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医師専門職大学院? 

「医は心、育成目指す 都が医師専門職大学院の創設検討」というタイトルで某新聞が、都立の医師養成学校を創設することを検討していると伝えた。

大学卒業者に4年間の臨床医学教育を与えて、医師免許を取る資格を与える構想らしい。教育施設は、どうも既存の都立病院や首都大学東京などを利用するつもりらしい。現在の医学教育が、偏差値教育の産物であり、医師の人間性に問題がある、そうした弊害を取り除くと謳っている。

大学卒業者が、医師を目指すことは大いに結構なことだと思う。ある程度人生経験を積み、他の専門を学んだ社会人が、医師を目指す、とても良いことだ。私も、そうした道を歩んできた一人だから、そうした希望を持つ方の気持ちは分かる。社会としても、そうした医療への志を抱く若人の気持ちを大切にするのは良いことだと思う。

しかし、問題がいくつかある。

一つは、現在の医学教育・医師を簡単に否定するような文言が、この設立趣意に記されていることだ。現在の医療は、WHOによって世界一である評価を受けている。1997年の健康達成度総合評価、2002年の健康寿命ともに世界一だ。こうした全体の成果だけではなく、医師の多くは、恵まれぬ過酷な労働条件で懸命に働いている。それを、一言で否定されては溜まったものではない。こうした事実を見ないで、この案を考えた都の幹部は、何を言いたいのだろうか?

また、教育施設を、既存の都立病院等にするというのも、如何にもお手軽ではないか?戦争中の医学専門学校のように、ただ医師を生み出すことだけを目指せば良いのか(勿論、かの医学専門学校卒業者にもすばらしい医師の先輩方が多くいたことは認めるが)?臨床医になるのであるから、お手軽な教育で良いのか?臨床医として大成するためにも、基礎医学からしっかり学んでもらわねばならない。

大学卒業者に、既存の医学部への門戸が開かれている。むしろ、そちらを拡充し、志望者のモチベーションを重視して学士入学させることを考えるべきではないか?現在の学士入学の多くが、生物・化学系の研究を行ってきた者にしか門戸を開いていないように聞く。そうした研究者を即席に得ようとする大学のエゴを排除することが必要ではないか?

この都のプランが、具体的にどのようなものを想定しているのか、もう一つ見えてこない。想像するに、地方公務員として、上層部の人事に諾々と従う、扱いやすい医師を大量生産しようとしているのではないだろうか。医師の専門性、臨床だけではない、基礎をしっかり学ぶ必要がある医学教育の裾野の広さ等、都のお歴々には、視野に無いのかもしれない。

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