業務企業である。同社は、東京オリンピックで警備を担当したことによって大きく成長し、その後、興味深いことに、原発の警備保障も一手に引き受けているらしい。世界22か国に業務を拡大している。

同社の創始者二人は、1990年、租税回避地として有名な英国領バージン諸島、ガーンジー島に会社を設立した。その目的は、資産の親族への相続対策のためであったらしい。1992年には、パナマのモサックフォンセカ社と取引をするようになり、このパナマ文書にも登場することになった。

顧問弁護士は、資産を租税回避地に移転する際に、同社の株価下落を待つように指示した。また、外国の団体に寄付をする際に、その内容を明かさないことを強く寄付を受ける側に求めた。そうしたことから、租税回避であることが強く疑われるということのようだ。

パナマに投資された金額は、ほんの一部に過ぎず、世界的にみて租税回避されている資産は、3000兆円に達するとも言われている。租税回避は、現代資本主義社会にあって、富める者はますます富み、貧しいものはさらに貧しくなることを促す。回避された租税は、我々国民が肩代わりさせられることになる。いわば、国の財務体制を根本的に危うくする問題だ。税制への国民の信頼を失わせ、税の忌避がさまざまな形で進むことになる。

そのように重大な問題であるにかかわらず、パナマ文書の存在が明らかになった直後、菅官房長官は、この問題を取り上げぬことを言明した。パナマ文書により租税回避問題を検討しないと言明している、ないし無視しようとしているのは、ロシア、中国、それに我が国の三カ国だけだ。電通もこの文書のなかに登場すると言われており、電通により支配されるマスコミ、政府の意向にべったりのNHKは、この問題をあたかも外国での他人ごとであるかのように報じている。

租税回避の生じうるシステムを問題にして行かねばならない。