竹中平蔵の高プロ制度に関する本音 

竹中平蔵が、高プロ制度について本音を語っている。

竹中平蔵氏「時間内に仕事を終えられない、生産性の低い人に残業代という補助金を出すのも一般論としておかしい」

東京新聞2018年6月21日朝刊


高プロ制度の立法事実は、労働者の側にはない。彼が、この制度を必要としている、というのだ。残業代は、補助金という言いくさに呆れるが、これが彼の本音なのだろう。

経営者が、残業代を出さずに、労働時間の制限を取り払って、労働者に労働をさせる、というのが、竹中平蔵の考えるこの法案の中身なのだ。それが、日本の生産性を上げ、経済を「強くする」というわけだ。

彼は、ご承知の通り、非正規雇用を増やす旗振り役を担い、小泉政権時代に派遣労働の規制緩和を進めた。その結果、日本経済、労働環境はどうなっただろうか。米国の数倍存在すると言われる、労働者派遣業と、一部の輸出企業が内部留保を貯めこんだが、実質賃金は下がり続け、非正規雇用により労働者が厳しい環境で仕事をせざるを得なくなっている。竹中平蔵が会長を務めるパソナは、法外な利益を享受した。

高プロ制度も、結局、派遣労働規制緩和と同じものを、労働者にもたらすことになる。竹中平蔵は、それを正直に声高に語っているのだ。

高プロ制度は、もっぱら財界の意向で作られようとしている 

安倍首相は、高プロ制度について「労働者のニーズに応える高プロ待ったなし」と述べていた。

ところが、高プロ制度法案に関して、労働者側からの立法事実は、存在せず、政府・厚労省は、ただ財界の意向を受けて法案を提出したことが明らかになった。どこに労働者のニーズがあるのか。

同法案の衆議院委員会採決の際に、委員長は、法案成立後すぐに内容を拡大する、すなわち同法の対象を拡大する旨を語っていたらしい。裁量労働の拡大についても、すぐに再び法案提出するらしい。

対象業務はこれから労政審で議論し省令で定める、そのなかで高度な業務であるかどうかは各企業の労使委員会で決めると、山越局長も答弁していた。年収1075万円の高度専門職というバリアーはないに等しい。

本来なら、ジェネストものなのだが、世論は何も盛り上がらない。やはり痛みが加わらないと分からないのだろうか。安倍政権は、新潟知事選挙の結果を受けて、ブルドーザーのように諸法案を強行採決に持って行く。カジノ法案、参議院議員増員gerrymandering法案・・・等々。

KYODOから引用~~~

高プロ、提出前聴取は1人
厚労省が実施時期開示

 働き方改革関連法案に含まれる「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」について、前身となる法案が国会に提出された2015年4月3日以前に、厚生労働省が対象となりうる専門職1人にしかヒアリングをしていなかったことが12日、分かった。厚労省が同日、実施時期を参院厚労委員会理事会に開示した。

 厚労省が高プロについてヒアリングをしたのは計12人。実施時期は15年3月31日が1人、同年5月11日が2人。今年1月31日が6人、2月1日が3人だった。12人には、勤務先が別々ではなく同じ企業に所属する人も複数含まれている。

高プロ制度に立法事実はない 

何らかの法案を国会に提出する際には、その法案の必要性=立法事実を明らかにする必要がある。

労働者に働き方の多様性をもたらし、彼らの過労をなくすという触れ込みの「働き方改革」。その一つの中核部分「高プロ制度」が、デタラメな立法事実によって提案されたことが判明した。

高プロ制度のニーズ、すなわち立法事実に関する聞き取りについて、厚労大臣が虚偽答弁を行っていたという、上西克子教授の指摘。こちら。少々長い議論だが、ぜひ読まれることをお勧めしたい。

上記の論考で、上西氏が引用した、参議院厚労委員会での福島瑞穂議員の質疑。『5時13分』の辺りから。官僚と厚労大臣がいかに虚偽答弁を繰り広げるか、じっくりとご覧いただきたい。ヒアリングについて、虚偽答弁が繰り広げられている。こちら。

法案を策定する段階で、政府・厚労省は財界の意向だけを取り入れ、その事実を隠し、さらに虚偽の立法事実を述べた、ということだ。

小泉政権時代に、労働者派遣法の「規制緩和」を行い、その後非正規化が怒涛のように進行したことを思い出すべきだろう。この法案、少なくとも高プロ制度に関する部分は、国民のためではない。

小さく生んで大きく育てる高プロ制度 by 竹中平蔵 

竹中平蔵は、小泉政権時代、閣内に入り、労働者派遣を規制緩和した。そして、人材派遣業パソナの会長として、労働者派遣業で莫大な利益を得た。労働者派遣業の規制緩和は、働き方の選択肢を増やすというキャッチフレーズだったが、内実は非正規雇用の拡大であり、労働者の実質賃金の低下をもたらした。小さく生んで、大きく育てたわけだ。

高プロ制度に関しても、「小さく生んで、大きく育てる」と竹中平蔵は言っている。高プロ制度が一旦導入されたら、労働者の大半に適用されるようになる。塩崎前厚労大臣が、そのキャッチフレーズを、ホワイトカラーエグゼンプション(ほぼ、高プロと同一の制度)に対して述べていた。

非正規雇用の拡大と同じことが、この残業代ゼロ法案でも起きる。それを、国民は知らないのだろうか。

こちら。

高プロ制度に関する竹中平蔵の発言 

昨夜の「クローズアップ現代プラス」で、高プロ制度の是非を議論していた。高プロ制度賛成の立場のゲストが、竹中平蔵であるというところが、絶妙。彼は、労働者派遣法規制緩和を推し進め、非正規雇用の拡大を行い、自らが会長を務める人材派遣業パソナに莫大な利益をもたらした人物。

彼が言うには、高プロ制度を導入し、どんどん対象を増やして行くべきだとのこと。

「これ(高度プロフェッショナル制度)を入れていかないと日本経済の明日はないと風に思うんですね。まだまだ極めて不十分で、私はこれを適用する人が1%じゃなくてもっともっと増えてかないと日本経済は強くなっていかないと思う」

高プロ制度の対象は決めておらず、一応年収1075万円という線が引かれているだけ。対象職種、年収要件の緩和等は、後で「省令」で決めることになっている。

この竹中平蔵の発言は、彼、そして財界の意図を明白に述べている。労働規制の問題のはずが、経済成長の問題に置き換えられ、労働者の健康、過労等は視野の外だ。

いやぁ、安倍政権は、国民に本当に牙をむき始めた。

雇用関係の奴隷制への先祖返り 

高プロ制度は働かせることが可能な上限時間の規制を撤廃する。雇用者にとってそれのもたらす利益は絶大である。

一方、被労働者には何の権利ももたらさない。成果に見合った報酬というキャッチフレーズは、法案には何も記されていない。

使用従属関係は労働契約上の時間だけというのが近代的な賃労働と資本の関係であるから、労働時間の規制がなくなれば雇用関係は、奴隷制へ先祖返りすることになる。

この細野豪志議員の見解に対する、佐々木弁護士の批判は真っ当なものだ。国会議員からして、この程度の認識だとすると、政権が国民に牙をむくことは止めるのは難しい。

高プロ制度が一旦導入されたら、その適用範囲は拡大され、被雇用者の大半が対象となる。

この制度導入に反対の声を挙げないのは、自ら奴隷になりきっていることを意味する。残念なことに、国民の一定の割合の人々は、自ら隷属することを選択している。彼らは、隷属しない人々を、揶揄し、隷属状態にあることを誇るのである。

以下、引用~~~

細野豪志議員のブログを題材にして「高度プロフェッショナル制度」を解説してみた。
佐々木亮 | 弁護士・ブラック企業被害対策弁護団代表
5/27(日)

ついに衆院を通過
 ついに高プロを含んだ「働き方改革」関連法案が衆院厚労委を通過してしまいました。

・働き方法案、採決強行 衆院委、自公維で可決

 まだまだ審議は不十分だと思うのですが、採決され、来週には衆院本会議で可決され、法案は参院へ送られる見込みです。

 委員会採決時、過労死遺族の方々が傍聴する目の前ではしゃいだように起立の指揮を執る堀内のり子議員の姿が目を引きました。

・<働き方法案可決>人の命かかってるのに 傍聴席ぼうぜん

高プロは急ぐ制度ではない
 過労死を増やす可能性が指摘されている制度を含んだ法案が、多くの未解決の課題を残したままなりふり構わず採決されたのは残念でなりません。

 なぜ、高プロだけを取り外して慎重に審議をしないのか、非常に疑問です。

 この制度の導入は一刻を争うものではないはずです。

 そもそも一括法案という形にすれば審議時間が足りなくなることは分かっていたはずですが、それでもこの状態で法案を通過させるところに、政府・与党の言う「働き方改革」の正体が明らかになったといえるでしょう。

 まだ参議院もありますので、せめてそこで充実した議論になることを期待します。

細野議員のブログを題材に
 さて、こうして国会で最重要法案が可決されたその日、細野豪志議員(無所属)のブログが更新されました。

・国会は終盤戦へ ~働き方改革法案に賛成し、厚労大臣不信任に反対した理由~

 細野議員といえば、民主党に属し、その後離党し、希望の党に結党メンバーとして参加し、いろいろあって現在無所属の衆議院議員です。

 ブログによれば、今回、細野議員は高プロを含んだ法案に賛成票を投じるとのことです。

 その理由が細野議員のブログに書いてあるのですが、これが高プロに対する誤解をよく表しているので、これを教材として、高プロの解説をしたいと思います。

 高度の専門的知識を必要とするとされる高度プロフェッショナル制度は、基本的に裁量労働制の適用対象者の中から、平均給与の3倍を相当程度上回る水準(1075万円を参考)の年収の人に適用可能です。適用されると、管理職同様、労働時間という概念がなくなります。言わば、年俸制になるわけです。

出典:細野豪志blog
 このたった2つの文の中に、ここまで誤った情報を詰め込む細野議員の文才はすごい。

裁量性は要件ではない
 まず、高プロの対象者は「基本的に裁量労働制の適用対象者の中から」選ばれると書いていますが、誤りです。

 むしろ、高プロの危険性として、裁量労働制の対象となる労働者に必須要件とされる「業務遂行の裁量性」さえ要件とされていないことが指摘されています。
 したがって、まず、ここが誤りですね。

高プロは管理監督者より過酷
 次に、「適用されると、管理職同様、労働時間という概念がなくなります」と書いている部分ですが、管理職という言葉を、労働基準法上の管理監督者の意味だと善意に解したとしても、誤りです。

 管理監督者は、深夜労働の規制は外れていません。

 つまり、管理監督者でも夜10時から朝5時までの間に働いた場合は、深夜の割増賃金の支払いがなされるのです。

 ところが、高プロは、これさえ外れます。


 そして、高プロには休憩の規制もないことから、「24時間、働かせ放題」と言われることになるのです。

 細野議員は、ここでも不正確な情報を書いています。

年俸制とは無関係
 さらに、「言わば、年俸制になるわけです」との記載も間違いです。

 たしかに年俸制だと残業代が出ないという誤解はけっこうあります。

 しかし、年俸制とは年間で賃金額を決めているというだけで、何ら特別な制度ではありません。

 当然、労働時間の規制はありますし、その規制の中で所定労働時間の設定がなされます。

 そして、所定労働時間を超えて働けば、年俸制の労働者でも残業代を請求することができるのは当然です。

 細野議員は、わざわざ「言わば」として、間違いを書いているのです。

ブログの続きを見ていきましょう。
 高プロが適用されると、従来の裁量労働制以上に裁量の幅が広がりますので、働きすぎ、最悪の場合、過労死が増える懸念があります。私も過労死した方のご遺族からのお話を聞いたことがありますので、こうした不幸な事案を根絶しなければならないと強く思います。厳格な健康確保措置の導入や、年間104日の休日確保の義務化など、裁量労働制にはない措置が導入されたのは、当然だと思います。

出典:細野豪志blog
 ここでは過労死遺族に寄り添ったふうのことを書きつつ、法案の内容を本当に理解しているのか?と思いたくなるような記載がなされています。

 まず「従来の裁量労働制以上に裁量の幅が広がります」とありますが、広がりません。先ほど書いた通り。

健康確保措置といってもこの程度
 次に、「厳格な健康確保措置」とありますが、そんなものはありません。

 健康確保措置としては、以下の4つがあります。

1 勤務間インターバル制度と深夜労働の回数制限制度の導入
2 労働時間を1ヵ月又は3ヵ月の期間で一定時間内とする
3 1年に1回以上継続した2週間の休日を与える
4 時間外労働が80時間を超えたら健康診断を実施する
(※なお、法案では「労働時間」という言葉は使われず「健康管理時間」という言葉を使っています)

 しかし、これら全てをとる必要はなく、この中から1個選べばいいという制度です。

 まぁ、4を選ぶ企業が続出するでしょう。

 これのどこが「厳格な健康確保措置」なのでしょうか?

 細野議員は、本当に法案を読んだのでしょうか?

104日はそれほどすごくない
 さらに「年間104日の休日確保の義務化」を持ち上げていますが、これは祝日と盆暮れ正月休みを一切ない前提の週休2日というものですので、それほどのものではありません。

まだ続きます。
 重要なことは、本人の意思が尊重されることです。政府案が修正され、高プロ適用時に本人の同意を得るだけではなく、離脱の意思表示もできることが明確になりました。

出典:細野豪志blog
本人の同意はあてにならない
 たしかに高プロには本人同意が要件とされています。

 しかし、労働法の世界における労働者の同意ほど弱々しい「歯止め」はありません。

 労働者と使用者の力が非対等だからこそ、労働法があるのです。

 その構造と年収とは関係ありません。

 また、離脱の制度については、ないよりはあった方がいい制度なのですが、同意と同様に「歯止め」としての機能の実効性は疑問です。

細野議員、ありがとうございます
 以上、なかなかいい題材を提供してくれた細野議員に感謝したいと思いますが、もう少し勉強したほうがいいかとも思いました。

 では、議論は衆院本会議と参院に移ることになりますが、引き続き注目していきたいと思います。



「働き方改革」法案の杜撰さ 

この働き方改革法案は、閣議で方向性が決められ、それに合うようにデータが短期間ででっち上げられた。

データ自体が杜撰なことに加えて、この手続きが大きな問題。いわば、労働者の過労死を左右する法案がこれほどいい加減に制定されようとしている。すべて政府に責任がある。

これを強行採決するとしたら、滅茶苦茶である。

以下、引用~~~

厚労省調査新たに二重集計のミス
2018/5/25 09:26
©一般社団法人共同通信社

 厚生労働省は25日の衆院厚労委員会理事会で、ミスが相次いで発覚した労働時間調査について、野党側の指摘で新たに6事業所で二重集計するミスがあったと報告した。野党は「今日の働き方改革関連法案の採決には応じられない」と反発した。

過労死遺族は誰でもがなりうる 

過労死遺族は誰でもがなりうる。

こちら。

「働き方改革法案」という、国民奴隷化法案 

「働き方改革法案」が今日にも強行採決されると言われている。

この法案の問題点;

同一賃金同一労働は、理念としては正しいように見えるが、正規雇用を非正規雇用の労働条件に引き下げられる可能性が高い。現に、JPでそれが行われている。財界が、これだけ待ち望む法案であるから、非正規雇用の労働条件の改善等行われない、行われたとしても正規雇用の労働条件の劣化の方が大きいということになる。不幸の均霑だ。

高プロ制度の問題点は何度も指摘した。これは残業代ゼロそのもの。適用範囲等は省令で定めることになっており、徐々に適用範囲が広がる、すなわち高度プロフェッショナルの職業だけでなくなる可能性が高い。財界は、年収要件を400万円まで引き下げることを要求している。もう一つ、高プロ制度では、残業時間の記録が不要となり、万一過労死したとしても、それが認めがたくなる。過労死した人間の自己責任にされる。

こんな滅茶苦茶な制度を、杜撰なデータをもとに法制化しようとしている。

きっと累々と被害者が出ることだろう。

「ご飯論法」 

加藤厚労大臣が、高プロ制度について国会で議論したときの論法を、上西充子教授は、「ご飯論法」と名付けた。はぐらかし、誤魔化しの典型的な論法である。

こちら。

厚労大臣は、このような不誠実な態度、そして根拠が崩れたデータで、高プロ制度を作ろうとしている。

この制度の詳細は、法案成立後、省令によって決める。即ち、適用範囲を徐々に拡大するというやり方が、この「ご飯論法」の先にある。

国民は、騙されている。