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 2011年05月 

原発推進派の誤謬 

保守派の経済ジャーナリスト、池田信夫氏が、そのブログで、放射能廃棄物処理の解決は簡単だと述べている。こちら。原発推進派であっても、放射能廃棄物処理を重大な問題と意識しているのだろう。

彼の言う処理方法の一つは、大前研一氏の提案らしいが、廃棄物をドラム缶に詰めて、日本海溝1万メートルの海底に沈めることだ。沈んだドラム缶は、やがて大陸プレートにのみ込まれて、姿を消す、という予測らしい。これはロンドン条約違犯になるので、同条約からの脱退が前提になる。

これに対する疑問は山のように出てくる。ドラム缶が、どの程度の水圧と、海水による腐食に耐えられるのか、1万メートルまで「無事に」落ちることが確認できるのか、プレートにのみ込まれる際にドラム缶が押しつぶされて内容が海水中に出てこないのか、そして自然界に存在しない放射性物質も含む廃棄物が、地球のマグマに混じって問題が起きないのか。ロンドン条約を脱退し、こうした放射性廃棄物の海洋投棄を行うことへの国際的な批判が巻き起こるだろうことも容易に想像がつく。低レベル放射能廃棄物の海洋投棄であっても、批判に晒された。

もう一つは、開発途上国に、放射能廃棄物を「輸出する」ことだ。実際に、モンゴルとの間で、「商談」が進んでいる様子。経済活動の一環だといっても、これも国際的に容認されぬことではないか。問題の根本的解決にならぬばかりか、経済的に優位にある国が、そうでない国に廃棄物を押し付ける構図は、倫理的に許されない。

放射能のレベルにもよるが、原発からの廃棄物は、極めて危険なものであること、さらに放射能が、生物の設計図である、遺伝子に重大な損傷を与えるものであり、被曝した場合の根本的な対応がないことを、池田氏はどれだけ知っているのか、または意識しているのか。生命を根本的に危険に晒す、放射能廃棄物を余りに安易に考えていないか。大いに疑問に感じる。

原発事故が起きた直後に、原発のある双葉町の町長は、原発を運転し続けてもらいたいとインタビューに応じて述べていた。原発あっての町の財政と考えていたのだろう。この事故によって、双葉町という地方自治体は、恐らく消滅することになるのではないだろうか。そこに人が住めなくなるのだから。

原発事故を受けても、原発を維持し、推進しようと考える方々は、根本的に狂っているように思える。

ダウンサイジング 

仕事の量は、開業後数年目をピークにして、徐々に減っている(ただし、拘束時間は減らない)。収入も、診療報酬の減額もあり、減少の一途だ。以前からの目標である、リタイアメントに向けて、さらに仕事量・支出を減らすことを考えている。

その一環として、リースで使ってきたX線装置をリース終了とした(しつつある)。開業当初、現金支出を減らすために、この装置をリースしたのだった。相手は、医療界では(あまり良くない意味で)有名な某リース会社。当時は、それとは知らず、紹介されてリース契約を結んだ。結局、17年間その契約を続けてきた。

で、当初5年間のリース契約を終えた後も、再リースを毎年行い、それまでのリース料金の1/10程度を支払ってきた。トータルのコストは、装置の現金価格の2倍程度にはなっただろうか。リースも一種の借金だから、その程度のコストは仕方がないのだろう。が、X線装置を殆ど使わないのに、このコスト、さらにメンテナンスのコスト、手間が馬鹿にならないので、リース終了としたわけだ。

このリース会社の担当者、口ぶりはマイルドなのだが、要するに、慇懃無礼。こちらが契約書類を紛失したのが悪かったのだが、あちらも契約書類が見当たらないという。契約番号だけで、毎年再リースの請求書だけを送りつけてきていたわけだ。まずは、契約機器の製作会社名・製品名・シリアル番号等を教えろと言う。せっせとそれを調べて、FAXすると、どれがリース対象なのか分からぬとの言葉(X線装置と、付属機械が数点あるのだ)。それも何回かのやり取りで、X線発生装置、電源、それにコントロール盤だけということになった。ついで、装置の搬出の問題になった。電源装置の冷却用の油をこちらで抜き取っておいて欲しい、とのお言葉。それはできない、コストをこちらで持つから、処分を業者に当たってもらいたいとお願いした。搬出費用は、こちらももちであることは以前から知っていた。で、トータルの費用が、かなりの高額。他で調べた費用の2倍以上を提示してきた。こちらで代わりの処分業者を見つけるということにした。慇懃無礼な担当者と、電話でやり取りすること十数回。ほとほと疲れてしまった。でも、明後日には、長い間細々と当院の放射線診断を担当してくれた機器が、役目を終えて、出てゆく。

途中、困って、県医師会さらに保険医協会に相談したのだが、前者は電話に出た方は、応対だけは滑らかだったが、実際上全く相談にのってくれず(それなのに、様々な雑用を厚労省の手先になって末端医療機関に押し付けてくる)、後者が有用な情報を教示してくれて、別な処理業者の紹介をしてくれた。あれだけの高額の年会費を取る医師会は役に立たないことが良く分かった。あの市場原理主義のリース会社と医師会は、開業医の敵である(笑。

教訓、リースは最小限にすること。再リースを繰り返さないこと。できれば、再リースを2,3回繰り返したら、適切な価格で機器を買い取る契約が必要。リース終了時、搬出廃棄の費用は、リース会社持ちとすべき。開業当初は、滅茶苦茶に忙しく、ここまで気が回らなかった・・・。

もう一つ、開業以来お世話になってきた、会計事務所との契約も終了する予定だ。担当してこられた方が退職するのに合わせてのこと。これにもいろいろとあったのだが、詳述は避ける。これもダウンサイジングの一環だ。

ダウンサイジングの先にある、医院の譲渡、ないし閉院をどのようにして実現するか・・・それを考えて実行してゆく必要がある。

演奏会を聴きに上京 

週末、家人と上京。東京文化会館小ホールで開催されるコダーイ弦楽四重奏団の演奏会を聴きに出かけたのだ。

午前中の仕事を終え、いそいそと車で294号線を北上。常磐道・首都高に乗り、お茶の水のいつも停める駐車場へ。丸善で本を何冊か購入。音楽と医学関係の本。内橋克人氏の原発関連の講談社文庫見当たらず。

少し早めに、電車で上野に向かう。お茶の水駅ホームから見たわが母校。何ともはや、高層建築の乱立した様相。もう少し計画的に建てられないものかねぇ。真ん中から左手にかけての手前の古びた8階建ての建物が、私が在学した当時の医学部棟だったが、半分は解体され、残りも解体をまつのみの様子。名前だけは母校だが、中身はもう全く違う学校になっている・・・。

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懐かしの東京文化会館。中学生の頃、父親と東京フィルの定期会員になって、何ヶ月か通った。それが、クラシックのコンサートに通うようになった初めての記憶だ。その後、学生時代に、倉田澄子女史の弾く、シューマンのチェロ協を聴き、身体が硬直するほどの感銘を受けたのもこの大ホールだった。最晩年の厳本真理弦楽四重奏団の定期会員になって聴いたのも、ここの小ホールだった。その件は、モーツァルトのニ短調の弦四の思い出と共に記した。東フィルでドボコンも聴いた。藤原真理女史のデビューリサイタルだったか、バッハの無伴奏の演奏も、小ホールで聴いた。新婚時代、一度だけ、年末にここに音楽を聴きにきたことがあった。バッハのロ短調ミサ。その後、音楽を聴きにたびたび上京しようと家人と話し合っていたが、いつの間にか、それを果たさぬまま30年以上経ってしまった・・・。

この会館、建築後50年以上経つらしいが、立派な作りだ。第二次世界大戦終了後たった13年で竣工したとは信じられない。周囲の上野公園や、様々な博物館・美術館の落ち着いた佇まいと合わせて、気に入りの演奏会場だ。特に、小ホールは、演奏者の乗るステージと客席との段差があまりなく、音響効果が良く、親密な演奏会場だ。演奏が始まるまで、上野公園を少し散歩した。小ぬか雨が降り、すでに暗くなり始めていた。

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小ホールの入り口。コダーイ弦楽四重奏団、それに橋本あんなという若手クラリネット奏者の演奏。ハイドンの皇帝、モーツァルトのクラ5、最後にベートーベンのラズモフスキー3番。各々感銘深く聴いた。時々昔のことを思い起こしながら。モーツァルトのクラ5、クラが弦楽器と一体となり、やわらかく優しく歌う。晩年にこうした、あたたかな音楽を作曲できることの不思議を思った。ラズモフスキーの終楽章、堂々として白熱したフーガ。ラズモフスキー以降のベートーベンの弦四は、アマチュア奏者が容易に手を出せない、出してはいけない領域の音楽だということが良く分かった(笑。

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帰宅は23時を過ぎていた。夜間、雨の降る都内を車で走るのは、現在の私にとってかなりリスキー(昔はそうでもなかったのだが・・・)。あぁ、こんな小旅行、何時まで続けられるか。次は、列車で上京かな・・・。

『医療利用料という名の行政の自由財源』 

厚労省は、患者が医療機関にかかる際に、定額の自己負担を求める制度を導入しようとしている。初診は200円、再診が100円だそうだ。集めた金は、高額医療に回すとのことだ。これは、保険医療制度を破壊し、官僚の利権を増やす可能性が高く、反対する

初診・再診回数の平成15年度のデータがこちらにある。これに基づいて、上記の新たな財源を概算すると

病院 初診 9億 再診 21億円

診療所 初診 32億 再診 27億

計 89億

ということになるようだ。100億円近い財源が生まれることになる。

この財源は、財務省には回らず、厚労省が直接扱う財源になるのだろう。総務省の電波利用料を想起させる。電波利用料も小額を広く遍く徴収するもので、集めた金は総務省の自由に出来る財源になっている。財務省を通す税金でなく、総務省に直接入る財源だ。その財源は、総務省の勝手な判断で使用される。

この医療利用料の問題点は以下の通り。

〇公的健康保険は、国民全体が、病気になった方々を公平に支える仕組みだが、この自己負担導入によって、病気の方にだけ負担が生じる。健康保険を徴収している割合がかなり低いことと相俟って、現在よりも、より不公平になる。

〇100円、200円という額の設定が、いかにも仕組みの導入だけを目指したいい加減なものであり、一旦導入されると、徐々に上げられてゆく可能性が高い。混合診療の導入にも結びつく。かくてこの医療利料を含めた医療費の自己負担は、天井知らずになる。

〇厚労省は、この財源を自由に使えることになる。そこに、財務省等のチェックが入りづらくなる。新たな官僚利権の誕生となる。

〇末端の医療機関には、この医療利用料の徴収を行う義務が、当然のように課せられる。が、その事務手続き、現場での患者への説明の負担等には何ら経済的な手当てはない。特に、小規模医療機関にとっては、無視できぬ負担の増加だ。医療機関には、この徴収作業を行わなければならない義務は本来ない。医療機関は、本来、診療に対する正当な対価としての医療費を徴収するだけだ。この医療利用料は、それから外れている。

官僚の思いつきで、様々な負担が、末端医療機関には課せられ続けている。高額医療費の財源を求めるのならば、保険料の値上げをするか、国庫から税金を投入するかで対応すべきだ。そうしないと、官僚の一存で増やすことのできる打ち出の小槌を官僚に与えることになってしまう。この医療利用料導入は、医療保険制度を破壊することになる。

晩発性障害に備えよ 

被災者が、将来血液・悪性疾患等を発症したとして、それが内部被曝による晩発性障害かどうかを判断することは難しくなる。政府・行政は、被曝時点以降定期的に、住民の内部被曝量を測定すべきだったが、それを怠っている。チェルノブイリでは、小児の甲状腺がんという疫学的に明白な疾患以外、被曝と発症の関連を、IAEA等は認めていない。政府が『すぐに健康に問題を生じるレベルではない・・・』というのは、将来健康被害を生じる可能性があることを意味している。内部被曝を明らかにすると、将来の賠償が増える可能性があるから、現在、内部被曝量を測定しないと疑われても仕方がない。内部被曝を測定する機器を備えているに関わらず、政府・行政は住民のために動こうとしない。

一方で、福島県の被災住民15万人の健康状態を今後30年間観察することを決めている。その理由は、住民を「安心させる」ため、とのこと。このプロジェクトには、長崎大学の山下教授が加わっている。彼は、福島県各地で、国が定めた「基準値」内であれば放射能汚染は心配ないと繰り返し講演して周った一方、自らのサイトでは、被災者のことを『ヒバクシャ』と記載している。このような研究者が、住民を安心させるために健康診断を続ける意味は一体何なのか。内部被曝量の測定をすぐにでも始めることこそ、まずやるべきことなのではないか。このプロジェクトは、住民ではなく、政府・行政と業界を「安心させる」ために立ち上げられたのではないだろうか。


以下、MRICより引用~~~

将来、内部被曝による晩発性障害か否か判定するために毛髪等の試料保存を

共立耳鼻咽喉科 山野辺滋晴

2011年5月26日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp
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福島第一原発事故発生当初、3月12日から16日にかけて原子炉建屋の爆発・火災が続きました。この時に大量の放射性物質が大気中に拡散し、原発北西部40キロ近辺まで高濃度の放射能汚染地帯が拡がっています。こうした原発から半径20キロ以遠で後に計画的避難区域に指定された地域では、多くの住民が避難することなく日常生活を続けてきました。今回のように深刻な原発事故が発生した場合には、周辺住民が被曝している可能性が高いので、空間線量率から外部被曝を推測するだけではなく、様々な方法で内部被曝を実測することが、本来は日本政府の方針でした。

こうした被曝測定の方針に従って、原子力安全委員会は「ホールボディカウンタ等の維持・管理等において踏まえるべき事項について」協議し指針案を公開しています[1]。この案には、被災住民の内部被曝を測定するために用意された「移動式ホールボディカウンタ車」についての記述があり、「独立行政法人日本原子力研究開発機構では、移動式ホールボディカウンタ車を3台所有している。移動式ホールボディカウンタ車は、原子力施設に係る災害時において周辺住民が放射性物質を体内に取り込んだ可能性がある場合に、救護所、避難所等において全身の測定を可能とし、多数の人々について体内汚染の有無の迅速な判断に活用するためのものである。性能としては、Co-60 及びCs-137について、2分間測定の場合で検出下限は130Bq程度である。」と書かれています。

にもかかわらず、政府は、今回の原発事故の対応では、前述のように3台も準備されていた移動式ホールボディカウンタ車を原発周辺住民の内部被曝を測定するためには派遣していません。平成23年4月15日に開かれた衆議院・内閣委員会の議事録によれば、原発作業員の内部被曝を測定するために、福島県いわき市の東京電力(株)小名浜コールセンターに一台派遣しているのみです。なぜ派遣していないのか理由は判りませんが、政府が以前から用意してあった移動式ホールボディカウンタ車を被災住民のために福島県に派遣してこなかったため、今となっては、原発事故発生直後の内部被曝量を正確に評価することは残念ながら困難となっています。なぜなら、3月中旬に体内に入った放射性物質は実効半減期に従って減少しており、ヨウ素131を例に挙げれば、現在は当初の1000分の1以下になっているはずだからです。

核物質による内部被曝の測定は重要です。なぜなら、将来、被曝と発病の因果関係が問題となるからです。原爆被爆者では、被爆後長年が経過してからガンに罹患したにもかかわらず原爆症が発症したと認定されない人々が、内部被曝と晩発性障害の因果関係を争点に原爆症認定訴訟を提訴しています。こうした提訴は、被爆者にガンや白血病といった疾病が発病しても、被曝による晩発性障害なのか、被曝とは関係なく発病したのか簡単に判定できないことが原因でした。このように、原爆によって大量被曝した場合ですら訴訟となっていますから、今回の原発事故のように低線量被曝が長期間続いた後に、被曝と発病との因果関係を証明することは、さらに難しいと思われます。したがって、年間100mSv以下の低線量被曝で白血病やガンや先天性疾患が発病するかどうか、今回の原発事故における被曝と発病の因果関係について統計学的に正しく判定するためには、今のうちに被曝状況を正確に記録することが必要です。被曝した場所や被曝後の行動記録を残すことは当然ですが、こうした行動記録が正確な内部被曝量を反映するとは限りませんから、原発周辺住民の内部被曝量を実測?
$9$k$3$H$,5^L3$G$7$g$&!#

しかし、事故発生から既に2ヶ月以上が経過しているため、ホールボディカウンタ検査では、前述のように事故当初の内部被曝を正確に実測することは困難になってきています。次善の策として、現時点ではバイオアッセイを用いて内部被曝を実測する必要があるでしょう。財団法人原子力安全技術センターが編集した原子力防災基礎用語集にあるバイオアッセイの項目では「生体試料としては、血液、呼気、鼻汁、毛髪及び代謝機能により人体から排泄される汗、尿、糞などが試料として用いられ、これらに含まれる放射能量を測定することにより、摂取量あるいは体内の放射能を評価する。」と記載されています[2]。採尿して冷凍保存すればα線やβ線も測定できる利点はありますが、保存と検査機関への送付には困難が予想されますので、内部被曝の実測を希望する住民に対して毛髪の保存を広報すべきではないでしょうか。毛髪であれば簡便に長期間保存でき郵送も可能でしょう。

先日放映されたNHKのETV特集「ネットワークでつくる放射能汚染地図」の中では、各地に飛散して土壌に蓄積していた放射性核種についてのスペクトル解析が紹介されていました[3]。この放送の中では、観測された放射性核種における放射性ヨウ素やセシウムなどの比率は各地で同様であり、揮発性の放射性物質が中心だったと報道されています。この事実から、各地に同じ比率で放射性物質が飛散したと仮定すれば、毛髪には全ての放射性物質が残留していないとしても、毛髪の測定値から比例計算して各個人の内部被曝総量を実測できると思われます。こうした毛髪等の調査に加えて、文部科学省が調査する予定になっている土壌中の放射性ストロンチウムやプルトニウムの調査結果も参考にすれば、評価できる核種が増えて、さらに精度が上るでしょう。

残念ながら、今回の原発事故でホールボディカウンタ検査は実施されて来ませんでしたが、将来、被曝住民と政府との双方が被曝認定訴訟に無用の労力と経費を浪費しないためには、年間100mSv以下の被曝と晩発性障害との因果関係の有無を正しく解明する根拠として内部被曝の調査が必須です。つきましては、原発周辺住民に対し、尿や毛髪等をバイオアッセイ試料として使用するための保存方法を広報して頂きます様、原子力防災と被曝医療に携わる関係各位にお願い申し上げます。

参照[1] http://www.nsc.go.jp/box/bosyu100813/wbc_h22.pdf
参照[2] http://www.bousai.ne.jp/vis/bousai_kensyu/glossary/ha01.html
参照[3] http://www.nhk.or.jp/etv21c/file/2011/0515.html


『ETV特集 ネットワークで作る放射能汚染地図』 

20日にETVで放映された、下記番組を録画したものを観た。

『ETV特集 ネットワークで作る放射能汚染地図』

来る28日(土曜日)午後3時からETVで再放送されるらしい。NHKだからこそここまで出来たのか。現時点でここまで突っ込んだ内容の番組を作ったNHK担当部門に拍手を送りたい。ご覧になられることをお勧めしたい。

内容は、民間人放射能研究者が、大学の研究者の助けを得て、福島県内の放射能汚染地図を作る過程とその結果である。老研究者が作成した測定器を用いて、当該地点の放射能強度・核種の情報を6秒毎に記録して回ったのだ。車で福島県内を3000km走行してデータを得たようだ。被災地の人々の生活・声も流される。故郷・人生そのものを破壊された方々の声にこころが痛む。

観ての感想;

〇汚染のリアルタイムでの進行
15日の原子炉爆発によって、強烈な汚染を生じたことがリアルタイムで分かり、手に汗を握る。(・・・この頃、水戸の小児病院でも、核医学研究施設から出るときに放射能汚染の有無をチェックする機械が、振り切れの異常を示し、不思議に思ったということを、同病院の医師が某MLで記していた。汚染は時間の経過でみると、この時点をピーク状にして広範な地域に及んだのだろう。この汚染の予告を政府・行政(特に後者)はできるはずだったのにしなかった。犯罪にも等しい行政の不作為である。)

〇汚染は斑状に生じる
文科省は、早期から福島県各地で放射能汚染のモニタリングを始めたが、モニター地の地名を明かしていなかった(現在は、明らかにしている)。そのために、汚染がとても酷い場所に、それとは知らずに避難してしばらく滞在した人々もいた。行政の理由付けは、『風評被害』を避けるために、モニター地名を明かさないということだったらしい。が、当初から放射能汚染が「斑状」に起き、避難区域外でも非常に高い汚染が生じている場所があることを文科省は認識していた。『風評被害』云々以前の住民の生命にかかわる問題であり、行政のこの対応は許されない。

〇汚染地図を作る
この放射能汚染を調べ地図として公表した研究者は、厚労省の研究所に在籍していたが、上層部からの指示なしに、放射能汚染を調べてはならないと命じられ、職を辞して、汚染マップ作りに乗り出したらしい。チェルノブイリの汚染の調査にも携わった彼は、福島県の子ども達への影響を心配する。それまでの研究成果を生かすべき状況で、行政がそれをしないだけでなく、禁じようとすることにも強い違和感を感じる。

〇汚染土壌の処理
学童小児の被曝上限を年20mSvとした文科省の方針に抗して、郡山市では独自に学校グラウンドの表面土を削ることにより、被曝を出来る限り減らすようにした。文科省は、その削り取った土壌はグランドに放置するようにと指示しているらしい(表土と、深部の土を入れ替えることも試みているらしいが、これは文字通り「臭いものに蓋」をしようとする姑息的な対応だ)。放置された土壌が、雨風で周囲に飛び散る、ないし流れ出す可能性がある。文科省は、土壌の処置方法を早急に決め実行すべきだろう。具体的には、東電福島原発周辺で集め管理するしか方法はないのではないか。

〇汚染地図を作らないのは行政の不作為
放射能汚染地図は、文科省が米軍の情報を得て、作って公表しているが、鳥瞰図であり、具体的な地名に対応する情報が得られない。この番組で放映された、車で走行してデータを集め汚染地図を作った研究者の試みのように、きめ細かく、具体的な地名での汚染情報の得られる地図を作るべきだ。田畑の汚染も、きめ細かく調べるべきだ。汚染は、前にも記した通り、数百m単位で「斑状」に出るのだから。モニター箇所がまだまだ少ない。

福島県の県民は、第一の利害関係者 

年間被曝放射線量の上限値を提案しているICRPは、原発推進の立場に立っているように思える。が、そのICRPでも、上限値の決定に際しては、利害関係者が関与する必要を繰り返し述べている。

福島県の学童小児の年間被曝放射線量上限値を、20mSvとすることは、現地の親達に大きな不安を引き起こしている。親達が、高木文科大臣への面会を求めているが、文科省として面会をしない方針である、と言う。こちら

現地に住む子供達、その親は、第一の利害関係者ではないだろうか。文科省は、大臣と現地の方との面会を拒否するのは、どのような理由によるのだろうか。面会自体を拒否する頑なさは、問題をより深刻にし、取り返しのつかぬ状況に陥らせるのではないだろうか。これでは、チェルノブイリ以下の対応と言われることになる。

上記ブログから、高木大臣他への抗議先を知ることができる。

アウレリウス「自省録」 

マルクス アウレリウスの「自省録」。神谷美恵子女史の名訳が、岩波文庫で出ている。内省の生活を送りたかったであろう、アウレリウスは、ローマ帝国に陰が差しはじめる激動の時代を皇帝として生きた。皇帝としての厳しい艱難に満ちた生活が、彼のストア哲学に血肉を与え、この書物に光彩を与えていると、神谷女史自身が述べている。(この書物が、三谷隆正に捧げられていることに気づいた・・・高橋三郎先生の若き日の師、三谷隆正。三谷の西洋哲学史を若い頃に読んだことを思い出した・・・)

『今すぐにも人生を去って行くことのできる者のごとくあらゆることを行い、話し、考えること』という彼の言葉を、これからの一つの生きる術として、生活して行きたいものだ。この書物では、死についての記述がしばしば観られる。アウレリウスにとって、死は、差し迫った現実の一つだったのだろう。死ぬことによって、関わりになりたくない人物や物事と関わらないで済むことを想像してみよ、という彼の言葉にも多少の諧謔とともに共感を覚えた。アウレリウスの実生活から生み出された言葉であり、心惹かれる。

昨日、また齢を一つ重ねた。先月、母を天に送り、両親から受け継いだ生命・・・思想や生き方まで含めた生命を次の世代に手渡す義務を課せられたことを改めて感じる。アウレリウスのように自らの哲学をもち、それに従って、従容と生きる人生は、私には到底かないそうにない(並列するなぞオコガマシイにも程がある)が、人生が何時終わるかもしれない旅であることは、アウレリウスにとってそうであったように、私にとっても確たることだ。

人生は旅路、私にとって、人生の旅路も終盤に差し掛かった。人生のもろもろの物事への欲望・渇望から自由になり、旅程の一つ一つを誠実に生きてゆけることのできるように・・・。

福島原発暴発阻止プロジェクト(シニア決死隊) 

年配の原子力技術者・研究者が中心となって、福島原発の暴発を阻止するために現場に行き行動するという『シニア決死隊』という団体が立ち上げられた。反原発の論陣を40年間張り続けてきた、京大小出裕章助教もそのお一人。原子力の研究者として、原発を阻止できなかった責任が、国民に対してある、と彼は述べる。

彼のインタビュー記事が、こちらで読める。

小出氏の反原発の立場は明確だ。原発が技術的に危険な存在であること、さらに原発という危険を大都市から離れた地方に押し付けている差別の問題があることの二点により、原発には反対するということだ。

佐賀原発プルサーマルについての佐賀県主催公開討論会で、大橋弘忠東大教授等の原発推進派とのパネルディスカッションがネットで視聴できる。こちら(反原発の立場から、多少編集されている・・・続き二編は、最後に出るアイコン画面から選択してもらいたい)。この討論会は、4年前に開かれたものだが、東電福島第一原発事故が起きてしまった現在、その内容を改めて観ると、どちらが正しかったか、原発推進派に何が欠けていたのかが良く分かる。結果論で、原発推進派を否定しても、また衣を替えた原発推進派が出てきてしまう。その思想的な欠陥をよく理解しておくことが大切だろう。

シニア決死隊について最初聴いた時に、受けを狙った意味のない集まりかと思った。が、少なくとも、小出氏の、この団体への思いを読むと、現実を見据えたものであることが分かる。彼らに現場で出来ることは限られているかもしれないが、現場の作業員の被曝を減らすことができるのであれば、作業に参加しようという、高年齢技術者・研究者達のボランティアだ。東電は最初嫌がったらしいが、政府が検討するということで、東電も受け入れを検討することになったらしい。小出氏の反原発の思想が、浮ついたものではなく、現実から出発し、科学者として世の中への責任を負おうとするものであることを示している。こうした団体が、原発研究者・技術者の一種の踏み絵になって欲しいとは思わないが、原発推進の論陣を張っていた東大の大橋教授が、この動きに対して、どのような思いでいるのか伺ってみたいものだ。

定年間近の今日まで、『助教』の身分のまま異端児のように遇されてきたであろう小出氏。この事故で自らが脚光を浴びたことに複雑な思いでおられることだろう。

Pete W1UU、Rich W2VT 

昨夜も北米全域に14メガが開けていた。MassのPete W1UUが、しっかりとした信号で入感していた。5WにGPの設備とのこと。S5位で、十分にラグチュー可能な信号。聞くと、大西洋岸から300m程度しか離れていないようで、やはりロケーションの効果か。海岸に近くなくても、ラジアルをしっかり張れば、この程度の信号を全世界に送ることができるということだろう。3年前から、チャレンジでQRP運用を始めたとのことだった。ローバンドでも是非会おうということになった。私の信号は7メガで聴いたことがあるらしい。秋の再会を約してお別れした。

Rich W2VTは、過日私がJerry K4JKLと交信していたのをワッチしていたらしい。クラシック音楽談義が興味深かったとのこと。プロのクラリネット奏者のJerryに対して、Zemlinskyのクラトリオを勧めたり、思い出すと冷や汗の交信内容を聞かれてしまったのか・・・。Richがクラシックに関心を持つようになったのは、お嬢さんが、NHの大学に進学、そこのオケでクラを吹くようになってからだとのこと。6月に、ブラームスの2番の交響曲を演奏するらしい。奥様ともども聴きにでかけるようだ。

ブラ2と言えば、新緑の季節の音楽。新緑の映えるNHの大学キャンパスで、Richご夫妻がお嬢さんの加わるオケのブラ2を聴く情景を想像した。1楽章のチェロ・ビオラが弾く、第二主題は感動させられる・・・と独りよがりな感想を述べたが、彼は仕事に出かけるからと早々にいなくなってしまった・・・。BRSO、Jansonsのブラ2・・・。



数ヶ月ぶりに、缶ビール一杯飲み干して、撃沈・・・。

行政と、その背後の利害組織の暴走 

江川紹子さんが、過日、菅首相の記者会見で質問をしていた。避難した人々が経済的に困窮している、賠償の前倒し支払いを急げないか、という内容だった。他のメジャーマスメディアが、国会運営等いわばどうでもよい政治力学について質問を続ける一方で、彼女の質問は光っていた。フリーのジャーナリストにも、記者会見での質問の機会が与えられたということを知り、感慨深かった。彼女のようなジャーナリストに、是非、頑張ってもらいたい。官僚機構と既存マスメディアがタッグを組んで、真実を明かさない現状を改革してもらいたいものだ。

江川紹子さんのサイトに、興味深い記事が掲載されている。『社会のこといろいろ』という欄の5月1日付けの記事である。こちら。福島県の学童児童の被曝放射線量の上限を、文科省が、年間20mSvとした問題を扱っている。この上限案を、原子力安全委員会が全員一致で認めた、ということに疑問を持った江川紹子さんは、本間氏という委員に、それを確認したところ、彼は認めていないという返答を貰ったということだ。そして、被曝放射線量の意味、決め方について、本間氏から詳しく説明を受け、彼女は、それを纏めて記載している。分かりやすい内容で、是非ご一読をお勧めしたい。

この説明文の内容を私なりにまとめると、年間被曝放射線量上限値1から100mSvの間は、いわばグレーゾーンであり、利害関係者全員が関与して、納得して決める必要がある、しかし、小児への被曝は、ぜひとも低く抑える必要がある、ということのようだ。

福島県の行政は、某大学の研究者をスポークスマンに呼び、福島県各地で、『国の方針で大丈夫』というキャンペーンを張ったようだが、実際の彼の講演を文章に起こしたものを読むと、聴講者からかなり辛らつに批判されている様子が見て取れる。ここで取り上げた、原子力安全委員会のメンバーにお墨付きをもらったという、『年間20mSv問題』も、少なくとも委員全員の支持を得ていないものであり、行政サイドで勝手にお墨付きをでっち上げたようだ。これは、法に触れる行為ではないだろうか。

行政が、最初に結論ありきで、諮問会議に諮り、自ら決めた線に沿って物事を決めてゆく、その背後には、どのような利害が渦巻いているのだろう。行政とその背後にある利害関係者(組織)の杜撰さ、いい加減さに監視の目を向ける必要がある。江川紹子さんのようなジャーナリストの文筆・評論活動に期待しよう。

江川紹子さん、まだチェロを続けておられるのだろうか・・・。

1号炉、チャイナシンドローム 

1号炉、それに恐らく、2,3号炉も、溶融した高温の核燃料によって、圧力容器・格納容器共に底が抜け、格納容器ないしその下のコンクリート床面に核燃料が落ちた状態のようだ。

京大小出助教の見解。東電や保安院は一体今まで何をやってきたのか。空からヘリで水を撒いたり、窒素ガスを封入しようとしたり・・・。対策を講じる「格好」だけしてきたのではないか。何千トンも水を入れても溜まらないということから、今の事態は予測できただろうに。事故発生直後、燃料棒が露出しているが、水で冷やせば大丈夫と繰り返していた東大の教授は一体何を考えていたのだろうか。あのような解説を、自ら信じて行っていたのだろうか。

東電・行政は、リスク管理もできなければ、事故発生後の対応も出来ないようだ。

これで、放射性物質という悪魔の物質が、原子炉という狭い空間から、地球全体へと解き放たれた。

これで確実に言えることは、原子力エネルギーを人間はコントロールし得ないということだ。人間が未だ扱ってはならないエネルギーであるということだ。

Ron K5XK、Stan K5AS 

最近、夕方から夜にかけて、7メガが北米に開けているのに、北米の局が余り聞こえない。昔は、夜更かしをしたり、夜中に起きだした年配のハムが、なんやかやと7メガに出没し、ラグチューの相手をしてくれたものだ。そのような方々が、無線の現役を引退してしまったのだろうか。

14メガは、夜間それに朝にも北米に開けることが多い。北米全体が目の前に開ける様は、丁度万華鏡を観るような気持ちにさせてくれる。あちらは、午後のお茶の時間か。CONDXが良いと、次々に声をかけてくれる。今朝も、朝6時から1時間程度、様々な友人達と声を交わした。

しばらくぶりにRon K5XKの声(キーイング)を聞いた。もうすぐ、ドイツで医師をなさっている息子さんのところに旅行にでかける様子。以前にも、このブログで彼のことは記した。1980年代からの付き合いになる。ドイツには予め小さな無線機を送ったので、あちらから交信したいものだと言っていた。

共通の旧い友人、Stan K5ASのことを尋ねると、昨年10月に逝去されたことを教えてくれた。Stanは、1980年代から1990年代にかけて、しばしば相手をして頂いた方だった。私の当初のアンテナは、某医大のレジデントハウスの屋上に上げた、14AVQ。米国中部のアーカンソーまで私の信号が飛び、そこに在住のStanと話しができるのは新鮮な驚きだった。

彼の奥様がアルツハイマーのために長期療養され、その世話をなさっていた。奥様が亡くなると、友人と連れ立って、近隣の大学で様々な勉強を続けておられた。何時も色々なことに興味を持っておられた。解剖学や、心理学の授業も聴講なさっておられた。でも、晩年は病との闘いの時でもあったらしい。RonがStanと会うたびに、私のことを話題にされていたと伺い、ほろっとさせられた。下記は、Ronがメールで送ってよこした、Stanの晩年の様子だ。Stanが介護施設に入所してから、一度だけメールを差し上げたことがあったが、もっと交流を続けていればよかった。Stanは、厳しい状況でも何時も明るく積極的に生き続けた方だった。

合掌・・・。

Our mutual friend Stan, K5AS, became an SK in October, 2010.
Stan was a wonderful friend and we always talked about you
until the very end. His mind was very keen until his death,
but his body suffered from diabetes and peripheral neuropathy,
which led to the amputation of both legs several years ago.
But he continued to be very mobile, driving his specially
equipped wheelchair, automobile (modified for handicapped ]
driver), and he drove himself to ham club meetings. But,
despite many efforts, he refused offers of help to put up
small "stealth" antennas at his retirement home. After
enjoying two 75' towers and monoband yagis for many years,
he realized that his DXing days were over.

バラとガーデニングの展覧会と母校を訪ねる 

正確な名称は忘れたが、バラとガーデニングの展覧会に二日前に行ってきた。西武ドーム。こちら北関東から2時間半と見込んだが、片道3時間かかった。西武ドーム近くの幹線道路までは、スムースに走れたのだが、ドーム近くでわき道に入ると、渋滞。ようやくたどり着く。凄い人出だ。

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帰ってきて、無線で米国の友人に、バラよりも人の頭を沢山見たような気がするといったら、大いに受けた。言葉通りそんな感じだった。

観客はリタイアされたような方ばかりなのかと想像していったのだが、若い方も結構いた。自然と、美しいものに触れたくて、こうした催しに来られるのだろう。そのことには素直に感動した。でも、こんなに混雑した場所で、自然に触れずに、田舎に移り住めばよいのに・・・東京はこの30年間の間に直下型地震に襲われる可能性が70%とかいうではないか・・・田舎が良いぞ・・・。

恐らく、念入りに育て上げられたバラや、他の花木が沢山展示されていた・・・私の趣味ではないので、あまり感想はないのだが、それでも展覧会終盤で花たちが少し「疲れ気味」のように感じた。やはり地植えでさんさんと太陽を浴びなければ、どんな草花も元気を失ってしまう・・・。

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実は、私の育った場所は、この会場の近く。帰りに、母校「東村山市立化成小学校」に寄ってみた。この学校は歴史が旧く、もう創立130か140年位になるのではないだろうか。もう半世紀前、小学生当時、校庭がだだっ広く感じたものだったが、実際はそれほど広くない。

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学校からの帰りに、裏にある神社の境内で何やかやと遊んだ記憶がある。境内に立つと、ふっと半世紀前に戻ったかのような感覚にとらわれた。

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小学校6年生のときに、隣町に引越したのだった。でも転校せずに、駅三つの距離を自転車に乗って通った。その道は、昔は武蔵野の田園地帯を走っていたのだが、今は、周囲は住宅ばかり。昔の面影を残す建物などを探しながら、その道を車で走った。車でも15分程度かかる。自転車では、40、50分はかかったのではなかっただろうか・・・余り苦になった記憶がない。元気だったのか、途上色々なことを観察して飽きずに帰ったのか・・・昔を思い出しながら、帰途についた。

自宅近くの花木センターで、生きのよいバラを二鉢、それに茄子の苗を買い込み、帰宅。家人孝行の一日だった。

農地汚染のモニターはされているのだろうか? 

大気中放射能汚染は、同心円状にはならず、その時の風向き等によって、帯状に分布、さらにその帯の中でも分布が不均一になる。

福島県の児童生徒への被曝の問題がクローズアップされて、各学校の校庭の放射線量がモニターされている。こちら。

このモニター結果で分かることの一つは、地表の放射線量が高いこと。放射性物質は、空気中の塵となって、風で飛ばされ、ある地点で地表に落ち、そこで放射能を出し続けるということだ。原子炉からの大気中への汚染の進行が一段落している現在、地表・地中の汚染をモニターし続けることが大切だ。

もう一つ、これがより大切なことだと思うのだが、同じ市内・町内であっても、汚染にはバラツキがある。数百m離れるだけで、汚染の度合いが異なってくる。これは、当然校庭の汚染だけに留まらない。注目すべきは、農地の汚染だ。農作物汚染を通して、国民の内部被曝に関与する重大な問題だ。

15日の2号炉爆発によって、福島県だけでなく、関東一円、特に北関東がかなり汚染された。これは、「日の目を見なかった」SPEEDIによる「予測」とも一致している。一時、葉物野菜が、北関東一円で出荷停止になったのは、そのためだ。

葉物野菜の出荷停止が終わると同時に、北関東での農地汚染の問題は忘れられているように思える。稲作のための水田作りが、あちこちで例年と同じく行われている。こうした農地での汚染モニター、それによる汚染マップの作成が行われている様子がない。農作物を出荷するときになって、汚染が判明することでは遅い。または、汚染米を正常な米と混合させて売りさばけばよいという積りなのだろうか。収穫の段階になって、汚染について騒ぐのだろうか。そうした事態になれば、本当の「風評被害」が甚大な規模でおきるのではないか。

福島県で不完全ながら放射能モニターを行う体制が整ったのは、4月に入ってからだと言う。関東でのモニターは、主要都市等だけで行われているに過ぎない(少なくとも、データとしては我々にはそれしか届かない)。これは故意にそのようにしているのか(故意の不作為なのか)、それとも手が回らないだけなのか。いずれにせよ、このままでは、政府・行政は国民の健康を考えていないといわれても仕方ないのではないだろうか。

原発事故時の放射能汚染予測システム、SPEEDIが、実際の事故のときの予測に使われなかったのも、不作為による過誤だろう。同システムの開発・維持に、毎年数億円が使われてきたらしい。やはり原発村という利権集団が、ここにも関わり、国民の安全にはフィードバックされなかった。農地汚染・食物汚染の問題は、きちんと処理されるのか、注目する必要がある。

Jerry K4JKL 

今日も忙しい日だったが、夜だけは無線室にこもって過ごすことができた。14メガが北米に良好に開けていた。フロリダのJerry K4JKLから呼ばれた。彼とは幾度も交信をしているが、彼の仕事について聴いたのは初めてだったのではないだろうか。

彼はプロのクラリネット奏者、奥様はチェリスト。レッスンを見るので、最近忙しくしているとのことだった。お二人は、クリーブランド音楽院の学生だった頃に、知り合って結婚なさった由。お二人の楽器構成を聞いて、思い浮かんだのは、ブラームスのクラリネットトリオだ。それを言うと、そのトリオは、1960年代クリーブランドで開催したリサイタルで弾き、その後も何回となく弾いてきたとのことだった。彼は、モーツァルトのクラリネット五重奏曲が好みらしい。暖かく天国的な音楽ですね、と申し上げると、その通りだと頷いておられた。

モーツァルトのクラリネット協奏曲も、彼の最晩年の傑作で、恐らく、かなり厳しい人生の最後を迎えつつあったなかで、あのように暖かな音楽を書けたのは、不思議なことだと申し上げた。彼が推薦したのは、クリーブランド時代の恩師 Robert Marcellusの演奏。Szellがクリーブランド響を振って、録音したもののようだ。Szellの振るクリーブランド響は定評のある演奏を数多く残したことで有名だ。Marcellusというクラリネット奏者のことは知らなかったが、調べてみると、米国ではかなり有名な演奏者・教育者だったらしい。彼の吹く、モーツァルトのクラリネット協奏曲の録音を手に入れてみよう。

Jerryは、恐らく70歳代だろう。生涯を好きな音楽に捧げ、奥様と室内楽を演奏なさるとは素晴らしいことだ。音楽家でアマチュア無線を楽しむ方には何人も会っているが、ご夫婦で音楽家という方は初めて。同じ音楽の趣向のハムと会えて嬉しいと、彼は言っていた。

炉心溶融の事実を直視すべきだ 

東電福島第一原発一号炉での炉心溶融の事実が決定的になった。最悪の事態というべきだろう。もうこうした事態の連続に、マスコミは慣れきったためか、あまりその意味するところを報道していないように思える。

考えれば、この事態は、専門家からすると、前から予測されてきたところだった。過去に、この事態を予測した研究結果を行政が出していた(既に、このブログでも取り上げた)。

予測されていた事態は、こうだ。

〇冷却システムがダウンして2時間で、冷却水が枯渇し核燃料露出
〇数時間で核燃料の溶融開始
〇圧力容器底部に落ちた核燃料が、自らの発するエネルギーで、元来高温に耐えられぬ底部を破壊
〇格納容器は圧力容器よりも容易に溶け出す

ここまでくると、もう対処は困難になる。

〇冷却のために圧力容器内に入れられた水は、際限なく、原子炉外に漏れ、地下に染み出す。1号炉だけで、既に5000トンの水を冷却に使い、それが漏出した。地下水と海水に、高濃度の放射能汚染水が大量に漏出する。今後も冷やし続けなければならないので、さらに汚染は進む。壮大な環境汚染の開始だ。

冷却のために圧力容器内に水を入れても、それが溜まらないことから、こうした事態は、東電や行政は、当然予測していたのではないか。もし予測できなかったとすれば、当事者能力がないことを意味する。

破壊が、1号炉よりも酷い、2,2号路でも同様になっている可能性はないのだろうか。

あの原子炉修理の「工程表」とやらは、最初から「見せ掛け」に過ぎなかったのだ。国民を欺くものだった。3月15日をピークとした、放射能の大気中への汚染の進行も、当然予測されたはずなのに、それも公表されなかった。あの汚染の急激な広がりを予測していれば、周辺地域、特に飯舘村・福島市方向の酷い汚染に対して、住民は自らを守ることができた。でも、30km圏外は大丈夫だと、枝野官房長官の口を通して、言い続けたことも「見せ掛け」だ。

このような環境汚染は、過去に例のない事態だ。放射能を「閉じ込める」という基本的な危機管理が、根本から破綻したことになる。その事実を、政府・当局者それに東電は、はっきりと認めるべきだろう。

振り返っても仕方のないことだが、冷却システムがダウンしてから数時間の対処が、根本的に間違っていたということだろう。東電が、原子炉を保存したいという意向を持ち、行政がそれを追認したという構図なのではないか。一昨日だったか、原子力安全委員の青山なる人物が、菅首相が現場を訪れたことが、ベント開始を遅らせたと言っているようだが、そんなことは本質的な問題ではない。原子力安全委員の責任逃れもいい加減にしてもらいたい。この重大な事態に際して、もう政局がらみのどうでも良い議論を国会でしている暇はないはず。

極めて困難なこの事態にどのように対処するのか、環境汚染を少しでも食い止める手立てはあるのか、それを議論してもらいたい。これだけの汚染があると、閉じた冷却システムの構築は無理なのではないだろうか。汚染水を、特定の場所に流し、濾過して放射性物質をできるだけ少なくすることしかできないのではないか。AREVA社から提供されたという濾過装置の効果はどうだったのか。以前トライしていた、鉱物を利用した濾過は使えないのか・・・。

これは、国家の存亡にも関わる危機と言っても良いのではないか。マスコミも政治家も余りに楽観しすぎなのではないだろうか。事態を直視する能力がないのだろうか。国民のパニックを心配している状況は通り過ぎている。

医療機関にとっての緊急・非常通信網 

今回の震災で、当地でも停電等ライフラインが利用できなくなるだけでなく、通信手段、即ち電話回線が途絶した。医療機関にとって、緊急時に通信手段はとりわけ重要だ。

当県の医師会MLで、緊急時通信手段について議論されていた。そこでの議論を、私見を含めて、まとめると・・・

〇携帯電話、携帯メール発信、衛星電話、固定電話と通信フロー制御が、電話会社の判断で行われた。即ち、公共機関の登録電話番号を優先し、他は、発信に制限をかけていたということだ。携帯の場合は、95%通信制限をかけられていた。電話回線の混雑によって実際には、数百回に一度程度しか通話できない確率だったらしい。

〇この通信フロー制御から医療機関を外してもらうことも一つの対策だが、他の業種でも通信制限の解除を求める動きもあるだろうし、電話基地局の設備がダウンする可能性もあり、災害の急性期には現実的ではない。

〇衛星通信を利用しようという動きもあり、衛星通信設備の設置も盛んになっているが、移動が困難であり、設備が大きくコストもかかるといったデメリットがある。確実性から行くと優れているので、大規模施設では、自前の発電設備とともに、今後多く使われるようになることだろう。

〇ネット回線を利用することも対策の一つ。ルーターと、IP電話機、さらにそれに電源を供給する、非常用電源(蓄電池等々)で、急性期をしのげるのではないかとの提案もあった。ただ、これもネット回線網が生きていることが前提となる。

〇警察・消防との連携が必須で、最悪の場合、マンパワーに頼らざるをえなくなる。末端地域医師会同士の防災ネットワークを常日頃構築しておくことが有効。仙台市医師会では、14の他の郡市医師会と防災協定を結んでいて、それが上手く機能した様子。災害時に医療機関が機能するかどうかは、実際上の医療ニーズに応えるためだけでなく、住民の精神的な安定という点からも重要。

で、最後にアマチュア無線の利用について考えてみたい。

アマチュア無線の利便性は、

〇簡易な設備であり、移動性にも優れている。通信距離の選択等の点でフレキシブル。

〇利用方法は比較的簡便(免許を受けたものにとっては)。

〇商用電源が落ちた場合、または商業電源がない場所でも、一定期間利用できる。

〇固定された行政システムに組み込まれていないことは、通信手段としては不確実となる可能性を意味するが、不特定多数の運用者が通信網の構築に関われるフレキシビリティは利点ともなりうる。

一方、不利な点、欠点は、

〇使用には免許が必要。利用する場所に必ず被免許者がいて、運用しなければならない。

〇通信効率・確実性の点で、文字ベースの通信方法に比べて劣る(勿論、デジタル通信を用いれば、文字ベースでの通信も可能)。

〇どのような通信手段にも言えるが、通信ネットワークの中心に纏める作業を行う人間・部門が必要だが、アマチュア無線家にそれを求めるのは酷かもしれない。

他の通信手段が途絶した、災害急性期に、他の通信手段が再開するまでの間、アマチュア無線を利用することも不可能ではないのかもしれない。ただし、アマチュア無線家自身が被災者になっている可能性もあり、またボランティア活動としての緊急・非常通信には、人的な制約が大きくなる可能性がある(これが、フレキシビリティとなり、利点ともなりうることは、上記に述べたとおり)。

必要とする通信距離にもよるが、VHF・UHFを用いた、リピーターを活用した通信網を、常日頃から、適切な施設を中心に構築しておくことが必要なのではないだろうか。定期的に、緊急・非常通信の通信訓練を行い、通信が、確実・迅速に行えるようにしておくことも必要になるだろう。

今回の震災では、広範な地域が侵され、通信網の構築がその急性期には困難を極めただろう。アマチュア無線でも、HFを用いた他地域との通信、VHF・UHFを用いた通信が利用されたと聞いた。きっとその経験を総括して、再びこうした災害に襲われた場合の通信手段、その補助としてアマチュア無線が活用されるようになることを期待したい。






原子力安全委員会委員長発言集 

原子力安全委員会は、行政・業界への指導権限を与えられた組織のようだ。原子力の安全は、国家の存亡にも関わる大事だから、当然そうあるべきだ。

でも、同委員会が、原発推進の勢力の一部、否その勢力の先端を行く存在になっていた。

同委員会の委員長である、斑目春樹氏の言動については、マスコミ・ネットで様々に報じらている。事故直後に、菅首相に対して、水素爆発は起きない、大丈夫ですと断定し、事故後10数日間、公に見解を述べることがなかった。原発推進の立場から、そうせざるを得なかったのだろう。

彼の言動をあげつらっても仕方ない。こうした人物が、原子力の安全を担保するはずの同委員会の委員長になっていた、その制度・システムの問題をこそ取り上げるべきだろう。

原子力で利権を得る勢力は、莫大な資金と、マスコミへの影響力を維持している。そうした勢力から、同委員会を独立させなければ、深刻な原発事故は、これからも起きるだろう。

原子力資料情報室という民間団体がある。反原発の論陣を張り続けている団体だ。そこが、2007年に斑目氏の同委員会委員長としての不的確さを原子力安全・保安院に向けて述べた文章を下記に引用する。原子力安全・保安院も、原発推進勢力の中にあるので、この提言も、無視され、斑目氏は、今回の原発事故が起きるまで、原子力安全委員会委員長の座に座り続け、今も座っている。



以下、引用~~~



下記要請を保安院へFAXで送りましたので、お知らせします。



原子力安全・保安院長 薦田 康久 様

班目春樹氏は委員長として不適格 交代をもとめる

2007.7.31 原子力資料情報室 共同代表 山口幸夫、西尾漠、伴英幸

7月16日に起きた中越沖地震により被災された人々は大きな不安の中で避難生活を余儀なくされている。加えて、柏崎刈羽原発への不安も高まっている。報道によればアンケートの結果は、一番の不安要因が柏崎刈羽原発だと伝えている。このことは、ヨウ素剤を子供たちに飲ませた人たちがいること、東京電力(東電)の発表が信頼できないといった声からも裏付けられる。

 同原発を視察したところ発電所施設のいたるところで、道路は大きく波打っていた。また、そこかしこに道路の陥没あるいはその補修後が見られた。6号機建屋前のろ過水タンク(1000kリットル)はほぼ全周囲にわたって挫屈していた。

 東電の発表した資料によっても柏崎刈羽原発の被害はすざましいものがある。6号機天井のクレーンの駆動機構軸のジョイントが折れた。号機によってばらつきはあるが、今回の地震動はすべての号機でS2を上回る加速度が観測されている(基礎版上)。とりわけ1号機では2.5倍の680ガルという値が記録されている。また、7月30日に東京電力が発表した最大加速度の応答値比較ではタービン建屋1階(ペデスタル)において設計時の最大加速度の応答値を1号機では7倍を超え、3号機では約2.5倍の2058ガルを観測している。

 地元の人たちはこのような「想定外」の揺れを被った原発は二度と動かすことのないように願っている。

 このような状況の中で貴院は「中越沖地震における原子力施設に関する調査・対策委員会(仮称)」を設置することを決め、「具体的な影響についての事実関係の調査を行うとともに」、「国及び事業者の今後の課題と対策を」取りまとめるという。そして、班目春樹氏を委員長に20名の委員を選出し、第1回の会合を31日に開催する。

 原子力安全・保安院の立場は原子力の安全を確保することであり、このことは、現状で確保できない場合には耐震安全向上の対策を、それでも確保できない場合には原子炉の閉鎖を求めるという立場であることを意味する。

 ところが、班目委員長は、想定外の揺れにB,Cクラスは壊れても仕方がない、Aクラスは壊れず原子力の安全は確保されていると早々と安全宣言をしている。さらに、1~2年で運転再開ができるような見通しを繰り返しコメントしている。まだ、格納容器内部を見ていない段階で、このような発言をすることは学者としての倫理を疑わざるをえない。氏のこのような発言から、設置される委員会すらもお座なりな調査・対策しか行えないとの批判を免れないだろう。

 言うまでもなく、今回の揺れは弾性変形の上限であるS1を大きく超え、塑性変形を許容しているS2をも大きく上回る揺れが観測されている。外観上は影響がないように見えても、安全を脅かすひずみが残っている危険性があり、これをどのように確認するかが最大の問題である。これを調べつくすことが最大の問題である。にもかかわらず、調査の前に安全が確保されているなどと発言することは言語道断である

 以上の理由から班目氏は委員長として不適格であり交代を求める。
なお、参考として、不適格であることを示す同氏のこれまでの発言録を添付した。


■『六ヶ所村ラプソディ』 斑目春樹教授発言

技術の方はですね、とにかく分かんないけれどもやってみようが、どうしてもあります。
で、だめ、危ない、となったら、ちょっとでもその兆候があったら、そこで手を打とうと。
おそるおそるですよ。

原子力もそうなんですね。

原子力もそういうところ絶対あります。
だって、例えばですね、原子力発電所を設計した時には、応力腐食割れ、SCCなんてのは知らなかったんです。
だけど、あの、まだいろんなそういうわかんないことがあるから、あの、えーと、安全率っていうかですね、余裕をたーくさんもって、でその余裕に収まるだろうなーと思って始めてるわけですよ。
そしたら、SCCが出てきちゃった。
で、チェックしてみたら、まあこれはこのへんなんか収まって良かった、良かった。
今まで、良かった良かったで、きてます
ただし、良かったじゃないシナリオもあるでしょうねって言われると思うんですよ。
その時は、原子力発電所止まっちゃいますね。
原子力発電に対して、安心する日なんかきませんよ
せめて信頼して欲しいと思いますけど。
安心なんかできるわけないじゃないですか、あんな不気味なの。(正直と言えば正直、斑目氏は漫画が趣味らしい;ブログ主記

核廃棄物の最終処分をすることに技術的な問題はなくても、そこを受け入れる場所が、なければ、今、困っちゃいますもん。

ないですよね、探せても、イギリスまで、

うん、ないですよ。

それは、大きな問題じゃないですか

え、いや、だから、あのー、えーと、基本的に、その何ていうのかな、今の路線で、今の路線がほんとに正しいかどうかは別として、今の路線かなんかで、替えがあるだろうと思ってるわけですよ。
というのは、最後の処分地の話は、最後は結局お金でしょ。
あの、どうしても、その、えーと、みんなが受け入れてくれないっていうんだったら、じゃ、おたくには、今までこれこれっていってたけど2倍払いましょ。それでも手を挙げないんだったら、5倍払いましょ。10倍払いましょ。どっかで国民が納得することがでてきますよ。

それは、経済的インセンティブと、そのー、

あの、処理費なんてたかが知れているから、えー、たぶん、その、齟齬は来さないですね。

今、たしか、最終処分地を受け入れてくれるボーリング調査させてくれるだけで、すごいお金流してますね。

20億円ですよ

あれがたかが知れてるらしいですよ、あの世界は。

そうなんですか。

原子力発電所って、ものすごい儲かっているんでしょうね、きっとね。
そりゃそうですよ、原子力発電所1日止めると、1億どころじゃないわけですよね。
だから、そういう意味からいくと、今動いている原子力発電所をつぶす気なんてアメリカ毛頭ないし、日本も電力会社、あるものはあるもの、できる限り使いたいというのがこれが本当、本音ですよ。


■ 浜岡原発での班目証言

事故・トラブルについて、制御棒落下事故が明らかになる前に、「これは, かなりの知見が蓄積されています。したがって, これから先, 新しい知見が出てくることはないとは, やっぱり思いません。これから先も, 新しい知見は出てくると思います。だけれども, 大きな知見については, もう, 大体出たんではないかなというのが, 実は,私の, これは個人的な考えです。」(第13回班目主尋問114項)と述べている

制御棒の2本以上の同時の落下について、「起きるとは, ちょっと私には思えません。どういうふうなことを考えるんですか。それに似たような事象があったら, 教えてください。」(班目反対尋問109-112項)

「非常用ディーゼルが2台動かなくても, 通常運転中だったら何も起きません。ですから非常用ディーゼルが2台同時に壊れて, いろいろな問題が起こるためには, そのほかにもあれも起こる, これも起こる,あれも起こる, これも起こると, 仮定の上に何個も重ねて, 初めて大事故に至るわけです。だからそういうときに, 非常用ディーゼル2個の破断も考えましょう, こう考えましょうと言っていると, 設計ができなくなっちゃうんですよ。つまり何でもかんでも, これも可能性ちょっとある, これはちょっと可能性がある, そういうものを全部組み合わせていったら, ものなんて絶対造れません。だからどっかでは割り切るんです。」(でも、非常用ディーゼルの停止が、即、核燃料棒の溶融という非常事態み結びつき、それが東電福島第一原発でおきたような深刻な事態を引き起こす可能性があるわけだから、事前に考慮すべきことだったのではないか。要するに、事象の確率は低くても、もたらされる事態の深刻さは甚大なので、期待値が極めて大きくなるということだ。安全を考える人間だったら、当然こう考えるのだろうに・・・;ブログ主記

問い「どっかで割り切るということは, ものを造るために, この程度を考慮すれば造ってもいいだろうという感じですね。」

答え「そのとおりです。」

問い「非常用ディーゼル発電機2台が同時に動かないということは, それ自体は,地震が発生したときに, 非常用ディーゼル発電機に寄り掛かっている, 動かさなくちゃいけないものが止まってしまうということがあり得るわけですから, 非常用発電機2台が同時に動かないという事態自体は, 大きな問題ではないですか。」

答え「非常用ディーゼル発電機2台が動かないという事例が発見された場合には, 多分, 保安院にも特別委員会ができて, この問題について真剣に考え出します。事例があったら教えてください。ですからそれが重要な事態だということは認めます。」(この余りに官僚的発想・・・事前に事例がなければ考えないという発想;ブログ主記

問い「重要な事態であれば, 非常用発電機2台が同時に止まったときに, ほかに何か, 別の重要な事態が加わって, それで事故が発生するというのは, 幾つか想定しなくてはいけないことではないんですか。先ほどから証人は, それに加えるのは小さなこと小さなことを加えなきやいけないから大変だと言って, ここは割り切るとおっしゃっていますけれども, 足す別の重大な事象ということが, 大きいことがあり得るんだということは, お認めにはならない。」

答え「我々, ある意味では非常に謙虚です。こういう事態とこういう事態とこういう事態の重ね合わせくらいは考えたほうがいいかなということについては, 聞く耳を持っております。是非こういうことについては考えてほしい, それはなるほど問題視したほうがいいということだったらば, 当然, 国の方でもそういうことについて審議を始めます。聞く耳を持たないという態度ではないんです。ただ今みたいに抽象的に,あれも起こって, これも起こって, これも起こって, だから地震だったら大変なことになるんだからという, 抽象的なことを言われた場合には, お答えのしようがありません。」(第17回 班目反対尋問224~228項)


引用終り~~~


今回の東電福島第一原発事故に際しては、先にも記した通り、原子力安全委員会は、殆ど機能しないばかりか、むしろ事故の拡大・深刻化をもたらした可能性もある。下記の参議院での、斑目氏の答弁にある「割り切り」が、原発の安全を蔑ろにし、原発推進に加速をつけるものになっていた。

このような原子力安全委員会は必要ではない。原子力の安全を確保する組織に生まれ変わらせる必要がある。


以下、wikipediaより引用~~~

3月22日の参議院予算委員会で、2007年2月の浜岡原発運転差し止め訴訟の静岡地裁での証人尋問で、非常用ディーゼル発電機や制御棒など重要機器が複数同時に機能喪失することまで想定していない理由を社民党の福島瑞穂に問われ、「そのような事態は想定していない。そのような想定をしたのでは原発はつくれないから、どこかで割り切らなければ原子炉の設計ができなくなる」と回答した。

三号機格納容器温度上昇 

東電福島原発第三号機の格納容器温度が、上昇を続けている。一号機よりも破損が激しく、またプルトニウムの入った核燃料を用いている三号機の方の対応を急ぐべきなのではないだろうか。

もぐら叩きみたいな状況なのかもしれない。

設計上の温度上限は300℃のようだ。でも、ここで三号機が水素爆発を起こし格納容器が破壊されたら、放射能汚染は一気に進む。

三号機の温度情報はこちら

行政に見られる原発危機管理能力の欠如 

直近のasahi.comによると、米国当局が、日本の原子炉の対テロ対策が生ぬるいと数年前から繰り返し指摘していたらしい。対テロの緊張を高めておいて、その一方でそうした指摘をすることもどんなものかなと思わぬでもないが、行政と業界の危機管理意識の低さを示しているのだろう。

また、原子炉は、一箇所に数基建設されていることが多いが、事故のおきる想定は、一地区で一基だけになっていたらしい。東電福島第一原発事故のように、数基が一遍に事故を起こす可能性の方が高い。また、以前にも記したが、危機想定範囲(EPZ)は、半径10kmの範囲に限定されていた。それに基づいて、避難訓練等が行われていた。東電福島第一原発事故のような、爆発事故ではなく、放射能の漏洩程度を想定していたに過ぎない。これ以外にも、危機管理の杜撰さを挙げだしたらきりがない。

原子力政策の導入は、政治が決めたが、その策定、運営は、行政が行ってきたのだろう。行政は、原子力が安全であるというプロパガンダに自らを納得させたのだろう。さらに、前例を踏襲する行政独特の手法によって、危機の所在から目を背けてきたこともあるのではなかろうか。これまでの行政の危機管理の内容を、徹底して反省する必要がある。

この行政の危機管理能力のなさは、国レベルだけではない。地方自治体も同様だ。東電福島第一原発のある双葉町の町長は、事故発生後、原発を廃炉にされては困るとインタビューで応えていた(今も、同じ考えなのか是非伺いたい)。恐らく、町の予算のかなりの部分、それに就業先が原発によって生まれているためだったのだろう。でも、放射能汚染の積算量の実測図をみると、双葉町という町自体が存亡の危機にあるのだ。町の予算も、仕事先も、町が存続しての話なのではないか。

同じことが、浜岡原発を有する、御前崎市でもあった。同市長は、浜岡原発が停められると、交付金が下りなくなり、4000名の仕事の場が失われるとして、浜岡原発停止に異を唱えた。しかし、浜岡原発は、ご承知の通り、近い将来ほぼ確実に起きる東海地震の震源域真上にあり、一度地震が起きると、地震・津波によって相当程度の被害が予想される。これは、長い間指摘されてきたことだ。その危機が迫っていることに目が向かない行政の姿がここにもある。

原発は、一旦事故が起きると、それをコントロールする手段が、我々にはない。長い間人々を苦しめ続ける。双葉町や、その近傍の地域は、長い期間(恐らく十年単位で)人の住めぬ場所になる。さらに、汚染放射能は、周囲に拡散し続け、人々に内部被曝をもたらす。その犠牲になるのは、子ども達、それにこれから生まれてくる子ども達だ。現在、発電が原子力に頼っている部分が大きい。すぐに脱原発を実現できないかもしれないが、リスクの大きさ、切迫を考慮して、原発を一つ一つ減らしてゆくことを考えなければならないと切実に思う。

原子力安全保安院を概観する・・・ 

上記が、東電福島第一原発事故発生後、行政の見解を公表する窓口として、マスコミに出ていた。ちょっと舌足らずの西口氏というスポークスマンが、専門外のことを一生懸命話す情景がテレビでしょっちゅう流されていた。

原子力行政を安全の面からチェックする機関が、原子炉推進の先頭に立ってきた経通省の配下にある不思議さはおいておこう。

同院の役割の第一に、機密保持が挙げられていることが何とも面白い。確かに、原子力は、安全上機密保持が必要な面が多々あるのだろうが・・・そうやって隠すことが第一になっているから、事故が起きたときにも、必要な情報を出さないということになるのだろうか。

で、この組織には、多くの審議会がある。21を数える。その各々にワーキンググループといった更に区分けされた審議会があるようだ。恐らく、同院の官僚は、この審議会を「あるべき方向に」向かわせ、さらにそれを記録することだけが仕事なのだろう。会議抄録をざっと見たところ、中越地震がらみと、浜岡原発がらみの議論が大多数を占めている。私の見たところでは、福島原発の問題は見当たらなかった。

さて、その予算・予算執行状況がファイル化されている。こちら

80数億の予算規模であり、その半分近くが、職員給与に当てられている。諸手当が基本給の半分近くに上る子ども手当て、児童手当まである。現政権が子ども手当てを廃止しても、独自の子ども手当てが既にあったわけだ・・・。この人件費が多いというべきなのかは、私には分からない。毎年これだけの人件費をつぎ込んで(も)、東電第一福島原発事故がおきてしまったということだけは言える。

また、委員の手当てというものが、2千万円台であり、結構少ないような気がする。あれだけの審議会各々を、年に数回ずつ開催しての手当てだ。審議会の委員一人当たり、どれほどの収入になっていることだろう。かなり少ない額で、本腰を入れて審議しようという意気の上がらぬ額のような予感・・・。

原子力安全委員会と、この組織とは、根本的にあり様を変える必要がある。原子力への依存を減らしてゆくとしても、すぐに廃止するわけにはいかない。また、膨大な使用済み核燃料の処分、今回の事故で生じた汚染(物・土壌・海水)への対応、被災者への対応が、これから数十年、否もっと長いスパンで必要になるのだから、安全を確保し、適切に仕事をする組織にする必要がある。行政・業界から独立させるのは当然のことだろう。このままではいけない。

チェルノブイリ原発事故 終わりなき人体汚染 を観て・・・ 

下記のポストで貼ったYoutube画像は、既に記した通り、ブログ「木霊の宿る町」の今年4月24日付けのポストに貼られていたものだ。いつも読ませていただいている、志村建世さんのブログ経由でアクセスしたもの。

この番組は15年前にNHKで放映されたもののようだが、東電福島第一原発事故を経験しつつある今観ると、原発事故のもたらす惨状が生々しく迫ってくる。

チェルノブイリ原発事故と、東電福島第一原発事故とは規模、事故後の対応等で異なり、同一視するべきではないが、以下のような点に注目すべきと感じた。すでに良く知られたこともあるが、現地で取材した迫真性に圧倒される。

〇放射能汚染は、同心円状に広がらない。事故当時の気象条件や、各地域での土壌の性質・生活様式などによって変化する。原発から物理的に離れているといっても、安心できない。

〇事故対応をした作業員の方が、晩期障害としてがん・循環器系疾患だけでなく、中枢神経系の障害による精神神経疾患にも冒される可能性が高くなる。

〇原発から離れた地域に住む人々の放射能汚染は、食物等を介した内部被曝によるものの可能性が大きい。小児・妊婦に障害が生じやすい。

〇小児の甲状腺がんが、被曝開始後4年後から急激に増えているが、(私がこれまで理解していたように、良性のがんではなく)悪性度の高い転移しやすいものと紹介されていた(ただし、これはその後の知見で、変わったのかもしれない)

チェルノブイリ原発事故級の原発事故が、わが国の2,3ヶ所で起きたら、日本という国家が存在しえなくなることが分かる。

原発容認、促進の考えを持つ方に是非観ていただきたい番組だ。

ネットで是非広げたい番組。

チェルノブイリ原発事故 終わりなき人体汚染 

「木霊の宿る町」というブログから得た、タイトルのNHK番組のYoutube画像を下の通り転載させて頂く。コメントは次のポストで。










原子力50年・テレビは何を伝えてきたか 

上記のタイトルの論文が、NHKのサイトに載っている。過去NHKで放送された番組のアーカイブスを利用して、原発・原子力についての番組約22000件についてまとめたもの。

http://www.nhk.or.jp/bunken/resarch/title/year/2008/pdf/007.pdf

一冊の書物になるほどの内容であり、力作だ。NHKのなかには、問題をしっかり見据えて、報道に携わっておられる方がいることを改めて知った。

まだきちんと通読していないのだが、関心を抱いた点・・・

〇日本の原子力の導入は、正力松太郎氏が主導したことが知られているが、彼はCIAのエージェントだったということに驚かされた。米国の原子炉を導入することを、彼は任されていたのではないか。原子力政策を予算化したのは、中曽根康弘氏だ。

〇原発に批判的な報道をしようとすると、現場に「圧力」があったようだ。この論文では、現場の上司の「自主規制」であったとされている。NHKでもこうなのだから、東電他電力会社から多くの広告収入を得ている民放では、拠って知るべしだろう。

〇原発の発電コストが他の発電方法に比べて低い、というのが原発推進派の何時も唱える宣伝文句だった。そのデータは、経通省が「予測」したものだ。各電力会社の実際の経営データから弾き出した、発電コストは、1KW時当たり

   原発  8.9円

   火力  7.2円

であったという。これに、原子炉廃棄コスト、さらに事故の対策コスト、補償コストを乗せると、原発は安価な発電方法では全くないことが分かる。このようなデータをきちんと報道したNHKの姿勢は賞賛されて良い。



東電福島第一原発事故を経験しつつある現在、それまで平時に稀にしか報道されてこなかった、原発周辺の住民の意識、被災者の問題等をこれまでよりも多く、そして深く突っ込んで報道してもらいたいものだ。この論文は、原発問題の歴史的な経過を知り、今後の対応を考える上で、一級の資料だ。

週末の夕飯 その26 

一昨日のメニュー。ビーフカレー、タコと胡瓜の酢の物、ドレッシングにヨーグルトを用いたマカロニサラダ。

食べる人員が少なくなったので、大体二日分を作ってしまう。

ビーフは、大安売りのものを使ったせいか、少し硬い(笑。スーパーで買出しをする際に、以前は、外国産の食材をできるだけ避けていたが、あの事故以来、残念ながら、こちら原産の食材を出来れば避けるようになってしまった。数日前に、群馬の牧草から、かなりの放射能が検出されたと報道されていたが、他の食材は大丈夫なのか。

ある程度の汚染は仕方ないとしても、「安全基準」を政府・行政が安易に変えることには、やはり賛成しかねる。政府の安全基準を超えていないから大丈夫と言われても、言葉通り受け止められなくなる。汚染の程度、それが健康に及ぼす可能性、特に晩期障害の可能性をデータとして出すのが一番だと思うのだが・・・。政府が依拠するICRPの基準も、医学的な見地だけでなく、「社会的」「政治的」な見地から作られている・・・。

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原子力村の外にいる研究者達 

私自身、福島原発事故が起きるまでは、原発に対して胡散臭さを感じつつも、脱原発へ向けての行動を殆どしてこなかった。原発の安全性を宣伝する新聞広告を見て、そんなに安全なら広告など出さなくても良いのではないかと呟いて、斜に構えていたくらいだったか・・・。

でも、学生時代(工業高専の時代)の夏休みだったろうか、原爆反対のデモに参加した記憶がある。原水協だったか、他の団体だったか、忘れてしまった。どういう経緯でそれに参加したのかも思い出せない。でも、日差しの強い通りを、シュプレヒコールを上げながら黙々と歩いた記憶がある。親も原爆に対して危機感を強く持っていたので、それに影響されたのだったろうか。その後、医学部に進み、医師としての研修を積むうちに、そうした危機感は薄れていってしまった。

だが、原子力は、平和利用であっても、地球を汚染し、我々の遺伝子に危害を加え、世代を超えて障害を及ぼす危険性を持っている。下記の雑誌記事にある京大の研究者が言っているように、機械は必ず壊れるものだ。そして、原子力は、一旦コントロールが不可能になると、その後技術的に対処できなくなる。地震・津波の多発するわが国で、エネルギー源として原子力は不適当だ。多大な被害を生じつつある福島原発事故の教訓は、それしかない。

原発を推進してきた研究者達の責任は重い。福島原発事故の起きた当初、NHKにしょっちゅう出ていた、東大の関村氏は、「原子炉は停止しているから大丈夫、炉心が露出しているが、冷却水を増やせば大丈夫」と繰り返していた。もうあの時点で、核燃料棒の溶融は確実に起きていた。その後、事態が悪化の一途を辿ると、彼はNHKには出なくなった。そうした「御用学者」が沢山いる。原子力研究者は、本質的に「御用学者」にならないと、生活できなかったのかもしれないが、この事態になってダンマリを決め込むのは許されない。

京大の原子力研究所には、六人の脱原発を説く研究者が、かって所属、また二名は現に今も所属しているようだ。現在スタッフで残っている方々は、定年直前なのに身分が助教のまま。自らの信念を貫き通した研究者としての人生だったのだろう。彼等へのインタビュー記事、こちら。マスコミは、今も、「原子力村」の影響を強く受けている。原子力の権益にしがみつき、経済力で反対するものを潰す勢力が、まだまだ居座っている。

原子力村の外にいて、原子力依存をやめることを提言している研究者の言葉に耳を傾ける必要がある。国の安全を確保できるかどうかは、国民自身にかかっている。

汚染核種・内部被曝等の情報を公開すべきだ 

原発による放射能漏洩は、従来、半径10kmの範囲しか想定されていなかったという。原子炉が爆発し、放射能汚染が周囲に進行することは、想定外だったようだ。原子炉は、安全だから、安全であるというトートロジーに、原子炉の安全を確保し、検証する立場の人々が冒されていたように思われる。

原子炉の爆発に伴う大量の放射性物質の拡散・汚染という状況を前にして、当局者は、怯え、理性を失っているのではないだろうか。正確かつ詳細な情報を、適切なタイミングで出していない。怯えさせず、パニックに陥れないようにしなくてはならないのは、国民ではなく、むしろ当局の人間の方なのではないか。

今日、福島の下水処理施設汚泥に高濃度の放射性物質の蓄積が認められたと報道されていた。放射能汚染の実態、特にヨード・セシウム以外の核種の汚染、さらに周辺地域での住民の被曝状態、特に内部被曝の評価を急ぐべきだ。

次男は、大学の新学年が始まる福島に帰っていった。風で砂埃が立つ日には、外出を控えるように、どうしても外出する場合は、マスクをするようにと繰り返し話した。N95マスクを持たせた・・・本当は、N99マスクの方が良いのだろうが・・・。


以下、MRICより引用~~~

被曝者に放射性核種による内部被曝についてインフォームドコンセントを

共立耳鼻咽喉科院長 山野辺滋晴
2011年5月1日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp
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今回の福島第原発事故では、国際放射線防護委員会(ICRP)の提案に従って、一般人の被曝限度量が年間1mSvから20mSvに緩和されました。同様に、水道水中の放射性ヨードは300bq/Lに暫定的に引き上げられ、除染基準も1万3千cpmから10万cpmに引き上げられています。これらの措置は住民の移住を回避するためですが、原発事故では、CT検査のような外部被曝だけではなく内部被曝も伴うため、原発周辺から関東一円に居住する人々の不安を払拭できていません。いま、こうした人々の不安を拭い去るためには、ストロンチウムなど様々な放射性核種による内部被曝について、医学的な立場から丁寧にインフォームドコンセントすることが必要ではないでしょうか。

昔、私はアイソトープ(放射性核種)実験施設で研究したことがあります。様々な放射性核種が使用される実験施設では、放射性物質は厳しく管理されており、空間や床面で数十~数μSv/hの放射線量率が計測する状況など許されませんでした。もちろん、そうした放射能汚染状況下での飲食や日常生活など論外でしたが、現在の原発事故周辺地域では、どんな放射性核種が存在しているのかも判らないまま、同様の環境で住民の方々は生活しているわけです。つまり、生活環境に存在する放射性核種の種類と濃度に関する情報が不足しているために、社会に混乱を招いているのでしょう。いま、如何なる放射性核種が存在するのかしないのか、地域毎に情報提供する必要があると思います。

原子力安全委員会作成の環境放射線モニタリング指針[1]では、原子力施設において異常事態が発生した場合には、平常時モニタリングを強化し、空間放射線量率、大気中の放射性物質、気象観測、積算線量の監視を強めて、原子力施設からの予期しない放射性物質又は放射線の放出を早期に検出し、環境における放射性核種の蓄積状況を把握するよう指示しています。こうした平常時モニタリングでは、ストロンチウムを含む様々な放射性核種が測定対象として取上げてあります。しかし、今回の原発事故のような緊急時モニタリング時には、測定対象は放射性のヨウ素、セシウム、ウラン、プルトニウムだけに限定され、ストロンチウムを始めとする多くの放射性核種が当初の測定対象から除外されています。こうした欠陥が前述の指針にあるため、現時点では情報公開している放射性核種が極めて少なく、大気中や海中に漂う放射性核種の種類と濃度も公表されておらず、現状の情報公開は人々の不安を払拭するために必要十分とは言えません。

この指針では、内部被曝の原因となる放射性プルームの移流・拡散から人々を守るため、既に開発してあった緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEED?)を活用するよう指示されています。けれども、30キロ圏外の一部地域で基準を超える内部被曝の可能性を示唆した予測結果[2]が公表された後は公表されなくなり、大気中の放射性核種や気象の観測結果から放射性ヨウ素やプルトニウムの飛散予測地図を作成して人々の健康被害を防止するための情報提供は中止されています

日本では放射性ストロンチウムは計測対象ではありませんが、EUを始めとする多くの諸外国では、環境試料中の放射性ストロンチウムも計測対象です[3]。(但し、日本では放射性ストロンチウムの濃度は放射性セシウムの一割と想定してあるため除外されています。)さらに、高エネルギー加速器研究機構(KEK)では、大気中の様々な放射性核種の種類と濃度について実際に測定結果が公表されていますし[4]、フランスの民間機構では、福島第一原発周辺で採取した土壌などの環境試料を計測し、その中に含まれていた放射性ヨウ素やセシウム以外の放射性核種についても公表しています[5]。このように、様々な放射性核種について観測結果を公表した上で、現状の内部被曝が危険なレベルにない事を実証してこそ、人々の不安が払拭されると思います。

また、医学的に内部被曝量を把握するのであれば、ホールボディカウンタを使えば内部被曝量を実測することができます。原発事業所では作業員の健康を守るため、三ヶ月に一回の定期検査が義務付けられていますから、当然、今回の事故では周辺住民にも同様の検査を実施すべきだと思います。JOC臨界事故では、周辺住民へのホールボディカウンタ検査の実施が遅れてしまい、事故当時の内部被曝状況を把握できなかった事が問題視されています。同じ過ちを繰り返さないために、今回の福島原発事故では周辺住民に対してホールボディカウンタの存在を早急に周知して、体内のヨウ素131が測定限界以下になる前に、希望者に対してホールボディカウンタ検査を行いサンプリングすべきでしょう。さらに、国立がん研究センター嘉山孝正理事長が提案されたように、原発周辺住民にフィルムバッジを配布し外部被曝量を各個人で定量すべきです。現状は間違いなく非常事態ですから、医療関係者が日常的に行っている放射線量管理を超法規的に暫く中断し、余剰となるフィルムバッジを福島県東部の住民全員に優先して配布することも検討すべきだと思います。

皆さん御存知のように、原爆の被爆者は大量の放射線が晩発性障害を引き起こす事を体験していますから、放射能の危険性を世界に訴えています。ただ、その一方で、ある程度までの放射線を外部被曝したり内部被曝したりしても、一部の人々を除いて一生を大過なく健康に過ごせることも被爆者は知っています。こうした知見から類推すれば、被曝しても健康を害さないためには、放射線被曝をできるだけ少なくすべきです。いま、年間累積放射線量が100mSV以下であれば安全で危険は極めて少ないかのような風潮がありますが、被曝者の安全を守るためには、測定困難なα線やβ線を出す放射性核種による内部被曝も考慮し、できるだけ被曝しないように十分な被曝防護対策を周知徹底する必要があることを忘れてはいけないでしょう。

私は被爆二世で、放射線影響研究所の健康調査を受けています。ですから、被曝者の健康を守るためには、生活環境の放射線量を正確に計測して危険性の有無を調べ、必要な検査を確実に実施し継続していくことが大切だと思います。そのためには、いま広く行われている空間線量率の計測だけでなく、大気や放射性降下物に含まれる様々な放射性核種について計測して地域の危険性を把握しつつ、被曝者各個の被曝線量を管理して頂きたいと思います。原発推進では安全性ばかりが強調されて、危機管理が蔑ろにされました。この過ちを繰り返さないためにも、予期せぬ内部被曝を防止するためにストロンチウムなどの危険な放射性核種に関する計測体制を整備した上で、計測した情報を全て公開して適切に危機管理し、どこまでが安全で、どこからが危険なのか、原発周辺で生活する被曝者へのインフォームドコンセントの確立をお願い致します。

参照[1] http://www.nsc.go.jp/anzen/sonota/houkoku/houkoku20080327.pdf
参照[2] http://www.asahi.com/national/update/0326/TKY201103260337.html
参照[3] http://www.jetro.go.jp/world/shinsai/20110411_01.html
参照[4] http://www.kek.jp/quake/radmonitor/index.html
参照[5] http://www.acro.eu.org/OCJ_jp