センチメンタル ジャーニー  

昨日、思い立って・・・というか、草むしり、夕食作りと無線、わずかな読書に少し飽きが来て、感傷旅行かつ突貫ドライブに出かけた。行き先は、信州・安曇野それに姫川渓谷。これまで何度となく行ったことのある地域だ。

午前10時頃、北関東自動車道から関越道を経て上信越道に乗った。平日とあって、すいすい進む。碓井峠の手前で降りて、横川から碓井峠、軽井沢の下の道を行くこともちらっと考えたのだが、先が長いと思い、高速を走ることにした。

北関東道。ガラガラ。天気が不穏だったが、一応晴れている。出発時はハイテンション。

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20年程になるか、母と二人で信州を旅したことがあった。ここでも何度か記した記憶がある。三泊四日の短い旅行だった。当時は、まだ上信越道が開通していなかったのだったか、下の道を走った。横川の峠で昼時となり、横川駅近くのドライブインで釜飯を食べた記憶がある。横川のサービスエリアに立ち寄り、そこで釜飯はないものかと探したが、見つからず。これの内容が釜飯だ。でも、釜飯という名がついていない。商標権の問題でもあるのだろうか。

にこにこしながら釜飯をほおばっていた母の面影が浮かぶ。

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上田の手前のインターで降りた。118号線だったか、上田方面に少し走り、鹿教湯を抜けて松本にでる道を走るつもりが、その道への曲がり角を通り過ぎてしまい、前進。上田から安曇野の方に抜ける峠道(後で調べると、143号線から277号線)を走る。カーナビ上、ワインディングしているので、山道走行が少し心配だったが、時間はたっぷりある。それに、私の辞書には「後退」という文字はなし・・・。でも、かなりキツイ山道だった。1時間弱走ったか。途中、東条湖というダム湖があった。湖水は、深い緑色。車の往来は皆無。

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その後山道、田舎道を安曇野方面に走り、池田町に出た。見覚えのある街道だ。やがて、懐かしい青木湖が目の前に広がった。この辺り、とても静かになっている。長野オリンピックの前後は、街道沿いにけばけばしい飾りが並び、バブリーな民宿が軒を並べていたものだが、そうした装飾・建物はきれいさっぱりなくなっていた。昔は、湖にボートをこぎ出している人々がいたものだが、そうした人影もなし。リゾートとしては、かなり減収になっているだろう。が、昔を知るものとしては、この変化は少し嬉しい。

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大学オケの合宿を、この先の神城というところで行っているときに、この湖に友人たちと遊びに来て、遊泳禁止のこの湖を泳いだことは以前書いたかしらん。2,3名がボートに乗り、残り2、3名が水泳着になり、泳いで渡ったのだった。

その遊泳のあと、1時間程歩いて、合宿所まで帰るのだ。疲れは全く感じず。その道は、バイパスができたせいか、昔通り交通が少なく、ひっそりとしていた。ぺちゃくちゃおしゃべりしながら歩いた道が、40年前と同じ風情で目の前にある。あの当時から、私は、精神年齢が変わっていないのかもしれない、あれよりも先に進んでいないのかもしれない、という思いが、ふっと心に湧き上がり、苦笑いをしてしまった。

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大糸線、神城駅。当然のことながら、40年前とは、駅舎が違う。以前は、木造の小さな駅舎だった。新宿発、信濃森上・小谷行きの急行「白馬」に乗ってここまでやってきたわけだ。一度、楽器トラブルで東京まで戻り、その後夜行でとんぼ返りをしたこともあった。登山客がたくさん乗っていた。今はあのような夜行の登山列車はないのだろう・・・。

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プラットフォーム、それに陸橋は昔のまま・・・。

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オケの合宿所「やまや」への線路沿いの近道。オケが終わりに近くなると、先に帰宅する指揮者の尾原先生を見送ったり、先に帰郷する友人を送ったりした道だ。

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「やまや」。建て増しをされ、また建物も更新されたのだろう、大分様子は違うが、昔通りに存在していることに感激。左手、木々の後ろに練習場がある。

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その練習場の南側にある、小高い丘と、手前の小川。練習しているときに、この風景のすくなくとも一部が目に入って来ていた。当時練習していたベト1、小組曲等を聴くと、この風景、それに山から吹いてくるそよ風を、あたかもそこにいるかのように感じたものだ。

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神城の民宿街も閑古鳥が鳴いていた。お隣の白馬は、街道沿いにちょっとした小軽井沢みたいな賑わいだったのだが、あちらもシャッター通りとなっていた。冬場にスキー客で少しはにぎわうのだろうか。

姫川渓谷は、多数のトンネルが開通し、糸魚川まであっと言う間についてしまう。本当は、どこかで宿をとって、泊まる予定でいたのだが、適当な宿が見当たらなかったのと、家心がつき、帰宅することにした。

糸魚川までの姫川渓谷の下の道は、かなり曲がりくねり、絶壁を走るようなところなのだが、今回は時間的にパスしてしまった。また一度戻って、ゆっくり走ってみたいものだ。

途中、母と宿をとった風吹荘という民宿に寄ってみたが、「本日終了」の看板がかかっていた・・・本日だけでなく、ずっと終了なのではないだろうか。

糸魚川の日本海に面したところにあった、「五洋水産」という料理屋もなくなっていた。そこで昔食べた、あら汁は旨かった。直江津まで下の道を走り、陽が落ちるのと同時に、高速にのり家に急いだ。

こんな無茶なドライブは、もう無理・・・。だが、安曇野から姫川にかけての風景、風物は、お気に入りではある。

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不幸の均霑 

先日、所用があって高松に出かけた。夕食にありつこうと、夕暮れを過ぎた高松駅近くをうろついたが、一杯飲み屋しか見つからない。夕飯はホテルで摂ることに決め、本屋に入った。本屋の本棚から本を手に取り眺めるのは久しぶりだ。三冊ほど文庫本を購入。その一冊が、角川oneテーマ21という変なシリーズ名の一冊「戦争と日本人ーテロリズムの子どもたちへ」だった。加藤陽子と佐高信の対談である。

戦争と国民の関わりを、わが国の近代史から論じたもので、大変面白い内容であった。特に、印象が残ったのが、日本で戦争責任を正面から国民が論じようとしない背景についての議論だ。日本では、戦前徴兵制だったが、徴兵されるのは当初30人に1人程度だった。だが、戦争遂行とともに徴兵はどんどん拡大され、最後は学徒出陣まで進むことになる。その徴兵の拡大を行う際に、当局は、表面上徴兵を「公平に」行うようにして、対象を拡大していった、ということだ。いわば、「不幸の均霑」を実現していったのだ、という。

これは、官僚機構の好む手法であり、現在のセーフティネットの引き下げの議論等にも、しばしば登場する論法だ。年金受給者の方が、生活保護受給者よりも、受給金額が少ない、だから、生活保護をもっと減らそう、という類の議論だ。「不幸の均霑」の論法は、大衆の支持を得やすい。そこを利用するわけだ。

で、私が以前から疑問に思ってきたことの一つも、この本に記された議論から学ぶことができた。わが国においては、戦争責任がなぜ国民的な議論にならなかったのかという問題だ。徴兵されることによって、一人前の国民と認められるという側面もあったが、国民の大勢は、できれば徴兵されたくないという意識が強かったようだ。特に戦争末期一年半ほどは、徴兵により、国民は酷い目に会うことになる。それで、自分の意志とはかけ離れた戦争という意識が国民に植え付けられ、そのために戦争責任を自らの問題として考えることがなくなってしまったのではないか、ということだ。

中国や韓国では、日本の戦争責任を問う声が今でも多くある。その一部は、当局が、自らへの批判をそらすためであるのかもしれない。また、経済的な困窮から、比較的裕福なわが国に経済的な見返りを求めて、ということもあるのかもしれない。だが、戦争責任を国民が考え、きちんとその総括を行うことが、まだわが国で行われていないことは確かだろう。それが、安易で薄っぺらなナショナリズムが唱道される背景になっている。国家権力とどのような距離を置き、また国を本当に愛するためにどのようにしたら良いのか、改めて、考える必要があるのではないだろうか。それを行わないと、また「不幸の均霑」の論理で、徴兵制が復活し、戦争への道筋を歩みだすことは十分あり得る。自民党は、その憲法草案において、軍法会議の設置を謳っている。徴兵制を見据えていることは明らかだ。国家権力の論理に絡め取られる前に、この歴史からの問いかけに答える必要がある。

盛夏 

一番熟れたスイカ。今週末、娘が帰宅したら収穫しようと思っていたが、試験とかで帰宅しないことになったので、いずれにせよ収穫。

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百日紅の花が咲いている。盛夏だ。

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相変わらず、日中は草むしり、時々無線、時々読書、そして夕方には夕食作りの毎日。

ちょっと旅行に出かけてみたいと思うこともあるが、Don N7EFの言うように、家から出ないことが一番と思わぬでもない。昨年の今頃、シアトルへ向けての旅行の準備に忙しかったことを思い出した。

楽器を取り出してみたら、指板が下がっている・・・乾燥によって、もとに戻れば良いのだが。

こうして夏が過ぎてゆく。

周波数の優先権にまつわるマナー 

周波数の優先権にまつわるマナーについて、某BBS、某MLで話題になった。私の見解を記してみる。

A局が、ある周波数でCQを出し、B局がコール、交信を開始。交信終了時、C局がB局をコールした。

さて、B局はどのように対応すべきか、という問題だ。

〇その周波数を用いる優先権は、A局にあるので、原則、B局はC局への応答を諦めるか、別な周波数に移らねばならない。

移るためには、C局のコールを手短に送信し、移動する周波数を指示する。その場合、2KHz UPのように具体的に指示するのが普通。短点の連続を送信しつつ、移動する等というのは邪道。

B局は、移動する周波数にすぐに移り、そこが使用中でないかを確認する。その後、おもむろにC局をコールする。

〇例外的な状況もある。

まず、A局が交信中、ないし交信終了時に、QRTする意向を表明した場合、B,C局は、その周波数で交信を開始できる可能性がある。A局が、最後の送信時にCL(closing down)と打電する場合等である。某BBSでは、CLではなくVAとA局が打電すれば、それでその周波数の優先権が消滅する、という意見を述べる方がいたが、それは間違いだ。VAは、交信終了をアナウンスしているに過ぎないからだ。

ただし、この例外にも問題がある。A局が交信終了時にQRTの意向を示したのに拘わらず、A局を呼ぶ別なD局がありうるのだ。B局にD局の信号が聞こえぬということは、HF帯での交信では日常茶飯事。なので、上記の例外の筋書きで新たにB局がC局と交信を始める際に、丁寧な手順を踏むとすると、

A(局のコールまたはハンドル) CAN I USE THIS FREQ?

といった断りを入れることが望ましい。それに対して、

B(局のコールまたはハンドル) GA

といった返答が、A局からあれば、その周波数に居残ることができる。

また、A局が、例えQRTに意向を示していなかったとしても、B局が呼ばれていることを知って、

STAY ON THIS FREQ I WILL QUIT HERE

または、簡単に

B(局のコールまたはハンドル) GA

といったメッセージで、B局にその周波数に残るように促す場合もある。その場合は、B局はA局に簡単に礼を述べて、C局との交信を開始する。

まぁ、オンエアーでしばらくワッチを続ければ、このような運用マナーは簡単に身につくはずだ。

ポイントは、周波数の優先権が、CQを出して交信を開始した局にあること、その局の指示に従うことの二点だ。

参議院選挙 

上記が終わった。選挙速報は見ない。結果はすでに分かっているからだ。

自民党が圧倒的に優勢であると事前から報じられ、恐らく、その通りの結果になるのだろう。自民党を支持した人々に以下の点をどのように考えるのかを問いたい。

自民党の憲法草案に目を通されたのだろうか。憲法は、国の形を決め、また国家権力の暴走を食い止める大きな手立てなのだ。自民党は、国家権力に都合よいように、立憲政治を否定するアナクロニズムを憲法に持ち込もうとしている。彼らの憲法草案が、憲法となったときになって反省しても遅い。

金子慶大教授の論考によれば、これまでの各政権は、株価が上がるときに選挙を行う、または株価が上がるような政策をとって選挙を行うとのことだ。今回の選挙も、「空前の財政出動」により自民党政権が、票を金で買ったと、後の歴史家から評価されることだろう。

現政権は、リフレ派の政策をとり、大規模な財政出動を行い、インフレを誘導しようとしている。だが、それは、過去の自民党政権が大なり小なり行ってきた政策と変わらない。一時的な経済の浮遊があるかもしれないが、根本的な解決にはならなず、一時的な現象で終わる。むしろ、国家財政をますます行き詰まらせることになる。藻谷浩介著「デフレの正体」(角川グル^プパブリッシング)によれば、実証的なデータに基づき、現在の経済の停滞は、ベビーブーマー世代の加齢によることを明快に示されている。家屋土地、車等耐久消費財等の購入・消費を行っていた同世代が高齢化し消費を行わなくなり、生産年齢人口に属さなくなりつつあることが、現在のデフレの正体なのだ。それを、生産性向上(主に、労働者数削減による)や、経済成長だけを目指す施策によって克服することはできまい。自民党政権の現在の施策は、必ず失敗に終わる。

さて、この選挙を経て、どのような方向にわが国が向かうのだろうか。

ハンガリーの国粋主義的政権が生んだ混乱 

EuropaというEUの公式ページで、EU大統領のバローゾ氏のこんな声明が出されていることを、つい最近まで知らなかった。

ハンガリーのオルバン政権が、憲法を改定し、金融・情報統制・司法の独立を侵害する行動に出ていることを憂慮する発言だ。

こうした事態によって、ハンガリーの国債が売られ、通貨安になり、同国は経済的な危機に見舞われているらしい。

デトロイト市の財政破たんといい、このハンガリーの国粋主義的政権のもたらした混乱といい、他人事とは到底思えない。

明日は投票。表面的な事象に囚われず、この国がどの方向に向かうべきかを良く考えて、投票したいものだ。国の歴史の一つの転換点になりうる選挙なのだと思う。


以下、引用~~~


Statement by President Barroso following his meeting with the Prime Minister of Hungary Viktor Orbán

Reference: MEMO/12/40 Event Date: 24/01/2012

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MEMO/12/40

Brussels, 24 January 2012

Statement by President Barroso following his meeting with the Prime Minister of Hungary Viktor Orbán

"I received today Prime Minister Viktor Orbán to discuss the situation in Hungary. We had a comprehensive and constructive discussion. The Prime Minister indicated Hungary's readiness to address swiftly the issues raised by the Commission.

On 17 January 2012, the Commission launched infringement procedures relating to a number of new provisions in Hungarian legislation, namely the independence of the country's central bank, data protection authority and certain measures affecting its judiciary. The Commission asked for detailed answers from the Hungarian authorities within a month. I have clarified with Prime Minister Orbán the work ahead that is needed to speedily address the Commission’s legal concerns. The services of the Commission have already started to work on this with the Hungarian authorities. They are ready to fully assess the formal answers from the Hungarian side as soon as we receive them. The same is valid for the information request on the independence of the judiciary.

It is essential for the European Commission to make sure that EU law, both in letter and in spirit, is fully respected by Hungary, as by any other Member State. I also reiterated that there are wider political concerns that the Hungarian Government needs to address. At a time of economic and financial crisis, confidence of citizens and markets in Hungary remain particularly crucial."

院外薬局にまつわる不思議 

院外薬局の不思議

1)調剤料・指導料等の技術料が、医療機関のそれとほぼ同等であること。窓口での指導などといっても、決まりきったことを、ただ一言二言述べるのみ。あんなプライバシーも確保できぬところで、個別の指導などできるはずがない。それ以上に可笑しなことは、薬剤師が「診断名」を知らずに、指導することだ。処方薬から診断名を推測するらしい。診断名を知らずに、個別の状況を知らずに、よくも指導などできるものだ。院外薬局の指導には殆ど意味がない、ということではないか。

2)医療事故(投薬過誤によるものも含める)は専ら医療機関に帰せられる。少なくとも、投薬が関係した医療事故では、薬局にも医療機関と同じだけの責任があるはずだ。

3)煩雑な保険規則に反した処方、といっても多くは、病名をレセプトに載せ忘れたようなケアレスミスなのだが、では、全額返還を医療機関は迫られる。その場合、薬局の診療報酬分も、医療機関が返却させられる。薬局は、その処方で利益を得ているのに、その分も医療機関が被らなければならない。これは可笑しな話だ。

保険診療では、薬局・医療機関を問わず、収入が当局にすべて把握されている。その保険診療薬局が、5千万円の脱税をしていたとは驚きだ。医療機関は、10円の多寡まで当局に問題にされる、というのに。このような犯罪行為をする薬局も薬局だが、その一方、それを見逃す、または構造的に、薬局に利益を誘導するシステムになっているように思えてならない。社会的な公平性が侵されている。


以下、引用~~~

薬局が5千万円脱税容疑 大阪国税局が告発

記事:共同通信社

13/07/19

 「順心堂」などの名称で保険調剤薬局を営む大阪市阿倍野区の「ユウトク」が約5300万円を脱税したとして、大阪国税局が法人税法違反容疑で、同社と前社長の佐々木順子(ささき・よりこ)取締役(68)=堺市堺区=を大阪地検に告発していたことが18日、分かった。

 関係者によると、佐々木取締役は社長だった2011年10月期までの3年間に、保険窓口収入の一部を除外するなどの方法で、約1億7700万円の所得を隠した疑いがある。重加算税は約1900万円とみられる。

 法人登記簿などによると、同社は佐々木取締役が1995年に「順心堂」の社名で設立。今年、ユウトクに社名を変え、社長を交代した。大阪府内に8店舗あるという。

HPVワクチン、厚労省は、どうでるのか? 

WHOが、HPVワクチンの安全性情報を出した。

厚労省は、自らのメンツと、波風を立てたくない一心で、HPVワクチン推奨から、非推奨に切り替えたばかり。

腰が引けた厚労省は、さて、どのように対処するのだろうか。減点主義の行政にあって、なかなか対応に苦慮している様子だが、科学的な知見をしっかり見据えてくれないと・・・。


以下、mricの記事から引用~~~


WHOの公式声明「HPVワクチンに関するGACVSの安全性最新情報」の日本語訳配布について

子宮頸がん征圧をめざす専門家会議
議長 野田 起一郎
実行委員長 今野 良

2013年7月13日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp
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去る6月14日に厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会の副反応検討部会が開催され、子宮頸がん予防ワクチン(ヒトパピローマウイルスワクチン、以下HPVワクチン)の積極的な接種勧奨について一時差し控える方針が決定されました。この4月に改正予防接種法が施行され、HPVワクチンが、ようやく定期接種として広く実施されることになってから、わずか2カ月余りでのこの事態を、私たち子宮頸がん征圧をめざす専門家会議は非常に残念なことと受け止めています。

HPVワクチンは、これまで全世界の120カ国以上で承認、接種されており、その有効性・安全性が広く認められています。去る6月13日には、WHO(世界保健機関)の諮問委員会であるGACVS(ワクチンの安全性に関する諮問委員会)が、HPVワクチンに関する安全性について声明を発表しています。WHOが日本での副反応報告も検討したうえで、最新の知見としてHPVワクチンの安全性を改めて確認した意味は重いものと考えます。しかし、残念ながらこの声明は、英文の資料しか用意されていないためか、これまでのところ一般の方々はあまり承知していないものと考えます。

また、6月19日には、米国CDC(疾病対策予防センター)が、HPVワクチンを米国に導入した後、導入前と比べてワクチンに含まれるウイルス型の14~19歳女性における感染率が56%減少したとの研究成果を発表し、HPVワクチンの有効性が高いこと、さらなる接種率の向上が重要であることがCDC所長からコメントされました。(http://jid.oxfordjournals.org/content/early/recent )

子宮頸がん征圧をめざす専門家会議では、ワクチン接種後に健康を害された方々とそのご家族の心身の痛みにお見舞いを申し上げるとともに、補償や救済制度の充実と、適切な治療が速やかに受けられる仕組みの構築を、社会的課題として解決すべきものと考えています。そして、公衆衛生の視点から積極的接種勧奨再開に向け、正しい科学的知識の普及を継続していきます。本資料配布はその啓発活動の一環として行うものです。MRICをお読みの皆様のご参考になれば幸いです。

日本語訳は以下。正式な内容は、http://www.who.int/vaccine_safety/ committee/topics/hpv/130619HPV_VaccineGACVSstatement.pdf にて原文をご参照ください。

<HPVワクチンに関するGACVSの安全性最新情報>
2013年6月13日、ジュネーブ

2013年6月13日の会議において、GACVS(ワクチンの安全性に関する諮問委員会)はHPVワクチンの安全性に関する最新情報を検討した。前回の検討は2009年6月に実施されていた。当時、GACVSはHPVワクチンの安全性に関する累積エビデンスは安心できるものであったこと、有害事象モニタリングのための能力向上ともに、HPVの予防接種に関する試験が開始されていたことを表明した。現在、GACVSは、ワクチンが導入されている環境において質の高い安全性データを継続的に収集することを非常に重要視している。

過去4年間に、各国が予防接種プログラムを開始した又は拡大したことから安全性データは蓄積され続けている。GAVIアライアンス(ワクチンと予防接種のための世界同盟)も、子宮頸がんの負担が甚大な発展途上国の女性がHPVワクチンを接種できるようにするための方策を講じ始めた(注:日本政府も昨年から財源支援開始)。現在のところ、約1億7500万接種分のHPVワクチンが販売されている。2300万接種分以上が販売された後、米国のVaccine Adverse Event Reporting System(ワクチン有害事象報告システム)に報告された有害事象の検討結果が、2009年に発表された(Slade 2009年)。現在、HPVワクチンが承認された多くの国において、大量の市販後データが蓄積しているなか、現在までに懸念事項は示されていない。現在販売されているワクチンの製造業者は妊娠レジストリを作成しており、有効性と併せて長期安全性試験を継続している。

諮問委員会は、米国、オーストラリア、日本及びCervarix?(GlaxoSmithKline)及びGardasil?(Merck)の製造業者から得られたデータを検討した。米国からの最新情報には2009年に公表された調査結果以降に得られたVAERSへの自発報告ならびにVaccine Safety Datalink(ワクチン安全性データリンク)からの終了済み試験及び試験計画を含んでいる。オーストラリアでは、男性を対象とする新たなプログラムが2013年2月に開始されており、データが入手可能になりつつある。

すべての情報源からのデータは、引き続き2つのワクチンの安全性が再確認された。現在、VAERSからのデータには2006年以降に販売された5000万接種分以上のデータが含まれており、プロファイルは2009年の検討時から大きくは変わっていない。初回の検討時に明らかになっていなかった有害事象報告、すなわち失神及び静脈血栓塞栓症(VTE)については更なる調査が行われた。失神については、報告され続けているが、HPVワクチンが接種される集団及び状況(注:多感な時期にある思春期女子を対象とする)を考えれば、妥当な関係がある可能性が高い事象である。そのため、ワクチン接種後15分間の観察期間を遵守することが勧告として強化されている。VTEについては、VSDにおける1ヵ月ごとの迅速分析(rapid cycle analysis)ではリスクの増大は認められなかったものの、経口避妊薬の使用、喫煙、本集団におけるその他の危険因子などの交絡因子を適切に補正して更なる調査が行われているところである。同様に、VSDではギランバレー症候群および脳卒中のリスク増大も認められなかった。

オーストラリアでは、安全性監視が強化されており、専門家グループが報告された事象の分析を続けている。現在のところ、ほぼ700万接種分が販売されており、以前検討されたアナフィラキシーの発生率増加に関する懸念は確認されなかった。男性を対象とするワクチン接種プログラムの拡大及び2013年2月1日以降の監視強化を受けて、現時点ではGardasilの安全性プロファイルは女性におけるプロファイルと同等であることが示されている。

オーストラリアにおける使用経験は、本年齢集団に新規ワクチンを導入する国、特にワクチンを学校での集団接種において投与する場合に役立つ教訓を示している。学校での集団接種プログラムが導入されてから間もない2007年5月に、女子校でワクチン接種を受けた720名のうち26名で浮動性めまい、動悸、失神又は卒倒、脱力感及び失語症を発現した。4名は救急車で病院に搬送されたが、更なる臨床医学的評価により報告された症状の器質的根拠は明らかにならなかった。この有害事象の集団発生は、ワクチン接種に対する心因性反応の結果であると判断された。この出来事によって、オーストラリアではマスコミの関心及び一般市民の懸念が増大した(Buttery 2008年、Gold 2010年)。このような症例については、迅速かつ詳細な医学的評価を行い、診断を確定したうえでワクチン又はワクチン接種との因果関係を評価し、リスクコミュニケーションの原則を採用した積極的なコミュニケーション対策を講じる必要がある。

2つの製造業者による調査では、製品添付文書を修正する必要性を示唆する徴候は認められなかった。両社とも妊娠中のワクチン接種後の妊娠転帰に関する調査を継続している。結果の詳細な分析から、HPVワクチン接種に関連する新たな有害転帰は示されていない。Gardasilについては、長期追跡調査が最も長いコホートで8年以上に延長されており、これらのワクチン接種者において新たに診断される健康に関する事象の有意な増加は認められていない。妊娠レジストリの最新分析でも、予測される背景発生率を超える有害な妊娠転帰は観察されなかったことが再確認されている。Cervarixについては、妊娠転帰ならびに免疫と関与する疾患群などの関心の高い特定の事象に関して同様に安全性を確認できるデータが得られている。失神及びアナフィラキシーについては、リスクが潜在的にあることを警告するために製品添付文書に追記されており、失神はワクチン接種経験前後の状況にも関連がある可能性があると記されている。

最後に、800万回分以上のHPVワクチンが販売されている日本から複合性局所疼痛症候群(CRPS)の症例が報告された。CRPSは通常は外傷後に四肢に発現する疼痛状態である。傷害又は外科手技後の症例が報告されている。本症候群は原因が不明であり、明確に記録される類の傷害がなくても生じることがある。HPVワクチン後のCRPSは日本においてマスコミの注目を集めたが、報告された5例のほとんどが典型的なCRPS症例と一致しないと考えられる。十分な症例情報がなく、多くの症例で決定的な診断に達することができなかったことから、副反応検討部会による検討では因果関係を明確にすることができなかった。これらの症例については調査中であるが、日本は国の定期接種においてHPVワクチンの接種を継続している。

要約すると、HPVワクチンの安全性に関する前回の検討から4年が経過し、世界各国で1億7000万回分以上が販売され、より多くの国が国内の予防接種プログラムを通じてワクチンを提供していることから、諮問委員会は市販製品の安全性プロファイルに大きな懸念がないことを引き続き再確認することができている。以前、懸念とされていたアナフィラキシー及び失神は、更なる調査を通じて検討され、製品添付文書に適切な改訂が行われた。シグナルの可能性があるものとして報告されているギランバレー症候群、発作、脳卒中、静脈血栓塞栓症、アナフィラキシー及びその他のアレルギー反応などを含む重篤な有害事象は、さらに詳細に検討されており、多くは米国のVSDにおける1ヵ月ごとの迅速分析により検討されている。妊娠中に不注意でワクチンを接種した女性における妊娠転帰に関する自発報告及びレジストリによる調査では、予測される発生率を上回る有害転帰は検出されていない。

日本から報告されている慢性疼痛の症例には特別に言及する必要がある。世界各国で使用が増加しており、他からは同様の徴候が認められていないことから、現時点ではHPVワクチンを疑わしいとする理由はほとんどない。一般市民の懸念を認識して、治療を最善に導くために各症例についての慎重な記録ならびに専門医による確定診断の早急な徹底的調査を当諮問委員会は要請する。各症例の時宜を得た臨床評価及び診断に続く適切な治療が不可欠である。

Buttery JP, Madin S, Crawford NW, Elia S, La Vincente S, Hanieh S, Smith L, Bolam B. Mass psychogenic response to human papillomavirus vaccination. Med J Australia 2008;189(5):261-262

Gold MS, Buttery J, McIntyre P. Human papillomavirus vaccine safety in Australia: experience to date and issues for surveillance. Sexual Health 2010;7:320-324

Slade BA, Leidel L, Vellozzi C, Woo EJ, Hua W, et al. Postlicensure safety surveillance for quadrivalent human papillomavirus recombinant vaccine. JAMA. 2009 Aug 19;302(7):750-7. doi: 10.1001/jama.2009.1201

上記は理解促進のために作成した翻訳です。正式なリリースはWHO作成の原語版となります。
注)は当専門家会議が付記しました。

■子宮頸がん征圧をめざす専門家会議(通称:子宮頸がん予防ゼロプロジェクト)
子宮頸がん征圧をめざす専門家会議(子宮頸がん予防ゼロプロジェクト)は、子宮頸がんの予防、征圧を実現するために、より精度の高く費用対効果にすぐれた子宮頸がん検診(細胞診+HPV検査)を確立し、子宮頸がん検診の受診率50%以上をめざすとともに、当時まだ未達成であったHPVワクチンの早期承認と公費負担の実現を図ることを目的として、2008年11月に設立されました。
当会議は、専門領域の枠を超えて、多くの医師、専門家、団体、企業が力を合わせ、多面的な視点から、子宮頸がん予防について、社会・行政に向けた提言を行ない、私たちが果たすことができる役割を考えながら活動しています。

<役員>
議長:
野田 起一郎(近畿大学前学長)
顧問:
垣添 忠生(公益財団法人日本対がん協会会長、国立がん研究センター元総長)
?久 史麿(日本医学会会長、自治医科大学名誉学長)
実行委員:
今村 定臣(公益社団法人日本医師会常任理事、公益社団法人日本産婦人科医会副会長、恵仁会今村病院院長)
宇田川 康博(藤田保健衛生大学名誉教授、獨協医科大学医学部特任教授)
嘉村 敏治(久留米大学医学部産科婦人科学講座教授、特定非営利活動法人日本婦人科腫瘍学会理事長)
小西 郁生(京都大学大学院医学研究科婦人科学産科学教授、公益社団法人日本産科婦人科学会理事長)
今野 良(自治医科大学附属さいたま医療センター産婦人科教授) ※実行委員長
鈴木 光明(自治医科大学産科婦人科講座主任教授、公益社団法人日本産婦人科医会常務理事がん部会)
野々山 恵章(防衛医科大学校小児科学講座教授)
吉川 裕之(筑波大学医学医療系長、医学医療系産科婦人科学教授)
監事:
稲葉 憲之(獨協医科大学学長)
大村 峯夫(こころとからだの元氣プラザ婦人科部長)
委員:
青木 大輔(慶應義塾大学医学部産婦人科学教室教授)
阿曽沼 元博(滉志会がん医療グループ代表、順天堂大学客員教授)
五十嵐 隆(公益社団法人日本小児科学会会長)
岩成 治(島根県立中央病院母性小児診療部長)
衞藤 隆(社会福祉法人恩賜財団母子愛育会日本子ども家庭総合研究所所長)
江夏 亜希子(四季レディースクリニック院長)
大道 正英(大阪医科大学産婦人科学教授)
岡田 賢司(福岡歯科大学総合医学講座小児科学分野教授)
岡部 信彦(川崎市健康安全研究所所長)
岡本 喜代子(公益社団法人日本助産師会会長)
小澤 信義(おざわ女性総合クリニック院長)
小田 瑞恵(こころとからだの元氣プラザ診療部長、東京慈恵会医科大学産婦人科講師)
河西 十九三(公益財団法人ちば県民保健予防財団常務理事)
片岡 正(一般社団法人日本小児科医会予防接種委員会副委員長、かたおか小児科クリニック院長)
加藤 達夫(独立行政法人国立成育医療研究センター名誉総長)
加藤 尚美(日本赤十字秋田看護大学・大学院教授)
河村 裕美(認定NPO法人女性特有のガンのサポートグループオレンジティ理事長)
木下 勝之(公益社団法人日本産婦人科医会会長、成城木下病院理事長)
小西 宏(公益財団法人日本対がん協会マネジャー)
小林 忠男(大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻招聘教授)
相良 洋子(さがらレディスクリニック院長)
笹川 寿之(金沢医科大学産科婦人科学講座准教授)
Sharon Hanley(北海道大学医学研究科総合女性医療システム学分野特任助教)
上坊 敏子(社会保険相模野病院婦人科腫瘍センター長)
寺本 勝寛(地方独立行政法人山梨県立病院機構山梨県立中央病院周産期センター統括部長)
中板 育美(公益社団法人日本看護協会常任理事)
濁川 こず枝(全国養護教諭連絡協議会会長)
平井 康夫(東京女子医科大学病院産婦人科教授)
福田 敬(国立保健医療科学院研究情報支援研究センター上席主任研究官)
福田 護(NPO法人キャンサーリボンズ理事長、認定NPO法人乳房健康研究会理事長)
前濱 俊之(社会医療法人友愛会豊見城中央病院産婦人科部長)
宮城 悦子(横浜市立大学附属病院化学療法センター長)
宮崎 亮一郎(順天堂大学医学部先任准教授、医療法人社団順江会江東病院産婦人科部長)
柳澤 昭浩(NPO法人キャンサーネットジャパン事務局長)
雪下 國雄(公益財団法人日本学校保健会専務理事)

TSSによる保証とは一体何か? 

アマチュア無線局の開局・変更に際して、技適を受けていない無線機は「保証」を受けなければならない。この「保証」の正確な定義は知らないのだが、恐らく、無線機が法律で定める基準に適合していることを「保証」するのだろう。以前から何度もここで取り上げてきたが、この制度は全くもって不可解である。

1)書類ベースで、何をどのように保証するのか?

2)誰が、誰に対して保証するのか?もし保障内容が法律に合致していない場合、責任はどうなるのか?

3)TSSという民間企業が何故こうした行政業務に与っているのか?TSSは元来旅行会社なのだ。旅行会社が、無線機の保証業務をやるという理由が分からない。電波行政の担当官庁の天下り先等利権の絡みはないのか?(うろ覚えだが、原元JARL会長がTSS経営者と個人的な関係にあった、とも聞く。

アマチュア無線家のブログ等をサーフィンしていると、保証認定が下りるまで無線機が使えない・・・時間がかかる・・・といった記事を良く目にする。こうした「保証」という行政業務の在り方、内容に疑問を持たないのだろうか。書類上いろいろ記載したところで、高調波、歪、電力その他の測定を何らすることなく、なぜ保証できるのか、疑問に感じないのだろうか。そのペーパーワークに対して、一件4800円、3000円なりを支払っている。オカシイとは思わないのだろうか。メーカー製の機械であれば、特性に問題が生じることはまずないし、実測しないで保証するというのはおかしなことだ。自作の場合は、測定しなければ、問題があるかどうか分からない。いずれにせよ、書類ベースの「保証」など意味がない。

大体において、海外のアマチュア無線界では、このような制度はないのではあるまいか。共産圏でもないだろう。私がカンボジアに行った時にも、このような馬鹿げた書類の提出を求められなかった。欧米のアマチュア無線界でも、勿論、こんな制度は聞いたことがない。これは一種の、行政とそれに結託した私企業への裏金のようなものだ。

考えてみるに、保証業務の本質は、(本来必要のない)無線機の事務的な記録を、担当官庁から外部委託したということなのではないだろうか。本質は、無線機の定格・内容の事務的な記録に過ぎない。無線機機能の実測をしているわけではないのだ。行政は、自らの仕事を減らすことには抵抗する。で、人手が足りなくなると、どうでもよい業務を、利権を山分けできる私企業に外部委託することになる。それが、この保証制度の実質なのではないだろうか。

当局は、アマチュア無線バンド内で何が行われようが、関与しない。その一方では、無線機一台一台に、一民間企業の「保証」を要求する。どこかおかしくないか?

こうした硬直した利権構造は、行政のなかにいろいろあるに違いない。この構造が、日本の社会をダメにしている一つの要因なのではないだろうか。

リスク情報の共有を 

東電福島第一原発事故拡大の責任は、当初、民主党政権、特に菅元首相、それに東電に押し付けられた。東電が、完全撤退をしようとしていたことはほぼ確実で、そうなったら、関東全域も避難対象になっていた。そうしたなかで、当時の政権はむしろ善戦した。

問題は、こうした事態を想定しようとしてこなかったシステムにある。そうしたシステムを作り上げてきた政官業にこそ責任はある。その政の中心に居続けた自民党、参議院選挙公約で原発再稼働を進めることを公約に掲げている。原発導入を決め、毎年原発を増設し続けてきた。地震多発地帯で、54基の原発を抱えることは、理性的に考えれば、あり得ないはずのことだ。増設をここまで推進してきた勢力が、原発再稼働を行おうとしている。

リスクを共有し、あらゆる情報から学ぶシステムが、日本には欠けている。そうしたシステムの構築ははたして可能なのだろうか。


以下、MRICより引用~~~


倫敦通信(第8回)~フクシマにおけるリスクコミュニケーション

星槎大学客員研究員
インペリアルカレッジ・ロンドン公衆衛生大学院客員研究員
越智 小枝(おち さえ)

2013年7月9日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp
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先日国際会議で知り合った方から、「福島原発事故の時のリスクコミュニケーションとソーシャルメディアの役割」について話をしてくれないか、と依頼がありました。日本国内の知り合い何人もに断られたとのことで、私自身も専門家ではないのですが、相馬でお聞きしたことを広める機会と思い、お受けしました。

招かれたのはヨーロッパ・アジアの公衆衛生の専門家30名程のワークショップで、コンフィデンシャルな環境で忌憚のない意見を話し合い、新たな戦略を模索するというものです。参加者は政府やWHO(世界保健機関)・ICRC(国際赤十字)などの公衆衛生担当者が多く、各々の立場から見たソーシャルメディアの新しい役割につき意見が交換されました。自然災害だけでなく紛争時の援助の経験談など、人災・天災両方の視点から学ぶ意味でも有意義でした。そのような中で、ディスカッションの叩き台として文献を元に以下のようにケースを提示させていただきました。

・福島の原発事故は、単独の事故でなく、大きな自然災害の直後に起きた。このため政府も含め対応の人手が不足しており、また通信手段も障害されたため現地情報が不足した。
・職員の安全の問題から、マスコミなども現地に人を送って情報収集することが難しかった。
・日本では原爆の歴史があり、放射線=即死、というイメージの為に恐怖感が強かった。
・しかしその困難を差し置いても、発災前のコミュニケーション不足、危機の過小評価、不確定要素を伝えない方針、など、リスクコミュニケーションの理論から「やってはいけない」対応(1,2)がいくつかあった
・政府とマスメディア情報に対する不信感が急速に増す中で、東大の早野龍五教授のような一流の科学者がソーシャルメディアを有効に使い、放射線量情報を広めたり、人々と実際にコミュニケーションを取る、などの活動をしたことは非常に有用であった(3)。

驚いたことは、日本人ならほぼ誰でも知っているこのような状況につき、知っている人がほとんどいなかった、という事です。日本の災害対策を学ぼうと積極的なフィリピンやインドネシアの人々からは、「日本の対応はとても素晴らしかったとしか聞いてこなかったので、驚いた」
と言われました。日本の対応は全般的にとても優秀だったと思う、しかしその評判を重視するあまり、失敗を世界に共有できないのも欠点かもしれない、とコメントさせていただきました。

一方、少し状況を知っていた人にとっても、国民が情報を知らされていなかったことは意外だったようです。国際原子力機関(IAEA)に関わっていた方からは、
「日本の情報の信ぴょう性が低いことは知っていたが、国民にも知らされていないとは知らなかった」と言われました。日本が世界と情報共有できないことで、国民全体が事態を隠そうとしている、と取られている可能性もあることを初めて知りました。

それに関連して「日本の学会やマスコミはなぜこういう情報を世界に発信しなかったのか」という質問もありました。他の日本人の出席者と共に
海外へ発信しようとすると、学会などからもstigmatiseされる(烙印を押される)可能性があった。実際に発表しようとして上司に止められた、という人もあるようだ。」
「政府会見は招待性なので、記者があまり厳しいコメントを書いたりすると二度と招待してもらえない可能性があると聞いている。」
「国内の人間がこのようなことを海外に伝える時には、職業生命をかける必要もあった。だから今回このようなプレゼンテーションを引き受ける人が留学生の私しかいなかったのでは。」
などと回答しました。

シンガポールなど政府の力の強いアジアの国々の方にはこのような状況をイメージしやすいようでしたが、ヨーロッパ圏の方には、言論の自由のある日本でこのようなことが起きることが衝撃だったようです。

印象的だったのはニュージーランドの復興責任者の医師のコメントです。彼は、放射線量情報が民間の独自の判断で公表された、という事に最も驚いていました。
「Triple Disaster(三重災害)と言われるこの災害では、多少の判断ミスがあっても仕方のない状況だと思う。一番の問題はそれが隠されている事だ
「この情報化社会で、オープンスペースで起きた事故に対し、なぜ政府は『情報を隠せる』と思ったのだろうか」

今の世の中、大きな事故があれば必ず誰かが記録に残し、ソーシャルメディアに載せる。そのような中では情報は隠せないことを前提にするべきだ、というのが彼の意見です。ソーシャルメディアの力が強力な「監視力」となって日本の組織全体の隠ぺい体質を変えることができる可能性があるのだ、ということを改めて感じました。

しかし今回の出席者の中には、むしろ「なぜ国民が上手に政府を動かせないのか」という疑問もあったようです。ヨーロッパでの官民一体の取り組みを見ていると、日本では国民が政府を信用なくなっているだけでなく、政府も国民を信用できていないと感じます。ミスを認めることが不信につながる、というのも迷信だと言われていますが、これを受け入れられる程政府は国民やメディアを信用していないのだろうと想像します。

大きな事件というのは、個人のミスではなくシステムの欠陥によって引き起こされることが大半です。医療の世界でも非常によくみられることですが、特定の団体や個人を責める風潮がミスの隠ぺいにつながり、その結果システムが改善されず、新たな失敗を呼ぶ。日本がフクシマの経験から上手に学ぶためには、国全体に未だ根強い「Accuse, Blame, Criticism(非難、誹謗、批判)」というABCの負の文化を断ち切る必要があると思います。
「今回の失敗を踏まえて日本はどのようにリスクコミュニケーションの改善をしているのか」
という質問に対し、私は残念ながら明確な回答をすることができませんでした。

またWHOで立ち話をしていた時には、「被災地の住民は当事者なのだから冷静に話し合いをするのは難しいだろう。第三者が間に入るべきでは」という意見も聞きました。確かにヨーロッパに比べると、国民も政府との交渉を当事者だけに任せる傾向にあるのかもしれません。私自身も含めフクシマを知る人々全員が、自分たちの立場から何かできなかったのか、できないのか、多様な方向から改めて反省する必要があると思いました。

1) Understanding Risk Communication Theory: A Guide for Emergency Managers and Communicators Report to Human Factors/Behavioral Sciences Division. (2012) Science and Technology Directorate, U.S. Department of Homeland Security
2) Slovic P. (1999) Trust, Emotion, Sex, Politics, and Science: Surveying the
Risk-Assessment Battlefield Risk Analysis, Vol. 19, No. 4, 1999
3) 立入勝義 (2011) 検証 東日本大震災 そのときソーシャルメディアは何を伝えたか? ディスカヴァー・トゥエンティワン, 東京.

略歴:越智小枝(おち さえ)
星槎大学客員研究員、インペリアルカレッジ・ロンドン公衆衛生大学院客員研究員。1999年東京医科歯科大学医学部医学科卒業。国保旭中央病院で研修後、2002年東京医科歯科大学膠原病・リウマチ内科入局。医学博士を取得後、2007年より東京都立墨東病院リウマチ膠原病科医院・医長を経て、2011年10月インペリアルカレッジ・ロンドン公衆衛生大学院に入学、2012年9月卒業・MPH取得後、現職。リウマチ専門医、日本体育協会認定スポーツ医。剣道6段、元・剣道世界大会強化合宿帯同医・三菱武道大会救護医。留学の決まった直後に東日本大震災に遭い、現在は日本の被災地を度々訪問しつつ英国の災害研究部門との橋渡しを目指し活動を行っている。

東電福島第一原発の汚染止まず 

東電福島第一原発は、メルトダウンを起こし、核燃料が地下に溶け出した。それが一向に収まっておらず、地下水の汚染を拡大している。地下水は、一方では、海に流れ出す。魚介類の汚染は、1、2年してから最大になると言われている。汚染が本格化するのはこれからなのだろう。また、陸側への地下水の汚染はどのように調べられているのだろうか。セシウム等は土への親和性が高く、地中深くの地下水脈にまでは到達しないのかもしれないが、それ以外の放射性物質はどうなのだろうか。時間をかけて、さらに汚染が進むと想定しておくべきなのではないだろうか。

この事故が全く収束する気配がなく、さらに原因の究明もされていない段階で、原発再開は行ってはならない。地震多発地帯にあり、かつ地震活動の活発な時期に入っているわが国では、何処であっても、原発稼働は、大きなリスクだ。原発再開を急ぐ政治家は無責任すぎる。


以下、引用~~~

2013年7月9日(火)8時47分配信 時事通信

 東京電力は9日、福島第1原発の観測用井戸で8日に採取した地下水から、セシウム134が1リットル当たり9000ベクレル、セシウム137が同1万8000ベクレル検出されたと発表した。5日に同じ場所から採取した地下水と比べ、濃度は約90倍に上昇しているという。
 これまで比較的低い値にとどまっていたセシウムの濃度が急上昇したことで、改めて同原発の地下水で汚染が拡大していることが裏付けられた。
 今回、セシウムが高濃度で観測された井戸は2号機タービン建屋より海側にあり、港湾からは約25メートル。5日にはストロンチウムなどのベータ線を出す放射性物質が同90万ベクレル検出されていた。今回は同89万ベクレルだった。 


ベートーベン作品131 

ベートーベン後期の弦楽四重奏曲といえば、すべての音楽作品の一つのピークを形作る作品群といって良い。私はそれほど聞きこんでいるわけではないが、この作品131と次の作品132がことのほか気に入っている。

アメリカン弦楽四重奏団の演奏で、作品131を紹介したい。1楽章は、フーガ形式で書かれている。第一バイオリンがフーガ主題を提示、それが第二バイオリン、さらにビオラ、チェロと受け渡されてゆく。受け渡した声部は、主題に対する対旋律を対位法に基づいて、提示する・・・と、聞きかじりの説明は不要だろう。

この対位法という作曲技法は、単なる技術だけにとどまらない。音楽の本質的なものを提示する形なのではないか、と思わせられる。結局は、異なる旋律を対位させることによって、それらの旋律がより美しく聴こえるように、ということのようだ。が、その対位する旋律の流れは、我々の思惟するこころの在り様と密接にかかわるのではないか、と私は感じている。その根拠も、論拠も全くないのだが、対位法によって提示されるフーガに耳を傾けると、こころがほぐされ、そこに滋養に満ちた何かがみたされるように感じるのだ。

今夕、7メガでしばらくぶりにお目にかかった、John 9V1VVには、こんなことを語って、ベートーベンの作品131の弦楽四重奏曲を、強制的に勧めてしまった。彼は、ラヴェルを唯一の例外として、バロック以前の作曲家に入れ込んでいるらしく、スェーリンクの鍵盤作品を勧められた。Johnは、お嬢様の結婚式に出るために、あと8日後に英国に旅立つ。無線で、音楽の話ができるのは、何とも言えぬ喜びだ。

米国政府による盗聴 その二 

NSAについて殆ど知らなかった。が、Wikipediaによると、軍の諜報機が発展し、電子媒体を用いて、外国の情報を収集解析する組織となったようだ。人的な諜報活動を行うCIAとは別組織ということだ。2008年、当時のブッシュ政権下、オバマら民主党の一部の協力を得て、外国情報活動監視法改正案が議会で可決され、彼らの諜報活動が公然と行われることになったらしい。Wikipediaの記載によると、この改正案は

裁判所の令状無しで海外の電話・電子メールなどの盗聴を合法化するもので、さらに情報提供に協力する通信会社の免責事項を、法成立前に遡って有効にする条文も盛り込んだ

それまで違法行為であった諜報活動ものが、司法手続きを経ずに自由に行えるようになったらしい。予算規模も莫大で、3万人程度の人間が働いているという。

西側諸国の諜報活動機関エシュロンに、米国から参加するのも、この組織らしい。

こうした組織が、どれだけ政府の統制下にあるのか、また組織が自らの利権を拡大するのをチェックする制度的な保障があるのか、諜報活動という闇の活動を行う性格からして、大変気がかりなところではある。自由を標榜する民主主義と相容れない、または相反する組織になっているのではないだろうか。

安倍首相は、日本にもNSAを作ると言っている。それだけの人的・経済的余裕があるのか。また、自民党のの憲法草案にみられる個人の人権の軽視、さらに国民背番号制度とあいまって、国民の思想統制につながりうるのではないか、というのは考え過ぎだろうか。

諜報活動が必要悪であるのは認める。だが、中身が国民に見えぬ、こうした諜報機関を監視し、統御するシステムが絶対必要だろう。国民の人権軽視、思想統制に向かうことがあってはならない。現在のところ、政府とこうした組織が密接に結び付くわけで、問題が多い。



米国政府による盗聴 

米国の諜報機関が、日本を含む外国の大使館の通信を傍受していたという話、生き馬の目を抜く国際政治の世界だから、友好国と言えどもそんなこともあるかと思う反面、あの米国がやるか、という感想もあった。

今日しばらくぶりに7メガで会ったBob W6CYXにこの話しを向けてみた。facebookに、私が、この件でポストし、彼から短いコメントがついていたこともあって、二点尋ねてみた。以前の政府からこれをやっていたのか、CIAは冷戦が終わって、これを始めたと言うことなのか、ということである。

彼の返答は驚くべきものだった。この盗聴は以前から行われていたのだが、オバマ政権になって、その規模の拡大と技術面の発達が目立っている、ということだ。さらに、Bobによれば、スキマーの技術はNSAによって開発されたものであり、無線交信もすべて録音されており、必要とあれば、後になって、すべて解読されるようになっている、と。Bobは、根っからの共和党支持であり、オバマに対しては良い感情を抱いていないことがあるので、これらの情報をそのまま受け止めることには躊躇があるが、大筋はそのようなところかもしれない。

だとすると、やはり第二のウォーターゲート事件に発展する可能性もある。それとも、テロ対策という名目で片づけられてしまうのか。今後とも、この事件についての情報に注目する必要がある。

だから、RBNは嫌いなんだよね、と彼にボケてみせたが、そんなこととは関係なく、やはり深刻な問題ではある。あの民主主義と公正さの旗手たる米国政府が行っていた、犯罪的行為だから、だ。

もう一点、そのような政府に取り致命傷になりうる情報を内部で管理できない、管理能力の欠如をさらけ出したことも、米国政府にとっては痛いところだろう。

夏のCONDX 

上がり下がりの激しいCONDXが続いている。昨夜は、午後10時前後の7メガで北米西海岸のベアフット局の信号は厳しい状態になってしまった。WB6BEE、W7AYNとお会いしたが、それぞれ存在確認+α程度の交信内容だった。

今朝、21メガで何も聞こえなかったのだが、W1AWだけはしっかり聴こえた。CQを出すと、Ed KR3Eがコールしてくれた。今年の1月ジャーナリストの仕事からリタイアして、ヴァージニアだったかの海岸にあるコンドミニアムに引っ越した方だ。以前このブログでも取り上げたことがある。70Wにスクリュードライバーという設備。qrz.comの彼のページをご覧になると分かるが、海岸に面した高い階にお住まいのようだ。アンテナは北東の角に建ててあるらしい。南に対しては厳しいとのこと。ノイズすれすれだったが、リタイア生活のことや、住まいのことなどを話した。ラジアルは現在バルコニーの手すりだけなのだが、近々改良する積りとのことだ。「海岸線が素晴らしいね」というと、海岸を散歩するときには、私のことを思い出そう、と仰る。リタイアして良かったとしみじみ話しておられた。

その後、旧友Bill K1YTがマサチューセッツから呼んできてくれた。せいぜい579で深いQSBがあったが、ソリッドコピーできる。夕食を終えたばかりとのこと。ご家族の話、奥様が音楽を続けており、ギターを入手されたこと、あちらでは花が咲くのが遅れていること、我が家の野菜がカラスに狙われていること等々小一時間話しをした。また東海岸に来ないか、会いたいものだと言ってくれる。彼の場合は、リタイアを本当はしたくなかった、仕事を続けたかったというのが本心で、それをまた言っておられた。リタイアについては、人それぞれ、状況によって変わる。交信のお終いには、QSBが深くなり、ボトムでは取りにくくなってしまった。ニューイングランドは、距離だけでなく、電波の伝搬上も遠い。 

この夏の不安定なCONDXが、8月下旬位まで続くだろうか。コンテストでつぶされる週末もあるし、何も聞こえぬ日もある。だが、今朝のような交信を求めて、自分なりに続ける積りだ。

Matt N7EG 再び 

昨夜、Matt N7EGに再びお会いした。最近よくやるように、Qrz.Comの彼のページを覗きこむ。彼が、シャックに座った画像がアップされていた。

なかなかの相貌である。白髪に白いひげを蓄え、少し気難しげな様子でカメラを見ている。もうちょっとsociableな感じの方かと思っていた。だが、「外見は、旧約聖書に出てくる預言者のようですね」と申し上げると、受けてくれた。白髪なので、年配に観られて仕方ないといって笑っていた。もう十分年配なので、彼流のジョークである。

リグは、昔のSWANのリグが四台。驚いたのは、立派なSilver Eagleというマイクが、で~~んと運用机の真ん中にあったこと。それを言うと、これ以外に四つ持っている!!とのこと。災害時の緊急通信網であるFEMAでの訓練に用いるためらしい。FEMAのチーム100名中、CWのオペは、二人だけだとのこと、CWの将来が思いやられると仰っていた。コンテストは一度もやったことがない、とのこと。

コンテストは、アマチュア無線をdemeanする、とのこと。おぉ、同志がここにいた、という思いだ。彼は、無線を始めて以来そのように考えてきているらしいので、私のようなナンチャッテコンテスターを経験し、その挙句に宗旨替えした軟弱者とは違う。それにしても、はっきりとこう言い切る彼に乾杯である。

退役軍人病院でのヴォランティアについてもまた言及していた。退役軍人には、アルコールと薬物の中毒に陥るものが、とても多いらしい。彼自身も、そうなりかけたことがあるので、切実な問題なのだろう。国防軍を創設し、集団的自衛権によって海外での戦争に参加、国民の人権を公の秩序に反しない限りのみ認め、行く行くは徴兵制を視野に入れている、某政党政策担当者に聞かせてみたい言葉である。

無線では、優しそうな、とても楽しそうな雰囲気の方なのだが、実際には気骨のある人物なのだ。私も、彼のようになれるか・・・なれるように努力したいものだ。

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