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国民の玉木党首が「生まれ変わる」といって公約を反故にしようとしている 

あっと驚きである。さすが選挙期間中にアムロの衣装をまとって注目を集めようとした党首だけある。

「生まれ変わった」ので、市民連合と野党が合意した公約は反故にし、自民党にすり寄る算段らしい。安倍首相がかって述べた「新しい判断」と同じだ。この調子で公約を反故にするのが、国会議員の特権だと思ったら大間違いだ。こうした議員は生まれ変わって、職を辞すべきである。

必然性も、蓋然性もない改憲に遮二無二に突き進もうとしている安倍首相。先の参院選では、自民党は単独過半数を割り込み、改憲勢力の議席数は2/3を割った。だが、N国党のような泡まつ政党の議員等を巻き込んで、安倍首相は改憲を進めようとしている。国民民主党がそれに加わるとしたら、国民民主党の自殺行為だ。玉木党首は、議論をするだけだというかもしれないが、安倍首相という人物のやり口は良く分かっているはずだ。議論にならぬ議論を少しやった後は、必ず多数にまかせて採決を強行する。安倍首相は、改憲の中身は何でも良い、改憲さえできればよいのだと、改憲自体が目的になっているかのように見える。だが、本心では緊急事態条項の成立を彼は望んでいる。彼のような政治家の下で改憲するというのは悪夢である。

国民民主党は、先の選挙で示された国民の意志を尊重すべきである。

追記;この玉木党首の発言は、あくまで個人的なもので、国民の総意ではない。

以下、引用~~~

時事ドットコム(時事通信ニュース)
@jijicom
国民民主党の玉木雄一郎代表はインターネット放送「文化人放送局」の番組で、憲法改正に向けた国会での議論に応じるとともに、安倍晋三首相に党首会談を申し入れる考えを表明しました。

改憲願望の裏 

安倍首相の情緒に訴えようとする改憲論に対して、木村草太教授の自衛隊行政組織論は明快かつ論理的である。なお、この安倍首相の情緒的改憲論の根拠となるエピソードは実際にあったことなのか極めて怪しいことが国会論戦で明らかになっている。

安倍首相

「『おとうさんは憲法違反なの?』と、自衛隊員の父親に尋ねる小学生のお子さんがいる。その子は学校で虐めにあっている。だから、自衛隊が合憲であると、憲法に書き加えなければならない」

木村草太教授

「自衛隊は行政組織の一端ですから、憲法には書かれないのです。消防庁と同じでわざわざ『消防隊は合憲』と書きますか?内閣総理大臣が自衛隊の指揮権を持つのも、自衛隊が行政組織の1つだからです」

安保法制導入を急ぐ安倍首相は、有事の異国で救助される邦人母子を助け出す米軍に対する救援というシチュエーションを持ち出し、国民の情緒に訴えようとした。そのシチュエーションは、米軍の規則であり得ないことが明らかになっている。その後、集団的自衛権は、米軍の世界戦略に加担するためであることが判明してきている。現に、参院選後に、有志連合として自衛隊がホルムズ海峡へ派遣され、米軍のイランとの武力衝突の当事者になる可能性が出てきた。

安倍首相が執着する改憲も、何か裏があると見た方が良い。自衛隊を「自衛のため」という制限を取り払い、世界中に派兵できるようにするためだ。そして、国民の基本的人権・国民主権に制限を設け、徴兵制を実施する。国民を戦前と同様に「臣民化」するのである。これは、自民党の幹部が様々な機会に明言していることである。

緊急事態条項成立を阻むために 

自民党が進めようとしている改憲の中心は、緊急事態条項の導入である。

これが導入されれば、三権分立も、憲法の機能も失われる。独裁となるのだ。

ナチスが大統領緊急令と授権法を用いて独裁体制を生み出した歴史を繰り返すことになる。現政権は、まさに、ナチスの手口に学んでいる。

昨年、自民党が「たたき台」として提出した改憲案は、緊急事態条項が以前の案よりも退歩し、さらに権力を内閣に集中させるものになっている。

昨年、小口幸人弁護士が公開した、自民党緊急事態条項案への批判を是非お読みになって頂きたい。こちら。

改憲勢力が、今回の参院選で2/3を得ると、この緊急事態条項が成立することになりかねない。是非、選挙に足を運び、自公・維以外の反政権党に投票していただきたい。

安倍改憲の本質 

いよいよ参議院選挙だ。

安倍首相は、この選挙の争点として、改憲を訴えると述べている。これまで憲法を散々弄び、破壊してきた安倍首相が一体何を言うのか。

自民党の改憲の本質を示したヴィデオ;こちら。

国民主権・基本的人権を国民から奪い、政権与党の権力を永続化すること、すなわち緊急事態条項制定が彼らの目的なのだ。

緊急事態条項に関して、マスコミは殆ど報じない。知らない間に、このヴィデオの世界が実現することになる。

「報告書は存在しなくなった」の先にあるもの 

国会で野党の質疑時間を短縮し、予算委員会を3か月も開催せず、公文書改ざん・隠蔽を行い、さらには審議会報告書を「存在しない」と言う。

この究極の姿が、緊急事態条項の発動された社会だ。緊急事態となれば、国会・憲法は機能しなくなり、内閣が法律と同等の政令を出すことができるようになる。行政府、内閣、首相に独裁権限が付与されることになる。

政府が、どっちに向かっているか、これで十分理解できる。

想田和弘氏tweetを引用・・・

すごいなあ。「報告書はなくなった」。しびれる。無敵ワードすぎる。この調子で「憲法はなくなった」「選挙はなくなった」「国会はなくなった」「裁判所はなくなった」。いろいろできてすごい。

緊急事態条項;岩上安身氏の警告 

安倍首相の改憲の動きの中でもっとも危険なものは、緊急事態条項の新設である。

だが、マスコミ等は、それをあまり報じない。これは、自然災害のための条項ではない。政治的独裁を可能にするための条項だ。

独立ジャーナリストとして活動を続けておられる、岩上安身氏のfacebookでの発言を引用する。彼は、IWJというサイトを通して、護憲リベラリズムの立場から発言を続けておられる。

この改憲が実現すると、安倍首相の独裁が成立することになる。その手段は、緊急事態条項を憲法に加えることによる。ワイマール体制がナチス独裁に移行したのは、全権委任法の成立によった。それと丁度同じ構図である。

以下、引用~~~

Facebookへは、長いこと、ツィッターの投稿をそのまま流していました。しかし、いつのまにか、そのサービスは終了。ウォールが真っ白ですよ、とご連絡いただき、これは、もったいないと、オリジナルで再開することにしました。

正直、体調も良くない中、橋下氏からのスラップ裁判なんてのもあって、猛烈に忙しく、再開する情熱とエネルギーがありあまっている、というわけではないのだけど、一生に一回、全力尽くした、というだけのことをやらないと、死んでも死に切れない、後悔することになります。

7月4日公示、7月21日投開票というスケジュールで、参院選が行われることが決定しているわけですが、自民党はここに改憲を公約で上げることを決定。衆参ダブルの可能性もあります。

最小の報道しかなく、改憲4項目のうち、最も危険な緊急事態条項をステルス作戦で隠したまま

選挙戦で自公およびその腰巾着で、今は改憲切込隊長の維新を合わせた改憲勢力が、3分の2の議席をとるならば、するるっーと改憲発議がされてしまうでしょう。

CM制限なしと民放連は改憲政治勢力に全面協力、怒涛のイメージ情報洪水の中で、改憲賛成と国民投票で、何もよく知らないノンポリな人々が票を投じてしまう危険性が高い。

こうやって、緊急事態条項が通ってしまうと、内閣が全ての権力を持ち、事実上の独裁権を確立し、国会は空洞化し、立法権も奪われます。法律に相当する効力を持つ政令が、どんなトンデモな内容のものであろうと、審議すらされないし、異議も唱えようがないのですから、まかり通ってしまうのです。

違憲の政令を出そうが、それを違憲だとして食い止める機関もありません。司法はすでに安倍忖度司法になっていますが、阿部に都合の良い政令が連発されれば、それを正規の法律として、あつかうことになります。

民主主義も、地方自治も、メディアも、言論・集会・結社の自由も、完全に息の根を止められます。しかも、この緊急事態宣言は、解除の規定がありません。宣言されたら、永遠にファシズムが続くのです。

しかも、このファシズムの上には、米国の大統領が、君臨しています。命令一つで属国が自由を動かし、自由に好きなだけむしり取れれば、帝国にとって、トランプにとって、こんな好都合なことはないでしょう。

惨めなことに、自民党が選挙を通じて、国民をたぶらかして実現しようとしているのは、主権なき、基本的人権なき、属国の、傀儡のファシズムなのです。本当に骨がらみの売国奴というしかありません。

これだけは、保守派であったって、自由主義者であったって、尊王主義者であったって、ノンポリであったって、反対すべきことでしょう。

僕は、あるいは僕一人になっても、この緊急事態条項の危険性は、最後の最後になっても、声を枯らして叫び続け、訴え続けて行きたいと思います。

あと、3ヶ月、とれるアクションはどんどん起こします。

同じ危機感をお持ちの人、ご連絡ください。同時多発的に、この危機を、みんなで、全力で、訴えましょう。

主権が、我々在民にあるうちに!

国民投票の欠陥 

民放連が、改憲国民投票時の広告規制を拒否した。

その表向きの理由が、表現の自由のため。

国民投票前2から6か月間、マスメディアを用いた広告が打ち放題になる。

それでは、資金力のある自民党が圧倒的に有利になる。自民党は、179億円の政党交付金を得ている。さらに、政権与党を支持、支援する財界も様々なマスコミを使った運動をするはず。

選挙で、これだけネットでの運動を規制しておき、改憲国民投票では広告し放題というのは、納得できない。

国民投票法ができた時には、将来国民投票を行う前に、広告規制について検討するとされていたはず。それが反故にされつつある。

もう一つ、国民投票の重大な欠陥は、投票権のある国民総数ではなく、実際に投票された総数の半数以上で、可決されること。投票率が40%であるとすると、投票権者数の20%で改憲が可能になる。これは、硬性憲法の立て付けからして、きわめて危険。

「自民党新時代2019」でググってみて頂きたい。すでに自民党はやる気だ。彼らは、国民投票の是非、改憲を持ち出すことの是非をまともに議論しようとしない。改憲をすること自体、さらに改憲により、緊急事態条項という独裁手段を手に入れることだけを目指している。

令和新時代だなどと浮かれていると、とんでもない政権が生まれることになる。

安倍改憲の本質は、緊急事態条項の新設 

安倍首相は、改憲へ前のめりである。彼が改元を政治的に利用し、政権支持率も上がっている。それを良いことに、一気に改憲へ持ち込もうとしている。

安倍改憲の危険性は、これまでの彼の強権的政治手法を憲法に記すことになることだ。具体的には、緊急事態条項の新設である。自衛隊に関する記述よりも、こちらの問題が決定的に重要だ。

憲法は、繰り返し述べている通り、権力の暴走により国民の人権・主権の侵害が起きないようにするための法律、権力を監視し、その濫用を戒めるための法律だ。ところが、少なくとも自民党改憲草案にある、緊急事態条項は、それを真っ向から否定し、権力に全権を委任する条項である。自民党改憲草案は、憲法が本来の憲法の機能を奪う内容だ。

この改憲のリスクを、とくに若い方々に語り続けなければならない。彼らは無邪気に、改元によって良い時代が来るという政府のプロパガンダに酔いしれているように思える。彼らが、改憲による一番の被害者になるのだ。

以下、木村草太教授のこの問題に関する論考を紹介する。少し長いが是非お読みいただきたい。

論座より引用~~~

緊急事態条項の実態は「内閣独裁権条項」である
自民党草案の問題点を考える

木村草太 首都大学東京教授(憲法学)

2016年03月14日
憲法98条|憲法99条|緊急事態条項|自民党草案


1 自民党草案の緊急事態条項とは
 今年に入り、安倍首相や一部の自民党議員は、憲法改正に強い意欲を示しており、参院選の争点にしようとする動きもある。特に注目を集めているのが、緊急事態条項だ。

 自民党は2012年に発表した憲法改正草案で、戦争・内乱・大災害などの場合に、国会の関与なしに内閣が法律と同じ効力を持つ政令を出す仕組みを提案している。具体的な条文は次の通りである。

 第98条(緊急事態の宣言)

 1 内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において、特に必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、緊急事態の宣言を発することができる。

 2 緊急事態の宣言は、法律の定めるところにより、事前又は事後に国会の承認を得なければならない。

 3 内閣総理大臣は、前項の場合において不承認の議決があったとき、国会が緊急事態の宣言を解除すべき旨を議決したとき、又は事態の推移により当該宣言を継続する必要がないと認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、当該宣言を速やかに解除しなければならない。また、百日を超えて緊急事態の宣言を継続しようとするときは、百日を超えるごとに、事前に国会の承認を得なければならない。

 4 第二項及び前項後段の国会の承認については、第六十条第二項の規定を準用する。この場合において、同項中「三十日以内」とあるのは、「五日以内」と読み替えるものとする。

第99条(緊急事態の宣言の効果)

 1 緊急事態の宣言が発せられたときは、法律の定めるところにより、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができるほか、内閣総理大臣は財政上必要な支出その他の処分を行い、地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる。

 2 前項の政令の制定及び処分については、法律の定めるところにより、事後に国会の承認を得なければならない。

 3 緊急事態の宣言が発せられた場合には、何人も、法律の定めるところにより、当該宣言に係る事態において国民の生命、身体及び財産を守るために行われる措置に関して発せられる国その他公の機関の指示に従わなければならない。この場合においても、第十四条、第十八条、第十九条、第二十一条その他の基本的人権に関する規定は、最大限に尊重されなければならない。

 4 緊急事態の宣言が発せられた場合においては、法律の定めるところにより、その宣言が効力を有する期間、衆議院は解散されないものとし、両議院の議員の任期及びその選挙期日の特例を設けることができる。

発動要件は曖昧で、歯止めは緩い

 98条は、緊急事態宣言を出すための要件と手続きを定めている。具体的には、法律で定める緊急事態」になったら、閣議決定で「緊急事態の宣言」を出せる(98条1項)。また、緊急事態宣言には、事前又は事後の国会の承認が要求される(98条2項)。何げなく読むと、大した提案でないように見えるかもしれないが、この条文はかなり危険だ。

 まず、緊急事態の定義が法律に委ねられているため、緊急事態宣言の発動要件は極めて曖昧になってしまっている。その上、国会承認は事後でも良いとされていて、手続き的な歯止めはかなり緩い。これでは、内閣が緊急事態宣言が必要だと考えさえすれば、かなり恣意的に緊急事態宣言を出せることになってしまう。

効果は絶大な緊急事態宣言

 では、緊急事態宣言はどのような効果を持つのか。

 要件・手続きがこれだけ曖昧で緩いのだから、通常ならば、それによってできることは厳しく限定されていなければならないはずだ。しかし、草案99条で規定された緊急事態宣言の効果は強大である。四つのポイントを確認しておこう。

 第一に、緊急事態宣言中、内閣は、「法律と同一の効力を有する政令を制定」できる。つまり、国民の代表である国会の十分な議論を経ずに、国民の権利を制限したり、義務を設定したりすること、あるいは、統治に関わる法律内容を変更することが、内閣の権限でできてしまうということだ。例えば、刑事訴訟法の逮捕の要件を内閣限りの判断で変えてしまったり、裁判所法を変える政令を使って、裁判所の権限を奪ったりすることもできるだろう。

 第二に、予算の裏付けなしに、「財政上必要な支出その他の処分」を行うことができる。通常ならば、予算の審議を通じて国会が行政権が適性に行使されるようチェックしている。この規定の下では、国会の監視が及ばない中で不公平に復興予算をばらまくといった事態も生じ得るだろう。

 第三に、「地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる」。つまり、地方自治を内閣の意思で制限できるということだが、これも濫用の危険が大きい。

 例えば、どさくさに紛れて、首相の意に沿わない自治体の長に「辞任の指示」を出すような事態も考えられる。実際、ワイマール憲法下のドイツでは、右翼的な中央政府が、緊急事態条項を使って社会党系のプロイセン政府の指導者を罷免したりした。今の日本に例えると、安倍内閣が、辺野古基地問題で対立する翁長沖縄県知事を罷免するようなものだろうか。

 第四に、緊急事態中は、基本的人権の「保障」は解除され、「尊重」に止まることになる。つまり、内閣は「人権侵害をしてはいけない」という義務から解かれ、内閣が「どうしても必要だ」と判断しさえすれば、人権侵害が許されることになる。

 これはかなり深刻な問題だ。政府が尊重する範囲でしか報道の自由が確保されず、土地収用などの財産権侵害にも歯止めがかからなくなるかもしれない。

 以上をまとめるとこうなる。

 まず、内閣は、曖昧かつ緩やかな条件・手続きの下で、緊急事態を宣言できる。そして、緊急事態宣言中、三権分立・地方自治・基本的人権の保障は制限され、というより、ほぼ停止され、内閣独裁という体制が出来上がる。これは、緊急事態条項というより、内閣独裁権条項と呼んだ方が正しい。

2 多数の国が採用?

 このように見てくると、憲法に強い関心を持っていない人でも、この条文は相当危険だと言うことが分かるだろう。

 しかし、安倍首相は、こうした緊急事態条項は、「国際的に多数の国が採用している憲法の条文」であり、導入の必要が高く、また濫用の心配はないと言う(1月19日参議院予算委員会)。これは本当だろうか。外国の緊急事態条項と比較してみよう。

 一般論として、戦争や自然災害が「いつ起こるか」は予測困難だが、「起きた時に何をすべきか」は想定可能だ。そうした予測を基に、誰が、どんな手続きで何をできるのかを事前に定めることは、安全対策としてとても重要だろう。

 そして、警報・避難指示・物資運搬等の規則を細かく定めるのは、国家の基本原理を定める憲法ではなく、個別の法律の役割だ。したがって、外国でも、戦争や大災害などの緊急事態には、事前に準備された法令に基づき対応するのが普通だ。

 例えば、アメリカでは、災害救助法(1950年)や国家緊急事態法(1976年)などが、緊急時に国家が取りうる措置を定めている。

 また、1979年に、カーター政権の大統領令により、連邦緊急事態管理庁(FEMA)という専門の行政組織が設置された。FEMAが災害対応に関係するいろいろな機関を適切に調整したことで、地震やハリケーンなどの大災害に見事に対処できたと言われている。

 フランスでは、1955年に緊急事態法が制定されており、政府が特定地域の立ち入り禁止措置や集会禁止の措置をとることができる。後述するように、フランスには憲法上の緊急事態条項も存在するが、昨年末のテロの際には、憲法上の緊急事態条項ではなく、こちらの法律を適用して対処した。

慎重な議会手続きを要求

 では、憲法上の緊急事態条項は、どのような場合に使われるのか。

 まず前提として、多くの国の憲法は、適正な法律を作るために、国会の独立性を確保したり、十分な議論が国会でなされたりするなど、立法に慎重な議会手続を要求していることを理解せねばならない。

 逆にいえば、通常の立法手続きは面倒くさいということだが、政府の意のままに国会が立法したのでは、権力分立の意義が失われ、国民の権利が侵害される危険が高まる。もしも柔軟な立法を可能にするために議会手続きを緩和しようとするなら、憲法の規定が必要になる。

 例えば、アメリカ憲法では、大統領は、原則として議会招集権限を持たないが、緊急時には議会を招集できる(合衆国憲法2条3節)。また、ドイツでは、外国からの侵略があった場合に、州議会から連邦議会に権限を集中させたり、上下両院の議員からなる合同委員会が一時的に立法権を行使したりできる(ドイツ連邦共和国基本法10a章)。

 これらの憲法は、政府に立法権を直接に与えているわけではない。大統領に議会召集権を与えることで国会の独立性を緩和させたり、立法に関わる議員の数を減らすことで迅速さを優先させたりしているに過ぎない。

 また、フランスや韓国には、確かに、大統領が一時的に立法に当たる権限を含む措置をとれるとする規定がある。しかしその権限を行使できるのは、「国の独立が直接に脅かされる」(フランス第五共和制憲法16条)とか、「国会の招集が不可能になった場合」(大韓民国憲法76条)に限定される。あまりに権限が強いので、その権限を行使できる場面をかなり厳格に限定しているのだ。フランスは昨年末のテロの際に緊急事態宣言を出しているが、それが憲法上の緊急事態宣言ではなかったのは、こうした背景による。

 つまり、アメリカ憲法は、大統領に議会招集権限を与えているだけだし、ドイツ憲法も、議会の権限・手続きの原則を修正するだけであって、政府に独立の立法権限を与えるものではない。また、フランスや韓国の憲法規定は、確かに一時的な立法権限を大統領に与えているものの、その発動要件はかなり厳格で、そう使えるものではない。

 これに対し、先ほど述べたように、自民党草案の提案する緊急事態条項は、発動要件が曖昧な上に、政府の権限を不用意に拡大している。

 他の先進国の憲法と比較して見えてくるのは、自民党草案の提案する緊急事態条項は、緊急時に独裁権を与えるに等しい内容だということだ。こうした緊急時独裁条項を「多数の国が採用している」というのは、明らかに誇張だろう。

 確かに、憲法上の緊急事態条項は多数の国が採用しているが、自民党草案のような内閣独裁条項は、比較法的に見ても異常だといわざるを得ない。

3 日本国憲法には緊急事態条項がない?

 また、日本国憲法には、緊急事態条項がなく、満足な対応ができない可能性がある、と指摘されることもある。もしそれが本当なら、自民党草案のような条項になるかどうかはともかくとして、緊急事態条項の導入を検討しても良いようにも思われる。

 しかし、憲法とは、国民の権利を守り、権力濫用を防ぐために、国家権力を規制する法だ。権力者から、憲法を変えたいと提案されたときは、警戒して内容を吟味した方が良い。

 まず、そもそも、現行憲法に緊急事態条項がない、というのが誤りである。戦争や災害の場合に、国内の安全を守り、国民の生命・自由・幸福追求の権利を保護する権限は、内閣の行政権に含まれる(憲法13条、65条)。したがって、必要な法律がきちんと定められていれば、内閣は十分に緊急事態に対応できる。

 また、緊急事態対応に新たな法律が必要なら、内閣は、国会を召集し(憲法53条)、法案を提出して(憲法72条)、国会の議決を取ればよい。衆議院が解散中でも、参議院の緊急集会が国会の権限を代行できる(憲法54条2項)。

 参議院は半数改選制度を採っているので、国会議員が不在になることは、制度上ありえない。誰もが必要だと思う法案なら、国民の代表である国会が邪魔をすることもないだろう。

 実際、東日本大震災の時には、当時の野党だった自民党や公明党も、激しく対立していた菅民主党政権に相当の協力をした。アメリカの憲法が緊急事態時に大統領に例外的に認めている議会召集権は、すでに、日本国憲法に規定されていると評価できるのだ。

 また、緊急事態については、既に詳細な法律規定が整備されている。侵略を受けた場合には武力攻撃事態法、内乱には警察官職務執行法や自衛隊の治安出動条項、災害には災害救助法や災害対策基本法がある。

 災害対策基本法109条には、状況に応じて、供給不足の「生活必需物資の配給又は譲渡若しくは引渡しの制限若しくは禁止」や「災害応急対策若しくは災害復旧又は国民生活の安定のため必要な物の価格又は役務その他の給付の対価の最高額の決定」、「金銭債務の支払」延期などに関する政令制定権限までもが定められている。

 これらの規定は、かなり強力な内容だ。過剰だという評価はあっても、これで不足だという評価は聞かれない。さらに、これらの法律ですら足りないなら、不備を具体的に指摘して、まずは法改正を提案すべきだ。その上で、必要な法案が現憲法に違反するということになって初めて、憲法改正を争点とすべきだろう。具体的な法令の精査なしに、漠然と「今のままではダメなのだ」という危機感をあおる改憲提案に説得力はない。

4 おわりに
 もちろん、以上の議論は、日本国の非常事態への備えが十分だということを意味しない。いくら法律があっても、政府や自治体、国民が上手に使いこなせなければ、絵に描いた餅だ。また、ミサイルだろうが、大地震だろうが、それに対応するには、食糧の備蓄や緊急用の非常電源が欠かせない。

 こうした非常事態への備えの中で、特に、考えてほしいのが居住の問題である。早川和男教授は、阪神大震災について、次のように述べている。

 1995年1月17日、阪神・淡路を大震災が襲った。この震災は多くの問題をあらわにしたが、とりわけ人間が生きていくうえでの住居の大切さを極端なかたちで示した。……この地震は強度からいえば中規模であったといわれる。それがなぜこのような大災害につながったのか。

 死亡原因は、家屋による圧死・窒息死88%、焼死10%、落下物2%。家が倒れなければなかった犠牲である。出火も少なかったはずである。どこからか火が押し寄せてきても逃げることができたであろう。道路が広くても家が倒れたならば助からない。(早川和男『居住福祉』岩波新書18頁)

 阪神大震災の一年前に戻れるなら、自民党草案のような憲法条項を作るよりも、個々の住居を災害に強いものにする方が、はるかに多くの命を救えるだろう。

 となると、非常事態に強い国を本気で作りたいなら、今取り組むべきは改憲論議ではない。法律を使いこなすための避難訓練の実施、食糧備蓄・発電設備の充実、各自治体への災害対策用の予算・設備の援助、居住福祉の確保だろう。

 緊急事態を本気で憂うるなら、緊急時に漠然とした強権に身を委ねるのは得策ではない。強権に頼って思考停止することなく、緊急事態対応に必要な予算・設備をどんどん提案すべきだ。首相が本気なら、積極的に提案を取り入れるだろう。そうでないなら、「憲法の文言を変えた」という実績がほしいだけ、と評価されるだろう。

 ただし、内閣独裁権条項の提案は、提案としては問題外だが、緊急事態への備えを議論する良いきっかけになると思う。

 この提案に反対する市民は、内閣独裁権条項の危険性を指摘するのと同時に、「本当に必要な緊急事態対策」をどんどん提案し、「対案」をぶつけて行くべきだ。

 緊急事態条項を提案する人たちは、自分たちで緊急事態対応が必要だと言い出した手前、「対案」を出されたら真剣に検討せざるを得ないだろう。そして、その「対案」が一つ一つ実現して行けば、将来の犠牲者を確実に減らすことができるだろう。


自民党改憲案は、上級国民への特権付与を謳っている 

自民党改憲の意図に一つに、上級国民を規定し、彼らに特権を付与することを否定しない条項があったとする論考。

下級国民には、その基本的人権に制限を加え、国防の義務を強制する。その一方、上級国民には、栄誉、勲章その他の栄典の授与に伴い特権を与えることを否定しないということだ。栄誉、勲章、栄典を授かるのは、政権担当者、ないしその近傍にいる者に限られるのが現実だ。ということは、政権担当者、その近傍にいるものが、上級国民ということになる。今回の池袋の事件が、上級国民であることによる警察の優遇であったとすると、すでに上級・下級国民の区別は少なくとも警察において行われていることになる。

所得税の減税、投資による譲渡益・配当への課税を給与所得から分離する制度等々、経済的に高収入の階層はすでに課税面で優遇されている。さらに、政府は実質賃金を低下させるままにし、外需対応企業にだけ便宜を与えた。上級国民への優遇である。経済面だけではない。安倍首相・政権に近い位置にいる人間は、たとえ強姦しても、公文書改ざんしても罪に問われない。彼らも
上級国民だ。

自民党政権の政治家・その周辺にいる人間は上級国民であり、一般国民の大多数は下級国民である、と規定する憲法草案を、自民党政権は提起している。

Buzzapより引用~~~

【上級国民】自民党の改憲草案が「栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない」を削除していた
2019年4月25日19:15 by 深海 | カテゴリー 社会 | タグ 上級国民, 自民党改憲草案

池袋での暴走事故をきっかけとして大きく知られるようになった「上級国民」という言葉ですが、自民党の改憲草案に「上級国民」の誕生を示唆する内容がありました。詳細は以下から。

◆池袋の暴走事故でトレンドとなった「上級国民」

池袋で発生した、無職・飯塚幸三(87)容疑者による暴走死傷事故。ブレーキやハンドルの操作もなく暴走し、母子が犠牲になる極めて痛ましい事故ですが、運転手である飯塚容疑者の処遇を巡って大炎上となっています。

2人が死亡し8人が怪我をする極めて重大事故にも関わらず、飯塚容疑者は現在に至っても逮捕されていません。

これは入院中のため致し方ない処置であると説明されていましたが、テレビで「警視庁が退院後も逮捕せずに任意で事情を聞く方針」であることが放送されると「上級国民だからじゃないのか」「上級無罪だ」と怒りの声が上がりました。

「上級国民」というネットスラングがここで登場した理由は、飯塚容疑者がかつて旧通産省の工業技術院元院長というエリートであり、クボタの副社長も務めていた上に瑞宝重光章という位の高い勲章を授与された人物であること。

これに加えてマスコミが事故報道で飯塚容疑者の事を「さん」付けで呼んだり「元院長」と役職で呼んでいたことも火に油を注ぐことになりました。

また、直後に発生した神戸市のバスが歩行者をはねて2人を死亡させた事故では、「大野二巳雄容疑者(64)が過失運転致死の現行犯で逮捕」されたと報じられており、こうした対比もさらに炎上を激化させています。

◆特権を持つ「上級国民」の存在は違憲

もちろん日本国憲法を紐解けば、平等主義をを規定する第14条に

すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。


としてあるとおり、例え元官僚であろうと、企業の役員であろうと、勲章を授与されようと法の下に平等ということになっています。

つまり飯塚容疑者が上記のような理由で逮捕を免れていたとすれば、憲法違反ということになります。

◆自民党改憲草案で抹消された「いかなる特権も伴はない」の文言

ここで、ネット上で指摘されているのが自民党改憲草案です。この改憲草案では、平等主義を規定する第14条に極めて大きな変更が加えられています。

全て国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、障害の有無、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
華族その他の貴族の制度は、認めない。
栄誉、勲章その他の栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。


日本国憲法改正草案(全文)より引用

現憲法と比較すると「栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない」という文言が削除されていることが分かります。

もし実態を変更しないのであれば文言を変えたり削除する必要はありませんので、ここで「いかなる特権も伴はない」を削除した事には極めて大きな意味があることになります。

例え全ての国民が法の下に平等であっても、その法を運用するのは警察庁も含んだ国や自治体の行政機関であり、現憲法下でもその法の運用が平等ではないと考えられたため、今回の炎上が起こっているわけです。

では改憲が行われ、自民党改憲草案が新憲法となった場合、こうした運用はいったいどうなるのでしょうか。

自民党改憲案への批判 

自民党は、改憲をさらに進める腹積もりでいる。今年2月、自民党憲法改正推進本部は、「日本国憲法改正の考え方」と題するパンフレットとビラを国会議員に配布、憲法改正の動きを国民の間に起こすように激を飛ばした。

それに対して、憲法問題対策法律家6団体連絡会は、そのパンフレットの内容を批判する文書を作成し、ネットで公開した。

自民党の改憲案の一番危険な点は、緊急事態条項である。新たに付け加えようとしているこの条項は、独裁を可能にする。安倍政権が、改憲によりもっとも実現したいと考えているのが、この条項である。

この文書で、この危険な自民党改憲案について認識を深め、徹底して批判する必要がある。

こちら。