Prose W4BW 

Prose W4BWのことは、以前にまとめて、どこかに記したかと思ったが、そうではなかったようだ。Tim VK3IMと昔話をした際に、彼の口から出てきた、懐かしいコールの一つとして以前のポストに記してある。

懐かしいといっても、彼が92歳でサイレントキーになったのは、まだ8年前のことだ。彼と頻繁に交信をしていたのは、90年代前半までだったろうか・・・彼の奥様が亡くなり、フロリダからニューヨークに、彼が移り住む前までのことだった。

私が無線にカムバックした80年代に、Proseとはしばしば交信させて頂いた。日の落ちる頃、フロリダはTallahasseeという打ちにくい地名の町から、7メガで強力な信号をこちらに送り込んでこられた。時にキーボードを用いておられたが、大体は、キーヤーで、ゆっくりした速度のCWであった。CWは、名手であり、送信し間違いは殆どなし。悠揚あい迫らざるキーイングで、周期の長いQSBを伴い、こちらに届く信号は、本当に忘れえぬものだ。それをどのように表現するか困った私は、とっさにMANLYだと申し上げたら、笑いながら気に入って下さった。リグは何をお使いだったか・・・昔、コリンズの技術者をしておられて、SラインだったかKWM2の設計に携わったと仰っていたので、コリンズだったのかもしれない。

アンテナが、フルサイズの3エレで、自立タワーに載せてあった。周囲は、低い潅木の続く平原だったようで、信号が強力なのは当然のことだった。当時80歳を過ぎておられたと思うが、自作のアンテナエレベーターに乗って、アンテナの保守をしているとのことだった。ワイアーで、座椅子のような乗り場を上げ下げする簡単なエレベーター。いかに安楽かと、そのエレベーターに座って、片手にウイスキーグラスを持ち、にっこり微笑んで撮った写真を送っていただいたことがあった。タワーの頂から撮った周囲の写真もあったはずだ・・・。

それらの写真、どこかに保存してあるはずなので、スキャナーで取り込んでみたいと思っている。お子さん達は既に独立され、Ellanieというお名前でいらっしゃったか、奥様と二人の静かな生活を送っておられた。やがて奥様が体調を崩され、亡くなられたのを境に、プッツリと彼の信号が聞こえなくなってしまった。風の便りによると、養老院のような施設に入られたとのことだったが、彼の死を報じるQCWAの、この記事によると、お嬢様の住むニューヨークに移り住み、亡くなる直前まで無線を愉しんでおられたらしい。それを知って、お目にかかれなかったのは残念なことだったが、彼にとっては、ご家族が近くにおり、無線もできる平安な晩年だったのだろうと知り、ホッとしたことだった。

その記事にも記してあるが、彼は、FCCの民生・アマチュア無線部門の責任者を1970年代に数年間勤めたらしい。あちらの官僚は、政権交代と共に、交代すると聞いていたが、Proseのように実務を良く知る人間が関連する行政の責任者を務めることが、どこかの国の官僚とは大違いだ。彼は、WARCバンドの創設に力を尽くしたようだ。米国のアマチュア無線の免許制度は、費用、手間、それに希望するコールサインを得られるシステム等々、わが国とは大違いである。リグ毎に、許認可を得ることや、固定と移動の二種類の免許があるわが国の制度を、米国のハムに説明することは難しい。彼等にとっては、信じられないことなのだ。米国にも官僚制度の問題はあるかもしれないが、アマチュア無線に限れば、とてもフレキシブルな制度になっている。勿論、ARRLとJARLの体質の違いもあるのだろう・・・JARLほど膠着した組織もない。Proseのようにアマチュア無線を実際に晩年になるまで愉しむような、アクティブなハムが、官僚を務めていることも、かの国の制度の合理性にも寄与しているのだろう。

最近、日の沈む頃、7メガでダイアルを回すことが時々あるが、Proseが活発に聞こえていた時代とは様変わりし、バンドが静まり返っている。あの良い時代は、確実に過去のものになってしまったのだろうか・・・。

公的医師派遣斡旋業は上手く行くか? 

行政が、医師を派遣する事業を各地方自治体で始めるように、国が支援する様子だ。地域医療支援センターの整備である。予算を国と、地方自治体で折半するらしい。その目的は、、地域医療に従事する医師のキャリア形成の支援、医師不足病院への医師の派遣調整・あっせん(無料職業紹介)となっているが、医師の派遣斡旋が実質的な目的のように思える。

大学医局(の人事機能)を潰しておいて、医師を派遣する事業を、行政が引き継ぐことを、以前から行政は考えていたようだ。医療を支配する行政の意図の一環なのだろう。単発的に、県単位でそうした事業を行っている。だが、上手く機能しているという話しは全く聞こえてこない。大野病院事件後の福島県も、医師のリクルート事業を行っていたが、私がフォローしていた限りでは、求人は100件前後あったのに、一人か二人の就職を斡旋しただけだったような気がする。その後、就職斡旋ケースの公表を止めてしまったような・・・。

で、今回の地域医療支援センターのモデル事業を展開しているのが、高知医療再生機構とのこと。サイトはこちら。

同機構の本部は、県庁に置かれており、幹部の名前から、高知大学医学部の教授が含まれていることは分かるが、恐らくは、地方自治体の(元)官僚も含まれているのだろう。動いている事業としては、遺伝子実験をする施設が許認可を受ける際に必要なソフトの販売と、医師の派遣斡旋事業位しか、サイトからは読み取れない。そのソフトの納入実績も数件だけ。医師派遣斡旋事業は、41の医療機関から求人が上がっているが、それに対して、どれほど実際に派遣できたかは分からない。財務状況は、まだ出来たばかりだし、内容が良く分からないのだが、1,2千万円の赤字になっている様子。これは、国と県がカバーするのか。

高知と言えば、PFIで手痛い失敗をした高知医療センターがあったはずだが、行政は、まだ懲りずに、医療の支配に手を染めるらしい。それをモデル事業として持ち上げる、国も国だ・・・。

行政による、医師人事の支配は、よほど強権的なことを行わない限り、上手く行かないことを予言、というか確言しておきたい。大学の医局の功罪は、様々あるが、基本的には、同じ職業をする先輩後輩の間柄によって生まれる、一種の信頼関係によって動いていた面が強い。行政には、それがない。医師は、自らのキャリアーを向上させるためであれば、地方自治体の枠組みを超えて、または国境も越えて、動く。それにも、行政は対応できないだろう。

地域医療の崩壊が、医師を上手く動かせばくい止められる、と考えている、国・行政は、甘いの一言だ。現に、今地域医療を支えている医師の労働条件を何故改善しないのか。その根本的な問題を解決しないでおいて、若手医師を上手く動かして、何とかしよう、医師を動かす組織に利権を求めようという、行政・官僚の浅はかさ、強欲さにはあきれ返る。

日テレの愚挙 

日テレが24時間テレビという番組を、今週末に放映する。

そこで、無介助分娩を感動ものに仕立てて流すらしい。29日午前8時前後。

お産は、リスクの伴うもの。介助なし、医療なしでは、1000人生まれる赤ちゃんの内、100人、200人が命を落とす可能性が高い。母体も危険にさらされる。日テレは、その無介助分娩を、テレビで賛美するらしい。

マスコミは、視聴率を稼ぐためには、何でもやる。人命が関わろうが、お構いなしである。

ここと、ここと、ここのサイトを参照の上、ブログ・ウェブサイトをお持ちの方は、日テレの愚挙を是非記して欲しい。周囲にこの愚挙について語ってもらいたい。日テレに抗議の意思を示そう。

もうしばしの猶予を・・・ 

2,3日前、7メガでFred K6KXに会った。このコールはしっかり記憶していた。が、誰かから彼のことを聞いていたことは覚えていたのだが、Fredの名前・以前の交信そのものの記憶が曖昧なのだが、と話した。彼のことを私に話したのは、Nathan KO6U又はChuck W5UXHではないかとの返答。そうだ・・・彼等の何れかだった・・・。

彼は、私のことを良く覚えていてくれる様子だった。チェロを弾いているか、まだリタイアをしないのか等々、私の関心事を次々に尋ねてくる。ピアノトリオで弾いている曲、トリオの他の二人の話などをすると、昨年から変わっていないのだね・・・と、彼。うわぁ、記憶力にこれほど差があるとは、と少し落ち込んだのだが、彼は、ロギングソフトとノートに記録をつけているとのことだった。少し、安心だ。

で、私のつけている備忘録をめくってみると、ほぼ1年前に彼と交信した記録があった。投資コンサルタントを7年前(現在から見ると8年前)にリタイアしていること。それに、母上の具合が悪く、オハイオに様子を見にしばしば出かけること。彼は、アマチュアピアニストでもある・・・このような内容は、昨年このブログにもアップしてあった・・・トホホである。

彼は60歳代半ばと勝手に思い込んでいたが、まだ58歳だそうだ。ピアノは、5歳から18歳までレッスンを受けていたらしい。最近、パートタイムの仕事を再び始めたとのことだった。

投資の話から、日本の経済状態の話題になった。日本では、労働人口と年金受給人口の比率が1に近づいている。それに過去20年間deflationから脱却できていない。投資先は、BRICSだね・・・との返事。投資も、単一の会社や投資信託ではなく、グループで投資することだ、とのこと。まぁ、これから投資でもあるまいとは思ったが、日本の状況を的確に捉えていると思った。人口が少なくなり、経済の規模も縮小する一途を辿ると思うと言うと、アフリカのような爆発的に人口増加している国は、貧しいままなのにね、とFredは応える。

そうだ、米国主導のglobalismが、そのような貧富の差を生んでいるのだと思うと率直に言った。中東のテロリスト達の暴力を認めないが、彼等の行動にはglobalismに抗するという側面があると申し上げた。確かに、globalismは問題であり、その国の文化を尊重しなければなるまいとFredは応えた。プライムローンの破綻で、米国のglobalismが上手く行かないことが顕になったのだから、他の道筋を考えなくては、と申し上げた。

かなり大雑把な議論にしかならなかったが、投資コンサルタント(その前は、保険会社でactuaryとして仕事をしていたらしい)としての彼の言葉には重みがある。今度は、スティグリッツを読み直して、議論を挑まなくてはならない・・・。

彼の切れ味の素晴らしいキーイング、それに意味のある内容の話にしばらく心地よく耳を傾けた。彼は、あちらの朝早い時間にはあまり空に出ることはなく、たまたま水を飲むために起きだし、無線機の前を通りかかったら、私のコールが聞こえたので呼んだということだった。Berkeleyから3エレのビームで出てくる彼の信号は安定している。また、私のhang outのスポットに耳を傾けて欲しいと言ってお別れした。

交信内容を記録することを本格的に考えないと、同じことを繰り返し話すことになりかねない・・・おぉ、私の歳よ、もうしばらくの猶予を与えたまえ・・・。

CW受信とワーキングメモリー 

榊原洋一著「アスペルガー症候群と学習障害」を読み進めている。上記疾患の入門書・啓蒙書の類なのだが、この中に、興味深い知見が記されていた。専門家にとっては、分かりきったことなのかもしれないが・・・。

人が何事かを意識的に行う場合の精神機能の局在が、大脳上で分かったということだ。右前頭前野に局在する、ワーキングメモリーという機能だ。これは、生理学で言うexplicit memoryとほぼ同義なのかもしれない。

ワーキングメモリーとは、現在行っている行動に関係した精神的な作業の手順と、それに関連した参照記憶をとどめておく場所のことらしい。コンピューターのRAMに相当するとも言える。

ワーキングメモリーの機能をまとめると・・・

1 いまやっていることを意識に留めておく
2 いまやっていることを続けて行う
3 順を追って行う作業の模倣
4 いまやっていることを過去の記憶と比較する
5 これからやることを過去の記憶と比較する
6 少し先まで推測する
7 現在の自分の状態を省察する・・・内なる自分に対応する
8 時間経過の意識
9 一定のルールに従った作業の遂行・・・これはコンピューターのソフトウェアに相当する
10 個々の作業の前後関係の調節

ワーキングメモリーには、直近の記憶と、現在行っている行動を遂行するためのに必要な作業手順がある、と言えるらしい。また、この作業の場で活躍する知能も、幾つかに分類されて、各知能は特定の神経組織(モジュール)と対応すると仮定されている。

この説明を読んで私が何を思い出したのか・・・そう、CWの暗記受信における一連のプロセスだ。時間の流れの中で、過去・現在・未来を行き来しながら、意味を理解し続ける一連の作業も、このワーキングメモリー上で行われるに違いない。そして、言語・論理といった知能が、ワーキングメモリー上で動くことになるのだろう。

CWという最も単純な情報が、大脳のなかでどのように処理をされ、さらに理解されるのか、CWを愉しむ者としての関心だけでなく、認識論的な興味も湧いてくる。実際、CW受信が、読むことに関連するという知見が過去に報告されていることを、ここでも記した。今後は、CW訓練・CW受信過程で、どの大脳部位が活性化されるのかが分かるようになってくるだろう。そうした文献も紹介して行きたい。

黒いジョーク 

CWopsのMLで流れてきた、現実にあった笑い話・・・最初笑ったが、やがて少し背筋が寒くなった。

世の中、ネトウヨがうろうろしており、再軍備せよ、某国に対して軍事的なバランスをとれ、という声もあちこちから聞こえてくる。が、軍隊は暴力装置であり、その暴力は自国民に対しても時に向けられることを忘れてはいけない・・・。

イージス艦が漁船と衝突した事件を想い起こしてしまった。

以下、MLより引用~~~

This is a transcript of an actual radio conversation of a US naval ship with Canadian authorities off the coast of Newfoundland in October 1995:

*Americans: Please divert your course 15 degrees to the North to avoid a collision.*

*Canadians: Recommend you divert your course 15 degrees to the South to avoid collision.*

*Americans: This is the Captain of a US Navy ship. I say again, divert your course.*

*Canadians: No, I say again, you divert your course.*

*Americans: THIS IS THE AIRCRAFT CARRIER USS LINCOLN, THE SECOND LARGEST SHIP IN THE UNITED STATES' ATLANTIC FLEET. WE ARE ACCOMPANIED BY THREE DESTROYERS, THREE CRUISERS AND NUMEROUS SUPPORT VESSELS. I DEMAND THAT YOU CHANGE COURSE 15 DEGREES NORTH - THAT IS ONE-FIVE DEGREES NORTH, OR COUNTER MEASURES WILL BE UNDERTAKEN TO ENSURE THE SAFETY OF THIS SHIP.*

*Canadians: This is a lighthouse. It's your call!*

マスコミが、臓器移植の情報公開を要求しているが、さて・・・ 

脳死での臓器移植に関して、情報を公開しろと、マスコミが主張している。

脳死移植について、国民の信頼を得るために、透明化が必要であり、そのためには情報公開を、マスコミに対して行なえという主張である。

マスコミに情報を公開すると、一体何が起きるか。まずは現場にドカドカと土足のまま、記者達が入り込む。情報を得るためと称して、やりたい放題をやる。そこで、医学的に症例の難しい経過と、ご家族の心情という、十分な臨床医学の知識経験と最もデリカシーの必要とする情報が、記者達の思い込みと、一方的な解釈で、せいぜい1,2分または数十行の記事にまとめられて、全国に送り出される。

臓器移殖についての厳密で、医療倫理に則った議論は、必要だが、それはマスコミの能力を超えている。そのことを、これまでマスコミ自身が実証してきたではないか。


以下、引用~~~


「家族の意向」盾に取るな 理解得るため情報公開を 核心評論「脳死移植」
2010年8月23日 提供:共同通信社


 近畿地方の病院に入院していた男性が19日、脳死と判定され、心臓や肝臓などが提供された。改正臓器移植法の下では2例目だが、1例目と同じく重要な事項まで「家族の意向」で公表されず、情報公開は旧法時代より後退した印象を受ける。移植医療に欠かせない国民の理解促進のために、家族のプライバシーや心情に配慮しつつ、情報の開示を進めるべきだ

 改正法の特徴は、本人の意思が不明でも家族の承諾で臓器提供できるようになったこと。本人の書面による意思表示が必須だった旧法に比べ、家族が決断に至る経緯や、本人に拒否の意思がないことの確認プロセスの重要性が増した。

 だが、1例目で日本臓器移植ネットワークは、提供を切り出したのが病院か家族かは「答えられない」とし、今回の2例目では移植ネットが公表の基本項目と位置付けている死因(原疾患)も伏せられた。

 さらに、旧法下では約80%のケースで明らかにされてきた病院名が非公表となり、病院も会見に応じなかった。いずれも家族の意向を理由にしているが、情報不足は否めない

 脳死移植は情報の秘匿と公開のバランスの上に成り立っている。提供者や移植を受ける患者の特定につながる要素が非公表なのは、両者の間で金品のやりとりや精神的な負担が生じるのを防ぐためだ。

 一方で、他者の死を前提とした特殊な医療であり、国民の理解がなければ実現しない事情がある。このため、一定の情報を公開して透明性を高め、信頼を積み上げてきた

マスコミに情報を公開すると、透明性が高まり、国民の信頼が積みあがってきた・・・この根拠不明の自尊心には恐れ入る。マスコミが、まず透明で信頼のおける存在なのかどうか、そこから議論を始めよう。

 改正法施行後の2件は、残念ながら秘匿に傾きすぎている。少なくとも、提供の選択を病院、家族のどちらが、いつ提示したかといった基本的な経緯はオープンにすべきである。

 精査は、厚生労働省が専門家でつくる「検証会議」で行えば十分との考え方もあろう。しかし、改正法施行後1カ月余りで2件というペースが続けば検証は追いつかず、情報不足が続くと透明性は保てなくなる恐れがある。厚生労働省と移植ネットは、情報公開の在り方を見直してほしい。

検証会議の代わりに、マスコミが検証をし、透明性を確保すると言いたいのだろうか。マスコミの医療報道が、医療をどれだけ混乱させてきたか、マスコミはまだ分からないのか。

 家族の同意に関係なく自ら明らかにできることもあるはずだ。例えば「脳死にならないよう治療を尽くしたか」という点だ。最善の治療を行うことは脳死移植の大前提であり、答えられるのは主治医しかいない。全力で救命措置に当たったと推測するのと、主治医が語るのでは重みが違う。病院名を伏せ匿名で会見することも検討すべきだ。

最善の治療を行なっても、それが不十分であると事後になって追及するのが、マスコミの得意技。 

改正法施行で15歳未満の子どもからの臓器摘出が可能になった。同時に、18歳未満では虐待がないことを確認する義務が発生し、説明責任はさらに増す。その時に「把握していない」「言えない」では、移植医療への信頼が大きく損なわれることになる。

まずはマスコミの信頼がどうなっているのか反省してから、このような言い分を出すべきではないのか。

医療行政に警察権力を導入しようとする愚かさ 

厚生労働省内で、医療行政について提案を受け、競い合うコンペティションが行われたらしい。

その中の一つが、医療機関の指導監査の実務に当たる官僚から出された「保険医療指導監査部門の充実強化」にかかわるもの。

医療機関もピンキリで、酷い内容の医療を行っているところも稀に耳にするが、大多数は、真面目に患者のために医療をしている。この提案者向本氏は、その悪い方の医療機関を摘発するために、警察庁・警視庁からの出向者を指導監査部門に受け入れることを提案したらしい。

ごく一部の問題のある医療機関に対処するために、その他多くの医療機関への指導監査にも、こうした警察権力を利用しようと言う発想だ。

この提案は、受賞しなかった様子だが、それでも、厚生労働省の指導監査の現場の人間から、このような発言が出ることは、大いに問題だ。

この指導監査という行政事業は、専ら、医療費を削減すること「だけ」を目的に、医療現場の実情から乖離した行政によって定められた規則を杓子定規に適用することで行われている。そこに、警察権力を導入したら、医療現場は萎縮し、さらに混乱するに間違いない。行政規則だけで医療を行うことはできない。もしそれが強制されたら、結局は、国民が痛みを負わせることになる。

元検察官の郷原信郎氏が、その著書「検察の正義」で警鐘を鳴らしているように、これまでの検察(警察権力も含めて考えて良いだろう)の正義が揺らいでいる。検察は、社会の「辺縁」にある犯罪を摘発し、排除することを仕事としてきた。社会内部には直接関わらない、「辺縁」の犯罪を排除する、検察の正義の正当性は問題にされることはなかった。だが、社会の「中心」にある経済・政治・医療といった問題を積極的に扱うようになって、検察の正義の正当性が揺らぎ始めたというのだ。そうした社会事象に検察が関与することによって、社会に大きな負の影響をもたらし始めたのだ。医療従事者としては、福島県立大野病院事件を想い起こす。郷原氏自身もそれに言及している。

警察・検察権力の行使を、医療の場で行うべきではない。行政は、自らの権力基盤を強くすることだけを目指してはならない。医療の適切さは、行政、ましてや警察権力によって判断できない。驕るな、行政よ、と言いたい。行政は、どこまでも自らの権力基盤を強くし、その利権の範囲を拡大しようとしている。

我々医療人は、こうした不適切な警察権力の介入を行わせぬように、専門家同士によるpeer reviewの制度を作り上げるべきなのだろう。そうした動きが、行政・医師会等に全く見られないのは嘆かわしいことだ。


週末と、雑感と 

朝、菜園の手入れをし、芝生の雑草を抜く作業をしばらくした。午前9時頃でも、照りつける太陽がじりじりと肌を焼くようだ。茄子を数個と、トマトを2個ほど収穫。身体を動かすと、気分がしゃきっとする。

急患3名。一人は、肺炎の可能性があり、昨日のCRPが6+と高かったので、近くの基幹病院に送った。一人でなければ、XPを撮り点滴をして頑張るのだが・・・リスクは負えないし、もうそれだけの元気が出てこない。昨夜、Steve N6TTに、今日の午前中は急患の対応で終わるだろうと言ったら、そのように開業医が過ごすことは信じられないと言っていた。あちらでは、時間外に具合悪くなったら、「ER」に駆け込み、何時間も待たされてようやく治療を受けられるということのようだ。「ER」で、外傷のために血を流しながら、治療の順番を待つ患者を見かけたことが何度もあるということだった。

いや、日本もアメリカナイズが始まっており、開業医が救急対応をするのは、今後どんどん減ることだろうと応えた。開業医の平均年齢が60歳程度。リタイアする者、仕事の規模を縮小する者が、この開業医群のなかから、この10年間の間に相次いで出ることだろう。行政は、診療報酬の僅かな上乗せで、現実には無理な24時間対応をさせようとしているが、そのようなせこい小細工で、この動きは止まらない。この数年以内に、救急患者が救急を扱う医療機関で数時間待ちという事態に確実になるだろうと思う。すでにそれは始まっている。ということを、Steveに言ったが、あまり関心を持たない様子だった。確かに、自分が医療を受ける立場にならなければ、自国の医療制度にさえ、あまり関心は持たないのだから、他国の制度等には関心の持ちようがないのだろう。

m3という医師専用とされるサイトのBBSで、最近、ある女医さんが亡くなられたことを知った。彼女は、かなり進行した子宮体癌で、その診断を得た辺りから、医師仲間に治療法のアドバイスを求めてスレッドを立ち上げておられた。手術を受けられ、その後化学療法と放射線療法を受け続けておられた。決して泣き言は言わず、カラッとした文章で、その時々のことを綴っておられた。ご家族のこと、仕事のことそして愛されていたお酒のこと等。いつしか、そのスレッドには、悩みを持つ方、また進行した癌の患者の医師、それに応援団の医師達が沢山集まり、彼女を中心に会話を交わしていた。自分の専門知識・経験を惜しげもなく、彼女のために記す医師達にも感銘を受けた。m3は匿名掲示板であるため、「荒らし」が横行し、読むに耐えぬスレッドが多いのだが、このスレッドだけは光輝くような場所になっていた。

その女医さんは、化学療法を受けている最中、顆粒球(白血球の一種)が減少しているために、顆粒球の産生を促すGCSFの投与を受けながら、患者さんの診療に当たっておられた。しんどいこともあったようだが、診療をすることが生きがいであると言いつつ、亡くなられる直前まで診療し続けたのではなかったろうか・・・。自分の命を削りながら、医療を行っておられたのだと思う。それが、多くの医師達のこころを動かし、あのスレッドに彼等を集わせる牽引力になっていたのだろう。

彼女が、最後にスレッドに書き残したのは、不登校でDVを起こしそうな息子さんを抱える父親医師に、暴力では、問題は解決しないと優しく諭した文章だった。そして、この季節に吹く初めての秋風に乗るかのように、フッと亡くなられた。ネットという文章でだけの交流の場で存じ上げた方だったが、何かしら大きな喪失感に襲われた。

医師として、仕事上、私に行うことが残された時間も内容も、段々少なくなってゆく。彼女ほど太く強くそして優しく生きることは無理かもしれない。この小さな仕事場で、あと何が出来るのか、そして私の能力からして何処まで仕事を続けるべきなのだろうか。今も残る喪失感のなかで、今も考え続けている。

医療費報道記事で、報道されていないこと 

2009年度医療費について報道されている。

医療費について、客観的な立場で分析しているサイトがある。外科学会のサイト。こちら

この報道記事で、ミスリードしていると思えるのは;

○この医療費のうち、国が支払っているのは、3割程度に過ぎないことを全く述べていないこと。

○医療費の増加要因の分析が不十分。薬局調剤医療費が、飛びぬけた伸びを示していること等は、まず報道すべきではないだろうか。

○医療費の6,7割は、入院医療、殊に終末期医療に費やされている。終末期医療についての議論が、医療費の合理化には必要になるだろう。ただし、入院医療費そのものが国際的な標準からして高すぎるとはとても言えない。

国民が、医療費に関心を持たないと、医療が国民のためにならない。自分達の医療費がどのように使われているのか、少ない国の負担はこのままで良いのか、合理化すべきはどこなのかといった点に、国民が関心を持ち、この報道記事等を丸呑みせずに、情報を自分で集めること、ミスリードする報道に否を言うことをしないと、医療は、どんどんおかしな方向に進んでしまう。



以下、共同通信の記事を引用~~~

医療費、35兆3千億円に 09年度概算、7年連続最高
2010年8月17日 提供:共同通信社


 厚生労働省は16日、2009年度に病気やけがの治療で全国の医療機関に支払われた医療費が、概算で35兆3千億円に上り、7年連続で過去最高を更新したと発表した。70歳以上の医療費は15兆5千億円で全体の44%を占めた。

 1人当たりの医療費も、70歳以上では前年度比で1万9千円増の77万6千円、全体では1万円増の27万6千円と、ともに過去最高を更新した。

 入院も含めた受診延べ日数は5年連続で減少し、前年度比0・6%減だったが、1日当たりの医療費は4・1%増加。厚労省は「医療の高度化に伴い、受診回数が少なくても治療できるようになった半面、単価の高い先端技術や新薬の使用が医療費全体を引き上げている」と分析している。

 医療費は高齢化などの影響で毎年3~4%程度の自然増が見込まれている。09年度の伸び率は3・5%増で、従来とほぼ同じ水準だった。

 概算医療費は、医療費の動向を迅速に把握するために集計されており、労災分などを含んでいない。医療費全体を示す国民医療費の97~98%に相当する。



ネット上で得られた、少し突っ込んだ情報~~~

診療種類別の構成は、一般診療医療費が75.1%で0.5ポイント減、歯科診療医療費は7.3%で0.3ポイント減、一方、薬局調剤医療費は0.8ポイント増加して15.0%となった。薬局調剤医療費は歯科診療医療費の2倍を超えた。その実額は8.8%増で、国民医療費の3.0%増を大きく上回っている。歯科診療医療費は実額でも0.2%の減少となっている。

足元から崩壊が始まっている 

高齢者が住民登録・戸籍上生きているのに、実際は行方不明、中には既に亡くなられている方もいると報道されている。何ともやるせなく、暗い気持ちにさせられる問題だ。

行政の杜撰さがまず目に付く。行政は、金の動きがからむことには、医療機関に対して、恐らく他の民間の組織に対しても、極めて厳格だ。だが、年金受給がからむ、この問題には、行政は積極的に動いた気配がない。おかしいと感じながらも、行政は放置していたのだろう。物事の深刻さを判断し、柔軟に対応することができない、行政の硬直性を感じる。

でも、行政批判をして済む問題ではない。日本の社会構造が、崩れ始めていることを表しているような気がする。先日、長野に行って、幸せそうなご夫婦にお目にかかった帰り道、雄大な北アルプスの山並みを見ながら走っているときに、NHKのニュース解説がこの問題を取り上げていた。解説者によると、この問題は、高齢者の貧困と大きく関わっているということだった。貧困によって、家族の絆が崩れ去っていることは十分に想像がつく。

また、現在結婚可能年齢の男女(特に男だったか)の未婚率が、2割弱なのだそうだ。それが、20年後には、男女共に3割前後に到達するらしい。この現象の背景にも、貧困の問題があるらしい。現在少子化が問題になっているが、この結婚しない(できない)人々が貧困状態のまま高齢化した場合に新たな社会保障の枠組みが必要になるということだった。

また、松谷明彦・藤正巌著「人口減少社会の設計」によれば、労働人口は、2001年から2030になると、ほぼ20%減少すると予測されている。この未婚率の高さは、少子化と共に、その後の世代に重い負担を負わせることになるだろう。(個人の選択で、結婚しないことを選択することの是非ではなく、社会全体としてみた場合の議論だ。)

1980年代から、こうした事態は、予測できた(そして、実際予測されていた)はずだが、政治の行ってきたことは、地方での公共事業の積み増しばかりだった。消費税も、高齢化社会に備えるとして導入されたが、十分な準備が行われた様子はみられない。行政は、硬直化し、自らの組織の温存だけを考えているように思える。

「人口減少社会の設計」という著作は、元行政官が記した書物だが、この人口減少社会でも、ソフトランディングすることは可能だという結論が記されている。が、例えば、医療に関しては、混合診療を導入することによって、神の見えざる手により、医療費の伸びは抑えられ、持続可能な医療制度が実現するといった、極めて楽観的な見通しが述べられている。

残念ながら、今、希望を語ることはできない。経済規模は、確実に縮小し、当面は現状の生活水準を保っていても、貧困化は徐々に進んで行くことだろう。人口は既に減少に転じており、今後高齢化が進展し、労働人口は減少の一途を辿る。その後に、何が来るのか、どうしたら希望を持てるのか、我々一人一人が事実を冷静に見つめ、考えてゆく必要がある。

この行方不明高齢者の問題は、例外的な問題ではなく、我々の足元が崩壊し始めている予兆だ。


以下、引用~~~

不明「100歳以上」242人…読売全国調査
8月15日3時5分配信 読売新聞


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読売新聞
 全国で「100歳以上」の高齢者が相次いで所在不明になっている問題で、不明者の数は14日現在、20都道府県(52市区町)で計242人に上っていることが、読売新聞の全国調査で判明した。

 世帯構成が確認できた中で、住民登録上、家族と「同居」している世帯が過半数を占めた。所在確認の調査を継続している自治体もあり、不明者数はさらに増えるとみられる。

 全国調査では、住民登録上の「現住所」に住んでいないか、家自体がなくなっていた「100歳以上」の高齢者で、親族でも所在を知らなかったり、親族とも連絡が取れなかったりしたケースを集計。自治体が「居住実態がない」として職権で住民登録を抹消した場合も含めたが、死亡が確認された人は除外した。都道府県別では、兵庫県の108人が最多。市区町村別では、神戸市の102人、大阪市45人、京都市18人と続いた。東北・北陸を含む27県での所在不明は判明していない。

 神戸市で「125歳」の女性の不明が確認されたほか、大阪市の「119歳」男性や、いずれも大阪府東大阪市の「119歳」の女性と「115歳」の男性が相次いで所在不明となっていた。

 厚生労働省によると、生存が確認されている国内最高齢者は佐賀県在住の113歳の女性だが、今回の調査では、この女性と同じ年齢かそれ以上の高齢者の不明が、少なくとも20人以上、確認された。

 住民登録上の世帯構成と不明になったとみられる時期の居住実態についても、各自治体に調査した。判明した78人のうち、42人が妻や子供らとの同居で、36人が独居と、同居が過半数を占めた。

 こうした同居家族の多くは、自治体の調査に対し、「(本人が)家を出て行ったまま、居場所は知らない」などと話していた。残る164人については、自治体が明らかにしないか未調査のケース。

 調査結果を公表していない自治体を含め、多くの自治体が、「さらに詳しい調査を進める」としている。

 ◆外国人35人◆

 今回の調査では、242人の不明高齢者のほかに、外国人登録上、「100歳」以上の外国人男女も6都府県で35人が所在不明になっていることが判明した。都道府県別では、大阪府の22人が最多で、東京都と兵庫県が4人ずつ。

 東京都清瀬市の「104歳」の男性のケースでは、同市が4年前、男性が100歳を迎えたため、長寿祝いのために自宅を訪問して所在不明が判明していたが、登録はそのままになっていた。 最終更新:8月15日3時5分

信州訪問 

昨日は、定例の午後の休診の時間を利用して、塩尻の老夫婦を訪れた。奥様が母方の遠縁にあたる方で、学生時代に良く遊びにお邪魔し、お世話になった。学生オケの合宿が、信州で行われることが多かったので、その行きかえりにも、チェロを担いで寄らせていただいた。今回は、時間的にかなりタイトなドライブになることは分かっていたので、日が暮れたら、そこから引き返そうという積りで出発した。

東御市のインターで、信越道を降り、鹿教湯温泉をまずは目指した。同温泉には、学生時代病院実習に訪れたことがある。そこの病院の院長が同窓の方で、専門課程の3年の夏に、希望する学生を数人ずつに分けて、病院で実習(と言っても、見学が主体だったが)をさせてくれたのだ。病院の建物は、建て替えられ、昔の面影はなし。温泉街は、当時と余り変わっていないような気がした。でも、寂れている。

鹿教湯温泉から、有料道路を通り、松本に抜けた。市内で多少渋滞したが、松本から塩尻への、高原地帯を走る道路に出ることができた。西側には、松本から塩尻にかけての平野が望める。北に向かうと、オケの合宿で通った、懐かしい北アルプスの山々がある。

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母親を連れて訪れて以来だから、10数年ぶりになるだろうか。カーナビと当時の記憶を頼りに、目指す親戚宅を探し当てた。全くのアポ無し訪問。家の背後(東側)には、高ボッチ高原へのなだらかな斜面が続く。学生時代にハイキングをした。

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親戚宅は、近くに嫁いだ三女の方が来て世話をしてくれているらしいが、雑草がそこかしこに伸び、家は老朽化が目立っていた。その三女の方が、私を見つけて、奇声を上げて歓迎してくれた。老夫婦は、台所のテーブルを囲んで座っておられた。ご主人は、もう90歳近く、奥様の方も80歳代半ばだ。ご主人は、耳が遠くなっていたが、矍鑠としておられた。70歳からフルートを15年間練習した、とのこと。奥様も、髪の毛は白髪になっていたが、笑顔を絶やさず、あちらとこちらの家族のことを色々と話された。お二人共に、とても喜んでくださった。お茶請けに出してくださったトマトが、甘くて絶品。学生時代以来、本当にお世話になったことを改めてお礼申し上げ、お暇した。家の門のところまで、ご家族で見送りに出てくださった。

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帰路は、塩尻インターから高速に乗り、長野道、信越道を走って、午後9時過ぎに帰宅。疲れたし、無謀なドライブだったが、嬉しい再会を果たせた。お世話になったお礼をしなくてはと思いつつ長い年月が経ってしまっていたので、それの幾分かを果たせたことは嬉しいことだった。

音楽は人々を幸せにし、一体化させる 

Jim W6YAは、今膝関節置換術後の疼痛に悩まされている。

そんな彼が、メールで送ってきてくれた画像。彼は、オペラが好きだそうだ。

この仕組まれたsurpriseの出来事は、音楽が人々を幸福にする、または幸せを感じさせることを示しているかのようだ。人々は、音楽によって一体化する。

米国フィラデルフィアで・・・



イタリアPamplonaで・・・

週末の夕食 その23 

冷凍のえびでも、豆板醤を使って作ると美味しくできる、トマトのエビチリ。少し豆板醤を入れすぎたかもしれない。


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広範なインフルエンザウイルス株に効く予防接種の可能性 

インフルエンザウイルスは、突然変異を起し易く、その予防接種は、流行する株を予測して準備することになっている。

その予測が外れた場合、または昨シーズンのように予測外のハイブリッドウイルスが出現した場合等、予防接種の効果は期待し難い、または僅かな効果しか得られないことになる。

予防接種の抗原の選択と、投与方法を検討することにより、同一種のインフルエンザウイルスであれば、幅広い株(亜種)に効果が期待できると、下記の報告は述べている。Scienceという一流の雑誌なので、期待できそうな研究結果だ。

H1N1のHA抗原をコードするplasmid DNAをまず接種する。ついで、季節性インフルエンザ予防接種またはHAをコードした増殖能を欠いたアデノウイルスでブーストすると、広範なH1N1亜種に対して、中和抗体が産生される、ということのようだ。これは、マウス等での動物実験の結果だが、人以外の霊長類でも同様の結果が得られているとのこと。人での広範な株へのインフルエンザ予防接種作成への手がかりになるだろう、とのこと。


以下、引用~~~

Science. 2010 Jul 15. [Epub ahead of print]

Induction of Broadly Neutralizing H1N1 Influenza Antibodies by Vaccination.
Wei CJ, Boyington JC, McTamney PM, Kong WP, Pearce MB, Xu L, Andersen H, Rao S, Tumpey TM, Yang ZY, Nabel GJ.

Vaccine Research Center, NIAID, National Institutes of Health, Bethesda, MD 20892-3005, USA.

Abstract
The rapid dissemination of the 2009 pandemic influenza virus underscores the need for universal influenza vaccines that elicit protective immunity to diverse viral strains. Here, we show that vaccination with plasmid DNA encoding H1N1 influenza hemagglutinin (HA) and boosting with seasonal vaccine or replication-defective adenovirus 5 (rAd5) vector encoding HA stimulated the production of broadly neutralizing influenza antibodies. This prime-boost combination increased neutralization of diverse H1N1 strains from 1934 to 2007 compared to either component alone and conferred protection against divergent H1N1 viruses in mice and ferrets. These antibodies were directed to the conserved stem region of HA and were also elicited in nonhuman primates. Cross-neutralization of H1N1 subtypes elicited by this approach provides a basis for development of a universal influenza vaccine for humans.

PMID: 20647428 [PubMed - as supplied by publisher]

昨シーズンH1N1、及びH5N1予防接種に対する効果等の評価 

昨シーズンの新型H1N1インフルエンザに対する予防接種、及びH5N1インフルエンザの原型ウイルスに対する予防接種の投与回数・投与量・安全性・効果を評価した、WHOの報告。

効果とは、抗体産生で観ているだけなのか?

10歳以上の場合、大多数の予防接種で一回だけの投与で十分。生後6ヶ月から3歳の場合、二回目の投与が必要。3から9歳の場合、予防接種の種類によって、二回目の投与が必要な場合があった、ということのようだ。


以下、引用~~~


Vaccine. 2010 Jul 23. [Epub ahead of print]

Report of the 6th meeting on the evaluation of pandemic influenza vaccines in clinical trials World Health Organization, Geneva, Switzerland, 17-18 February 2010.
Girard MP, Katz J, Pervikov Y, Palkonyay L, Kieny MP.

French National Academy of Medicine, 39 rue Seignemartin, 69008 Lyon, France.

Abstract
On February 17-18, 2010, the World Health Organization (WHO) convened the 6th meeting on the "Evaluation of pandemic influenza vaccines in clinical trials" to review the progress made on new A (H1N1) 2009 vaccines and prototype H5N1 vaccines and their evaluation in clinical trials. A number of vaccine types were reviewed, including classical egg-derived and cell culture-derived inactivated vaccines, such as split virus or whole-virion vaccines, and live-attenuated vaccines (LAIV), as well as vaccines developed using new technologies. The amount of antigen needed, the effect of adjuvants and the number of doses required to induce adequate antibody responses in various populations, together with the issue of safety of the vaccines, were major topics of the meeting. The effectiveness of H1N1 vaccines and the need for standardization of vaccine potency tests were also discussed. Independent of the vaccine type and the presence or absence of an adjuvant, all A (H1N1) 2009 vaccines were well tolerated, eliciting only mild to moderate local or systemic reactions. For most vaccines tested, a single dose was sufficient to elicit a potentially protective antibody response in the majority of vaccines >10 year of age. However, a second dose of vaccine was needed to boost immune responses in infants and toddlers 6 months to 3 years of age and, with some vaccines, in children aged 3-9 years. Copyright © 2010. Published by Elsevier Ltd.. All rights reserved.

PMID: 20659520 [PubMed - as supplied by publisher]

ACIPのインフルエンザ予防接種勧奨事項 

米国CDCのACIPから、今冬のインフルエンザ予防接種の勧めが公表された。

要点は;
1)生後6ヶ月以上のすべての人々に、予防接種を行なうこと
2)生後6ヶ月から8歳の小児が、以下の条件にある場合には、最低4週間の間隔を開けて、二回予防接種を行な  うこと
  1;予防接種既往の不明の者
  2;季節性インフルエンザ予防接種暦のない者
  3;季節性インフルエンザ予防接種を昨シーズン初めて受けたが、一回だけに留まった者
  4;予防接種暦の如何に関わらず、昨シーズン新型H1N1インフルエンザ予防接種を一度も受けていない者 
3)今シーズンに用いられるべき予防接種は以下のウイルス株を含む三価の予防接種であること
   A/California/7/2009 (H1N1)-like (the same strain as was used for 2009 H1N1 monovalent vaccines)
   antigens
  A/Perth/16/2009 (H3N2)-like antigens
  B/Brisbane/60/2008-like antigens
4)5)省略


以下、抄録引用~~~

MMWR Recomm Rep. 2010 Aug 6;59(RR-8):1-62.

Prevention and Control of Influenza with Vaccines: Recommendations of the Advisory Committee on Immunization Practices (ACIP), 2010.
Influenza Division, National Center for Immunization and Respiratory Diseases.

Abstract
This report updates the 2009 recommendations by CDC's Advisory Committee on Immunization Practices (ACIP) regarding the use of influenza vaccine for the prevention and control of influenza (CDC. Prevention and control of influenza: recommendations of the Advisory Committee on Immunization Practices [ACIP]. MMWR 2009;58[No. RR-8] and CDC. Use of influenza A (H1N1) 2009 monovalent vaccine---recommendations of the Advisory Committee on Immunization Practices [ACIP], 2009. MMWR 2009;58:[No. RR-10]). The 2010 influenza recommendations include new and updated information.

Highlights of the 2010 recommendations include 1) a recommendation that annual vaccination be administered to all persons aged >/=6 months for the 2010--11 influenza season; 2) a recommendation that children aged 6 months--8 years whose vaccination status is unknown or who have never received seasonal influenza vaccine before (or who received seasonal vaccine for the first time in 2009--10 but received only 1 dose in their first year of vaccination) as well as children who did not receive at least 1 dose of an influenza A (H1N1) 2009 monovalent vaccine regardless of previous influenza vaccine history should receive 2 doses of a 2010--11 seasonal influenza vaccine (minimum interval: 4 weeks) during the 2010--11 season; 3) a recommendation that vaccines containing the 2010--11 trivalent vaccine virus strains A/California/7/2009 (H1N1)-like (the same strain as was used for 2009 H1N1 monovalent vaccines), A/Perth/16/2009 (H3N2)-like, and B/Brisbane/60/2008-like antigens be used; 4) information about Fluzone High-Dose, a newly approved vaccine for persons aged >/=65 years; and 5) information about other standard-dose newly approved influenza vaccines and previously approved vaccines with expanded age indications. Vaccination efforts should begin as soon as the 2010--11 seasonal influenza vaccine is available and continue through the influenza season. These recommendations also include a summary of safety data for U.S.-licensed influenza vaccines. These recommendations and other information are available at CDC's influenza website (http://www.cdc.gov/flu); any updates or supplements that might be required during the 2010--11 influenza season also will be available at this website. Recommendations for influenza diagnosis and antiviral use will be published before the start of the 2010--11 influenza season. Vaccination and health-care providers should be alert to announcements of recommendation updates and should check the CDC influenza website periodically for additional information.

PMID: 20689501 [PubMed - in process]

H1N1の遺伝子変異が、H5N1に生じると・・・ 

昨年流行した新型インフルエンザH1N1の変異していた遺伝子の一部と同様の変異を、鳥インフルエンザH5N1に生じさせたところ、人の細胞での増殖が認められたとの記事。この遺伝子変異が、H5N1のヒト間の感染に結びつくかは不明だが、可能性としてはありうる。両ウイルス間の遺伝子組み換えが、in vivoで生じると、大きな問題になりそうだ。

流行が起きる前に、備えをしておきたいもの。


以下、引用~~~

昨年の大流行、遺伝子変異を特定--東大チーム:新型インフルエンザ
2010年8月6日 提供:毎日新聞社


新型インフルエンザ:昨年の大流行、遺伝子変異を特定--東大チーム



 新型インフルエンザウイルス(H1N1)がパンデミック(世界的大流行)を起こした原因となる遺伝子変異の特定に河岡義裕・東京大医科学研究所教授(ウイルス学)らのチームが成功した。6日、米科学誌「プロス・パソジェンス」電子版に掲載された。

 これまで鳥や豚のインフルエンザウイルスを作る遺伝子のうち、増殖の役割を担うRNA(リボ核酸)を構成する2カ所のアミノ酸が変異すると、ヒトに感染して増殖することが知られていた。だが、昨年大流行した新型ウイルスはなぜかこの2カ所の変異がなかった。

 河岡教授らは新型ウイルスで見つかった複数の変異のうち共通していた3カ所目のアミノ酸の変異に注目。本来ヒトには感染しにくい強毒性鳥インフルエンザウイルス(H5N1)の同じ個所を遺伝子工学の技術で変異させたところ、ヒトの細胞で増殖した。

 河岡教授は「これらの3カ所の変異のポイントに注目し、強毒性鳥インフルエンザの大流行を警戒する必要がある」と話している。【関東晋慈】

Amy KB6AMY 

Steve N6TTの長女、Amy。大学の活動・成績が認められて、巨額の奨学金授与の資格を得たとき、ご両親ともども撮った写真。確か、2年前のこと。いかにも晴れ晴れとした表情。ご両親もとても満足そう。

その後、オックスフォード大学への留学を経て、この夏、帰郷。今月中旬から、近くのロースクールに進学。弁護士を目指すはずだったのだが・・・以前に記した通り、近々結婚するはずだったAronが不慮の事故に遭い、現在も、気管内送管され、意識も僅かに戻る兆候があるのみ、という状態に陥ってしまった。

自宅からAronの収容されている施設に向かう毎日。この夏ロースクールに進学しないと、奨学金は取り消されてしまう。一旦は、ロースクールに進学する(Aronの元から、少なくとも平日は離れる)ことを決断したが、また進学を止めることに気持ちが傾いているらしい。Aronのご両親の意向もあり、深い葛藤のなかにあるらしい。

Aronの病状を報告するブログに、Amyが時折投稿しているが、自らのキリスト教信仰に基き、神に絶対の信頼を置くことを表明しつつも、旧約聖書のイザヤ書を引用し、時にゆれる気持ちも覗かせている。Steveと奥様Lindaの心痛もいかばかりかと思うが、Amyにとっては人生最大の危機の時なのだろう。

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インフルエンザ再び 

明日は、立秋。暑いといいながら、秋も少しずつ近づいている。

インフルエンザのシーズンもやって来る。インフルエンザの予防接種を、季節性も含めて、国家管理下で行うようにするという、「暗い話題」が再び持ち上がっているようだ。行政はあまり当てにはできずというか、昨秋、任意接種でありながら国が予防接種事業をガジガジに管理して、医療現場は大いに苦しめられた。

それでも、インフルエンザ対策を、医療現場で考えて行かねばならない。

実のところ、インフルエンザの予防接種は、乳幼児への効果が、医療現場にいて、もう一つ確信が持てない・・・が、その年齢層がかかると重くなりうるので、予防接種を一応勧めている。昨年のH1N1の流行に際して、この年齢層での、「予防効果」について、明確なデータが出ているのだろうか・・・少なくとも、管理を仕切っていた厚生労働省からは、データが来ない。

それでも、ウイルス感染の一番の方策は、予防接種なので、今年も年幼の患者さん、基礎疾患を持つ患者さんには
勧めることになるだろう。

つい最近、東大の医科研で、昨年のH1N1が鳥インフルエンザH5N1と交雑しやすく、H5N1がヒトヒト間感染力を持つ可能性を指摘するデータが出されている。

一方、H1、H3の季節性インフルエンザ予防接種を受けた人からB細胞株を樹立し、その産生する抗体のスペクトラムを見たところ、H5の中和抗体ターゲット部位HAに対する抗体が産生されていたとの報告がある(下記)。

これらの点から、H1N1をローリスクだと片付けずに、H5N1への交叉免疫形成を期待して、H1N1の予防接種を勧める意味があるのかもしれない。


J Clin Invest. 2010 May 3;120(5):1663-73. doi: 10.1172/JCI41902. Epub 2010 Apr 12.

Heterosubtypic neutralizing antibodies are produced by individuals immunized with a seasonal influenza vaccine.
Corti D, Suguitan AL Jr, Pinna D, Silacci C, Fernandez-Rodriguez BM, Vanzetta F, Santos C, Luke CJ, Torres-Velez FJ, Temperton NJ, Weiss RA, Sallusto F, Subbarao K, Lanzavecchia A.

Institute for Research in Biomedicine, Bellinzona, Switzerland.

Abstract
The target of neutralizing antibodies that protect against influenza virus infection is the viral protein HA. Genetic and antigenic variation in HA has been used to classify influenza viruses into subtypes (H1-H16). The neutralizing antibody response to influenza virus is thought to be specific for a few antigenically related isolates within a given subtype. However, while heterosubtypic antibodies capable of neutralizing multiple influenza virus subtypes have been recently isolated from phage display libraries, it is not known whether such antibodies are produced in the course of an immune response to influenza virus infection or vaccine. Here we report that, following vaccination with seasonal influenza vaccine containing H1 and H3 influenza virus subtypes, some individuals produce antibodies that cross-react with H5 HA. By immortalizing IgG-expressing B cells from 4 individuals, we isolated 20 heterosubtypic mAbs that bound and neutralized viruses belonging to several HA subtypes (H1, H2, H5, H6, and H9), including the pandemic A/California/07/09 H1N1 isolate. The mAbs used different VH genes and carried a high frequency of somatic mutations. With the exception of a mAb that bound to the HA globular head, all heterosubtypic mAbs bound to acid-sensitive epitopes in the HA stem region. Four mAbs were evaluated in vivo and protected mice from challenge with influenza viruses representative of different subtypes. These findings reveal that seasonal influenza vaccination can induce polyclonal heterosubtypic neutralizing antibodies that cross-react with the swine-origin pandemic H1N1 influenza virus and with the highly pathogenic H5N1 virus.

Tim W1MKA 

Tim W1MKA からの返信がメールであった。その冒頭に、この和歌が、日本語で記されていた・・・

『これやこの行くも帰るも別れては知るも知らぬも逢坂の関』

無線と言う趣味によって、30年前後のブランクがあっても、こうして連絡を取り合えることは何と言う幸せなことなのだと続いていた。

私が以前に手紙を差し上げた30年近く前には、彼は、ジョージア(テネシーではなかった)で、村田製作所でマーケッティング等を担当していた。その後、メインからマサチューセッツに移り住み、過去22年間は、後者に住み続けている、とのこと。村田製作所を辞めて、別な部品製造会社で働き、中国にある会社の共同経営者となって、現在は、コンサルト会社を経営している様子。

村田製作所の本社のある京都を度々仕事で訪れた。京都御所を春の日に散歩するのが愉しみだった、とのこと。中国にも何度も訪れたが、日本ほどに関心を抱けなかったと記している。

母上は、86歳で亡くなられたようだが、父上は87歳で元気の様子。父上と同じ年齢まで元気に過ごしたいものだ。まだまだ見たり、学んだりすべきことが沢山ある。サイレントキーになるには早すぎる、とのことだった。

自宅では、以前に記した80mのループアンテナを松の木に張ってある様子。早速、14メガでスケジュールを立てた。さて、半世紀近く振りのスケジュールが成功するだろうか・・・。

北米に一日中開ける14メガ 

昨日は、何処にもでかけないで、自宅でごろごろとして過ごした。外は暑く、急患の電話もかかってこないので、そのように過ごせた。

14メガを朝から夕方までワッチしていた。朝早く、カナリー諸島等中部大西洋の信号と、ヨーロッパが少し入っていた。7時台に旧知のBill W7GKFよりコールされた。シアトル在住のリタイアしたエンジニア。以前にも彼については記した記憶がある。義理の母上の介護のために、定期的にカリフォルニアに奥様と行っていたが、4月に義母の元から帰って、彼女は1週間程で亡くなられた由。ホスピスに入り、威厳のある死を迎えられた様子だ。

5、6月に、大型のSUVに犬を載せ、奥様と一緒に東海岸まで車で往復したようだ。行きは、カナダを、帰りは、米国北部を横断したようだ。ARRL HQのW1AWを丸一日運用することが出来て、愉しかった様子。本格的な無線機を携行するのは、奥様の賛成が得られず、KX1という小さなリグで所々から電波を出したとのことだった。彼は元々ミシガン州の出身で、途上、多くの親戚や友人に会えたようだ。

午前10時前後になると、さすがにバンドは、ひっそりと静まり返っている。が、聞き覚えのあるMike W7LPVの信号が聞こえた。せっせとCQを繰り返し出している。強くはないのだが、しばらくぶりなので、声をかけた。彼も、白内障の手術を受けた奥様も元気の様子。8月には、モンタナに出かけて、ピアノ協奏曲を弾く予定だそうだ。ついで、9月には、オレゴンのDick K6XGのところにでかけて、Dick愛用のベーゼンドルファーを弾いてくる、とのこと。Dickの奥様で、オルガン奏者であり、かつチェロも最近始められたAliciaと、サンサーンスの白鳥を合わせる予定だと愉しそうに教えてくれた。Dickは、バッハの後にはクラシック音楽はないというバロック至上主義なので、Mikeのロマン派志向と少し相容れないのだがと笑っていた。すでに、確か72歳になるMikeが、音楽にますます熱中している様子が伝わってくる。

午後2時頃、少しずつ、西海岸に開け始めた。Jim K6ARが、強力な信号で呼んできた。彼とは、7メガで4,5年前に会ったきり。San Diego北部のLeucadiaという町に住んでいる。Jim W6YAとは、1kmも離れていない近所らしい。Jimは、自分の事業を譲渡し、その後、以前の交信で話していた通り、大学に戻って勉強を2年間ほどしたらしい。

昨年、九州を訪れたというので、訪問先が九州とは珍しいと言うと、Leucadiaと天草市が姉妹都市になっており、その交流で訪れたとのことだった。共に、国の南西部に位置するという姉妹都市の理由には少し苦笑してしまったが、姉妹都市の交流に一生懸命関わっている様子が聞き取れた。彼が、天草市に滞在中世話になった70歳代の老夫婦の内、ご主人が元NTTのエンジニアであり、VHFの無線機を持っていることが分かった。それで、Jimは、彼を炊きつけて、上の資格を取るように仕向けたらしい。現在では、その方は米国のExtraクラスのライセンスまで取得し、Jimとの交信を心待ちにしているとのことだった。彼のことを誇らしく思うと、Jimは言っていた。

夜間になると、東海岸まで開けていた・・・というわけで、やや無線addiction気味の休日を過ごした。また、あくせくとした一週間が始まった・・・。

歌謡曲はイケマセン・・・ 

最近、また近くのオケに顔を出すようになった。まだ出来て3年ほどで、弦がお話にならないほど足りない、吹奏楽団に弦の伴奏付き、みたいなオケ。ドボ8をやっているというので、参加させていただくことに。

昨日も夕方、バイオリンのTさんと一緒に練習に顔をだした。チェロは一人。ソロ状態。弦が少ないのは良いのだが、地域の文化祭で、ポップス(歌謡曲の類)を弾くというので、参ってしまった。同じ音型がしつこく繰り返され、管が吠え立てる(途中で気分が悪くなる)。さらには、弾くのが難しいフレーズも出てくる。

吹奏楽をやっておられる方には、スカッとする選曲らしいのだが・・・さて、どうしよう。ポップスの練習に費やす時間とエネルギーが、勿体無い・・・こうした態度は、オケメンバーとして自己中であることはよ~く分かっているのだが、最近、これからの人生のなかで、チェロを弾ける時間が限られているということを自覚している私としては、こうした曲を練習したくない・・・。少し根を詰めて練習すると、左手の小指に鈍痛が生じる。もともと弱い小指に無理がかかるのだろう。

歌謡曲が低級だとかの議論ではない。私には、合わない。練習する時間とエネルギーが、私にとっては、勿体無い、ということだ。

悩む・・・。趣味のことだから、自己中を通させてもらうか・・・。

防災へリ遭難に思う 

先日、埼玉であった防災へリの遭難事故は、幾つもの意味でショッキングだった。

一つは、「救助要請」の対象者(の少なくとも一人)は、前日に滝つぼに落ちて仲間が救命活動をしたが「心肺停止状態」だったということだ。要するに、既に亡くなっていた方の遺体搬送に、防災へリを呼んだということらしい。亡くなられた方はお気の毒なことだと思うのだが、その遺体を防災へリで運んで貰おうという、仲間の方々の判断は間違っていたのではないだろうか。防災へリを利用すると、費用の負担が生じないということのようだ。結果論になってしまうが、ヘリでの「救助活動」は、このような山岳地帯でなくても、リスクが付きまとう。二次的な遭難は是非とも避けたいところだ。防災へリを依頼した判断が適切であったのかどうか、仔細に検討して、今後の防災へリ利用の指針を作ってもらいたいものだ。

第二点、昨日、埼玉県警が、この防災へリの運用会社に、過失傷害致死罪の疑いで家宅捜索に入ったと報道されていた。警察が、刑事罰の疑いで家宅捜索する段階なのだろうか。医療事故と同じで、刑事罰は問わない形で、真相解明をすべきなのではないか。刑事罰の疑いで捜索されるとなると、こうしたヘリの運用会社は、明らかにすべき真相があったとしても、それが会社・その関係者に不利になるとなれば、表に出さない可能性が出てくる。さらに、今後の防災ヘリ運用にも多大な影響を及ぼす。ヘリのホバリングに伴う、下降気流に巻き込まれた可能性が専門家の意見として出されているが、それが墜落の原因であるとしたら、こうした警察の捜索は無用であり、悪影響だけを残す。まだ、警察の出番ではない(というか、飛行事故の原因究明は、同じことを繰り返さぬために、あらゆる可能性を検討すべきであり、原則刑事罰を課さないということだったのではないのか)。

もう一つ、テレビ局の記者とカメラマンが、無理して現場に行こうとして、遭難されたとの報道されている。こうした耳目を集めた事件のスクープを取りたいという気持ちで無理をしたのだろうが、現場に入ることは控えるようにとアナウンスされたいたのに、現場へ行くことを強行したマスコミの対応は、批判されるべきだろう。

遭難当事者の周辺の方々、警察、マスコミ、すべてがおかしな行動を取っているように思える。

医療事故時の周辺の対応をダブルイメージするのは、行過ぎたことだろうか。