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新型コロナの後遺症・合併症 

昨日のポストで紹介した、新型コロナの長期予後に関する論文抄録。岐阜大学の下畑教授がfacebookで公開されたもの。私のコメントを( )内につけて、アップしておく。

このウイルス感染は侮れないことを強く感じる。

政府は、多数は無症候性感染、軽症で経過すると判断し、検査を広く行い感染者を把握することを故意に避けているようにしか見えない。分科会の「専門家」、医系技官等は、口をそろえて、PCR検査の「偽陽性」を問題にしている。だが、偽陽性を減らすことはいかようにも可能であるし、またたとえ偽陽性が出たとしても、当人にとって人格侵害になるというようなことはないはず。むしろ検査を十分行わないことによる不利益の方が圧倒的に大きい。

その不利益の一つが、後遺症・合併症に知らず知らずに罹るリスクだ。

改めて、新型コロナは「風邪」ではない。

以下、引用とコメント~~~

◆症状の長期持続(1)基礎疾患のない若年成人でも症状は長期化しうる
米国からの報告.外来PCRで感染が確認され,症状を認めるものの入院を要しなかった274名に対し,検査から 2~3 週間後の電話調査で症状の有無を確認した研究が報告された.35%の症例で咳や疲労などの症状が持続し,もとの健康状態に戻っていなかった.また持病のない18~34歳の患者に限っても,19%の症例はもとに戻っていなかった(図1).COVID-19は,基礎疾患のない若年成人でも,症状が長期化する可能性があることを周知する必要がある.
MMWR Morb Mortal Wkly Rep. July 24, 2020 (doi.org/10.15585/mmwr.mm6930e1)

◆症状の長期持続(2)診断2~3か月後に高率に認められた心筋損傷
ドイツ,フランクフルト大学からの研究.呼吸器症状から回復し,PCR陰性となった100名に対し,感染後64~92日目に実施した前方視的観察研究.対照群と比較して,COVID-19回復患者は,心機能低下(左室駆出率の低下や左室容積の増加など)を認めた.心臓MRI検査で78名(78%)にネイティブT1/T2の上昇,心筋後期ガドリニウム造影効果,心膜造影効果などの異常所見を認めた.60名は進行性の心筋炎を呈していた!また一部の患者の心筋内膜生検では,活動性のリンパ球性炎症が認められた.JAMA Cardiol. July 27, 2020(doi.org/10.1001/jamacardio.2020.3557)

またドイツからの別の研究で,COVID-19で死亡した39名の心筋を病理学的に調べたところ,24名(61.5%)にウイルスRNAが同定され(図2),炎症性サイトカインをコードする遺伝子発現も亢進していた.JAMA Cardiol. July 27, 2020(doi.org/10.1001/jamacardio.2020.3551)

以上より,COVID-19は急性期が過ぎればすべて良くなるわけではなく,将来,心不全やその他の心血管疾患に移行する可能性があり,継続的な心機能の評価が必要である.

(これは結構衝撃的。ウイルス感染で心筋炎の合併症はあることはあるが、これほど頻度は高くない。呼吸器症状があったケースとあるから、ある程度の重症例(または非軽症例)だろうが、この頻度で心筋炎、心不全が起きているのは今後大きな問題になりうる。いわゆる特発性心筋症という重い病気が昔からあったが、こうしたウイルス感染後しばらく時間を置いて、心筋炎の最終病像を見ていたのかもしれない。)

◆症状の長期持続(3)退院時に肺拡散能の低下がみられる
COVID-19を罹患した110名(軽症24名,肺炎67名,重症肺炎19名)の退院時における呼吸機能検査を評価した中国からの報告.最も多い異常所見は拡散能の障害であり,次いで拘束性障害があった.いずれの障害も,疾患の重症度と相関していた.以上より,肺機能検査として拡散能検査も行うべきで,特に重篤な状態から回復した患者に対しては,定期的なフォローアップが必要である.また呼吸リハビリについても検討すべきであろう.これらの障害が持続するかどうかについては,長期的な研究が必要である.
Eur Respir J 2020 56: 2001832(doi.org/10.1183/13993003.01832-2020)

(以前から何度か記している通り、無症候感染者であってもCTスキャンを撮ると、肺炎所見が認められることが多い。だから、この論文に上げられた肺機能異常は、無症候性感染者も将来経験することになる可能性がある。若年者、無症候感染者もこのウイルス感染を侮るべきでない、大きな理由はここにある。)

◆5 歳未満の小児では成人の10~100倍高い量のウイルスRNAが検出される
米国シカゴからの報告.小児は成人と比べて症状は一般に軽症であるが,ウイルス量について比較した報告はほとんどない.発症から1週間以内の軽~中等度の患者145名の鼻咽頭拭い液のウイルスRNA量を年齢別に3群に分けて比較した.患者の内訳は5歳未満(46名),5~17歳(51名),18~65歳(48名)であった.CT値(PCR増幅サイクル閾値のことで,低値ほどウイルスRNA量が多い)の中央値(四分位間範囲)は,順に6.5(4.8~12.0),11.1(6.3~15.7),11.0(6.9~17.5)であった(図3).これは5歳未満の小児のウイルスRNA量は成人の10~100倍も多いことを意味する.つまり小児は,一般集団において感染の促進因子となる可能性があり,警戒を要する.また将来のワクチン摂取のターゲットとしても重要と考えられる.
JAMA Pediatr. July 30, 2020(doi.org10.1001/jamapediatrics.2020.3651)

(乳児期早期を除いて小児は軽症に済むというのが、世界的に一致した疫学的な知見だが、スプレッダーになっている可能性を示す論文。小児が軽症なのは、これまでは、このウイルスの細胞側の受容体ACEIIの表現が少なく、感染量が少ないためと考えられてきたが、免疫反応が弱いためなのかもしれない。遺伝的な因子によって、または何らかの強い免疫反応を起こす個体では、川崎病様の多臓器炎症症候群が引き起こされる。その場合も、心臓の合併症を後で起こすことが可能性がある。)

◆神経合併症(1)脳神経内科医が診察した患者における神経筋症状は88%
COVID-19における神経筋合併症への注目度が増しているが,その頻度やタイプは十分に明らかにされていない.スペインの単一施設による研究で,内科病棟に入院し,脳神経内科医チームによる診察を受けた患者を対象に,神経筋症状の頻度や種類を検討することを目的とした.8人の神経内科医が連続100名の入院患者を対象に評価を行なった.88%が入院中にCOVID-19に関連した神経筋症状を少なくとも1つ有していた(2症候が58%,3症候が29%).最も多かったのは,嗅覚障害・味覚障害および頭痛(各44%),筋痛(43%),めまい(36%)で,次いで脳症(8%),失神(7%),痙攣発作(2%),入院期間中の虚血性脳卒中(2%)であった.嗅覚障害と頭痛は重症度の低い若年患者に関連しており,血清炎症マーカーとも関連していた.脳症は発熱や失神,炎症マーカーと関連していた.以上より,神経合併症は稀でなく,特に脳神経内科医による評価を受けた患者では高率に認められる.
Neurol Clin Pract. July 23, 2020(doi.org/10.1212/CPJ.0000000000000913)

(このウイルスは、神経向性が強く、嗅神経を介して中枢を侵すと言われている。多彩な神経症状を生じる。下畑教授によると、将来パーキンソンや、多発性硬化症のような変性疾患の発症要因になる可能性がある、とのこと。)

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現在、わが国での致死率は3%前後。1000名の感染者がいたら、30名前後は確実に命を失う。さらに、ここに記したような後遺症に悩まされることになる。政府が強引に推し進めているgotoキャンペーンは、国民の生命を奪う政策なのだ・・・。

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