John KL2AX 

John KL2AXとは、以前から交信をしてきたが、問題は彼のキーイング。手をとても緊張させて縦振れを叩いているようで、短点が不整で時々抜け落ちる、文字の間隔が詰まったり間延びしたり・・・でも、いかにも無線が好きで仕方ないという風に聞こえる。

昨夜、お会いしたときは、珍しく、エレキーを使って出てこられた。言うか言うまいか迷ったのだが、昨夜はless brain stormingなキーイングだね、と申し上げた。特に反応はなかったが、気を悪くされた様子はなさそう・・・。

交信の最後に、交信を終えたら、私に「何か」を郵送すると仰った。過日、Steve W7QC達が、彼の地域を訪れた時に、釣り上げたSalmonを私に送ろうかとJohnが申し出られたので、慌ててお断り申し上げたことがあった。それが頭を過り、一体何を送ってくれるのか、焦って尋ねた・・・Salmonを受け取るための検疫とか、税関手続きとか考えると、ブルーになってしまう。

いや、違うよ・・・絵葉書を送るだけだ、とのJohnの返事。安堵した 笑。絵葉書でアラスカ南部の景色を見せられたら、きっといつか訪れたいと思うようになるかもしれないね、と言ってお別れした。

その後、Johnとの交信で話題に上ったSteve W7QCが呼んできてくれた。SteveがJohnから受け取ったemailでは、最近の釣り旅行で、JohnがSalmonを沢山釣り上げたことなどを知らせてきたと、私に教えてくれた。どうも、Steveと私の交信を、Johnがリアルタイムで「読んでいる」らしく、ところどころで、「R」と打って、Johnが合いの手を入れてくる。微笑ましい・・・。Steveと交信終了時、その周波数でJohnと交信を続けるように申し上げて、私はbig switchをオフにした。

Johnのキーイングは、ちょっと苦手なのだが、彼の人となりは、旧きよき時代の米国のハムのそれそのものだ。来年の夏には、アラスカに来るように、そして一緒にSalmon釣りをしようと言ってくれる、その気持ちがありがたい。こころが広やかで、気前良く暖かい人柄・・・。30年以上前には、米国のハムの多くが、こうした善意の塊のような方だった。最近でも、そうなのかもしれないが、現在、多くのハムはとても忙しそうだ。

カナダの方にまで入り込んだ、細長いアラスカ南部。多くの島があり、豊かな自然に恵まれた土地の様子。何時かは、Johnを訪ねてみたいものだ。

フローランを一ヶ月使うと500万円超 

特発性肺高血圧症という病気は、肺動脈の血圧が上がり、そのために心不全を来たす、極めて重篤な疾患だ。それに対して、外科的には肺移植が行なわれる。内科的治療薬は、根治的なものはないが、幾つか対症療法としての薬が開発されてきた。同症の患者さんとご家族の会(PAHの会)が、MRICのMLを通して、驚くべき情報を寄せてくれた。

内科的治療薬の代表が、フローランという薬品名の薬(プロスタグランディンI2)だ。その薬価が、凄まじい・・・

 商品名   規格         単価    1日     1ヶ月
フローラン 0.5mg 1瓶(溶解液付) 21,735  150,000   5,000,000
フローラン 1.5mg.1瓶(溶解液付) 37,994  それ以上も  それ以上も
  溶解液:50ml 2,395円、(1日2本使用)

フローランの保険収載薬価が、米国での薬価の10倍の価格に決められたためのようだ。で、保険者から、この薬に対する支払いを拒絶されるケースが出ているらしい・・・患者にとっては、死ねといわれるに等しい。

一ヶ月、500万円以上の薬価である。確かに、同症の患者は少なく、この薬剤は、所謂オーファンドラッグなのかもしれないが、余りに凄い薬価だ。

これほどの薬価ではないが、慢性白血病の分子標的治療薬や、その他精神神経系に作用する新しい薬等が、かなり高額の保険収載薬価となっている。

その高額に決められる経緯は、このフローランと同じという話を耳にする。日本での薬価を、米国の薬価を基準にして決めているのだが、自由市場の米国で、製薬会社は人為的に一次的に薬価を吊り上げ、それを基準にする、ということらしい。

日本の当局は、そうした経緯を知らないはずはない。これも噂話程度だが、米国から輸入する医療材料、薬剤等を高く誘導し、米国の企業に利潤を上げさせるように、日本の政府・行政は命じられているらしい。恐らく、政治家や官僚にとっても、何か利権が絡むのだろう。

こうした利益誘導をしておきながら、一方で、小泉「構造改革」以降、徹底した医療費削減を政府・行政は行ってきた。

こうした医療、病む人々を食い物にする政治・行政は何とかならないものか。

原徳寿氏 

慢性の有機水銀中毒である、水俣病には、診断の難しい症例があるのかもしれない。が、環境省の担当部長が、診断した医師の診断書を根拠なく否定するののには、ちょっと待てと言いたくなる。ごんずいブログで、彼の言動が鋭く批判されている。上司である、環境大臣からも叱責を受けたらしい。

この環境省部長とは、つい最近まで厚生労働省の課長をしていた原徳寿氏である。

そう、この方は、医系技官であり、厚生労働省の出世街道をひた走っておられる方である。彼は、後期高齢者医療制度を作ったり、レセプトオンライン化にも関わってこられた方だ。我々の記憶に残るのは、所謂5分間ルールを作った人物としてだ。このルールの目的は、医療費を減らすことだけであり、医療を改善することなど微塵も考えたものではない。その基礎になるデータは、救急診療のデータであり、それを通常診療のデータであるかのようにデッチ上げて作られたものだ。目的と、基礎データがともに間違っている。

こうした経歴をお持ちの原氏であるから、水俣病についての発言が、業界と財務省にだけ顔を向けたいい加減なものであると我々には直感的に理解できるのだ。

5分間ルールの策定目的、策定過程については、一種の犯罪の臭いすらする。恐らく、この方は、財務省にだけ良い顔をするために、こうした仕事をしてきたのだろう。それは、結局自分だけのためである。こうした官僚が、出世街道をひた走るような官僚制度は、是非ぶち壊してもらいたいものだ。

ERが救急医療を救うのか? 

ERは、米国のテレビドラマで有名になった。あのドラマで、とても気になったこと・・・患者が搬送されてくると、たちまち診断が付き、時間単位で治療が効くかどうか、決着がつくこと・・・現実では、診断に苦労することはしばしば、さらにすぐに決着がつくなんてことは多くの場合あり得ない。東京で既存の医療機関にERの看板を付けさせた、某知事は、テレビの観すぎではないのか。

そのER型医療が、日本の救急医療の解決につながるかのような記事があった。

患者の重症度を、まずは救急隊員が判断、さらに救急医がトリアージするということだが、これは、多くの患者は、「後回し」にされることを意味している。そうして後回しにされた患者が、実は、重症で、不幸な転帰をとることは確率的に必ず生じる。その場合、どのようなことになるのだろうか。医療訴訟が多発するかもしれない。

また、救急の半数は、小児。その大半は、軽症とはいえ、必ず重症患者が少数混じっている。それをしっかり診断し、適切な医療を施せるのだろうか。小児科医療を軽く観ていないか。

米国のERは、健康保険に入っていない患者の駆け込み寺のようになっている。わが国でも、健康保険は破綻寸前であり、国家支出を減らすためにも、混合診療から民間保険診療に移行させるのが、政府・行政の意向だ。レセプトオンライン化も、民間保険での診療報酬請求をできるようにするインフラ整備であるらしい。高額な民間医療保険が導入されれば、現在、すでに相当数いる無保険の国民が、大幅に増える。

さらに、地域医療を担っている、診療所の多くが、低医療費政策のために、この数年以内に廃業ないし事業縮小する。開業を抑制させようという行政の意向で、今後新規開業は極めて厳しい。既存の診療所も、減り続ける収入に見切りをつけるところが多く出てくるはずだ。米国でも、同じ問題があり、最近号のNew Engl J Medで、家庭医の現象にどうやって歯止めをかけるか、という論文が出ていた。高齢化しつつある開業医は、早期退職に進む、進まざるをえなくなることが予想される。

すると、ER救急医療機関に、患者が殺到する事態が生まれることだろう。果たして、それに耐えられるだけの医療機関と救急医がいるのだろうか。

さて、今日は、地方の小さなERもどきの診療所で11時間連続の仕事である。ERでの仕事を味わってこよう・・・。


以下、引用~~~

全患者対応「ER」に期待 「昼間に受診」の要望も 「社会保障 ここが知りたい」どうなる救急医療
09/07/24
記事:共同通信社
提供:共同通信社


 救急車を呼んでも病院に断られ、たらい回しにされるかもしれない-。救急医療の在り方が問われる中、すべての患者を受け入れる「ER」(救急治療室)に期待する声も出てきた。専門家らに聞いた。

 ▽命拾い

 40代の竹田博(たけだ・ひろし)さん=仮名=は歩く時に息切れを感じ、夜、都内の帝京大病院のER外来を受診した。

 ERでは軽症、重症に関係なく原則としてすべての患者を受け入れ、初期診療にあたる。ER医が緊急性を判断し、症状の重い患者から処置をする。日本救急医学会によると、ERは全国で少なくとも150カ所ある。

 竹田さんに胸痛など典型的な症状はなかったが、ER医が心臓疾患を疑い、心電図や心エコーで検査。その結果、急性心筋梗塞(こうそく)と分かり、すぐに治療が施された。受け付け順では待ち時間に症状が進行し、命の危険もあったという。

 同病院は5月、約20人の専任医師によるER外来を開設。夜間に自分で歩いて訪れる患者を診るほか、救急搬送患者のうち救命救急センターでの処置が必要な患者以外を24時間、ERで受け入れる。

 狙いは(1)軽症に見えても重症化の可能性がある患者の救命(2)適切な診療科への患者の振り分け(3)各診療科の医師の負担軽減(4)研修医の初期診療教育-などだ。

 同大の坂本哲也(さかもと・てつや)教授は「これが当然の姿で緊急度より順番を優先するのは時代遅れ。ERで問題が解決するというわけではないが、特に地方でER医を確保できれば効果は大きい。ER化は全国的な流れ」と話す。

 ER化は患者受け入れ増にもつながる。2007年にERを導入した京都医療センター(京都市)は救急搬送患者が前年比で2割増加。病院の収益も良くなったという。

 こうした中、横浜市は昨年10月から、119番通報を受けた際、簡単な質問から瞬時に重症度を判別するシステムを全国で初めて導入。症状の重さに応じて救急隊員の人員体制などを変えた。重傷者に対する現場到着時間を短縮するなどの効果を挙げている。

 国レベルでは、医療機関の受け入れ拒否を防ぐため、容体に応じた搬送先リスト策定を都道府県に義務づける改正消防法が10月に施行される見通しだ。

 ▽長くなる搬送時間

 救急現場の現状は厳しい。すぐに搬送先が見つからないことなどを受け、現場から患者を医療機関に収容するまでの時間は07年は全国平均で26・4分とワースト記録を更新。10年間で6・5分も長くなった。

 背景にあるのは救急病院の減少や救急医不足。厚労省試算では将来、全国で5千人が必要だが、日本救急医学会によると、救急専門医は現在約2800人にとどまっており、慢性的な医師不足が続いている。

 患者の専門医志向の影響も大きい。医療裁判で「専門医なら救命できた」と判断されることもあり、専門医がいない場合、病院側が受け入れをためらうケースも多い。その結果、救命救急センターに患者が集中し、救急医の負担が増している。

 ▽法整備が必要

 専門医からは患者一人一人の心構えとして「緊急性のない場合は極力、平日の昼間に受診したり、かかりつけ医を確保して緊急時の連絡先を相談したりしてほしい」と要望する声も上がる。医療資源は限られているためだ。

 杏林大の島崎修次(しまざき・しゅうじ)教授は「救急医療を立て直すためには、救急医の労働環境の整備に加え、夜勤手当や診療報酬の引き上げなどの経済的支援、臨床研修での救急医療教育などが不可欠。救急医療に関する基本法などの法整備が必要だ」としている。

▽救急医療体制 

 救急医療体制 入院の必要がなく外来診療で済む軽症患者は休日夜間急患センターや在宅当番医などの1次救急、入院が必要な患者は輪番の救急病院などの2次救急、生死にかかわる重篤な症状の場合は3次救急の救命救急センターなどが受け持つ。搬送先は救急隊が判断する。一方、ERはエマージェンシー・ルームの略で、本来は北米型の救急診療を指す。すべての救急患者を診療するのが特徴。ER医は、初期診療だけを担当し、入院患者や手術には基本的に関与しない。

暗記ではなく、理解をすること 

CWの暗記受信という言葉には、少し抵抗がある。暗記という言葉から、受信している内容を、すべて記憶する、という甚だ現実とは異なるプロセスを想起させるからだ。まるで受験の暗記物のような具合と誤解される可能性がありそうな気がする。

暗記することが大切なのではない。理解することが大切なのだ。文章なり情報なりが、時間経過と共に、A、B、C、D、E・・・・と送信されてくるものとする。現時点ではCを受信中とする。その時点で、A,Bの内容をすべて記憶することは、極めて難しい。その記憶が、所謂暗記であると、意識の記憶容量を超えることは容易い。また、現時点で受信中のCとの関連付けがなされないと、なお更記憶することは難しくなる。

A,Bを理解し、整理して記憶に残すことが必須になる。その理解は、Cを受信する際に、手助けになる。具体的には、Cのスペル・文章構成要素の一部を聴くだけで、その後のスペル・文章構成要素の展開を予測できることになることが多い。この予測は、積極的に行なおうと意思して行なうものではなく、A,Bの正当な理解があれば自然に意識が行なう作業なのだ。

上記のような作業は、D,Eの予測にまで及び、ひいては全体の意味の予測を生む。それは、翻って、A,Bの理解の正当性を確認することになる。

いわば、過去・現在・未来のなかで、複数の思考のループが形成され、それによって理解を進めることになる。

従って、受信するという作業のキーワードとしては、暗記は適切とは思えない。むしろ、理解することが必須の作業であり、キーワードとして相応しい。

Bill K6CU 

昨夜、7メガはノイズが比較的少なく、北米に開けていた。弱い信号で、K6CUがコールしてきてくれた。懐かしい・・・というと、いや5月にも会っている、とのことだ。

彼は、かってK7JYEというコールでDXやラグチューにぶんぶんいわせていた口なのだ。K7JY  E と、Eを強調して打つキーイングが記憶に残っていた。その後、ヴァニティコールプログラムで、確か父上が使っていた現在のコールを手に入れたのだ。その後、余り聴かなくなってしまった。名前も忘れかけていた。Bill。どういうつもりか、QRPに懲りだしたようで、昨夜は、10Wにバターナットで出ていた。

交信終了後、しばらくして、大分弱くなった信号でもう一度呼んできた。emailアドレスを教えろ、とのこと。5月に運用していた設備を教えるから、と。で、送られてきた彼のブログURLがこちら。彼のブログで彼の姿を見た最初の印象・・・うわ、年配になった・・・お互いさまなのだが、1980年代7メガでよく交信していた時代の記憶しかないので、好々爺になったBillをイメージできなかった。3球のリグから始まって、Sラインに上り詰め、今はTS870もあるようだが、QRPに落ち着いている様子。HW8の4Wにこのホイップはいくらなんでもないだろう・・・受信させられるほうは大変だ。彼のアルバムに写っている昔の設備が、そこはかとなく懐かしい。

ビッグステーションのW6BAからコンテストにも出ているので、QRP以外の愉しみはそちらで満足させているのかもしれない。

明日は、知り合いの救急診療の手伝いで、11時間拘束だ・・・今夜位、またのんびりできればよいのだが・・・今朝21メガで会ったKX6Xが、IOTAコンテストだとか言っていたので、混雑しないことを祈るばかり。

家族喫煙防止・タバコ制限法 

最近号のNew Engl J Medに、

The Family Smoking Prevention and Tobacco Control Act of 2009 2009年家族喫煙防止・タバコ制限法

という法律が、オバマ政権によって成立した、と報じられている。

同じ内容の法律が1930年代に上程されたが、最高裁によって、違憲とされた。今回、オバマ政権は、年間40万人以上がタバコ関連疾患によって亡くなり、タバコ関連疾患によって医療費が9兆円程度費やされることを重視し、以下のような点を骨子とする、この法律を成立させた、とある。

○タバコ事業は、FDA管轄下に入る

○タバコへの添加物は、メントール以外認めない

○新たなタバコ商品の発売は、FDAの認可が必要となる

○mildといった、タバコが軽いことを想起させる形容詞の使用不可

○タバコの宣伝は厳しく制限する

○タバコによる健康被害をより明示する

FDAは、単に食品薬品等を取り扱う役所ではなく、国民の健康を守る役所になるのだ、と記されている。

さて、日本の場合はどうだろうか。自動販売機でのタバコ購入何とかカードが必要になったようだが、抜け穴があるようだ。自動販売機は、いたるところにある。さらに、タバコにより多く課税することも、「タバコ農家保護の観点から」昨年見送られた・・・これは、タバコの売り上げが減ることによって、税収が減ることを嫌った、財務省の意向であることは明らか。我が、厚生労働省は、財務省の進めるタバコ販売に異を唱えたことはあるのか。

厚生労働省が、国民の健康を増すことを目的に仕事をしているとは、容易に信じられぬことが余りに多い。

子守唄 

子守唄といっても、赤ちゃんを寝かせる歌ではない。寝るときに、聴く音楽のことだ。寝室に小さなステレオを置いて、多くの場合、ヘッドフォーンをかけて聴く。

寝る際に聴くのは、以前にも記したが、こころを安らかにしてくれる音楽が、好ましい。バッハの作品の多くは、その点受け付けがたい。目が冴えてきてしまう。だが、このところ、リヒターがミュンヘンバッハアンサンブルを振ったマタイ受難曲の最後の録音を聴いている。磯山教授の指摘するとおり、恰もロマン派の演奏に回帰したかのように、大きなうねりのようなゆっくりとした演奏。磯山教授は、リヒターが、懐古趣味に陥り、当初のマタイへの鋭いアプローチが失われてしまったと嘆いておられた。が、私には、この悠揚迫らざるマタイにも惹かれるものがある。第一曲の通奏低音は、四分音符と八部音符からなる同じ音型を弾き続け、時に、2オクターブ程度音階を辿り上昇する。それは、イエスがゴルゴタの丘を重い足取りで歩みを進めることを模していると言われている。このリヒターの1970年録音のテンポは、イエスの足取りをしっかりと聴かせてくれる。一度通して聴かなくては・・・。

もう一つ、クララシューマンのピアノトリオ。バイオリンのTさんが、譜面とともに下さった音源。全体としてみると、夫のロベルトのピアノトリオや、親友のブラームスのトリオに較べると、あっさりとしてこじんまりとした音楽なのだが、クララの人となりを髣髴とさせる音楽だ。流れるような旋律と、決然としたリズムの動機。それに2楽章のトリオは、可愛らしい。緩徐楽章では、憂鬱な気分と夢見心地とが表現されている。クララ達がきっと自宅で演奏したであろうことを思い起こさせる。そういえば、ショパンのピアノトリオ(作品8ト短調)の1楽章と、この曲の1楽章がとても似ている・・・ショパンとクララは、どのような関係だったのだろう・・・。

マタイを子守唄にしている等というと、失笑をかいそうだが、クララシューマンのピアノトリオとともに、こころを落ち着かせてくれる音楽ではある。さて、今夜も同じレパートワーで行くか・・・。

医療から信頼を損なわせたのは誰か 

読売新聞が、『信頼の医療を目指して』と題する座談会を開き、その内容を公表している。ここ

信頼の医療を目指すということは、読売新聞は、現在の医療には信頼感がない、または欠けているという認識のようだ。医療と一言でくくると、様々な領域・様々な医療機関・医療従事者がいるから、信頼感に欠けるというところはあるかもしれない。しかし、この読売新聞に言って欲しくはない。医療で不信が渦巻くような状況をもたらしたことに、同新聞に責任がないのか、同新聞がベッタリ癒着している行政の責任はないのか。まずはそこの反省をしてもらいたい。

この座談会の参加者の多くが、医療を崩壊させた張本人だ。特に、元厚生労働省官僚の中島正冶氏からは、真摯な反省の弁が聞かれるかと思ったが、彼の主張は医療崩壊ではない、危機的な状況だが、むしろ医療が効率化され、より良い結果を生んでいるという認識だ。事実に基づいた議論をしろと言っているが、つい最近医師数の認識を180度転換し、医療行政を猫の目のごとく変え続け、現場を混乱させているのは、厚生労働省ではないか。所謂、5分間ルールを診療現場に押し付ける際に、官僚が用いたデータは、救急診療におけるものであった。どこが事実に基づいているのだろうか。

さらに、帝王切開を行う施設、がん手術をする施設が減ったが、帝王切開・がん手術はむしろ増えている、即ち医療の能力が向上したと結論づけている。しかし、これは医療訴訟をさけ、症例が増えたことに対応するために、これまで以上に過酷な労働環境で医師・医療従事者が働いている結果に過ぎない。彼等、官僚は、医療費を削減しつつ、医療現場により過酷な労働条件を強要してきたのだ。それを、医療崩壊の現実はないとする論拠にするとは、開いた口が塞がらない。

以下、上記座談会記録から引用~~~

中島 ;現在、日本の医療は病院閉鎖や過重労働、医療事故などが問題視されている。では、本当に日本の医療は崩壊したのかというと、そうではない。
例えば、一番厳しい状況と言われる産科医療。帝王切開を行う病院の数は、ここ10年間で2割減ったが、帝王切開の実施件数は逆に2割増えた。乳児死亡率の低さは世界のトップクラスで、質の高い産科医療が確保されている。がん手術を見ても、実施施設数は10年間で15%減ったが、実施数は2割ほど増加した。困難な状況の下ではあるが、医療は、崩壊どころか、能力を向上させたと言える。
崩壊という言葉は不安や絶望、逃避につながり、よい結果を生まない。事実に基づいた議論をし、危機感を持って政策を進めるとともに、国民の理解と協力も不可欠だ。

週末・連休 

巷では連休で、行楽地・高速道路は混雑している様子だ。が、私の場合は、いつもと変わらぬ週末、それに振り替え休日だ。

午前中は、急患対応、午後は仕事場に残るか、自宅に帰り庭仕事をするか、夕食の準備。昨夜は、ゴーヤチャンプルーを一気に8人分位作った。ゴーヤを塩茹でにすると、苦味が取れる。

で、残りの時間の大半は、無線に費やす。

土曜日辺りから、CONDXが全般に改善。7メガでは、日の暮れる2時間前から北米に開き始め、日没前後には東海岸の局も聞こえる。東海岸では丁度日の出になるようだ。グレイラインパスの不思議を感じる瞬間だ。時々、バンドがとても静かな日があり、まるで秋になったかのよう。太陽面活動が不活発なままのためのように思える。夜から翌朝にかけて、14メガで北米全体とヨーロッパに開ける。14メガ早朝に、西ヨーロッパから北アフリカにかけて開ける様は壮観だ。

幾つも記憶に残る交信を経験した。Al WA6NHDは、ロスアンジェルスの北、101号線と1号線が分かれる辺りに住む55歳の電気技師だが、最近SteppIRのDB36という大きなビームを上げた様子。リニアも揃え、30数年間夢見てきたビッグステーションを実現したと言っていた。家族はおらず、射撃と無線の趣味に収入の多くを割けるのだとのこと。秋のロングパスを満喫されることだろう。家族同様の付き合いをしている一家が、サンノゼにおり、その三人の子ども達が恰も孫のようだ、と言っていた・・・そう言いながら目を細めている様子が思い浮かぶ・・・CWとは言え、面白いものだ。

Bob W6CYXとも久しぶりにお会いした。CONDXが良くないので、聴いてもいなかった、とのこと。オバマ政権は最悪だと、いつものごとく、こき下ろしていた。market fundamentalismにつていどのように思うか尋ねたが、奥様、その妹さんと三名で散歩に出かけると、そうそうにいなくなってしまった。ハミルトン山の中腹、朝陽を浴びながらの散歩は心地よいことだろう。

VK4TJ John、FEAのネットの後、7メガで捕まえた。職場が離れたところになってしまい、交通量が多い道なので、自転車通勤は今のところ止めているとのこと。私のリタイアメント症候群を覚えていて、リタイアに向けて何か進展はあったかと尋ねられた。水曜日の午後、休診をすることになった、小さな変化だが、リタイアに向けての第一歩だよ、とお答えした。水曜日の午後にゴルフでもしたらどうかと言われたが、ゴルフは高くつくし、準備が大変だから、自転車にでも乗ろうかと申し上げた・・・実際、何か運動を始めなくてはならない・・・。何時も元気そうなJohnだ。

CQ FOCを今朝14メガで叩いていると、MaineのAlex AI2Qに呼ばれた。最近FOCに入ったことを忘れていた。FOCのナンバーを送られて初めて気がつく。東海岸は弱い。ついで、強力なG3SJJに呼ばれた。しばらく振りの交信。FOCのメンバーが聞こえないねと言うと、George K2URと交信したのと、クラスターでBob MD0CCEのコールを見かけただけだとの返事だった。Gのメンバーは、やはり小さい設備の局が多く、CONDXが良くないと、activityが下がるようだとのこと。彼は、400Wにビームという恵まれた設備で運用している。その後、何回かCQ FOCを出したが、応答なし。

この週末、かなりの時間を無線に費やしたためか、パドルでミスキーイングをすることが若干少なくなったような気がする。気のせいかな・・・。戸塚洋二さんのブログに記されていたことだが・・・、戸塚さんは、恩師の小柴さんに、研究テーマを与えられたときに、10年間これを研究し続ければ、世界で認められるようになる、と言われたそうだ。10年間、一つのことに固着してやり続けること・・・何度か聞いたことがある人生訓だが、これは本当にそうかもしれない。いや、パドル使いはもう伸びることはないから、願わくば、チェロや外国語の力が伸びるように、また頑張ってみるか・・・10年間・・・。いや、勿論、医学の勉強も続けなければ・・・ブログタイトルからステトスコープを消さなければならなくなる。

戸塚洋二さん 

7月10日、ある物理学者が逝去された。元東大教授の戸塚洋二さん。彼は、ニュートリノの質量の問題の専門家で、小柴博士の下で研鑽を積まれ、大きな業績を上げた方である。ニュートリノの生成から質量を解析する実験が開始される直前に亡くなられた。

彼が記していたブログが残されている。ここ

深い内容が簡明な文章で記された、素晴らしいブログ。ご一読をお勧めしたい。

特に、彼と同じく末期の大腸がんに侵された患者の方に、同じ病を抱えながら、どのようにして戸塚さんは積極的に生きることができるのかと問われて、その返答として記された文章が、こころに残る。2008年5月3日のエントリー。

残された日々を充実して過ごすなどということはなかなかできるものではない。読み聞く記すといった活動に、いままでよりも注意深く、時間をかけてみることが、「恐怖」に捉われるずに、充実した時間を過ごすことになる・・・やってみませんか、と質問者の方に優しく語り掛ける・・・。

それに、正岡子規の言葉も、紹介なさっている。悟るとは、平気で死ぬことではなく、平気で生きることだ、という言葉。

研究の話、自らの病気の記録、それに美しい花々の画像。最初にも記したが、平易な文章で、こころに染み入る内容を記されている。

戸塚洋二さんのご冥福をこころから祈りたい。

患者の権利 

患者が、質の高い医療を、自らの決定権のもとに享受するということは、理想的なこと、そうあるべきことだ。その権利を法制化するように患者団体が、厚生労働大臣に求めた。

この要望で特筆すべきは、国が財政を優先し、医療を崩壊させつつある。患者の権利が侵されつつあるのは、そうした低医療費政策が根幹にある、と判断している点だ。

この点で、単に権利を主張する表面的な議論ではなく、一歩踏み込んでいる。

問題点は、二つ。対GDPの医療費は確かに低いのだが、国民の租税負担率を考慮すると、医療費は決して低くはない(慶応大学、権丈教授)。現在以上の医療の質と安全性を求めるならば、または現在の医療のレベルを維持しようとするならば、国民はそれに応じた負担をする必要が出てくること。

次期政権を担うはずの民主党が、この点について何も語らない、または無駄遣いを減らすだけで、社会福祉の維持・発展が可能かのような議論をすることは大きな問題だ。勿論、政官業が癒着し、官僚のための社会福祉行政が行なわれる、現在の構造には大鉈をふるって欲しいが、それだけでは将来の展望は得られない。

もう一つは、権利と同時に、義務も患者には求められることだ。権利を要求する一方で、医療関係が成立するためには、医療の不確実性を受け入れることが患者の義務である。安全な医療は、いつまでも希求すべき目標であっても、おいそれと実現するような事柄ではない。医療崩壊は、財政面からも進んでいるが、医師患者関係という側面でも進んでいるように思える。この面での崩壊は、金額といった目に見えぬものであるだけに、より深刻だ。

いつかは患者になりうる私としても、患者の権利が社会で認められることは良いことだとは思うが、上記の点にも是非思いをめぐらして欲しい、いや思いをめぐらそう。

以下、引用~~~

患者の権利法制化を要望 厚労相に56団体
09/07/15
記事:毎日新聞社
提供:毎日新聞社

患者の権利:法制化を要望 厚労相に56団体

 難病患者や医療事故・薬害被害者、医療従事者ら56団体の代表が14日、舛添要一厚生労働相と面会し、現行法では位置付けが不明確な「患者の権利」の法制化を求めた。政府の安心社会実現会議は6月の最終報告で2年以内の基本法制定を求めており、舛添厚労相は「広く議論できる場を考えたい」と述べた。

 要望書は「医療崩壊が進めば、医療は恵まれた一部患者のものになりかねない」と指摘し、安全で質の高い医療を受ける権利と患者の自己決定権を、医療政策の根幹に据えるよう求めている。舛添厚労相は「医療提供者と患者の協力で医療を守りたい」と述べた。

 会見した全国ハンセン病療養所入所者協議会の神美知宏事務局長は「患者が当然の権利を要求せざるを得なくなった原因は、財政優先で医療政策を進めてきた国にある。責任をもって法制化に取り組んでほしい」と話した。【清水健二】

Pacifica Quartet 

BSで放映された、上記団体の演奏を鑑賞した。ベートーベンの弦楽四重奏曲、ラズモフスキー1番と、アンコールに作品130の5楽章。

ラズモフスキー1番は、ベートーベン中期の傑作。とても充実した内容。冒頭から、チェロが気宇壮大なテーマを奏でる。緩徐楽章の歌が、また素晴らしい。作品130の弦楽四重奏曲の5楽章に、大いに感動した。エネルギーに満ち溢れ、人生の最も活動的な時期に作曲されたラズモフスキーから、また一つ先に進んだ音楽。以前にも記したが、この後期のベートーベンには高貴さと自由闊達さを聴くことができる。一連の後期の弦楽四重奏曲をもっと聴きこみたいと改めて思った。

Pacifica Quartetは、まだ30歳代前半、半ばと思われる若い演奏者の団体。そのサイトはこちら。米国イリノイに本拠を置く、新進気鋭の団体のようだ。全員素晴らしい技量の持ち主で、熱い情熱のこもった演奏を聞かせてくれる。特に1stバイオリンとチェロ奏者が、ソリスティックな技量を持ちながら、しっかりしたアンサンブルを作り出している。

ベートーベンの後期を改めて見直して、手持ちのスメタナ弦楽四重奏団とゲバントハウス弦楽四重奏団の演奏を聴き直している。作品132、15番イ短調が、私にとって、一番の曲。哀しみと喜びが、一つの音楽で同時に表されている・・・バッハの音楽に通じる重層構造の音楽。

Pacificaは現代音楽も録音を残しているようだ。手に入れてみたい。

こうした素晴らしい演奏をすべて経験するには人生は短すぎる。

「超急性期小児救命救急センター」創設? 

7月8日、中医協 診療報酬基本問題小委員会で、小児救急について議論されたとのこと。下記、m3医療維新より引用;

『小児救急医療については、日本は乳幼児死亡率は低いにもかかわらず1-4歳児の死亡率は高く、国 際的水準と比較するとOECD27カ国中17位であること、厚労省「重篤な小児患者に対する救急医療体制の検討会」の中間取りまとめにおいて超急性期を担う「小児救命救急 センター(仮称)の創設が提唱された』

確かに、1~4歳小児の死亡率は比較的高い。が、これの多くは、事故によるもののようだ。事故は、予防することが一番であり、そのための対策を作り、実行することが必要だ。さらに、経済的に成り立ちがたい小児救急医療への診療報酬引き上げと、それによる既存の高次小児救急医療機関でのスタッフの育成・増員が必要だ。

ところが、行政は、重症救急患者に対応する「超急性期小児救命救急センター」を新たに作るようだ。高次救命救急センターを充実させるということだったら理解できなくもない。しかし、小児科医療の中身に対する援助、人材育成なしに、ただ、「センター」という箱物を作り、さらにそこに行政の人間が天下りすることを考えているとしたら、大きな問題だ。政権与党のマニフェストでは、地域医療・救急医療の窮状を打開するために「基金」を作るとされている。「基金」は、行政が直接関わり、行政の利権の源になっている。これと考え合わせると、高次小児救急を出汁にして、行政が基金を通して箱物を作り、そこで利権に与ろうとしているのではないかとの疑いを抱く。

さらに、小児救急のより大きな問題は、軽症患者が高次救急医療機関に夜間・休日に押しかけることで、高次救急医療機関のスタッフが疲弊していることだ。その面でも、アクセス制限・患者教育といった、患者には苦い提言も行ってゆく必要がある。高次小児救急医療機関が本来の役割を果たすために、それがどうしても必要だ。

生きる 

昨日午後、一時退院している白血病の友人の家を訪ねた。同じ県内なのだが、大きな都市を横切る、ないし迂回せねばならず結構時間がかかる。日光山地が始まりかかる高台。スギの林が点在している。結構、家が建ち始めているのに驚いた。10数年ぶりだっただろうか。近くのスーパーまでご夫妻で出迎えてくださった。

彼の家は、北に向かって一段と小高くなったところにある。東と北には、高く伸びたスギの林。南側が遠くまで見通せ、心地よい風が吹き込んでくる。庭と、家庭菜園がとてもきれいに整えられている。出張先で発病し、幸運が重なって、東京の病院を経て、地元の基幹病院に運ばれたこと。そして、化学療法を受けた後、結果が分かるまでの時間がとてつもなく長く感じるということを伺った。全く効果がなかったわけではないが、寛解には入っておらず、これからの治療には大きな不安を抱えておられる様子。彼の体力はまだまだ衰えていない。岩登りと仕事で鍛えた腕には、皮下脂肪が殆どなく、筋肉がしっかり見えている。発熱等の問題も起きていない。また今週には入院になり、新たな治療が始まる。是非乗り切って、また彼の居心地の良い、家族の待つ家に元気に戻ってきてもらいたいものだ。

自宅に戻り、失敗作(笑)のツナカレーに、家内が手を入れて食べられるようになったもので夕食。夜9時からIARUコンテストが始まるのを知っていたので、それまで7メガで何局かと交信した。親しい友人は聴こえず。コンテスト開始とともに、無線機の火を落とし、音楽を聴く。ベートーベンのピアノトリオOP70-2。比較的有名な「幽霊」の次の作品だが、彼の充実した作曲時期に相応しい、堂々とした作品だ。寝るときには、このところ定番になっているブラームスのピアノトリオ1番。これほどまでに、表情豊かに弾けるものかと感心させられるジャンワンのチェロ。ヘッドフォンを使わなくても良かったので、いつの間にか夢の彼方へ・・・。

早く寝てしまったせいか、午前3時過ぎに目が覚めた。毛布が必要なほど、気温が低い。再び寝付かれず、無線機のスイッチを入れた。7メガがノイズも少なく、ヨーロッパ全域に開けている。さすがに、フランスやポルトガル、それに北欧西側の信号は強くないが、それ以外は、強い。殆どがS9+。これは、まさしく秋のCONDXだ。このサイクルでは、まだ太陽面活動がそれほど活発になっておらず、2011年から13年近辺に予測される太陽面活動の極気を迎えぬまま終わってしまうのではないかと言われ始めた。あぁ、そうすると、ハイバンドが世界中に毎日開けるあのCONDXを味わうには、70歳代まで生き続けなければならないのかと改めて思い、思わずふっとため息が漏れた・・・。

マスコミ人の欠陥 

ジャーナリズムで仕事をする方々には、自らが情報を発信する専門家だという強烈な自負心があるようだ。であれば、言葉遣いは勿論、取材対象の語る内容、意図を的確に把握する能力が要求される。特に、記事を公開する前に取材対象・原稿執筆者にチェックしてもらう、ということは専門家だからこそするべきことなのではないだろうか。

だが、私の乏しい経験でも、そのようなことを彼等は行なわない。自らの思い込み、シナリオに沿って、記事を構成し、場合によっては捏造する。大分前、新聞の取材を受けたことがあったが、内容は、取材とは大分異なるものになっていた。それは実害がなかったので、そのままにしてしまった。無線の雑誌に以前定期的に寄稿していた時に、「てにをおは」を頻繁に書き直され、時には内容まで変えられたことがあった。その書き換えで、意味がおかしくなってしまったこともあった。それには厳重に抗議し、それ以降、その雑誌には投稿したことはまったくない。先日、知人の紹介で、うっかりその雑誌に投稿してしまったのだが、内容は変えられなかったものの、各段落の見出しを勝手につけられてしまった。あぁ、編集者気質・余計な自負心は変わっていないのだな、と苦笑させられた。

「てにをおは」に手を加える程度ならまだ許せるが、自分のキャリアーと母校への思いを、新聞記者の思い込みと捏造によってずたずたにされた、若い医師がいる。その新聞記事に医師は強く抗議し、第三者を加えた内部委員会(?)が記事・担当記者等に対して批判的な総括を公表した。下記の記事。この批判的総括でも、まだまだ新聞記者には甘いような気がする。

http://www.asahi.com/shimbun/prc/20090711.pdf

新聞記事の誤報・捏造記事は、悪質だ。センセーショナリズムと、権力への阿りによって、何らかのシナリオを記者が作り上げ、それにそってインタビューの内容をでっち上げる。それは、自らの利得のためであり、記事によって傷つけられる人々のことを一顧だにしていない。記者の「思い込みと誤り」のためだったと謝罪して済む問題ではない。

医療事故では、思い込みや誤りがあれば当然のこと、それがなくても、医師は強く糾弾される。極めて大きな経済的・社会的なペナルティを課せられ、場合によっては、刑事罰の対象にされるのだ。

新聞記事・マスコミ記事を、インタビューに基づき書く場合、さらに社外の人間に記載を依頼する場合、公表する前に、インタビューをした人間・記事を依頼した人間にチェックを求めるのは、当然至極のことなのではないだろうか。それが出来ないなら、マスコミ人として失格である。能力以前の職業人としてのエートスの問題だ。

互助組織 

Jim W6YAとの交信中、やはり休暇やリタイアのことに話題が及んだ。彼は、週4日の仕事にまで減らしている様子。休暇を2週間程度とって、別な趣味のダイビングをしに、南太平洋に行くことがあるらしい。

休暇を取る間、歯科医同士のネットワークで仕事の代りをしてくれる医師がやってきて、彼の仕事をカバーしてくれるらしい。彼が30年前に開業してから、既にその地域に存在していた、10から12名のメンバーからなる組織のようだ。メンバーはこの程度の人数に限定し、リタイアする等して欠員ができたら、それを補充するという形で運用しているようだ。明文化された会則等はないが、メンバーの誰かが体調を崩したといった場合、そのメンバーの仕事の一部をカバーすることになっているそうだ。ただ、軽症の症例だけに対応し、複雑な症例の治療は延期する。この30年間で、Jim自身4回、他のメンバーの手助けに駆けつけた。自身の健康問題で一度お世話になったらしい。

こうした医師・歯科医師の互助組織は、以前は医局だったのだろう。私も海外旅行をした20年近く前に、当時の病院に以前所属していた医局から代理医師を派遣してもらったことがあった。開業してからは、医局と疎遠になってしまったし、医局にも派遣できる人材がいなくなってきているのではないだろうか。

開業当初は、莫大な借金を抱えて、病気に倒れたらどうするか、ノイローゼになりそうになったこともある。開業医を助けてくれるはずの医師会も全く無力、というかこうした問題には無関心。開業医同士で互いに助け合う組織が必要なのかもしれない。経済的な問題がからむが、開業医としては自分の仕事場が一時的にせよ閉院を余儀なくされることはどうしても避けたいことだ。Jimの所属している組織のように、小規模で互いに顔の見えるような組織が望ましいのではないだろうか。

Jim W6YA 

Jim W6YAとは、1980年代から交信を繰り返してきた。この数年来、彼がFOCに加入してから、とくに親しくさせて頂く様になった。60歳代半ばの歯科医。ロスアンジェルス近郊に住む。ここしばらく、家庭の事情や、家の改築工事で空には出てこなかった。先日、数ヶ月ぶりに交信。

今度の改築の目玉は、無線機を収納するコンソールを新しくしたこと。ケーブルの類は、すべて床下を通してあり、壁や床にケーブルが這うことはないようにした様子。Flying Wingと呼ぶ自慢のコンソールがこれ・・・。

Flying Wing[2] W6YA-1

彼は、30年前からLeucadiaに住んでいるが、昔から、とても強力な信号を聞かせてくれていた。1Km先に太平洋を望む高台に居を構えている。これが、その方向を見た庭の画像。

Lower Level[2]-1

サンデッキ。今度の改築で、もっと豪華なデッキにしたらしい・・・。

Old Deck[2]-1

Leucadiaの夕焼け。

Leucadia Sunset[2]-1


アンテナ群。14メガ以上は八木。マルチバンドのダイポールも上げてあり、八木とフェーズドアレー、または単独で使用し、コンテスト等に重宝している様子。7メガは、ループ。1.8、3.5メガは、そのループをバーチカルとして使用している。

W6YA 2008 Antennas[2]-1

少し旧い家族の写真。手前左がお嬢様。建築家だが、折からの不況で、現在就職活動中の由。後列左隣が奥様。

McCooks1[2]-1

来年のVisaliaに是非来るようにと言われたが、さて・・・。

硬直的な行政 

拙院の開業当初、以前の仕事関連の院外薬局業者が一緒に来てくれることになり、当初、拙院の隣に開設してくれるようにお願いした。小さな子どもを抱えたお母さん方が、できるだけ容易に薬局に行けるようにと考えてのことだった。

ところが、院外薬局を許可する地方自治体が、それではまかりならない、とのこと。設置場所を、車道を挟んだ反対側にしろとの指示だったと、薬局の方から伺った。院外薬局を経営面では当然のこと、「物理的に」医院から離すという行政の意向のようだった。その時には、仕方ないかと諦めた。

が、しばらくしてから、想像していた最悪の事態が起きてしまった。幼児が、お母さんの手を放し、車道に飛び出て、交通事故にあってしまったのである。頭部骨折外傷で1,2ヶ月の入院をされたのだと記憶している。

院外処方にしたことを些か後悔したが、院内処方では、収入が大きく減り、さらに余分なスタッフを雇わなければならなくなる。その後も、院外処方を続けた。薬局と拙院の間の車道に横断歩道のマークを入れてもらえないか警察に相談したが、民間のためにはそうしたことは出来ないとのことだった。道の横断に用いる黄色い手旗を準備したが、風で飛ばされて、その内無くなってしまった。

院外薬局は、患者の投薬情報を管理して医療の質を上げるためという建前で作られた制度だが、本質は、それまで医療機関が薬価差益というマージンを取っていたのをなくさせ、それを結局製薬会社と薬局に移転させることだったのだ。医療費を削減するためという大義名分もあったが、どれだけそれが実現したのだろうか。患者の投薬情報管理が、院外処方の導入で格段に進んだということはない、というのが私の実感だ。

医療費の適正な配分という観点から、院外処方制度を取り入れるのは致し方ないかもしれないが、医院外処方に関わる硬直的な行政が、患者への負担、場合によっては、上記のような危険をもたらしていることを指摘しておきたい。

同じような、硬直的な行政の臭いのする報道があった。もっとも、院外処方を積極的にすすめるべきだというキャンペーンを張っていたのが、同じマスコミでもあったような気がするのだが・・・。

以下、引用~~~

兵庫・三田の薬局、薬局外で薬受け渡し 「配慮のつもり」 薬事法施行規則違反
09/07/09
記事:毎日新聞社
提供:毎日新聞社


薬事法施行規則違反:三田の薬局、薬局外で薬受け渡し 「配慮のつもり」 /兵庫


 三田市の調剤薬局「わかくさ調剤薬局」が、院外処方の薬を患者の待つバス停などに配達していたことが分かった。県は、薬事法の定める薬の受け渡し場所にあたらないとして、今後こうした薬の受け渡しをしないよう口頭で指導した。

 県などによると、同薬局は昨年4月から今年6月末まで、約200メートル離れた三田市民病院の外来患者の求めに応じて、同病院近くのバス停などに薬剤師が薬を持参し、患者に販売していたという。薬事法施行規則では、処方せんで調剤した薬を販売する際の患者への説明は、特別の事情がない限り薬局で行わなければならない、としている。

 同薬局は、昨年4月に市民病院の院外処方導入に合わせ、同市薬剤師会の4人が経営者となりオープン。同病院は同会に「市民の利便性のため、努力をしてほしい」などと協力を求めていた。

 同薬局運営会社の永田久美子社長は「高齢者など、坂道を登って薬局まで来るのが難しい患者への配慮のつもりだった。昨秋から廃止を検討していた。指導に従いたい」としている。【粟飯原浩】

〔阪神版〕

新型インフルエンザ第二波に備えて 

マスコミが新型インフルエンザを余り取り上げなくなってきているが、こちら北関東の田舎では、ボツボツと感染者が見つかっている。感染者数は、診断されている人数よりもかなり多いはずだ。

先日、仕事場からの帰路、防災放送で新型インフルエンザ感染者がどこそこで見つかったとアナウンスしていた。新型インフルエンザが何故防災放送に乗せられるのか・・・異質なもの、日常生活に入ってきてはならないもの、そして何としても感染を断たなければならないものという発想なのだろうか。国が、慢延期に入っているとなし崩し的に認めた後遺症だろうか。

現在は、ハイリスク群への対応を一番に考えるべき時、そして来るべき第二波に備えるべきのはずだ。

この秋に押し寄せるであろう第二波への備えを、木村知氏がMRICを通して記されている。

患者予備軍の方々にも読んでいただきたい内容だ。

「現場を知らない人」の一節には苦笑させられた。現場を知らない人が、厚生労働行政を執り行っている過ちが、高毒性インフルエンザの感染時により明らかになるのかもしれない。それから、現場を知らない行政の改革を始めるのでは遅すぎるのだが。


以下、MRICより引用~~~

有限会社 T&Jメディカル・ソリューションズ
 代表取締役    木村  知  (きむら  とも)
             AFP(日本FP協会認定)
             医学博士      


 わが国における新型インフルエンザ(ブタ由来H1N1)確定感染者数が6月26日時点
で1000人を超えたという。おそらく把握されているのが1000人超というだけで、潜在
的には数倍から数十倍の感染者が存在すると思われるが、今後数ヶ月後には、実際に
百数十万~数百万人規模の新旧合わせたインフルエンザ患者さんが発生するものと思
われる。
 確実に到来する「その時」に向け、われわれ実地医家が今から準備できることを考
えてみたい。
 今回は、毎年多くのインフルエンザ診療に携わってきた経験から、患者さんから発
せられることが予測される要望や質問(FAQ)をシミュレーションしてみた。今年は季節
性のインフルエンザと新型インフルエンザの双方が混在して発生する可能性があるこ
と、そして新型インフルエンザについてのマスコミによる偏向報道、政府が行ってき
た数々の行き過ぎたアピールによって、国民の意識のなかに、かなりの不安感と恐怖
感が刷り込まれている状況にあること、などから例年に増して現場での混乱が危惧さ
れる。
 以下は、われわれがこの数年で蓄積してきた「過去問」に新型インフルエンザ蔓延
期を想定した「応用問題」を加えたものである。ぜひ、実際の臨床現場で今冬の混乱
に直面するであろうと思われる実地医家の方には、これらに対する適切な回答と対応
を今のうちから「予習」しておくことをおすすめしたい。なお、発熱外来を経由して
来院した患者さんを想定せず、あくまでも一般医療機関に「普通に」来院したケース
として考えていただきたい。

(要望編)
H1.「勤務先(学校)で、急に熱が出た。今すぐ検査してほしい。新型ではないという証
明が今すぐほしい」
H2.「数日後にどうしても休めない重要な仕事(学校行事)がある。迅速検査で陽性が出
て新型が疑われても、新型の追加検査はしないでほしい」
H3.「ほかの医療機関で迅速検査を受けて陰性だったが、心配なのでもう一度検査して
ほしい」
H4.「迅速検査で陰性でも、心配なのでタミフルを処方してほしい」
H5.「先日私はインフルエンザにかかってしまったが、現在治癒している。今のところ
症状はないが、心配なので家族全員の検査をしてほしい」
H6.「先日私はインフルエンザにかかってしまったが、現在治癒している。ハイリスク
の家族がいるので、念のためタミフルだけ処方してほしい」
H7.「治療により解熱したが、出勤(登校)する前に陰性を確認しないと出勤(登校)する
なと職場(学校)から言われている。念のため再検査してほしい」
H8.「出勤(登校)しても確実に大丈夫という治癒証明書(診断書)がほしい」
H9.「ほかの病院で治療を受けたが、もう治ったようだ。治癒証明書を書いてほしい」
H10.「鼻風邪です、と言われても心配だ。検査をしてほしい」
H11.「咳が出ているので早退させられた。職場(学校)から検査してくるように言われ
た」
H12.「職場の同僚(クラスの友達)に新型発症者が出た。無症状だが検査してほしい(検
査してくるように言われた)」
H13.「職場(学校)で新型が流行ってきた。不安なのでタミフルを処方してもらいたい」
H14.「ほかの医者でインフルエンザの診断を受けた。ハイリスクではないのでタミフ
ル処方不要と言われ、一旦納得して帰宅したがやはり不安だ。家族が受け取りにいく
のでタミフルだけ処方してほしい」
H15.「先日ここで検査したときには陰性と言われたのに、翌日ほかで検査して陽性反
応が出た。誤診を認め、謝罪と何らかのことをしてほしい」
(質問編)
Q1.「さきほどから悪寒がしてきた。この状況で検査したほうがいいか?」
Q2.「熱が出て何時間後なら確実に診断がつくのか?」
Q3.「迅速検査で陰性ならば多少熱があっても出勤(登校)していいか?」
Q4.「タミフル、リレンザを使わないと重症化するのか?」
Q5.「タミフルが効かなかった場合、リレンザに切り替えたほうがいいのか?」
Q6.「自分がインフルエンザ治療中に家族に発熱者が出た。自分に処方されたタミフル
を飲ませたところ熱が下がったが、それで大丈夫か?」
Q7.「10代なのでタミフルを飲ませなかったが、3日経っても解熱しない。今から飲ま
せても間に合うのか?」
Q8.「解熱後いつから出勤(登校)できるか?」
Q9.「この病院は待合室が分離されていないが、感染対策は大丈夫なのか?」
Q10.「ここの医師は、診察時に防護服を着用していないが、感染対策として大丈夫な
のか?」

 例年は、インフルエンザと他の発熱疾患を区別しておきたい、という要望が多いの
だが、今年はさらに、季節性なのか新型なのかを区別したい、という要望が激増する
ことが予想される。おそらく、今冬の流行ピーク時までに新型迅速検査キットが開発
され広く市中に頒布されていることはまず期待できないし、従来のキットでA型が検出
された全員に新型の追加検査を行うことも手間と時間がかかるため現実的ではない。
よって実際の臨床現場では、「新型かどうかはわかりませんが、とりあえずインフル
エンザです」と対応することになるだろうと予測している。しかし、そうなった場合
でも、「どうしてもはっきりさせたい」、とか職場から「どうしてもはっきりさせる
ように」、という「指令」が出ている患者さんへの対応をどうするのか、という問題
がある。おそらく厚労省からは「診察した医師の個別の判断で」という通達がきて、
このときばかり「医師の裁量権」が認められる事態になることは想像に難くないが、
今回はわれわれも初めての経験である。現場では、トラブル、クレームを避ける保身
をはかる観点から、「医師の裁量権」より「患者主体」の要望を意のままに受け入れ、
過剰検査、さらには過剰治療を行う状況に陥ってしまうことも容易に予測できる。
 しかし、いかにトラブルを少なくするかも大切だが、私自身は、今冬のパニックへ
の対策については、患者教育(嫌いな言葉だが)を中心に以下のような対応策が必要と
考えている。
 まず、発熱した場合は、あわててすぐに医療機関に駆け込まないように周知徹底す
る。丸一日は水分を十分とって自宅で安静にし、外出はしないのだ。一日経って症状
が持続するなら、その時点で医療機関への受診を考えればよいのである。発熱して24
時間以内に急変するような感染性疾患は通常経験しない。水分がとれて意識がしっか
りしていれば、例えインフルエンザであっても手遅れになることはないのだ。あわて
て右往左往せず、検査の正確性が多少でも上がった頃合いで医療機関に受診すべきで
ある。そして限られた医療資源を適正に使うためにも、典型的なインフルエンザの症
状を、もっと広く周知して、無症状や軽微な風邪での「念のため検査」は不要である
ことを、個々の医療機関からでなく、政府や各自治体から繰り返し国民や教育機関、
企業などに呼びかけることが必要だ。
 そして、万一インフルエンザに罹ってしまった場合は、個人はあわてず現実を受け
止めるべきである。一週間は自宅でゆっくり静養するのだ。大切な仕事や楽しみにし
ていた学校行事は、残念だがすべてあきらめねばならない。病気になってしまったと
きは、この「あきらめる」というのが実は大切なのだ。われわれ医療者からはなかな
か言いづらい言葉であるが、現実を受け入れたほうが治療に専念できるということを、
患者さんにわかりやすく説いてあげるのもわれわれの仕事である。しかし、患者さん
にゆっくり静養してもらうには、取り巻く社会環境にも、その考えに追従して協力し
てもらわねばならない。教育機関、企業の管理者への教育は重要である。危機管理対
策を強調するあまり、生徒、労働者に不要不急な負担を強いたり、不利な立場に追い
込むことなどが決してあってはならない。
 現場を知らないひとが考えつく対策としては、1)インフルエンザ感染が疑われるひ
とは時間帯を決めて来院してもらい診療所の入り口付近で迅速検査を行う、2)待合室
に仕切りなどおいて一般患者と区切る、3)検査に際して医療者はフェイスマスクと防
護服を着用する、などがあるが、1)2)について効果的に実行できる一般医療機関が全
国にいくつあるのかについての調査は済んでいるのであろうか?3)については、もし徹
底するなら患者さんが変わるごとにすべてを着替える必要があると思われるが、実際
可能なのであろうか?医療機関が講じなければならない準備はもちろんたくさんあると
思うが、実際に実行可能な対策を検討しなければ無意味である。
 そして、検査の限界についてもしっかりと周知すべきだ。時間的なもの、手技的な
ものも含め迅速キットですべて解決できるものではないことを、多くのひとに理解し
てもらう必要がある。水際検疫の実効性が強調されすぎたために、今年は迅速検査に
対してかなりの期待が持たれているに違いない。迅速キットを家庭でも使用できるよ
うになればいいというのは、私の持論ではあるが、あくまで補助的なものであり、そ
れがすべてではないと思っている。安易に診断できるという誤解をこれ以上国民に浸
透させない意味でも、政府は今回の水際検疫の有効性について勇気と誇りをもって一
度否定しておくべきであろう。
 そもそも、インフルエンザの診断はいつころから、「わりと正確に」できるように
なったのであろうか?インフルエンザ定点調査の資料を見てみるとおもしろいことがわ
かる。平成11年には定点施設あたり約15人で、定点合計が約6万5千人であるのに、翌
平成12年には同約160人、合計約77万人と飛躍的に増加し、以後毎年数十万~百数十万
人が定点医療機関でインフルエンザと診断されている。もちろんこれは近年インフル
エンザが流行しやすくなったわけではなく、迅速検査キットの開発とインフルエンザ
治療薬の普及によるものである。われわれがインフルエンザの早期診断と早期治療の
恩恵を授かるようになって、たかだか10年なのである。そのことを知らないひとがほ
とんどであろう。
 われわれ医者も含め、国民いや人類全体が、医療技術の発達を享受しつつ、それに
過信、依存しすぎることになってはいないか
。患者さんは、病院に行けば間違いなく
早期診断がつけられ、間違いなく適切な医療により早く治ると考えてはいないか。医
者も自らの診断技術、能力の向上を医療技術の発達と混同して思い上がりなどしては
いないか。
 今回のインフルエンザ問題は、医療技術発達によってわれわれ人類が見失おうとし
ている本質を思い出させてくれるのかもしれない。

生活保護がらみの「不正」な診療報酬請求? 

奈良の山本病院という医療機関が、生活保護の「患者」を集めて、不要な検査をしたり、行っていない検査を診療報酬請求したりしたとして摘発された。このケースが報道された通りだとすると、刑事告訴されるべき事案だと思う・・・それは、捜査の進展を見守りたい。

この一件で、医療機関のモラル頼みにはできないというマスコミの報道があった。果たして、それだけの問題なのか。一件だけで、すべての医療機関が不正をしているかのような論調には到底同意できない。

下記の記事にある通り、大阪市で、生活保護がらみの診療報酬請求上の過誤を行った医療機関とその額について調査を行った。その結果、過誤請求を行った医療機関・施術機関164件中、医療機関は12件だけである。

医療機関の関わった過誤件数は、90件。金額ベースでみると、過誤請求753万円中、一箇所の歯科医院が740万円の過誤請求を行っているから、その他の11件の医療機関が、過誤請求した額は、13万円だけである。

診療報酬請求の事務手続き上、誤りが起きることはしばしばある。そのかなりの数が、患者さん側の誤りによるものだ。医療機関側の誤りであったとしても、単なる事務的なものが大多数である。従って、診療報酬の過誤請求を「不正」と断定するのは、事実に反する。医療機関の詐欺的な行為は、ごく一部のものということだ。それを、この報道が裏付けている。さらに、生活保護がらみの診療報酬請求で過誤請求を行う多くは、「医療機関以外の施術機関」ということだ。

今回のエントリー内容は、m3BBS該当スレッドの内容を参考にさせていただいた。

以下、引用~~~

診療報酬1873万円不適切受給…大阪の164医療機関

生活保護世帯が全国最多の9万5000余を数える大阪市で2008年度中、医療機関側が生活保護受給者への架空の治療や施術を申告するなどして診療報酬を不適切に受給した ケースが、860件計1873万円にのぼることが、市の調査でわかった。

生活保護世帯の患者の医療費は、医療扶助で全額公費で賄われており、市は関与した164の医療機関・施術者に対し、全額を返還させた。

同市は、増加傾向にある生活保護費の約半分を占める医療扶助費の実態を把握するため、市内約7000か所の生活保護法指定医療機関のうち約30か所を抽出、カルテと診療報 酬明細書(レセプト)を照合点検する一方、同指定のあんま・マッサージ師や針きゅう師などの施術者らから聞き取り調査を行った。

その結果、12の医療機関が90件計753万円、施術者152人が770件計1120万円を不適切に受給していたことが発覚した。実際の診療内容と異なるレセプトを作成す るなどして約740万円を受け取った歯科医院や、不要な施術を繰り返すなどして約520万円を受給したマッサージ師もいたという。

医療扶助は、生活保護世帯の患者が区役所で発行される医療券などを持参して受診すれば、全額公費負担となる。医療機関は「社会保険診療報酬支払基金」を通じ、自治体から報 酬を受け取る仕組み。基金の審査はレセプトに記載された診療報酬点数の点検など簡易なものにとどまり、市が独自に点検を委託している財団法人「大阪市民共済会」でもカルテ との照合までは行っていなかった。一方、施術者は施術報酬請求書を直接自治体に送り、報酬を受給するが、市側は07年度まで請求書の点
検だけで、施術者や患者への聞き取り調査はしていなかった。

(2009年6月10日14時48分 読売新聞)

後発品の使用を強制する厚生労働省 

後発医薬品(後発品)には、効果・副作用の点で問題が多いことは何度か記してきた。そうした問題があるからこそ、後発品が多く用いられないのだ。

厚生労働省は、専ら医療費削減のため・・・それに、官僚の権益確保のために、安価な後発品を使うように以前から宣伝している。だが、その効果が十分上がっていない。

今回、地方厚生局が医療機関を「指導」する際に、後発品の使用を促すとのこと。地方厚生局は、今年から、医療機関の「指導」を直接行うことになったのだが、それにも多くの問題がある。この「指導」とは、経済的な指導であり、医療の内容の点では、意味の無いことが多い。指導を行う行政官
は、カルテの記載形式等のかなり枝葉末節を問題にし、医療機関から診療報酬を返還させようとすることが多い。本来、保険診療とは、保険者・行政と、医療機関が対等の立場で契約関係に基づき行われるもののはずだが、この「指導」は対等ではなく、また医療内容の点からしても噴飯ものであることが多い。

地方厚生局が「指導」に直接乗り出すようになったのは、社会保険庁の余剰人員を受け入れて、その仕事を作り出すためという話がある。医療内容から離れたところで、後発品の使用を「強制」することも、地方厚生局の点数稼ぎである可能性が大きい。積極的に「指導」を行うようになったことと合わせて、この「後発品の強制使用」にも重大な関心を払う必要がある。

後発品の問題点が解決されれば、医師は率先してその薬を使うことだろう。しかし、行政は、そうした問題解決を行わず、強制力を使って、後発品を使わせようとする。そのしわ寄せは、薬を投与される患者さんが受けることになる。

高価な先発品の薬価はそのままに、安価な後発品を行政が率先して売り込む構図の背景には、厚生労働省官僚の天下り先として、先発品製薬企業だけでなく、後発品製薬企業があることも勿論のことである。



以下、引用~~~

保険医療機関及び保険薬局に、後発医薬品使用促進規定の周知徹底を要請 
09/07/03
記事:WIC REPORT
提供:厚生政策情報センター

 厚生労働省が7月1日付で地方厚生(支)局の医療指導課長に宛てて出した、「後発医薬品に係る保険医療機関及び保険薬局に対する周知徹底」に関するもの。

  通知では、後発医薬品の使用促進を図っているが、平成20年度に実施した「後発医薬品の使用状況調査」では、一部に、後発医薬品を使用しない強い意思を表示している保険医療機関・保険医や、患者への説明及び調剤に積極的でない保険薬局が見受けられたことを指摘している。その上で、平成21年度に実施する後発医薬品の使用促進策(P2参照)の一環として、各地方厚生(支)局において実施される保険医療機関及び保険薬局対する適時調査や集団指導等の際に、療養担当規則等における後発医薬品の使用促進に係る規定の周知徹底と遵守状況の確認及び必要な場合には指導をするよう要請している(P1参照)。

 資料2には、厚労省が同日に発出した、「後発医薬品に係る保険医療機関及び保険薬局に対する周知徹底等に関する取扱いについて」の事務連絡を掲載している(P3~P4参照)。事務連絡では、周知徹底等の実施方法等、適時調査及び指導の際に実施する聴取の内容などが示されている。


大きな決断、小さな一歩 

昨夜、10時過ぎにBob W7BVにお会いした。昨年、春に我が家を訪ねられた、アリゾナ大学の生理学の教授だった方だ。数ヶ月ぶりだね、と再会を互いに喜び合った。彼は、つい最近、ノールウェイへの研究がらみの最後の旅行を終えたばかりだとのことだ。学問領域では、あと二つ論文を仕上げると、すべての仕事が終了するとのこと。

研究生活を終えるのは、どのような気持ちか尋ねた。後ろ髪を引かれる思いなのか・・・それとも、きれいさっぱりという気分なのか。研究生活を終えることで、本当にホッとしているという返事だった。これは以前お会いしたときにも伺ったことだったが、丁度研究室を離れる時期に経済不況の波が押し寄せ、研究資金を手に入れることが難しくなってきたのだった、ということだ。

日本にもまた来てみたいとのことで、大きなハムの集まりはないのかと尋ねられた。ハムフェアが8月中旬に開かれることをお教えした。8月は暑いのでは、というので、その通り、しかし、室内で開催されるから、大丈夫とお答えした。どうも暑さを避けて、秋以降に来日したそうな様子だった。研究上知り合った研究者達との再会も望んでおられる様子だった。

Bobに刺激されたわけではないが、私もいよいよリタイアへの小さな一歩を歩みだす決断を下した・・・というと、いささかオーバーなのだが、毎週水曜日午後を休診にすることにしたのだ。これは、1年くらい前から考えに考え抜いたことだ。たかが半日の休診でオーバーではないかと言われそうだが、開院以来、休みは殆ど取ってこなかった。開院後数年間は、文字通り365日仕事場に足を運ばない日はなかった。が、そろそろ、ソフトランディングか、または離陸か分からないが、仕事の規模を小さくする方に舵を切るべき時が来たと思った。スタッフのこと、患者さんのことを考えつつ、来るべきリタイアに向けた一歩だ。

そのように決断すると、とても気がラクになるもの。水曜日の午後には、庭仕事をしたり、買い物に出かけたり、またアンサンブルも出来るかもしれない。Bobが、ホッとしたという気持ちを僅かながら分かったような気がする・・・しかし、先は長いなぁ・・・。

厚生労働省の資料はすべからく・・・ 

昨年の診療報酬改定で、医療機関とりわけ診療所の多くは大きな減収に見舞われた。

厚生労働省が、その結果を公表したのだが・・・診療所の入院外一件当たり点数(すなわち、外来患者さん一人当たりの売り上げ)が16%増とのこと。これは実態と大きくかけ離れている。

それもそのはず、『抽出された』医療機関で人工透析専門のクリニックなどが多かったと厚生労働省自身が言っている。要するに、元来点数の高い人工透析専門クリニックを意図的に多く含めた、と告白しているのである。抽出されたのではなく、意図的に抽出したのである。もし、偶然そうなったのなら、統計として意味がないので、統計を取り直すべきはず。それをしないで公表しているのは、意図的な操作をしたということだ。

これを、来年の診療報酬改訂で、診療所の収入を減らすための基礎データとする積りなのだろう。医師の労働時間といい、外来診療時間のデータといい、厚生労働省官僚のやることは、すべてこの調子だ。結論先にありきの諮問会議で、その結論に沿うデータをそろえて、予め決めた方向に行政を持ってゆく。彼等の頭の中には、統計の「と」の字も無いのである。数値は、国民をごまかすための道具にしか過ぎないのだ。

以下、引用~~~

外来の初再診、1日当たり6.3%減 08年診療行為別調査
09/07/01
記事:Japan Medicine
提供:じほう


 厚生労働省が6月25日に発表した「2008年社会医療診療行為別調査の結果概況」で、入院外の「初・再診」が1件当たり前年比5.9%減、1日当たりで同6.3%減だったことが分かった。厚労省統計情報部社会統計課は08年度診療報酬改定での外来管理加算の見直しの影響が大きいと見ており、特に診療所への影響が顕著としている。 

 入院外の「初・再診」点数は1件当たり215.5点、1日当たり119.0点。このうち再診料の外来管理加算の1件当たり点数は前年より10.5点減り、診療所に限ると10.2点減少となった。また診療所の同加算の算定回数は、前年より約1700万回減少していた。

 ただ、診療所の入院外の1件当たり総点数は1289.6点(前年比16.0%増)、1日当たり総点数は672.7点(同14.5%増)と増加傾向がみられた。特に「処置」の伸びが大きく、厚労省は抽出された医療機関で人工透析専門のクリニックなどが多かったことが要因の可能性がある」と分析している。



救急診療所の疲労と、鮭釣り旅行の楽しみと・・・ 

仕事を終えて、夜間救急診療所に出かけた。コンビニで、おにぎり等を買い込み、出陣。6,7名の急患。喘息発作の幼児が来院した。月に一回程度コンスタントに発作を起しているらしい。吸入で一応良くなったが、完璧ではない。この救急診療所には、一次小児救急に必要な薬が揃えられていない。何度か助言したことがあったのだが、改善されず。まともな救急診療所にしたくないという意向なのかと疑ってしまう・・・ま、ガタガタ言っても何も変わらないし、この医師会との付き合いもこれからそれほど長くはないだろうと思い、黙っていることにした。

救急診療所の医局のソファーに腰をかけ、テレビでプロ野球を見るともなく、観ていると、疲労感が湧き上がってくる。

自宅に帰り、自分の部屋に落ち着く。7027辺りで、Steve W7QCがFred K1NVYとラグチューをしていた。Steveは、Bill W7GKFそれに現地のJohn KL2AXと、アラスカ南東部のプリンスオブウェールズ島に旅行に来て滞在している様子。Fredが、行きたくないが仕事にでかけなければならないと引っ込もうとすると、Steveは、しっかり仕事をして、自分達のために社会保障の金を稼いでくれよと突っ込んでいた。思わず、苦笑。

彼等の交信終了後に声をかけた。鮭を採って、アスパラと一緒に食べるのだと言って楽しそうであった。ついで、Billがパドルを握り出てきた。昨日、Steveが鮭を捕まえたときの笑顔を見せたかった、とのこと。Billは17歳の時から、毎年夏当地にやってきて、鮭加工業の仕事をしていたそうだ。当地が、第二の故郷のようだとのこと。金曜日に、WA州への帰るとのことだった。