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公安警察と政治権力 

以前にも記したが、青木理氏は、共謀罪によって公安警察が、政治を監視し、支配する恐れがあることを指摘する。今回の法案で、確かに、選挙関連の犯罪等政治家がからむ事案は対象犯罪から除かれているが、通信傍受等の捜査が自由に行えるようになれば、公安警察が政治権力に絡んで暴走するリスクはないとは言えない。この法案をロクな議論もせずに、成立させようとしている政治家達は自分たちが公安警察から監視対象になるとは思ってもいないことだろう。この場合の監視は、公共治安のためではなく、警察という公権力の拡大を目指すための監視だ。

与党政治家は、野党政治家の監視のためにこの法律を利用する積りかもしれないが、それはもろ刃の剣で、自らにいつ襲い掛かるか分からぬものなのだ。プーチンのような公安警察上がりの人物が、政治を牛耳ることになるかもしれないのだ。

警察と自衛隊は、物理的な実力行使のできる組織だ。それらが、ひとたび暴走すると、取り返しのつかない大きな問題になる。それを未然に防ぐのが政治の役割なはずなのだが、与党政治家には分かっていないのかもしれない。でなければ、立法事実に事欠く、こんな杜撰な法律を作ろうとはしないはずだ。

青木氏がこのインタビューで述べるように、この法律によって国民が監視対象になるのは確実だ。だが、政治権力も監視対象になる可能性がある。

いずれにせよ、最終的に災禍を被るのは、国民だ。

以下、朝日デジタルから引用~~~

際限ない捜査、警察は求める 「共謀罪」青木理氏に聞く
聞き手・後藤遼太2017年5月15日07時06分

 「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織的犯罪処罰法改正案が国会で議論されている。政府は「テロ対策に必要」との立場だが、捜査当局による乱用や「表現の自由」などの侵害を危惧する声もある。

特集:「共謀罪」
 長く公安警察を取材してきたジャーナリストの青木理さんは、あえて「捜査する側」の視点に立って、法案の問題点を指摘する。

 《政治や社会の矛盾に声を上げる人が疑われる社会は健全か。》

 公安警察を長く取材してきた。警察官の立場から「共謀罪」を見てみよう。

 「共謀罪ができればテロを防止できる」と政府が言う。真面目な警察官であれば何を考えるか。犯罪が起きる前だから、供述が立証の柱になる。それだけに頼っては冤罪(えんざい)だらけになる。もっと物証が欲しい。

 「通信傍受を縦横無尽に使いたい。司法取引も」と考えるだろう。テロリストが重要な話し合いをメールや電話だけで済ませるとは思えない。アジトなどの室内を盗聴する「密室盗聴」もさせてほしいとなる。真面目に捜査しようと思えば思うほど、「もっと武器をください」となる。

 日常的に、捜査当局が「こいつは罪を犯す可能性がある」と見なす個人や団体を監視しなければならなくなる。事前に取り締まろうとすれば、そうせざるを得ないからだ。

 本来は「一般市民が対象になるから危険だ」という議論はしたくない。「普通の人」だろうが、そうでない人だろうが、罪を犯してもいない段階で取り締まるということ自体が異常だからだ。お上にまったく盾突かない、政権に無害無臭な人は対象にならないかもしれない。しかし、社会に異議申し立てする人が片端から捜査対象になる社会は、断じていい社会ではない。

 2010年に、警視庁公安部の内部資料と見られる情報がインターネット上に流出した。国内に住むイスラム教徒が捜査対象になっていた。イスラム教徒というだけであらゆる情報が吸い上げられていた。

 警察がモスク前で24時間態勢で監視し、出入りする人を片端から尾行。電話番号や銀行口座記録から接触した人や家族の交友関係まで調査していた。そのような手法を、ある公安警察幹部は「点が線になり、線が面になる」と説明してくれた。

 治安組織とは古今東西、社会体制の左右問わずそういうものだ。アメリカの国家安全保障局(NSA)は、わずか10年で世界中の電話や通信を盗聴するような化け物に育ってしまった。

 警察は全国津々浦々に30万人の人員を配置し最強の情報力を持った強大な実力組織だ。仮に秘密法や共謀罪のような武器を与えるなら、何かあったときに暴走しない仕組みをきちんと作るのが政治の役目だ。警察という実力装置の怖さに政治が無自覚であるということは、政治の劣化だ。

 共謀罪を導入しても、テロが起きる可能性はある。そのときが怖い。社会がファナチック(狂信的)になり、メディアや社会も一緒になって「もっと捕まえろ」「もっと取り締まれ」と暴走するのではないか。オウム事件を取材していた時を思い出す。警察はあらゆる法令を駆使して信者を根こそぎ捕まえた。当時、幹部が「非常時だから、国民の皆様も納得してくれる」と話していた。

 公安警察的な捜査対象が際限なく広がる。誰だって安心して暮らしたいが、日本人1億数千万人を24時間徹底的に監視すればいいのか。安全安心を究極的に追い求めれば、自由やプライバシーは死滅する。果たしてそれでいいのだろうか。(聞き手・後藤遼太)

受動喫煙による疾病罹患と医療費 

IARCの発がん物質リストにおいて、受動喫煙は発がん性ありと断定されるグループ1に入っている。受動喫煙は、発がんだけでなく、さまざまな病気を発症させる。こちらを参照。とくに、気道疾患である、気管支喘息やCOPDの大きなリスクファクターだ。外来で仕事をしてきた時には、喫煙者の親御さんには、お子さんのためにぜひ禁煙してもらいたいとお願いしてきた。

厚労省が重い腰を上げ、受動喫煙防止法案を作ることにしたようだが、自民党内部から異論が出ているらしい。どうも国会の大臣室は、大臣の判断で喫煙可とされるかもしれない、とのことだ。タバコは趣味の問題なのだから、それに口を挟むなといった、喫煙者の主張が聞こえてくるようだ。大臣には、どんどんタバコを吸って、癌になるか、慢性閉そく性肺疾患になるかしてもらって結構だが、受動喫煙を防ぐことは、政治家として国民のために行うべきだろう。

受動喫煙による医療費を推計した記事。

以下、引用~~~

肺がん・脳卒中など…受動喫煙の医療費、年3200億円超
17/05/13記事:読売新聞

 喫煙しない人がたばこの煙を吸い込む受動喫煙で病気になり、余計にかかる医療費は年3000億円を超すという推計を厚生労働省研究班がまとめた。
 対策強化を盛り込んだ健康増進法改正案の今国会への提出を厚労省が目指すなか、受動喫煙による健康被害の大きさが浮き彫りとなった。
 研究班は、国の検討会が昨年発表した「たばこ白書」で受動喫煙との因果関係を「確実」とした肺がん、虚血性心疾患、脳卒中について分析。職場や家庭で長期にわたり間接的に煙を吸った40歳以上の人で、2014年度に余計にかかった医療費を算出した。
 その結果、医療費は肺がんが約340億円、虚血性心疾患が約960億円、脳卒中が約1900億円で、計約3200億円に上るとした。患者数はそれぞれ約1万1000人、約10万1000人、約13万人だった。
 研究班は患者が治療で仕事を休むことによる経済損失も推計。三つの病気の合計で損失は約820億円に達するとした。
 分担研究者の五十嵐中・東京大学特任准教授(薬剤経済学)は「職場や家庭で煙を吸った非喫煙者に、膨大な医療費がかかっていることが分かった。対策を急ぐべきだ」と話している。

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受動喫煙で、COPDによる死亡率が上昇することを示した最近のわが国の疫学研究。

以下、引用~~~

Int J Public Health. 2017 May;62(4):489-494. doi: 10.1007/s00038-016-0938-1. Epub 2017 Feb 17.
Passive smoking and chronic obstructive pulmonary disease mortality: findings from the Japan collaborative cohort study.
Ukawa S1, Tamakoshi A2, Yatsuya H3, Yamagishi K4, Ando M5, Iso H6; JACC Study Group.
Author information
Abstract
OBJECTIVES:
To elucidate the association between passive smoking at home and chronic obstructive pulmonary disease (COPD) mortality via a large-scale nationwide cohort study in Japan.
METHODS:
Never smokers (n = 34,604) aged 40-79 years at baseline (1988-1990; 4884 men, 29,720 women) were included in the analysis. Passive smoking at home was measured based on self-reported frequency of weekly exposure to passive smoking at home. An inverse probability of treatment-weighted competing risk model was used to calculate the hazard ratio (HR) and 95% confidence interval (CI) for COPD mortality.
RESULTS:
During a median follow-up of 16.4 years, 33 participants (10 men, 23 women) died of COPD. The HR for participants exposed to passive smoking at home ≤4 days per week or those who had almost daily exposure to passive smoking at home had a significantly increased risk of COPD mortality (HR 2.40, 95% CI 1.39-4.15, HR 2.88, 95% CI 1.68-4.93, respectively).
CONCLUSIONS:
The present findings suggest that avoiding passive smoking at home may be beneficial for preventing death due to COPD among never smokers.

医療情報をネットに載せるリスク 

私はネットには素人だが、個人情報の集積である医療情報は、ネット回線に載せるべきではないと以前から思っていた。

世界的なマルウエアによる、サイバー攻撃で、とくに英国の医療機関に混乱が起きているとの報告。攻撃されたPCのOSがWindowsXPでMSによるフォローがされていなかったセキュリティの問題があったとも言われているが、それにしても、医療情報等重大な個人情報の集積は、ネットには載せないことが必要だろう。個人の医療情報が漏洩したら、病気に罹っている人は、民間医療保険への加入、就職その他で大きな差別を被ることになる。(その後、XPにセキュリティパッチを行うためのソフトをMSが公開したと報じられている。)

どこかの行政は、レセプト情報をネット回線に載せるだけではもの足らず、レセプト情報及びカルテ情報をクラウド化しようとしている。そうした情報が漏洩しても、厚労省の責任者が頭を下げてお仕舞ということになるのではないだろうか。行政は、責任を取らない。責任問題以前に、漏洩した個人情報は、元に戻すことができない。個人情報を漏らされた国民の泣き寝入りになるのではないか。

以下、引用~~~

「PC全滅、何もできない」英医療機関が大混乱
2017年5月14日 (日)配信読売新聞

 【ロンドン=角谷志保美、ベルリン=井口馨】12日に起きた「ランサム(身代金)ウェア」によるサイバー攻撃で、被害は全世界に拡大した。

 最も深刻な被害を受けた英国の医療機関は大混乱。病院などのコンピューターが次々と使えなくなった。医療現場の様子はツイッターなどで生々しく伝えられた。専門家は「過去最大規模のサイバー攻撃だ」と警戒を呼びかけている。

 「事務室のパソコンが、一台また一台と全てダウンした」「パソコンが全く応答せず、何もできない。患者が気の毒だ」「処方箋が出せない!」。12日午後1時半(日本時間同日午後9時半)ごろから、英国の病院や診療所、医療関係事務所などで、パソコンが次々とウイルスに感染。現場の医師や医療スタッフがツイッターで現場の混乱を発信した。

畑 

日曜日の朝、畑(といっても庭の一角を開墾しただけの小さな畑)に出て、野菜の生育具合をみた。モロッコインゲンが元気に育っている。支柱を立てた。

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トマトもすでに結実し始めている。

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オクラが元気がない。キャベツを直播したものに芽が出てきた。茄子、カボチャも育ち始めている。野菜ではないが、マリーゴールドが種から芽を出している。双葉の可愛い芽が、庭のそこかしこに見られる。

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種から芽が出てくるのを見るたびに、生命の不思議さにこころ打たれる。dormantな状態から、スイッチが入り、増殖・分化が始まるということなのだろうが、やはり不思議だ。萎れきっていたサツマイモの苗を、畑に植え、それが雨を受けて元気を取り戻している。生命力がすごい。みずな、とうもろこし、サニーレタス、ほうれん草等がまだ発芽していない。

雑草との闘いが続く。モンサントの広告がネットで出回っているのを見るたびに、農薬はできるだけ使うまいと思う。

梅雨が来るまでに、トマトの収穫ができるかどうか・・・。

朝鮮有事を煽る安倍政権 

米韓軍事演習は、北朝鮮の崩壊を想定して、ということは北朝鮮の崩壊を目指しての軍事演習だ。1970年代から綿々と続けられ、最近は毎年拡大され最大規模の記録を塗り替えている。また、昨年来米国は三発のICBM発射訓練を行っている。北朝鮮にとっては、堪らない軍事的圧力だろう。その結果が、北朝鮮の弾道ミサイル開発・核武装だ。軍事圧力だけでは北朝鮮問題が解決しないことを、この事実は意味している。

ここで、日本がこの軍事的な対立に一枚加わろうとしている。北朝鮮対米国の対立は、米国に理があり、さらに軍事力では米国が圧倒的に優位だ。米国の側に立つことは悪くないと判断したのだろう。だが、もし朝鮮有事になれば、我が国に回復不能なほどの被害が及ぶ。北朝鮮は、日本海沿岸の原発に攻撃を加えることが想定される。それによる、放射能汚染は、少なくとも西日本全体に及ぶ。原発攻撃による、放射能汚染については、安倍政権は口をつむぐ。

ミサイル攻撃を想定しての避難訓練は、ほとんど意味がない。ミサイルの着弾地が分からないことと、ミサイル発射から着弾までの時間が分単位と短時間だからだ。ミサイル防衛網は、それ自体の精度の問題もあるうえ、一度に多数のミサイル攻撃された場合は、無力である。ミサイル攻撃に対して、どのように避難すべきというのだろうか。

こうまでして、朝鮮有事を煽り、安倍政権は何を目論むのだろうか。

以下、引用~~~

政府 ミサイル落下想定の避難訓練 各地で実施へ
5月14日 4時17分
北朝鮮が弾道ミサイルの発射を繰り返す中、政府は、各地の自治体からミサイルの落下を想定した住民の避難訓練の実施に向けた相談が寄せられていることから、自治体側と調整したうえで、早ければ来月から順次、訓練を実施していく方針です。
北朝鮮が弾道ミサイルの発射を繰り返す中、政府はことし3月、秋田県男鹿市で弾道ミサイルの落下を想定した初めての住民の避難訓練を地元自治体などと合同で行いました。

政府関係者によりますと、このあとも北朝鮮が日本など関係国の再三にわたる自制要求に対し、強硬な姿勢を崩していないことから、山形県や新潟県、長崎県など全国の自治体から、避難訓練の実施に向けた相談が相次いで寄せられているということです。

政府は万が一の事態に備えて、訓練をできるだけ多くの地域で行いたいとしており、自治体側と調整したうえで、早ければ来月から順次、訓練を実施していく方針です。

安倍政権による目くらましの連発 

高等教育無償化を「餌」に憲法改正を進めようという安倍政権、それと同じ構図が共謀罪法案だ。民主党政権時代、高校教育無償化を選挙目当てのバラマキだと激しく攻撃していたのが、他でもない安倍晋三だった。東京オリンピックにテロを起こさぬためというが、共謀罪法案ではテロの防止効果はない。そもそもテロ対策のための法案ではなく、国民の思想信条までも監視対象にしようという法案だからだ。オリンピックのため、テロ対策のためという虚偽の目的にコロッと騙されてはいけない。

安倍政権、それにしても矢継ぎ早に目くらましを出している。「アベノミクス」なる政策の結果がどうなのか、森友学園問題で顕わになった安倍首相の政治・行政の私物化はどうなのか、そちらをしっかり議論しなければいけないのだが、南スーダンからの自衛隊撤退・北朝鮮危機・憲法改正と次々に目くらましを打ち出している。余りに落ち着きがない。さて、次は何なのか。

これで目くらませられているようでは、残念ながら、安倍政権による国民主権・基本的人権という価値の国民からの剥奪は容易に進むことだろう。

以下、朝日デジタルから引用~~~

野党3党、テロ対策で「別案」提出 「共謀罪」を批判
中崎太郎2017年5月11日21時02分

 民進、自由、社民の野党3党は11日、テロと組織犯罪対策を目的とした法案を衆院に共同提出した。国会で審議中の「共謀罪」の趣旨を含む組織的犯罪処罰法改正案では対策にならないとし、テロ対策の「別案」と位置づけている。

特集:「共謀罪」
 航空保安法案(民進、自由、社民提出)と組織的犯罪処罰法改正案(民進、自由提出)の2法案。航空保安法案は、民間会社に依存しているとされる空港での水際対策について、国による関与を強めることを柱にした内容。組織的犯罪処罰法改正案は、現行の予備罪に組織的な人身売買と詐欺を加える。

 法案提出後、民進の枝野幸男・「共謀罪」対策本部長は記者会見で「一番重大で緊急性の高いテロ対策を放りだして、『共謀罪』法案をごり押しするというのは、明らかに順序が逆だ」と述べた。(中崎太郎)

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オウムのテロ、「共謀罪」では防げなかった 江川紹子氏
朝日新聞デジタル 5/12(金) 21:00配信

オウムのテロ、「共謀罪」では防げなかった 江川紹子氏
共謀罪の問題点について語る江川紹子さん=山本亮介撮影
 「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織的犯罪処罰法改正案が国会で議論されている。政府は「テロ対策に必要」との立場だが、捜査当局による乱用や「表現の自由」などの侵害を危惧する声もある。

【写真】共謀罪の問題点について語る江川紹子さん=山本亮介撮影

 猛毒のサリンを使った凶悪事件などを次々に起こし、社会に混乱を招いたオウム真理教を長く取材してきたジャーナリストの江川紹子さん(58)は、この法律についてどう考えているのか。


 《オウム真理教の暴走は共謀罪では防げなかった。》

 共謀罪の適用対象とされる「組織的犯罪集団」について、安倍首相は地下鉄サリン事件(1995年)を起こしたオウム真理教を例に、「当初は宗教法人として認められた団体だったが、犯罪集団に一変した」と説明した。

 最近、「共謀罪があれば、地下鉄サリン事件は防げた」という声を耳にするが、それは間違いだ。教団の関与が疑われる事件は数年前から各地で起きていた。既遂事件がいくつもあったのに、それらを真摯(しんし)に捜査しなかった警察の姿勢こそが問題だった。

 89年の坂本堤弁護士一家殺害事件も、当時の警察幹部は「失踪」との見立てにこだわった。家族が警察に届けた時点では実行犯は車で移動中だった。ここで着手できていたらと思うと、今も無念でならない。

 94年の松本サリン事件の後、教団幹部らに私の自宅室内に毒ガスを噴出され、命を狙われた。当時、宮崎県の旅館経営者の拉致事件に教団が関与したとの記事を週刊誌に書いていた。直後にガスが吹き込まれた現場を保存したのに、警察は鑑識活動をしてくれなかった。今も一連の捜査の失敗が教訓として生かされているのかも疑問だ。

 たしかにテロ対策は必要だ。ただ、共謀罪がなぜテロを未然に封じるのに有効か、政府の説明が不十分だ。政府が確信しているなら、こんな場合に、こう役立つと説明すべきなのに、聞こえてくるのは、「一般人に影響はない」という話ばかり。

 法務委員会で民進党議員が「オウム真理教の信者の多くは、教団がサリンで人を殺傷しようとしていたことは知らなかった」と質問すると、法務省は「目的を共有していなければ、組織的犯罪集団の構成員ではない」と説明していた。

 となると、信者の多くは対象から外れてしまう。「オウム真理教=組織的犯罪集団」ではない、という説明には驚いた。信者が組織的犯罪集団の目的を共有しているかどうか、どうやって見分けるのか。

 問題点は他にもある。目的を共有していたかどうかは内心の問題。どう見極めるのか。身柄を拘束し、無理な取り調べで自白を強いるしかないのではないか。現時点で取り調べの可視化が義務づけられていないのもおかしい。

 テロ対策というなら、司法取引の方がまだ効果的ではないか。坂本弁護士事件では、実行犯の1人が組織を離脱し、警察に遺体の場所を記した地図を送り付けてきた。刑罰が確実に減免されれば、彼は自供し、その後の事件は防げたように思う。

 ただ、司法取引には、実際には犯罪に関係のない第三者の関与を容疑者が供述し、無実の人が起訴されるという「引き込み型」の冤罪を生む危険性がある。導入するなら事件を組織的なテロに限定し、慎重な運用が必要なのは言うまでもない。

 街のあちこちに監視カメラが取り付けられ、メールやSNSで個人情報を頻繁にやりとりする時代。監視そのものに抵抗がない人が増えたのかもしれない。政府や、グーグルなどの情報のプラットフォームからの情報収集には慣れてしまっている。

 「テロ対策」や「安全安心」は一種の「思考停止ワード」。それに「五輪」が加わって、「ちょっとくらい問題があっても、仕方ないんじゃない」と、みんながあきらめてしまっている雰囲気を感じる。政府はそんなワードをてんこ盛りにして、国民に考えることをやめさせようとしている。本当にそれでいいのだろうか。(聞き手・山本亮介)


     ◇

 えがわ・しょうこ 神奈川新聞記者を経てフリー。坂本堤弁護士一家事件を機にオウム真理教問題に取り組む。「検察の在り方検討会議」委員も務めた。

朝日新聞社

在宅医療推進は果たして可能か 

下記の記事の機能別入院病床の予測数を厚労省のデータから示す(単位 万 病床)

         2014年7月現在  2025年

高度急性期   19.1        13.0

急性期      58.1        40.1

回復期      11.0        37.5

慢性期      35.2        24.2~28.5 

急性期、慢性期ともに減らし、回復期だけは増やす、という方向が見て取れる。トータル10万病床前後の減で、とくに高度急性期・急性期病床が24万病床の減で、現在の3割減少となる。地域によって増減に差がでるのだろうが、この減少は大きい。

一方、予測死亡者数(単位 万人)は

2010年      119.7
  15        131.1
  25        153.7
  40        166.9(予測数の最大)

患者の希望として55%が在宅での医療介護を希望している、とあるから、厚労省の計画通り、在宅医療を推し進めると、およそこの半数が、在宅で最後を迎えることになる。死亡の原因としてはガンが多く、また認知症も増えてゆく。おそらく数百万人の単位で、在宅医療になることだろう。

問題は、地域包括ケアで在宅医療を進めるとなっているが、在宅ケアの担い手、すなわち家族が、存在するのか、それに耐えられるかということだ。いくら多職種のチームで支えるといっても、在宅で患者のケアを担うのは、家族になる。高齢核家族化の状況で、それが可能かという深刻な問いを抱かざるを得ない。また、今後生産年齢人口が減少し続けるが、在宅医療は働き盛りの国民が担うことになり、生産年齢人口減少を加速させることになる。恐らく、数百万人規模で、在宅医療を担うことになるのではないだろうか。

在宅医療の進展にともない、急性期医療の需要が高まる。それを、医療サイドが供給し続けられるのだろうか。おそらく、在宅診療所にかなりの部分を任せる積りなのだろうが、現在医師の高齢化が進んでいる診療所に、24時間体制の在宅医療の救急対応も担わせるのだろうか。

この先見えてくるのは、在宅医療で苦労する患者・家族の姿であり、また生産年齢人口の減少から加速度的に国力が低下し続ける状況だ。医療現場も、急性期医療は、恐らく数日待ちとなる。救急でかかろうにも、すぐには診てもらえない、という状況が現実になる。

現在も、政府は、医療費を中心に、自然増を毎年2000億円以上減らし続けている。この入院病床削減・在宅医療増の政策も、医療介護費の削減の一環だ。一機200億円以上といわれるオスプレーを17機導入し、さらに効果に疑問のあるミサイル防衛のために数千億円を費やす。そちらをこそ削減すべきではないのか。
 
以下、引用~~~

長期入院減らし、在宅加速へ=25年の地域医療構想-厚労省
17/05/10記事:時事通信

 厚生労働省は10日、各都道府県が2025年の医療提供体制を示した「地域医療構想」の分析結果を公表した。構想は複数の市町村で構成する全国341の区域ごとに推進。その約8割に当たる270区域で、長期療養向けの入院ベッドが15年度より減る見通しだ。入院の必要性が低い高齢の患者を在宅医療に移す流れを加速させるという。
 
 構想は、団塊の世代が全て75歳以上になる25年を前に、効率的な提供体制を整えるのが目的。在宅医療を推進して医療費の膨張を抑える狙いもある。
 
 15年度より長期療養向けベッドが減る見通しの区域は、訪問診療や介護サービスの充実など、退院した高齢患者の受け皿整備を急ぐ計画を立てている。救急医療や先進医療を担う「高度急性期」と「急性期」のベッド数も、離島の1区域を除く340区域で減少する方向だ。
 
 一方、リハビリ患者らが入る「回復期病床」は、高齢者のニーズが高まるため、336区域で増加。増加分は、急性期のベッドなどの機能転換により賄うとしている。 【時事通信社】

悪しきガバナンスが大学を破壊した 

大学法人化後、官僚が大量に大学に天下るようになった。それに併せて、ガバナンス改革と称して、教授会の権限縮小と学長・総長への権力集中が行われた。その結果、大学の自治は失われ、大学が文字通り破壊された。それは結局、日本という社会の行く末を示す象徴的な出来事だ、という論考。

天下りが国家を危うくし、権力の集中が社会の健全さを損なう、これは大学だけの話ではない。

gendai.ismedia.jpより引用~~~

『日本の大学をぶっ壊した、政官財主導の「悪しきガバナンス改革」
なんのための大学か【後編】
石原 俊明治学院大学社会学部教授』

こちら。

政府・行政の隠蔽体質 

公務員が公務で作成した文書を、私的文書としたり、保存しておくべき文書を「破棄」したり、公開した文書はすべて黒塗りにしたり、政府・行政はやりたい放題だ。

政府関係者・公務員が作成した文書はすべて保存し、要求があれば公開すべきだ。それが、政治・行政の透明性を確保するためのもっとも基本的な社会的な要請だろう。でなければ、政治や行政が私物化され、腐敗する。文書を残さないと、歴史的な検証が受けられない。

森友学園関連の行政文書を公にしない、または公になったら私文書だと言い張る現政権を見ていて、敗戦直後の政府・軍部を思い起こした。彼らは、残された公文書をすべて焼却・廃棄処分にした。戦争責任を逃れるための行動だった。こちら。

その同じメンタリティが、今回の森友学園疑惑でも発揮されている。さて、政府・行政が必死に隠ぺいしようとしていることは何なのか。これほど必死に隠ぺいするからには、彼らにとってよほど深刻な事実が隠されているに違いない。

この隠蔽する体質は、根本的に変えないと、政治・行政の私物化・腐敗によって国民主権の原則が踏みにじられることになる。隠蔽体質は、国民主権を否定することと等価だ。

以下、引用~~~

黒塗り・1年未満の廃棄…森友関連文書、政府対応に批判
岡戸佑樹2017年5月11日07時14分

文書を巡る政府の主張と識者らの指摘
 疑惑解明の手がかりになる記録は捨て、公開した文書も大半が黒塗り――。森友学園(大阪市)への国有地売却問題の発覚から3カ月。国会論戦では、政府の文書の取り扱いが問題視され続けている。政府職員が作った文書も「行政文書に該当しない」と閣議決定するなど、政府の対応が恣意(しい)的との指摘が野党や識者から出ている。

 8日にあった衆院予算委員会の集中審議で問題になったのは、国の情報開示のあり方だ。

 「全部のページ、真っ黒黒塗り」。民進党の福島伸享氏は「非開示」部分だらけの文書を掲げた。

 文書は、学園が国有地に新設予定だった小学校の設立趣意書。2013年に国に提出された。今回、福島氏の求めで財務省が開示したが、タイトルも内容もほとんどが隠されていた。

 福島氏は学園の籠池泰典前理事長らが開示に同意していると主張したが、財務省の佐川宣寿(のぶひさ)理財局長は「学校運営の手法に該当し、公にすると学校法人の利益を害する恐れがある」「学園は民事再生手続きが開始された。開示する場合、管財人への確認が必要」と突っぱねた。

 福島氏は、タイトルに安倍晋三首相の名を冠した校名が書かれている可能性に触れ、「それを出したくないから黒塗りじゃないですか」と政府の思惑で非開示とした疑念を口にした。

■保存は「1年未満」

 野党は2月の問題発覚直後から、文書の扱いが恣意的と指摘してきた。一連の取引に関する学園との面会記録の保存期間が「1年未満」としてすべて廃棄されたためだ。

 ログイン前の続き財務省の規則では、国有財産処分の決裁文書は保存期間が30年。でも面会記録は、規則に保存期間が明記されていないから1年未満――。これが財務省の言い分だ。学園側との面会記録は、昨年6月の売買契約成立で「事案終了」と判断し、廃棄したという。

 ただ、学園との契約は10年間の分割払い。会計検査院の戸田直行・第3局長は4月25日の国会で、「一般論で言うと、支払いが完了していないケースについては、事案自体が完全に終了したと認めることはなかなか難しい」と述べた。

 公文書制度に詳しい長野県短大の瀬畑源(せばたはじめ)助教は「面会記録が決裁文書よりも先に廃棄されれば、取引の公平性や経過などを十分に説明できない。短期間で廃棄できる財務省の規則は恣意的なルール。決裁文書と同じ保存期間にするよう規則を変えるべきだ」と話す。

■「私文書」対象外に

 安倍首相の妻、昭恵氏付の政府職員が15年11月に学園側に送ったファクスをめぐっては、公文書のあり方そのものが問われた。

 ファクスは、土地取引に関して職員が財務省に問い合わせた結果をまとめたもの。政府は4月4日、職員の行為を「職務ではない」とし、行政文書に該当しないと閣議決定した。

 NPO法人「情報公開クリアリングハウス」の三木由希子理事長は「首相夫人付職員という公的な立場の人が特定の省庁に問い合わせた結果が記されており、単なる個人的メモの枠を超えている」と疑問を呈し、こう指摘する。「私文書とされれば情報公開の対象にならず、説明責任を果たす義務がなくなる。行政文書なら、『保存期間を過ぎたのですべて廃棄した』とする従来の主張と食い違うことになる。私文書だという政府の判断は政治的に守りたいものありきで、極めてご都合主義だ」(岡戸佑樹)

アラン ドロン引退 

昨日、アラン ドロンが引退することにしたというニュースを耳にした。81歳だそうだ。別に彼のファンでも何でもないのだが、彼の名前を聞くと、映画「太陽がいっぱい」を思い出す。浪人時代に池袋の映画館で観たのだったか。最後のシーンが鮮烈な印象を残した。ニーノ ロータの主題曲が、甘さと苦さ、切なさをないまぜにしたような印象だった。



この曲は、中学1年か2年頃、自作のアンプ:スピーカーで聞いた。映画音楽のソノシートに収められていた一曲。アンプは6BM8という三極管・五極管の複合真空管を用いたもの。一応ステレオだが、もちろん、同管シングル。スピーカーは、ラワン材で作ったバスレフ・・今考えると、隙間だらけのボックスだった。スピーカーは当時のナショナルのコアキシャル 2wayスピーカー。小遣いの乏しい中学生にしては大分気合を入れたものだった。中学校の文化祭に出品し、校長先生にワルツを聞いていただいた。3,4m離れたところに座り、グランドの方をじっと見ながら、耳を傾けて下さった。

やがて、映画音楽だけでは物足らなくなり、これまたなけなしの所持金を叩いて、ベルリオーズの幻想交響曲のLPを手に入れた。小澤征爾がモントリオール響を振った演奏。1楽章の冒頭の夢見るような旋律が懐かしい。小澤もばりばりの若手で、瑞々しい演奏だったような気がする・・・といっても、当時はこれしか聞けなかった。レコードは高価なこともあり、あまり入手できず、その内、無線が音楽にとって代わったわけだ。だが、やがて大学に入学し、迷った挙句オケに入ることに決めた理由の一つは、中学時代に映画音楽からクラシックに首を突っ込んだことだったのではないだろうか。このサイトウキネンを振った小澤はだいぶ枯れてきているような・・・。



「太陽がいっぱい」と同時期にソノシートで聞いた、「さよならをもう一度」の主題曲が、ブラ3の3楽章の主題を借用したものであることは、オケに入ってから気が付いた。私は舞台に乗らなかったのだが、大学オケ最初の定期演奏会がブラ3だった。懐かしさが二重になって迫ってくる。この演奏はYoutubeでたまたま見つけたものだが、ゆったりとしたテンポで歌う演奏だ。当時の大学オケもこんな感じだったようがおぼろげな記憶・・・。



というわけで、アラン ドロンが引退と聞いて、また一つ時代が終わったと感じたことだ。

教育史学会、教育勅語導入に反対 

天皇を宗教的に崇拝し、国体という国家制度を維持することを求める教育勅語を、教育現場に持ち込むことを可とする方針が、政府から示された。憲法・教育基本法に違反しない限りでという限定が付けられている。が、根本的に、教育勅語は、国民主権を歌う憲法に反することは明らかだ。安倍首相他の閣僚の背後にいる日本会議が、長年教育勅語の復活を目論んできた。その手法は、草の根運動ともいえるもので、政治的に大きな力を持つ。戦前の非人間的な教育勅語の世界を知らぬ世代に、浸透する様相を示している。

教育史学会が、教育勅語の問題点三つについて明快に述べ、それの教育現場への導入に反対している。教育勅語が、徳目の羅列であるということは誤りで、天皇制の疑似宗教化による国民を支配するプロパガンダである。日本の皇国史観から日本を他より優れた神聖な国家と位置づけている。朝鮮や台湾では、その点を折衷した朝鮮版、台湾版の教育勅語を発布する動きもあったという・・・民衆を支配するための疑似宗教教義であることをします事実だ。また、教育現場では、教育勅語・天皇の写真の神聖化が行われ教育に支障を来した・・・そうだ、お隣の独裁国家の現状と同じことが数十年前我が国でも行われていたのだ。教育史学会が、歴史的な視点からこれらの点を強烈に批判している。ご一読をお勧めしたい。

こちら。



警視庁刑事部長が事件をもみ消した 

山口敬之という安倍首相シンパの「評論家」がいる。安倍政権、安倍首相をハイテンションで持ち上げる「評論」をテレビで行っているのを何度か見たことがある。内容は「評論」とはとても言えぬものだった。その山口敬之が、2年前に準強姦罪で告訴され逮捕寸前まで行った。ところが驚いたことに、当時の警視庁刑事部長中村格氏が立件を取りやめさせたのだ。ここまでであれば、また根拠のない三面記事みたいなものかと思っていたが、それを報じた週刊新潮によれば、件の元刑事部長が、自分の判断で立件を取りやめさせたことを認めているらしい。リテラが報じている。こちら。

中村格氏は、菅官房長官ときわめて親しい関係にあるらしい。刑事部長が、所轄の警察が立件しようとする事件をもみ消したこともきわめて異例らしいが、その刑事部長が時の政権中枢と関係が深いとなれば、この問題は警察内部の不祥事だけでは終わらない。政権が、警察活動を指揮していた可能性が出てくる。法治ではなく、人治だ。こうやって、事件をもみ消すということは、事件をでっち上げることもやりかねない。警察という権力組織を、政権が意のままにすることは、きわめて危険なことで、許されない。

被害者が検察審査会に、事件のもみ消しの不当性を訴えるらしいので、その経緯を注目したい。

このような政権と警察・検察に、共謀罪という社会監視の道具を与えるのは、あまりに危険なことではないのか。国民は、自らの基本的人権を放棄する積りなのか。

安倍政権の扇動 

Jアラートの「初報」で、国民に「避難」を要請すると政府は決めたらしい。だが、ミサイルがどこに飛来するのか分からず、またミサイル攻撃を避けるには、どこに避難したらよいのか分からずに、ただ避難しろというのは、国民をパニックに陥れるだけではないのだろうか。武力攻撃を選択肢に加えた「すべてのオプションがテーブル上にある」という、トランプ大統領の北朝鮮に対する脅しともいえる発言を安倍首相は強く支持し、日本海に展開する米国の原子力空母との共同訓練という名の共同作戦にも海自の艦艇を参加させている。政府は北朝鮮危機を扇動することに熱心だ。

北朝鮮と米国の関係が、一触即発の状態にあるということはない。米国は、北朝鮮と外交的接触をすでに始めている。5月1日、日米首脳電話会談の内容はおろか、その実施したという事実まで非公表にされた。これは、慣例を破るものだ。どうも、トランプ大統領から安倍首相は、米国の北朝鮮との外交的接触の意図を聞かされて、それを隠すために、会談自体を非公表にしたと言われている。また、韓国在住の20万人の米国人に退避勧告が出る様子は全くない。もし米国の先制攻撃が始まるなら、事前に米国人の退避が始まるはずだ。米国国務長官は、米国の北朝鮮への先制攻撃はないと最近言明した。

こうした米朝関係を主体とした国際関係の動きにお構いなしに、北朝鮮危機を安倍政権は煽り続けている。

安保法制導入時も、外交安全保障上の危機を安倍首相は煽っていた。安保法制、集団的自衛権を導入すれば、「抑止力を増す」ことができる、という触れ込みだった。果たして、抑止力が高まったのだろうか。むしろ、わが国が戦争に巻き込まれるリスクが高まったのではないか。安倍政権が外交安全保障の危機を煽るとき、安倍政権が国内的な意図を隠しているのではないか。

以下、毎日新聞から引用~~~

 思い出してほしい。安倍内閣が、安全保障関連法案を閣議決定した2015年5月14日のことだ。安倍首相は記者会見で、安保法が必要な理由を国民にこう語り掛けた。

 「自衛隊機の緊急発進、スクランブル回数は10年前と比べて実に7倍に増えた。(中略)日本が危険にさらされた時には、日米同盟は完全に機能する。そのことを世界に発信することによって、抑止力はさらに高まり、日本が攻撃を受ける可能性は一層なくなっていきます」

 全文は首相官邸のホームページに掲載されている。この説明に首をひねるのが、思想家の内田樹さんである。

 「安保法で『抑止力がさらに高まる』という。『さらに』は比較対象がなければ意味をなさない言葉です。記者会見で『抑止力』に関わる数値として唯一示されたのがスクランブル回数です。つまり、安保法施行後にこれが減少しなければ安保法は安全保障上、意味がないことになります」

 実際、他国は昨年3月に施行された安保法による「抑止力の高まり」は感じていないようだ。防衛省によると昨年4~12月のスクランブルは883回で、既に施行前の昨年度の873回を上回る。スクランブル回数の増減を抑止力のバロメーターとするなら、数字上は安保法に「結果」は表れていない。

 「スクランブルは1980年代には900回を超える年も珍しくなかったのに、そこには一切触れず、前代未聞の危機が迫っているかのような物言いをする。そもそも一国の法に過ぎない安保法で『抑止力が高まる』という言説自体がうそです。他国は日本の事情ではなく、自国の都合で動く。恣意(しい)的なデータ利用は安倍首相の一貫した特徴です」

 不安の時代である。だからこそ安倍首相は、景気の良い話をよく持ち出すのか、とも勘ぐってしまう。

新作かオールドか 

古い楽器、そのなかのごく一部の市場価値の高いオールドと呼ばれる楽器と、新作楽器との比較はよく論じられ、また実際ブラインドで比較もされる。下記の記事は、ストラディバリウスのバイオリンを、新作と弾き比べたら、新作楽器の方を聴衆は好んだというもの。ストラディバリウスが負けた、というところにニュース性があるのだろう。

こうした比較は、様々な条件で違ってくる。また、あくまで聴衆の側からの比較だ。そして、気に入るかどうかは相対的、主観的なものだ。あぁ、こうした結果になったのかと受け止める程度だ。

古い楽器と新作楽器の比較について、納得できる説明は、楽器製作者の佐々木朗氏のこちらの文章だろう。健康な状態とリーズナブルな値段を新作に求めるか、質感と演奏しやすさをオールドの楽器に求めるかの違いだ。新作に目立つ、強調された高音域は、弾くうえで結構気になることもある。また、発音のし易さもオールドの楽器のメリットだ。だが、佐々木氏が別なところで記しておられるが、楽器の基本性能は制作された時点で決まるもののようで、弾きこむことで大幅に良くなるということはなさそう。

私も、一頃、良い楽器を求めて、楽器屋巡りを繰り返したことがあった。現在使用中のイタリア製の新作を手に入れて、9年くらいになるか。当初気に入っていた、中音域の中抜けのする(ように感じていた)音質も、う~んどうなんだろうと思えるようになってきたし、作りの点でもドイツ製にみられる「彫の深さ」にちょっと欠けるし、段々古女房みたいになってきた。だが、2011年の震災で、楽器の上にテレビや本が落ちてきたのに、奇跡的に大きな破損を受けずに助かったこともあり、これからも、古い楽器に目をくらませられることなく、この楽器一本で行くつもりだ。楽器に、演奏者の腕が頼りないと言われることのないように。普段楽器のメンテでお世話になっている、桐生市の伊藤丈晃氏には、製作精度が高い楽器だと言っていただいた。これを、次の世代に受け渡すことができるようにと念願している。それまでの期間、しばらくは相手をしていただこう・・・。

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以下、引用~~~

ストラディバリウス負けた!聴衆は現代製に軍配


2017年05月09日 07時39分 読売新聞
ストラディバリウス負けた!聴衆は現代製に軍配

 【ワシントン=三井誠】数億円の値段がつくバイオリンの名器「ストラディバリウス」と、現代のバイオリンの演奏を聴衆に聞かせると、聴衆は現代のバイオリンの方を好むとする実験結果を、仏パリ大などの研究チームがまとめた。

 論文が近く、米科学アカデミー紀要に掲載される。

 このチームは5年前、ストラディバリウスと現代の楽器を弾いた演奏家でも、音の評価に大きな差がなかったとする研究を同紀要で発表している。チームは今回の研究で「バイオリンの作製技術が上がったのか、あるいは一般に信じられているほどの音色の違いがなかったのかもしれない」とコメントしている。

 実験は、パリ郊外と米ニューヨークのコンサートホールで、音楽の批評家や作曲家などを含む聴衆計137人の前で行った。ストラディバリウス3丁と現代のバイオリン3丁を、演奏者にはどちらのバイオリンかわからないようにしてソロで弾いてもらい、どちらの音色がよく響くかなどを、聴衆が評価した。

共謀罪は、一般市民を監視するため 

共謀罪には、繰り返し掲載している通り、除外される犯罪がある。高山京大教授によると・・・

!)公権力を私物化する犯罪

公職選挙法、政治資金規正法、政党助成法 

警察・検察などの特別公務員職権濫用罪、暴行陵虐罪

公用文書電磁的記録の毀棄罪

2)経済犯罪

商業ワイロ罪、会社法、金融商品取引法、商品先物取引法、投資信託投資法人法、労働安全衛生法、貸金業法、資産流動化法、仲裁法、一般社団財団法などの収賄罪

酒税法、石油税違反(組織犯が行う)

3)相続犯罪

この一覧を見ると、当局が、共謀罪の対象をどこに絞っているかが、はっきり見える。対象は一般人のありふれた犯罪なのだ。犯罪事実があれば、まだしも警察の恣意的な判断で任意捜査が、犯罪事実のない時点で一般人に対して行われることになる。プライバシーが侵される監視社会になる。

政治、行政、経済界、それに富裕層には、そうした捜査は行わない、と表明している。彼らは監視対象外である。

我々の基本的人権が侵されようとしている。

朝日デジタルより引用~~~

「恣意的な運用は日常茶飯事」 亀石弁護士が語る共謀罪
聞き手・阿部峻介2017年5月6日18時04分

 「共謀罪」の趣旨を含む組織的犯罪処罰法の改正案が成立した場合、捜査権限の拡大に歯止めは効くのか。警察が令状なく対象者の車両にGPS(全地球測位システム)端末を付ける捜査手法について「違法」とする最高裁判決を勝ち取った亀石倫子(みちこ)弁護士(42)に聞いた。

特集:「共謀罪」
 ――法案をどうみるか。

 犯罪が行われる前の段階を処罰するものだから、その動きを証拠化するには当然に監視が必要になります。警察は集会にスパイを潜入させて録音させるかもしれないし、密室での会話を盗聴するかもしれない。行動を把握するためにGPS(全地球測位システム)を使うかもしれません。

 そんな監視社会に突き進んではいけないと思い、GPS裁判の最高裁では「子孫が振り返ったときに感謝してくれるような判断を」と訴えた。判決は「住居に準ずる私的領域」への侵入もプライバシーの侵害で、令状が必要だと、一定の歯止めをかけてくれました。

 でも国会答弁を見ると、政府はこの判決などなかったかのように、「準備行為」の前でも犯罪の嫌疑があれば令状のいらない一定の任意捜査ができると説明している。できるだけ令状なしで監視したいという考え方は変わっておらず、司法が軽んじられていると感じます。

 ――政府は具体的な準備行為がなければ強制捜査はできず、乱用の心配はないとも説明しています。

 準備段階の行為を把握しようとする以上、そのターゲットを決める時点で恣意(しい)が働かざるを得ない。それに恣意的な運用なんて私の経験上、日常茶飯事です。

 例えば最近では、ダンスクラブの経営者が「風俗営業の許可がない」といって逮捕された事件がありました(無罪確定)。社会に浸透していたはずのタトゥーの彫り師が「医師免許がないから医師法違反だ」として、いきなり摘発された事件もあります(公判中)。

 警察のさじ加減で、ある日突然、普通の市民が容疑者にされる。そんなことは、刑事弁護の現場にいればいくらでもあります。

 ――そうした懸念があっても、世論調査で賛成する人が多いのはなぜでしょう。

 「自分たちは犯罪とは関係ない」と思い込み、捜査機関はいつも正しいことをすると信じている人が多いのでしょう。治安だ、テロ防止だといわれれば、それならやってくれと簡単に考えてしまう。でも私が接したクラブの経営者もタトゥーの彫り師も、善良な「普通」の市民です。捜査の暴走を知っている身としては、世の中の反応にものすごいギャップを感じます。

 ――共謀罪の捜査が当たり前になれば、市民生活にどんな影響があると。

 「目立ったことをすれば監視される」と考えさせるだけで、萎縮効果は抜群。権力に異議を唱える声は少なくなるでしょうね。タトゥーの裁判でさえ、「応援したいけど、警察に目を付けられるのは困る」という人がたくさんいます。

 つい先日、出演するテレビ番組の打ち合わせで男性プロデューサーが発した質問が印象的でした。「法案が通ったら、私たち一般市民はどんなことに気を付ければいいんでしょうか」と。思わず「気を付けなくていい!」と返しました。

 私たちには憲法で保障された集会の自由や表現の自由がある。それは法律よりも保障されなければならない。もし自由にやって摘発されるようなことがあれば、その時こそ私たち刑事弁護人や心ある裁判官たちの出番です。みんなが「気を付けて」暮らす社会なんて、私は絶対に嫌です。(聞き手・阿部峻介)

テロ対策には水際対策が重要なはずなのだが・・・ 

入国管理は、テロ対策として重要だ。その業務を担う職員の待遇がこれでは、実際のところテロ対策なぞ眼中にない、と言っているようなものだ。

やはりテロ等対策法導入は、共謀罪を導入するための単なる口実ですな。

以下、引用~~~

成田空港の保安検査員が大量離職 航空連合は「テロ対策のためにも国家が責任を持って対応すべき」と訴える

2017年04月30日 12時00分 キャリコネ

成田空港の保安検査員が大量離職 航空連合は「テロ対策のためにも国家が責任を持って対応すべき」と訴える

空港スタッフの人材不足が深刻化している。つい先日も、窓口業務や機内清掃を担うスタッフの人手不足についてキャリコネニュースで報じたばかりだが、手荷物検査を受け持つ検査員までもが足りていないという。業界も人材確保のために対策に乗り出したことが25日までに明らかになった。

検査員は、搭乗客の手荷物に爆発物や搭載禁止の物品が入っていないかどうかをチェックする。テロやハイジャックの危険を防ぐ重要な仕事だ。

昨年度は900人にいた検査員のうち290人が退職
しかしその待遇は決していいとは言えない。NHKの報道では、7時から21時まで働いても新人の場合手取りは約15万円。「空港保安警備業務1級」の国家資格を取得しても手取りは22万円といった実態が紹介されていた。給与が低い上に勤務は不規則で、昨年度は900人いた検査員のうち290人が退職した。

検査員は、航空会社から検査の委託を受けた検査会社に雇用されている。検査会社は航空会社との契約料が収入になっているため、検査員の給料を上げるために契約料を引き上げるには航空会社の理解も必要になってくる。

成田国際空港の担当者は、キャリコネニュースの取材に対し、「検査会社と航空会社と一緒に人材の確保に向けて取り組む」と語った。

「まずは現場の検査員にアンケートを行い、どういった問題があるのか洗い出していく予定です。労働環境を改善したり、モチベーションをアップしたりすることで、人材が安定的に確保できるようにしたいと思います。こうした取り組みには、航空会社や検査会社と協働で取り組みます」

「東京オリンピック開催に備え、テロやハイジャックへの警戒強化を」

航空関連産業の産業別労働組合である航空連合の担当者は、「検査員の人材確保は重要な課題ととらえている」と語った。

「当組合では、残念ながら、検査員を組織することができていません。しかし航空業界にとって検査員の人材育成は重要な課題です。検査員は、資格取得に時間がかかる、厳しい時間のプレッシャーがある中で働かなければいけないといった困難を抱えています。その割には、お客様から感謝される機会も少なく、待遇も良くないのが現状なのです」

しかし今後は訪日外国人の増加や東京オリンピックに備えるためにも、検査員の人材確保と育成が重要になってくる。またこうした一連の取り組みに国家が責任を持つべきではないかと語る。

「現在は、民間の航空会社が航空保安の責任を担っています。しかしテロやハイジャックの標的は国家ですから、国家が責任を持って対応すべきではないでしょうか」

共謀罪法案導入の三段論法は破綻している 

安倍首相、安倍政権閣僚は、あからさまな嘘をつく。対テロ等準備法案という名の、共謀罪法案を国会に上程した際の理由づけは、こんな三段論法だった。

A オリンピック開催のためにテロ対策が必要だ

B テロ地策のためにTOC条約加入が不可欠だ

C TOC条約批准のために共謀罪法案が必要だ


逆に言うと、安倍政権の論法では、共謀罪はテロ対策だ、ということになる

この三段論法は、破たんしている。


まずCの命題は、海渡雄一弁護士がこちらの論考の「第六の4」で明快に否定している。


ついで、Bの命題についても、日本政府自体がかって条約起草時に否定していことが報じられている。以下、赤旗から引用~~~

日本政府「テロは対象外に」

国際組織犯罪防止条約起草時

「共謀罪」論拠崩れる

参院法務委で仁比氏が追及

 安倍政権が「共謀罪」法案を必要だという最大の口実にしている国際組織犯罪防止条約(TOC条約)をめぐり、条約の起草過程で日本政府が「テロリズムは本条約の対象とすべきでない」と主張していたことが明らかになりました。外務省が日本共産党の仁比聡平参院議員に提出した資料で判明しました。「共謀罪」を正当化する政府の論拠が改めて崩れました。

 資料は、2000年7月にニューヨークの国連本部で開かれた同条約起草委員会「第10回会合第一週」の様子を日本本国に報告した日本政府交渉団の公電。起草委員会で、TOC条約の対象犯罪にテロを含めるか否かが議論となり、「(含めれば)テロに関する既存の条約に悪影響を及ぼしかねない」などと主要17カ国が反対。日本も「テロリズムについては他のフォーラムで扱うべきであり本条約の対象とすべきでないことを主張した」ことが記されています。

 仁比氏は、22日の参院法務委員会でこの公電を示し、「TOC条約はテロ犯罪の処罰を義務付けるものではない」とただしました。金田勝年法相は、公電には一言も触れず、「国際的な組織犯罪とテロ活動には強い関連がある」と従来の答弁に終始しました。

 仁比氏は、「共謀罪」創設をTOC条約上の義務だと説明するのは国民を欺くものだと批判し「共謀罪の正体をごまかす『テロ等準備罪』の呼称は直ちにやめるべきだ」と述べました。


同じく、Bの命題を否定する記事、朝日デジタルより引用~~~

「条約、対テロ目的でない」 国連指針を執筆・米教授 「共謀罪」政府説明と矛盾
2017年5月5日05時00分

ニコス・パッサス氏=本人提供
 国際組織犯罪防止条約(TOC条約)締結のために政府が必要としている「共謀罪」法案(組織的犯罪処罰法改正案)をめぐり、国連の「立法ガイド」の執筆者が朝日新聞社の取材に応じ、「テロ対策は条約の目的ではない」と明言した。条約の目的について「テロ対策」を強調する日本政府とは異なる見解が示された。

 取材に答えたのは、米ノースイースタン大のニコス・パッサス教授。国際刑法の専門家で、2000年に国連総会で採択された同条約に関連し、各国が立法作業をするための指針を示した「立法ガイド」の執筆で中心的役割を担った。滞在先の欧州から、電話やメールで取材に応じた。

 安倍晋三首相は4月6日の衆院本会議で、「(TOC条約は)テロを含む幅広い国際的な犯罪組織を一層効果的に防止するための国際的な枠組み」と述べた。しかし、パッサス氏は「イデオロギーに由来する犯罪のためではない」とし、「利益目的の組織犯罪を取り締まるための条約だ」と話した。

 パッサス氏は「テロの資金規制は、法的拘束力を持つ国連憲章第7章に基づく国連安保理の決議などがある」との見方を示した。

 国会審議では、条約に加わるには法案の創設が必要とする政府の主張と、現行法で足りないものを補うことで対応できるという野党の主張が対立している。

 「新規立法が必要か」との質問に、パッサス氏は条約に加わるために(1)組織的犯罪集団が関与する重大な犯罪行為への合意(2)組織的な犯罪集団に参加――のいずれかを処罰する法律が必要だと説明したうえで、「既存法で加盟の条件を満たすのであれば、新法の必要はない」と語った。ただ、日本の既存法がこの条件を満たすかどうかについては、答える立場にないとした。(中井大助)

この最後のパラグラフの問題は、最初に挙げた海渡弁護士の論考で解決済みである。


東京オリンピックにテロ対策が必要だというAの命題自体は正しいが、それを共謀罪法案に結びつけるのは大いに無理がある。というか、オリンピックにかこつけて、共謀罪を導入しようという政府・当局の意図が見えてくる。国民を欺こうとするものだ。

南スーダンの飢餓 

南スーダンにPKOとして派遣した自衛隊に、「駆けつけ警護」という、国際的に通用しないおかしな呼称の業務を自衛隊員に命じることばかりに熱心だった安倍政権。これは実質内戦への直接関与でしかない。

南スーダンへの武器禁輸を求める国連決議には、「棄権」という実質反対行動を取った安倍政権。南スーダンの混迷を改善するには、武器禁輸が必須なのに、南スーダン政府の顔色を窺って、武器禁輸決議に賛成しなかった。

国内で政治の私物化を問題にされて、それから国民の目をそらすために突然自衛隊の南スーダンからの撤退を決めた安倍首相。

南スーダンで飢餓が進行している。安倍政権は、何も対応を取ろうとしない。こうした記事が出るだいぶ前から、現地の情報を得ているに違いないのだが、まるで何の対応も取らない。

エゴイズム丸出しの外交、さらには外交の私物化を続け、挙句のはてにはPKOを派遣した国の窮状を無視する安倍政権。国内にあっては、沖縄と福島への冷酷な対応と相通じるものがある。この政権は、弱い者、援助が必要な者にはきわめて冷酷だ。

以下、引用~~~

南スーダン、「人災」による飢饉で600万人の生命が危機に
AFP=時事 5/5(金) 21:22配信

南スーダン、「人災」による飢饉で600万人の生命が危機に

【翻訳編集】 AFPBB News
【AFP=時事】南アフリカの慈善団体は5日、飢饉(ききん)に見舞われている南スーダンやその周辺国で、年末までに計600万人の命が危険にさらされる可能性があると警告した。一方で国際社会は、最悪の事態を防ぐために必要とされる44億ドル(約4940億円)の支援金の調達に苦慮している。

 慈善団体「ストップ・ハンガー・ナウ・南アフリカ(Stop Hunger Now Southern Africa)」の代表、サイラ・カーン(Saira Khan)氏は、国際社会が南スーダンに支離滅裂な対応をしているため、数百万人の命が脅かされていると警鐘を鳴らした。

 カーン氏は「非常に暗たんたる状況だ。多くの非政府組織(NGO)や各国政府には、何をする必要があるかという点について多くの混乱がみられる」と指摘。「その地域は困難に直面しており、われわれが何もしなければ、飢餓によって年末までに600万人を死なせることになる」と述べている。

 今年2月、南スーダンと国連(UN)は、同国北部のユニティー(Unity)州を中心とする複数の地域で飢饉が発生していると公式に宣言。国連の担当者らは、避けることもできた「人災だ」と述べていた。

 2011年にスーダンからの独立を勝ち取った南スーダンは、サルバ・キール(Salva Kiir)大統領とリヤク・マシャール(Riek Machar)前副大統領による権力争いが2013年12月、内戦にまで発展。これまでの死者は数万人に上り、350万人が避難を余儀なくされた。 【翻訳編集】 AFPBB News

改憲国民投票における広告・宣伝の問題 

「世界」5月号に、本間龍氏が、電通とオリンピック・改憲国民投票に関する問題を投稿している。オリンピックも電通が取り仕切り、電通のための催しになるが、ここでは、改憲国民投票問題について彼の論考を参考にまとめてみたい。

衆参の選挙でメディアに投入される広告宣伝費は約500億円。2週間のみの国政選挙に比べて、60から180日に及ぶ改憲国民投票までの選挙期間からして、改憲国民投票の広告宣伝費はその数倍から10倍に上ることが予想される。

改憲国民投票の広告宣伝は、電通が担う。電通は、2015年度の売上高が単体で1兆5千億円、連結で4兆5千億円に上る。これは二位の博報堂の各々2から3倍に相当する。公正取引委員会は、すでに電通の寡占化に対して、公平性・透明性が必要だと指摘している。さらに、電通が人事等を通して自民党と密接な関係にあることが以前から指摘されている。その一方、昨年電通が社員に過酷な時間外労働を強制していた実態が明らかになった。いわば、違法企業である。このような企業に、国の行く末を決める国民投票の広告宣伝を任せて良いはずがない。だが、現状の自公政権の議席数からして、そのまま電通が政権与党とタッグを組み、改憲に向けた国民投票を実現すべくメディア対策・広告宣伝を行うことになる。それを我々は今から認識しておく必要がある。

広告業界で仕事をしていた、本田氏の指摘は以下のようなことだ。改憲国民投票の発議は、政権与党がいつ行うか決めることができる。その発議は、今年秋から来年夏までの間に行われる可能性が高い。国民投票法によると、投票前2週間以外は、無制限に広告を打つことができる。企業献金等の予算が潤沢で、実際のスケジュールを決められる政権与党は、マスメディアへの広告(優良時間枠の独占、広告出演者の確保、広告回数の多寡等)で圧倒的な優位に立つ。また、民放の番組で、改憲について扱う場合に、広告宣伝費の多寡で、改憲派は有利に、護憲派は不利に扱われる可能性が高い。

本田氏は、広告宣伝に関わる費用・回数の規制、報道内容の公平性の担保などの確保等が必要だと提言している。だが、自らに有利に国民投票を進めたい改憲派の現政権が、それをのむ可能性はない。護憲派、少なくとも現在の立憲主義を否定する政権での改憲を認めぬ人々は、こうした事態を見越して準備しておく必要がある。

その準備としては
○現憲法の歴史・役割についてよく知ること
○改憲内容が、まるで日替わり定食のように変えて提出されてきているが、その本質は、あくまで戦前の国家主義への回帰であり、国民主権を蔑ろにするものであることを理解すること
○既存のマスメディアは、ネット社会が出現する前のように圧倒的な力を持っていない。ネットを通じて、護憲の必要性を訴え続けることだ。
○マスメディアが公平を欠く番組構成・内容を取り扱ったら、そのマスメディア、番組スポンサーには丹念に批判・抗議を行う。
○現在の高齢者ではなく、次の世代が改憲された国家主義的憲法に翻弄されることになる。次の世代、その次の世代を育てている方々に十分理解して頂く。
○オリンピック誘致では電通、その関係者がだいぶ悪事を働いているようだ。電通という巨大独占企業は、日本のためにならない。電通への批判を強めることが必要だろう。

世論調査では、9条改憲等不要という意見が多いようだが、政府が北朝鮮危機を異様に煽った影響などにより、そのような世論は容易に逆転されうる。政府・電通の世論誘導に乗ることなく、本質的なものを見据えて、今後とも国家主義への反対と護憲とを目指してゆきたい。

共謀罪捜査にビッグデータが利用される 

確かに、個人番号にビッグデータを紐つけされ、それが共謀罪容疑で捜査に用いられたらと思うと空恐ろしくなる。ビッグデータは、例のXKEYSCOREというネット監視システムによって蓄積される。個人情報、プライバシーを思うように覗くことができる、警察当局に捜査権限に伴う権力が集中する。村木厚子女史に対する検察の証拠でっち上げを思い出すべきだ。警察・検察が誤らないということは決してない。こうした捜査手段・権限を得て、でっち上げがむしろ横行する可能性がある。権力があるところには、必ず腐敗が起きる。

それに繰り返し記している通り、共謀罪は、政治家・財界人それに警察・検察を含む公務員の、選挙・業務にかかわる犯罪が除外されている。組織犯罪が生じ易い彼らの業務が共謀罪の対象から外されていることは、共謀罪の対象犯罪が恣意的に選ばれていることを意味する。

このような警察による共謀罪の捜査を許して良いものだろうか。

videonews.comより引用~~~

マル激トーク・オン・ディマンド 第837回(2017年4月22日)
誰が何のために共謀罪を作ろうとしているのか
ゲスト:清水勉氏(弁護士)
司会:神保哲生、宮台真司
【ダイジェスト版】https://youtu.be/OqLZI1MTPYY
【掲載ページ】http://www.videonews.com

 この法律を通せなければ、東京五輪・パラリンピックを開けなくなるかもしれない。安倍首相がそうまで言い切った以上、政府は何があっても今国会で共謀罪を成立させるつもりなのだろう。

 実際、共謀罪の審議が4月19日に始まり、政府は5月中旬の成立を目指すとしている。

 しかし、ここまで欺瞞に満ちた法案も珍しい。政府はこの法案をテロ準備罪などと呼ぶことで、あり得ないほどデタラメな法律を何とか正当化することに躍起のようだが、この法律にはそもそもテロを取り締まる条文など一つとして含まれていない。

 にもかかわらずメディアの中には、この法案を政府の要望に沿う形で「テロ準備罪」(読売、産経)だの「テロ等準備罪」(NHK)と呼んで憚らないところがあることも驚きだが、この法律は断じてテロ対策法などではない。いや、そもそもこの法律が必要であると政府が主張する根拠となっている国際組織犯罪防止条約(別名パレルモ条約)は、それ自体がマフィアのマネーロンダリングなどを取り締まるためのもので、テロを念頭に置いた条約ではない。

 では、この法律は何のための法律なのか。今回は珍しくマスメディアの中にも政府の意向に逆らってこの法案を「共謀罪」と呼び続けるところが出てきているが、当たり前のことだ。これは日本の法体系に共謀罪という新たな概念を導入することで、日本の刑事司法制度に根本的な変革をもたらす危険性を秘めた法律だからだ。

 犯罪には突発的に起きるものもあるが、その多くは計画的に行われる。計画的な犯罪の場合、実際に犯行が実施される前段階で、犯罪を計画したり準備する必要がある。近代司法の要諦である罪刑法定主義の下では、基本的には実際の犯罪行為が行わるまで個人を処罰できないが、殺人罪などの重大な犯罪については、計画や準備しただけで処罰が可能なものが例外的にいくつか定められている。ただし、それは殺人のほか、航空機強取等予備罪、私戦予備罪、通貨偽造準備罪など、国家を転覆させるような極めて重大犯罪に限られている。

 共謀とは、準備、計画の更に前段階で、犯罪を犯す意思を確認する行為を指す。これまでは国家を転覆させるような重大犯罪の場合でも、訴追するためには最低でも犯行の準備や計画が行われている必要があったが、共謀罪が導入されれば、それさえも必要としなくなる。しかも、今回は懲役4年以上の犯罪が全て対象となるため、詐欺や著作権法違反、森林法違反、廃棄物処理法違反などの一般的な犯罪を含む277の犯罪がその対象となる。例えば、著作権も対象となっているため、音楽ソフトを違法にコピーしたり、著作権をクリアできていない曲を演奏するライブイベントを構想したり相談するだけで、共謀罪違反で逮捕、訴追が可能になる。

 政府は対象が組織的犯罪集団であることや、具体的な犯行の準備に入っていなければ、訴追対象にはならないと説明している。しかし、法律には何が「組織的犯罪集団」や「準備行為」に当たるのかが明示されていないため、警察にその裁量が委ねられることになり、まったく歯止めはなっていない。

 共謀罪は過去に3度国会に上程されながら、ことごとく廃案になってきた。犯罪行為がないまま個人を罰することを可能にする法律は、個人の思想信条や内面に法が介入につながるものとして、市民社会の強い抵抗に遭ってきたからだ。

 今回の法案もその危険性はまったく除去されていない。しかし、情報問題や警察の捜査活動に詳しい清水勉弁護士は、今回の共謀罪には過去の共謀罪にはなかった新たな危険性が含まれていると指摘する。それは情報技術の急激な進歩に起因するものだ。
 
 今や誰もがスマホなどの情報端末を利用するようになり、巷には監視カメラなど個人の行動をモニターする機器が溢れている。映像から個人を識別する顔面認識カメラも、導入が間近だと言われている。

 共謀罪が導入され、犯行の事実がなくても逮捕、訴追が可能になれば、警察の裁量で誰もが捜査対象になり得る。集積されたビッグデータを使えば、捜査対象となった個人の行動を過去に遡って詳細に収集、把握することも可能だ。それはまるで全ての国民が24時間公安警察に見張られているような状態と言っても過言ではない。

 本人がどんなに気をつけていても、例えばある個人が所属するSNSグループ内で飲酒運転などちょっとした犯罪行為が議論されていれば、共謀と認定することが可能になる。そのSNSグループに参加しているその人も、「組織的犯罪集団」の一部と強弁することが可能になり、捜査の対象となり得る。早い話が警察のさじ加減次第で誰でも捜査対象となり得るのだ。そして、一度捜査対象となれば、情報は過去に遡って無限に収集されることになる。

 これでは政府に不都合な人間の弱みを握ることなど朝飯前だ。気にくわない他人を陥れることも容易になるだろう。
 
 21世紀最大の利権は「情報」だと言われて久しい。多くの情報を収集する権限こそが、権力の源泉となる。共謀罪が警察の情報収集権限を無尽蔵に拡大するものであることだけは間違いない。

 とは言え、東京オリンピックを控えた今、日本もテロ対策は万全を期する必要がある。まったくテロ対策を含まない共謀罪なるデタラメな法案の審議にエネルギーを費やす暇があるのなら、過去に日本で起きたテロ事件を念頭に置いた、日本独自のテロ対策を練るべきだと清水氏は言う。日本での大量殺人事件は秋葉原無差別殺傷事件や相模原「津久井やまゆり園」殺傷事件などを見ても、いずれも単独犯で、共謀罪ではまったく取り締まることができないものばかりだ。しかも、日本の治安は今、過去に例がないほどいい状態が保たれている。ことほど左様に、今回の共謀罪はまったく意味不明なのだ。

 テロ対策には全く役に立たない共謀罪を、誰が何のために作ろうとしているのか。政治はその刃が自分たちに向けられていることを認識できているのか。清水氏とともに、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)

■ゲストプロフィール
清水 勉(しみず つとむ)
弁護士
1953年埼玉県生まれ。78年東北大学法学部卒業。88年弁護士登録。専門は情報問題。「明るい警察を実現する全国ネットワーク」代表を兼務。2014年より政府情報保全諮問会議メンバー。共著に『秘密保護法 何が問題か――検証と批判』、『「マイナンバー法」を問う』など。

これから国家として後退してゆく過程を乗り越えるために 

この数年間、これほど感動させられた文章を読んだことがなかった。内田樹氏の洞察力には目を見張るものがある。

日本が米国の属国であること、それを覆い隠し、米国への隷属のストレスを誤魔化す仕組みを国家主義・・・米国が許す範囲での国家主義・・・に求めようとする政官、彼らがわが国を主導しようとしていることを冷徹に見極めることが必要だ。これからのわが国の後退戦を戦うために、その現実を直視することだ。

日本が独立国としての主体性を失っていること、その隷属を隠すために、ねじれた形で国民主権を奪うことに現政権が遮二無二なっている、この事実を、我々は認識する必要がある。

しかし、これから始まる後退戦で玉砕することなく、次の世代に社会を受け渡すことができるのだろうか・・・。

この文章、ブログで引用する文章としては、いささか長いが、ぜひ熟読して頂きたい。このような思想家がわが国に存在することだけでも、救われる気持ちになる。ぜひ拡散して頂きたい。


神奈川新聞から引用~~~

 5月3日付カナロコ 〈憲法特集〉内田樹さんが語る「時代の正体」

日本国憲法は3日、施行から70年の節目を迎えた。国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の三大原理は戦後の民主主義社会の中で息づいてきた。一方、国会では2016年7月の参院選の結果、初めて改憲勢力が衆参両院で3分の2以上を占めた。改憲テーマを論じる両院の憲法審査会も再開。そして、安倍政権下では安全保障法制や共謀罪、教育改革など実質的に憲法の理念を骨抜きにする動きが進む。われわれは今の時代をどう捉え、振る舞えばよいのか。思想家の内田樹さん、フリーライターの武田砂鉄さん、政治学者の岡野八代さんに聞いた。

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 いま日本で起きている絶望的なまでの「公人の劣化」は何に由来するのか。結論から言ってしまえば「日本はアメリカの属国でありながら、日本人がその事実を否認している」という事実に由来する。日本社会に蔓延(まんえん)している「異常な事態」の多くはそれによって説明可能である。

 ニーチェによれば、弱者であるがゆえに欲望の実現を阻まれた者が、その不能と断念を、あたかもおのれの意思に基づく主体的な決断であるかのようにふるまうとき、人は「奴隷」になる。「主人の眼でものを見るようになった奴隷」が真の奴隷である。彼には自由人になるチャンスが訪れないからである。

 日本はアメリカの属国であり、国家主権を損なわれているが、その事実を他国による強制ではなく、「おのれの意思に基づく主体的な決断」であるかのように思いなすことで自らを「真の属国」という地位にくぎ付けにしている。

 日本が属国なのだと明確に認識したのは、鳩山由紀夫元首相が2009年に米軍普天間飛行場の移設を巡り「最低でも県外」と発言した際の政治と社会の反応を見たときだ。

 鳩山氏は軍略上の重要性を失った日本国内の米軍基地を移転し、日本固有の国土の回復を求めただけである。首相として当然の主張をしたにすぎない。だが、これに対して外務省も防衛省もメディアも猛然たる攻撃を加えた。その理由は「アメリカの『信頼』を損なうような人間に日本は委ねられない」というものだった。ニーチェの「奴隷」定義を援用するならば、宗主国の利益を優先的に配慮することが自国の国益を最大化する道だと信じる人々のことを「属国民」と呼ぶのである。

 ■戦後成功体験の悲劇 北朝鮮を巡る情勢が緊迫している。アメリカが北朝鮮に対し先制攻撃した場合、日本国内にミサイルが飛来して国民が死傷するリスクはある。

 だが、これを「アメリカがする戦争になぜ日本が巻き込まれなければならないのか」と憤る声はほとんど聞かれない。主権国家であれば、国土と国民を守ることをまず第一に考えるはずだが、日本政府は北東アジアの危機を高めているアメリカに一方的な支持を与えて、アメリカに軍事的挑発の自制を求めるという主権国家なら当然なすべきことをしていない。

 「対米従属を通じて対米自立を達成する」という国家戦略は敗戦後の日本にとってそれ以外に選択肢のないものだった。ことの適否を争う余裕はないほど日本はひどい負け方をしたのである。そして、この国家戦略はその時点では合理的なものだった。

 徹底的な対米従属の成果として、日本は1951年のサンフランシスコ講和条約で国際法上の戦争状態を終わらせ、国家主権を回復した。68年には小笠原諸島、そして72年には沖縄の施政権が返還された。戦後27年間は「対米従属」は「対米自立」の果実を定期的にもたらしたのである。

 だが、この成功体験に居ついたせいで、日本の政官は以後、対米従属を自己目的化し、それがどのような成果をもたらすかを吟味する習慣を失ってしまった。

 沖縄返還以後45年で対米自立の成果はゼロである。米軍基地はそのまま国土を占拠し続け、基地を「治外法権」とする地位協定も改定されず、首都上空には米軍が管轄する横田空域が広がったままである。主権回復・国土回復という基本的な要求を日本は忘れたようである。

 それどころか、対米自立が果たされないのは「対米従属が足りない」からだという倒錯的な思考にはまり込んで、「年次要望改革書」や日米合同委員会を通じて、アメリカから通告される全ての要求を丸のみすることが国策「そのもの」になった。

 郵政民営化、労働者派遣法の改定、原発再稼働、環太平洋連携協定(TPP)、国連平和維持活動(PKO)での武器使用制限の見直しなど、国論を二分した政策は全部アメリカの要求が実現された。

 そして、わが国の国益よりもアメリカの指示の実現を優先する政権にアメリカは「同盟者」として高い評価を与え、それが属国政権の安定をもたらしている。

 ■戦前ノスタルジー 日本人は心のどこかで「属国であること」を深く恥じ、「主権の回復」を願っている。けれども、それは口に出されることがない。だから、その抑圧された屈辱感は病的な症候として表れる。安倍政権とその支持者たちの「かつて主権国家であった大日本帝国」に対する激しいノスタルジーは「主権のない戦後日本国」に対する屈辱感の裏返しである。

 けれども主権回復のための戦いを始めるためには、まず「日本は主権国家でなく、属国だ」という事実を受け入れるところから始めなければならないが、それはできない。痛苦な現実から目をそらしながら少しでも屈辱感を解除したいと思えば、「大日本帝国」の主権的なふるまいのうち「今でもアメリカが許諾してくれそうなもの」だけを選び出して、政策的に実現することくらいしかできることがない。それが対外的には韓国や中国に対する敵意や軽侮の表明であり、国内における人権の抑圧、言論の自由や集会結社の自由の制約である。

 だが、日本が隣国との敵対関係を過熱させることには宗主国アメリカから「いいかげんにしろ」という制止が入った。米日中韓の連携強化は、トランプ政権のアメリカにとっても東アジア戦略上の急務だからである。やむなく、日本の指導層の抱え込んでいる「主権国家でないことの抑圧された屈辱感」は日本国民に「主権者でないことの屈辱感」を与えるというかたちで病的に解消されることになった。それが特定秘密保護法、集団的自衛権行使の閣議決定、安保法制、共謀罪と続く、一連の「人権剥奪」政策を駆動している心理である。

 改憲への熱情もそれによって理解できる。憲法に底流する国民主権のアイデアはアメリカの統治理念そのものである。それを否定することで、対米屈辱は部分的に解消できる。そして「国民に対してだけは主権的にふるまう」ことで国家主権を持たないストレスも部分的に解消できる。

 自民党改憲草案は近代市民社会原理を全否定し、むき出しの独裁政権を志向する病的な政治文書だが、それが全篇(ぜんぺん)を通じて「決してアメリカを怒らせないような仕方で対米屈辱感を解消する」というねじれた政治目標に奉仕しているのだと思えば、理解できないことはない。

 ■国家主権回復の道 日本人に対して、私から言いたいことは「現実を直視しましょう」ということに尽きる。
 国防についても、外交についても、エネルギーについても、食糧についても、基幹的な政策について日本は自己決定権を持ってないこと、国土を外国の軍隊に占拠されており、この状態がおそらく永久に続くこと、明治維新以来の悲願であったはずの「不平等条約の解消」という主権国家の基礎的目標を政治家たちが忘れたふりをしていること、海外の政治学者たちは特段の悪意もなく、日常的に「日本はアメリカの属国である」という前提で国際関係を論じていること、そういう事実を直視するところからしか話は始まらない。この否定的現実をまず受け入れる。

 その上で、どうやって国家主権を回復するのか、衆知を集めてその手だてを考えてゆく。鳩山一郎や石橋湛山や吉田茂が国家的急務としていた問題をもう一度取り上げるということである。

 日本が属国であることも、その事実を否定するために異常な人権抑圧が行われていることは沖縄や福島へ行けば分かる。現場に行けば政治家や官僚やメディアがどのように隠蔽(いんぺい)しようとも痛ましい現実が露呈する。まずそこに立つこと。幻想から目を覚ますこと。それが日本国民のしなければならないことである。

 ■長期後退戦を生きる 日本ははっきりいって末期的である。これから急激な人口減局面を迎え、生産年齢人口が激減し、経済活動は活気を失い、国際社会におけるプレゼンスも衰える。日本はこれから長期にわたる「後退戦」を戦わなければならない。

 後退戦の要諦は、ひとりも脱落させず、仲間を守り、手持ちの有限の資源をできるだけ温存して、次世代に手渡すことにある。後退戦局面で、「起死回生の突撃」のような無謀な作戦を言い立てる人たちについてゆくことは自殺行為である。残念ながら、今の日本の政治指導層はこの「起死回生・一発大逆転」の夢を見ている。五輪だの万博だのカジノだのリニアだのというのは「家財一式を質に入れて賭場に向かう」ようなものである。後退戦において絶対に採用してはならないプランである。

 けれども、今の日本にはこの「起死回生の大ばくち」以外にはプランBもCもない。国として生き残るための代替案の案出のために知恵を絞ろうという人が政官財の要路のどこにもいない。

 だがそうした危機的現状にあって、冷静なまなざしで現実を眺め、自分たちが生き残るために、自分たちが受け継ぐはずの国民資源を今ここで食い散らすことに対して「ノー」を告げる人たちが若い世代からきっと出てくると私は思っている。

 日本の人口はまだ1億2千万人ある。人口減は止められないが、それでもフランスやドイツよりははるかに多い人口をしばらくは維持できる。指導層の劣化は目を覆わんばかりだけれど、医療や教育や司法や行政の現場では、いまも多くの専門家が、専門家としての矜持(きょうじ)を保って、私たちの集団を支えるために日々命を削るような働きをしている。彼らを支えなければならない。

 後退戦の戦い方を私たちは知らない。経験がないからだ。けれども、困難な状況を生き延び、手持ちの資源を少しでも損なうことなく次世代の日本人に伝えるという仕事について私たちは好き嫌いを言える立場にはない。

 それは国民国家のメンバーの逃れることのできぬ義務だからである。

政治を支配し、私物化する者たち 

安倍昭恵氏には5名の秘書が各省庁から宛がわれている。これはかってなかったことだ。秘書は安倍昭恵氏が応援する選挙運動にも同行している。安倍昭恵氏と秘書の交通費は、200万円弱かかり内閣官房費、即ち国税から出されている。秘書の給与も、当然国税から出ている。

これでも、安倍昭恵氏は「私人」であると、政府は主張する。

私人たる安倍昭恵氏は、自由奔放に振る舞う。だが、ひとたび自らと夫たる安倍首相の立場が悪くなりそうだとなると、「記憶にない」と言って、自ら行ったことを否定する。それまで加勢し、共同してきた仲間を、そうやって裏切る。仲間がどのように厳しい状況に置かれようが、斟酌しない。善意と自由奔放さに満ちたように見える行動も、結局、支配者が被支配者に対する対応でしかないわけだ。

進行する政治の私物化が留まるところを知らない。

以下、引用~~~

安倍昭恵氏と籠池諄子氏、メール会話の読みどころ

白井聡 | 京都精華大学人文学部専任講師(政治学・社会思想)

友人に助けを求める諄子夫人、「祈り」で応える昭恵夫人
森友学園の籠池諄子前理事長夫人と安倍昭恵首相夫人のメールのやり取りが印象深い。2月24日に安倍首相が「(籠池理事長は)非常にしつこい」と発言した後、諄子夫人の言葉のトーンは上がる。「安倍総理には失望しました」。

お金のやり取りをめぐって諄子夫人の言葉は憤りさえはらむようになる。昭恵夫人の「私は講演の謝礼を頂いた記憶がなく」との言葉に対して、諄子夫人は「あまりにひどい」と応える。3月に入り学園への包囲網が狭まるなか、諄子夫人は「小学校は 支払いができず(中略)閉めます 主人も私も失業します」と嘆き、「小学校をやめ 幼稚園は 破産(中略)お父さんは詐欺罪 あんまりにも 権力を使うなら死にます」とさえ述べる。

昭恵夫人の言葉には、「神様は何を望んでいるのでしょう」「祈ります」といった表現が増え、公表された二人のやり取りは、昭恵夫人の「(安倍首相が寄付したと籠池側が主張する)100万円の記憶がないのですが」という言葉で終わる。

昭恵夫人は自由奔放か?
昭恵夫人は、「家庭内野党」などと評され、自由奔放な言動が注目を浴びてきたが、ここにそのすべてが現れているのかもしれない。この時期に渦中の相手と直接連絡を取るとは、まさに自由奔放である。

しかし、本質はそこにはない。肝心のお金の件に話が及ぶと、発言は慎重そのものとなる。諄子夫人が自分たちの身の破滅にまで言及しても昭恵夫人が「記憶がない」で通すのは、100万円の件を認めれば安倍夫妻が破滅するからである。だから、ここで昭恵夫人が実質的に言っているのは、「あなた方が破滅するにしても、私たちは破滅するわけにいきません」ということだ。これまで友人として交流してきたはずの二人の運命は、根本的に異なるほかないのだ。その理由の説明はない。ならば、われわれはそこに「身分の違い」を読み取るほかない。

昭恵夫人の突飛な言動は常に善意に基づいている、と巷間評されている。おそらくそうなのだろう。他人を疑わず何事も善意ベースで受け止める性格は、育ちの良い人の特徴である。物議を醸した高江訪問も、森友学園への肩入れも、すべて善意から生じた。そしてその善意は、自らの行動が社会的文脈において持つ意味に対する徹底的な無頓着と表裏一体となっている。無論、自らの分別に対してかくも無頓着でいられるのは、特別な階層の人間だけである。

善良にして無知なる人々
筆者は想像する。数々の革命で倒された王族・貴族の多くは、昭恵夫人のように善意に満ちた人々だったのであろうと。貧窮者を目にして涙しながら、一族が栄えることと国家が栄えることは完全に同じことだと信じて疑わなかったのであろう。これらの人々の善意が下らないのは、国家を私物化していた彼らの存在こそが、彼らが同情を寄せる不幸の原因にほかならないことを知らず、ゆえに不幸を救うために特権を廃止しようなどとは、夢にも思わないからである。歴史の教えに従えば、これらの善良にして無知なる人々は取り除かれなければならない。けだし、地獄への道は善意で敷き詰められているのだから。

※本稿は「京都新聞」5月27日夕刊に掲載されました。

がんの「免疫細胞療法」 

アマチュア無線の友人で、数年前、肝臓がんで亡くなられた方がいる。一度、私の仕事場にも訪ねてきてくださった。病状をお伺いすることしかできなかった。その後、治療を重ねておられたが、聞くところによると、最終的に治療が効かなくなり、下記記事にある「免疫細胞療法」を受けるようになった。効果は得られず、一方、その経済的負担でご家族も困られたように伺った。彼は、どのような状況でも、理性的に対応する方だと思っていた。そのような方でも、いよいよ人生の最後が迫ってくると、理性的な行動を取れないものなのか、と慨嘆したものだった。彼のことを批判する積りはない。誰でもそのように行動する可能性はあるのだ。

最近、ネットで、「免疫の力でがんを治す患者の会」という団体の宣伝を何度か目にした。坂口元厚生大臣が代表を務める団体だ。彼らの言う免疫療法とは、下記の記事にある免疫細胞療法のことだ。自由診療で、高額の治療費がかかる。その治療を行っている「医療機関」のサイトを見てみると、一回の治療に数十万円以上かかる。治療効果は、効果があったというケースが、1、2割である。この効果判定も、治療者が行っているため当てにならない。下記の記事でもある通り、この免疫細胞療法は、1990年代から多くの自由診療施設で行われてきたが、著効したという話を聞いたことがない。坂口氏のケースも、リンパ節転移のあった大腸がん術後に、免疫細胞療法を受け、8年間再発していない、というだけで、メインの治療は標準治療たる手術だ。坂口氏は、善意での行動なのかもしれないが、元厚生大臣という肩書を利用して、治療の当てがなくなりがん難民となった患者を意味のない治療に誘導すべきではない。

免疫細胞療法自体に詳しくないのだが、細胞障害性T細胞(CTL)、ないしNK細胞を、in vitroで培養、増殖させても、患者の持つ腫瘍に特異的に反応するCTLを増やすわけではなく、また増やされたNK細胞がどれだけ抗腫瘍活性をin vivoで示すか分かっているわけでもない。免疫療法と言えるだけの根拠がない。

免疫調整剤による治療など、本当の免疫療法の進展を期待したい。だが、現在の免疫細胞療法は、治療法とは言えない金儲けの自由診療でしかない。末期のがん患者が、緩和医療を含め適切な治療を受けられるようになることを切に望む。

以下、MRICより引用~~~

がん難民を食い物にする自由診療クリニック -患者はなぜ受診するのか、被
害を避ける処方箋とは-

この原稿はJBPRESS(3月16日配信)からの転載です。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49421

内科医川崎市立井田病院?かわさき総合ケアセンター?緩和ケア内科
小杉 和博

2017年5月3日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp
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あなたがもし「がん」になったらどんな治療を受けたいですか?

現在、全国の病院で一般的に提供されているがんの治療法は、「標準治療」と呼ばれるものです。
「標準」と聞くと、「普通」や「並」と思われるかもしれませんが、これまで行われてきた数多くの臨床試験の結果導かれた、現時点での最も有効性の高い治療法のことを指します。標準治療は手術、放射線、抗がん剤の3つを組み合わせたものがほとんどです。
一方、そうした従来の医薬品とは全く異なる「再生・細胞医療」が新たな治療法として大きな期待がかけられ、今後の成長分野として大きく注目されています。2012年にノーベル賞を受賞した「iPS細胞」を利用した治療もこの1つです。
残念ながらこうした再生・細胞医療の多くはまだ研究段階ですので、一般的な治療に導入されるような安全性や有効性は確認できていません。

●推奨されない治療に1000万円請求も

しかし、そうした研究段階の医療が実は、保険適用外の自由診療の名のもとに日本では数多く行われているのです。

主な対象疾患は「がん」で、行われているのは「免疫細胞療法」という治療法です。2015年時点の再生・細胞医療市場は約140億円。その約8割は免疫細胞療法が占めています*1。
免疫細胞療法とは患者さんから採取した免疫細胞(リンパ球)を体外で培養・活性化させ、体内に移植しがん細胞を攻撃する、というものです。

古くから行われている治療法ですが、昨年12月に発表された日本臨床腫瘍学会のガイドラインでは、適切な臨床試験が行われていないため、治療法として推奨されないとされています*2。
にもかかわらず免疫細胞療法を提供するクリニックは全国で300か所以上あり、受診する患者さんが後を絶ちません。治療の1回あたりの費用は50万~60万円、複数回受けることが勧められており、総額では300万~500万円かかります。
1000万円を越える事例もあるようです*3。当然、保険適用外ですので費用はすべて自己負担。患者さんは身体的、精神的にも辛い状態に加えて、経済的にも大きなダメージを負ってしまうのです。

このような効果が不確かな治療を、患者さんはなぜ高額な費用を払ってまで受けるのでしょうか?
その原因の1つには、現代日本のがん治療と緩和ケアの深い溝が関係しています*4。

がんは発生した臓器や組織型によって治療法や経過が異なりますが、一般的に早期がんであれば、多くは前述の標準治療により治癒(完全に治ること)が目指せます。
一方、進行がんになってしまうと治癒の可能性は急激に下がります。また、転移や再発がんでは多くの場合、治癒を目指すことは困難になりますので、抗がん剤などでがんの進行を抑えながら「がんとの共存」を目指すことになります*5。

しかし、抗がん剤の効果も永続的なものではないので、投与中に効果がなくなったり、あるいは副作用による辛い症状のため継続が難しくなったりして中止せざるを得なくなります。
そうなるとがんへの直接的な治療ではなく、がんによる辛い症状を和らげる「緩和ケア」へ移行することになります。

●転院先がなく難民となるがん患者

通院中の病院に緩和ケアの専門家がいないと、「もううちでできることはない」「早く次の病院を探しましょう」と半ば追い出されるような形で、転院させられる方も少なくありません。
このようなケースは「がん難民」とも呼ばれ、お聞きになったことがある方も多いのではないでしょうか。

一方、転院先となる専門的な緩和ケアを提供できる病院は全国的に不足しています。緩和ケア病棟を持つ病院は全国で308しかなく、1年間にがんで亡くなる約37万人(2015年統計)のうち緩和ケア病棟で亡くなった人は、10%しかありません。
また在宅で亡くなるがん患者も約10%と報告されており、全国的には約8割のがん患者は一般病院で亡くなっているのです。
緩和ケア病棟での死亡割合は下の図1に示すように地域格差が大きく、トップの高知県は26%、次いで福岡県の24%、熊本県22%に対して、福島県4%、埼玉県3%、最低の和歌山県は2%しかありません*6。
http://expres.umin.jp/mric/mric094_kosugi.pdf

私が働いている神奈川県では緩和ケア外来の受診まで1~2か月程度かかることもあり、受診を待っている間に亡くなってしまうことも珍しくありません*7。
先日も血液内科の先生から「2月に緩和ケアがある病院へ患者さんを紹介したら、外来受診は5月になると言われた。それまで持たない」と相談を受けました。

また「緩和ケア」=「死が近い」という負のイメージが強く、緩和ケアへの移行を拒否されることもしばしばです。私も抗がん剤で治療中の患者さんに緩和ケアへの移行の話をしたら、「先生、それだけは言わないで」と泣かれたこともあります。
もうできる治療はないと追い出され、がん難民となった方が、緩和ケアへは行きたくないし、待ち時間も長い。何かできる治療があるはず、と必死になって治療法を探した結果、たどり着くのが実は免疫細胞療法なのです。


●遅まきながら国も法整備に乗り出す

そのような患者さんにとって治療の有効性や費用などは大きな問題ではないのかもしれません。
これまで国はこうした免疫細胞療法を提供する自由診療クリニックに対して、規制を設けていませんでした。しかし、2014年に「再生医療安全性確保法」が制定されたことで状況が多少変わってきています。
この法律は再生医療の安全性を確保するため、再生医療を提供する医療機関に対して国への治療計画の提出を義務づけ、細胞加工施設の要件などを定めたものです。

昨年10月、法律で定められた基準を満たさない無許可施設で細胞を加工し、治療を行ったなどとして、厚生労働省は都内の自由診療クリニックに治療の一時停止と細胞製造の停止を命じました*8。
このような安全性に関する規制は必要ですし、弱みにつけ込んだ営利目的の自由診療で損をするような患者さんが減ることを切に願います。

しかし、規制を強化したところで問題の根本的な解決にはならず、患者さんの希望が満たされるわけではありません。そのような自由診療を希望してやまない患者さんの気持ちを、標準治療を提供している一般の医師はもっと真摯に受け止めなければならないと思います。
がん難民を生んでしまう、現代日本のがん治療と緩和ケアの深い溝を埋める方法がもっと必要なのではないでしょうか*4。

1つには、専門的な緩和ケアを提供できる医師・病院が圧倒的に不足している状況の改善が必要です。緩和ケアの専門医は全国でわずか136人しかいません。いまだに県に1人もいないところもありますし、他領域の学会専門医が1000人単位であることと比較しても圧倒的に少ないのです。
また、がん難民の94%が医師の説明に不満を持っており、がん難民はそうでない患者さんと比べて治療の説明時間が有意に短かった、という報告があります*9。つまり、医師と患者さんの間のコミュニケーション不足も一因となっているのです。

医師と良好なコミュニケーションを取るにはどうしたらよいでしょうか?
正直これはかなり難しい問題です。がんの検査結果や治療の選択肢などはすべて医師側が把握しています。例えるなら、医師はスポーツの先生のようなもので、新しい競技を教え、そのルールや道具の使い方を教えるのも医師なのですから、患者は受け手になるしかありません。
その結果、「先生にお任せします」という方が多くいらっしゃいます。しかし、最近は「自己決定を尊重する」ということが医療界の大前提とされており、「それでは困る、自分で決めなさい」と、突然提示された選択肢を選ぶよう医師から迫られます。


●納得できるまで医師に相談する

腑に落ちないまま選んではみたものの、それが医師の考えと合わないと嫌な顔をされ、時には怒り出す医師もいるようです。患者側が完全に不利な状況で、医師とどのようなコミュニケーションを取ればいいのでしょうか?

結論を言えば、納得できるまで医師に説明を求めて、納得できる治療を選んでいくしかないと思います。

本当はいろいろと聞きたいことはあるが忙しそうなので相談しにくい、また何を聞いたらよいか分からない、と遠慮されてしまう方もいらっしゃるでしょう。そんなときでも、その心配な気持ちを思い切って医師に伝えてみてください。治療を受けるのは自分なのですから遠慮する必要などありません。
それでも答えてくれないようなら、ぜひセカンドオピニオンやがん相談支援センターを利用して治療について納得するまで相談できる医師を探しましょう。

私は、納得できないまま治療が進み、後悔をされる方に多くお会いしてきました。また医師と患者も人間同士ですから、どうしても合う合わないはあると思いますし、そういう私も、考え方が合わず離れていってしまった患者さんは何人もいらっしゃいます。
がんと戦う、共存するのは簡単なことではありません。余計な人間関係でストレスを抱えず、ご自身が納得できる治療を受けられる、それが当たり前の世の中になってほしいと思っています。
ただ最後に1つお願いがあります、同じ検査を何回もやることは身体にとって負担になってしまいますので、別の医師を受診するときは、必ず紹介状をもらうようにしてください。


*1=シード・プランニング. 再生・細胞医療研究の現状とビジネスの展望?-
調査結果-2016-9-27
*2=日本臨床腫瘍学会編. がん免疫療法ガイドライン. 金原出版,2016,118p
*3=選択. 2017,3月号,p104-105
*4=Kosugi K, Tsuda K, Higuchi A, et al. Bridge the deep chasm between
patients with cancer and palliative care in Japan. BMJ Supportive & P
alliative Care 2017. doi: 10.1136/bmjspcare-2017-001329
*5=勝俣範之. 「抗がん剤は効かない」の罪. 毎日新聞社,2014,198p
*6=ホスピス緩和ケア白書2015,http://www.hospat.org/white-book_2015-top
.html
*7=ハフィントンポスト.2016-07-12.http://www.huffingtonpost.jp/kazuhir
o-kosugi/terminal-care_b_10935710.html
*8=厚生労働省. 再生医療等の安全性の確保等に関する法律に基づく緊急命令
について. 2016-10-31
*9=日本医療政策機構. 政策提言vol.5「がん患者会調査報告-『がん難民』
解消のために-」https://www.hgpi.org/handout/2010-04-16_34_317692.pdf<
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北朝鮮危機キャンペーン 

北朝鮮からすぐにでもミサイルが飛んでくるかのようなキャンペーン、どうも安倍政権が仕組んでいるようだ。

その目的は、

1)国内問題から国民の目をそらさせる・・・森友学園問題、大臣発言問題、政務官行動問題等々、とくに森友学園問題は自らの命取りになると安倍首相は考えているのだろう

2)安保法制に沿った日米の軍事的一体化を具体化する・・・これは別なポストに記す

3)憲法改正、軍拡を推し進める・・・早速、改憲の集まりで、機は熟したと安倍首相がぶち上げた様子 

北朝鮮からサリン搭載のミサイルが飛んでくるなどと、安倍首相が国会で煽ったのを見て、昨年春の伊勢志摩サミットを思い出した。消費税増税を回避するために、サミットで、現在未曽有の世界的経済危機(の前段階)にあると、安倍首相はぶち上げたのだ。他の首脳からそれは間違っているとやんわり言われたり、無視されたりした。安倍首相は、トランプ大統領と似て、明らかな嘘をつく。このサミットでの珍妙な彼の発言は、わが国ではあまり問題にされなかった。あれが結構大きな問題だったと思うのだが、今回の米朝危機の扇動を安倍政権が仕掛けていることもマスコミはそれほど追及しているようには見えない。どちらかというと、一緒になって危機を煽っているようだ。

今回の米朝危機は、あくまで米国主導で展開してきた。2000年前後から北朝鮮の崩壊を目指す米韓の軍事演習が企画され、その後続けられてきた。毎年、春の米韓軍事演習の時期になると、北朝鮮もそれに反応してきた。北朝鮮が核武装を進めたのはリスクには違いないが、それがこの春に急激に悪化したわけではない。今すぐにでも北朝鮮の核攻撃があると煽るのは、国民のことを考えてのことではない。リテラのこの論議が正しい判断だろう。この安倍政権の扇動に乗ってゆくと、むしろより大きな国民生活の危機になる。

この北朝鮮問題への政府対応が効を奏したのだろうか、政権支持率が上昇し、6割を超えたらしい。米国では、トランプ大統領が何事かをアナウンスすると、即座にその発言の信ぴょう性をテレビ画面上のテロップで流す局もあるらしい。トランプ大統領のシリア空爆等では一時的にその支持率が上がったものの、全体としては低いままだ。わが国のマスコミの安倍政治への切り込みの不味さ、足りなさと、国民の情報理解の問題があるのだろうか。安倍政権の扇動に対する、わが国のマスコミと国民の対応が本当の危機の原因になるのかもしれない。

XKEYSCOREという通信傍受システム 

昨年、通信傍受法が改訂され、通信傍受の対象範囲の拡大とともに、通信傍受の際に通信業者が立ち会う必要がなくなった。捜査当局は、捜査機関で独自に通信傍受を行うことができるようになった。実質的に、捜査当局は自由に通信の傍受を行うことができるようになった。

通信傍受の目的を国の安全保障に関連付ければ、当局は通信傍受した内容を特定秘密に指定し、その存在、内容を秘匿することができる。特定秘密保護法のもとで、通信傍受をした事実・内容を秘匿し、さらに一定期間後記録の削除をすることができる。歴史の判定から逃れることができるようになる。

さらに、共謀罪法案が成立すれば、277以上の共謀罪犯罪類型の疑いのもと、その捜査のために通信傍受が必須となる。共謀罪の対象は、捜査当局から疑いをかけられた人すべてである。共謀罪を免れる一般人という範疇の国民等いない。捜査当局の判断一つで、国民すべてが共謀罪の疑いをかけられ、その捜査のために通信を傍受される。

そこで、この記事にあるXKEYSCOREという通信傍受システムが明確なリアリティをもって我々の目の前に現れることになる。米ネットメディア「インターセプト」が明らかにしたこの情報に関して、防衛省だけでなく、政府の菅官房長官も、出所の明確でない情報にコメントしないと煙に巻いている。だが、上記の通信傍受法改正と、共謀罪法案の成立の流れのなかで見ると、通信傍受システムを国民に対して利用する権力の強烈な意思が見えてくる。

評論家の青木理氏の見解では、公安警察は、通信傍受という強力な武器を手にして、今後、政治家を裏で操るようになる可能性が出てくる。現在の与党政治家達は、短絡的な国家主義で動く安倍首相のもと、民主政治を維持するためのチェック アンド バランスの方法を自ら考えることを放棄してしまっている。

このネット監視システムがわが国でも稼働している。

以下、引用~~~

米NSA、日本にメール監視システム提供か 米報道
石原孝2017年4月24日23時28分

 調査報道を手がける米ネットメディア「インターセプト」は24日、日本当局が米国家安全保障局(NSA)と協力して通信傍受などの情報収集活動を行ってきたと報じた。NSAが日本の協力の見返りに、インターネット上の電子メールなどを幅広く収集・検索できる監視システムを提供していたという。

 インターセプトは、米中央情報局(CIA)の元職員エドワード・スノーデン氏が入手した機密文書に、日本に関する13のファイルがあったとして公開。NHKと協力して報じた。

 報道によると、NSAは60年以上にわたり、日本国内の少なくとも3カ所の基地で活動。日本側は施設や運用を財政的に支援するため、5億ドル以上を負担してきた。見返りに、監視機器の提供や情報の共有を行ってきたと指摘している。

 たとえば、2013年の文書では、「XKEYSCORE」と呼ばれるネット上の電子情報を幅広く収集・検索できるシステムを日本側に提供したとしている。NSAは「通常の利用者がネット上でやりとりするほぼすべて」を監視できると表現している。ただ、日本側がこのシステムをどう利用したかは明らかになっていない。

 また、04年の文書では、通信機器を修理・製造する施設を東京の米軍横田基地に造る際、660万ドルの建設費のほとんどを日本側が負担したという。ここで作られたアンテナなどの機器が世界での諜報(ちょうほう)活動に使われ、「特筆すべきはアフガニスタンでのアルカイダ攻撃を支えたアンテナだ」と記載されていた。日本側の支出についての詳細は明かされていない。

 この報道に対し、防衛省は24日、朝日新聞の取材に「お尋ねの『未公開文書』がいかなる性格の文書であるか詳細を承知していないため、防衛省としてコメントすることは差し控えさせて頂きます」としている。

 インターセプトは、スノーデン氏から文書を提供され、多数の記事を書いてきたグレン・グリーンウォルド氏らが立ち上げたネットメディア。ネットオークション大手「イーベイ」創業者のピエール・オミディア氏が出資している。「ジャーナリズムは、行政や企業に透明性や説明責任を求めるべきだ」を編集方針として掲げ、内部告発などを積極的に求めている。(石原孝)