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福島県立大野病院事件加藤医師へ無罪判決 

今日、上記の判決が、福島地裁で下された。長い裁判を戦い抜いた加藤医師に、こころからお喜び申し上げたい。判決の詳細な内容をまずは読んでから、コメントしたいと思うが、急性期医療に最後の一撃を加えられることが当面なかったことを、素直に喜びたい。

この事件は、胎盤癒着という極めて稀な疾患により、病死された妊婦に対する医療の選択が間違いであるとして、福島県警・地検が、主治医であった加藤医師を逮捕起訴したものだ。

様々なネット上のサイトで問題点が議論されているが、どう考えても刑事事件には馴染まないこの事例が、福島県警・検察によって刑事事件化された原因はいくつかある。

まず、賠償保険支払いを急ぎ、主治医に妊婦の死の責任を負わせた、福島県病院局の報告書が、福島県警・検察をミスリードした。福島県官僚の無責任な対応と、それに呼応して玉虫色の報告書を作り上げた、(当時)福島県立病院の医師の責任は重たい。公的病院では、医療事故に際して、こうした対応をすることが多いらしい。これでは、医師は公的病院での急性期医療には、ことに携わることができなくなる。

第二に、このようなケースは、周産期医療の専門家にこそ鑑定を求めるべきであるのに、福島地検が、周産期医療の専門家ではない産婦人科医(専門は、卵巣腫瘍の由)に、この周産期の深刻なケースの鑑定を求めたことが問題である。それに対して、鑑定医が不適切な鑑定をしたことも追及されるべきだ。裁判中に周産期の複数の専門家が、加藤医師の医療行為に問題がないことを証言したことで、この鑑定にまつわる二重の誤りは明らかだ。福島地検は、恐らく彼等に逮捕起訴の最初の根拠を与えた、上記の福島県病院局の関わる報告書を証拠採用を申請していないらしい。それは、癒着胎盤が子宮前壁にかかっていたという地検の主張と相容れない点が、福島県病院局の関わる報告書にあったからだと言われている。このことだけからも、裁判の場で、医学的な「真実」が明らかにされることはない、地検は彼等が起訴した被告を有罪にすることだけを目的に、医学的に観て珍妙な論陣を張ることが分かる。

医療行為を、与えられた医療資源のもとで全力で行い、その結果が思わしくないものであるからと、医師が刑事被告人にされるのでは、医療行為自体が成立しなくなる。患者となりうる国民の方々に、医療は、社会の基盤となるシステムであり、現在そのシステムが、様々な面で脆弱化されていることを理解してもらいたい。さらに、医療には確実に限界があることを知ってもらいたい。10万件の分娩で、数件、生命を落とされる妊婦の方が現実に存在する。それを減らすべく努力しているが、ゼロにすることは恐らく無理なのだ。医療システムを攻撃し、さらに個々の医療行為を行う医師を訴追することによって、結局大きな痛みを負わされるのは、国民自身なのだ。

検察が、加藤医師を控訴しないことを切実に希望する。これ以上の、裁判は、誰のことも幸せにしない。

コメント

良い判決でした

もう自分は、この国の医療について、明るい未来を期待できないと考えてしまっていますが。それでも、加藤先生の名誉が回復されたことについては大いに喜んでいます。

現場で頑張っておられる先生方に、祝福がありますように・・・

署名募集

周産期医療の崩壊をくい止める会で控訴を取りやめるよう要望する署名を募集していますね。
私も早速署名して来ました。
http://plaza.umin.ac.jp/~perinate/cgi-bin/wiki/wiki.cgi?page=FrontPage

鴛泊愁さん

私は、急性期医療の第一線から退いて、時間が大分たちますが、若い後輩諸君がのびのびと仕事ができる世の中になって欲しいと思います。(ただ、診療所が医療訴訟のターゲットになることが多くなっていると聞きますので、他人事ではないのですが・・・。)

KEZさん

私も、早速署名してきました。この1週間程度が分かれ目のようですね。

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