新たなガン免疫療法 

私が学生時代には、21世紀には悪性新生物は克服されるだろうと語られていたような気がする。あの当時は、悪性新生物の本態がまだよくわかっていなかった時代だったための楽観論だったか。

悪性腫瘍の本態が、老化現象と関連し、遺伝子レベルの異常で発生するものと分かってかなり経つが、治療効果は年々上がっているとはいえ、根本的な治療法はまだ見出されていない。

古くから注目されてきた免疫療法も、治療法として死屍累々の有様だった。だが、この論文で述べられる抗PD1モノクローナル抗体は、免疫療法として光明を与えているようだ。

問題は、著効する症例で根治まで持ってゆけるのか、PDL1の変異が起きないか、それに対しても効果が期待できるのか、またこの製剤がきわめて高価だあること、か。特に、一年で3000万円以上といわれる薬価は、健康保険を破壊しかねない。薬価の再検討と、効果の見込める症例を見出すマーカーの検討が喫緊の課題だろう。

それにしても、効果の見られる症例の多い疾患で25%か・・・まだ、先は長い・・・。

以下、MRICより引用~~~

がんが免疫から逃れる新たなメカニズムの発見

京都大学腫瘍生物学
小川誠司

2016年6月29日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp
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がんは今や、国民の二人に一人が罹患する、大変身近な疾患となっています。診断技術や治療の進歩によって一部のがんでは著しい治療成績の向上が認められるものの、いまだにがんの多くが不治の病であることは、国民の3人に一人はがんで死亡するという数字にも表れています。とくに多くの進行がんでは、ほとんど有効な治療が見いだせていないのが現状ですが、最近、そうした進行がんに対して、「がん免疫」を活性化する薬剤が、しばしば顕著な治療効果を示すことがNEJM誌などに相次いで報告され、また我が国においても一般診療に導入され広く普及し始めたことから、がんの克服にむけて大きな期待が寄せられています。ニボルマブやペンブロリズマブなどに代表される、いわゆる「免疫チェックポイント阻害剤」と呼ばれる薬剤です。

生体には、本来、細胞ががん化した際に、これを排除する免疫のしくみ、いわゆる「がん免疫」が備わっていることが以前から知られており、この仕組みの破綻ががんの発症に大変重要な役割を担っていることが、最近の精力的な研究によって明らかにされつつあります。こうした研究によれば、がん細胞は、しばしば、「免疫チェックポイント」と呼ばれる分子を利用して、免疫システムの監視から巧妙に逃れていると考えられています。免疫細胞(具体的には細胞障害性T細胞)に発現するPD-1と、そのリガンドとして知られるPD-L1は、がん細胞の免疫からの回避に重要な役割を担う代表的な免疫チェックポイントで、PD-L1を発現するがん細胞が、PD-1との結合を介して、その殺傷にあずかる細胞障害性T細胞の機能を抑制することによって、免疫監視から逃れているというわけです。

ニボルマブやペンブロリズマブは、いずれも、PD-1を標的として開発されたヒト化抗体製剤ですが、これらの薬剤によるチェックポイント機能の阻害が、様々ながん種において(しばしば末期のがんに対してさえ)顕著な臨床効果を示すことは、PD-1/PD-L1を介したがん免疫からの回避が、がんの発症に大変重要な役割を担っていることを強く支持しています。しかし、こうしたがん免疫か
らの回避に際して、がん細胞が、いったいどのようにしてPD-L1を発現するのかについては、十分理解されていません。また、奏功率が概ね20%程度のとどまる一方、年間の治療費が3000万円以上にのぼるニボルマブを用いた治療については、医療経済への深刻な影響も懸念されることから、その治療効果を正確に予測し、効果の期待される症例に選択的に治療を行うためのバイオマーカーの開発が強く望まれています。

さて、今回紹介するのは、がん細胞がPD-L1を発現するメカニズムに関わる最近の研究成果です。私たちは、33種類の主要ながん種を含む1万例を超えるがん試料のゲノム解析データについて、スーパーコンピュータを用いた大規模な遺伝子解析を通じて、がん細胞が免疫監視を回避する新たなメカニズムの解明が明らかになりました。今回の研究における主要な発見は以下の点にまとめられます。すなわち、

(1)肺がん、胃がん、食道がん、大腸がん、腎がん、膀胱がん、子宮頸がん、子宮体がん、頭頸部がん、悪性黒色腫、悪性リンパ腫など、主要ながん種において、PD-L1遺伝子の異常が生ずる結果、その発現が著しく上昇している例がみとめられること、
(2)特に、西南日本を中心に多く認められる 成人T細胞白血病では、25%という高い頻度でこのようなゲノムの異常が生じていること、
(3)異常は、いずれも、PD-L1遺伝子の発現調節に重要な役割を担っている、「3′非翻訳領域」と呼ばれる、遺伝子の末端部分に生ずるゲノム構造の異常で、これらの異常によって正常な「3′非翻訳領域」が失われる結果、PD-L1の遺伝子発現の高度な上昇が惹起されること、
(4)3′非翻訳領域を人為的に欠失させることによりPD-L1遺伝子の発現を誘導したがん細胞は、免疫による監視を回避して増殖することができるようになること、また、この増殖効果は、抗PD-L1抗体によって阻害されること。

今回の研究によって、これまでに知られていなかったPD-L1の発現調節機構に関するあらたな知見と、それを巧みに利用したがんの免疫回避のメカニズムが明らかになりました。このような異常は、ATLをはじめとする様々な種類のがんでみとめられることから、がんの免疫回避の一般的なメカニズムになっていると考えられます。がんの免疫回避に関わるPD-L1の新しい発現調節機構があ
きらかとなったことで、がんの免疫回避のメカニズムの理解が今後大きく促進されると期待されます。

しかし、今回の研究が示唆する最も重要な点は、このような異常を有するがんは、PD-L1発現を介した免疫回避に強く依存しており、従って、ニボルマブやペンブロリズマブを用いた免疫チェックポイント阻害による治療が特段に有効であると期待されること、また、これらの異常をマーカーとして、免疫チェックポイント阻害剤が著効する患者さんを見いだすことができる可能性がある、ということでしょう。

実際には、ATLや悪性リンパ腫、胃がんなど一部のがん種を除いて、こうした異常を有する症例の頻度は1%以下にとどまります。しかし、こうした異常が認められるがんについては、たとえ、末期の症例であっても、著効が期待されるということは、生命の危機に瀕しておられる患者さんの視点にたてば、やはり、大変に意義のあることだと信じていますし、今後その可能性についての検討
が急務であろう、と考えています。今回の研究成果が、難治性のがんに苦しむ患者さんの治療に役立つことを切に願う次第です。

何とか政治連盟 

かって私が会員だった日本医師会に、日本医師政治連盟という政界へ献金をする団体があった。日本医師会に入るのと連動して、入会させられた。だが、ほとんど政権与党への献金だったので、嫌気がさして、途中で退会した。

養鶏業者の団体にも、同じような政治連盟がある。実際の窓口は別な組織らしいが、その政治連盟が与党政治家にTPPとの絡みで献金をしていたことが報じられている。こちらと、こちら

TPP担当大臣に金を差し出しているのは、TPP交渉で有利に扱ってもらおう、さらにTPP対策の助成金をたくさん回してもらおうという意図があったのだろう。利益誘導政治そのもの、贈収賄そのものだ。

TPP交渉をまとめ上げた甘利元経産大臣にも、業界、行政との癒着疑惑があり、一向に解明されていない。

こうした政治家と、業界、行政の癒着構造は、政治の効率性、平等を大きく損なう。

セコかった前都知事の問題は、やんやと報道していたマスコミ、とくにテレビは、この問題についてはダンマリである。この政官業の癒着構造は、あの前の都知事のせこい振る舞いよりよほど悪質である。鬼の首をとったかのような舛添バッシングは、政権ににらまれずに済むから、心ゆくまでやっていたのだろう。その精神たるや、前都知事のセコさといい勝負だ。

何とか政治連盟という組織は、各業界にあるのだろう。そこから、政治家が甘い汁を吸い、政策を恣意的に当該業界に有利になるように政治活動しているわけだ。それは結局国民が負担させられることになる。利益誘導政治には否と言うべきだ。何とか政治連盟が不要になるような政治になるように投票しようではないか。

国を愛するということ 

わが国の主権を回復するには、在日米軍を撤退してもらう以外にない。沖縄は、わが国の置かれた状況を、明らかな形で示している。現在の在日米軍・日米関係の法的枠組みを考えると、わが国は戦後一貫して、独立したとは言い難い状態にある。さらに、その隷属状態を、現政権は軍事面で強めようとしている。国の主権の回復がならずに、何の愛国であろうか。

米軍撤退後の自衛隊の存在を憲法上明確にする必要がある。歴史修正主義の政治家たちは、自衛隊を軍隊と改め、軍法会議を設置、国民の主権・人権を制限しようとする。そのような復古運動には乗るわけにはいかない。

前のポストで紹介した、矢部宏治氏はその著書で、憲法改正ではなく、「追加条項方式」で自衛隊の存在を憲法に書き入れるべきだと述べておられる。優れた見識だと思う。「国連による日本およびその周辺の平和と安全のための措置が効力を生じるまで」自衛のための最小限の軍事力を保持する、という修正条項を憲法第九条(第二項)に書き加えるのである。

現政権は、今回の選挙戦で改憲を目論んでいる。自民党改憲草案を読めばわかる通り、平和主義を捨て去り、国民の基本的人権を制限する内容だ。もし改憲が行われると、その厳しい結果をもろにかぶるのが現在の若い人々、子供たちの世代だ。とくにお子さんを持つ世代の方々に、この選挙の意味を伝えたい。わが国が本当の独立国となり、我々が自発的に愛することのできる国とするために、そして次の世代が戦火に怯えるようなことにならず、むしろ戦火で苦しむ人々へ平和の援助を行えるように。

参院選の争点 

事前の世論調査では、来月10日の参議院選挙では、与党が勝利を収めるとの予想が出ていた。

これだけ国民は痛めつけられ、また将来の危機にさらされようとしているのに、正直驚きだ。

アベノミクスとやらの莫大な金融緩和・財政出動の政策、これは自民党政権がこれまでも繰り返してきた政策で、現在の天文学的な国の借金を積み重ねる原因になった。株価は一時的に上がり、円安で輸出企業を中心に大企業の業績は上がった。だが、大企業の内部留保が記録的に大きくなっただけで、実質賃金は下がり続けた。さらに増えたというふれ込みの雇用も非正規雇用が増えただけだ。国内需要はむしろ収縮している。日銀は、300兆円以上を市場に突っ込んだが、その9割以上は国内経済に流通していない。日銀のバランスシートが棄損されただけだ。株価も今回の英国のEU離脱決定で暴落している。半分以上を株式に投下している我々の年金資金、おそらく記録的な減少をしているはずだ。どう考えても、アベノミクスとやらは格差拡大に寄与しただけで、国民のためにはなっていない。

東アジアの安全保障環境が飛躍的に悪化している、したがって米国との軍事同盟をさらに強化しなければならない、と政府は言う。その具体的な政権の対応が、昨年生まれた安保法制だ。立憲主義を踏みにじったという手続きの瑕疵はさておき、この軍事同盟強化は一体何のためなのか。

最近、矢部宏治著『日本はなぜ、「戦争ができる国」になったのか』を読んだ。これはイデオロギー的な書物ではなく、戦後の歴史を丹念に調べ上げ、公文書に一つ一つ当たって記された好著だ。現在の憲法9条の規定と、世界有数の米軍基地を持つ日本の不条理がどうして出現したのかを著者は問う。憲法9条は、制定当時、国連軍・安全保障理事会が存在し、機能することを前提に作られた。国民も、それを歓迎した。だが、冷戦の始まり・朝鮮戦争の勃発により、米軍軍部の意向通り、日本をいつでもどこでも米軍基地に使用させ、また米軍への兵站援助を行うことが定められた(基地権)。有事の際には、自衛隊は米軍指揮下に入ることも定められている(指揮権)。日米安保、日米地位協定で定められぬ基地権・指揮権に関する実務は、日米合同委員会・2+2という「秘密会議」で決められる。(米国の基地権は当然のこと、米軍が指揮権を持つということは驚きだ。)日米合同委員会の日本側Nr2に代々ついている法務省官房長は、事務次官から検事総長になるしきたりになっている。従って、この秘密委員会は、日本の安全保障のみならず、経済から司法の領域までカバーする。米国の要人は、いつでも直接日本に入国できるようになっており、そこに国境はない。いわば、日本には独立した主権がないわけだ。

そのような状況を、法的に固定化するのが、安保法制なのだ。日米安保には、有事の際に米軍が日本の防衛に当たるという明確な規定はない。安保法制が、わが国の安全保障のためである、というのは欺瞞だ。上記の米軍の世界戦略を補佐し、また米軍の肩代わりを自衛隊にさせるための法律である。独立国としての主権が存在するかどうか、の問題だ。

東アジアの安全保障は、専守防衛を徹底すれば良いことだ。世界有数の軍事力を持つ、自衛隊によって、自国の防衛に特化することだ。これまで冷戦の時代を含めて、それで自国防衛を果たしてきた。いたずらに近隣諸国との軋轢を増す政策を止め、専守防衛に限定した武力を持つことで十分なのだ。自国の主権を明け渡しつつ、米軍に隷属することはない。

日本は、もう一度痛い目に合わないと覚醒しないのだろうか。冷戦が終了しても、なおかつ冷戦時代の体制を維持しようと、政権は必死になっている。その必死さは、これまでわが国が歩んできた平和主義の道から大きく外れている。そこを国民が理解するかどうか、だろう。

Tony G4LFU 

例によって、早朝覚醒。14メガを聞くと、ヨーロッパがそこそこ入っていた。東ヨーロッパ勢と味気ない交信をいくつか済ませ、今日もこれでお開きかなと思う頃、Tony G4LFUが強力な信号で呼んでくれた。

彼のリグは、自作だそうで、qrz.comでその画像を見ると、LCDディスプレーのついた既製品かと見まごうばかりのリグだ。当然、CPUによってコントロールされているのだろう。アンテナはHEX。少し短点の短めのキーイング。キーヤーも新しいものだそうだ。

英国のEUからの離脱を問う投票に行ったか、尋ねた。もちろん、との返事。離脱に賛成する投票をした由。1975年のEU(当時はまだEUではなく、前身だった)加盟の投票には賛成票を投じたのだけれど、現在の状況では、EUに留まることはよくないと判断した、とのこと。ヨーロッパ諸国とFEDERALな関係になるべきだろう、とのことだ。奥様が、入国関連事例を扱う裁判所で判事をしているのだが、彼女が、自らの選びようがない法律で縛られているのは理不尽だと思う、とのこと。やはり大陸からの難民流入の問題が、離脱に票を投じた背景にはあるのだろう。あちらの時間の朝には、結果が判明しているだろうが、今夜は眠れそうにない、と言って笑っていた。

私の余暇の過ごし方、仕事を止めたのかということなども、話の合間に尋ねてくれたので、家事分担などについての話題でも盛り上がった。

そのFEDERALな関係を築くとして、関税障壁はどうなるのか。人間の移動だけを制限し、経済的な一体性を保つことを志向するのかという点を尋ねたいところだったが、時間切れ。グレーラインを超えたのだろう、すこしずつ信号が落ちてきた。そこで、再会を約して別れた。45分間程度の交信。英国相手としては長い部類だ。

政治的な話題になると、結構自説に固執することが、自分も含めて多く、かつ議論には基礎的な知識が必要になり難しいのだが、マスコミを通してではなく、現地に住む一個人の見解を伺えるのは、無線の面白さの一つだ。もっと勉強して、活発な議論を展開したいところだ。最近、武器輸出の問題についての本を読んでいる。英国のBAEという武器製造会社が、とくにサウジアラビアと賄賂の横行する汚れた取引を行っていることをその本から知った。サウジアラビアの状況は、マスコミからあまり流れてこないが、封建制のひどい体制らしい。この話題には、BAEのみならず英国政府にも批判的にならざるをえないわけだが、これを持ち出して、果たして落ち着いた議論ができるだろうか・・・。

彼はFOCのもっとも新しいメンバーの一人の様子。FOCは、コンテスト・アワード志向が強いグループになりつつあるが、それでもこうした人物がメンバーになる深さがある。

公務員の職務専念義務違反、官僚支配の構造 

地方へ出向した厚労省官僚の、民間人に対する言論抑圧の問題。

この問題の背後には、そうでなくても経営が厳しいのに、ずさんな箱もの投資で経営困難にある亀田総合病院の問題と官僚の民間支配の問題がある。

いい加減、こんな前時代的官僚支配の構造を取り払わないと、日本という国家が立ち行かなくなる。

我々には、「お上」の言うことはすべて正しいと諾々と従うことに疑問を持つことが要請されている。


以下、MRICより引用~~~

言論抑圧は地方公務員の職務専念義務違反である

医師 小松秀樹

2016年6月23日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp
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日本国憲法の下、言論抑圧は地方公務員の本来の職務たりえない。ましてや、自らの利益のための言論抑圧は、明らかな職務専念義務違反である。2016年6月19日、筆者は、森田健作千葉県知事に対し、厚生労働省から千葉県庁に健康福祉部医療整備課課長として出向中である高岡志帆氏の懲戒処分を求める申立書を送付した。高岡志帆氏の下記行為が、職務専念義務を規定する地方公務員法第35条違反に相当することから、同法第29条第1項各号に基づく処分を求めた。

職務専念義務違反は、逸脱行為をする地方公務員に対する対抗手段として汎用性があると思われるので申立書の内容を紹介する。

第1 高岡志帆氏の職務上の行為に非ざる行為-私人の言論の抑圧
高岡志帆氏は、千葉県健康福祉部医療整備課課長として、千葉県下の地域医療再生計画に基づく事業の推進等の職務を担当してきた。

筆者は、2013年度より地域医療再生計画の一環として、安房医療圏の医療人材確保のために、亀田総合病院地域医療学講座の事業を実施していたが、本事業の予算措置に関連して、高岡氏を含む千葉県職員の違法な対応を批判する文書をメールマガジンに投稿したところ、亀田総合病院院長亀田信介氏より、「厚生労働省職員から批判を止めさせるよう圧力がかかった。民間病院は抵抗できない。ついては、批判を止めてほしい」旨、要請された。

筆者は2015年7月、言論抑圧を図った厚生労働省職員が、健康局結核感染症課課長井上肇氏(当時)であるとの情報を得たため、同年、8月17日、内部調査及び厳正な対処を求める塩崎恭久厚生労働大臣あての文書の非公式な原案(本件書面)を作成し、一般に知られないよう、厚生労働省高官に送付し、提出方法ならびに窓口について相談した。

高岡氏は本件書面を遅くとも同年9月2日までに入手し、同日、これを正当な理由なく医療法人鉄蕉会理事長亀田隆明氏に送付した。これを受け、亀田隆明氏は、高岡氏を含む千葉県職員の対応を批判する言論活動を行ったこと、本件書面を厚生労働省に提出したことを懲戒処分原因事実として、筆者を2015年9月25日に懲戒解雇した。

高岡氏のかかる行為は、私人の言論活動を規制するものであり、千葉県職員としての職務上の行為とは言えないことから、地方公務員の職務専念義務を規定する地方公務員法第35条に違反するものである。

第2 上記行為が高岡志帆氏の個人的な利害・動機に基づくものであること
亀田総合病院は、国の地域医療再生臨時特例交付金の補助事業として、2013年度より3年間の計画で、安房医療圏の医療人材確保を図るため、「亀田総合病院地域医療学講座」事業を実施していた。筆者は、本講座のプログラムディレクターとして、その実施の責任者たる地位にあった。そして、筆者は本講座において、地域包括ケアについての映像と書籍、規格作成に心血をそそいできた。ところが、2015年5月1日、高岡氏が部下の医師・看護師確保対策室長を伴って亀田総合病院に来院し、当日、医師・看護師確保対策室長から、地域医療学講座の2014年度の補助金を1800万円から1500万円に削減する、2015年度の補助金を打ち切りにすると通告された。理由として、10分の5補助だったこと、予算がなくなったことが告げられた。しかし、地域医療学講座には、すでに、2015年3月30日付けの1800万円の交付決定通知(千葉県医指令2082号)が送付されてきていた。この決定を覆すのに必要な手続きがなされたという説明はなかった。

補助金の交付を受けることができなければ、出版と映像作成が頓挫し、規格作成は不可能になる。撮影はすでに進んでおり、それに対応する費用が発生していた。地域医療学講座は、外部の名だたる学者と現場の実務家が関与する公費が投入された公益目的の学術活動である。公費が投入されている以上、プログラムディレクターである筆者には、医療法人鉄蕉会のみならず社会に対する責任がすでに生じていた。そこで、筆者はプログラムディレクターとしての職責を担う者として、一方的な補助金の打ち切りに対し、高岡氏及び医師・看護師確保対策室長に猛抗議するとともに、高岡氏に対し、基金の使い道と残金を明らかにするよう求めた。この日、筆者の抗議に、亀田隆明、省吾両氏も同調した。

医師・看護師確保対策室長の通告は、虚偽によって予算削減を受け入れさせ、予算要求を阻止しようとしたものである。そもそも、地域医療再生基金管理運用要領によれば、基金事業が不適切だと認められる場合を除いて、県庁担当者の恣意で、助成金の交付を拒むことはできないし、事業を中止することもできない。筆者は、事業内容について、事前に千葉県の担当者に説明して同意を得つつ、事業を進めてきたものであり、不適切だといわれる理由はない。

筆者は、経緯を「亀田総合病院地域医療学講座の苦難と千葉県の医療行政」http://medg.jp/mt/?p=3953 http://medg.jp/mt/?p=3955 http://medg.jp/mt/?p=3957 と題する文章にまとめて、メールマガジンMRICに投稿した。

筆者の言論による批判を受けて、2015年5月27日、高岡氏は医師・看護師確保対策室長の前記通告が虚偽だったこと、すなわち、10分の10補助だったこと、交付金が残っており、出納局が管理していることを明らかにした。2014年度予算については、決定通り1800万円が交付されることになったが、2015年度予算について、態度をあいまいにした。これでは事業を実施できない。国で決まった基金の扱いとしては普通ではない。そこで、県を押し込むために「千葉県行政における虚偽の役割」http://medg.jp/mt/?p=5898 をMRICに投稿し、出来事をできるだけ正確に再現し、千葉県の対応を批判した。

これに対し、2015年6月22日、亀田総合病院院長亀田信介氏から、「厚生労働省関係から連絡があった。千葉県ではなく厚生労働省の関係者である。厚生労働省全体が前回のメールマガジンの記事に対して怒っており、感情的になっていると言われた。記事を書くのを止めさせるように言われた。亀田総合病院にガバナンスがないと言われた。行政の批判を今後も書かせるようなことがある
と、亀田の責任とみなす、そうなれば補助金が配分されなくなると言われた」と告げられ、「以後、千葉県の批判を止めてもらえないだろうか」と要請された。苦しい経営が続く亀田総合病院の経営者としては仕方のない反応である。

一方で、筆者は、亀田総合病院に入職する以前も以後も、言論人として活動してきた。これを亀田総合病院の経営者も認めてきた。経営者が、筆者の言論を利用してきた側面もあった。言論人としては、理不尽な言論抑圧に屈するわけにはいかなかった。そこで「言論を抑えるというのはひどく危険なことである。権限を持っていて、それを不適切に行使すれば非難されるのは当たり前だ」
と主張し、いずれ社会に発信すると告げた。

2015年7月15日、筆者は、不当な圧力をかけた厚生労働省職員が、健康局結核感染症課課長の井上肇氏であるとの情報を入手したため、本件書面を作成して厚生労働省高官に送付し、正式に提出する方法と窓口について相談した。

その後、本件書面は、厚生労働省内部から高岡氏のもとにわたり、高岡氏は、2015年9月2日午前11時34分、医療法人鉄蕉会理事長亀田隆明氏に対し、「すでにお耳に入っているかもしれませんが、別添情報提供させていただきます。補足のご説明でお電話いたします」として本件書面をメールに添付して送付した

筆者は、亀田総合病院で同日あわただしい動きがあったこと、亀田隆明氏が、筆者を9月中に懲戒解雇すると語っていたとの情報を得た。高岡志帆氏の電話は懲戒解雇を促すものだった蓋然性が高い。

時を置かず、亀田隆明氏は、高岡氏を含む千葉県職員の対応を批判する内容の言論活動を行ったこと、厚生労働省職員による言論抑圧について調査と厳正対処を求める厚生労働大臣あての本件書面を提出したことを懲戒処分原因事実とする懲戒処分手続を開始した。亀田隆明氏は、懲戒委員会が開かれた平成27年9月25日、解雇予告の正当な手続も踏まずに、筆者を即日懲戒解雇した。

以上の経緯からすれば、高岡氏が本件書面を亀田隆明氏に送付した動機は、自身の不適切な行為に対して批判を続ける筆者の懲戒処分を求め、筆者の言論を封じるという私利を図ろうとする点にあったというべきであり、当該行為が千葉県職員としてなすべき職務上の行為として行われたものでないことは明らかである。

第3 高岡志帆氏と井上肇氏との共謀の蓋然性
高岡氏と共謀する人物でなければ、本件書面を高岡氏に送付するというリスクの高い行為をとることは考えにくい。筆者は、厚生労働省高官に、本件書面を、ワード(文書作成ソフト)の電子情報として送付したが、高岡氏から亀田隆明氏に送られたものは画質がかなり劣化したPDFであり、ワードのデータをプリントアウトし、さらに、それをコピーしたものをPDF化したものと思われた。高岡氏が送られてきた本件書面をわざわざプリントアウトすることは考えにくい。本件書面が厚生労働省内部で問題になり、事情聴取が行われたのは想像に難くない。当然、コピーが関係者に配布されたはずである。本件書面には、井上肇氏のみならず、高岡氏の違法行為についても記載されていた。本件書面の内容は井上肇、高岡両氏にとって不利益をもたらすものだった。

井上肇氏と高岡氏はそれぞれ、鳥取大学、大阪市立大学という医系技官としては少数派の大学出身であり、千葉県の医療行政に深く関わってきた。共に、ハーバード大学公衆衛生大学院に留学した経験を有しており、以前より、接触が多かったと推測される。筆者は千葉県の医療行政について、多くの論文を書き、体系的に批判してきたが、中でも、二次医療圏まで変更して強引に設立した東千葉メディカルセンターの赤字問題は、井上肇氏や高岡氏の責任問題に発展する可能性があり、筆者の言論活動に危機感を持っていたと想像される。東千葉メディカルセンター問題については、「病床規制の問題3 誘発された看護師引き抜き合戦」http://medg.jp/mt/?p=1769、「東千葉メディカルセンター問題における千葉県の責任」http://medg.jp/mt/?p=6643 http://medg.jp/mt/?p=6641 を参照されたい。事件全体の動きから、二人は共に、自身の違法行為を告発する筆者に対し害意をもって行動していたものと思われる。厚生労働省内部にあって、本件書面のような、扱うのにリスクを伴う情報を、高岡氏に送付する動機と利害関係を持った個人は井上肇氏以外には想像しにぁ
/$$!#

結語
本件では、官僚が自身の違法行為を隠蔽するために言論を抑圧し、さらに、私人である筆者の職を奪うに至った。民主主義社会ではあってはならない事件である。

官僚の思い上がり 

官僚は、自らが無謬であり、それによって国民に対して権力を行使できる、という思い込みを持っている。

政官業が一致して、国が右肩上がりの成長を続けていた間は、その弊害があまり見えてこなかった。

だが、右肩上がりの成長は過去のものとなり、超高齢化人口減少社会になり、国力が落ちてきた現在、官僚のその思い込みは、幾多の弊害をもたらしていることが明らかになってきた。

この記事で3に取り上げられている事例は、小松秀樹医師が、厚労省および千葉県に出向中の医系技官から受けた、恣意的ハラスメントの問題だ。別なポストで彼のMRICでの新たな発言を取り上げる積りだが、この医系技官の行為は行政官として許されざるものだ。

記事の著者、井上弁護士と私の見解で多少異なるのは、これは医系技官だけの問題だけではなく、法系技官にも当てはまることで、後者が制度設計で根本的なところを押さえていることが多いわけで、むしろ法系技官の在り方こそが問われる。医系技官は、臨床経験を現在よりも長く積むことをその採用条件にすべきだ。また、行政政策の「結果責任」を高級官僚は問われるべきだ。

以下、MRICより引用~~~

医系技官ガバナンス ~医系技官システムのガバナンス改革~

この原稿はMMJ6月号(6月15日発売)からの転載です。

井上法律事務所 弁護士
井上清成

2016年6月22日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp
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1.医系技官システムの問題性
厚生系の公務員には、その中核に、法令系事務官と医系技官とがいる。法令系事務官は、法学部出身者を核としていて、特にその中心はいわゆるキャリア官僚となって厚生行政の実務をリードしてきた。厚生労働省の事務次官をトップとし、局長・課長ポストの多くを占めている。一般的に法令に忠実だが、微細にまでこだわり過ぎるという評判もあるらしい。いわゆる規範的予期類型が徹
底しているのであろう。
他方、医師免許を持った者には公務員の別コースがあり、医系技官といわれる。医学部出身者で医師であるから、法令系事務官と比べれば、医学・医療の専門家と評してよい。ただ、実際は、熟練した医師は多くはないようである。また、当然ながら、一般に、憲法・民法・刑法をはじめとする基本法令の理解は深くないらしい。この点で、医系技官の中には、どっちつかずのダブル未熟者
が紛れ込みかねず、公務の遂行に問題が生じることもありえよう。
その種の医系技官でも結構、強大な権限をふるうポストに座り、時に問題を引き起こす。今は、そのような医系技官システムに対するガバナンスの改革が必要となっている時期のようにも思う。

2.過去の事例
かつて、保険診療報酬請求に関する個別指導や監査では、品の悪い医系技官が猛威を振るっていた。昔々の警察取調べを彷彿とさせるような暴言を、公式の席である個別指導や監査の場で吐いたりしていたらしい。さすがに余りにも酷いので、訴訟も多発した。厚労省も組織改革をし、厚生局として整備して以降は、弁護士帯同も確立する中で、そのような事例は減っているようである。徐
々に、個別指導や監査でも医系技官に代わって法令系事務官が仕切るようになった。医系技官システムに対するガバナンスの改革が順調に進行中、と評してもよいかも知れない。

医療事故調査制度の創設も、ホットな場であった。医療事故調の議論は、ともすれば直ぐに炎上してしまうほど、先鋭な利害対立・信条対立が起きやすい。
そのような中で熱血の医系技官が強腕に制度を立ち上げようとすれば、大炎上してしまう。しかし、とにもかくにも医療事故調査制度は創設されたが、当然、そのような熱血の医系技官の思惑通りには行かなかった。問題は、公務員たるにもかかわらず、自らの納得が行かないからといって、検討会取りまとめの公式結果を意図的に一部は隠して、各地で研修しに回ったことである。

一例を挙げよう。今般の医療事故調の最重要ポイントの一つは、「医療事故の範囲」では「※過誤の有無は問わない」としたことであった。公式の検討会取りまとめの図表があるにもかかわらず、当該医系技官は、公式の図表に(黒塗りの縁取りを設けるという)細工をして、「医療事故の範囲」「※過誤の有無は問わない」を削除した形でスライドを制作して、各地で研修して回ったので
ある。そのうち、上司の法令系事務官からのチェックが入り、その後は、黒い縁取りを外して研修が行われるようになったらしい。事無きを得たとはいえ、医系技官システムに対するガバナンスの改革の必要性が感じられるエピソードではあろう。

3.近時の事例―職務専念義務違反
まだ未解決の医系技官ガバナンスの事例もある。
ある病院の医師が、本省の課長であった医系技官とその配下にあってある県に出向していた医系技官とを、施策面で批判し続けていた。ある時、当該医師は本省に対して当該医系技官の調査をするなどの要請をする文書を出そうとしていたところ、当該医系技官配下の(ある県に出向中の)医系技官が当該文書を入手して、その県に所在していて当該医師の雇主たる病院の経営者に対して、メールを送付したらしい。その県に出向している医系技官は、入手した当該文書を添付して、「既にお耳に入っているかもしれませんが、別添情報提供させていただきます。補足のご説明でお電話いたします。」と、その県にある病院の経営者に送ったのである。間もなく、当該医師は病院から懲戒解雇された。

しかし、これは言論統制以外の何物でもない。つまり、言論統制は医系技官の本来の職務ではないのだから職務外のことをしていたことになり、そのメール送付をした医系技官は、職務専念義務(地方公務員法35条)に違反したのである。
職務専念義務といえば、本省の課長であった医系技官の職務専念義務(国家公務員法101条)違反は、さらに甚だしい。
行政の民事不介入は、行政の大原則である。ところが、本省の課長であった医系技官は、ある病院とある病院の医師の派遣を斡旋し、医師派遣契約の仲介を自らしていたらしい。その医系技官が自身で報酬をもらったかもらわなかったではなく、民間契約の仲介行為をしたこと自体が大問題である。本当に、民間契約の仲介や斡旋をしていたとするならば、民事介入をしていたことになり、
それだけで直ちに職務専念義務違反になってしまう。

そもそも管理職それもキャリア官僚たる公務員の職務上の行為は、過去・現在・将来そして他省庁の分野へもまたがり、直接・間接を問わず、情報の交換・議論・検討や社交儀礼上の諸行為も含み、極めて多岐にわたる。そのため、職務専念義務違反とされる行為は、極めて稀ではあろう。しかしながら、私的な動機・利害に基づく言論統制や民事介入は、明らかに公務員としての職務専念
義務に違反している。厚労省や当該県としても、医系技官へのガバナンスを効かさねばならないところであろう。

4.医系技官ガバナンスの改革を
以上、厚労省の医系技官システムの問題事例のエピソードを少し挙げてみた。
現在、厚労省は数々のガバナンス改革を試み、一定の成果を挙げてきている。
今後は、現行の医系技官システムから個別的に医系専門家に委嘱するシステムに大幅移行することも視野に入れつつ、医系技官システムのガバナンス改革にも新たに着手すべきであろう。

http://expres.umin.jp/mric/mric143.pdf

原発テロが現実になる 

原発へのテロに対する対策について、国際シンポジウムが開かれたと、最近の東洋経済が報じている。

そのシンポジウムで、原子炉格納容器の設計にかって携わった、後藤政志氏が行った発言を引用する。

以下、引用~~~

東芝で原子炉格納容器の設計にたずさわった後藤政志氏は、「日本では航空機(落下)衝突などの事故リスクが10のマイナス7乗回/炉・年以下であれば、評価する必要がないとされている。実際にはすべての原発がそれ以下で設定されている。テロの場合にはそうした計算ができないので別途検討することとなっているが、実際にどうなっているかは明らかにされていない」と指摘した。

後藤氏は新規制基準の適合性審査をパスした関西電力・高浜原発1、2号機について、「格納容器の上部は鋼鉄製の容器が剝きだしになっており、航空機落下に対して脆弱だ」と指摘。

審査の中で関電は上部に鉄筋コンクリート造の遮へい(厚さ約30センチ)を設置することを決めたが、「航空機衝突に耐えられるものではない」と述べている。

また、後藤氏は東京電力・福島第一原発などの沸騰水型原子炉(BWR)について、「建屋は機密性はあるものの耐圧性能が非常に弱く、航空機の衝突によって簡単に壊れる。建屋最上部には使用済み燃料プールがあり、安全性が懸念される」と指摘している。

引用終わり~~~

要するに、飛行機衝突といったテロで想定される事態に、わが国の原発は脆弱である、または対策が公表されていない、ということだ。

テロ対策は、国家安全保障に関係するので、秘密にされることが多いというが、わが国の場合その秘匿性が特に強い・・・実際に、有効な対策がとられているのかどうか疑わしいが、それを確認する術がない。無理に情報を得ようとすると、特定秘密保護法に引っかかり、処罰される可能性がある。

飛行機衝突事故リスクが10のマイナス7乗回/炉・年以下である(統計的に可能性がゼロに近いという、原子力村の安全神話である)として、有効な手立てを打っていない可能性がきわめて高い。テロリストが原発を標的にする事態はすでに起きている。安全法制によって自衛隊が中東で対テロ戦闘行為に巻き込まれる、ないし率先して参加する可能性が高くなっている。在外邦人へのテロだけでなく、わが国がテロの標的になる可能性が高まる。テロリストからしたら、沿岸部に数多く並ぶわが国の原発は、攻撃効果の上げやすい目標となることだろう。30、40年以上前に建設されたわが国の原発は、そうしたテロに脆弱であり、これから対策を施すことは無理だ。

わが国の原発テロに関して、原発の脆弱性がある可能性が極めて高い、その情報が公開されていない、情報を得ることができない、という状況にある。それを国民はよく知っておく必要がある。

CW交信のだいご味 

今夕は、大荒れという天気予報だったが、今のところ、静かな夕暮れだ。

7メガも、ノイズがほとんどない。コンテストの翌日は、あまり相手をしてくれる局が出てこないのだったな、と思いつつ、CQを叩く。Vern W7WHが、200ヘルツほど下がったところで呼んでくれた。以前と同じく、すこしチャピリとドリフトを伴っている。リグは、テンテックのOmni6とのこと。自分でも周波数が不安定なのは分かっているのだが、との返事だ。

西海岸のあちらでは、真夜中2時か3時頃のはず。そうそうにお開きにすることになった。

最後のかるい挨拶のつもりで、qrz.comの彼のページで見かけた、膝の上に上半身を持たれかけている犬によろしく、と言った。

すると、その犬Hankは、昨秋亡くなった、とてもつらい出来事だった、と彼が言う。

適切な言葉が見つからず・・・そのように別離を悲しんでくれるVernの家で一生を過ごせたHankは、幸せな一生を送ったのではないか、と申し上げた。

Hankは、Vernが電信を叩くのをいつも眺めていた、ということだ。きっと天国で、Vernの交信に耳を傾け続けているのではないだろうかと申し上げた。

彼は、そうだね、と少し嬉しそうな様子だった。

何気ない、こうした会話、やりとり、これがCW交信での楽しみなのではないだろうか。

華々しいDXでもなければ、アワードのための交信でもない。人生がふっと交錯するようなやり取り。それがCW交信のだいご味なのではないだろうか、と改めて感じた。

社会保障に関する政治家の本音 

なんともあからさまに本音を語る政治家であることよ。麻生財務大臣が講演で語ったという言葉。前後の文脈が分からないので、正確なところは分からないが、政府・行政の本音なのだろう。

1)高齢者には、この世から早く退場してもらいたい。それによって、社会保障費の節約ができる。

2)高齢者には、蓄えを早く吐き出して、経済活動の活性化に寄与してほしい。

ということなのだろう。1)が実現すれば、2)はついてくる、というわけだ。こうした思想の背景には、経済的な成長こそが唯一の価値だ、それを阻害するものは排除する、という考えがある。

彼のこの本音へのアンチテーゼとしては、

経済成長が今後ともに可能なのか、それをどのようにして実現するのかという疑問。

高齢者は、この世から退場する前に、またはそれに際して医療介護の世話にならなければならなくなる。そのためのコストをせっせと蓄えているわけだ。人生終末期の医療介護費用をだれが負担するというのか。

高齢者への医療にコストをかけないという方針がこっそりと実現されつつあるが、その負担を医療現場に丸投げしているのではないか。終末期医療について、政治が国民に語り掛けるべきなのではないか。

さらに、高齢者と言って線がはっきり引けるわけではない。「高齢者」という言葉は、生産に携われぬ者と一般化され、社会的弱者にまで広げられる可能性がある。

といった疑問が湧いてくる。・・・安心の医療介護、社会保障を確保すると政治が国民に保証するのを止めるべきではないだろうか。

麻生大臣の言葉は、ある意味本音なのだが、それにしても国家財政の元締めが語る言葉としてはエゲツない。


以下、引用~~~

麻生氏:いつまで生きるつもりだ…高齢者について講演会で
2016年6月17日(金)23時54分配信 毎日新聞

 麻生太郎財務相(75)は17日、北海道小樽市で開かれた自民党支部大会で講演し、「90になって老後が心配とか、訳の分からないことを言っている人がテレビに出ていたけど、『お前いつまで生きているつもりだ』と思いながら見ていました」と述べた。高齢者らの反発も予想される。

 麻生氏は講演で国内の消費拡大などが必要と指摘したうえで、「お金を何に使うかをぜひ考えてほしい。金は使わなきゃ何の意味もない。さらにためてどうするんです?」と述べた後に発言した。【一條優太】

大学教育、教科書のコスト 

私が医学部に在籍していた40年以上前でも、教科書の類は高価だった。一冊1万円以上、何分冊かをそろえると数万円なぞという教科書がざらだった。その当時は、あまり感じなかったが、裕福でなかった両親にとって、大きな出費だったことだろう。何も言わずにその費用を出してくれた親のありがたみを改めて感じる。

米国では、学費はさらに高く、そのうえ教科書も高価なようだ。無料ないし低廉な教科書をネットで学生に閲覧させるサイトがあることを、Facebookのポストで知った。自然科学から人文科学までそろっている。これには、例のビルゲイツの財団などが財政面でバックアップしている様子。こちら。米国の制度もかなり無理のあるところもあるが、学ぼうとする学生をバックアップする体制が整っている点は素晴らしい。

わが国でも、特に国立の大学学費がどんどん上がり、奨学金を得て大学に進学しても、卒業までに数百万円以上の借金を背負うことになってしまうようだ。教育は、医療とともに大切な社会的なインフラだ。大学を独法化して助成金をどんどん減らすのではなく、むしろ税金をもっと投入すべきだ。学費を安くし、学ぶ意欲のある学生には門戸を開くべきだ。同時に、教科書を無償で閲覧、DLできる体制を作るべきだろう。貧しいために教育が受けられない、または学生が、大学教育をうけたがために経済的な大きな負債を追って、社会に出るということがあってはいけない。

舛添都知事辞任 

舛添都知事が、辞任する。やれやれである。一つは、あれほどの公私混同を行った人物だから辞めるのは当然であるということだ。もう一つは、テレビやマスコミで彼の都議会での答弁等を延々と垂れ流し、それに識者たちが解説を加えるという報道がおしまいになるからだ。

後者については、バラエティ番組で盛んに彼を利用し、持ち上げていたのは、一体誰だったっけという気持ちがある。マスコミは、溺れる犬を叩くわけだ。

彼は学業優秀で東大法学部の助教授まで勤めた人物だ。だが、当然のことながら、頭が良いだけでは、良い政治家にはなれない一つの実例になった。彼ほど頭の良い人物が、このように分かりやすい公私混同、政治資金の流用を行ったのは何故だったのか、不思議に思っていた。どうも、こうした滅茶苦茶なやり方が政治の世界では一般的なのかもしれない、と思うようになった。安倍首相も、数年前の政治資金報告書の内容から、政治資金でアイスや、飲料水を購入したり、キャバクラの費用を出したりしていたことが分かっている。他の政治家も、推して知るべしだ。舛添都知事の行状を弁護するつもりは、さらさらないが、こうした政治資金が簡単に流用できるシステムも問題だ。それを何とかしないと、同じことが繰り返される。

甘利明議員の話がとんと聞こえなくなってしまった。以前にも記した通り、こちらは、政官業の癒着、それによる公金の不正支出の問題なので、舛添都知事の問題よりよほど大きいのだが。マスコミよ、しっかりしろと言いたい。

それにしても、テレビに出る芸能人を政治家に手っ取り早く持ってくるのはいい加減止めてもらいたい。参議院選挙では、またテレビで顔を売った連中がぞろぞろと立候補しそうだ。最終的な問題は、投票する我々自身にある。芸能人がすべて悪いわけではないが、選挙の際には、ただ名前と顔が分かっているからということだけで、投票することのないようにしたいものだ。しっかりと、政策、人となりを知ること。投票する我々の知性が試される。

企業内部留保が、過去最高を記録 

企業の内部留保が、さらに増大し、366兆6860億円に達し、過去最高を記録しているという記事。こちら

アベノミクスという壮大な金融緩和、財政出動は、ひとえに企業の内部留保を増大させることに寄与した。また、富裕層の収入を増大もさせた。一方、内需を増やしていない。

企業の内部留保のかなりの部分が海外への投資に回っており、租税回避されている。OECDは、租税回避によって失われている税金は、26兆円に上ると試算している。しかし、わが国の当局は、租税回避の現状を調査する様子がない。

舛添よりも甘利だろう 

マスコミ、とくにテレビの政治関連報道では、舛添都知事の政治資金流用疑惑ばかりだ。これは、舛添という人物のダラシナサと、政治資金規正法がザルのようであることを示した事件なだけ。

ほとんど報道されなくなったのは、甘利前経済再生担当相のあっせん利得処罰法がらみの問題。どうも検察は最初から起訴するつもりがなかったようだ。

この問題は、政官業の癒着、とくに政治家の口利きで国の政策が歪められる構造的な問題だ。舛添都知事の問題よりもはるかに深刻な問題だ。あっせん利得を得ていた可能性のある政治家が、国の形を左右するTPPの責任者をしていたわけだ。

この政治家の利権構造をこのままにすべきではない。検察審査会への訴えが起こされたようなので、注視してゆきたい。

以下、引用~~~

「甘利捜査は不起訴ありきだった」告発者が証言
(週刊文春 2016年6月16日号掲載) 2016年6月8日(水)配信


 甘利明前経済再生担当相(66)や元秘書たちの現金授受を巡る問題で、東京地検特捜部が不起訴処分を発表してから初めて、告発者の一色武氏が週刊文春の取材に応じた。

 一色氏は、「検察には最初から結論ありきのシナリオが出来ていたとしか思えない」とし、捜査の経緯を明かした。

「大臣室での現金授受の場面については、座席の位置から言動まで詳細に質問されました。お金を渡した趣旨については『(口利きの)お礼です』と答えましたが、何故か調書には書かれませんでした

 取調べ中にこんな場面もあった。

「検事さんと雑談中に『私は逮捕されるんですか?』と聞いたことがありました。そのとき検事さんは、『安心してください』と言ったのです。その言葉を聞いてから、私は逮捕されないのかも、と薄々感じていた」

“睡眠障害”で国会を長期間欠席していた甘利氏は、不起訴が決まった後、医師に勧められたとして政治活動を再開した。ただ、検察の不起訴処分には、市民団体が検察審査会に不服申し立てを行っており、判断が注目される。

文/「週刊文春」編集部

「グルメと真珠」 

先日、伊勢志摩で開催されたG7サミットで、各国首脳の配偶者のための催しが開催された。そのコンセプトが、「グルメと真珠」であったそうな。配偶者の方々もたった4名参加しただけだったようだ。ニューズウィークで、このバブリーで社会的に意味のない配偶者プログラムがこき下ろされていた。

G7では、世界の格差問題が主要議題になるべきだった。租税回避問題は、抽象的な総論として扱われただけだ。パナマ文書問題という具体的な問題があったはずなのに、何も議論されていない。

このひどい格差は、世界を不安定にしているのではないだろうか。これに対処することが、先進国には求められているのだと思うのだが・・・。

以下、引用~~~

超格差社会「富豪62人の資産=貧しき36億人の資産」の衝撃
2016年6月10日(金)7時0分配信 NEWSポストセブン

〈世界で最も裕福な62人が所有する資産が、世界の貧しい人々36億人の合計資産に匹敵する〉

 2016年1月、貧困問題に取り組むイギリスの国際NGO「オックスファム・インターナショナル」が、そうしたリポートを発表した。

 同NGOによる報告書『AN ECONOMY FOR THE 1%』(最も豊かな1%のための経済)によれば、この5年間で上位62人の資産は45%増加して1兆7600億ドル(約190兆円)に達する一方、貧しいほうの36億人の富は1兆ドル減り、上位62人と同額になったという。

 1年前のリポートでは、〈世界の上位80人の資産が、貧しい人々35億人の資産と匹敵する〉とされていたから、格差は年々拡大していることがわかる。NGO・オックスファムのメディアユニット(広報部門)担当者がこう語る。

「昨年9月に国連で採択された『持続可能な開発目標』の中でも世界の格差問題に取り組むことが合意されましたが、我々の予想をはるかに上回る勢いで富裕層と貧困層の格差は広がっています。タックスヘイブンを使った租税回避対策や、企業に対する税制優遇措置を見直すことが求められます」

 もちろん、私財を慈善事業に投じる富裕層もいる。サウジアラビアの王家出身のワリード王子は、株式や土地への投資で巨万の富を築き、「アラブのウォーレン・バフェット」と呼ばれる人物だ。そのワリード王子は、長年、自身が運営する財団を通じて35億ドル以上を貧困対策・災害支援などに充ててきたほか、死後はその10倍近くにあたる全財産を慈善事業に投じることを表明した。

 一方で子孫へ資産を残すため、慈善事業のための財団や基金さえも節税の手段として使う富裕層がいるのも事実だ。

 パナマ文書で明らかになったように、富裕層は、節税のためにタックスヘイブンもフル活用する。文書には、中国の習近平国家主席の親族、ロシアのプーチン大統領の親友などのほか、俳優のジャッキー・チェン、プロサッカー選手のリオネル・メッシの名もあり、富裕層の間で広く節税が行われていることがわかった。

 前出の報告書では、〈アフリカの金融資産の約30%がタックスヘイブンの口座に置かれ、毎年140億ドルの税収入が失われている。これは、年間400万人の子供を救う保健福祉政策や、アフリカの子供たちすべてが学校に通うために必要な教師を雇用できる規模に匹敵する〉と指摘されている。

 もちろん、他人には計り知れない努力の末に手に入れた富を、どのように使おうが個人の自由だろう。一代で巨大な貴金属会社を築き上げた香港の林世栄氏のように金ピカ生活を送るのも自由だ。ある意味、豪華な車や贅沢な暮らしに資産を使うのは、世界経済を回しているだけ、まだマシなのかもしれない。

 しかし歴史が物語るように、極端な富の偏在は人々の不満を爆発させ、たびたび社会の混乱を招いた。現代の超格差社会の行き着く先はどこなのだろうか。

※SAPIO2016年7月号

『John Davies 9V1VV』歓迎会予告 

CWでactive(だった?笑)、John 9V1VVが、ご家族と一緒に来日されます。7月14日から22日まで八王子に滞在されます。

17日の昼食を、彼と一緒にとる予定を立てました。場所は、新宿かお茶の水。費用は5000円以内に収めるつもりです。時間、場所の詳細はこれから決めます。

彼に会ってみたい、一緒に食事をとってもよいという方、未確定でも構いませんので、ご一報ください。このブログのブログ主へのコメントでもよいし、nuttycellist2006 at yahoo.co.jp(atを@に変換してください)へのメールでも構いません。

誰も来なくても、私一人で彼との時間をゆっくり過ごしたいと思っています。

彼は、若いころに無線通信士として船に乗っておりました。陸の仕事に変わってからも、通りの看板の綴りを無意識のうちにCWに置き換えている自分に気づき、それでアマチュア無線を始めたという経歴の方です。バグキーで手作り感のあるCWを紡ぐことがお気に入りです。数年前、通信教育で英文学の学位をとったという勉強家でもあり、クラシックにも詳しい方です。政治的にはリベラルな考え方の持ち主で、育った南アフリカ、それにイスラエル、中東の情勢などについてもよくご存知です。

数年前に彼が我が家にいらっしゃったことはこのブログにも記しましたが、彼は日帰りで、その日の午後にあったオケの練習に強引につき合わせてしまう慌ただしいスケジュールになってしまいました。今回は、そのような予定を入れずに、ゆっくりと話しをしたいものだと思っています。関心のある方の参加を期待しています。

本郷通り 

先日、駒込で行われたオケの練習に顔を出した。楽器を始めて間もないメンバーが多いこじんまりとしたオケだった。ベートーベンの1番を練習しているという。それに惹かれてでかけた。

会場は、本郷通りに面した公的な施設。ベートーベンの1番の弾けるような旋律を弾き終わり、外に出てみると、初夏の日差しが降り注いでいた。

この通りは、大学時代に幾度となく通った道だ。友人と、お茶ノ水からあてどもなくこの通りを歩き、気が付いたら駒込駅についていたこともあった。あの当時は、本郷通りという通りの名前もしらず、ただ黙々と歩いた。大学に戻り、基礎の研究室で過ごした日々。本郷三丁目のワンルームマンションを借り、週末になると、いつもではなかったが、車で北関東の我が家に飛ばして帰った。その道も、この通りだった。

本郷通り 昭和時代

ネットでお借りした画像・・・おそらく昭和の時代の本郷通りだと思われる。

この通りをあてどもなく彷徨ったころ、大学オケで練習していたのが、同じベートーベンの1番だった。

時間が経った。戻り来ぬ時間を思いつつ、重たいチェロを担いでしばらく歩いた。

赤字財政の話題になると、まず社会保障の切り下げ 

赤字国債、財政均衡の話になると、社会保障の抑制、切り下げを政権与党の政治家はまず口にする。

子どもの財布から黙って了解なしに金を抜き取ってきたのは、一体誰の仕業なのだろうか。公共事業のばら撒きでどれだけ湯水のごとく国家予算を浪費してきたことか。その病識がないのか。

現在も、大企業を対象とする法人税減税、公務員給与引き上げ、防衛予算増加等によって、子どもの財布から、金を抜き取っているのではあるまいか。

社会保障に切り込むならば、上記の項目、そして天下りによって生じている無駄遣いに同じように切り込まなければダメだろう。

自民党は、社会保障を抑制することだけしか、眼中にないようだ。

以下、引用~~~

塩崎厚労相「赤字国債、子どもの財布から金抜き取る話」
16/06/07記事:朝日新聞

■塩崎恭久厚生労働相
 民進党の岡田克也代表は、(消費増税先送りに伴い)赤字国債を財源に社会保障の充実を行うという無責任なことをおっしゃっているが、これは子どもの財布から黙って了解なしに金を抜き取るような話だ。しっかりと財源を確保しながら充実すると、3党合意というのはまさにそのことで合意をした枠組みだ。民進党のみなさんはそれを忘れてしまったとみえる。子供たちに対して、最も無責任なことをやろうとしている。(閣議後会見で)

崖っぷちに立つ高齢者医療介護 

今朝、米国西海岸に住むアマチュア無線の友人が、困惑した様子で長いメールを送ってよこした。

彼の奥様が右膝の関節置換術を受けた。手術当日に退院。その後、彼が奥様の看護介護をしている。夜、彼女がトイレにたち、そこでどうも動けなくなってしまったという。左半身の動きが悪い。意識はしっかりしている。保険会社の相談員に電話をし、その指示のままに、救急車を呼び、近くの病院に搬送してもらった由。彼自身も体調は万全でないのだろうに、老夫婦に襲った突然のアクシデント。彼が当惑し、困り果てている様子がよく分かった。

幸いなことに、数分後には体を動かせることができるようになった様子。私は専門外なので良くわからないが、TIAのような一過性の脳虚血の問題ではなく、自律神経系の機能的な問題ではないか、ただし、ほかの深刻な病気を除外してもらわなければならない、と書き送った。

こうした出来事、他人事ではない。老夫婦が互いを看護しあうような状況になる可能性が我々にもある。

政府・行政は、地域医療構想として、慢性期の病床を減らし、極力在宅医療介護を進める方針だ。その目的は一つ、医療費の削減である。行政は、この政策を実行する際にも、自らの支配権、利権を確保しようとする。医療機関に支払われるべき、診療報酬の一部を「ピンハネ」して、地域医療介護総合確保基金を立ち上げ、行政がそれを補助金として、医療機関に分配する。

かくして、病床配分と、補助金の配分によって、行政に医療機関を支配する権力が付与される。そこには、甘利元経産相のような政治家がパイの分配に関与することになる。権力と金が絡むと、必ず腐敗が生じる。

下記の論文では、小松秀樹氏は、財政制度審議会の提言した県ごとに異なる診療報酬制度を、客観的な指標による、医療費削減政策として支持しているようだ。医療費が多い地域には、診療報酬を下げる、というやり方だ。これは、行政・政治が「人治」として医療にかかわるよりは、客観的な指標に基づくので良いのではないか、と小松氏は考えているようだ。だが、果たして、そうだろうか。医療水準を下の方に合わせるやり方では、医療水準の際限のない切り下げが行われることにならないのか。また、いわゆる採算のとりにくい、救急医療・小児医療などから医療機関がさらに多く撤退することにならないか。

我々、団塊の世代が医療介護の世話にならなければならなくなる時に、どのような制度が出現していることだろう。70歳代後半になり、奥様の病気で困惑している友人の姿は、すぐ先の我々の姿でもある。


以下、引用~~~

県ごとの診療報酬

NPO法人ソシノフ運営会員
小松秀樹

2016年5月31日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp
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●財政制度等審議会の「建議」
2016年5月18日、財政制度等審議会が、「『経済・財政再生計画』の着実な実施に向けた建議」を財務大臣あてに提出した。「建議」には「県ごとの診療報酬」を示す直接的表現がなかったにもかかわらず、医師向け情報サイトm3は、翌5月19日、「地域差是正、県ごとの診療報酬を----財政審」という踏み込んだタイトルの記事を配信した。
財政制度等審議会は、消費税率引き上げ延期の流れに対し、周到な反論を準備した。委員が手分けして、G7各国、GIIPS諸国(ギリシャ、イタリア、アイルランド、ポルトガル、スペイン)を対象に、財政健全化について海外調査を行った。各国は日本より厳しい財政健全化目標を設定し、短期間で大幅に改善してきた。財政再建が順調でないとされるイタリアでも、2011年末にはプイマリ・バランスが黒字化した。ドイツ、イギリスでは、経済再生と財政健全化を両立させている。日本は、調査した各国に比べて、はるかに厳しい財政状況であるにもかかわらず、「各国より緩い財政健全化目標」を設定している。財政健全化に成功した国では、国民的コンセンサスが形成されている。ドイツでは、2009年に憲法を改正し、超党派で財政収支均衡についてのルールを制定した。カナダ、イギリス、アメリカ、ポルトガルなどでも、財政再建の背景に、歳出削減の国民的コンセンサスがあるという。

個別分野については、団塊の世代が後期高齢者になると医療費・介護費が大きな負担になると指摘し、その上で、地域医療構想について以下の言及をした。

都道府県による病床再編や地域差是正に向けた努力を支援するための取組(診療報酬の特例(高齢者医療確保法第 14 条)の活用、都道府県の権限の一層の強化等)について、改革工程表に沿って、着実に検討・実施していくべきである。
高齢者医療確保法第14条は、「医療費適正化を推進するために必要があると認めるときは、一の都道府県の区域内における診療報酬について、地域の実情を踏まえつつ、適切な医療を各都道府県間において公平に提供する観点から見て合理的であると認められる範囲内において、他の都道府県の区域内における診療報酬と異なる定めをすることができる」と規定している。

●地域医療構想
団塊の世代は人口の大きさゆえに、社会保障に対し、過大な財政負荷を及ぼす。このため、団塊の世代全員が65歳になった2015年までに、年金給付額を引き下げ、支給開始年齢を段階的に65歳まで引き上げた。2025年には団塊の世代全員が後期高齢者になる。後期高齢者の医療費は、今でも膨大である。2013年度、自己負担を含めて14兆2千億円にも達した。このうちの85%、12兆1千億円が、公費と被用者保険からの拠出金でまかなわれた。団塊の世代が75歳になると、後期高齢者医療制度の総医療費が急増する。

地域医療構想は、後期高齢者医療制度への財政負荷を緩和するための対策の中心部分であり、病床を削減することによって、入院医療費を抑制する。2014年の医療介護総合確保推進法によって、病床機能ごとに必要量を行政が決めることになった。地域医療構想の策定とそれに基づく整備について、都道府県医師会、保険者、市町村、学術団体などが参加する地域医療構想調整会議で協議される。この会議には、病床機能転換の当事者、利害関係者にも参加が求められる。実質的には都道府県が主導する。この会議で、各病院に病床機能ごとの病床数が割り振られる。強制力の行使に備えて、通常の議事録の作成に加え、関係者の合意を確認するための書面が作成される。争いに備えた証文である。

実効性を担保するために、強制力が強化された。都道府県は、病床過剰地域において、公的医療機関が正当な理由がなく病床を稼働していないときは、当該病床の削減を命令することができる。公的医療機関以外の医療機関に対しては、当該病床の削減を要請することができる。
公的医療機関が上記の命令・指示に従わない場合には、医療機関名の公表、地域医療支援病院の不承認又は承認取消し、管理者の変更を命令することができる。なお、公的医療機関以外の医療機関が、要請に従わない場合には勧告を、当該勧告等にも従わない場合には地域医療支援病院の不承認、又は 承認取消し、管理者の変更命令等の措置を講ずることができる。

あめとして、消費税増収分を用いた地域医療介護総合確保基金が創設された。医療介護総合確保促進法に基づく総合確保方針に定められた対象事業に補助金が交付される。これが医療機関や介護施設を、厚労省-都道府県の方針に従わせる手段になる。そもそも医療には消費税が課されていないが、病院の仕入れには消費税が課されている。その分、診療報酬に組み込まれているというが、経費の大きい大病院は大きな損失が生じる。消費税率5%から8%への引き上げでのカバー率は、50%程度である。消費税引き上げ分の50%が損失になる

基金は、病院から消費税の損税分を取り上げて、投資を行政が決める構造であり、経営の判断領域を狭める。行政主導の投資がまともに機能するとは思えない。補助金をできるだけ少なくして、診療報酬に回すのが健全である。どうしても必要な補助金は、裁量権を持つ個別役人が決めるのではなく、数字で示される指標で自動的に金額が決められる方法を考案する必要がある。配分する側に裁量権があり、配分される側に経済的余裕がなければ、支配-被支配関係が生じ、民主主義が毀損される。

●医療計画制度と医療費の東西格差
医療計画制度での病床規制は1985年に導入された。二次医療圏ごとに算出した基準病床数を基に、許可病床を病院に配分。許可病床数を超えた増床を禁止した。医療費抑制が目的だったが、既存病床数を尊重する現状追認型の制度として設計された。すなわち、一般病床についての基準病床数計算の基礎となる平均在院日数、性別及び年齢階級別退院率について、地域ブロックごとに異なる係数を用いた。このため、既存病床数が多かった地域、すなわち、新設医大創設以前の医学部が多かった西日本では、東海、関東に比べて、基準病床数が多くなった。病床数の分布は看護師、リハビリ専門職などの医療人材の養成数の分布とも重なった。このため、病床数の地域差だけでなく、医療人材養成数の地域差も継承された。中国、四国、九州の各県は、関東基準で見れば、埼玉、千葉の2倍近い一般病床を有している。人口当たりの看護師数やリハビリ職員数も、九州、四国は、埼玉県、千葉県よりはるかに多い。

市町村国保、後期高齢者医療制度には、国費と被用者保険の保険者からの拠出金が投入されている。本来平等でなければならないはずだが、医療費の多寡に応じて、大きな地域差が生じている。2010年のデータを用いた試算では、千葉県の医療費が全国平均と同じだとすれば、千葉県には国費と拠出金が毎年720億円今より多く投入される。福岡県と同じだとすれば、毎年1890億円今より多く投入されことになる。http://medg.jp/mt/?p=2112 厚労省は国民を不平等に扱い。それを漫然と放置してきた。

●人による強制、数字による誘導
地域医療構想では、今後、病床の多い西日本を中心に病床削減が図られる。地域医療構想調整会議は、全体のパイが小さくなる中、病床と補助金を奪い合うバトルの場となる。都道府県の役人が、病床配分と補助金配分の裁量権を持つ。病院は表面上行政に従いつつ、生き残りのために、役人に働きかける。政治家も動員される。利害が絡まって身動きのとれない状況になり、病床配分を決定できない状況が生じる。贈収賄事件が頻発する。

問題はこれだけではない。役人が個別的裁量権を持つと、東千葉メディカルセンター問題のように、地域の実情を無視した無理な政策がそのまま押し通される。http://medg.jp/mt/?p=6643 、http://medg.jp/mt/?p=3955 強
大な権限を持つがゆえに、批判を抑圧する。http://medg.jp/mt/?p=6292 結果として、誤った政策が修正されない。千葉県は、2008年、山武郡市を、印旛・山武二次医療圏から切り離し、地域の医療事情と乖離した山武・長生・夷隅二次医療圏を作って、多額の補助金を投入し、東千葉メディカルセンター建設を強引に進めた。計画に無理があったため、事前に危惧された通り赤字が膨らみ、東金市民が東金市の財政破綻を心配する事態になった。http://www.kosonippon.org/mail/detail.php?id=764

地域医療構想は、旧共産圏の計画経済に似ている。需要を病床機能ごとに細かく予測し、機能ごとの病床数を地域の医療機関に配分する。地域医療介護総合確保基金を介して、投資まで支配する。実際には、期待のありようやサービスの質が需要を大きく左右するので、需要を独立変数として推定しようとしても失敗する。需要を正しく把握できたとしても、供給量決定に利権争いが絡む

旧共産圏では専制と腐敗がはびこり、経済は停滞した。共産圏の失敗は計画経済が人間の能力を超えていたからだと理解されている。だからといって市場経済に任せてしまうと、医療費が高騰する。国民皆保険を維持しようとすると、診療報酬による誘導をやめるわけにはいかない。
なぜ「県ごとの診療報酬」という大胆な案が提案されたのか。大胆な割に、極めて分かりにくい形で書かれていた。観測気球なのかもしれない。財務省は、地域医療構想に無理があって、実現しそうにないと考えた可能性がある。放置するには後期高齢者医療費の額が大きすぎる。高齢者医療確保法第14条の規定を活用して、医療費を多く使っている都道府県の診療報酬を低く設定できれば、自動的に医療機関と医療人材が、医療過疎地に移動する。顔の見える役人個人が裁量権を発揮して強制するのではなく、数字がインセンティブとして機能することになる。財政制度等審議会の提案がどう展開していくのか注目したい。

自衛隊の兵站・急性期医療 

陸上自衛隊、自衛隊学校で、パワハラがあり、国家賠償訴訟が提起されたらしい。こちら

驚くのは、「戦争による死傷者が出ることはない」という自衛隊の建前。安保法制で、自衛隊が海外に派兵されることが現実となり、前線で死傷者が出るのは必須のはずだが、こんな建前が今でもあるのだろうか。以前、ほかのニュースで、自衛隊の現場での救急医療の内容が、米軍の軍用犬のそれと同じレベルであることを知り、このブログでも取り上げたことがあった。戦前の日本軍の時代から、兵站・医療がお粗末であった。それを、今も引き継いでいるのではないだろうか。

もう一つ、自民党の憲法草案には、軍法会議(相当の裁判所)の設置の条文がある。自衛隊が、軍隊になるとき、そこでは国民の権利はなくなる。強制力が、軍隊内部を支配することになる。それは、国民生活にも大きな影響を及ぼすことになる。

自衛隊は、自国の防衛と災害救助等の国内での活動だけに専念させるべきだ。また、自衛隊隊員の兵站・医療を手厚くすべきである。

オバマ大統領の広島訪問が残したもの 

オバマ大統領は、広島で、被爆者をしっかりと抱擁したという。この訪問については、国内外で様々な評価がある。米国では、原爆投下により、戦争終結が早くなり、余計な犠牲者を出さずに済んだといった原爆投下肯定論がまだかなりある。が、若い世代を中心に、原爆投下する意味があったのか疑問視する声も大きくなってきているようだ。そうした冷静な判断が、彼の広島訪問でさらに大きな声になって欲しいものだ。

わが国では、原爆投下に対してオバマ大統領から謝罪の言葉がなかったという批判もある。しかし、これが大統領としてなしうる最大限の反省の表現だったのではないだろうか。

むしろ、問われているのは、我々の方だ。原爆の犠牲になった方々、外国人の犠牲者も含めて、に対して、十分な対応をしてきたのか。原爆投下が敗戦を早めたかどうかは検証しなければならないが、無条件降伏をもっと早くすべきだったのではないか。無条件降伏を遅らせたことが、原爆投下をもたらしたことは確実だ。「国体」の存続のみを求めて、ぎりぎりまで降伏しなかった責任は誰にあるのか。

さらに、中国など近隣諸国への侵略と第二次世界大戦を、肯定的に見る修正史観は、許されないということを、オバマ大統領は行動で示した。彼の残したのは、歴史を直視すべきだ、という強烈なメッセージである。

以下、引用~~~

オバマ氏「広島に来て良かった」
2016年5月31日(火)19時25分配信 時事通信

 現職の米大統領として27日に初めて被爆地の広島市を訪れたオバマ氏が、「広島に来て良かった」との感想を周辺に語っていたことが分かった。外務省が31日の自民党外交部会で、オバマ氏側近の話として明らかにした。
 また、オバマ氏は広島市の平和記念公園から移動した際、多くの一般市民から見送られたことに感銘を受けたと話しているという。外務省はオバマ氏サイドの話について、帰国途上の大統領専用機から同省に伝えられたと説明した。