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米国大統領選の結果を見て 

米国大統領選の結果は、意外だった。大方の予想は、クリントンの楽勝だった。実際、私もそう考えていた。なぜこのような結果になったのかは、様々なところで、多くの識者が分析することだろう。今のところ、中低所得者の白人層が彼を支持したことで、この結果になったということのようだ。

感想をいくつか・・・

トランプは、おそらく意図的にマイノリティへの差別、排除を選挙戦で主張した。これまでのestablishmentsに不満、反感を持つ層は、こういって差し支えなければ、もっとも暗い汚れた面でトランプのそうした戦略的な言辞に共鳴したのだろう。political correctnessの否定だ。多様性を価値としてきた米国が、この暗い差別・排除主義で分断された。それを、どうやって立て直すのだろうか。それとも、選挙戦で主張してきたマイノリティの排除を実際行うのか。

基軸通貨として大量に発行した米ドルで外国から安価に物品を購入し、一方で、国債を大量発行して米ドルを自国に還流させるシステムが、戦後の米国にはあった。それが、米国の大量消費社会を維持してきた。だが、ベトナム・イラク他の戦争で莫大な予算を食いつぶし、そのシステムが維持できなくなってきた。1990年代以降、ネット空間で多額の資金をやり取りする金融資本主義が発達したが、それが持つ問題も2008年のリーマンショックで明らかになった。金融資本主義の行き詰まりも明らかだ。グローバリズムの進展で、上記中間層が経済的に厳しい状況に追いやられた。経済格差の進展である。

トランプは、共和党の理念である小さな政府を目指さず、社会福祉に予算を増やし、高所得層の所得税・企業の法人税を減税する、という。関税を上げ、産業の国内回帰を図る、という。だが、上記のような状況で、それが一体可能なのか。きわめて困難な状況になるのではないだろうか。彼が選挙戦で述べてきた「政策」を実行に移し、中低所得層に満足感を与えられなければ、一気に彼への支持はなくなる。

トランプは、理念で動く人間ではない。損得勘定でのみ動く。経済的に米国が苦しいとなると、理念上一致しえなかった相手、例えば、ロシアのプーチン等とも組むようになるだろう。また、日米関係も大きな転機を迎える。選挙戦では、彼は、日本の安保ただ乗り論を繰り返してきた。これも盛んに言われているが、日米安保の縮小とともに、わが国の軍拡がさらに進められる可能性がある。

それにしても、世界各地で、排他主義、マイノリティ排除、国家主義を主張する政治リーダー・政党が続々と誕生し、支持を増やしている。トランプ大統領の誕生は、そうした現象の一環なのだ。第二次世界大戦後、民主主義のもと平和を追求する方向に舵を切ったはずが、それとはどうも逆の方向に世界が向かっているのではないだろうか。

桂の木 

我が家の桂の木。偶然、この木を見上げたら、見事に紅葉していた。もうだいぶ落葉している。

ここに引っ越してきた30年以上前から、ここにあった木だ。当初は、3、4mの高さだったものが、15m以上にまで成長した。この春、庭の仕事をお願いしたH氏が、この木の形が立派だと感に入ったように述べておられたので、注目するようになった。確かに、悠揚相迫らざる様相を見せている。

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我が家をこの30数年間見守り続けてきてくれた木だ。おそらく、私たちの方が先にこの世からいなくなる。でも、しばらくの間、ともに過ごす相方である。宇宙の時の流れからしたら、あっという間のことだ。だが、その間、この木と同行する。

緑の党とKey 

今日は、米国では大統領選挙の投票日だ。SNSでは、クリントン・トランプ両陣営の支持者たちのポストで凄まじかった。特に、トランプの支持者は、熱狂的な方が多いようで、一目で捏造と分かる反クリントンのポストをひっきりなしにSNSに上げていた。トランプ自身も、言うことが変わるし、事実と反することを平気で演説する。SNSには、FACT CHECKなるサイトがあって、両候補者が述べたことの真偽をすぐに検証していた。なかなか優れている。クリントンも、中庸を行く経験豊かな政治家だが、ウォール街のグローバル企業や、ネオコンとの関係が噂されている。

トランプの支持者がSNSでは結構元気で、クリントンを揶揄・中傷するポストをこれでもかというほどアップする。労働者中産階級の方が多い印象。頑迷な愛国主義・宗教的原理主義(カソリックが多い印象・・・数は多くないのでたまたまかもしれない)をバックグラウンドに持つ方が多いのも特徴だ。彼が大統領になると、経済・国際関係の面で、孤立主義を取りそうだ。わが国が米国への隷従から逃れる良い機会になるかもしれない。クリントンも、上記の疑いがあり、かつメール問題に関して嘘をついたと攻撃されている。米国の友人のなかでも、選択が難しいという方も結構いる。

そんななか、以前からの知り合いである、Keith(ハンドルKey・・・そうCWの愛好家である) K7MOAが、彼だったらJill Steinに投票するとSNSのコメントで述べていた。彼は、ジョージア大学で政治学の教鞭をとる学者だ。だから、彼の言うことが正しいというわけではないが、ベトナム兵役を経験した彼の言うことはいつも筋が通っている。Steinは、緑の党から出馬した、元医師の候補であること程度しか知らなかった。Wikipediaで調べると、Green New Dealを主張しているらしい。再生可能エネルギーの開発をすすめ、それによって雇用・税収を確保するという政策である。環境と健康の相関関係から政治家を志した候補だけあって、ユニークな視点だ。ただ、金融緩和で政策を実行できるなら、それも選択肢だというようなことを述べているらしい。緑の党は、1980年代位からヨーロッパ、とくにドイツで生まれた環境問題を重視する政党だと理解していた。緑の党が2000年前後、ドイツの政権の一翼を担うようになる上で、環境問題の原理主義的な立場から、現実路線にシフトする政党に変化したことも知られている。Steinは、どのような立場に立っているのか、関心を抱いた。

わが国でも、本来民進党が、リベラル勢力を束ねる存在になるべきなのだが、先の新潟県知事選で見せたように、連合に遠慮しているようでは、なかなかそうは成れそうもない。民主党政権時代の失敗が尾を引いていることも、そうしたリベラル勢力を結集する核になり切れない要因なのかもしれない。これからは、環境、経済格差問題、社会的共通資本、原発問題、安全保障等について、市民レベルから意見を吸い上げる、フレキシブルな政党が必要なのではないだろうか。そうした面で、緑の党の過去、現在は注目に値する。

Keyは、あと数年仕事を続けるつもりだと、一年ほど前に語っていたが、以前から抱えていた多発性骨髄腫が悪化し始めたようで、要職を辞し、もしかすると教授職も辞めることになるのかもしれない。先のSNSでの発言でも、投票日の今日、まずは腫瘍医学専門の主治医にかかり、その結果気分が乗れば投票に行くが・・・と記している。主治医の診察で良い結果が聞けると良いですねと彼にコメントした。

東電福島第一原発の廃炉・復旧コスト 

先月4日の毎日新聞の記事によると、電気事業連合会は、東電福島第一原発事故の賠償に8兆円、除染作業に7兆円かかるとし、国に計8.1兆円の負担を要請した。2013年、国が示した各々のコスト5.4兆円、2.5兆円から、ほぼ倍増である。昨日のラジオで耳にしたニュースでは、中間貯蔵施設建設に1.1兆円かかるらしい。汚染水対策のコストも、これに加わる。最終処分場の目途も立っておらず、もし最終処分場ができたとしても、それに大きな維持費がかかることになる。

原発廃炉にかかるコストは予測できない・・・天井知らずになる可能性が高い

除染費用は、東電の持つ自社株を売って資金を準備するとされていたが、そのためには同社の株価は3倍にならなければならない・・・実現不可能だ。

結局、これらのコストは、国民の支払う税金か、電気料金で賄われる。上記の通り、賠償・除染・中間貯蔵施設建設の予測コストだけで、現在16.1兆円に達している。廃炉コストの規模は、まだ予測すら正確にできない。メルトダウンを起こした原発の廃炉は、20、30年の期間では終わらないことが、外国の「正常」原発の廃炉過程を参考にすると予測される。その費用は、想像を絶する額になるだろう。

原発に関わる政官業は、原発事業を電力会社本体から切り離して、原発の再稼働をしやすくするスキームを考えている。財政面だけでも、原発にこれほどのリスクがあることは十分わかっているはずなのだが、目先の原発再稼働による利益確保に目がくらんでいる。電力会社は、原発を再稼働させないと、電気料金を値上げしなければならなくなる、と国民を恫喝している。


JJ1TTG/6 Aki 

昨日、FEA恒例のオンエアーミーティングに出た。時々はワッチしている催しものだが、日曜日の朝、上のバンドが北米に開ける時間帯なので、いつもはヒットアンドゴーなのだ。が、昨日は、上のバンドのCONDXが良くないのと、WでSweepstakesが開催されているので、こちらの方にお邪魔した次第。いわば、(FEAのメンバーではないが、その設立当初から立ち会った者として)生存証明である。

国内がスキップするCONDXのなか一通りの参加者の声、ではなかったキーイングをお聞きし、お開きになったところ・・・Akiさん JJ1TTG/6が私を呼んで下さった。アンテナを向けると多少良くなるが、559程度の強さ。短長点比が少し大きめの特徴ある符号。彼のいつものキーイングである。前回、2,3か月前に夕方呼んでいただいたのだったが、CONDXが悪く、そそくさと交信を終えたので少し気になっていた。

彼が、白河に仕事で滞在しておられる頃、何度か無線でお会いした。もう10年ほど経ったか・・・。記憶があいまいなのだが、彼が東北道を使って、自宅に戻るときに、交信させていただいたような記憶があるのだが・・・。JA1KIH Takaさんの友人であるということと、のんびりCWでのラグチューを楽しまれるスタンスに共感を覚えていた。いつか直接お目にかかりましょうと言い合っていたが、それが実現したのは、数年前、秋葉原でCWオペの集まりがあった時だけだった。まだ40歳代になられたばかり位の若いハンサムな青年だった。

彼は、以前TS520を使っておられて、わずかにチャピル信号(これはリグを変えられたのか、きれいな信号にすでになっている)と、例のキーイングで、コールを聞かずとも、彼と分かるようになった。2、3か月おきに、もう数え切れぬほど交信をさせて頂いている。彼との交信で楽しめるのは、ゆっくりながらもラグチューを楽しみたいという姿勢、自分のスタイルを崩さぬこと故だ。彼は、仕事で時間が取れぬこともあるのかもしれないが、CWクラブには属していないか、クラブ活動にはあまり参加なさらない。そうとははっきり表明なさってはいないが、すべてCW交信の楽しみは、実際の一対一の交信から始まる、と仰りたいのではないだろうか。Takaさんとも通じるところがある。私の楽しみ方ともオーバーラップする。

もう一つ、交信中に分からないこと、取れなかったこと(それがしょっちゅうあるわけではないのだが・・・)は、訊き返してくださる。これも当たり前のことで、私もできるだけそうしようと思っているのだが、この態度はなかなか真似ができるものではない。この後に記す、Micさん JJ1XJB/6 Micさんとも相通じるところがある。こうした交信の姿勢があるとないとでは、交信の楽しみは大きく変わる。こうした態度は、相手へ耳を傾けようという態度の具体的な表れなのだと思う。

昨日、彼が私を呼んでくださった理由の一つは、この前の週末だったろうか、四日の長い週末に、Micさんを鹿児島のお宅にお邪魔したと報告してくださるためだった。以前、何時だったか思い出せないのだが、私が彼のことをAkiさんに紹介したことで、この訪問が実現したと仰ってくださった。Micさんについては、過去のポストに記した。こちら。Akiさんと彼とは相通じるものがあるだろうと考えてのことだ。ともに仕事で九州に単身赴任していること、自作のリグ、小規模なアンテナで自分のやり方で無線を楽しまれる姿勢等が、共通している。Akiさんも、車に設置したモービルホイップを使っておられて、運用のたびに、アパートの窓から同軸を引き込んでの運用だ。そのスタイルは、九州に行かれてからずっと変わらない。お二方は、以来無線を通して交流を深めてこられたようだった。鹿児島まで彼に会うために単車を駆って、九州を縦断するAkiさんを想像した。Micさんのシャックは、桜島を見ることができる建物の八階にあった由。Micさんとは数歳の年齢の違いがあるようだが、きっと話が弾んだことだったろう。

TPPは、国民皆保険制度を破壊する 

TPPの医療に及ぼす影響について。

国民皆保険制度は、TPPによって必ず破壊される。それが、グローバル保険資本・製薬企業がわが国の医療を草刈り場にするために必要だからだ。

いつでもどこでも同じ医療を低廉なコストで手に入れられる時代は終わりになる。

米国と同様に、高額で保険購入者に不利な民間医療保険に加入するか、深刻な病気にかかると自己破産せざるをえなくなる。

医療が貴重な社会的共通資本であることが、TPPを推進する人々には理解されていない。または、医療によって得られる利益、それによる「経済成長」を、社会的共通資本よりも優先させるのだろう。

以下、引用~~~

試される日本の国民皆保険 手足を縛る協定のルール ニュースクール大教授 サキコ・フクダ・パー 視標「TPP審議」
16/10/31記事:共同通信社

 環太平洋連携協定(TPP)の承認に関する国会の審議がヤマ場を迎えた。コメなど農業分野に関する議論が中心になっているが、協定や付属文書のほとんどは、広範囲に及ぶ経済規制に基準を設ける内容だ。これらのルールによって、政府は手足を縛られる恐れがあり、慎重な議論が必要だ。
 
 21世紀の貿易協定の争点は、市場開放よりも投資が主だ。協定に盛り込まれるルールは、医療の価格や水準、公立病院など国の保健医療制度の根幹に関わる政策の選択の幅を制限する。TPPだけでなく、米国と欧州連合(EU)の環大西洋貿易投資協定(TTIP)交渉についても、健康を担当する官僚や専門家たちの間で反対論が強まっている。
 
 健康は貿易協定とどのような関係にあるのだろうか。最大の争点は、特許権を強化する知的財産権の条項だ。これが独占価格を維持し、薬価の高騰を招く。例えば特許切れが迫った薬に簡易な手直しを加えて新薬とすることで特許期間を延長したり、医薬品の認可に必要な臨床試験データや生物製剤のデータを独占したりして、後発医薬品との競争激化を遅らせる。
 
 さらに、投資家が国家を訴えることができる紛争解決(ISDS)条項によって、外国企業が将来の利益の妨げとなる医療保険制度をめぐって政府を訴えることが可能だ。食品安全、国営企業、政府調達など協定の幅広い基準や条項によって、最も緊急性が高い公衆衛生上の優先課題に対する政府の対応能力が損なわれる恐れがある。すでに、がんやC型肝炎など、生命を脅かす病気を治療するのに必要な薬の価格が高騰し、政府、保険会社、家計を苦しめ、医薬品を手に入れられない多くの患者を生み出している。
 
 TPPなどの新貿易協定は、知的財産権の独占と価格の高騰を定着させる。その結果、公衆衛生上の最優先課題、例えば薬剤耐性(AMR)の増加、ジカ熱などの世界的な新たな脅威、エボラ出血熱などの喫緊の課題に対する新たな抗生物質を開発するための技術革新に必要なインセンティブを減らしてしまう
 
 このような理由から、医薬品へのアクセスに関する国連のハイレベルパネルが設立され、医療保険を享受する権利と貿易協定との間にある「矛盾」を是正しようとしてきた。筆者もメンバーに加わったパネルの報告は、9月に発表され、貿易協定は、真の技術革新を伴わない特許権や独占権を強化する方策を含めるべきではないと主張した。
 
 また私たちは、貿易協定の交渉や締結の際、各国が健康への影響を厳格に評価するよう提言した。この報告は、世界において最も先進的な公衆衛生システムを有する日本にとって重要な課題だ。
 
 日本では公的医療保険制度(国民皆保険)によって、誰もが低価格で高品質な医療サービスを受けることができ、それが日本国民や日本経済の力の源となってきた。世界最長の平均寿命の源泉となっただけでなく、経済面のダイナミズムや繁栄を共有する源でもあった。
 
 TPPの承認について国会で採決する前に、TPPがもたらす経済的利益と損失、そして健康に与える影響を厳密に調べ、その結果を国民全体に知らせて議論を促す必要がある
 
   ×   ×
 
 さきこ・ふくだ・ぱー 1950年東京生まれ。世界銀行のエコノミストを経て、95年から2004年の間、国連開発計画(UNDP)の「人間開発報告書」の主執筆者。06年から現職。国連開発政策委員会委員。ニューヨーク在住。

Building A House in Santa Barbara by Merle Parten  

Merle K6DC ex W8BWC W6ULSのことについては、過去に何度かこのブログで記した。ここから始まる三回の連載もそのひとつ。彼は、私にとってelmerの一人であった。

彼に以前"Building A House in Santa Barbara"という本を送っていただいたことがあった。ちょっとおかしなタイトルだなと思って、数ページめくっただけで、本棚のどこかにしまい込んでしまった。その本が先日ひょっこり目の前に現れた。こちらが、そのタイトルページ。

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この著作は、彼の自伝のような内容だ。冬寒く厳しいミシガンからカリフォルニアに憧れ、カリフォルニアのなかでももっとも温暖で美しいサンタバーバラに移り住み、そこで家を建てるまでの様子が記されている。実質は、彼の自伝であり、大恐慌前後に青春時代を送り、自らの探求心と熱心さで人生を切り開いてきた彼の人生が分かりやすく記されている。1995年に、この本を私に送ってくださったことが、前書きの部分に手書きで記された文章によって分かる。彼とは都合三回お目にかかっている。その経緯は上記の以前のポストに記した。口数は少ないのだが、あたたかな人柄の方だった。この本を読んでいると、あたかも彼の自宅の居間で直接お話を伺っているような気持になる。

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これは、私がJH0FBHとともに、彼と奥様をサンタバーバラに訪れた前後に撮られた写真だ。彼の家は、出来立てで、ちょうどこのように見えた。白壁の美しぃ建物だ。私たちが訪れたのは確か1987年のことだった。ご夫妻の画像は、スキャン映像なので映りがよくないが、品の良いあたたかなご夫婦だった。

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彼はどうも最晩年に鬱に罹り、自死を遂げられたと風の噂に耳にしたのだが、詳細は今も分からない。どのようなお気持ちで最晩年の時期を過ごされたのだろうか・・・。

Googlemapで彼の家のあった辺りを探してみたが、それらしき建造物は見当たらなかった。彼の家の西側にひろがるかなり急峻な下りの土地、そこに彼は7メガの固定のビームをワイアーで張り、秋冬の夜長(こちらの時間で)ヨーロッパ・アフリカと堂々たる信号で交信していたものだった、が今はその跡はない。サンタバーバラに住んでいた当時のOTたち、W6THN、W6GTI、W6PM等もみな過去の人となった。時間が経ったことを改めて思う。この本を手にしながら、その良き時代に思いを馳せた。

金融緩和に依存したアベノミクスは詰んでいる 

黒田日銀総裁就任後の消費者物価(%)の推移は以下の通り。

2013年 -0.4

2014年 +2.6

2015年 -0.5

2016年7月 -0.5 (前年同月比)

2014年は、消費税率の引き上げのために+になっているが、それ以外一貫して下落が続いている。

黒田日銀総裁の掲げた、5回にわたる質的・量的金融緩和策が、消費者物価の増加をもたらさなかったことが実証された。

そもそも、供給に対して需要が相対的に低い状況で、貨幣量を動かして需要を喚起しようという貨幣数量説に基づく政策が誤りなのだ。マネタリーベースが引き上げられると物価が上昇するという枠組みは、グローバル化の起きる以前の状況であれば、ある程度成立した。が、グローバル化により、低価格の物品が輸入され、資金はバーチヤル空間で国境を越え自由に行き来する状況では、それは成立しない。ミルトン フリードマンの主張した図式は成立しないのだ。

需要が低い状況で、過剰なマネーストックが生まれると、それは土地や株式などの資産に流れ込む。バブルの生成だ。やがて、その多くは不良資産となり、バブルの崩壊とともに、経済の停滞を来す。銀行を始めとする金融システムが機能しなくなる。膨大な国家財政の赤字を抱え込むわが国は、そうした事態に対処しきれなくなる。長期金利は上昇し、どこかの時点で、自動運動的なインフレーションが生じる可能性が高い。

質的・量的金融緩和で所期の目的を達せないまま、黒田日銀総裁は任期を終えることになる。この政策の出口戦略については今も時期尚早と述べるだけだ。出口戦略を彼が口にした途端に長期金利が上昇し始める可能性が極めて高い。すでに「アベノミクス」は詰んだ状態になったも同然なのだ。

日銀総裁や政府は、責任を取らない。

以下、引用~~~

日銀 黒田総裁 物価上昇と任期に関係はない
11月1日 16時19分NHKニュース

日銀の黒田総裁は、金融政策決定会合のあとの記者会見で、日銀みずから2%の物価目標の達成が総裁の現在の任期中には困難だという見通しを示したことについて、「物価の先行きと任期には特別な関係はない」と述べ、できるだけ早期に物価目標の達成を目指す考えを改めて強調しました。
この中で、黒田総裁は、2%の物価目標を就任当初に掲げた「2年程度」の期間で実現できなかったことについて「もちろん残念だが、原油価格の下落や新興国経済の減速、国際金融市場の変動は予測しがたいものだった」と述べました。

また、日銀が1日公表した「展望レポート」で、2%の物価目標の達成が黒田総裁の現在の任期中には困難だという見通しを示したことについては、「物価の先行きと任期には特別な関係はなく、日銀としては、2%の物価安定を早期に実現するために、適切な政策を決定し実行していくことに尽きる」と述べました。

会見では、責任を問う質問も出ましたが、黒田総裁は、「何をもって責任とするかは難しい。欧米の中央銀行も、2%の物価上昇率を目標に掲げているが、達成時期の見通しは後ろにずれている」と述べるにとどまりました。

南スーダンPKOは隘路に陥っている 

南スーダンの状況を、米国議会調査局が報告している。こちら。昨年7月以来、全面戦争状態に突入する直前の状況にあると記されている。南スーダン政府は、国連平和維持軍が関与することを望んでおらず、軍事的な国連平和維持活動が関与する仕方について方針が定まらないことを率直に記している。

下記のニュースにもある通り、政府軍が一般市民・国連スタッフ・NGO職員を襲撃し、甚大な被害をもたらしている。それに対して、PKOが何も行動を取らなかったことが国際問題になっている。

こうしたなか、我が国政府は、派遣された自衛隊に対して、「駆けつけ警護」などの安保法制に基づく新たな任務を命令しようとしている。ただ、少し腰が引けているようで、当面、外国軍への駆けつけ警護は行わないようにするらしい。それでは、上記のPKOへの批判と同じ批判が自衛隊になされるのではないだろうか。また、「限定的な」駆けつけ警護など国際的に認められるわけがない。国連のPKOとして、危険を賭すことが求められるはずだ。政府も国民の「慣れ」をみて、派遣自衛隊の任務を拡大してゆくことだろう。

現状では、PKOが南スーダンで果たしうる役割は極めて限定的だ。以前にも記した通り、300万人近いと言われる避難民への民生面での援助、それに政府・反政府両勢力へ軍事物資が渡ることを阻止する活動等が求められているのではないだろうか。

南スーダンの独立を米国など欧米が支持し支援した理由は、スーダン政府がイスラム過激派と近縁関係にあるということ、それに南スーダンに石油利権があることだろう。結果論になるが、この南スーダン独立への関与の仕方は誤まりだった。米国の要請のもと、南スーダンで軍事的なPKO活動を行うべきではない。それは自衛隊が戦争に巻き込まれぬためであり、また軍事的な関与が南スーダンの状況をさらに悪化させる可能性が高いからだ。

以下、引用~~~

南スーダンPKO「十分な対応せず」 人権団体が批判

2016年10月26日 10時23分 TBS

 国際人権団体のアムネスティ・インターナショナルは、南スーダンの政府軍が7月に一般市民に対して略奪や性的暴行を繰り返したにもかかわらず、現地の国連PKO部隊が十分な対応をしなかったと批判する報告書を発表しました。
 報告書は、被害者や目撃者ら90人以上への聞き取り調査を元にまとめられました。

 報告書によると、7月に首都ジュバで起きた大規模な武力衝突の際、南スーダン政府軍の兵士は一般市民に対して略奪や性的暴行を繰り返したほか、避難民が集まる国連施設に向けて無差別に発砲するなどしたということです。また、NGO職員らが宿泊するホテルで殺人やレイプ、略奪が行われた事件についても、報告書は政府軍兵士による組織的で大規模な襲撃だったとしています。

 さらに、報告書は、現地の国連PKO部隊について、国連施設が攻撃を受けた際に持ち場を離れ、避難民を置き去りにしたほか、ホテルの襲撃事件でも救出に向かわなかったなどと批判しています。

 日本政府は現在、南スーダンに派遣している自衛隊に新たに「駆けつけ警護」の任務を与えるか検討していますが、報告書は現地のPKO部隊が直面する厳しい状況を改めて浮き彫りにしています。(26日05:59)

業務上過失致死罪は、原則医療に適用すべきではない 

医療は、病気というリスクを抱えた患者に、時に危険を伴う治療行為を行う仕事の総体であるから、時に予期しえない副作用、場合によっては患者の死亡という痛ましい事態になることは、避けられない。犯罪的な医療行為がなされた場合を除き、そうしたケースに業務上過失致死罪を適用することには反対だ。同罪の適用が行われると、積極的な医療は行えなくなる。当ブログを付け始めたころ、大野病院事件の関連で何度かこの問題を取り上げたことがある。

下記の論説では、業務上過失致死罪適用に道を開く医師法21条の改正が、行政処分の拡大に結び付くことが述べられている。2015年、死亡診断書(死体検案書)記入マニュアルが改定されて、診療関連死であっても外表異常の場合のみ警察へ届けることになってから、届け出は大幅に減少している。著者の井上弁護士は、医師法21条改正ではなく、刑法211条に規定される業務上過失致死罪の規定から診療関連死を除外することを目指すべきだと主張している。

井上弁護士の主張に賛成だ。群馬大学で明らかになった内視鏡手術事件のようなケースに対する対応は今後必要だが、業務上過失致死罪の適用は医療を萎縮させる。医療現場が萎縮せずに、業務に携われることを念願している。

以下、引用~~~

医師法21条の単独改正はすべきでない

この原稿は月刊集中10月末日発売号からの転載です。

井上法律事務所 弁護士
井上清成

2016年11月2日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp
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1.医療の内側は解決し、外側へ

医療事故調論争は、平成28年6月24日の改正省令と一連の厚労省通知によって、事実上、終止符を打った。あとは、個々の医療機関ごとに、「すべての死亡症例の管理者の下での一元的チェック」の体制を整え、院内での医療安全管理を手堅く進めていくことが肝要である。以上をもって、医療の内側に関する論争は決着した。

次は、医療の外側の未解決の問題に焦点が移っていくことになろう。それは、医師の刑事責任の問題である。現状、医療過誤が刑法211条の業務上過失致死傷の罪責に問われうる、というのは異常な事態と言ってよい。

2.不条理な構図から、脱却へ
たとえば、国立国際医療研究センター病院のいわゆるウログラフイン事件では、レジデント個人の未熟さが直ちに過失と断定されて、業務上過失致死罪での刑罰に直結し、さらには、医業停止3ヶ月の行政処分へと至った。他方、病院
システムに不備のあったその病院自体や、管理責任のある病院幹部は、ほとんど責任を問われていない。

そもそも法原理的に、「未熟さを過失犯として処罰してはならない。」はずである。ところが、上記事件で典型的に現われているとおり、「医師個人の未熟さ+病院システムの不備=医師個人の刑事過失犯」という不条理な構図に嵌まってしまっている。

また、病院幹部は、現場の医師に「過度に危険な業務」としての診療業務に携わらせている、という意識に乏しい。今ここで強調したいのは、患者にとって「過度に危険な」という意味ではなく(その側面は、「医療安全」「医療安全管理」の問題である。)、医師にとって「過度に危険な」という意味である(この側面は、「労働災害」「労務管理」の問題である)。つまり、現場の医師は、不備のある病院システムの中で、ちょっとしたことで「業務上過失致死傷罪」に問われうるという「過度に危険な」業務に従事させられている、と言ってよい。

このような二重の意味での「不条理な構図」から脱却しなければならないのである。

3.行政責任とのトレードオフに、注意を
一般に法律の世界では常識であるが、刑事責任を免除、軽減する際には、その代わりに、行政処分を拡大することが要求されてしまう。刑事と行政処分とのバーター取引と言ってもよい。

現在、医道審議会を経た医師法に基づく行政処分については、保険診療報酬の不正請求を除けば、ほぼ刑事責任が確定したものをそのまま受けた形に限定されている。論者によっては、行政処分が軽すぎる、または、少なすぎる、といった批判も提示されていた。そのような論者は多く、行政処分の数(重さではない。)を増やすべきである、と論じている。3ヶ月以下の医業停止処分を増
大させたい、もしくは、戒告処分を増大させたい、というものらしい。

つまり、二重の意味での「不条理な構図」を現実に脱却させようとした途端、行政処分数の増大圧力が加わってしまう。しかしながら、この「行政責任とのトレードオフ」の肯否については、これまで必ずしも医療者は十分に意識しておらず、また議論もして来なかったように思われる。今後、慎重にではあるが、十分に議論をせねばならないところであろう。
いずれの方向を目指すにしても、「行政責任とのトレードオフ」は、要注意である。


4.医師法21条単独改正、大損に注意を
業務上過失致死傷罪を巡る「不条理な構図」を脱却させるためならば、敢えて「行政責任とのトレードオフ」を甘受すべきとの決断もやむをえない、という論者もいるかも知れない。なお、医師法21条だけの単独改正であっても「行政責任とのトレードオフ」を甘受すべきである、という論者も存在するらしいが、少なくともそれは明らかに「損な取引」である。
医師法21条だけの単独改正をしてしまうと、業務上過失致死傷罪の改正議論は半永久的に消失してしまう。せいぜい良くて、業務上過失致死傷罪の運用を謙抑的にするといった程度でしかない。それでは、取引としては損であろう。

特に、現状においては、すでに「医師法21条の猛威」は去っている。警察の統計によれば、医師法21条等の届出件数がそれまでの年間10~20件から年間80件に激増したのは2000年のことであった。その後は100件台に増加したまま推移し、2004年には199件にまで達している。近時でも88件(2014年)であった。
ところが、外表異状説(外表面説)が定着し、死亡診断書(死体検案書)記入マニュアルが改定された2015年には、年間47件にまで一気に激減し、2000年以前の水準にまで戻っている。つまり、すでに「医師法21条の猛威」は去った。そうすると、わざわざ単独改正をして、行政処分数の増大とのバーター取引をする必要がない。
したがって、医師法21条だけの単独改正は取引としては大損でしかなく、よって、医師法21条単独改正はすべきでないのである。

5.今後の展望―刑法211条単独改正
今後の方策としては、刑法211条単独改正、刑法211条・医師法21条一体改正、医師法21条単独改正といった選択肢が考えられよう。しかし、すでに述べたように、医師法21条単独改正はありえない。

次に、刑法211条・医師法21条一体改正については考えられうるが、診療関連死以外の一般の犯罪の見逃し防止という観点を踏まえると、やはり医師法21条の改正は難しいところがある。医師法21条は、一般犯罪との関係で言えば、社会秩序維持のための最低限の社会的インフラとも言い得よう。そうすると、診療関連死を除外しつつ、一般犯罪についてだけは医師法21条を機能させるようにするのは、立法技術的にはなはだ難しい。

むしろ、医師法21条には触れずに、刑法211条から診療関連死だけを切り分ける方が立法技術的には容易である。刑法211条の業務上過失致死傷罪から診療関連死を除外し、診療関連死の特質に即して限定化・明確化した犯罪類型を、医師法または医療法に新設してしまう。そして、その際の限定化・明確化の鍵は、過失概念の限定化・明確化という従来型の枠組みではなく、故意犯としての限定化・明確化となるであろうと予想される。

今後は、諸々の要素を慎重に検討しつつ、刑法211条単独改正の議論を注意深く進めていくべきであろう。

TPPは国民生活を根底から変える 

TPP法案が衆議院を通過する見通しだという。

TPPの本質は、グローバル経済を徹底することだ。1990年代から新自由主義経済によって経済をグローバル化させてきた。その結果、国民の所得は右肩下がりに下がり続け、非正規雇用が増大し全体の4割に達する。一方、企業の内部留保は増え続け400兆円に達しようとしている。TPPは、これを徹底し、国家制度の敷居を取り払うことを意味する。

TPPの第一の問題は、その交渉過程がまったく公開されていない徹底した秘密主義である。米国のTPP交渉窓口であるUSTRには、グローバル企業の人間が多数いるらしい。また、TPP発効後4年間は、交渉過程は明らかにされない。この秘密主義が、グローバル大企業のためにTPPの枠組みが組まれたことを隠すためであることは間違いがない。

TPPの全30章のうち、貿易に関するものは6章だけで、他は国の制度に関するものだ。関税がどのようになるかということよりも、農業・医療・教育・福祉のような社会的共通資本を、国境を越えてグローバル資本の思うがままにさせるのが、TPPの本質である。加盟国間で一致が見られぬ場合、拒否することができると政府は説明するが、拒否した場合5日以内に書面で見解を出さなければならないようになっているらしい。また、ISDS条項があり、不利益を被ったと判断した企業・投資家は、当該国政府を訴えることができ、その争いは一審制の審判で裁かれることになる。社会の制度を、グローバル企業にとって都合よいものに変更する仕組みが備わっている。

TPPは全部で6500ページにも及ぶもので、そのうちに日本語に翻訳されたものは1/3に過ぎないと言われている。国会では、その翻訳にも誤訳があることが指摘されている。TPPには、「気候変動」「人権」という言葉がまったく現れない、という。現在、国際社会で大きな問題になっている、そうした事項を含まないことは、そうした問題に目を向けていないことを示している。

このようなTPPを、短期間で国会通過させるべきではない。徹底した審議を行うべきだ。

DXとDXぺディションの問題 

先日、Lou VK5EEEから同胞メールがあり、DXCC、DXについてかなり過激な内容が記されていた。

フィジーでは、Conway Reef とかRotumaでの運用許可を得るために、DXぺディショナー達が免許発行当局者に露骨な賄賂・饗応を行っている、というのだ。そうした海外から短期間運用するためにやってくるハムにより、現地のハムが迷惑をこうむっている、という。そして、短期間の運用者達は、バンド中を混乱させる。これだったら、DXCCには現地のハムの運用だけを認めることにすべきではないか、というのがLouの提言だ。

私が、友人たちとXUに出かて無線をした経験、そのご某有名DXぺディショナーがXUを訪れて様々な無理難題を当局に押し付け、その結果XU8DXが閉局に追いやられた経緯からすると、彼の言うことに一理はある。アマチュア無線が国際親善に寄与すべきだという目的からすると、DXぺディションが現地のハムに迷惑になったり、当局に不味い印象を与えて同地のアマチュア無線事情を悪化させることはあってはいけない。

また、それ以前に、DXとは何かという問題もある。本来は自分の通信環境と通信技術を試すためにあった。その建前はすでにほぼ過去のことになってしまっている。現在は、大多数のDXerは、既製品のリグとアンテナでただただ一番乗り、相手を蹴落として交信することだけを目的としている。あのバカでかいアンテナと高価なリグに莫大な投資をして、皆よりも先に応答を得る刹那的な快感だけを求めている。彼らの大多数は60歳かそれ以上の年配者だ。昔、小さな設備で苦労していた記憶を、現在の大きな設備で塗り替えたいと思っているのか。だが、そうした一時的な楽しみは長く続かない。また、若い人は、そうした一時的な快感に共感しない。やがて、年配者のDXerが現役引退すると、DXというカテゴリーが成立しがたくなることだろう。

DX、DXぺディションの現実には大きな問題がある、ということだ。