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 2009年01月 

マラソンは、走るものにあらず・・・ 

先日、旧知のTommy W6IJに会ったとき、甲状腺腫瘍が偶然見つかり、ニードルバイオプシーでも腫瘍の性格が把握できず、結局、4月下旬に、UCSFで甲状腺半摘除を受けることになったと教えてくれた。良い結果が出ることを祈ると申し上げた。8割かた良性の可能性だそうだ。

そこまでは、至極真面目な会話だったのだが・・・4月下旬までは、釣りとマラソンで楽しむ積りだと彼が言うので、おぉ、走ることを始めたのかと私が勘違い。ところが、彼の言うのは、FOCのマラソンコンテストのことだった。彼は、無線機の前で、大笑いしたとのこと。

そのマラソンコンテスト開催は、今週末。FOCの部内コンテストである。FOCの500名足らずのメンバーが、各バンドで交信するのだ。ナンバーは、FOCのメンバー番号。14メガ以下のバンドしか開けないだろうが、CWバンドは、FOCメンバーで賑わうはず。14メガでGの連中がずらっと聞けるのが通例だったが、今年はどうだろうか。私は、明日午後、上京して室内楽の練習をするため、明日深夜にならないと参加できない。

マラソンコンテストが終わると、空の上では、本格的な春が訪れる。

産科に引き続き婦人科も・・・ 

産科医療は医療訴訟により潰れかかっているが、恐らくそれの余波を受けて、婦人科医療も危機的な状況になりつつあると報じられている。

婦人科医療に続き、救急医療・外科医療等リスクの伴う科目の医療も厳しい状況に陥るのではないかと予測されている。

一生の間に訴訟に遭う産科医師が、全体の1/3を超えると聞いたことがある。これほど訴訟に巻き込まれる可能性の高い科を、自分の専門に選ぶ若い医師が数少なくなることは当然のことだろう。

米国では、産科の医療訴訟があまりに多くなった州で、産科医が殆どいなくなったところがあるとされている。

問題は、こうした医師のメッセージを、国民がどのように受け止めるか、だろう。



以下、引用~~~

女性がん診療ピンチに 医師不足、お産に続く影響 大病院で患者急増 「医療ニッポン」
09/01/28
記事:共同通信社
提供:共同通信社


 大学病院など一部の大規模病院で、子宮がんと卵巣がんの患者の受診が急増し、地域によってはお産に加え、女性のがん診療もピンチになっていることが、日本産科婦人科学会の緊急調査で28日までに分かった。

 学会は、産婦人科医師の不足でお産とともに婦人科診療を取りやめる医療機関が増えた結果、これらのがんの患者が大病院に集中したとみて、さらに詳しく実態を調べる方針。

 患者集中の影響で、手術の待機期間が長くなったり、長距離通院を強いられたりするなど、患者側の不利益も明らかになっているという。

 調査は、同学会などに年間の子宮がん、卵巣がんの患者数を登録している約270病院について、2004年と07年の患者数を比較。うち20病院はこの3年で患者数が1.25倍以上になっていた。

 増加が最も著しかったのは三重大の2.26倍。それに千葉県がんセンター(2.02倍)や東京医科大(1.95倍)、大阪大(1.71倍)などが続く。

 病院調査とは別に、学会が地方部会に、大病院への患者集中について尋ねたところ、宮城、茨城、群馬、三重、熊本、鹿児島の6県が「患者が手術を待つ期間が長くなるなど厳しい状況」などと回答。茨城県では、県北部や中部の医療機関が次々とがん診療をやめたため、100キロ以上離れた南部の筑波大に通う患者もいるという。

 調査した吉川裕之(よしかわ・ひろゆき)筑波大教授は「患者の集中度合いが限界に近い県もある。患者が増えた詳しい原因や実態をさらに詳しく調べ、解決策を探りたい」と話している。

医療を通して、国民の財の収奪を目指す 

財務省は、厚生労働省を矢面に立たせて、医療を財政面から破壊してきた。ここにきて、破壊した医療を再生すると言い出した。毎年2200億円の社会保障費抑制は無理だ等と、よく言えたものだ。医療を正面から議論するのが初めてだというのは、社会保障をいい加減に扱ってきたことを自ら述べているに等しい。

その再生とは、既定路線の混合診療導入であり、医療への株式会社参入だ。目的は、国民の財産を、医療という必要不可欠のシステムを通して、財界に還流させることである。医療は、人が生きてゆくうえで、必ず必要とする社会のインフラストラクチャだ。それを金儲けの道具にしようというのである。

医療の財界による支配、それによる国民財産の収奪を目指すのが、このインタビューに答える元財務官僚の発想だ。

こうした医療が、米国で破綻していることを、この元官僚は知らないはずがない。オリックスの宮内氏といい、こうした官僚といい、国民のための医療という視点は、全くなく、ただあるのは、自らの懐を肥やす意図だけだ。



以下、m3の医療維新から一部引用~~~


財務省が医療を真正面から議論するのは画期的 -財務総合政策研究所研究班メンバー・松田学氏に聞く

今回の議論は時代の要請、「社会保障費2200億円抑制」は限界

2009年1月29日 聞き手・橋本佳子(m3.com編集長)

 昨年12月、財務省の財務総合政策研究所が「持続可能な医療サービスと制度基盤に関する研究会」(座長:同研究所名誉所長の貝塚啓明氏)を立ち上げた。同省が医療に特化した専門的研究班を立ち上げるのは異例のこと。
 研究班の実務の要となる、同研究所客員研究員の松田学氏(現在、財務省から、郵便貯金・簡易生命保険管理機構に出向中)に、現状の医療に対する現状認識や研究班の狙い、今後のスケジュールなどについて聞いた(2009年1月13 日にインタビュー)。



東京大学経済学部卒業。1981年大蔵省入省、財務省本省の課長などを経て、東京医科歯科大学教授に出向後、2008年から財務省より郵貯簡保管理機構の理事として出向。上武大学客員教授。

 ――研究会を立ち上げた経緯からお教えください(研究会の紹介は、こちら)。

 財務総合政策研究所は本省組織の一つで、従来から財政・金融を中心に、毎年テーマを決めて様々な研究を重ねてきました。前回は人口減少時代を迎えて、将来の社会保障制度をどう構築するかを議論しました。

 今回は医療を取り上げたわけですが、財務省が真正面から医療問題について有識者を集めて議論するのは、私が知る限り初めてのことでしょう。

 ――なぜ今回、医療問題を取り上げたのでしょうか。

 社会保障費の伸びを毎年2200億円抑制するのは限界だというのは皆が分かっていることだと思います。かといって、財政再建の旗を下ろすわけにはいかないジレンマがあります。

途中略・・・
 
 役所の事務年度は予算に合わせて7月から翌年6月までです。今年度に入って、貝塚啓明先生を中心に医療問題を取り上げようということになり、私がそれまで医科歯科大にいたことなどもあり、医療システムを幅広く議論する研究会がスタートしました。

 医療費の増額というと、増税、自己負担増、保険料のアップを考えますが、これら3つの選択肢を考えるだけでいいのかという疑問があります。日本の財政状況は大変な状況にあり、必要な財源をすべて税に求めるのは無理でしょう。とても日本経済は耐えられない

 医療については、ほかの懐を作ることが必要であり、その懐は考えようによっては、いくらでも組み立てることができるのではないでしょうか。

 ――国民皆保険の維持については、どうお考えですか。

 私は国民皆保険を維持すべきだと考えていますし、多くの人がその立場だと思います。その前提で、あくまで個人的な見解ですが、一部、民間保険を活用した“二階建て”にしたり、地域住民から寄付や出資金を募って病院を運営したり、医療を産業化して、そこに民間資本を活用するといった発想が必要でしょう。

 ――混合診療を導入するか否かという、二者択一の問題ではないということですか。

 はい提供してくれた人には、バリュー(価値)を提示し、かつ社会的相互扶助につ“民”に蓄積された資産をうまく医療に引き出すながる仕組みにする。医療はコストではなく、バリューを提供するものだという発想の転換です。

途中略・・・
 
 医療制度も、超高齢社会をいかに運営するという基本思想から考える必要があります。会社をリタイアした後にどんな人生を歩むのか、高齢者が活躍する社会をいかに作るか、その中でいかに医療制度を位置づけるかという視点が求められます。

 単に病気の治療だけではなく、元気で健康というバリューを高齢者にいかにデリバリーするか、という視点から考えれば、医療の裾野はもっと広がり、大きな産業として発展する可能性があります。

 こうした可能性を考えつつ、一方で財源面でも、健康というバリューを提供するマーケットを作り、寄付によって満足を得られる地域社会を作る。あらゆるものが様々に関連し、医療の財源を得るという発想が必要です。財務省であるからこそ、既存の制約から離れた議論ができるわけです。財務省は財政を預かるわけですが、こうした議論は最終的には財政健全化にもつながる話です。

 

理解し難い医療訴訟 

医療に関わる民事訴訟には、二つの側面がある。一つは、当事者達の争いを賠償金の有無、その額によって決着をつけることだ。残念ながら、当該ケースの医学的な分析は適切に行なわれないことが多い・・・科学的な議論ではなく、勝ち負けの議論でしかないからだ。

もう一つの側面は、民事訴訟の判決が、その後の医療に大きな影響を及ぼすことだ。最悪の場合、当該医療科目、専門科目の崩壊をもたらす。近年、幾つかの医療訴訟が社会的に注目されたのは、この側面からだったと言っても良い。

この訴訟が提起されたケース。臍帯券絡があり、胎児心音に異常があるとすると、緊急帝王切開の適応になるのだと思うが、入院後1日以上放置されて自然分娩で出生、子に障害が残ったというのが、『原告側の主張』のようだ。この問題が『当時の医療処置に起因することが判明した』のが2006年なのだそうだ。

定期健診で上記異常が指摘され入院になった、ということは、その時点で、原告側は、胎児に異常があることを認識していたはずで、それが子の重たい障害の『原因になった』ことは、出生後それほど時間の経たないうちに分かったはずだ。しかし、原告側にとって『医療処置に起因する』ことが判明したのが2006年とは、不可思議な話だ。

産科の診療録の保存期間は知らないが、一般的に診療録は、診療終了後5年間である。1996年当時の診療録が保存されていないとすると、原告側は何をもとにこの訴訟を維持するのだろうか、また被告側も対応に難渋することが予想される。

マスコミが医療訴訟を報道する際には、最初に述べた二つの側面から、よく訴訟内容を吟味し、少なくとも、提訴の時点で、原告側の主張のみを報道することは慎重であって欲しいものだ。



以下、引用~~~


「出産時放置で三男障害」 岩手県に2億円損賠提訴
09/01/28
記事:共同通信社
提供:共同通信社


 岩手県立病院で出産した際に適切な処置が行われず、三男(12)に重度の障害が残ったとして、県内の両親と三男が27日までに、県に約2億円の損害賠償を求める訴訟を盛岡地裁に起こした。

 訴状によると、母親は1996年2月、同病院で定期検診を受けた際、医師から「胎児の首にへその緒が巻き付いていて心音に異常がある。すぐに帝王切開手術する」と告げられ入院した。しかし約25時間放置されて帝王切開を受けることはなく、自然分娩(ぶんべん)で生まれた三男に重度の知的障害が残った。

 両親側は「へその緒が巻き付いて血流障害が続いて低酸素状態となった。速やかに帝王切開をすれば障害が残ることはなかった」と主張。時効の起算点について、当時の医療処置に起因することが判明した2006年としている。

 県は「訴状の内容を検討し、病院と弁護士に相談して対応を決めたい」と話している。

旧友達 

このところ、朝の14メガが北米に良く開けている。週末、それにウィークディも午前7時頃からしばらく無線機に向かい、何局かと交信してから、仕事に向かったり、その他の予定に取り掛かるようにしてきた。

先週末仕事に出かける直前に、Don W6VTKが、呼んできてくれた。サンフランシスコ近郊Cupertinoに住む旧友。彼は、81歳になっていたが、とても元気そうな信号だ。短点と長点の間が、微妙に空くことのある、少し角張ったような独特の符号。送信ミスも殆どない。その際には、1,2分の短い交信だったのだが、いつも7メガにたむろしていると話すと、あちらの翌朝にその周波数に出てきてくれたのだった。

彼は、記憶力も素晴らしい。私とのこれまでの付き合いについてよく覚えておられた。最初に交信したのは、1980年代後半のことだったと思う。当時、良く話題にしたのが、彼の孫娘のことだった。彼女が先天性心疾患・・・確か、ファロー四徴症だった・・・のために、近くのスタンフォード大学病院で手術を受けるといった話をしたのだった。彼女は、もう21歳になり、南カリフォルニアの大学で勉強をしている、とのことだった。

1992年、私が米国の東海岸に行くときに、サンノゼ空港でしばらくトランジットの時間を過ごさなければならなかったのだが、その際に、空港のロビーにわざわざ会いに、Donが来てくれたことも忘れられない。

1995年に、彼の義母が体調を崩され、彼女の住むノースダコタに車で出かけた。その際に、無線で交信したのが最後の交信だったのではないかと、Donは話された・・・その後、しばらくしてお目にかかった気もするのだが、私の記憶は心もとない。義母そしてモンタナに住む従兄弟も亡くなり、車で遠出をすることもめっきり無くなった、とのことだった。

もう一局、John W5ABとも、14メガで交信した。彼は、もう92、93歳になる。一昨年お目にかかった時には、慢性閉塞性肺疾患で常に酸素を吸入している状況だった。昔と変わらぬキーイングをお聞きするのは嬉しいことだった。数日後には、近くの介護施設に入所することになっている、そこでも無線をする許可をとってあるので、現用のアンテナ(ギャップバーチカルだったか・・・)を建てる積りだとのことだった。短い交信だったが、無事を知ることは何より嬉しいことだ。

もう一方、昔懐かしい共通の知り合いを持つ方とお目にかかった。K6LHU。サンフランシスコのゴールデンゲートと動物園の間に住んでいるとのことだったので、もしかして、Ray WA6IVMをご存知か尋ねた。良く知っていた、Rayとはワンブロック離れているだけの近所だった、とのことだった。Rayは、彼がアンテナを建てるのを手伝ってくれたりしたようだった。太平洋の海岸(砂浜)に面した、長屋のような作りの家に彼を訪ねたことを話した。Ray、Cathyが相次いで亡くなられてから、どれくらい経つことだろう・・・。

というわけで、懐古的な交信ばかりをしている・・・。

老いゆけよ,我と共に! 最善はこれからだ 

昨日朝、救急診療所の仕事にでかける時に、母の面倒を見に来てくれていた姉に呼び止められた。W先生が、若年性アルツハイマー病と診断され、その事実をカミングアウトされたという話だった。彼は、まだ61,2歳であり働き盛りの年齢にある。

『医学界新聞』でその記事を読むことができる。

私が高専から医学部受験を目指していた頃、ある無教会主義の集会で彼と初めてお目にかかった。白皙の好青年だった。彼は、受験のことなどを私にいろいろと教えて下さり、また激励をしてくださった。私のことを、恰も弟に接するように、親しく付き合ってくださったことは、当時自分の精神的な所属が宙ぶらりんであった私にとって、とても嬉しいことだった。彼は、東大の理科二類から医学部への進学というとても競争の厳しい進学過程を無事進まれ、医学の勉強を始められたばかりだった。目黒にある今井館という小さいが静謐な場所で一緒に読書会に参加させて頂いたり、彼の婚約式に出席させて頂いたりしたことが、昨日のことのように想い起こされる。

その後、彼は基礎研究を行いつつ臨床の研鑽も詰まれ、台湾等東南アジアを含め、世界各国にJOCS等から派遣され、現地での医療協力をなさったこられた。1999年には、母校の教授に招聘され、これから充実した人生の総仕上げの時期を過ごされるものと期待して眺めていた。が、その3,4年後に上記の病気に冒されたとのことだった。

医師として、どれほどの葛藤があったことだろうか。彼のキリスト教信仰に裏打ちされ、与えられた能力をフルに発揮して走りぬけてこれたこれまでの人生を思うと、この事態に、何故という問いを抱いたであろうことは想像に難くない。沖縄でしばらく療養し、さらにアリセプトともう一つの新薬を併用して、小康状態を保っておられる様子だ。カミングアウトされた対談に掲載された彼の写真は、とても穏やかな表情の彼であった。

その対談の冒頭に記された、ブラウニングの言葉が、こころに迫る。奥様ともども、平安な年を重ねていただきたいものと切に願っている。

「老いゆけよ,我と共に! 最善はこれからだ。人生の最後,そのために最初も造られたのだ。我らの時は聖手の中にあり。神言い給う。全てを私が計画した。青年はただその半ばを示すのみ。神に委ねよ。全てを見よ。しかして恐れるな!」

ロバート・ブラウニング作「ラビ・ベン・エズラ」より

官僚の責任逃れ 

官僚の天下り先の一つ、日本医療機能評価機構が、先ごろ、産科医療補償制度を始めた。その制度は、医療機関の負担する保険料の半分が、同機構と保険会社の懐に収まるトンでもない制度であることを何度か記してきた。

この制度を医療全般に拡大しようという動きがあることも何度か目にした。

臨床研究に際しての無過失事故に対して、患者に補償することを医師に義務付ける指針が、厚生労働省から出されたらしい。上記の動きと頚城を一にするものだろう。

ところが、抗がん剤等副作用の必ず起きる薬の臨床研究に対しては、保険会社がビジネスにならないとして、保険給付の対象から外すと言っているらしい。

下記のMRICで配信された東大上准教授の発言にあるように、こうした臨床研究に伴う無過失事故・副作用等の患者救済は、国が担うべきことだ。それを医療現場、医師に押し付けるのは、官僚の責任回避以外の何者でもない。

またしても、官僚が、医療を破壊している。こうした事態に対して、国民が異を唱えなければ、事態はどんどん悪化するばかりだろう。


以下、MRICより引用~~~


■□ 国内での臨床研究が事実上不可能に □■
~がん難民時代~

東京大学医科学研究所
先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携研究部門
准教授 上 昌広

■「高度医療」制度は事実上、実行不可能

骨髄移植を待っている患者さんがこの3月頃から移植を受けられなくなる可能性があることが、先般、明らかとなった。必要なキットの不足が確定的という。国内未承認のキットを輸入して使用する道もあるにはあるが、600~900万円程度の医療費が患者負担となり、事実上、骨髄移植は手の届かないものとなる。そこで全国骨髄バンク推進連絡協議会(会長:大谷貴子氏)が、厚労省に迅速な対応を求めるための署名活動を行っている。

※電子署名はこちら
http://spreadsheets.google.com/viewform?key=pqieimcJLRy0uIomKE4-eZw

いっぽうの厚労省は、「高度医療」という制度(http://www.mhlw.go.jp/topics/2008/04/dl/tp0402-1a.pdf)をこの国内未承認のキットに適用し、手続き的なことを含め医師にあたらせることを考えている
という。ところが問題は、「高度医療」制度そのものが様々な問題を内包し、事実上、実行不可能な面が多いことである。すなわち残念ながら、「高度医療」制度を適用しても患者さんが骨髄移植を受けられる解決策とはならない。

以下、「高度医療」を事実上、運用不可能にする要因のひとつ、厚労省の「臨床研究に関する倫理指針」に着目してみたい。


■厚生労働省が「臨床研究に関する倫理指針」を改定

平成20年7月31日に改定された「臨床研究に関する倫理指針」(以下「本指針」という)が本年4月1日より施行される(http://www.mhlw.go.jp/general/seido/kousei/i-kenkyu/rinsyo/dl/shishin.pdf)。

今回の改訂で注目すべきは、被験者保護の規定が新設されたことである。その理念自体は肯定されるべきではあるが、方法を誤れば、わが国の医療に壊滅的な打撃を与えかねない。実際、本改訂により、将来の国内のがん治療に大きな影響を与える条項が含まれることとなったので、以下に紹介する。


■臨床研究による健康被害に対し医師個人が無過失賠償責任を負うことに

本指針の「第2研究者等の責務等1研究者等の責務等(4)(以下「本条項」という)」では、「研究者等は、第1の3(1)1に規定する研究(体外診断を目的とした研究を除く。)を実施する場合には、あらかじめ、当該臨床研究の実施に伴い被験者に生じた健康被害の補償のために、保険その他の必要な措置を講じておかなければならない。」と規定されている。なおここで、「第1の3(1)1に規定する研究」とは「介入を伴う研究であって、医薬品又は医療機器を用いた予防、診断又は治療方法に関するもの」を指し、「その他の必要な措置」とは、「例えば、健康被害に対する医療の提供及びその他の物又はサービスの提供」のことである。

条文のままではわかりづらいが、要するにこの条項は、医師個人に、臨床研究の実施に伴い被験者に生じた健康被害に対し、

●無過失賠償責任を負うことを前提に、本指針に伴い民間保険会社により新設される予定の無過失賠償保険等に加入することを義務付けることないし、

●健康被害に対し医療の提供を行ったり、財物やサービスの提供をするなど履行の方法を例示して、無過失賠償責任を負わせることを規定している。

ちなみに、本指針「第4インフォームド・コンセント1(1)」には「・・・臨床研究に伴う補償の有無・・・十分な説明を行わなければならない。」とあるが、上記のように「研究者等の責務」として無過失賠償義務を規定している以上、補償が無い場合は想定できず、無意味な記載である。

また、同じく「第4インフォームド・コンセント1(3)」の細則に但書として「研究者等に故意・過失がない場合には、研究者等は必ずしも金銭的な補償を行う義務が生ずるものではない」と示されており、医師は原則として無過失賠償責任を負うものの、例外的に負わない場合がありうる旨が記載されているが、それが本来あるべき医師の責務の編に無く、何ゆえインフォームド・コンセントの編にあるかは不明である。さらに言えば、例外的に負わないのはどのような場合かがまったく不明である上に、そもそも本則と相反する規定を細則で定めるという、矛盾を含んだ指針となっている

そうしてみると結局、本条項の意味するところは、臨床研究によって被験者に生じた健康被害について無過失賠償責任を医師等に負わせること、また、その支払いを確実にさせるために、新設される予定の無過失賠償保険等に加入する義務を医師に負わせること、というように言い換えられる。


■厚労省医系技官が医師個人へ責任転嫁

本条項が被験者保護の理念にもとづくものであり、この理念が重要であることについて異論はまず出ないであろう。しかし問題は、これを医師個人の責任とすべきなのか、そもそも国として責任をもって取り組むべきことなのか、という出発点の議論がすっぽり抜け落ちていることである。「医師の過失責任を追及する民事訴訟とは異なる発想から患者の健康被害を救済しよう」という理念は、医療政策の一環として、まさに国が実現すべき施策であるとは考えられないだろうか。厚労省医政局研究開発振興課の医系技官が、このような政策立案に正面から取り組むことなく、はなから医師個人の責任であるとして議論を進めたのは、なぜなのだろうか。

本指針の改正に向けて厚労省の作業が開始されたのは、2007年6月である(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/08/dl/s0817-7b.pdf)。厚労省はこれまでも多くの国家賠償訴訟に悩まされ続けてきたが、2006年、2007年といえば、ちょうど薬害肝炎訴訟の結審が各地の地裁・高裁で立て続けに出されていた時期だ。

被験者保護という国民本位の発想というよりは、国家賠償訴訟を恐れ、官僚の責任回避を第一とする思惑が見え隠れしないだろうか


■損害賠償額の高騰化

仮に、医師に過失がなくても賠償責任を負うとした場合について考えてみよう。

昨今、裁判において認容される損害賠償額が高騰化し、訴訟数は増加の一途をたどっている。特に死亡事例や障害等級の高い事例では1億円を超える判決が多く見られるようになった。(実際、それにより日本でも医賠責(医師賠償責任保険)は破綻寸前、あるいは実質的に破綻しているといってよく、医師が医療を続けられなくなる医療崩壊もすでに現実的とする識者もいる。)

ここで、重度の障害が発生した場合には、いわゆる積極損害に当たる入院費用(ほとんどの場合、入院費用は数百万円以内には納まる)については、金銭に代えて現物給付として医師自らが診療をすることで代替できるが、その後の障害に対する介護費用や逸失利益については、金銭をもって支払うより外ない。また死亡事例においては、現物給付の余地はないので全額が医師負担となる。

となると、医師にそのような資力があることは稀であるから、保険への加入が必要不可欠となる。


■新設予定の「臨床研究補償保険」の穴

しかし、本指針作成のために行われた平成20年7月10日の科学技術部会「臨床研究の倫理指針に関する専門委員会」において、特別ゲストとして参加した東京海上日動火災および損害保険ジャパンの両社ともに、「リスクの高い抗がん剤、免疫抑制剤等は保険対象外」との意見を述べた。

東京海上日動火災:「抗がん剤についてはご指摘に近いような、引受けが困難な状況は考えられるのではないかと思っています」

損害保険ジャパン:「基本的なスタンスとしては、抗がん剤は持たない方向で検討したいと思っています」

第6回議事録(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/02/txt/s0213-2.txt)
第6回議事資料(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/02/s0213-6.html)

抗がん剤治療においては、軽度のものも含めれば、ほぼ100%の患者に何らかの副作用が発生する。このような高頻度の健康被害に対する保険は、ビジネスとして成立しないということは、容易に理解できよう。

したがって、この時点で本条項は医療現場に不可能を課す条項となったのである。であれば当然、削除しなければならなかったにもかかわらず、厚労省は、上記専門委員会から3週間後の7月31日に告示された「臨床研究に関する倫理指針」において、本無過失補償条項を強行に採択した。

そして予定通り、東京海上日動火災や損保ジャパン、三井住友海上など大手損保各社は、新設する「臨床研究の補償保険」において、抗がん剤を保険対象外とする見込みとなっている(日刊薬業2009/01/20)。


■がん治療に対する臨床研究は事実上不可能に ~がん難民時代~

本指針はあくまで厚労省の「指針」であって、厳密な意味での法的拘束力は有しない。しかし実際には、研究費等を“てこ”に事実上の強制力を持つこととなり、結果として厚労省医系技官の更なる権限強化に与するものである。また、医師が無過失賠償責任条項を含んだ臨床研究契約を個々の被験者と締結した場合には、当然に法的拘束力を生ずることとなる。何より、医師が行う臨床研究は、製薬会社が新薬開発を目的として行う治験とは異なり、それを行うことで収益を生ずるものではない。にもかかわらず医師に過度な金銭的負担を負わせるというのは、事実上の禁止を言い渡しているのと同じである。

厚労省が医療についての監督・責任官庁であらんとするならば、山のような書類と責任を現場へ押し付けて自己保身ばかりするのではなく、現場に活気を与え、「何かあったら責任は厚労省が引き受ける」という気概を見せなければ、現場との溝は深まるばかりである。

■まとめ

以上、本年4月1日の「臨床研究に関する倫理指針」の施行により、国内での抗がん剤の臨床研究が困難となることは明らかである。冒頭に紹介した骨髄移植についても、「高度医療」制度による患者救済は、もとより見込めないといえる。日本のがん治療は世界から大きく遅れ、日本のがん患者が適切な治療を受ける機会を奪われることとなるだろう。

オリックスは、甘い汁を吸い続ける 

高知県立病院と市立病院を合併し、高知医療センターを作った。地方自治体が、建設と医療事業を受け持ち、医療以外の事業を、オリックスが担当した。小泉構造「改革」で規制改革会議の前身の諮問会議を動かしていた、宮内氏が、オリックスの経営者であることは繰り返し述べた。このシステムをPFIという。PFIについても、以前に当ブログで取り上げた。

経済財政諮問会議・規制改革会議の面々にすれば、医療の官の部分を民に移行させ、効率化を図るとても素晴らしい制度ということになる。

ところが、高知医療センターの経営は赤字続きで破綻寸前の状態になっている。そこで、地方自治体の長達は、オリックスに値引き交渉に出かけたが、体よく断られた・・・というのが、下記のニュースだ。

オリックスに医療以外の事業を丸投げする、それも30年契約という長い契約期間。オリックスは、医療機関の経営が上手くいかないからと言って、この事業で得られる利益を手放すはずがない。もし契約破棄となれば、オリックスは膨大な違約金を地方自治体からせしめる積りなのだろう。

こうした結果になることは、中央・地方の政治家・官僚それに財界人は分かっていたのだろう。財界から、政官への何らかのキックバックもあったのではないか。結局は税金で尻拭いをすればよいと、登場人物たち全員が考えているのだろう。

小泉構造「改革」を推進した面々の考えていたことは、このような内容なのだとしか考えられない。

で、問題は、この地方の潰れかかった一医療機関には留まらない。小泉構造「改革」論者、それに付く政治家・官僚は、医療保険を民営化することを目指している。医療費は、膨大な額に膨れ上がり、その大部分を、財界が吸い上げるシステムになるはずだ。膨れ上がった医療費を支払わせられるのは、国民だ。

この高知医療センターの迷走は、そうなると予想させるに十分な事例なのではないだろうか。


以下、引用~~~

高知医療センター赤字、オリックス本社へ経費削減など要請 県知事と市長
09/01/21
記事:毎日新聞社
提供:毎日新聞社

高知医療センター:赤字、オリックス本社へ経費削減など要請  /高知

 ◇知事と高知市長

 高知医療センター(高知市池)の経営問題で、尾崎正直知事と岡崎誠也・高知市長は20日、オリックス本社(東京都港区)を訪れ、医療行為以外の業務を受託している特定目的会社(SPC)「高知医療ピーエフアイ」主要株主のオリックス不動産の幹部に、経費削減などへの協力を要請した。【服部陽】

 知事と市長はセンターの運営主体、県・高知市病院企業団の構成自治体のトップとしてオリックス不動産の西名弘明会長(前SPC社長)と面談した。県によると、西名会長は「協力は難しい」との趣旨の回答をしたが、引き続き企業団とSPCで検討していくことを確認したという。

 センターは、医業収益が当初の見込みに届かない一方、薬品などの材料費が抑制できない状態で、今年度末に約7億6000万円の資金ショートに陥る見込み。赤字続きの病院経営に対し、企業団は2011年度までに収支を黒字化する方針を示し、8億6000万円の費用削減を見込んでいる。

 このうち、企業団は材料費や委託料で6億円の削減をSPCに要請したが、SPC側は先月、PFI事業は単年度ではなく、事業期間(30年間)全体で効果を算定するものと位置付け、経費削減に「応ずることはできない」などと回答していた。【服部陽】

ボケた自治体のボケた医師不足対策を、ボケたマスコミが報道すると・・・ 

福島県立大野病院事件は、県の病院局が作らせた事故報告書が、きっかけで起きた。県の官僚が、大野病院の無実の医師を逮捕させたのだ。それを何ら反省せずに、福島県当局は、医師集めに無い知恵を絞っているかのように見える。

昨年、福島県は『医師バンク』とやらを立ち上げたのに、応募した医師は、立ち上げ後数ヶ月して1人だけ。その後、一体どうなったのやら・・・。

そこで、民間医療機関の医師を公立病院に派遣するという『素晴らしい』妙案を、福島県当局者は考え付いたらしい。

一体だれが、どのような権限で民間病院の医師を公立病院に派遣するというのだろうか。自ら破壊した産科医療を福島県で担う医師等、民間に余っているはずがないだろうに。

さらに、たとえ派遣できることになったとして、厚生労働省の派遣システムのようにはいかない。即ち、受け入れ先が、人件費を払うのは難しい・・・金銭などの穴埋めを最小限にできるようにする・・・即ち、受け入れ先が人件費をケチっても良しという制度にするという風にしか読めないのだが。私の読み方の間違いなのだろうか。自ら管理する公的病院に医師を、民間病院から派遣してもらうのに、その医師の人件費支出は抑えたい、という発想である。

この手前勝手で滅茶苦茶な福島県の計画を報道する、かの読売新聞も滅茶苦茶である。

県内の人口10万人あたりの医師数(2006年)は3663人。人口換算すれば、全国平均より医師が600人不足している。』このようなデータがおかしいことは、素人にも明白。県によると、とされているので、県がトンでもデータを持ち出したのかもしれないが、それをそのまま報道する記者は、頭脳を持ち合わせていないらしい。または、このようなトンでもデータを記者が持ち出したのだとしたら、正気かと怒鳴りつけてやりたい。

この新聞社は、医師を全国に強制配置するという憲法違反の滅茶苦茶を主張していた。その主張は、この杜撰な記者の親玉が書いたのだろう。医師の強制配置論も、この報道と同じレベルの主張だ。

読売新聞よ、貴社の記者には医療を論じ、報じる資格は、これっぽっちもない。


以下、杜撰新聞社記事から引用~~~

(福島)民間の医師、公立に派遣
09/01/20
記事:読売新聞
提供:読売新聞


緊急確保策、県が素案

 県は19日、緊急の医師確保策として、民間病院から公立病院への医師派遣などを盛り込んだ「緊急医師確保対策プログラム」の素案を県地域医療対策協議会で示した。県立医大などでの医師養成を待っていられないとして、素案をたたき台に具体策の議論を始める。厚生労働省によると、同様の医師派遣は岡山県で行われているものの、全国的には珍しい。

 素案によると、これまで県立医大などがへき地を含めた医療機関へ行っていた医師派遣ネットワークの派遣元に、開業医を含めた民間病院を加える。診療科は、医師不足が顕著な救急や産婦人科などについて重点的に検討していく。

 県によると県内の人口10万人あたりの医師数(2006年)は3663人。人口換算すれば、全国平均より医師が600人不足している。特に産婦人科は深刻で、2008年には県立南会津病院で2人の医師が退職し、同科は一時休診となった。

 医師が足りない医療機関へ緊急的に半年間、民間病院から医師を派遣するシステムは、厚生労働省が07年に始めている。しかし、〈1〉医師派遣に伴う費用は受け入れ側が支払う〈2〉半年後の医師確保の見通しが必要--など受け入れ側の負担が大きく、県内で利用できる医療機関がなかった。 

 県はこのため、「金銭などの穴埋めを最小限にできるよう緩やかな条件を考えていきたい」とし、人材面を中心に何らかの対策ができないか検討する。ただ、民間病院のなかには、県立医大からの派遣を受けて診療体制がようやく確保できるところも少なくなく、委員からは「民間も自分の病院を守るので精いっぱい」と実効性に疑問の声も上がり、課題も多そうだ

 素案ではこのほか、医学生が研修先の病院を自由に選べる臨床研修で、複数の医療機関が共同の研修プログラムを行うことや、助産師が中心となって出産を介助する「院内助産所」の設置を促すため、助産師に対する研修を支援することも示された。




 

FredとNora 

7メガの常連、ミズーリ州に住むFred K5FAは、60歳前後だったと思うが、独身で、自分の仕事(家具商)、家庭菜園(というには立派過ぎる果樹園)と無線を楽しんでいる。彼のことは以前にも、このブログで紹介したような気がする。彼の友人、Vic W9RGBに言わせると、彼は、南部の良質のユーモアを口にする愛すべき人物ということになる。

驚くのは、彼にとって、家族がとても大切な存在であることだ。ことあるごとに、皆で集まり、楽しい時間を過ごす様子だ。無線をしている兄弟が、確か二人いる。お一人は内科医と伺っている。そうした彼の家族のお一人が、伯母のNoraだ。彼女は、80歳代半ばだ。

Noraは、とても気丈な方のようでやはり一人で過ごしてきたのだが、昨年、どのような事情か、養老院に入らざるを得なくなったようだ。しかし、2月になったら、また彼女が自宅に戻るのだとFredが報告してくれた。一時帰宅なのかと尋ねると、いや、これからずっとだ、とFredは答えた。Noraは、自宅で過ごすことを強く希望しており、近くに住む、Fredが定期的に様子を見て、さらにヘルパーの看護師に面倒を見てもらうことで、自宅に帰ることに決まったらしい。Noraは、それをとても喜び、Fredが会いに行くと、その手順についていろいろと話すらしい。

Noraをしょっちゅう尋ねていたFredのこと、きっとNoraの自宅での生活はまた順調に行くことだろう。それを切に祈りたいものだ。

このようなケースは、稀な幸運なケースのようにも思えるが、家族同士が支えあっているという話を、米国の友人から、日常のこととして、良く聴く。以前私の抱いていた米国人のイメージでは、親子関係もとてもドライで、成長して家庭を出たら、もう関係は殆どなくなるというものをだったが、この数年間、このFredとNoraの関係を始め、いろいろなケースを耳にして、家族の絆の強さに驚かされる。また、それを可能にさせる精神的かつ社会的なバックグラウンドがあるのではないか。

米国でも、様々な家族があり、こうした幸福な家族ばかりではないことは良く承知している。が、日本の家族関係が全体として希薄化しつつあることを考えると、米国の幸福な家族関係を耳にするにつけ、ため息がでる。日本では、老いた親の面倒を見る、生活上の余裕と、エートスが失われつつあるように思える。

日本の医療・介護制度は、「在宅」を前提として作り上げられてきているが、元々前提が成立していないのだ。こうした制度設計をした方々は、在宅の前提が成立しえない人々は生きてゆかなくて良い、そうした場所は限界集落としてやがて消滅すべきだと考えているのだろうか。また、競争と自己責任だけを強調した経済学者と政治家は、この状況においても、自己責任で生き抜けと言うのだろうか。地方の疲弊は、政治だけの問題ではないが、この数年間、政治が、地方と、そこに住む人々を自分のことだけで精一杯となるように追い込んできたのではないのだろうか。

Ken VK6ZO 

先日、弱い信号のKen VK6ZOに7メガで呼ばれた。Perthに住む83歳のOT。踊るようなバグキーをたくみに捌く方だ。

さぞかし長いハム暦だろうと思って、何時頃から無線をしているのか尋ねた。驚いたことに、まだ13年間だけだそうだ。70歳の手習い?いや、まさかである。バグキーを恰も会話をするかのようにスムースに使いこなしておられる。

無線を始めた動機を伺った。彼は、元々有線電信のオペレーターで、若い頃からCWの仕事をしてきたらしい。そのテレグラフィスト時代のVK2に住む友人から無線に誘われたので、免許を取ったとのことだった。残念ながら、その友人は既に亡くなってしまったとのことだった。

そのバグキーは、有線電信時代から用いていたものらしい。彼のオペレーションは特徴的で、センテンス一つ二つですぐ、相手に「返して」しまうのだ。恰も、会話をしているような様子だ。有線電信時代に暇な時間にラグチューをしていたのか尋ねたら、そうとも、オーストラリア全土の有線電信のオペレーターとお喋りしたものだ、とのことだった。

彼のキーイング、オペレーションを聴くと、CWが一つのartであるという、ややCW愛好家のナルシズム的主張にも、多少の根拠があるのかもしれないと思うようになる。

その数日後、John 9V1VVに14メガでお目にかかり、Kenのことを話すと、興味を示してくださった。確かに、Johnにも、この老CWオペレーターと同じ血が流れているような気がするのだ・・・私にも、少し薄められているかもしれないが、同じ血が流れているのかもしれない・・・。

民主党衆議院選挙候補者現る 

今日、民主党の衆議院選挙立候補予定者が、仕事中の私を訪ねて来た。患者さんが切れたところで立ち話。

彼が、医師に挨拶回りしているのは、当県の医師会が、日本医師会の意向に反して、民主党支持を打ち出したからだろう。彼の演説会に出かけたときに、参加者として記帳をしたために拙院に立ち寄ったのかもしれない。

彼は一言挨拶をしただけで立ち去りたそうにしていたが、まぁまぁと言って引き止め、私の要望を申し上げておいた。

○過日の、彼の演説会の内容では、医療崩壊の現状を理解していると言い難い。彼の専門は、農業政策らしいので無理からぬことだが、現状をよく勉強し理解してもらいたい。

○民主党の医療政策は、一枚岩とは言えない。統一した医療政策を提示してもらいたい。

○某参議院銀は、勤務医と開業医を並列にして論じ、勤務医の窮状を救うために、開業医の労働条件を低下させると主張しているが、勤務医・開業医を並列に論じるのは誤りだ。

○官僚支配の構造を打破する政策をしっかり打ち出してもらいたい(彼は、元キャリアー官僚・・・)。

このようなことを、率直に申し上げた。彼は、低姿勢に聴いていたが、はてどこまで受け止めてくれたのやら・・・。

今週末に、上記の某議員(某大学医学部の准教授だった方)と共に、近くで演説会をするらしいので、出かけてみようかと思っている。選挙前は、選挙民は神様、選挙が終われば、単なる納税者というだけでは困る。

国保、実質破綻 

国民健康保険の滞納世帯が、20%を超えた。453万世帯。その人口は1千万を超えることだろう。

国保には、収入のない無職の方や、高齢者が多く加入している。従って、このような状況になるのは、当然のことなのだ。

一方、公務員は、共済に加入している。年金にしろ、健康保険にしろ、彼等は、特別扱いである。昨年、公務員の定期昇給は行なわれなかったが、一日15分間の労働時間短縮が行なわれた。一日労働時間が8時間とすると、これは3%の定期昇給に相当する

また、国会議員も保険・年金の上で、特別扱いを受けている。

こうした人々が制度設計を行ない、運用する、保険・年金制度が、破綻しているのだ。制度設計・運用者には痛みが及ばない。

医療社会福祉の格差はもう既に始まっている。



以下、サンケイのウェブサイトより引用~~~

保険料滞納は453万世帯、過去最悪の20%超 国民健康保険 
2009.1.16 19:02

このニュースのトピックス:景気

 厚生労働省は16日、自営業者らが加入する国民健康保険で、全加入世帯に占める保険料(税)の滞納世帯が453万世帯に上ったと発表した。加入世帯に占める割合は平成20年6月1日時点で20・9%に上り、統計が残る10年以降で過去最悪となった。

 保険料を1カ月でも滞納した世帯数は14年以降、400万台で推移した。ただし、19年以前はその年の3月31日時点での統計。20年は、4月に75歳以上が後期高齢者医療制度へ移行したため前年比22万減の453万世帯となったが、若年層の滞納世帯が大量に残った格好だ。保険料を滞納した場合に交付される数カ月間有効の「短期保険証」も20年は過去最高の124万世帯に交付された。

 厚労省は、「無所得や低収入の加入者が増え、年々上昇する保険料を支払う余裕がなくなっている」と分析。21年以降は景気後退の影響で、さらに状況が悪化する可能性が高い。

 一方、厚労省は19年度の国保全体の財政状況(速報値)も公表。市町村の一般会計からの赤字補(ほ)填(てん)分を除いた実質赤字は3787億円(前年度比445億円増)で、2年ぶりに増加へ転じた。

インフルエンザについて 

A型インフルエンザの流行が本格化してきた。今夕、帰ろうとしたら、A型インフルエンザの確定診断を今日日中つけた幼児が、痙攣を起したと、連絡が入った。抗ウイルス薬タミフルを投与した(親御さんの希望で)症例で、二回同薬を投与したが解熱していない。幸いなことに、脳炎や脳症の所見はなし。単純型熱性痙攣との診断で、痙攣止めの座薬を投与して帰宅させた。

このシーズン、流行しているAソ連型インフルエンザは、殆どタミフルに耐性を示すと報道されている(下記)。このケースも、Aソ連型に侵されているのかもしれない。タミフルの副作用としての痙攣も否定は出来ず、もう一度タミフルを投与しても解熱・改善が認められなければ、投与を中止するように話した。

インフルエンザの一番の対策は、流行している地域で人ごみの中に出かけないこと。それに、予防接種をすることだ。ネット上等で、予防接種の有効性に疑問を投げかける議論もあるが、流行株と予防接種株が一致する場合,有効性は、70から90%ある。昨年は、残念ながら一致が不十分だったらしく、有効性が40%程度だったが、今年はマッチしていると報じられている。健康小児、成人の場合は、予防接種を積極的に受ける意味は、ハイリスクの疾患をかかえる方や高齢者に較べると小さいが、現行の不活化ワクチンでも十分な効果が期待できる。


以下、引用~~~

Aソ連型の97%がタミフル耐性=今冬流行の3分の1-日本へ本格上陸・厚労省
1月16日16時36分配信 時事通信


 厚生労働省は16日、今冬流行しているインフルエンザウイルスを国立感染症研究所が調べた結果、11都道府県で採取したAソ連型ウイルス(H1N1)35株のうち34株(97%)が、治療薬タミフルに耐性を持つウイルスだったと発表した。流行している3種類のウイルスのうちAソ連型の患者は今冬2番目に多く、全体の約3分の1という。

 ワクチンは有効と推測されるが、これらの患者にタミフルを投与しても、十分な効果が期待できない可能性が出てきた。

 昨シーズンに日本国内で流行したウイルスの調査では、Aソ連型のうちタミフル耐性だったのは2.6%にすぎず、欧米などで既に高い割合で見つかっている耐性ウイルスが日本に本格的に上陸したことが裏付けられた。

 同省は「検査したウイルス株数は限られており、引き続き発生動向を注視したい」としている。

 感染研は全国の地方衛生研究所を通じ、インフルエンザの流行状況を観測している全国約4700の定点医療機関の約1割を対象に、患者から検体を採取。届いた検体を調べ、8日現在でまとめた。 


「医師偏在の背景因子に関する調査研究」のためのアンケート 

三重大学の地域医療学講座から、アンケートが送られてきた。武田裕子教授。

「医師偏在の背景因子に関する調査研究」のためのアンケートである。文科省科研費を受けているらしい。

子どもの時期に一番身近に感じていた都市の規模・・・別に、親に育てられていたので、どこか特定のところで生活したことが一番身近に感じたなどということはない・・・。現在の診療科を選んだ理由・動機・・・はなはだ複合的であり、また人生の流れのなかで説明しなくちゃならない。仕事をするために、現在の地域を選んだ理由・・・そんな積極的な理由はない・・・偶然の積み重ねによるところが多い。

私の人生を、回答所要時間8分のアンケートにダイジェストせよというのか。択一式の回答に収めろというのか。

そして、医師の偏在を解くための根拠をこのアンケートから求め、行政による医師の「合理的な」配置を進めるのか。

コメント欄には、現状の医療制度下では、僻地医療等には決して赴かない(赴けない)と記そう。そして、このアンケート結果を、行政が医師の強制配置に利用するとしたら、決して許されぬことだと記そう。

~~~

実際のコメント・・・

三重大学地域医療学講座

武田裕子教授殿

アンケートを返送申し上げます。

医師の偏在があるとしたら、それは複合的な要因によります。特に、過去の医療政策の失敗、さらには国のあり方そのものの問題が深く関わります。くれぐれも、医師の個人的な生き方の問題に限局なさらないことを希望します。

また、進路の決定に際しては、複雑な要因が関係します。自分の意図を超えたことがらも決定的な重要性を持ちます。それを簡単な択一式の回答で記すのは困難です。こうしたアンケートの意味がどれだけあるのか、極めて疑問に感じます。

現在、医師の偏在は、いわば医師の我侭による、だから、行政による、医師の強制的な配置を進めるという方向で、行政・マスコミが議論を進めています。それが実現すると、医療崩壊はさらに進むことになります。この研究が、そうした行政の意図に加担することになるとしたら、医療行政の研究としては大きな汚点を残すことになります。

ますますの研鑽を祈り上げます。

2009年1月15日



開業しても勉強を・・・ 

普段、一般小児科の自分の診療所で仕事をしていて、病院や大学で学んだり経験したことのなかったことを時々経験する。

その一つに、喉の痛みを訴える患者さんの多くが、喉自体に病変を認めず、鼻腔に病変を認めることがある。

元来、小児科医として教育を受けた時に、口腔・咽頭を舌圧子を用いて観察することは教えられたが、鼻腔をルーティーンに観ることはなかった。最近の教育では変わってきているのだろうか。

臨床的に、口腔・咽頭の観察は大切だと思うが、それに劣らず大切なのが、気道の一部である鼻腔・鼻粘膜の観察だ。上記の咽頭痛の際に、鼻粘膜の腫脹と、鼻汁による鼻閉塞の所見が認められることがとても多い。咽頭には殆ど異常所見がないのに拘わらずだ。

咽頭痛と、鼻腔病変の関連の本態は、正直なところ分からない。咽頭の粘膜に、外見上殆ど異常所見がないことから、鼻粘膜と同じ病変が、咽頭にも起きているという可能性は少ない。考えられることは、往々にして鼻閉により口呼吸をするので、咽頭粘膜が乾燥し障害されるためなのか、後鼻漏によって、咽頭粘膜が障害されるのか。または、それ以外の、知覚神経を介した機序でもあるのか・・・。

いずれにせよ、喉が痛むと訴える患者さんの場合、咽頭所見だけでなく、鼻腔を観察することが必須だと、私は考えている。

これ以外にも、開業してから得られた興味ある知見が色々とあるのだが、文献の検索は、Pub Medで行う程度で、徹底してはできない。また、本質に迫るための臨床的な検査や、実験を行うわけにはいかない。大学にいた頃に、臨床を注意深く行っていなかったなと反省することしきりだ。開業してから「発見」したことを大切にしながら、文献の検索などを出来る範囲で十分行い、より良い診療を行いたいと思っている。

毎日新聞が、奈良の・・・ 

年末年始の医療の状況を報告している・・・毎日が、奈良を報じる・・・


以下、引用~~~

鹿笛:大和高田市立病院(砂川晶生院長)は年末年始の… /奈良

 大和高田市立病院(砂川晶生院長)は年末年始の9日間、日直にあたる医師や看護師などを増やすなど、救急医療体制を強化し、在宅療養患者の入院・治療を積極的に受け入れた

 初の試みで注目された。病院によると、外来患者は例年より1・5倍の計約1000人が来院。在宅療養患者は13人が入院した。内科医が毎日、日直したため気軽に患者が診察に訪れたとみられる。

 在宅療養患者の家族らは、「安心して数年ぶりに旅行ができた」と喜んだという。担当医や副看護局長は「疲労感はあったが、やって良かった。今後もできるか検討したい」と、充実感に満ちていた。(山本)

毎日新聞 2009年1月14日 地方版

医療事故調大綱を宣伝するシンポ 

過日、近くの都市で、上記のシンポジウムが開かれると通知が来た。主催は、県だったろうか、行政だ。共催の団体に『医療の良心をまもる会』が加わっている。この会は、良心的な医療人を守るというスローガンを掲げているが、内実は、医療訴訟を提訴するのに熱心な方々が主要メンバーになっている。

中央省庁の官僚は、こうしたシンポジウムを通して、厚生労働省の医療事故調大綱案の「理解」を国民に求める積りなのだろう。

『医療の良心をまもる会』という、医療現場を自らの思い通りにしようという意図を持った団体の声を、患者の声として、大綱案を是非通したいと官僚は考えているのだ。一昨年だったか、厚生労働省は、医療の不正を取り締まるため、地方厚生局に中央から官僚を派遣するという報道に接してから、こうした医療事故の問題を通して、中央官僚が、医療を支配することを画策し始めたことを感じていた。

医療事故調は、地方の委員会と、中央の委員会からなるように計画されているが、実質的な処分を行なうのは、厚生労働省に置かれた中央委員会によるのだろう。彼等は、医療事故の詳細を把握し、さらにそれに対して処分を下す権限を持つことになる。こうした権限によって、ポスト・予算の面で大きな利権を、厚生労働省官僚が得ることになる。

この医療事故調の権限に強制力を持たせるために、警察権力を背後に持つ必要がある。「通常の医療から外れた」と医療事故調が判断する医療内容によって、事故が起きた場合、医療事故調は、警察に通報することになっている。医療従事者が受け入れ難い、この抽象的な警察への通報規定を、厚生労働省がどうしても外さないのは、彼等の描くスキームでは、背後に警察権力が存在することがどうしても必要だからだ。

警察・検察にとっても、医療事故調が、いわば検察側の鑑定者になるわけで、これまで適切な鑑定人選びで苦労させられてきた彼等にしてみたら、願ったり叶ったりなのだろう。最近は、医療裁判で検察の敗訴が続いていて、刑事訴追はあまり行なわれないような風潮があるが、それは一時的なことのように思える。医療事故調という、「公的な」鑑定制度が出来れば、医療事故調から通報のあったケースを訴追すれば、有罪判決を得ることは少しも難しいことではなくなる。警察・検察は、それをじっと待っているのではないだろうか。

法曹界にしても、大幅増員された弁護士の仕事がなくて困っている様子だから、医療事故裁判で刑事訴追の結果有罪が確定した(または、確定しそうな)ケースを民事で争うという、「美味しい」仕事が増えることに異論はないことだろう。

こうして、医療事故の側面からの官僚による医療支配の構図が出来上がると、「官僚は」読んでいるのだろう。

これが、医療をどのように荒廃させるか、彼等の眼中にはない。眼中にあるのは、自らの利権だ。

さて、この官製シンポに足を運ぼうかどうするか・・・やはり止めておこう。もう出来レースで結論は出ているのだろうから・・・。

この医者はまだ若いので 

宮沢賢治がこんな詩を書いている。さまざまな意味で、このような医師は存在し得なくなってしまった。


                    ~~~~~~~~~~



この医者はまだ若いので

                            宮沢賢治


この医者はまだ若いので

夜もきさくにはね起きる、

薬価も負けてゐるらしいし、

注射や何かあんまり手の込むこともせず

いずれあんまり自然を冒涜してゐない

そこらが好意の原因だらう

そしてたうたうこのお医者が

すっかり村の人の気持ちになって

じつに渾然とはたらくときは

もう新らしい技術にも遅れ

郡医師会の講演などへ行っても

たゞ小さくなって聞いてゐるばかり

それがこの日光と水と

透明な空気の作用である

こゝを汽車で通れば、

主人はどういふ人かといつでも思ふ

この美しい医院のあるじ

カメレオンのやうな顔であるので

大へん気の毒な感じがする

誰か四五人おじぎをした

お医者もしづかにおじぎをかへす

産科補償制度の不幸な出発 

これまで何度か取り上げてきた、産科補償制度の運用が開始された。

この制度の問題は;

1)異常分娩による脳性まひ児には適用されない。脳性まひの診断という最もコアな部分は、数少ない小児神経科医に丸投げ。

2)この制度の適用を受けたとしても、産科医は訴訟されるリスクが減るわけではない。むしろ訴訟費用が、この補償制度によって生み出される可能性がある。

3)当局側も公表しているが、積み立てられる保険金の2割から5割が、支払われない。支払い対象が絞られているため、5割前後が、民間保険会社と日本医療機能評価機構の手元に残ることになる。その額は、毎年150億円にも上る。社会福祉的な制度において、これだけ余剰金が出ること自体、異常だ。

4)日本医療機能評価機構は、医療機関の機能評価を行なっているが、その内容はお粗末であり、さらに高額の認定料を取っている。同機構のトップには、日医の元幹部と厚生労働省の天下り役人が居座っている。こうした特殊法人は、このような事業を行なうのに相応しくない。

5)こうした脳性まひ児の養育は、本来国の社会保障が担うべきことだ。

6)この制度への加入が、本来全く別な事柄である、診療報酬の特定の加算を算定する前提条件になっている。その加算、ハイリスク分娩管理加算自体、この制度による補償と何の関係もない。診療報酬という、患者と医療機関の一種の契約関係に、この制度を広く行き渡らせようとする意図が無理矢理詰め込まれたことになる。

7)この制度によって、産科医療の崩壊が進んだ場合、誰が責任を取るのか?民間保険会社か、同機構か、それとも厚生労働省の役人か?恐らく誰も責任を取らないだろう。ウヤムヤのうちに、取りやめになるか、国の責任によって行なう事業に変更されることだろう。


以下、引用~~~

日本医療機能評価機構 産科補償制度、小児科医に「診断協力」要請へ
09/01/07
記事:Japan Medicine
提供:じほう

 通常分娩で出生した脳性麻痺児を対象に1月1日から始まった「産科医療補償制度」で、運営を担う日本医療機能評価機構は、補償対象となるかを診断する小児科医らへの協力依頼に乗り出す。制度の補償対象となる脳性麻痺児を適切に診断するため、日本小児神経学会などを通じて「診断協力医」を募り、委嘱する方針だ。同機構は「厳しい産科の現状を踏まえて創設する制度だが、円滑な運営には小児科医の協力が不可欠」とし協力を求めている。

 産科医療補償制度では、在胎週数33週以上、出生体重2000g以上の重度脳性麻痺児が補償対象となるが、基準を下回る場合であっても個別審査によって補償対象となる場合がある。

  補償対象となった子どもには、一時金と分割金を合わせて3000万円が支払われるが、「高額の補償が発生するため、実際に脳性麻痺を診断する小児科医には大きな重圧がかかる」(同機構)という。

  このため、同学会の認定医や、「肢体不自由」の認定にかかわる小児診療を専門分野とする医師をあらかじめ、「協力医」として委嘱。専用の診断項目を設けた診断書を使って補償対象となる可能性があるかを診断してもらう考えだ。

  同機構は昨年12月26日に同学会会員1000人程度に、協力を依頼する文書を発送した。

加入率98.6%、補償対象は「ほぼカバーできる」

 制度の円滑なスタートへ焦点となっていた同制度への加入率は、昨年12月24日までに98.6%(病院・診療所99.2%、助産所94.8%)に達した。

  制度運営を担う同機構では「引き続き加入を呼び掛けるが、補償対象者をほぼカバーできると思う」と話している。

  民間保険商品を活用して創設した同制度では、分娩施設を強制加入させることができない。未加入施設で生まれた脳性麻痺児は補償対象とならないため、厚生労働省や同機構は加入率100%を目指している。

  昨年12月24日現在、全3272施設のうち未加入施設は45施設(病院・診療所23施設、助産所22施設)となっている。また、加入手続きが遅れた25施設は今年1月からの補償開始には間に合わないため、同4月から開始となる。

  同機構は「制度への加入をハイリスク分娩管理加算の算定要件にしてもらったり、広告可能にしてもらったりしたことが(加入率を向上させる上で)大きかった」としている。



週末の夕食 その8 

この週末は、家人が出かけていたので、夕食は、次男と二人だけ。石狩鍋を作った。鮭の頭やアラはこちらの郷土料理に使われるためか、売り切れ。鮭の身をふんだんに鍋にぶち込んで作ってみた。最後に、オプションでバターを入れるのだが、少し多く入れすぎたかもしれない。味噌の風味がまろやか。鮭は鍋の底に沈んでいる。二人前としては多いが、翌日の朝食まで見越して・・・。

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生命の流れのなかで 

先日、中学生の女子が、インフルエンザの予防接種を受けにやってきた。少し時期が遅いかと思ったが、受験生だということで実施することにした。

その子に、予防接種の効果・副作用について一通り話しをした。彼女の低いピッチの声・・・聞き覚えがある。それに、少し顔を俯き加減に話す様子。ほどなく、3年前に室内楽を一緒にした、当時高校1年生だったビオリストの妹さんであることに気付いた。名前で気がつけば良いものを・・・。

お姉さんは、今年大学進学のはず・・・某音楽大学にビオラ専攻で入学が決まったそうだ。中学生の頃から時々診ていたCさんが、プロのビオラ奏者の道を歩むことになると思うと、感慨一入だった。ビオラの勉強を続けたいと言っておられたが、その意思を貫くべく一つ壁を乗り越えたというところだろう。

この写真、アップすべきかどうか、迷っていたのだが・・・3年前に、近くのホールを借りて、室内楽をした時に撮ったもの。左端が、ピアノをお弾きになっていたのだが、先日亡くなられた小児科医の方。その右側が、かのビオリストだ。

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我々は、生命の大きな流れのなかにある。生命という実体の見えぬものの流れのなかで、ほんの一瞬生命を担って生きるのが我々の人生なのだ。若くして、この生命の流れに別れを告げる方、そして自らの生命をますます輝かそうとする方がいる。生命の流れを、我々は共に生きているということを改めて強く感じさせられたことだ。

Cさんが音楽家として研鑽を積まれ、大成されることを陰ながら祈念していたい。

インフルエンザ、関東地域で流行拡大の様子 

毎日、小児科医のメーリングリストで、インフルエンザの各都道府県での流行状況(患者報告数)が流れてくるが、昨年暮れは関西・北海道が流行蔓延地域だったが、いよいよ関東地方にも大流行が始まった感がある。

人ごみへの不要な外出を控えること、マスクを着用すること等を励行したい。

あぁ、こんなことをしていないで、寝なくては・・・明日の外来が心配だ・・・。

Tim VK3IM 

英国に本部のある、CWマンのクラブFOC・・・長い説明だ・・・のニュースレターに、Tim VK3IMの消息が載っていた。ショッキングなニュースだった。

英国のMick G3LIKからの情報として、Timが4ヶ月前に手術を受け、現在も治療を続けている。痛みがあり、モルフィネでコントロールをしている。アマチュア無線が、一番の治療になっている、とあったのだ。

Timとの縁は、別なところで詳しく記したが、私よりも数歳年上の彼とは、1960年代に何度か交信し、その後、私が無線にカムバックした1980年前後からしばらくの間、とても頻繁に交信させて頂いた。彼は、専門学校、後に大学の教員になり統計学を教えていたようだ。メルボルンの仕事場から、その近郊のマウントエライザの自宅に帰る1時間程のドライブ中に、旧いマツダのヴァンの助手席に乗せたFT101Eと、屋根の上のラゲッジキャリアーに載せた、大きなキャパシターハット付きの自作バーチカルで、強力な信号を、7メガ等で送り込んできたものだった。

昨夜、あわてて彼自身と、同じFOCメンバーのDavid VK3DBDにメールを出して、Timの様子を伺った。Tim自身からは返答がない。が、Davidは、2,3週間まえに14メガで交信したと知らせてきてくれた。Timの体調はあまり良くないらしい。手術したことを後悔している、とか・・・。しかし、精神的にはしっかりしていて、無線に顔をだしておられるらしい。

また、昨夜お目にかかったコロラドのGeo W0UAも、Timのこと、彼がモービルからよく出ていて、盛んにラグチューをしていたことを覚えていた。今朝14メガで久しぶりにあった、Dale W4QMも同様だった。

彼には、アマチュア無線の友人が、全世界に、そして自国にも沢山いる。Drew VK3XUが、過日Timが入院したときにも、病室に何時も無線の友人が付き添っていたと言っていた(今にして思えば、これがその手術だったのかもしれない)。オールドファッションな心温まる交信を積み重ねてきた彼の人柄によるものなのだろう。私が再開局当時、彼からバーチカルのラジアルの処理方法について教えてもらったり、彼にキャンベラに住む旧友のVK1ARAを紹介したりした。今は亡き山下さんJA5AIやClive VK4CCなどとのラウンドテーブルも何度もした。そして、家族のこと、仕事のことそして人生について語り合ってきた友人だ。数多くの交信の記憶・・・。最近は、少し間遠になってしまっていたが、得がたい友人、偉大なCWマンのお一人なのだ。

モルフィネを使わなければならないほどの疼痛・・・Davidも病状について詳しく尋ねることは憚られたらしいが、何とか、乗り切って欲しいものだ。もし、Timのことをご存知の方、交信なさった方がいらっしゃったら、是非心にとめておいて頂きたい。私も、何とか連絡を取って、彼のことを思っていることを伝えたいと考えている。

オリックス、斜陽か? 

オリックスといえば、宮内義彦氏の率いるリース会社だ。オリックスが、日本郵政から「カンポの宿」を安く一括購入すると報じられている。宮内義彦氏は、小泉政権当時、規制改革を進める諮問会議を引っ張ってきた、飛ぶ鳥を落とす勢いの人物だった。日本郵政の民営化には直接関わっていないと弁明しているらしいが、規制緩和で民営化された日本郵政の財産を簿価よりも低廉な価格で一括購入することは、どう考えてもおかしい。

オリックスは、子会社を通して、例の高知医療センターのSPCとして利益を吸い上げている。高知医療センターは、赤字で、すでに債務超過になりかかっているという。このブログでも過去に取り上げた。最近、『ある経営コンサルタントのブログ』で詳細に論じられている。

しかし、オリックスの財務状況に暗雲が立ち込めていることも、同じブログで記されている。CDS値が上昇しており、資金を市場から得る際に高い利率を上乗せしなければならない状況に陥っている様子だ。今回の米国発金融危機の影響をもろに受けているのだろう。

こうした状況のオリックスに、カンポの宿を一括売却とは、一体どうなっているのだろうか。宮内義彦氏自身が進めてきた規制緩和の甘い部分を、ここで何とか吸い取りたいということなのだろうか。現鳩山総務大臣が、この売却に難色を示しているらしい。水に落ちた犬は叩けということなのだろうか。自民党は、オリックス等規制緩和で甘い汁を吸ってきた企業から、巨額の政治献金を受け入れてきているはずなのに、落ち目になったオリックスを叩き落そうとしているのか。

市場原理主義の破綻によって、市場原理主義の申し子のような企業が危機に陥っている。それを、叩こうという現政権。こんな政官業の癒着のドロドロした茶番劇はいい加減止めてもらいたいものだ。

カルテの整理 

開業以来、14年間、もうすぐ15年目が始まろうとしている。その間、毎年数百人の初診の患者さんを受け入れてきた。通い続けてくださる患者さんは、最初乳幼児だった方が、10歳代になっている。中には、勤務医をしていたころから診せていただいている患者さん、その当時の患者さんだった方が結婚し,自分のお子さんを連れてきて下さった方もいる。二代続けての主治医だ。

通い続けてくださる患者さんのカルテが、どんどん厚くなる。中には、3cm以上の厚さになるものもある。カルテが余りに厚いと、事務処理に邪魔になる。2,3年前までは、厚くなりすぎたカルテは、サマリーを記し、表紙をつけて、カルテの更新をしていた。旧いカルテは倉庫に収納され、真新しい更新カルテが出来上がるのだ。が、私の職場の将来が見えてきたこともあり、カルテの書き換え更新は控えていた。

が、カルテ棚をみると、あまりに厚いカルテが、数多くあり、棚がギュウギュウになっている。それで、またカルテの書き換え更新をし始めた。そのように付き合いの長い患者さんのカルテを見ると、こまでの10数年間の歴史がさっと目の前によみがえる。当時の患者さんの親御さんとのやり取り、診察のたびにぎゃんぎゃん泣いていたのに急にニコニコしてくれるようになったこと、小学校に入学する前後のこと・・・あまり大したことの書いてないようなカルテにも、歴史が詰まっている。お一人お一人の歴史を想い起こしながら、カルテの要約を記してゆく。カルテは、大切な財産なのだ。


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今年の日光連山には雪雲がかかっていることが多い。これを撮った日には、頂上にかかる雲がなくなり、ようやく全貌が見えた。陽の光に少し明るさが増しているよう。寒さはこれから数週間が山だろう。

脱市場原理主義への動き 

労働行政に関わる高級官僚が、製造業への労働者派遣解禁を止められなかったことを、腰が引けてはいるが、謝罪している。

金子勝教授は、その著書『閉塞経済』のなかで、「(セーフティネット等の)人権にかかわる問題、政治哲学でいう「正義の問題」は、実は主流経済学には明示的には存在しない・・・」と語っているが、市場原理主義経済体制が人々の生活を良い方向に向かわせぬことが明らかになった現在、新たな政治経済の枠組みが必要となっているのだろう。この官僚の発言は、そうした問題意識をもってのものではないのだろうか。

現在進行中の金融危機からくる恐慌状態は、経済循環によって周期的にもたらされる景気の減速とは、質的に違う深刻な事態のようだ。医療崩壊のあとに、本当の再生をもたらしうるか否かも、資本主義の究極の形としての市場原理主義からの脱却ができるかどうかにかかっているように思える。

市中の一開業医にはあまりに大きな問題だが、自分にも深く関わっていることとして、考えてゆかねばならない。

この厚生労働官僚が、どのように考え、これからどのように行動するのか、皆目分からないが、問題の根本を見据えて、自分の置かれた場で問題の解決に向けて頑張ってほしいものだ。

asahi.comより引用~~~

製造業派遣解禁「止められず申し訳ない」 広島労働局長2009年1月6日22時11分

 厚生労働省広島労働局の落合淳一局長は6日、広島市で開かれた連合広島の旗開きで、製造業への労働者派遣が解禁されることになった03年の労働者派遣法改正をめぐって「申し訳なかった」と発言した。

 落合局長は来賓あいさつで「制度を作ったのはだれか、といわれると、内心忸怩(じくじ)たる思いがある。(厚生労働)大臣が見直しに言及しているので、私がここで言ってもクビにならないと思う」と前置きし、「私はもともと問題がある制度だと思っている。しかし、市場原理主義が全面的に出たあの時期に、労働行政のだれか一人でも、職を辞して止めることができなかったか、ということには、私は小輩、軽輩であるが、謝りたいと思っている」と述べた。

 さらに「派遣労働者は同じ職場の仲間と認識すべきだ。(雇用を)中途解除してはいけない。中途解除と期間満了とは異なる、と声を大にして指導したい」と語り、解雇された派遣労働者の住居確保などについて連合広島にも協力を求めた。

 落合局長は朝日新聞記者の取材に対し、法改正当時は(厚労省の)賃金時間課長で改正には関与していないと話した。発言の意図について「大臣に代わって大言壮語しようとは思わないが、今日の(派遣労働者の解雇や住宅問題の)一因が役所にあると、役所の誰かが認めなければいけないと思った」と説明した。

消防庁の救急患者搬送対応新ルール 

救急医療が、需要は増え続け、供給は減少しているために、崩壊しつつある。

その状況を、救急患者搬送の段階で「改善」するために、消防庁は、新しい方策をとるらしい。

この新しい方策のポイントと問題点を挙げる。

一つは、救急隊員による、トリアージだ。救急隊員が、患者の重症度を判断し、搬送先を決めるのだ。これについては、幾つも問題があるが、救急システムの問題としては、トリアージの難しさ(特に、大規模災害時ではない平時のトリアージ)、それを患者側に受け入れさせる根拠、万一判断ミスがあった場合の責任問題等々がある。実際問題としては、大都市以外では、搬送先を選択できる余地があるのかどうか。地方では、救急に対応する医療機関自体が少なくなっており、いくらトリアージをしたところで、運ぶ先の選択肢は少ないのではないのか。

もう一つ、もっと深刻な問題は、救急ベッドが満床の場合にも、一時的に救急患者を運び込む医療機関を決めておくという対処。救急ベッド満床ということは、物理的にベッドがないということではなく、人的に、また病床以外の設備の面でも、一杯一杯になっていることが多い。大体において、医療機関で許可された病床以上に患者を入院させることは、医療保険上厳しいペナルティの対象になっているはず。医療機関に患者を押し込めば、後は医療機関の責任だという「ババ抜き」ゲームみたいな発想では不味いのではないのか。

では、どうすべきか。

一つには、救急医療の崩壊を、根本的に理解するために、「現場」の声を聞くことだ。「現場」の声ではなく、行政の机上、または医療機関管理者の発想だけでは解決しない。

救急の崩壊現象を加速しているのは、軽症患者の救急受診の増加だろう。患者教育をすること、そして軽症患者が救急受診を抑制する方策を取ることが必要だ。

表面上、患者サイドにだけ立つ、または/かつ行政サイドの負担を減らすことだけ考える行政の発想が、医療をますます危機的な状況に追いやることを、しょっちゅう目にする。この消防庁の救急医療への窮状への対応も、同じような対応に属するような気がする。


以下、引用~~~

容体に応じ医療機関を決定 都道府県ごとにルール化へ 救急患者の受け入れ改善
09/01/05
記事:共同通信社
提供:共同通信社


 医療機関による救急患者の受け入れ拒否問題の改善に向け、総務省消防庁は26日、都道府県ごとに医療機関や消防関係者が協議し、患者の容体に応じた搬送先をあらかじめ決めておくなど、受け入れ態勢のルール作りを進める方針を決めた。

 ルール作りの場として、すでに国の通知に基づき全国に設けられている「メディカルコントロール協議会」の役割を拡大するか、新たな協議会を設置。この協議会を法定組織に位置付けるため、早ければ来年の通常国会に消防法改正案を提出することも検討している。

 消防庁は来年、(1)救急隊員が患者の脈拍や心電図、けがの程度などから適切な搬送先を判断する(2)救急隊と医療機関の間で呼吸困難の程度など患者の容体に基づく伝達事項の優先度を定めておく-といったルールのひな型を協議会に提示。これを受け、各都道府県の協議会が地域事情を反映させながら、容体に応じた具体的な搬送先を決めていく。

 このほか救命救急処置を迅速に行うため、救急用のベッドが満床の場合にも、一時的に患者を受け入れる医療機関を当番制で決めておくことなどもルールに盛り込む。

 消防庁によると、重症患者の搬送に際し、2007年に救急隊員が医療機関側に受け入れを4回以上照会したケースは全体の約4%に当たる1万4387件に上った。

 現在、国は搬送先の選定について明確な基準を定めておらず、救命救急センターなど高度医療機関に患者が集中。受け入れ拒否の大きな原因になっている。ルール作りの素案は消防審議会が来年2月までにまとめる。

▽メディカル協議会

 メディカルコントロール協議会 救急活動の質を確保するため、主に救急救命士の搬送中の処置に関する事後検証などを行っている組織。医師や消防関係者、自治体職員らをメンバーに全国で287設置されている。現在は法定組織ではないことなどから、協議会によって取り組みにばらつきがあるほか、「問題が起きた際の責任の所在が不明確」などの問題点が指摘されている。

閉塞感 

先週の土曜日、朝のラジオ番組で、永六輔さんが、「派遣村」騒動を報道するマスコミをやんわりと皮肉っていた。派遣村の住民と同じくらいの人数のマスコミ関係者が、派遣村にいるというのだ。

派遣村の住民のことを本当に考えたら、厚生労働省の講堂が派遣村住民に開放されたこと(それも週末だけ)や、その後、閉校になった学校施設があてがわれた(それも一週間だけ)とか報道する暇があれば、なぜこうした事態になったのか、誰に、どこに責任があるのかを追及すべきなのだ。

マスコミには、それが出来ない。派遣社員をこき使う側に立っているので、それができない。

某大手新聞が、この正月の一面に、米国での医療崩壊の状況を載せていた。あたかも、他人事かのように。しかし、国保などもう崩壊状態であり、日本にも医療保険に入っていない人々がたくさんいるのだ。他人事ではないのだ。が、それも正面切って報道できない。これから、どのような医療制度にされようとしているのかを報道できない。

国会議員の本音 

医療現場の危機打開と再生をめざす国会議員連盟(だったかな)の会長、尾辻参議院議員が、本音トークをなさっている。

国会議員の本音は、こんなところなのだろう。

医療現場の危機打開とは聞いて呆れる。

なぜ危機に陥ったのか、何も分かっていない、分かろうとしない。

医療現場の・・・となどと看板をかけるのは止めてもらいたい。



以下、東京新聞より引用~~~


医療再生、各党は? 自民 研修見直し主張 民主 医学部1.5倍増員
2009年1月5日 朝刊


 国民の生命と健康を最前線で守る医療。安心して治療を受けられるようにするのは、政治の重要な役割だ。「医療崩壊」が叫ばれる中、各党はどんな取り組みをしているのだろうか。昨年には自民、民主、公明各党などの有力議員ら約百五十人が参加して、医療再生を目指す議連が発足するなど、与野党が足並みをそろえた動きもあるが、ここではできる限り各党の違いにスポットを当てたい。

 新人医師が自由に研修先の病院を選び、短期間ずつ各科を巡回する現行の臨床研修制度は、結果として外科、産婦人科、小児科などへの敬遠を招いた。このため政府は二〇〇九年度、全国の四十大学で不人気科目に限り、専門性を高めた研修が受けられる特別コースを設け、二百十二人を受け入れる。

 さらに、厚生労働省と文部科学省は、臨床研修の大幅な見直しも視野に、専門家の検討会で議論を進めている。特定科目の研修専門化に加え、研修医が集中しがちな都市部の定員に上限を設けることも検討している。

 政府に歩調をあわせるように、自民党側も、臨床研修を見直すべきだとの意見は強い。元厚労相の尾辻秀久参院議員会長は「科目、地域の偏りを大きくしたのは事実。何らかの方法で、無理やりにでも医師を配置する方法を考えなければ」と主張する

 これに対し、民主党も臨床研修制度の見直しを提唱。都市部の研修人数を調整し、別の研修先に振り向ける必要性を指摘している。

 ただ、研修の抜本見直しは、職業選択の自由を奪われかねない医師にとっては好ましい話ではない。医療問題に詳しい同党の鈴木寛参院議員は「単純に昔に戻すことはできない。戻したら、医学部を希望する高校生が減る」と、規制再強化には否定的だ。民主党は解決策として、大学医学部の大幅定員増と、不人気科目の待遇改善を打ち出している。

 大学医学部の定員は、現在は七千人台後半。政府は〇九年度は約七百人増やし、過去最高の八千四百八十六人を受け入れる予定。だが同党は現状の一・五倍にあたる一万二千人程度まで増やすことを念頭に置いている。

 不人気科目の勤務医の待遇も「サービス残業が多すぎる現状を是正し、休みと適正な給料をあげれば、少しは立ち直る」(鈴木氏)という考えだ。

 自民、民主両党の最大の争点は、医療費を賄う財源論だろう。

 自民党は、年間の社会保障費の自然増を二千二百億円圧縮することを義務づけた「骨太方針」に縛られ、〇九年度予算案でも転換を踏みとどまった。医療費は、ぎりぎりやりくりしているとの意識が強く、根本的な打開策は消費増税しかないとの見方が支配的だ。

 民主党は当面、特別会計や公共事業費の削減などで、国民負担を増やさずに医療費を確保する考え。消費税をどうするかは、まだ明示していない。ただ民主党の政策をすべて実現すると、大幅な歳出増になるだけに、財源について一層の説明責任が求められる。

 共産党は、医師数の増加や国の責任による産科や小児科の支援を提言。社民党は、医療費の国庫負担割合引き上げ、地方の病院で臨床研修を受ける医師への奨励金制度の創設などを求めている。