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「周産期医療の崩壊をくい止める会」の新しい方針 

「周産期医療の崩壊をくい止める会」は、福島県立大野病院事件の被告であった医師を支えるために生まれ、彼に物心両面のサポートをしてこられた、と理解していた。今回、同医師の刑事裁判で無罪が言い渡され、同会の今後がどうなるのか、どうするのか注目していた。

今日、同会の責任者をしていらっしゃる福島県立医大産婦人科佐藤教授名で、以下のようなメールが来た。同会は、使命を終えたが、分娩に伴い命を不幸にも落とされる母親が、年に50名程度存在する(この数は、国際比較で最小とはいえないまでも、かなり小さい数なのだ)。そうした方の御遺族に、見舞金を差し上げるようにするので、引き続き寄付を依頼したいという内容であった。

この方針には、私は強い疑問を感じる。第一に、こうした不幸な死亡の多くは、現代の医学でいかんともしがたい死なのであって、それは御家族には受け入れ難い不条理であったとしても、医療に瑕疵がなければ、その事実を御家族に受け入れていただくことが必要なことなのだ。医療者として、救命し得なかったことには、忸怩たるものを感じるところはあるとしても、見舞金のような形での哀悼の意の表現は、御遺族と社会に誤解を招く可能性が高い。

さらに、まだまだ不完全な形だが、産科医療補償制度が公的に開始されようとしている。現制度には大きな問題がある。が、もし御遺族に何らかの補償が行われるべきであるならば、医療者側からではなく、公的な資金によって行なわれるべきことだ。現制度の問題点を解決した新しい制度下で何らかの補償が行なわれるべきことだろう。

同会のこの今後の方針は、福島県立大野病院事件によって、2年間法廷で戦うことを余儀なくされた医師の意向に、果たして沿うことだろうか。私は、全く逆の方向を向くことになると危惧する。

コメント

私のところにもメールが届きました。

財産のある慈善事業家が高額の基金を基に、多額の見舞金制度を設けるのなら話はわかります。
でも、守る会はそういう団体ではありません。
守る会の見舞金の趣旨は理解できますが、先生の仰るように、まずは政府として補償制度を設立することが第一だと思います。

民事も刑事もともに医療裁判を行わないスウェーデン(や隣接する北欧各国)でも、この種の補償がありますが、支給される額は多くはありません。
ニュージーランドも医療裁判をシャットアウトして、同様の補償制度を取り入れていますが、同じように額は多くはありません。

高い税負担を財源として、公教育や福祉や医療が充実しているので、補償金が少なくても国民は生きて行けます。
まずは、そういうことから始めるべきだと思います。

ただ、守る会の募金に関しては、賛同する先生がたも中にはいらっしゃるようですので、医師個人の受け取り方次第です。

公的制度が担うべきことがらですよね。外国の例のご紹介もありがとうございます。

大野病院事件の被告だった医師は、医療の不確実性が社会に受け入れられぬことと戦ってきたわけですから、これでは、これまでの会の目指す方向と逆の方向になってしまいます。

産科医療補償制度も官僚や、保険会社の草刈場にされようとしていますね。

困ったことだと思います。

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