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 2017年01月 

日米二国間FTAを諾々と受け入れるのか 

米国のトランプが発した移民の制限に関する大統領令によって、世界各地で大きな混乱と反対運動が起きている。

仏・英・独各国の政権首脳ないしスポークスマンは、この処置に対して反対ないし憂慮を表明した。

ところが、安倍首相は国会でこの問題について問われて、「コメントする立場にない」とだけ述べた。

どれだけ根性なしなのだろうか。正当なコメントをしっかり言えないのだろうか。

安倍首相は、G7首脳のなかで最初にトランプに会うことを熱望していたが、すげなく断られ、英国、イスラエル首脳の後にようやく来月10日に順番が回ってくる。トランプは、TPPから永久離脱し、二国間交渉に入ると明言している。2月10日には、財務経済閣僚を引き連れてのトランプ詣でになるようなので、二国間交渉を突き付けられることは明らかだ。

その際に、基礎になるのが、TPPでわが国が表明したラインだ。そこに上積みを要求される。米韓FTAを見てみればよい。明らかな不平等条約である上、TPPと同じISDS条項、ラチェット条項が加えられている。通貨危機の際に、米国の投資会社が韓国で数兆ウォンの利益を上げた。それに課税しようとした韓国政府は、ISDS条項に基づき提訴されている。米国との二国間FTAを締結することは、米国の経済的な植民地になることを意味する。韓国では、1990年代から続いていた経済格差が、さらに酷くなった。経済的に潤ったのは一部の大企業だけだった。安倍首相も、必ず同じ轍を踏むことになる。そのシワ寄せは、大多数の国民がかぶることになる。

John K9DX 

昨日朝、14メガでJAと交信するJohn K9DXを聞いた。最後の交信以来、3年ぶりだ。とりあえずお呼びした。彼は、もともとローバンドのDXをメインに楽しまれていた方だ。だいぶ前に、3.5メガで強力な信号を聞いた記憶がある。FOCにも、私のすぐ後に加入された方だ。

前回の交信の際に、新しい場所に引っ越すと言っておられたので、新しい場所で落ち着いたか尋ねた。その返事はなく、今、W6の局をリモートで運用していること、新しい住処はノイズが酷くて無線ができないとのことだった。本当はパドルで運用したいのだが、うまくキーイングができないのでキーボードを用いている由。たしかに、昔堂々としたCWだったものが、パドルになると、ぎごちない。単語の間のスペースを十分空けるように打ちたいのだが、と仰るので、たしかにもう少しスペースが空いた方が良いかもしれない、と率直に答えた。文字ごとに打ち間違いが多少あるのだが、それ以上に、単語の間のスペースが十分でないために、コピーしずらくなっている。

彼は、その問題が、リモートでの運用と関係しているかのように考えておられる様子だったが、どうだろうか・・・やはり、文字間、単語間のスペースは、電信の打ち手で決まるのではないだろうか。彼ももう79歳前後になるはずだ。高齢化がこうした微細な運動機能に及ぼす影響は、はっきりと表れてくる。それは仕方のないことかもしれない。だが、彼は引っ越し等であまり運用できていなかったのだろう。リハビリをすればきっと以前ほどの堂々としたCWでないにせよ、実用上問題ない程度にCWを打てるようになるかもしれない。CWは、訓練を続けることで改善するものであるし、その訓練が老化を遅らせることにもなるのではないか、と思いつつ、どうぞパドルでの送信練習を続けて頂きたいと申し上げた。

だが、現実はどうなるか。分からない。その方の持って生まれた能力、それにどれだけリハビリに努めるかという熱意その他の要因で決まることなのだろう。彼にはぜひ元のようなCW能力を回復してもらいたいものだ。それを祈りながら、お別れした。

Dear Mr. Trump 

トランプは、難民の受け入れを全面的に取りやめ、すでに入国し労働ビザを取得している者にも排除の論理を及ぼそうとしている。

人種差別、性差別、信条の自由の否定さらには暴力の肯定等、看過できぬ政策を実行に移しつつある。

Avaaz.orgという組織が、トランプへ手紙を出すキャンペーンを行っている。ネット上でサインするだけでできる。

これがどれだけの効果を持つかは分からないが、トランプの思想・手法へ否を表明すべきだ。トランプのこの暴走を放置すれば、それは人々を分断し対立させる世界中の勢力に力を与えることになってしまう。

サインは、こちらから。すでに300万人以上の方がサインしている。

以下、手紙の内容~~~

Dear Mr. Trump,

This is not what greatness looks like.

The world rejects your fear, hate-mongering, and bigotry. We reject your support for torture, your calls for murdering civilians, and your general encouragement of violence. We reject your denigration of women, Muslims, Mexicans, and millions of others who don’t look like you, talk like you, or pray to the same god as you.

Facing your fear we choose compassion. Hearing your despair we choose hope. Seeing your ignorance we choose understanding.

As citizens of the world, we stand united against your brand of division.

Sincerely,
[Add your name!]

安倍政権、最高裁判事人事に介入か 

安倍首相は、NHK会長、内閣法制局長官等の人事を恣意的に自らに都合の良いように決めてきた。特に後者は、集団的自衛権を憲法解釈だけで可能にした点で、立憲主義政治歴史上大きな汚点を残した。マスコミへの恫喝も、効を奏し、政権批判の声が限りなく抑制されている。官僚人事権も政権が握っており、行政機構も安倍政権の思うがままである。

ここで、安倍政権が、最高裁人事に介入した疑いが濃厚になった。下記の記事にもある通り、最高裁は内閣(行政)に対して違憲立法審査権を行使し、権力行使を憲法の観点から抑制する三権分立の一つの要素であり、立憲主義という点でも非常に重要な役割を担っている。その最高裁の人事に、行政の長である安倍首相が恣意的に介入するとなると、立憲主義がさらに破壊される危険が高まる。

blogos.comより引用~~~

1月27日付安倍内閣が最高裁人事に介入か 山口厚最高裁判事(猪野 亨弁護士)

2017年1月13日、安倍内閣は最高裁判事が定年退官を迎える最高裁判事の後任を閣議決定しました。
定年退官
 桜井龍子判事 2017年1月15日
 大橋正春判事 2017年3月30日
後任
 山口厚氏
 林景一氏
 さて問題になるのは、何故、このような人事が行われたのかです。
 従来、不文律で最高裁判事は、出身による枠組みがありました。おおよそ次の枠組みとなっています。
 裁判官出身 6名
 弁護士出身 4名
 検察官出身 2名
 行政官出身 2名
 法学者出身 1名
 桜井判事は行政官であり、その枠には林景一氏(外交官)が入り、大橋正春判事は弁護士であり、その枠に山口厚氏ということになりますが、これまでの枠組みが壊されました。山口氏は、弁護士登録をしているとはいえ、本籍は学者(刑事法)です。
 既に弁護士枠が減らされたということについては、ネット上でも飛び交っており、問題視されています。これは次に述べるとおり、「既得権」という問題ではありません。
早稲田大学ホームページより。本籍は学者です
https://www.waseda.jp/top/news/47921
 先日、私は、はじめてこの山口氏の任命の経緯を知りました。といっても核心部分はわかりません。
 日弁連理事会報告が昨日の札幌弁護士会常議員会でありました。
 中本日弁連会長からの報告(伝聞)になりますが、概要、次のとおりです。
 日弁連から、弁護士の中から推薦名簿を最高裁判所裁判官推薦諮問委員会に提出したが、その中には山口厚氏は入っていなかった。
 政府からこれまで以上に広く人材を集めたいという意向をを受け、最高裁が日弁連提出の推薦名簿以外に山口厚氏ら複数名を加えた。これについて日弁連に対し意向確認等はなかった。
 結果は、日弁連提出の推薦名簿以外の山口厚氏が任命された。

 この「政府から」の「政府」が具体的に誰を指すのか、「最高裁が~加えた」というときの「最高裁」とは具体的には事務総局なのかなどまだまだわからないところがあります。日弁連執行部では「調査中」ということでした。
 最高裁の人事が従来の慣例を破って安倍政権が最高裁人事に直接、介入してきたという疑いが出てきた、しかもかなりそれが濃厚だという問題です。
 最高裁判事は、内閣が任命しますが(憲法79条1項)、最高裁は内閣(行政)に対して違憲立法審査権を行使することによって権力行使を憲法の観点から抑制する国家機関(最高裁)の構成員であり、立憲主義という点でも非常に重要な役割を担っています。
 この人事を内閣が恣意的に行うのであれば、内閣に都合のよい人事をすることによって最高裁の独立性が失われ、内閣の事実上の統制下に置くことを可能にしてしまいます。
 司法の反動と言われていた時期は、まさに時の自民党政権によって露骨に行われていた時期です。1969年、最高裁長官に石田和外最高裁判事が就任して以降、司法の反動化が強力に推進されました。
 それが東西冷戦の崩壊以降、最高裁の反動化に歯止めがかかったかのような状態になりました。
 日の丸・君が代判決でも不起立の教員に対する懲戒処分でも減給以上の処分が取り消され、国家公務員による休日の政党機関紙配布を無罪とした事件、刑事の分野でも痴漢冤罪でも無罪判決を導くなどの画期的な判決もありました。
 さらに婚外子に対する相続割合を2分の1にした相続法の規定を違憲とした判決については、自民党内保守派の怒りを爆発させていました。
「家制度って何だろう? 婚外子差別違憲判決」
 そうした最高裁の人事に露骨に安倍政権が手を入れてきたのではないかということです。
 直接には、日弁連が安倍内閣が推進した安保関連法制に反対し、共謀罪に反対し、世論にも影響力のある日弁連に対する報復処置ともいえます。
 安倍政権による人事介入は、他の分野でも露骨に行われてきました。安倍政権は、自らに都合の悪い内閣法制局長官人事にも介入し、むりやり集団的自衛権行使容認派の小松一郎氏を長官としました。これまでの慣例を破っての人事というところに特徴があります。
「内閣法制局の恣意的人事 ナチスの手口に学べ!」
 NHKの籾井氏の人事も同様ですが、従来の慣例というものは、恣意的な人事を排除、防ぐという意味ではとても意味があるものでした。
 これを一内閣があちこちでぶち壊して恣意的人事を行うというのは、いかにも前近代的というだけでなく、恐ろしさが充満しています。
 今まではバランスによって成り立たせていた統治機構に関して、権力の集中が起きることになります。内閣法制局であり、最高裁になると立憲主義の危機にもつながります。内閣のお目付役をすべて自分の言うことを聞く者にすげ替えてしまうのですから。
 次々と慣例を破る姿は、全く抑止が働かなくなるということもであります。
 その人事権を使った恫喝は極めて大きな影響力を与えますから、次第に批判はなりを潜めることになります。
 安倍政権の手法が危険であることを改めて示されました。こうしたやり方は、例えば外国での例では大統領が親族や友人ばかりを側近に用いたりする場合がありますが、安倍氏の手法はこれ以上に恐ろしいということです。親族や友人の場合には端的に「汚職」だったり、「蓄財」のためだったりしますが、統治に関わる部分で政権の意向に沿うだけの人物の登用は「独裁」です。

トランプの嘘、否、妄想 

トランプと、その取り巻きの嘘は、彼らにしてみると、妄想の類であることは、以前のポストに記した。トランプ、その取り巻きは、妄想を撒きちらしている。

alternative factをまた宣っている、等と笑い種にしていれればよいのだが、彼らは世界最強の軍事力を持つ国家のトップである。psychopathが、世界最強の権力を握っている。

きわめて危険なことだ。地球の終末時計が、週末に向かって3分から2分半まで30秒間短くされた、ということに、一種の寒々しさを感じる。

NYTが、トランプの嘘を列挙している。少し長いが、引用する。

このトランプを、優れた指導者と持ち上げ、彼との会談を焦っている政治家がどこかにいる。同類項なのだろうか。

以下、引用~~~

 1月26日付ニューズウィーク トランプの「嘘」一覧(就任~1月24日)

<嘘をつき続けるトランプと政権スタッフ。大統領就任からまだ1週間も経っていないが、主要なものだけでもすでにいくつもの嘘があり、メディアとの戦いが繰り広げられている> (写真:香港で3月に発売される予定のトランプ人形)
 なお、この21日には全米の主要都市で、女性を中心とした反トランプ・デモが行われ、首都ワシントンだけで20万人以上が集まった(約50万人との報道もある)。
 ドナルド・トランプは嘘をつく。嘘ではなく本当の話だ。
 昨年9月半ば、カナダのトロント・スター紙のワシントン支局長ダニエル・デールは、選挙戦でのトランプの発言「すべて」のファクトチェックを開始した(ツイッターでの発言を含む)。投票日直前の10月30日までに、同紙が「嘘」と認定した発言は560個に上る。
 同紙は、ヒラリー・クリントンへの攻撃材料としての嘘から、ささいな「何それ!?」という嘘まで20のカテゴリーに分類し、サイトで公開している。ちなみに、「何それ!?」な嘘とは、例えば「(フランク・シナトラは)最初に『マイ・ウェイ』を歌った時はその曲を好きになれなかったが、何回か歌い、大ヒットすると急に好きになった」といった発言だ(シナトラの娘によれば、実際はずっと好きではなかったという)。
 11月4日の選挙に勝利し、1月20日、第45代アメリカ大統領に就任したトランプ。しかし大統領になっても、トランプと政権スタッフによる「嘘」が続いていることは、さまざまなメディアで報じられているとおり。大統領就任からまだ1週間も経っていないが、ここで整理しておきたい。
***

(1)就任式の参加者数は過去最大だ!
 就任式翌日の21日、ショーン・スパイサー大統領報道官は初めて開催したホワイトハウスでの記者会見でメディアへの敵対姿勢をむき出しにした。そして、就任式の参加者は推定25万人で、8年前のバラク・オバマ就任時の推定180万人と比べてかなり少なかったと報じられたことに対しても、激しい調子でこう発言したのだ。
「就任式の観客数は過去最大だった。文句なしに。現場でも、世界中でもだ」
「就任への熱意を弱めようとするのは恥ずべき行為で、間違っている」
 同日の約2時間前、米中央情報局(CIA)本部を訪れていたトランプ自身も、観客数を少なく報じたとしてメディアを非難。「私が演説をした。この目で見た。私には100万人か、150万人くらいに見えた」と発言している。
左が2017年1月20日のトランプ就任時のナショナルモール、右が2009年1月20日のオバマ就任時のナショナルモール REUTERS/Lucas Jackson (L), Stelios Varias/File Photo
 しかし、多くのメディアが報じ、また会見場やその後の報道でも反論したように、これは事実に反する。何より写真(上)がその差を物語っているが、ニューヨーク・タイムズ紙によれば、例えばワシントンの地下鉄乗降客者数ひとつ取っても、その日は57万人で、オバマ2期目就任時の約78万人より少なかったという(これについてもスパイサー報道官は「多かった」と発言していたが)。

(2)日本の自動車市場は不公平だ!
 とりわけ日本で大きく報じられたのは、対日貿易に関するトランプの発言だろう。トランプは23日、フォードやロッキード・マーチンなど米企業の経営者らと会談した際、日本はアメリカに何十万台も自動車を輸出しているのに「我々が日本で車を売ろうとしても、彼らがそれを(非関税障壁を設けて)不可能にしている」と、日本を名指しで批判した。
 1月上旬には、トランプがトヨタのメキシコ工場建設計画をツイッターで批判し、その4日後にトヨタが北米国際自動車ショーで「今後5年間で対米投資100億ドル」と発表した一件があったばかり。今回の「この問題は協議しなければならない」「不公平だ」といったトランプ発言に、日本の政財界は大慌てとなった。
 実際には"大慌て"というより"戸惑い"かもしれない。今回の「不公平」批判も事実と異なるからだ。
 日本からの対米自動車輸出には2.5%の関税が課せられるが、アメリカからの対日自動車輸出の関税はゼロ。「関税以外の部分でも日本車と何ら差別的な取り扱いはしていない」と、世耕弘成経済産業省は24日の記者会見で反論している。貿易交渉のためなら嘘も方便なのか。
【参考記事】ウソを恥じないトランプ政権に、日本はどう対応するべきか

(3)500万人の不法移民がクリントンに投票した!
 大統領選が終わって2カ月が経つが、トランプは再びこの話を持ち出した。23日に開かれた議会指導者との初めての会合で、300万~500万人の不法移民がクリントンに投票したと語ったという。
 トランプは大統領選に勝利したが、総得票数ではクリントンに約290万票下回っていた。11月下旬にも、不当に票を奪われたとツイッターで主張していたが、就任してなお同じ主張を繰り返した格好だ。そうでもしなければ、国民が自分の勝利と大統領就任を正統だと認めないと懸念しているのではないかと、ニューヨーク・タイムズ紙は分析している。
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 24日にはスパイサー報道官もトランプを擁護したが、もちろんこれも「嘘」だった。スパイサーは「2008年のピュー(・リサーチセンター)の」報告書を今回の大統領選で不正があった証拠として挙げたが、ブルームバーグの取材によれば、そもそも2008年にピュー・リサーチセンターはそのような報告書を出していない。
 全米各地の選挙管理委員会はすでに不正投票は事実上なかったと結論づけている。数百万人などもってのほかだ。
(番外編)就任演説の際は神が雨を止めた!
 驚くべきことだが、トランプは天気についても嘘をつく。21日のCIA職員に向けた話の中で、トランプは20日の就任演説に関してこう発言している。
「神が見降ろしてこう言ってくださった。『あなたの演説で雨は降らせない』。実際、話し始めると......本当の話だが、雨がすぐに止んだのだ。あれは本当に素晴らしかった。その後、空は晴れ渡り、演説を終えて立ち去ると大雨になった」
「違う、話し始めると雨が降り出したのだ」と、ニュースサイト「デイリー・ビースト」のマイケル・トマスキーは書く。「壇上の何人かがポンチョをかぶり始めたのが視聴者の目にも明らかだった(小雨で長くは続かなかったが、雨であることに変わりはない)。その後に大雨になったとトランプは言うが、それも違う」
 就任式会場で取材した本誌の小暮聡子も「就任宣誓を経てトランプ新大統領が誕生すると、その瞬間に止んでいたはずの雨が降り始めた」と書いている。なぜ、すぐにバレるような嘘をつくのか。
***
 難しいのは、トランプやその取り巻きたちが嘘を嘘とも思っていないようにみえることだ。22日にNBC『ミート・ザ・プレス』に出演したケリーアン・コンウェイ大統領顧問は、スパイサー報道官がなぜ記者会見で「観客数は過去最大」という明らかな嘘をついたのかと質問され、こう答えた。
「あなたは嘘だと言うが、ショーン・スパイサー報道官が提示したのはオルタナ・ファクト(alternative facts)だ」
 事実の代替となる(オルタナティブな)事実――というわけだ。もちろん不可解な言葉ではあるが、「偽ニュース」と「ポスト真実」を背景に始まったトランプ時代に似つかわしい表現かもしれない。
 たとえ事実と異なるオルタナ・ファクトだとしても、言う側がそれを意識せず(あるいは戦略的に嘘をつき)、また受け取る側も気にかけなければ、強い影響力を持ち得る。メディアはファクトチェックに忙しくなり、そのために重要な論点を十分に掘り下げられないという事態が生じるおそれもある。

給付型奨学金の貧しさ 

返済不要な給付型奨学金が拡充される。だが、その中身はあまりにお寒い。

~~~

今日の衆議院予算委員会の議論で分かったこと。
国は、経済的に困っている学生を助ける意欲は皆無であること。
この220億円の予算を、奨学金制度をやりくりして(すなわち、他の奨学生の奨学金を取り上げて)、算段しようとしている。

~~~

給付型奨学金制度

予算規模 220億円

対象 全学生の2.5%(国際的に見て、学費無料の国々を除き、最低)

実際の給付額 自宅通学 2万円 下宿通学 3万円
国立大学に通う学生で、非課税世帯家庭の学生は、自動的に学費免除となる
その場合、給付型奨学金は受けられない


給付条件 所得税非課税世帯

給付型奨学金の財源 奨学金制度のなかで手当てする 返還不要の大学院生奨学金を縮小する等、他の奨学金を減らす

~~~

奨学金を貸与する特殊法人、日本学生支援機構は、金融機関として扱われ、その有利子奨学金により、これまで300億円弱の利潤を計上している。同機構は、官僚の天下り先であることは疑いえない。

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わが国の教育は一体どうなって行くのだろうか。安倍首相は、トランプ大統領の意向を受けて、日本の軍備拡張をさらに進めるという。2012年度からの5年間で、軍事費は2000億円超増やされている。軍備を拡張して、一体何を守ろうというのだろうか。これを、教育予算に回すべきなのではないだろうか。また、日本学生支援機構の天下りはすぐに止めること、その利潤追求体質をなくすことを緊急に行うべきだ。

残業時間の上限規制強化という偽善 

こんなことをしたら、ますますサービス残業が増える。長時間労働に批判的な世論へのガス抜きか。

まずは、長時間労働を余儀なくされている医師等の実際の労働時間をしっかり調べるべきだ。

公務員にも、サービス残業が多い。こちらを参照。この苛烈なサービス残業をやり抜いた官僚が作る制度だから、必然的にザル法になるのか。この深夜に及ぶ官僚の残業の多くは、国会対策だと言われている。

法律上、残業時間規制を厳しくするなら、それを実現するための担保が必要だ。

以下、引用~~~

<残業>「月80時間」上限、政府調整 19年度導入目標
毎日新聞 1/25(水) 7:00配信

 政府は、長時間労働の是正策として検討している残業時間の上限規制について「月80時間」を軸に調整に入った。1カ月単位だけでなく半年や1年などの期間でも規制を設け、この場合は「月平均45時間」などとする案が出ている。政府の働き方改革実現会議の労使メンバーらの意見も踏まえて今国会か今年の臨時国会に労働基準法改正案を提出し、2019年度からの導入を目指す。

 厚生労働省が昨年公表した過労死白書によると、過労死ラインとされる月80時間超の残業があった企業は約2割に上り、上限規制で一定の効果が期待される。

 労基法は残業を原則禁止しているが、労使が同法36条に基づく「36(さぶろく)協定」で特別条項を付ければ時間制限を外すことができる。長時間労働を助長すると指摘されており、昨年問題になった広告大手・電通の過労自殺では亡くなった社員の時間外労働が月100時間を超えていた。

 政府は新たな法規制による企業への影響は限定的とみているが、長時間労働へ厳しい目が向けられている現状を踏まえ「世論の動向も重要だ」と指摘する政府・与党関係者もいる。上限を80時間より短くする声が強まれば、経済界との調整が難航する可能性がある。

 忙しさが時期によって異なる業種などに配慮し、複数月での規制も検討。月平均45時間とした場合、6カ月単位なら270時間が上限になる。運輸業などで認められている適用除外も残す方向で、3月末までに最終決定する。【阿部亮介】

嘘ではなく、妄想だ 

トランプは、嘘をついているのではない、妄想に取りつかれている、というワシントンポストの論考。こちら

妄想とは、訂正不能な判断の誤り。

アメリカ製品を買え、アメリカの労働者を雇えというスローガンは、1980年代のもの。現在は、米国は、ITと金融ビジネスで好景気なのだ。

以前、正当な選挙で選出された大統領なので、市民運動で彼を大統領の座から引きずり下ろすのはまずい、と書いたが、そうも言っていられないかもしれない。

このような人物が、世界を破滅させるに足る核爆弾の発射スイッチを持っていることは、きわめて危険なことだ。

基礎的財政収支の推移 

わが国の基礎的財政収支の推移をこちらで見ることができる。2009年度に、前年のリーマンショックの影響を受けて、大きな落ち込みを見せている。当時、わが国にはサブプライムローンを証券化した商品はそれほど入り込んでいなかったが、地方を中心に経済は大打撃を受けた。他の先進国と比べても、その影響は甚大だった。

その後、安倍政権が誕生。アベノミクスという名をつけて、金融緩和、財政出動の自民党的政策を極限まで推し進めた。基礎的財政収支は、リーマンショック以前のレベルにようやく戻っただけである。これは2009年から2010年にかけての激しい落ち込みが、自然にリバウンドしたためだろう。莫大な金融緩和を行った効果が出ているとは言い難い。アベノミクスは、特に何も見るべき効果がなかったことが分かる。

アベノミクスという政策が残したものは、カブと一部の不動産のミニバブルである。小金持ちの中高年が、アベノミクスを支持している。資産バブルの維持のために、年金資金がこれまでの数倍の規模で投入されている。年金は、将来大幅に減らされることが決まったようなものだ。

安倍首相は、国会の論戦で、常に「(旧)民主党政権時代と比べて」アベノミクスの成果が云々と声高に言う。だが、すでに安倍政権になって5年経っている。アベノミクスは道半ばと胡麻化さず、現実を直視し、自らの政策のもたらしているものを反省すべきだ。

安倍首相は、云々を「でんでん」などと読み間違えている暇はない。

以下、引用~~~

20年度に赤字8.3兆円=基礎収支、黒字遠く-内閣府

2017年01月25日 19時17分 時事通信

経済財政諮問会議で発言する安倍晋三首相(右手前から2人目)=25日午後、首相官邸
 内閣府は25日の経済財政諮問会議に中長期の経済財政に関する試算を提出した。政策的経費を借金に頼らずに税収などでどこまで賄えるかを示す基礎的財政収支は、年3%以上の高い名目成長が続いた場合でも、2020年度に国と地方を合わせ、8.3兆円の赤字になると見込んだ。税収が想定ほど伸びず、赤字額は16年7月時点の試算の5.5兆円から悪化した。
 安倍政権は18年度に基礎的財政収支の赤字額を国内総生産(GDP)の1%に抑え、20年度に黒字化する財政健全化目標を掲げている。15年度の実績は15.8兆円の赤字。黒字化は遠のき、財政再建は一段と難しくなった。 

『絶望の専門医制度』 

専門医制度は、高度な技量・知識を持つ医師を認証する制度となるべきであった。ところが、実際のところは、官僚・大学・基幹病院管理者の意向だけを反映した、歪な制度になりそうだ。専門医対象を全医師にまで広げることも画策されている。

問題のポイントは、一つには、官僚が医師の人事権を把握し、本人の希望と関係なく配置する。医師の行き手の少ない、僻地に医師を半強制的に配置する、ということ。僻地は、人が住みにくくなっているから人口減少が起きているわけで、そこに進んで赴こうという医師は少ない。これは強制ではなく、労働条件の改善で医師を引き付けるべきなのだ。この問題は、本来、専門医制度のような教育制度とは異なる問題だ。

二つ目は、研修制度自由化で卒後すぐの若い医師が集まりにくくなった大学、一部の基幹病院が、若い医師をこれまでと同じく劣悪な労働環境で酷使し続けたいという意向が反映された制度にするということ。これも、研修内容で若い医師を引き付けられるように施設側が自己変革すべきなのだが、それを怠っている。

この論考で、板根氏が述べている通り、女性医師にとって、家庭を持ちながら、専門医を取得することは極めて困難になる。近年、医師全体に占める女性の割合は、増え続けている。少し古いデータだが、厚労省の公表しているデータでは;

医師に占める女性の割合(%)

             29歳以下     30から39歳

2004         35.3        22.1

2006         35.8        24.1

これから分かる通り、上記割合は若年者に多い。さらに、年度が進むに従い増える傾向を示している。

おそらく、現時点では、卒業したての女性医師は4割に近づいているのではあるまいか。

だが、この歪な専門医制度では、専門医師取得が最短で31歳となる。女性医師が結婚し、子供を設けるとすると、この新制度は、キャリアーを積むうえで大きな障害になる可能性がある。

医師という職業は、様々な選択肢のある自由さが魅力の一つだった。だが、それは、この歪な制度で破壊される。臨床を行っていて、基礎医学的な探求を志す場合も多々ある。そうした選択肢をとることは困難になることだろう。

結論として言えることは、この制度は、現在の医療制度を根本的に悪い方向に向かわせるものだ。女性医師の現場離脱、へき地医療のさらなる困窮化をまねき、最終的には医師を志望する若い人々が減ることだろう。現在の官僚・大病院の経営陣は、その責任を取ることはない。

この制度によって、官僚・大規模医療施設の経営者たちが大きな利権を得ることになる。被害者は、若い医師たち、そして最終的には、医療を受ける国民だ。

以下、MRICより引用~~~

絶望の専門医制度

この原稿はハフィントン・ポストからの転載です。
http://www.huffingtonpost.jp/michiko-sakane/the-despair-of-specialist-system_b_13985802.html

坂根Mクリニック
坂根 みち子

2017年1月25日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp
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2016年12月16日に、日本専門医機構から専門医制度新整備指針が発表された。前回、各方面から批判の嵐にさらされた制度の仕切り直しである。
ざっと目を通してみて驚いた。とてつもない管理体制が始まろうとしている。
ここまで来ると人権侵害に近いのではないか。これから専門医を取ろうとする人達はこの制度で人生が大きく左右されるが、多くの人はわかっていない。
強力な管理統制医療になってしまうこの制度の問題点を指摘する。

専門医制度の根幹は、専門医の質の担保であるはずだ。
どんなところで研修しようと、結局のところ、専門医としてのレベルに達しているか否か、それだけが必要条件ある。
ところが、この指針を読んでも、どうやってその質を確保するのか全くわからない。神は細部に宿ると言われているが、細部は全く明らかにされていない。研修プログラムは別途定める、で終わりである。これでは制度の「管理者」次第でどうにでもなってしまう。
さらに驚くべきことに、
1.この先、医師は必ず何らかの専門医になる、そしてそのために卒後5年以上指定されたところで研修しなくてはいけない、のだそうだ。
6年かけてやっと卒業したと思ったら、いきなりあと5年の研修が全員に課せられてしまったのである。卒業した医師全員が専門医になる必要がどこにあるのか。何でも診れるジェネラリストを増やしたいのではなかったのか?

2.専門医の経験目標の中に、地域医療の経験という項目がある。
何のために、こんな馬鹿げた項目をいれたのか。例えば、高度医療を担う心臓血管外科のスペシャリストに地域医療を必須化する必要がなぜあるのか、全く理解できない。
仕切り直しで機構がもっとも気を配ったのは、研修施設が大病院や大学病院に限定されて、専門医を目指す医師達が偏在し、地域医療が崩壊しないようにという一点に尽きるようだ。そう言えば、専門医に僻地医療を義務付けよ、と言う外野の声も聞こえていた。その結果がこれか。
ビジョンも何もあったものではない。医師不足対策が専門医制度に紛れ込んでいる。各専門学会の委員はいったい何をしていたのか。

私は循環器内科の専門医である。夫は典型的な、過重労働の、病院から帰って来ない勤務医だった。親は遠く(それでも何度も助けてもらったが)、3人の子育ての負担はほぼ私が担ってきた。
子育てしながら専門医を取るのに一番の問題は、研修指定病院での常勤歴だった。研修先は医局が決めるから、都合良く研修指定病院へ配属されるとは限らない。また循環器内科は救急も多い過酷な科であり、子持ちの女医がハードな研修病院に配属されないように「配慮」してくれるために、研修指定病院で勤務出来ない面もある。日々分刻みで走り続けてきたが、親と同居でもなければ、実際 いけと言われても、帰って来ない夫と子供を抱えて循環器の常勤は無理だったと思う。私は卒後4年間の研修の後、大学院へ進学し、夫の留学に付いて渡米した2年間を含め、6年間の大学院生活中に3人の子供を授かり非常勤勤務を続けた。博士号取得後も子育てと常勤の両立は難しく、しばらく非常勤勤務を続けた。だが、非常勤であっても(今でも珍しいことだと思われるが)自分で入院させた患者の心臓カテーテル検査はやらしてもらい、外来だけではない臨床経験を亀の歩みのように積み重ねていった。
その当時は、時短勤務や産後復帰支援などというものはなく、がんじがらめに制度ではなかったために逆にこちらの熱意で何とでもなったのである。

数年後、常勤に戻るために専門医試験を受けることにした。循環器専門医は、6年の臨床経験と学会所属、そして、3年間の指定病院での研修が必要である。
この指定病院での研修歴が少し足りなかった。だが、非常勤で外来診療と検査を続けてきた私にとって、たとえ書類が整ってペーパーテストが通ったとしても、専門医として入院患者の治療経験が足りなかった。循環器内科専門医になるには、質の問題を抱えていたのである。
私は、非常勤でもカテーテル検査をやらせてくれていた病院の上司と掛け合い、金銭面は今までの非常勤のままで、勤務日数を増やし常勤扱いにしてもらった。今だから言うが、先方の病院にとっても常勤医が足りなかったので、win-winであったのだ。そして救命救急センターもあるその病院で、週に1度は朝のICU回診から参加して(週1日でも小学生の子供が3人いて、7時前に家を出るのは至難の業)、病棟フリーの日を設定し、入院患者のカルテから、他のドクターの判断、その根拠、オーダー、患者の治療経過をつぶさに見て学習する時間を設定した。その間救急搬送があれば、救急外来へ飛んでいき、循環器病棟で急変があれば真っ先に駆けつけ、手技や判断の再トレーニングを自らに課した。そのかわりといってはなんだが、心エコーやトレッドミル検査、経食道エコーなど得意分野では労力を無償提供し、時に若い研修医を教える側に回った。
この日々がなかったら、私が循環器の専門医を取ることも、常勤として戻る選択肢もなかったであろう。
常勤復帰後も両立のためにありとあらゆる勤務パターンの試行錯誤を繰り返した。その間、専門医としては、PCI(心臓カテーテル治療)まで出来るようにならないと半人前と感じるようになっていった。だが、子育てしながらPCIするには、交代制勤務が必要条件で(そうでないと、頭を下げ続けながら、同僚に負担をかけながら仕事を続けるしかない)医局の人事内でそういった働き方は出来なかった。最終的には医局を離れて、有志の仲間達6人と循環器に特化した小さな救急病院で、交代制勤務で24時間PCI体制を構築することにつながっていった。

話を戻す。今回の指針では、こういった、院に行きながら、子育てしながら、という「ながら族」的な研修法を認めていない。指針には「特定の理由(海外への留学や勤務、妊娠・出産・育児、病気療養、介護、管理職、災害被災なと?)のために専門研修か?困難な場合は、申請により、専門研修を中断することか?て?きる」とあるが、必要なのは、all or nothingの制度ではなく、様々な理由で週1日や2日しか研修できずとも、研修を積み重ねていける制度である。医師の交代制勤務が出来ていない現状が放置されたままで、研修病院での常勤歴を専門医の条件に入れるということは、事実上多くの女性医師を出産から遠ざけるか、専門医取得から遠ざけることを意味する。「質」が最終目的であるなら、途中経過には多様性を認めて欲しいのだ。
アンタッチャブルな話であるが、私の出身の筑波大学循環器内科でも、最近まで子供がいてPCIまで手がけた女医は私ただ一人だった。つまり、結婚をしないでPCIに邁進するか、子供を持てば循環器の王道であるPCIには手が出せないか、実質二者択一になっているのである。

専門医機構のメンバーを見るとほぼ男性医師で占められているようだが、子育てをしながらキャリアを積むことがどういうものか、想像することさえ出来ない多様性のない人選なのだろう。現実には女医のパートナーの7割は医師である。男性医師が帰って来なければ、パートナーの女性医師の活躍は期待出来ない。

他にもメンバーが現場を知らないと思われる机上の空論がたくさん盛り込まれている。
研修施設群の形成について
「専門研修基幹施設か?中核となり複数の専門研修連携施設とともに専門研修施設群を構成する。専門研修専攻医は、施設群内の複数施設を年次て?定められたフ?ロク?ラムに則って計画的に異動する 」のだそうだ。これは質の担保というより、研修医確保の視点しか感じられない。
さらに、一見研修施設に認定されれば研修医が確保できるように思われるが、研修施設には必ず基準をクリアーした指導医がいなければいけないのである。そもそも地方には指導医の確保さえ困難な医療施設がたくさんある。結局大学病院しか基幹施設に認定されないところが続出するだろう。

さらに、以下の項目
「基幹施設て?の研修は 6カ月以上とし、連携施設て?の研修は 3ヵ月未満とならないように努める」
質の担保をどうするか決めずに、どうでもいいような形式ばかりにこだわる。これもやはり、研修医確保の駆け引きの産物であろう。

「専攻医に対する評価は、専門研修指導医によるものた?けて?なく、メテ?ィカル スタッフおよひ?施設責任者等による多職種評価を考慮する」
この項目もよくわからない。極端なことを言えば、人間性がどうでも、ものすごい技術を持った人が専門医にいることも大事である。

「各基本領域学会か?指定する学術集会・研究会・講習会に参加し、専門医として総合的かつ最新の知識と技能を修得する」
学会参加義務は本当に必要なのだろうか。多くの医師にとって、学会参加は専門医のポイント獲得のためだけで、実態はポイントをお金で買っているようなものではないだろうか。学会に行かなければ専門医としての最新知識を習得できないという前提は、ネットが発達した現在において、現実と乖離していると言わざるを得ない。また実際には、大きな学会が開かれるたびに、その期間、地域医療を担う医師が不足し、現場の医療に悪影響を与えていることをご存知ないのだろうか。

指摘すれば切りがないのでこのくらいにしておく。
今までの制度では専門医の「質」の担保が不十分だったところから始まった議論だったはずである。それがいつのまにか学会と機構の主導権争いや医師確保の問題に変質していった。
最終的に、専門医としての最重要事項「質の担保」は担保せず、多様性を認めず、画一的な管理体制を強いる絶望的な制度が出来上がった。
この制度は、医師の人生設計、キャリア、さらに家庭生活、子育てに多大な悪影響を与える。
現場から声を上げなくてはいけない。

両親の蔵書・日記 

引き続き、両親が残した書籍、日記、その他を整理し続けている。

無教会主義のキリスト教に熱心に帰依していた両親の蔵書には、同教の様々な独立伝道者、学者の著作集が多い。私も一時その聖書研究会に通っていた高橋三郎先生の著作集は、2セットもあった。一部は私の本棚に移した。それ以外に、内村鑑三の著作集、塚本虎二の「聖書知識」誌が1930年代から60年代にかけて、おそらく欠本はあるかもしれないが、合本されてあった。矢内原忠雄、酒枝義旗、中沢洽樹、岩隈直等々の著作集もあった。武祐一郎・長谷川保・藤林益三・堤道雄等の書籍もある。我が家には、すでに黒崎幸吉著作集、矢内原忠雄の「土曜学校講義」等がある。個人的に存じ上げている方もおり、懐かしい。これから折に触れて、読んでいきたいと思っているのだが、到底読み切れない。子供たちはおそらく引き継がないだろう。ある時期が来たら、どこかのキリスト教関係の図書館・施設、または伝道者、研究者の方に寄贈しようと考えている。

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父は、晩年、戦争責任問題、天皇制問題、慰安婦問題等々に関心を持ち、それらの問題に関するさまざまな書籍を残した。浩瀚な昭和天皇の伝記、ハーバート ビックス著「昭和天皇」二巻は、彼の本棚から持ち出し興味深く読んだ。以前、その読後感をこのブログに記した。今回の整理でも、これらのトピックスに関する、興味深い書物を多数見つけ出した。やはり、私の書庫に移動だ。現在の政治状況によって、第二次世界大戦前後の問題、戦争責任の問題をもう一度勉強しなおす必要を感じている。私の父は、戦時中中国に派遣され、悲惨な状況を目にし、また貴重な青春時代を、兵士として戦争のなかで費やさざるをえなかった記憶、それに侵略した国々の人々への思いから、こうした問題を考えざるを得なかったのだろう。私の知的興味よりはよほど強烈な、何故だったのかという疑問を抱いていたに違いない。

父親は(母もそうだったが)筆まめで、日記を長期間つけていた。以前にも記した通り、それらを読むことは、彼らの内面に入り込むことを意味するので、なんとなく羞恥のようなものを感じていた。ハードカバーの立派な日記を目にすると、父は将来家族の誰かが、それを読むことを予測し、または期待していたのかもしれない、と思うようになった。ちょっと読んでみると、私、私の家族についての記録、記述がかなりある。自分が家庭を持ち、仕事に明け暮れた時には、両親のことはいてくれて当然、時々手助けを頼む程度にしか意識していなかった。この年齢になり、彼らが生活、人生をどのように考えていたのか、一度日記を通して理解してみるべきだろうと考えるようになった。処分せずに、書庫の一部に収めた。

研修医時代に記した論文草稿も出てきた。研修医二年目に、鴨下教授に「ライ症候群」の総説を書くように命じられ、論文を多数集めて、本文だけで1万字を超える総説を「神経内科」誌のために記した。その手書き原稿が出てきた。ワープロはまだなく、まったくの手書き。参考文献だけはタイプされている。ライ症候群の症例を受け持ったことで、教授はその総説執筆の機会を下さったのかもしれない。出来はどうだったのか、自分では分からない・・・まだ臨床もおぼつかない駆け出しで、電顕を使った肝臓の形態学を少しかじり始めたばかりだった。論文の切り貼り作業だったような気がする。が、今でも、狭い官舎のリビングルームで炬燵に足を突っ込んで一生懸命記したことが思い出される。いろいろな事情があって、初期研修をした自治医大を辞め、この総説を書き終えた直後に母校の基礎の教室に戻ったのだった。戻って1年後、自治医大に戻るように声をかけて頂いたのだが、それに従わなかった。鴨下先生には、公私にわたりお世話になるばかりで、その恩にむくいることがまったくなかった。懐かしさとともに、鈍い痛みを伴って、こうしたことが思い出される。信念を持ちつつ、周囲の方へあたたかな思いやりをかけて下さる先生だった。生前一度お目にかかり、感謝を申し上げたかった。

すべてのことは、いつか終わりを迎える。そのための準備を少しづつ進めて行こう。

高齢者交通事故が増えている? 

昨今、高齢者の交通事故加害者報道が目立つ。高齢者の交通事故が増えているような印象を、マスコミは我々に与えている。それは真実なのか、その背後に何があるのかを警察関係者へのインタビューで明らかにしようとした記事。こちら。

まず、各年齢層の母集団を、「一般人口」にしているところが問題。「実際に運転している人々」を母集団にすべきだろう。これでは、運転者が少ないはずの高齢者に関して、交通事故加害者が少なく見えるバイアスがかかる。

だが、もともときわめて少ない80歳以上の年齢層を除いて、各年齢層で、年次推移として、交通事故を起こしている人は減ってきていることは言える。警察庁の元のデータにあたっても、そのような印象を受ける。

高齢者の認知症による交通事故は確かに今後増える可能性がある。再免許の際の認知症スクリーニングで、それはかなり防げるのではないか。もっとも、それが警察の利権に結びつく可能性があるわけだが・・・。

車の国内販売台数は、1990年800万台弱をピークとして、ほぼ右肩下がりに減ってきており、2015年には500万台を割った。自動車メーカーとしては、新規購入を促す方策が欲しいところだろう。安全ブレーキやら、自動運転の類だ。また、人口減少・自動車所有者減に伴い自動車運転者数が減り続けることは、自動車メーカーのみならず、運転免許に関わる利権に与る警察にとっても困った問題なのだろう。高齢者運転教習を厳格化し、そこに生まれる利権を警察は望んでいるのかもしれない。

この記事のインタビューは、匿名であり、相手が本当に警察関係者なのかどうか分からない。が、高齢者交通事故を強調して報道するように警察関係者がマスコミに働きかけている可能性は十分にある。機能を改良しより安全になった車が市場にでるのは、結構なことなのだが、そうした車の販促や、警察の利権漁りのために、高齢者の事故が増えているという印象を世間に意図的に与えているとすると、大きな問題だ。

トランプ・反トランプ運動 

二日前ほどから、CONDXが明らかに上昇してきた。NICTの太陽活動記録、予測からも、それが確認できる。こちら。ただ、この予測が正しいとすると、今年の秋からは、太陽黒点数、F10.7ともに、これまでより低下する可能性が高い。今サイクルの最後の輝きか・・・せいぜい、オープニングを楽しむべきだろう。

14メガで朝からCQを出すが、応答があまりない。呼ばれても、極端に弱いか、コンテストスタイルの交信ばかりだった。最後に、旧友のAlan KF3Bが呼んでくれた。先日7メガのLPでお会いした時よりもよほど強い。589程度。信号がwobblyだと報告すると、その単語は人柄の形容にも使うので、彼自身のことを言っているようだと彼は笑っていた。

Alanは、のっけから、新しい大統領が就任して喜んでいる、彼ほどclassyな大統領はいない、これで米国も安泰だ、と普段あまり話をしない、政治論議を始めた。少しとまどって、私は違う感想だ、トランプの経済政策は、ラストベルトの雇用、経済状況を改善しないだろう、あの地域で雇用が失われたのは、企業の海外移転ではなく、オートメーションの普及、石炭の利用の低下で人員削減されたためなのではないか、また輸入品に重い関税がかけられると、部品を海外に頼る米国企業自体が困るのではないか、と申し上げた。

それへの返答、100%同意だ、とのこと。最初の彼の議論は、皮肉だったとのことだった。あまりにsophisticateされた皮肉は、私には通じないのだが・・・。

いずれにせよ、彼の経済政策、保護主義は、ほどなく破綻する、その際に、国民の支持を維持し、また軍産複合体の利益のために中東辺りで戦争を始めるのではないか。現に、彼は、イスラムテロ組織の軍事的な殲滅、軍備の際限なしの拡張を主張している。また、ロシアの選挙干渉は、米国の民主主義への重大な脅威のはずだが、共和党がそれをあまり問題視しないこともとても心配なこと、と申し上げた。

政治の話は、emailでという彼の申し出で、議論はそこまで。それにしても、米国、否世界中での反トランプの動きは凄まじい。トランプ、それに政府のスポークスマンは、メディアが、大統領就任式の様子を正確に伝えていないと、恫喝するような発言をしている。参加者の反トランプの集まりとの比較、過去の大統領との比較をしているらしいが、どうみても、トランプ、スポークスマンの言っていることはpost truthだ。あの嘘を平気でつき、マスメディアを恫喝する姿勢に、端的にトランプの大統領としての資質が現れている。

この世界中に広まる反トランプ運動について気がかりなこともある。トランプは、米国の「現在の」制度で選出された大統領だ。それを、こうした運動で直接引きずり降ろそうとすることに一抹の不安がある。彼の登場によってファシズムへ世界が傾斜する危機意識が、それほどあるのだとは思うのだが、選挙制度を反故にすることは民主政治を反故にすることにつながりかねない。

まずは、国民の投票行動を反映しない選挙制度を改めること、さらに、こちらがより重要だが、ロシアからのハッキングによって何が起きたのか明らかにすることが重要ではなかろうか。後者が明らかになる過程で、トランプとプーチンの結びつきも明らかになる。そのうえで、犯罪的な行為があったら、大統領を弾劾すれば良いのではないか。共和党が過半数を上下院で占めている現状で、そのようなことは不可能ではないかと言う方がいるかもしれないが、それこそ国民運動で共和党議員を動かすべきなのではないか。これは、トランプをデモ等で直接引きずりおろそうとすることとは違う。民主政治がないがしろにされてきた帰結なのだろうが、国民の側が、民主政治の原則に従わないのは、(少なくとも、現状では)不味い。

ハスラー モービルホイップ物語 

今朝、7メガでAkiさん JJ1TTG/6を見つけてお呼びした。彼は、休日には必ずといってよいほど、ゆっくりしたCWで7メガに出現する。いかんせん、信号強度はあまり強くない。彼は、コメットの2m程度のホイップを使っているようだ。伺ったところによると、ルーフサイドに設置されているのは利点だが、やはり中間ローディングとはいえ、電波輻射部分が30cm程度と短い。モービルアンテナとしては、効率はそれほど良くないのではないか、と思った(想像していた通りだ)。小さい設備で楽しむのが、彼流の行き方なので、それに対して差し出がましいかとは思ったが、80年代から90年代にかけて大いに私が利用したハスラーのモービルホイップを使っていただけないか、と質問した。かねてから考えていたことだった。「そのアンテナは昔のCQ誌に広告が載っていた、関心がある」とのお返事だったので、近々、このアンテナは九州に新たな住処を見出すことになる・・・実は、実際の使用には、ちょっと問題があることが判明したのだが、後で記そう。

このホイップにまつわる思い出のいくつか・・・既出の話題もあるが、乞ご容赦。

1980年代から90年代にかけて、今は亡き、Steve WA6IVNとほぼ毎晩のように交信していた。私が大学病院の当直のときも、当直室のわきに停めた車から、彼と交信した。リアバンパーにアンテナを設置した場合、車の進行方向にS一つから二つのゲインがあることを彼から教えてもらった。彼とは長話になることが結構あり、交信終了直後ローディングコイルに触れると、結構熱を持っていた。Steveの流れるような高速のCWがまだ耳に焼き付いている。この当直交信は、1980年代前半のことだったか。

私が大学病院に通勤する際に、このモービルホイップを用いて、7、14辺りによく出ていた。以前記した、同業のお二方と朝の通勤時にスケジュールを組んで、和文で交信したものだった。JA3ASU、JE8MFGのお二人。京都と、苫小牧。固定局からは楽勝なのだが、モービル同士だとスリル満点である。お二人ともにモービルだった。毎朝お会いするのがしきたりだった。春から夏にかけての数か月間だけの出来事だったが、いまでもはっきり覚えている。JA3ASUさんをその後ぱったり聞かなくなってしまった。一度学会で京都を訪ねたときに、おいしいしゃぶしゃぶを彼にごちそうになった。彼は、もう70歳台後半か・・・1980年代後半のことだったか・・・。

K5PKA John(後のWG3U、W1ITU)と20年以上振りに14メガでお会いしたのも、このアンテナを用いているときだった。まさかモービルで、東海岸まで届き、それなりのラグチューができるとは思っていなかった。CONDXが良かったのだろう。その後、定期的に・・・とはいっても、数年間の間隔が空くこともあったが、交信を積み重ねてきた。最近、W1ITUとして再会し、英文ブログ、こちら、に掲載した写真の二人のお子さんたちも立派に成人なさったことを伺った。彼に、モービルでお会いしたのは、1990年前後のことだ。

1980年代、埼玉のとある病院に非常勤で週一度でかけていた。仕事を終え、大学に戻る際に、高速道路上からN5VVとか、AH6JFとラグチューをした記憶がある。N5VV Kurtのことは、ここで以前記したが、CWの名手である。彼の送出するCWは、コリンズのリグであることも相まって、少し広めの単語間隔がとても心地よい。彼がペンシルバニアに引っ越してからは、聴く機会がなくなってしまった・・・小さな設備で今も出ておられるようだが、残念ながら聞こえない。AH6JF Shidoさんとは和文である。彼はCONTESTに熱心に出ておられ、コールもtwo by oneのものに替えられた記憶があるが、2000年前後からお聞きしていない・・・お元気なのだろうか。あまり速く走ると、アンテナ基部の接触不良が起きるのがご愛敬だったが、それでもこのように小さい設備ではるばる北米やハワイまで飛ぶのかと感心しきりであった。マニュアルトランスミッションの車で、膝の上にパドルを載せて、よくやったものだ・・・一言で言うと、狂っていた。

長男、それに旧友の今は亡き中島さんJH1HDXと三人で信州から、加賀市のJA9FNCさんのところまで車で移動したことがあった(これについても以前記した)。乗鞍から、確か、神岡を経由して北陸道に出て、一路加賀市へ、というコースだった。JA9FNCさんには、道中7メガでずっとお相手をしていただき、道案内をお願いした。その時にも、このホイップが活躍した。これもやはり1990年代前半だったろうか。

このホイップ、ちょっとくたびれているが、まだ現役として使える。重いのだが、しっかりした造りで、コイルも直径が大きくQは高い。問題は、リアバンパーか、リアの牽引フックに装着するタイプなので、最近の車ではまず装着できない。何らかの工事を車に対して行う必要がある。または、Akiさんのように仮の場所からの運用で、固定のアンテナとしても十分使える。コイルは、7、10、14、18、21と揃えている。実際に用いたのは、7、14、21のみ。

Akiさんは、中古のアンテナに拘わらず引き取ってくださる由、ありがたい限りだ。まだ若いAkiさんになんとか利用して頂ければ、この上ない幸いだ。私の無線人生の一幕を飾ってくれたハスラーモービルホイップは新たな歩みを始める。

これも最近始めた、終活の一つ。

ハスラーモービルホイップ近影。

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共謀罪は、息のできない監視社会をもたらす 

新たに制定されようとしている共謀罪の怖さを、分かりやすく解説している記事。海渡雄一弁護士は、PLL訴訟で原告団の実務を担当された方だったのではないか。

共謀罪がどのような場合に適用されるのか、共謀罪に該当する犯罪は刑法になかったのか、これまで三回共謀罪が法律化されようとしたが、その内容はどうだったのか、戦前の治安維持法との共通点は何か、我々はよく知る必要がある。治安維持法制定過程、そして対象拡大の過程が、この共謀罪法が我々にどうかかわるかを明確に示している。

最近、対象犯罪の数を減らすことで、同法案を通すことを政府は考えているらしい。それは、大きな欺瞞だ。この法律は、テロに対処するためのものではなく、市民社会を監視し、微罪で取り締まるためのものだ。対象犯罪が組織犯罪だけではなく、詐欺、窃盗等にまで拡大された通信傍受法と、この法律を用いれば、市民社会での自由な発言、発想までもが処罰の対象になる。我々の内面まで、警察が監視することになる。

政府の言う「オリンピックのため」という理由づけも、嘘だ。この法案がなくても、テロ対策はとれる。東日本大震災を教訓として、非常事態条項を憲法に加える、または改憲して同条項を加えるというロジックと同じだ。

この法案に関心がないという方も、国会に法案提出される前に、ぜひその内容をチェックしてもらいたい。この法案の意味を自分で考えてもらいたい。

次の世代に、息苦しい監視社会を残すのかどうか、が問われている。必読だ。神奈川新聞の記事から、こちら

最後の光芒 

陽が落ちる2,3時間前から、7メガは北米に開け始める。これまで何度も記してきたことだが、このバンド、パスが私の一番の好みだ。無線を始めて、海外からの信号を初めて聞いたのが、この時間帯の7メガだ。ラグチューに目覚めて、西海岸や、オーストラリアの局に相手をしていただいたのも、このバンドだ。これも繰り返しているが、最近は、この時間帯に7メガに出てくる西海岸のOM達がめっきり、というか絶滅近くまで減少している。本当に時折、Ellen W1YLや、限られたOM・YLが出てくるだけだ。

この愚痴を、無線関係者の多いSNSで記すと、北米のハムからのリスポンスは二種類。一つは、その時間帯には寝ちゃっているよ、という至極当然なもの。もう一つは、ラグチュワーは3.5メガに移っているというもの。

あの時間帯に西海岸のOMが聞こえなくなった本当の理由、それはハム人口の高齢化だろう。1960年代、1980年代、まだあの時間帯に7メガに出没していた、ラグチュワーの多くは、60から80歳台。そして、昔、プロの通信士だったという方も多かった。そうしたOMが夜な夜な出てきては、日本の若いCWオタクを相手にしてくれていたわけだ。W6JAL、W4BW、K5BGB、W6VIJ、K6NB、K6PA、K6RA、K7UQH等々・・・これ以外にも多くのコールが脳裏に浮かぶ。彼らの多くは、すでにサイレントキーになったか、activityを落としたかのいずれかだ。プロの通信士上がりの方の楽しみ方は、CWを用いての会話だけである。年齢とCW能力の豊かさから、遠い極東からCWで話しかける若者の相手をするだけの余裕を持っていたのだろう。彼らの大多数がバンドから姿を消したことは事実だ。

寝っちゃっているという方は、仕事をしているか、少なくともリタイアで悠々たる生活を送っていない方が多いのかもしれない。もう一つの理由、3.5メガに移ってしまったというのが少し気になる。ラグチュワーは、ワイアーアンテナでベアフット、場合によってはリニアを炊くという設備の方が多い。CONDXのためなのか、はたまたJAでラグチューを楽しむ方が皆無になってしまったためなのか、WのそうしたOM連中は、国内同士での交信を楽しむために、国内CONDXの安定している3.5メガに移ったということなのかもしれない。JAのラグチュワーが減ったことが直接の理由ではないにしても、国内同士の交信に軸足を移している、ということなのだろう。Wのラグチュー好きなOMがゆっくりと相手をしてくれることが、JAのラグチュワーが育つ大きな要因だったような気がするので、この現象、一種のモンロー主義(!)は、JAのラグチュー志向のCWマンにとっては憂慮すべきことではなかろうか。

14メガも、大同小異のような印象がある。はてさて、我々はCWで会話を楽しむ時代の最後の光芒が消えつつある時代を生きているということか。

修正史観といえるほどのものではない 

アパグループホテルの各部屋には、日本近現代史の書物が置いてあるらしい。そこには、南京大虐殺は事実無根であると、記されている。その著者は、実質的なアパグループ代表の元谷外志雄氏。彼は、選挙違反で摘発されたかの田母神氏の後援者であり、安倍首相ともきわめて近い関係にある人物だ。

彼の論旨は、南京大虐殺で殺された人数が30万人とされているが、それがありえない、「したがって」南京大虐殺は歴史的事実ではない、という奇妙な三段論法である。殺された人々の人数は、下記に引用する論考にもある通り、議論のあるところだが、30万人は殺されていない、だから南京大虐殺はなかった、とは言えないのは当然のことだ。

南京大虐殺の存在は、当時のジャーナリスト達、外交官さらに日本軍の軍人兵士の日記等によって、明確に示されている。以前にもここで取り上げた「南京難民区の百日 笠原十九司著」等の著作にも、当時南京で中国人のために援助活動を行った民間人・外交官・ジャーナリストの記録が記されている。

それだけではない、第一次安倍内閣時代に立ち上げられた、日中双方の研究者による「日中歴史共同研究」が、南京大虐殺の存在を認めている。安倍首相は、この研究の公開によって、南京大虐殺の存在を認めたはずだ。安倍首相の朋友である、元谷氏が、南京大虐殺を認めないのは個人的には許されることだろうが、安倍首相の立場を悪くするのではあるまいか。それに、自分の経営するホテルチェーンとはいえ、宿泊者の目にとまるところに根拠薄弱な自著を置いておくのは、まずいのではないか。

以下、引用~~~

1月17日付バザップ 安倍首相が立ち上げた「日中歴史共同研究」が南京大虐殺を正式に認めていました。

2006年に安倍首相と胡錦濤国家主席(当時)が立ち上げた歴史共同研究の中で南京大虐殺が起こったことを正式に認めています。詳細は以下から。

2006年、就任したばかりの安倍首相は中国を訪問して胡錦濤国家主席(当時)と会談、両国は、相手側の「平和的発展」を評価するとともに、両国の責任は「アジア及び世界の平和、安定及び発展に対して共に建設的な貢献を行うこと」だと主張し、その一環として日中両国の研究者が未来志向の日中関係の枠組みの下で歴史共同研究を実施することになりました。

この歴史共同研究では日中からそれぞれ10名の研究者を選出、共同研究委員会を組織して古代・中近世史と近現代史の研究テーマを決定し、論文が執筆されています。

そして2010年1月31日に両国の研究者によって自国語論文(報告書)が発表されました。この際の日本語論文の270~271ページには南京大虐殺についての記述が存在しています。少し長いですが引用します。

中支那方面軍は、上海戦以来の不軍紀行為の頻発から、南京陥落後における城内進入部隊を想定して、「軍紀風紀を特に厳粛にし」という厳格な規制策(「南京攻略要領」)を通達していた。しかし、日本軍による捕虜、敗残兵、便衣兵、及び一部の市民に対して集団的、個別的な虐殺事件が発生し、強姦、略奪や放火も頻発した。日本軍による虐殺行為の犠牲者数は、極東国際軍事裁判における判決では20万人以上(松井司令官に対する判決文では10万人以上)、1947年の南京戦犯裁判軍事法廷では30万人以上とされ、中国の見解は後者の判決に依拠している。一方、日本側の研究では20万人を上限として、4万人、2万人など様々な推計がなされている。このように犠牲者数に諸説がある背景には、「虐殺」(不法殺害)の定義、対象とする地域・期間、埋葬記録、人口統計など資料に対する検証の相違が存在している。

日本軍による暴行は、外国のメディアによって報道されるとともに、南京国際安全区委員会の日本大使館に対する抗議を通して外務省にもたらされ、さらに陸軍中央部にも伝えられていた。その結果、38年1月4日には、閑院宮参謀総長名で、松井司令官宛に「軍紀・風紀ノ振作ニ関シテ切ニ要望ス」との異例の要望が発せられたのであった。

虐殺などが生起した原因について、宣戦布告がなされず「事変」にとどまっていたため、日本側に、俘虜(捕虜)の取扱いに関する指針や占領後の住民保護を含む軍政計画が欠けており、また軍紀を取り締まる憲兵の数が少なかった点、食糧や物資補給を無視して南京攻略を敢行した結果、略奪行為が生起し、それが軍紀弛緩をもたらし不法行為を誘発した点などが指摘されている。戦後、極東国際軍事裁判で松井司令官が、南京戦犯軍事法廷で谷寿夫第6師団長が、それぞれ責任を問われ、死刑に処せられた。

(第2章 日中戦争―日本軍の侵略と中国の抗戦 より引用)

この項の執筆は波多野澄雄 筑波大学大学院人文社会科学研究科教授(当時)と庄司潤一郎防衛省防衛研究所戦史部第1戦史研究室長(当時)によって行われています。

南京大虐殺否定論を唱える歴史修正主義者は、安倍首相が立ち上げた歴史共同研究の中で、安倍政権に選出された日本人研究者が南京大虐殺を(犠牲者数に開きがあることを認めながら)事実として記述しており、名実ともに日本政府と中国政府が共有する歴史として厳然と存在していることをどう考えるのでしょうか?

特に安倍晋三の後援会「安晋会」の副会長を努めるアパグループ代表は、全力で支援する安倍政権が南京大虐殺という歴史を中国と共有していることが、自らの著書での主張との間に決定的な齟齬を生じさせていることについてどのように認識しているのでしょうか?非常に気になるところです。

外務省_ 日中歴史共同研究(概要)

キーイングにおけるタイムラグの感覚 

一昨日、7メガの深夜、Jim W6YAに会った。彼のことは以前から何度もこのブログで記した。彼と昨年末交信した際に、最近はもっぱらDXと短い交信だけをしている、電信を叩く際に、脳の指令が手に伝わるのに時間がかかるような感じがあり、打ち間違いが多くなるからだ、と言っていた。それ以来、彼の信号を聞かなくなっていたので、ちょっと心配していた。だが、いつもの堂々たるキーイングで、彼が呼んできてくれて、正直ほっとした。

キーイング時の、あのタイムラグの感覚は、なんとなく分かるような気がする。おそらく、筋緊張のコントロールがうまくいかず、思った通りに電鍵を操作できない、といういら立ちなのだろう。電鍵操作のような微細な運動は、関与する筋の緊張を、きわめて短時間のうちにその強度を細かに変化させる必要がある。残念なことに、そのコントロールが、加齢とともに難しくなる、とくに若い時期に思うがままに電鍵を操作できたオペにとっては、その感が強くなるのだろう。

だが、以前にも記した通り、微細な手指の運動は、脳血管障害後のリハビリにも行われる運動であり、同じ微細な運動である電鍵操作はそうした脳の活性化にとって意味があるはずだ。若い時分に獲得した機能も、使っていないと劣化する。一定の間隔で、その機能を使い続けることによって、機能の保持と、もしかしたら機能を以前よりも改善することも期待できるのかもしれない。

Jimは、いまだにDXを楽しんでいる。15Z前後に7メガでロングパスが開ける、と言っていた。その時間帯によく出るようにしているらしい。彼のアンテナは、14メガのビームのブームに、頂部のエレメント水平部を並走させたループである。一応回転させることができるらしい。太平洋から1マイルほどの高台にある彼のアンテナ設備から送り出される信号は、きわめて強力だ。あの時間帯、7メガでロングパスを狙う西海岸のビッグガンがかって何局もいたのだが、もうほとんど聞けなくなってしまった。彼は、その生き残りの一人。ますます元気に楽しみ続けてほしいものだ。

「民間人に扮した」米国兵士の救助訓練 

安保法制に基づき、自衛隊が米国人救助訓練をする。この記事では、「民間人に扮した」米国兵士となっているが、この訓練は、米国兵士救助訓練である可能性が高い。というか、それしか考えられない。

米軍は、国外での有事の際に、他国の民間人を救助することはない。日米が対等な関係であるとすると、自衛隊も国外で米国人だけでなく外国民間人の救助を行うことはないはずだ。とすると、この訓練が、米国民間人救助のためというのは、誤り、否国民を欺く報道だ。

安保法制が、日米ガイドラインの改定で、自衛隊が米国の世界戦略を補佐することになったために作られた法律であることが、徐々に明らかになってゆく。そもそも、日米安保条約の密約では、有事の際には、自衛隊は米軍指揮下に入ることになっている。

日本は戦争をする国に、いつの間にか変えられた。安倍首相は、それを後から追認するための改憲を行うといよいよ表明した。

以下、引用~~~

自衛隊 初の米国人保護の訓練、防衛省が発表

2017年01月18日 02時20分 TBS

 防衛省は、自衛隊が安全保障関連法に基づく邦人救出の訓練を来月、タイで行い、このなかで日本人とともに初めてアメリカ人を保護する訓練を行うと発表しました。
 海外での邦人救出は安全保障関連法に基づく自衛隊の新しい任務で、日本人以外の外国人も一定の条件の下、保護することが可能となっています。

 今回の邦人救出訓練は来月15日から自衛隊が毎年参加しているタイでの多国間訓練=コブラゴールドの中で行われます。海外の国で災害が起き、治安が悪化したことを想定して、陸上自衛隊や、航空自衛隊が参加し日本から運んだ軽装甲機動車やC130輸送機などで日本人を退避させます。この訓練には、民間人に扮した数名のアメリカ兵も参加し、保護の依頼を受けて、日本人とともに自衛隊が救出します。

 邦人救出訓練は昨年12月、国内では行われていますが、アメリカ人の救出訓練は初めてのことです。(17日19:22)

資産バブル崩壊の始まり 

株式資産バブルにともない、都心部で不動産のミニバブルが起きていたが、それも峠を過ぎ、崩壊し始めたというニュース。

ミニバブルは、地方大都市に波及しているが、それも早晩崩壊することだろう。ロクな担保も取らずに融資を行ってきた銀行は生き残れるのだろうか。

一方、4月から年金の引き下げも行われる。-0.1%という小幅だが、今後、資産バブルの崩壊に伴い、その下げ幅が大きくなる可能性がある。

どうやらアベノミクスなる「財政出動、日銀券刷りまくり政策」は、東京オリンピックを見ることなく、化けの皮を剥がされそうだ。

以下、引用~~~

1月18日ビジネスジャーナル

(都心部のマンション市況に激震が走りそうだ、という記述のあと・・・)

 たとえば、首都圏の新築マンションをみると、このところは発売戸数が極端に減少しています。高くなり過ぎたために売れ行きが悪化、販売を抑制せざるを得なくなっているのです。

 11月の新規発売戸数は前年比22.7%の減少で、価格も18.4%のダウンでした。しかし、それでもなかなか売れず、11月に売り出した新規物件のうち契約が成立した割合を示す契約率は62.5%でした。70%が好不調のボーダーラインといわれていますが、これで70%割れは2カ月連続ですから、たいへん厳しい状況です。

●年間発売戸数は23年ぶりの低水準に

 その結果、16年1年間の発売戸数は3.5万戸程度にとどまる見込みです。図表4にあるように、これは1992年の2万戸台以来の低い水準。バブル崩壊直後と同様の極めて厳しい環境に陥っているといっていいでしょう。

母の介護記録 

母は70歳台から認知症に冒され、94歳で亡くなるまで、徐々に短期記憶能力を喪失していった。幸運なことに、その人格の中心は最晩年まで保たれた。最近、両親の残した書類や書籍を処分し、また保存することを続けてきた。父が逝ってのち、母は離れで数年間を過ごした。デイケアに通う毎日、多くのヘルパーの方々、私の姉、弟それに義理の妹等が母の面倒をみる手伝いをしてくださった。ヘルパーの方が、家族あてに毎日記してくださった記録の束が出てきた。それには、二三行の短い文章であったが、母がデイケアに出かける前後をどのように過ごしたかが、的確に記されている。朝、デイケアに出かけるまでの時間、庭を悲し気な面持ちで眺めていたが、デイケアの迎えが来ると、元気いっぱいに出かけて行ったとか、「こぶしの花が咲くころに、サツマイモの苗を植えると良いんだよ。」とヘルパーの方に語り掛けたとか、当時の様子がまざまざと目の前に広がるような記述である。通りに面した花壇に腰を掛け、あたかもすでに亡くなっていた父の帰りを待つかのように、時折道行く人々や車を長時間見守っていたこともあった。姉や、弟夫婦が来る日は、とりわけ元気にしていたようだ。そうしたことも記されていた。

母がヘルパーの方々に愛され、ヘルパーの方々が母のために尽くしてくださったことが良く分かる。母の面倒を見てくれたヘルパーの方々に、そして遠くから通って母と生活を共にしてくれた親族に、こころが深い感謝の念であふれる。母の介護が私たちの手に負えなくなり、近くの施設にお願いしなくてはならなくなったときに、弟のたっての希望で母は、仙台に旅立っていった。あちらで弟夫婦、そして介護施設に2年間ほどお世話になった。そして、あの大震災に見舞われる。二、三日暖房のない施設で過ごし、それ以降徐々に健康を害し、震災の翌月に昇天したのだった。見舞ったのは、亡くなる前の日だったか、こちらに戻りたいと泣きべそ顔で懇願されたときには、正直申し訳ない気持ちで一杯になった。だが、それ以外の時には、家族を心配し、笑顔まで見せていた。親族が病室から席を外していたわずかな時間に、ふっとろうそくの灯が消えるように、永遠の旅に旅立っていったのだった。

以前にも記したことをまた繰り返してしまった。このヘルパーの方々の記録が、たかだか10年ちょっと前の日常の記憶を、まるで昨日の出来事であるかのように蘇らせてくれた。あの数年間の母の最晩年、母としては、ただ生かされた時間を生きただけだったのだろう。だが、残された我々には実に多くのことを語り掛け続けてくれているように思える。

時が何と早く過ぎ去ることだろうか。

極大化した経済格差 

富める者上位8人の資産が、資産の少ない世界人口半分の持つ資産の合計にほぼ等しい、という。

富める者が、いかに努力し、苦労して資産を得たかということもあろうが、それにしても凄まじい経済格差だ。毎日食べるのに事欠く人々が多数いる反面、一つの国家の年間予算に匹敵するような資産を持つものがいる。これは想像を絶する格差だ。

縁故資本主義、タックスヘイヴンのような脱税システム等が、こうした経済格差を生み出す一つの原因になっている。

経済財政諮問会議なぞ、財界の人間の意向で国の方針が決められている。これは典型的な縁故資本主義ではないか。トランプの閣僚選任にも縁故資本主義の臭いが強烈にする。経済財政閣僚3名は、ゴールドマンサックス社の出身・関係者だ。潰れそうなTPPも、グローバル企業からUSTRに入った人間がその素案を作ったと言われている。こうした不正、不正を生み出す素地を何とかしないと、経済格差は拡大し続ける。

脱税システムにもなかなかメスが入らない。国会議員の資産公開を見てみればよい。何と資産ゼロという議員がごろごろいる。これは資産公開の方法の問題もあるが、脱税・相続税脱税を同じようにやっていると思われても仕方ないだろう。タックスヘイヴンの名義人は大多数が偽名であるか、奪われた口座名義であることが判明している。その追及を、当局がやっているという話は全く出てこない。政治家、財界人、官僚等が、そこに名を連ねているのではないだろうか。 

この経済格差は、世界を不安定にする。だが、国のトップに立つ人間のかなりの数が、富める者に属し、格差を是正しようと本気で考える政治家、官僚が出てこない。消費税増税の大部分は、法人税減税に回された。大企業は、空前の内部留保を抱えている。一方、平均賃金は右肩下がりだ。本来は、国民がそうした格差を是正する政策を掲げる政党・政治家に投票することにより、格差是正に向けての動きを加速すべきはずなのだが。

以下引用~~~

1月16日付東京新聞 富豪8人の資産合計額=下位36億人分 NGO警告「人道的な経済を」

 【ダボス=共同】国際非政府組織(NGO)オックスファムは十六日、世界で最も裕福な八人と、世界人口のうち経済的に恵まれていない半分に当たる三十六億七千五百万人の資産額がほぼ同じだとする報告書を発表した。貧富の格差拡大は社会の分断を招き、貧困撲滅の取り組みを後退させると警告。各国政府や大企業に「人道的な経済」の確立を求めた。

 報告書は、八人の資産が計四千二百六十億ドル(約四十八兆七千億円)に上り、世界人口七十三億五千万人の半分の合計額に相当すると指摘。一九八八年から二〇一一年にかけ、下位10%の収入は年平均三ドルも増えていないのに対し、上位1%は百八十二倍になったとしている。

 オックスファムは貧富拡大の一因として、大企業などが政府の規制や国際政策に影響力を及ぼす「縁故資本主義を挙げた。富める者の資産の三分の一は相続によるもので、43%は縁故主義に関係していると分析した。発展途上国は脱税で年一千億ドルを失っているとも指摘。課税制度の是正が不可欠だと訴えた。

 オックスファムは、税収拡大や軍事費削減などに取り組めば最貧困層の四分の三を救うことができると主張。「大企業や超富裕層がいかに格差の危機をもたらしているかや、現状を変えるために何ができるかを考えるべきだ」と強調した。スイス東部ダボスで十七日に開幕する世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)ではこの報告書を基に議論が行われる。

Obama's Farewell Address 

オバマ大統領のお別れの演説。

オバマはchangeを目指すべき標語として颯爽と登場した。アフリカ系アメリカ人初の若い大統領だった。核軍縮や、社会保障の充実という理想を目指した。正直なところ、それらの目標は、達成できていないものが多い。Affordable Care Actも、無保険者の救済だけを優先し、さらに既存の私的保険を用いた制度設計だったために、中間層から大きな反発を招いた。さらに、新自由主義経済の枠組みに最後まで捉えられていたのだろう。米国は、その建国の歴史から、新自由主義経済国家が社会福祉国家よりも親和性が高いのかもしれないので、彼だけをこの点で責めることはできない。だが、TPP案をグローバル企業優先のスキームで作りあげ、関係諸国に批准を迫ったことは、歴史的に見ると、彼の限界だったと評価されることになる。

しかし、彼の言葉、理想そして努力は人間として共感できるものが多かった。リーマンショック後の金融経済の深刻な混乱を、何とか切り抜け、アフガン・イラクからの撤兵を実現した。受け継いだ負の遺産を、大混乱に陥ることなく、正常に戻す努力を行った。ACAも、米国医療史上初めての試みだった。歴代大統領と比較して、個人的なスキャンダルが皆無であったことも、彼に好感を抱かせる点だ。下記の大統領としてのお別れの演説では、自らの成果を誇張することなく、現在米国と世界がその崩壊の危機に直面する民主主義という価値の重要性を語っている。品位と良識の備わった演説だ。人々の感情におもねる空疎で意味のない内容ではなく、現状の問題を意識して、これだけ内容のある言葉を人々に残せる大統領を持った米国は幸せだった。

こちら。

南スーダン武器禁輸決議に実質反対した日本政府 

昨年11月に、国連は、南スーダンでジェノサイドが起きる可能性があることを警告した。さらに、12月には、このブログでも取り上げた通り、対南スーダン制裁決議案が安保理に提出された。南スーダンへの武器禁輸を含む内容だった。既報の通り、わが国政府は、この決議を棄権した。賛成国が少ないために、この制裁決議は否決された。棄権国は、ロシア・中国・マレーシア・アフリカ諸国それに日本である。

下記は、英国国連大使が、日本の南スーダン対応を批判しているという記事だ。

日本政府は、この決議により、南スーダン政府を「硬化」させ、「治安の悪化」を招く(それによって、自衛隊に危険が及ぶ)と考えての棄権らしい。政府軍が治安悪化の元凶だということか。さらに、南スーダンでジェノサイドが起きるほど危険な状況にあることがわが国に知れわたることを、日本政府が嫌ったという観測もある。

この棄権は、南スーダンに平和をもたらすという目的は無視し、自衛隊のPKO活動を維持完遂することだけを考えた判断だ。本末転倒である。政府は、自衛隊を海外に派遣して、武器使用を含めた活動を行わせることだけを考えている。安倍首相の言う積極的平和主義が、いかに欺瞞に満ちたものであるかを物語っている。

伊藤和子弁護士の、この論考が、この問題について詳しい。

以下、引用~~~

1月13日付産経ニュース 
英国連大使が日本の南スーダン対応批判 「考え改めるべき」

 英国のライクロフト国連大使は12日、米国が国連安全保障理事会に提出した対南スーダン制裁決議案が昨年12月に否決されたことを受け「棄権した8カ国は考えや計画を改めて、出直さなければならない。彼らは何を支持しているのか」と述べ、棄権した日本や中国、ロシア、マレーシアなど8カ国の対応を批判した。国連本部で記者団に語った。

 英米仏は南スーダン内戦が「ジェノサイド(民族大虐殺)」に発展することを懸念し武器禁輸を含む決議案の採択を目指しているが、現地の国連平和維持活動(PKO)に陸上自衛隊を派遣している日本は「逆効果」(別所浩郎国連大使)との立場で意見の隔たりは大きいままだ。

 ライクロフト氏は「決議案に棄権すれば、南スーダンをさらに不安定化させようとする人物の思うつぼになる。棄権した8カ国はそのことを考える必要がある」と語り、翻意を促した。(共同)

ウイルスのパンデミック 

14日夜、NHKで放映された「メガクライシス ウイルス大感染時代」という番組の後半だけを見た。気が付くのが遅れた。番組のサイトはこちら。18日の未明にも再放送がある由。

多様なウイルスが存在する・・・まだ、存在が分かっていないものもある・・・こと、地球温暖化に伴い、蚊等のvectorを介して広範な感染を起こしうること、遺伝子操作により蚊の寿命の短縮を図り蚊の数を減らす試みがなされていること、ワクチンの製造に、鶏卵を用いるのではなく、細胞株で製造する方法が開発されつつあること等がテーマだったようだ。一年に世界中の35億人(記憶があやふや・・・延べ数?)の人間が、世界を移動すること、多くのウイルスの潜伏期間よりも短い72時間あれば世界中に行けることが感染爆発の引き金になる可能性が指摘されていた。

実は、この番組について、facebookにも予告のpostがあった。それに対するコメントに「傑作な発言」が多くあった。曰く、どこかのだれかの陰謀で感染爆発が起きる等々の陰謀論。ネットでは、こうした荒唐無稽な発言が目立つ。ネットでは、受けを狙う発言、思い込みによる発言が多い。ネットの特性なのだろうか。政治経済分野でも、事実を事実として認めぬ、fake newsがあまりに多い。ネットは、人々の視野を広げてくれる面があるが、一方では、知らず知らずにそうした、事実に立脚しない記事に取り込まれていることが起こりうる。そうしたfake newsに接した場合、それに議論を挑んだりすることは多くの場合無用だ。John K3TNに指摘されたのだが、fake newsを流すサイトに発言することは、そのサイトを拡散することになる。それは汚染を広めることだ。同じく米国の友人が、Trumpの先日の記者会見に内容をfact checkしたサイトがあり、その50%は明らかな嘘、84%は少なくとも一部は嘘だと明らかにしたことを教えてくれた(これは、以前のポストでも記した)。BBCも、ネット情報のfact checkを開始すると最近報道されていた。今後、fact checkがあらゆるネット情報に行われるようになることだろう。factとideologyの境界は鮮明でないこともあるが、それにしても明らかなfake newsが大手をふるって出回っている。

もう一つ思ったのは、この番組では、ウイルスの多様性、伝染性、そして病原性に焦点が当てられていたが、感染を受ける側のヒトの多様性についての言及がなかったこと。ヒトには、免疫系が備わっており、体表から体内に、さらに即時の反応から長期間持続する免疫記憶という、防御機構がある。多様な病原体に対応するのに、免疫系の多様性がある。その多様性を規定する一つが、HLAの多様性だ。免疫反応の抗原提示に際して、抗原と一緒に免疫細胞に認識される。二種類のHLAがあり、classIはCD8Tcellの受容体に、抗原ペプタイドとともに認識され、classIIは、マクロファージを介した免疫応答等に関与する。そこで、特定の抗原に対する免疫応答が決定される。特定のalleleを持つ個体が、特定の病原体に免疫応答を行う一方、そうでない個体は免疫応答が生じない、または不十分にしか生じない。といったことだったような気がする。Parhamの記したThe Immune System(一人でこれだけの免疫の知識をまとめ上げる博学振りはすごい!)によると、classIは六つ、IIには五つのisotypeがあり、その各々にpolymorphicなalleleが存在する。その多様性こそが、人類の免疫上の多様性だ、ということだ、その多形性の起源は、どうも選択によるものらしい・・・だいぶ怪しい理解だが、母校の人類遺伝学教室でHLAのタイピングの仕事をしていたころ、日々更新されるこうした新たな知見について、こころときめかせたものだった。もう、そうした研究から置いてきぼりをくらって長い時間が経つが、またすこしずつ勉強してゆこう・・・という話は独り言で・・・この免疫応答の宿主側の多様性があるから、どのような病原体が流行しようとも、人類全体からみたときに、人類が絶滅するような事態にはなりにくいとはいえるだろう。ヒトが短期間に地球上を行き来することは、パンデミックの大きなリスクファクターであることには変わりはないのだが、人類絶滅の危機と言い立てるのは間違っている。

もう一つ、季節性インフルエンザに対して、抗インフルエンザ薬(NA阻害剤、商品名タミフル等)を無定見に多用するのは止めるべきだろう。必ず、同薬への抵抗性を持つウイルス株が出現する。そして、それが鳥インフルエンザと遺伝的に関係した場合、致命率の高い鳥インフルエンザと闘う手段がなくなってしまうことになる。抗インフルエンザ薬は、ハイリスクの患者にだけ用いるべきである。患者さんにも、それは理解してもらわねばならない。

原発部材の脆弱性 

合金に、不純物が多く混じると、硬度は増加するが、脆弱になる。急激な圧力変化等で、破壊される恐れが高くなる。

フランスの原発で、炭素が原発部材に規定よりも多く含まれていることが判明し、大きな問題になっている。蒸気発生器や圧力容器などの原発の最重要部品の鋼材の脆弱性が発覚したのだ。問題は、この脆弱な部品を提供した企業「日本鋳鍛鋼」は、日本の原発にも部品を提供している。

こちらの論文を参照。

タイトルは、

「⽇本の原⼦炉に導⼊された⼀次冷却系部材、炭素異常に関するレビュー
第⼀部 フランスの炭素異常と⽇本の原⼦⼒発電プラントの相互関係」

グリーンピースジャパンが英国の原子力コンサルタント Large Associatesに依頼して作成した、この問題についての報告書である。

この報告では、日本鋳鍛鋼の提供した部材の欠陥が、原発の重大事故を引き起こす危険性を指摘している。日本鋳鍛鋼が製造・輸出する段階、さらにフランスで原発に利用される段階で、この安全基準を満たしているかどうかチェックすべきだったが、なされていなかったとしている。(日本鋳鍛鋼がフランスに部材を輸出した時点では、安全基準を満たしていたという報道もあるが、現在の安全基準を下回るものになっていることは確か。)

このために、フランスでは、十一基の原発の稼働が停止されている。圧力容器の上部構造、付属構造の修理をするとしても、長期間と莫大なコストがかかる。上記の報告によれば、典型的な原発圧力容器の3 基の蒸気発⽣器セットの取替コストは、40〜60 ⽇の運転停⽌の場合、1 億〜1億 5000 万ユーロを超える、とされている。下部構造は、修理が不可能で、廃炉になる可能性が高い。

問題は、わが国でも13基以上の原発で上記の不具合のある部材が用いられていること、フランスで大規模な原発稼働停止になっており、そのコストの少なくとも一部が日本鋳鍛鋼等の日本の企業、原子力規制当局に請求される可能性があることだ。

この事件は、例によって、わが国ではほとんど報じられていない。

太陽活動サイクル最低期に突入 

バンドは、高い方はほぼ全滅、低い方も聞こえていても何かベールを通して聞くような具合だ。午後早く、7メガでは西海岸が安定してはいるはずなのだが(それが私のもっともお気に入りのパスだった)、聞こえても弱い。そして、西海岸の夜更かし組が出てこない。

それを某SNSでぼやいたら、某ポピュリスト大統領の任期と同じ期間、バンドは低調になるね、とW6の某氏がコメントをくれた。また、別な私と同世代のWのOMは、私信で、あと何回solar cycleを経験できるか、と書いてよこした。太陽黒点数はゼロが続き、太陽活動サイクルの底が始まったことを意味していると、こちらにはある。

無線をあきらめるか、ネット上のバーチャル電離層を利用するか、それとも冬ごもりよろしく細々と続けるか。考えどころではある。

と、ここで愚痴を書いていたら、今夜は少し持ち直したようだ。今週末は、北米のNAQP。

軍産学複合体が成長を続けている 

1)安倍政権になってから、日本防衛装備工業会JADIから自民党への政治献金が、旧民主党政権時代から60%増えて3.9億円に達したという記事。JADIは、軍事企業の集まりである。

ブログ「Everyone says I love you」から、こちら

2)軍事産業の研究開発の面で、政府は研究機関・研究者にアメを与えている。防衛装備庁は、「安全保障技術研究推進制度」の2017年予算枠として、110億円を概算要求し、満額が認められた。前年度が6億円だったので、実に20倍近い増額である。大学は交付金が年々減らされ、研究資金が乏しくなる中、この予算に学会は大揺れである。日本学術会議は、戦争につながる研究は行わないことを過去二度にわたり表明してきたが、どうもそれがなし崩しにされそうだ。

3)防衛予算は、安倍内閣になってから毎年引き上げられている。オスプレイ、PAC3といった軍備は、米国政府の言いなりの価格で購入を続けている。

4)外国に自衛隊を派遣し、戦争をさせる法案を政府は通した。南スーダンでの自衛隊任務の一つが「駆けつけ警護」という、わが国だけで通用する名称の任務だ。それは、内戦に関与して戦闘行為を行うことに他ならない。戦争への参加だ。今後、日米安保のガイドライン改定によって、自衛隊は世界中どこにでも派遣されることになった。日米安保の密約によって、有事の際には、自衛隊は米軍指揮下に入るように取り決められている。戦争をする方針は、確立した。

こうして、軍事研究・防衛予算・自衛隊装備・自衛隊海外派遣が、互いに連関しており、それによって軍産学複合体が形成されてきていることが見えてくる。自民党は、それによって甘い汁を吸っている。

この軍産学複合体は、かのアイゼンハウアー大統領が退任演説で警告した組織である。彼は、それが国家・社会に過剰な影響力を行使する可能性、議会・政府の政治的・経済的・軍事的な決定に影響を与える可能性を告発したのである。

わが国では、首相自らが、この軍産学複合体の形成にのめり込んでいる。その危険性に警告を発するような政治家は、少なくとも政府内にいない。

権力からの恫喝にひるむことなく、ワッチドッグたる役目を果たす米国のマスコミ 

昨夜、午前一時過ぎ、NHKラジオ第一は、トランプ次期米国大統領の記者会見の模様を実況中継していた。寝床で最初だけ聞いた。一か月ぶりの記者会見だ。えらい剣幕でCNNの記者を恫喝している。CNNの質問には答えない、と怒鳴っていた。下記の江川紹子氏の論説にある通り、CNNが、トランプとロシア中枢との関係を報じたことに腹を立ててのことだ。記者会見では、これまでロシアとの関係を否定してきたが、その前言を撤回し、「プーチンに気に入られたならそれは一つの資産だ」と間が抜けたことを述べている。大統領選挙にロシアが手を出したとすると、米国にとっては重大事件のはずなのだが、それをトランプは追及することにきわめて消極的だ。CNN報道への怒りと、この消極的な問題対応は、トランプがロシアと裏でつながっていることを疑わせるに十分である。

江川氏によれば、政治的立場が保守寄りのFOXニュースのキャスターが、その後の番組で、CNNを擁護し、「CNNの記者はジャーナリストの規範に従っており、彼らだけでなく、他のどんなジャーナリストも、米国の次期大統領による誹謗中傷に屈してはなりません」と述べたという。米国のマスコミは、すべてではないかもしれないが、権力者に対する批判的精神が息づいていることを改めて述べたものだ。

翻って、わが国のマスコミはどうだろうか。

大手マスコミの記者たちは、記者クラブで守られ、安倍首相・官邸付きの記者たちは、定期的に安倍首相と酒食をともにしている。あろうことか、その費用は政府持ちである。。さらに、政府は、広報予算として毎年80億円をマスコミに配っている。すべてとは言わないが、マスコミの多くが政府の代弁者に成り下がっている。政治評論家の多くが政府から金をもらっていることが判明している。特に、田崎史郎という評論家は、朝から晩までテレビに出ずっぱりで、政府の代弁者・広報者の役目を果たしている。彼にも、政府から金が渡っている。この体たらくでは、権力のワッチドッグたるマスコミの役目が果たせるはずがない。

以下、引用~~~

違いを超えて報道の自由を守る~トランプ氏に非難されたCNNをFOXが擁護
江川紹子 | ジャーナリスト
1/12(木) 19:17

ドナルド・トランプ氏が、次期大統領となって初めての記者会見。その前日、ロシアがトランプ氏の個人情報を集めていたことを示す文書の存在を報じたCNNなどを、トランプ氏は「嘘ニュース」などと激しく非難し、同社記者の質問には一切応えなかった。そうしたトランプ氏の姿勢に、CNNのライバル局であり保守的なFOXニュースのキャスターが、番組内でCNNを擁護し、権力者のジャーナリストに対する攻撃を許さない姿勢を示した。

CNNの報道によれば、ロシアが米大統領選に介入したとされる問題で、オバマ大統領やトランプ次期大統領らが米情報当局高官から受け取った報告書の中に、ロシアがトランプ氏の個人情報や財政情報も集めていたことを示す極秘文書が含まれている。文書の元になっているのは、英国の情報機関の元工作員がまとめた35ページ分のメモで、CNNはそのメモの内容も入手したが、その詳細については、独自の確認がとれていないために報道を差し控える、とした。

一方、インターネットメディアの米バズフィードニュースは、そのメモを全ページ写真で掲載。そこには、ロシアによるトランプ支援や、同氏がサンクトペテルブルクに滞在した際の贈賄や女性問題の疑惑などの情報が書かれている。

これに対しトランプ氏は、「虚偽ニュースだ。まったく政治的な魔女狩りだ」などと反論していた。

自社で裏付けがとれた事実だけを伝えたCNNと、「米国民自身が判断できるように」と未確認の情報を丸々公開したバズフィードニュースの判断の違いは、既存の報道機関と新興ネットメディアの性格の違いを反映している、とも言えるかもしれない。

佐藤栄作元首相の会見では

しかし、トランプ氏は記者会見で、両者とも激しく非難し、CNNがあたかもバズフィードを元にして報じたような発言もあった。これに対してCNNの記者が質問しようとしたが、トランプ氏は「(質問するのは)おまえじゃない。おまえの社はひどい。嘘ニュースだ」「お前じゃない!黙れ!」などと言って質問させなかった。

その様子は、かつての日本の首相、佐藤栄作氏が退任する時の記者会見を彷彿とさせた。佐藤氏は「新聞社の諸君とは話をしない」「偏向的な新聞は大嫌いだ。直接国民に話をしたい」と言い、それに抗議した記者に対し、机を叩いて「出てって下さい」と気色ばんだ。記者たちはその場を引き揚げ、佐藤首相はがらんとした会見場で、後方のテレビカメラに向かって、言いたいことを語った。
トランプ氏が、当選が決まって以降、記者会見を開かずにツイッターで言いたいことだけを一方的に発信してきたのも、直接批判をされたり、都合の悪いことを問い詰められるのがイヤだからだろう。それにしても、トランプ氏の場合は、就任前にもうこれである。大統領になれば、その政策や言動への論評など、批判にさらされる機会は増えるだろう。これから最低4年間、彼はいったいどんなメディア対応をしていくつもりなのだろうか……。

権力者のメディアへの圧力にどう対応するか

CNNは、トランプ氏の対応に、「入念な取材に基づいて我が国の政府の動向についての情報を公にしたCNNの判断は、裏付けのないメモの公表に踏み切ったバズフィードの判断とはまったく異なる。トランプ陣営はそのことを知りながら、バズフィードの判断を利用し(問題を一緒くたにして)、CNNの報道から人々の注意をそらそうとしている」と批判。さらに、報道には自信を持っており、批判を続けるトランプ陣営には「何が事実に反するというのか特定してもらいたい」としている。

私の関心は、CNNに対するトランプ氏の対応に、他のメディアがどう反応するかだった。
なぜなら、権力を監視するのがメディアの役割であって、批判的に報じるメディアは排除するというやり方を許していては、他のメディアが次のターゲットになることもありうるからだ。ツイッターで企業を脅して、その経営方針に介入していくように、特定メディアへの取材拒否を許せば、他のメディアに対する恫喝にもなりうる。

こうした問題について、日本の状況はどうだろう。私が思い出すのは、2013年夏の参議院選挙を前にした自民党のTBSに対する取材拒否事件だ。

2013年6月25日に閉幕した第183回通常国会で、いくつかの重要法案が廃案になったことを報じたTBSのニュース番組について、自民党は「廃案の責任が全て与党側にあると視聴者が誤解する」と抗議。番組では与党に批判的なコメント以上の時間をとって、安倍首相など与党関係者の発言が紹介されていたのだが、同党は「参議院選挙の公示日に、TBSの取材や幹部の出演を拒否すると通告した。選挙期間中に政権与党の取材ができなくなれば、報道機関としてのダメージは大きい。結局、TBSは”詫び状”めいた文書を自民党に提出して、処分を解除してもらうことになる。

この時、私が記憶している限り、他メディアは距離を置いて見守っているだけだった。報道の自由に対する政権与党の不当な圧力と受け止め、即座に自らの言葉で批判的な論評を加えたメディアを、私は知らない。

過去には、特定メディアやジャーナリストに対する圧力や攻撃に対し、他のメディアやその関係者が戦ったこともある。たとえば毎日新聞の西山太吉記者が沖縄密約報道の後に逮捕・起訴された事件では、現読売新聞主筆の渡辺恒雄氏が紙面で西山擁護の論陣を張ったし、裁判には渡辺氏のほか、当時読売新聞記者で、その後日本テレビ会長となる氏家齊一郎氏(故人)、朝日新聞で常務となる富森叡児氏などが弁護側証人となった。

立場の違いを超えて

果たして、今回のトランプ氏のCNN攻撃に対し、米メディアがどう対応するのか……。そう思っていたら、まず飛び込んできたのが、FOXニュースのキャスター、シェパード・スミス氏の番組での発言だった。

彼はカメラをまっすぐ見据え、ゆっくりはっきり、そしてきっぱりと、次のように述べた。
「トランプ次期大統領は本日、CNNのジム・アコスタ記者に、お前の社は嘘ニュースだ、と述べました。ロシア関係のCNNの特ダネは、オンラインニュースメディアが(精査することなく)出したメモ類とは、根本的に別物です。我々はフォックスニュースでCNNの報道(の正否を)を確認することはできませんが、我々の見解は以下の通りです。CNNの記者はジャーナリストの規範に従っており、彼らだけでなく、他のどんなジャーナリストも、米国の次期大統領による誹謗中傷に屈してはなりません

FOXニュースといえば、CNNと同じニュース専門チャンネルで、いわばライバル局。政治的なスタンスはリベラルなCNNに対して、保守的で共和党寄りだ。それでも、権力者が特定メディアを攻撃してきた時には、立場の違いや社益を超えて、取材・報道の自由を守るという観点から、はっきり批判を加える。

日本のジャーナリズムに関わる者たちは、このFOXニュースの対応から、大いに学んで欲しい。

お世話になった方の退職 

我が家のエアコンが一台働かなくなった。いつも修理や、新規購入でお世話になっている、近所のKさんに電話をした。ところが、お店の電話が通じない。彼の携帯に電話すると、昨年仕事を辞めたとのこと。高度房室ブロックを生じ、ペースメーカーを装着したためらしい。早速、お見舞いがてら彼の家を訪ねた。何度か訪ねたことはあったが、久しぶりでなかなか見つけられず。あまり交通量の多くない田舎道に面して建っている。以前はあった看板が下ろされていた。庭には子供の遊具があった。何度か呼び鈴を押して、ようやく彼のお嬢様らしい方が出てこられた。Kさんは、奥様の実家に越してしまったらしい。お見舞いを手渡して、早々に失礼した。

今朝、彼が我が家を訪ねてきた。その見舞い返しなのか、現在作っている農作物を持ってきてくださった。もうすぐ70歳ということだが、血色も良くお元気そうだ。彼のご両親が、私の両親と親しくさせて頂いていたこともあり、私が開業して以来、仕事場の電気関係のことは彼にいつもお願いしてきた。いつも快く、素早い対応をして下さり、ありがたかった。あの元気そうなKさんが、仕事を辞めねばならぬほどの病気と聞き、どんな具合だろうかと心配だった。

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仕事を辞めた理由を伺うと、感電することによりペースメーカーが作動しなくなる危険があるから、電気関係の仕事は辞めるように医師に言われた由。仕事の負担ではなく、そのリスクだったのかと納得した。義理の母上が90歳以上で介護が必要なため、上記の通り、奥様の実家に移り住み、自家用に野菜を作っているようだ。on demandタイプのペースメーカーらしく、運動すると、心拍数は上がる由。以前と変わらぬ人懐っこい笑顔であった。

彼の母上は、私の母が認知症になっても、何度も訪ねてきてくださった。我が家の離れで、二人が談笑していたことを思い出す。ある時は、二人を車に乗せて、県北の温泉場に連れて行ったこともあった。私の伯母が、第二次世界大戦直後ここで結核のサナトリウムを運営していたころ、私の両親とKさんのご両親は、そこで知り合ったようだ。そして、それほど頻繁に行き来する関係ではなかったが、Kさんにはその仕事を通して、私自身、最初に述べた通り、いろいろとお世話になった。今、ともに仕事を終える人生の時期に入った。これからの退職の時期、住むところと食べるものがあれば、何とかなると言い合って笑ったことだった。

時間があっという間に過ぎゆくことを改めて感じる。

彼は、あと十年だけ生きられれば良いと笑顔で言いながら、車に乗り込んで帰って行った。