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小児気管支喘息の多形性 

小児気管支喘息に対して、ステロイド剤吸入は劇的な効果をもたらすことが多い。だが、(少し前のコメントに記した通り)、乳幼児の気管支喘息に対して早期にステロイド吸入を行っても、長期間(といっても、数年間のスパンだが)経過を追うと、ステロイド吸入の有無が気管支喘息の経過に大きな影響を及ぼさない、という研究結果が、この数年間に幾つも出てきた。それは、小児気管支喘息を主な関心事にして、診療を続けてきた私にとっては、衝撃的なことだった。

しかし、気管支喘息という病気自体が、様々な病因を持つもので、均一な疾患ではないことが、そうした知見に関係しているのではないかと、漠然と考えてきた。特に、乳幼児期に発症する気管支喘息は、遺伝的な背景が強くあると言われており、そうした遺伝性の強い群には、気管支喘息を発症してから、現在行いうる、どのような治療を行っても、長期予後を変えることはできない、ということなのだろう。

実際、気管支喘息発症に関連する遺伝子座が幾つも判明してきている。

最近のN Engl J Medに、下記の研究報告が載っていた。



N Engl J Med. 2008 Nov 6;359(19):1985-94. Epub 2008 Oct 15.

Effect of 17q21 variants and smoking exposure in early-onset asthma.

Bouzigon E, Corda E, Aschard H, Dizier MH, Boland A, Bousquet J, Chateigner N, Gormand F, Just J, Le Moual N, Scheinmann P, Siroux V, Vervloet D, Zelenika D, Pin I, Kauffmann F, Lathrop M, Demenais F.

INSERM Unité 794, Paris, France.




以下、抄録の抄録・・・

・・・・・・・

17q21という染色体部位の変異と、気管支喘息発症に相関があることが知られているが、この研究では、372家系、1511名を対象にして、その染色体部位の36ヶ所の単一ヌクレオチド多形性(SNP)分析によって、発症年齢・環境因子等のデータを解析し、この部位の多形性と気管支喘息の関係を明らかにした。

11のSNPが、気管支喘息と相関。内、三つが特に強く相関していた。4歳以前発症の気管支喘息(早期発症気管支喘息)が、四つのSNPに関して発症と極めて強い相関を示した。その年齢層でタバコの受動喫煙に晒された群が、六つのSNPに関して強い相関を示した。

17q21の変異に伴う、気管支喘息の発症は、4歳以下での発症例に限られる。また、同年齢層でのタバコ受動喫煙が、この群での発症の危険を増す。

・・・・・・

要するに、17q21という染色体部位の遺伝子の多形性が気管支喘息発症に関連するのは、4歳以下の年幼での気管支喘息発症症例に限られる。それらの群では、タバコの煙を吸うことにより、発症の危険が大きく増す、ということだ。

現在のところ、こうした染色体・遺伝子分析を、気管支喘息症例すべてに行うことは出来ない。しかし、やがて小児気管支喘息の病因による分類が行われるようになり、各々に対応する治療が可能になるのだろう(現在のガイドライン治療の不完全さが見えてくる)。また、本人がタバコを吸いながら、気管支喘息の治療をする、または子どもが気管支喘息で、治療を受けているのに、親がタバコを吸い続ける愚かさを改めて確認することができる。





反米勢力の拡大再生産 

軍事力で、問題を解決できないことを何時になったら、米国の指導者は理解するのだろうか。

アフガニスタンで米国の空爆により民間人が35名死亡した。アフガニスタン大統領のカルザイ氏は、新しく米国大統領に選出されたオバマ氏に、そのようなことを繰り返さぬように要請している。ここ

オバマ氏は、イラクからの兵力撤退を主張しているが、一方、アフガニスタンでのアルカイダ勢力との戦闘に「集中する」とも言明している。

野田浩夫氏のブログ「静かな日」本日のエントリーによると、昨日、参議院でペシャワール会の中村氏が証言し、アフガニスタンの治安状況は最も悪化していると話したらしい。

米国は、アフガニスタンでの戦闘を辞める気配は無い。民間人の犠牲者を生み、反米の人々を拡大再生産している。わが国は、アフガニスタンでの米国の軍事行動を実際支援し続けている。これで良いのだろうか。

オバマ氏の選挙勝利演説は、確かに感銘を与えるものだが、政治は結果で判断される。賢明な指導者ならば、アフガニスタンの戦闘を終結させるはずだが・・・。

米国の地図 

米国のアトラスをネット通販で手に入れた。昔、Dick K3DIが遊びに来たときに、お土産に持ってきてくれた道路地図が、リフォームの際に行方不明になってしまい、同じようなものが欲しいと前々から思っていたのだ。交信する際に、相手の地名を地図上に見つけて、いろいろと話しを伺い、想像をたくましくするのだ。

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今日、北米全体に良く開けた14メガで交信をする際に、このやや大振りのアトラスを手元においておいた。ベアフットにワイアーアンテナの設備の局が、次々に呼んで来てくれる。アパラチアントレイルの東側に住むハム、コネチカットのマサチューセッツ寄りの小さな町に住むハム、それに旧知のカンザス市近くのRob K0RU。カンザス市周辺には湖がたくさんあることを知らなかった。Bert W5ZRが、アラバマ南部、メキシコ湾に近いところに住んでいることも改めて確認した。裏庭で3歳の孫息子と追いかけっこをしていた、と。

このアトラスで、交信がまた興味深いものになることだろう。

ロシアや中国の局、中央アジアの局等とも、会話を交わせるようになれば、面白いのだろうに・・・まだ、残念ながら、彼等とはなかなか会話にまでは至らない・・・。

アトラスを見ているのだと言ったら、あるWの局から、「あぁどんなソフトなの?」と尋ねられてしまった。そういえば、紙の地図を眺めているのはかなり時代錯誤なのかもしれない。しかし、良いのだ。この地図上、交信した相手の場所に、そのコールをメモしておき、それを基に、いつかレンタカーで彼等をフラッと訪ねてあるくのだ(・・・実現するかな)。

晩秋 

秋も終盤。これもコスモス?通勤途上の道端に植えられているもの。満開。山口百恵の歌に出てきたっけ・・・旧い。道端にこうした豊かに咲き誇る花があると、何かこころが潤されたような気になる。

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それに、例の「弁天塚古墳」。周囲の畑の刈り取りはとうに終っている。

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読売新聞医療情報部は一体何を考えているのだろうか? 

m3com編集部が、読売新聞東京本社編集局医療情報部長・田中秀一氏ににインタビューしている。

そのインタビューを読んでの感想。

まず、この提言が、編集部上層部からの指示で取りまとめられたということが目に付く。新聞編集のやり方は分からないが、上層部は大まかな方向性を、この提言をまとめた医療情報部に指示していたのではなかろうか。さらに、その方向性は、官僚から依頼された内容に依拠するものである可能性が高い。医療制度の根幹を左右する同様の提言が、他のマスコミにも時期を同じくして出てきているからである。官僚サイドからも、この提言を歓迎する旨の発言が、間髪をいれずに飛び出している(舛添大臣が、この提言内容では駄目だと言っていることが、官僚組織の中での彼の立場を表しているようだ)。

私が、こうした提言の類で一番気になるのは、何故こうした提言が出てきたのかということだ。マスコミは、世論を作り出せると慢心している。読売新聞が、官僚の意向に沿って、世論操作をしようとしたら、その罪は重たい

医療を公共財と捉えている点にも注目できる。公共のインフラストラクチャを、消費の観点から捉えるいるのが、公共財という概念だ。医療の公共財としての性格を議論するのであれば、消費者、即ち患者側の思慮深い医療システムの利用を促すことが、提言の重要なポイントになるはずだ。ところが、医療情報部責任者はそれにはかるく触れるだけだ。また、インフラストラクチャとしての医療が成立させ続けるために、国家予算の財政的な裏付けを充実させることを主張すべきである。日本の医療は、低医療費政策の結果崩壊している側面も大きいからだ。ところが、この点も、一言二言触れるだけある。その一方、医療が公共性をもつものであるから、医師を「計画配置」することも止むをえないと強く主張している。経済的な概念ではないと言ってはいるが、「公共財」という本来の医療の性格を無視して議論をしている。

では、公共財としての医療と主張することで、読売新聞編集部は何を言おうとしているのか。医師の専門選択・就業施設選択の自由を奪い去り、公的な組織が、医師配置を決定するべきだ、との主張である。その公的組織とは『都道府県ごとに設置される、行政や基幹病院、医師会などによる「地域医療対策協議会」』だ。その上部には、厚生労働省が居座ることは間違いない。厚生労働省の画策する医療事故調の組織と似た構図だ。これは、官僚が以前から主張し、画策してきたものに他ならない。なんと歪な、官僚の都合だけを考えた主張だろうか。

医師の計画配置と同様な制度として、ドイツの制度を取り上げている。「ドイツでは1993年から、やはり今の日本と同様に、医師の地域による偏在があり、その解消のために地域別に開業医の定員を決め、その定員以上は新規開業ができないという制度を開始しました。」ということだ。この制度の詳細を私は知らないが、計画配置という強制的な医師の地方への配置と、開業の競合を防ぐ定員制度は、全くの別物だろう。こんな詭弁を弄してまで、自らの提言を正当化しようと言うのだろうか。

医療事故調の設置も、官僚案に沿ったもので、業務上過失致死罪等の原則適用除外なども検討課題だとはしつつも、現実的にはこれまで通りという主張のようだ。これで、崩壊している産科の問題を少しでも真面目に考えているのだろうか。

読売新聞医療情報部は、一体何を考えているのだろうか。少なくとも、彼等の視線が、医療の現場に向いていないことだけは確かだ。

ひらがな、和文・・・ 

昨夜だったか、Nathan KO6Uに会ったとき、私のブログを奥様に読んでもらい、翻訳をしてもらったか、尋ねた。Elmerについての文章、確かに彼女に読んでもらった、とのことだった。文章の内容をどのように考えたかではなく、奥様が小生のブログにアクセスされるのかどうかに少し関心があったのだ。彼は、ひらがな・片かなは読め、漢字も多少は分かるらしい。奥様とのやりとりも、最初は日本語が主だったが、最近は英語で行うようになったらしい。日本滞在中に、日本語の勉強をなさったようだ。私の住んでいる場所に関しては、「INAKA」だね~とのコメントであった。父上から、アンプを貸してもらえることになったので、QSKスイッチを取り付けて、QSKで運用してみたいとのことだった。6m高のダイポールであり、インターフェアが少し心配だが、早朝だけアンプを使うとのことなので、大丈夫だろう。

昨夜、少し疲れていながらも、寝る前に少しと思って、7メガをワッチする。7025近辺でバグキーでゆっくりラグチューされる局が入感。和文である。どうやら、和文の愛好者の集いを、福島で行ったこと、今後のその集いの予定などを話しておられた。なかなかIDを打たないで交信を続けておられたので、少しうとうとしながら(笑)耳を傾けた。

一方の方のコールが、JE8***・・・おや、懐かしいコール、Tさんだ。20数年前、北海道にドライブ旅行に出かけた折に、たまたま430MhzのFMでお目にかかり、専門は違うものの、同業であること、CWによく出ておられること等を知り、その後数年間、しょっちゅう和文で話しをさせて頂いた方だった。同じく、京都在住の内科医 Sさん JA3***と、三名、通勤途上、モービル同士で7メガでラウンドテーブルをしたこともあった。さすがに、モービル同士のラウンドテーブルは厳しいものがあったが・・・。

Tさんは、言葉を選びながら、医療の厳しい状況を語っておられ、また小生の仕事にも労わりの言葉をかけてくださった。昔は、車で1時間弱かかる医療機関に通勤なさっていたが、今は、自宅近くの医療機関で仕事をなさっておられるらしい。Tさんは、学会で上京した折、忙しい時間を割いて、当時住んでいた某医大の狭い寮に私を訪ねてくださったこともあった。どんな設備で実際に無線をしているのか、きっと見てみたかったのだろう。

Tさんは、最近はあまり無線をしなくなってしまったらしい。Sさんについても聴かない、とのこと。和文愛好者も世代が交代しているのか、それとも全体としてアクティビティが下がってきているのか。私が米国のハムと交信している様子を聞くこともあるとのことだ。是非、また昔のように声を出して(というか、電信を叩いて)、話しを聞かせていただきたいものだ。私も錆びかけた和文をまた叩こうかな・・・。

竹やりで戦えと言うのか? 

読売新聞は、周産期センターは、いかなる理由があろうとも、転送される妊婦を受け入れる責任があると主張しているようだ。

地方都市の周産期センターでは、原則すべて受け入れているところが多いのは、他に転送すべき医療機関がないためとしながらも、大都市であっても、責任をもって、すべて受け入れろと、読売新聞は主張している。無理をして頑張っていることが当然のことで、そうした無理な医療を行う責任がある、との主張だ。何たる論理の飛躍なのだろう。

そのような無理な受け入れをして、万一不幸な経過をとったら、真っ先にその医療機関と医師を叩くのは、読売新聞なのだろう。

さ、竹やりで戦闘機に無謀な戦いを挑んでいる、地方の周産期センターの先生方、もう頑張るのは止めるべきだ。止めないと、この読売新聞のような精神論でキャパシティを越える医療を無理強いされ、その後待っているのは、医療訴訟だ。


以下、引用~~~

妊婦搬送、大都市ほど拒否…周産期医療センターを全国調査
11月2日3時6分配信 読売新聞

 先月上旬に脳出血で死亡した東京都内の妊婦が、「総合周産期母子医療センター」のある病院など8病院で受け入れを拒否された問題を受け、読売新聞が全国75か所の同センターを対象に調査した結果、搬送の受け入れを「断る場合がある」というセンターが4割弱に上り、特に大都市部で多いことが分かった。

 逆に地方では大半が「原則すべて受け入れる」としている。産科医不足を背景に、土日などに「当直2人体制」が維持できないセンターは5割近くに上った。

 調査は、各センターからの回答や都道府県への取材により、71か所の状況を把握した。妊産婦の受け入れを要請された場合、「断る場合がある」は26か所(約37%)。内訳は、東京都内の全9か所、神奈川、福岡県の各3か所、大阪府と栃木県の各2か所、埼玉、千葉、茨城、群馬、和歌山、広島県と京都府の各1か所。首都圏の1都3県では回答した15か所のうち14か所(約93%)に上った。断る理由で最も多いのは「新生児集中治療室(NICU)の満床」。都市部でハイリスクのお産に対応するNICUが不足している実態が浮き彫りになった。ほかに「医師不足」「手術中」などもあった。

 大都市部では「拒否率」が5割超のセンターも7か所に上った。ただ、「ハイリスクの妊婦を受け入れるため、軽症の妊婦を断っており、適切な転院搬送の結果」(大阪府立母子保健総合医療センター)といったケースも含まれている。

 「原則すべて受け入れ」は45か所(約63%)で、地方都市で県内唯一というセンターが多かった。

 都立墨東病院がいったんは妊婦受け入れを拒んだのは「土曜日で当直医が1人しかいない」との理由だった。調査で土日や夜間に「1人体制」の時があるとしたのは34か所。その多くは規模が小さい地方のセンターで、待機医師の呼び出しで対応していた。「(大都市部と違い)うちが断れば、ほかに受け入れ先がない」(山口県立総合医療センター)といった声が複数あり、地方で当直体制が厳しいにもかかわらず、受け入れ拒否が少ない背景として、責任体制の問題も関係しているとみられる

最終更新:11月2日3時6分

新型インフルエンザ 

鳥インフルエンザの変異等によって、高毒性のインフルエンザウイルスが大流行することが危惧されている。

様々な方策が行政・医療面で練られているが、適切な方策はまだ見出されていない。

私の仕事場のある県の「新型インフルエンザ対策マニュアル」を見て驚いた。新型インフルエンザが流行すると、入院施設のある医療機関に「発熱外来」を設けるらしい。が、それがパンクすると、一般医療機関で新型インフルエンザの対応をすることになっている。「発熱外来」が、どこにどれだけの数作られるのかは明らかにされていないが、新型インフルエンザに対応する入院病床を3000床としているので、恐らく10から20程度の大規模医療機関を想定しているのではないだろうか。それが破綻するだろうことは眼に見えている。

元々、発熱外来という構想自体が、ナンセンスだという批判がある。一人の感染者がいると、11日後には、その感染者から3000名以上の感染が生じるも言われている。患者が発熱を起す頃には、それまでの潜伏期間に多くの感染者を生んでしまうのだ。さらに、発熱外来での感染の拡大も懸念される(下記、ブログ「新型インフルエンザ対策の達人」を参照されたい)。

ただ、決定打の対応方法がないにも拘わらず、行政機関が何らかの対策を打ち出さないといけない、苦しい事情は分かるが、破綻することが眼に見えている「発熱外来」が機能しなくなったら、一般医療機関で対応しろというのは、いい加減すぎる

新型インフルエンザが流行るのは、人ごみ、とりわけ医療機関の中で、ということになるだろう。人ごみを避けること、これからの時期医療機関にかからずに済むように、インフルエンザの予防接種を受けておくこと(この有効性もそれほどは高くないのだが、今のところ唯一のインフルエンザ予防策だ)を、周知させることが大切だろう。マスク・手洗いは、多少の効果はあるかもしれないが、それほど有効とは思えない。うがいは、気持ちの問題程度の効果。

医療に携わる側としても、新型インフルエンザ流行時の対応を真剣に考えておく必要がある。

新型インフルエンザ対策の達人というタイトルのブログが参考になる。こちら

医療崩壊の流れは、すぐ身の回りに・・・ 

私の仕事場の前の通り沿い、3軒ほど北に行ったところに、寿司屋がある。この近辺では、古くからある店だ。60歳前後の店主がご家族とともに仕事をなさっていた。ところが、この数週間、店が閉められたままだった。何か起きたのだろうか、一頃のように寿司を店にやってきて食べる客も少なくなり、店じまいしたのだろうかと、その横を通るたびに考えていた。私も、仕事を始めた頃、いつも夜遅くまで仕事をしていたので、そこで食べさせて頂くことがあったのだが、最近は御無沙汰していた。

今日、午前中の仕事を終え帰ろうと、その店の前を通り過ぎると、開店している。しばらく振りに暖簾をくぐり、御主人に挨拶した。最初は、閉店していた理由を話したがらない様子だったが、しばらくして問わず語りに、事情を話してくれた。

2ヶ月前の週末、吐血を起し、救急車を呼んだのだった。この近辺には、200から300床の中規模の医療機関が4ヶ所あるのだが(その内、市民病院は、医師不足のため病床が半分程度しか稼動していないらしい)、すべて受け入れ不能ということで断られ、車で40分程度かかる、隣町の日赤病院に運ばれたらしい。御本人は、普段かかり付けでなかったから、受け入れてもらえなかったのではないかと仰っていたが、私は、そうではないだろう、消化管出血という重篤な病状で、受け入れが難しかったのではないかと申し上げた。1ヶ月ほど入院し、ようやく仕事を再開なさったらしい。不謹慎な想像だが、この方が万一不幸な経過をとるようなことがあって、それをマスコミが知るようになれば、先日の東京での妊婦の死亡事件と同じように報道されたのかもしれない。

医療崩壊の流れは、じわじわと身近なところに迫ってきていることを感じさせられたことだった。

余談になるが、カウンターで同席した、60歳代と思しき男性が、我々の話に割って入り、「医療崩壊」について持論を開陳された。少しアルコールが入っている様子で、ただご存知のことを並べて話していただけだったが、マスコミの報道振りは信用がならない、しかし、医師の給与が勤務医では・・・開業医では・・・(この数字は、過日テレビが報道していた根拠のない多目の数字(苦笑)だから・・・と、医師が高給であることを言いたげな様子だった。

このように、マスコミの報道はおかしいとは思いつつ、一方で、マスコミの垂れ流す根拠に乏しい情報を丸のまま受け入れている様子だった。マスコミ情報へのリテラシーを、一般市民が得ることは、そう容易くはないのだろうと改めて思った。その方、私が開業医であることを途中で思い出したようで、医師は厳しい訓練を受けているのだから、そうした収入を手に入れるのは当然のことだと付け加えていたが・・・笑。これから、小児科を新規で開業することは経営的に極めて難しくなる状況だし、開業医は言ってみれば独立経営者であり、リスクを背負っていると申し上げたが、理解してはもらえなかっただろう。