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読売新聞、医療改革の提言のマヤカシ 

読売新聞社が、公的組織を立ち上げて、医師を全国に計画配置するべきだ、という提言を発表した。

これまで繰り返し批判してきたことの繰り返しになるので、ウンザリなのだが、ここで一点強調しておきたいことは、これは、官僚の主張の焼き増し、お先棒担ぎであるということだ。

この記事のネット画面上部には、「タバコ増税絶対反対」の広告が堂々と掲載されている。読売新聞の記者は、タバコの害、それによる医療支出がどれほどの大きさになるのか知らないのだろうか。それを知らないとすれば、医療改革を記事にする資格がないし、知っているのであれば、二枚舌もいい加減にしろと言いたい。


以下、記事引用とコメント~~~


医師を全国に計画配置、医療改革で読売新聞社提言

 医師不足などによる医療の崩壊を防ぎ、信頼できる医療体制を確立することを目指し、読売新聞社は改革への提言をまとめた。

医療は信頼ならないということが前提らしい・・・。我々にしてみると、マスコミの方が余程・・・以下略

 お産、救急医療、認知症の介護などが安心して受けられるよう、直ちに実施すべき「緊急対策5項目」と、中長期にわたる「構造改革5本の柱(21項目)」からなる。提言は、医師不足の地域や診療科に若手医師を計画的に配置するのをはじめ、医師派遣を調整する公的機関を創設するよう求めている。財源として、2011年度までに消費税を「社会保障税」に切り替えて、税率を10%に引き上げるよう訴えている。

 読売新聞社は、編集局、論説委員会、調査研究本部の専門記者による社会保障研究会を編成し、有識者との意見交換や、医療、介護現場の取材を通じ、医療・介護の改革について検討してきた。今回の提言は、4月の年金改革提言に続き、超少子高齢社会にふさわしい医療・介護の社会保障の方策を打ち出したものだ。

 医療・介護は国民全体が使う公共財であり、医療を提供する側、利用する患者側ともにルールが必要、との認識に立っている。

医療について報道するマスコミが、医療を窮地に押しやっている自覚がない。医療が公共財であるというならば、何が、医療の公共性を破壊してきたのか、しているのか、よく反省してもらいたいものだ。

 まず緊急に取り組むべきなのが、医師不足対策だ。

 医師不足が問題化したのは、2004年度に始まった医師の新たな臨床研修制度(義務研修)がきっかけだ。研修先として、出身大学ではなく、都市部の有力病院を選ぶ新人医師が増え、地方の大学病院などの人手不足が深刻になった。医師が、勤務する診療科や地域を自由に選べるため、偏在につながっている。

 そこで、医師の研修先を自由選択に任せるのではなく、地域・診療科ごとに定員を定め、計画的に配置するよう制度を改める。対象は、義務研修を終えた後、専門医を目指して3~5年間の後期研修を受ける若手医師とする。そのため、地域の病院に医師を派遣してきた大学医局に代わり、医師配置を行う公的機関を創設する。

初期研修の結果が、医療供給体制を混乱させたことは指摘の通り。さらに、研修医の実力向上に繋がったのか・・・残念ながら、そのようなことは一向に聞こえてこない。それなのに、初期研修制度は、何も手をつけずに、その後の後期研修の時期に、専門・研修医療機関別に強制的に研修医を配置する、ということらしい。初期研修の弊害の上に、さらにもう一つ大きな弊害をもたらす制度を作るになる。

大学医局が担当していた、医師の地域医療への配置を行う機能を「公的機関」に担わせる、という提言は、初期研修制度を導入した時点から、官僚が繰り返し諮問会議などを通して公表してきた方針だ。地方自治体が、医師募集をかけているが、それに対する医師の応募状況をみてみるが良い。惨憺たる結果だ。官僚達は、大学医局の肩代わりをし、そこで天下り先を確保する意向なのだろうが、それは失敗し、これまで以上の惨状になることだろう。初期研修制度を撤回できない、ないし根本的な改善をできない理由は、この制度に伴う天下り先を少なくとも三つ既に作り上げており、その既得権を失いたくないためと言われている。官僚が、医療を破壊し、国を危うくする、新たな実例だ。


 産科、小児科など医師不足が深刻な分野では、病院の医師は当直明けで日勤をこなすなど厳しい勤務を強いられている。医師を増やすなどで過重勤務を緩和することが必要だが、開業医に比べて勤務医の給与が低いことも問題だ。激務に見合った報酬を得られるよう、緊急に診療報酬を改定して待遇を改善すべきだ。

診療報酬を改定して、勤務医の待遇を改善するという触れ込みの診療報酬改定は既にこの春実施された。開業医の診療報酬を大幅に削って、その財源を確保したようだ。その結果がどうだったのか、きちんと検証しなければならないだろう。開業医と勤務医は、経験も年齢層も全く異なり、開業には、起業するリスクも伴う。それを並列にして議論することは、結局、開業医の労働条件・収入を劣悪にして、勤務医に開業させぬことを目指しているのだろう。開業医を潰すのも結構だが、それによる地域医療の混乱は誰が責任を取るのだろうか。実験的にやってみる、程度の認識なのか。

当直明けで日勤をこなすのは、産科・小児科だけに限ったことではない。この労働基準法を犯す就業が、全国の全科で日常的に行われているのだ。産科にはとりわけ医療訴訟の危険があり、小児科は救急の多忙さがあり、それで医師が不足している側面が強い。金の問題だけではない。


 妊婦ら救急患者が何か所もの病院で受け入れを断られる「たらい回し」の背景には、救急病院の人員が不十分なことがある。地域の開業医が交代で病院に詰めて救急医療に参加する体制を、早急に整えるべきだ。中長期的には、救急病院「ER」を全国400か所程度に整備する。

救急医療の問題と、産科医療機関・産科医の減少の問題をごっちゃにしている。こんなことで、専門家・有識者が検討したと言えるのか。あくまで「たらい回し」に固執する悪意には辟易する。

開業医を救急に動員するのも、官僚が昔から描いているプランだが、平均年齢60歳近くの開業医が、第一線の夜間救急に携われるだろうか。深夜の救急業務を通常業務として義務化されたら、開業を止める医師が続出するだろう。ERを増やすのは良いが、誰がERの仕事をするのか。さらに、ERで対処しきれぬ患者、慢性化する患者の受け入れ先はどうなっているのか。お寒い限りだ。

 
 医師や医療機関による治療技術の格差を是正することも重要だ。学会が認定している専門医制度は、技量を厳しく評価する仕組みに改める必要がある。

治療技術の格差を測る物差しは、少なくともマスコミにはない。さらに、専門医制度で治療技術の向上を図るというのは、何か絵に描いた餅、机上の空論のような気がしてならない。現に今現場で医療を担っている中堅医師を何故大切にしないのだろうか。少なくとも、地域医療のレベルでは、世界有数の成果を上げてきている医療制度を、こうして壊す算段をしながら、一方では、治療技術の格差是正とは苦笑を禁じえない。

 さらに、医療事故の原因を究明し、再発防止に生かす医療事故調査委員会の設置を急ぐべきだ。

拙速は駄目。大綱案の問題を現場が指摘し続けているのに、それを無視しようとする官僚の援護射撃か。

 高齢化で、認知症や寝たきりの患者が急増し、重い介護負担に苦しむ家族は多い。だが、介護サービスに対する報酬が抑えられた結果、介護職員の給与は低く、離職者が相次ぎ、人材不足が深刻だ。介護施設の経営も悪化している。

 介護報酬を緊急に引き上げて職員の待遇と施設経営を改善し、介護を受けられない「介護難民」が出るのを防ぐべきだ。簡単な介護サービスを行う高齢者向けのケア付き住宅を今後10年で倍増させる必要もある。

ケア付き住宅の提案は良いが、現在国が進めている、在宅医療の推進はどうなるのだろうか。ケア付き住宅倍増程度ではとても追いつかない。介護難民、老々介護、シングル介護が表面化しているのに、介護施設の増設は認めず、在宅介護推進一本やりだ。在宅介護を行える、人的に、経済的に十分な余裕のある家庭はどれだけあるのだろうか。
 
 医療、介護の現場が危機に直面しているのは、社会保障費について、政府が予算編成で、高齢化による自然増分(年約8000億円)を毎年2200億円抑制してきたことが一因だ。不必要な歳出を削ると同時に、超少子高齢社会に必要な施策には財源を投入すべきであり、やみくもな抑制路線は改めなくてはならない。

 財源については、本紙の年金改革提言で提案したように、消費税を目的税化して税率10%の「社会保障税」とすべきである。

2200億円の社会保障費抑制は、毎年積み重なるので、5年後にはトータル3兆3千億円の抑制になる。自然増を抑えるだけと言うが、自然増分は、絶対必要な予算なのだ。この社会保障費抑制政策を始め、推進してきた、経済界・小泉政権を、読売新聞を始めとするマスコミは、どれだけ批判的に論評してきたことだろうか。ここまで医療を疲弊させておいて、既に時遅しではないだろうか。

(2008年10月16日03時06分 読売新聞)

コメント

ssd先生のブログにも、書き込みました。
ちょっと、品が悪い言葉遣いですが、お許しを

”計画倒れ経済”
http://ssd.dyndns.info/Diary/?p=2437

読売の記事、読んだで。

フランス、ドイツ、アメリカで医師を計画的強制配置だと?はぁーーー?
読売の記事書いた記者さんよ、あんたら、ほんまにフランス、ドイツ、アメリカのこと調べて書きよったんか?
あのなー、フランス、ドイツ、アメリカの病院で働いてた医者も日本にはおるねんで。
ワシみたいに、数年前にフランスのすぐそばの国で医者してたやつもおるねん。
そないな奴がおることも知らんと、よーウソばっか書くわー、ほんまに。
おまえら、まとめて、しばいたとろか!

ほな、いくで。
フランスはなー、医学部進学が第一サイクルゆうて、バカロレアの数学、物理、化学、生物の試験に合格すればフツーに入れるねんで。
その1年後になー、コンクール言うて、全国試験の成績でもってな、医学部入学者の成績上位の10%か20%が第二サイクルに進むのや。あとの8割か9割は医学部第二サイクルにいけずに歯学部か薬学部に進むさかいに、医者にはなれん。
第二サイクルいうのはやな、言うてみれば、医学部の基礎医学課程や。ほんで、ここまで進めば、大体が第三サイクルいうて、医学部臨床医学課程に進む。第二サイクルに進みよった奴にオチコボレは少ないし、殆どが医者になる。
日本とちゃうのは、医学部進学が大学受験だけで決まるのでなく、医者になりたい奴も、歯医者になりたい奴も、薬剤師になりたい奴も、みーんな大学の医学部予備課程に進んで、1年後に本試験があって、そんでもって進路が分かれることだけや。
あとは同じ。ま、よーするに、選抜が大学1年入学直前と1年目の終わりに2回あると言うことやな。

そんでな、第三サイクル終了時に国家試験があって、上位半分は専門医養成コース、下位半分は家庭医コースに進むのや。ここまでで医学部卒業。
あとは、専門医コースが6~7年間、家庭医コースは2~3年間。全部終われば、専門医資格と家庭医資格が取れる。
ま、フランスは医学部が全部が国立で、ほかのヨーロッパのいくつかの国と同じように授業料ダダやさかいに、金のーても医者になれるで。

強制配置なんて、聞いたことないわ、フランスで。
成績順に希望の診療科目、希望の地域の病院、に行けるなんぞ、日本の研修医募集システムと殆ど変らんやんけ。
フランスでは、研修医募集の地域や病院や診療科目の人数制限があるから日本とちゃうと読売記者はほざいとったが、どこが日本とちゃうんや?えっ、言うてみぃ!同じやんけ。
成績順に定員まで各病院が研修医を採るのは日本も同じやろ。
日本は無制限に希望者全入とはちゃうやろ。なにボケとるねん、読売の記者さんよー。

日本でも、研修医試験があかんかったら、希望するとこと違うスベリ止めの病院に行きまんがな。

あとは、アメリカとドイツのことも生半可な知識で書いておるから、信用できん。

追加や。
ワシのコメント「強制配置なんて、聞いたことないわ、フランスで」
・・・あのな、読売の記者さんよ。フランスで研修医や専門医の強制配置案が憲法違反ってことになりよって、ボツになった事実も知らんのんか。今年のことやで。
なーんも知らんと、外国のこと書くなや。

医師配分の記事なんど、もう金輪際、書かなくても、えーで、読売の記者さんよー。
書くだけ、恥の上塗りやで、無知さらけだしおって。

全く同感です、が・・・

人はどのような愚かな主張であっても、目にし続ければ流される傾向があるのも事実。事情を知る人間には子供だましの文章ですが、しっかり反論していく必要があるのでしょう。

実に、徒労ではあります・・・

お二方、コメントをありがとうございます。

どうも、官僚の方針のお先棒担ぎだけのような気がします。これが、医療・社会福祉を専門とする新聞人の見解かと思うと、暗澹たる気分になりますね。

しっかり批判をしてゆかねばと改めて思います。

相変わらずのゴミ売り

 徴医制度なんて戦時でもないのに出来るわけないでしょう。馬鹿ですね。
 強制的な配置など行えば、医師免許持っても臨床医にならない人間がどんどん増えるだけですw

そうそう、こうした施策がマスコミによって観測気球として打ち出されるだけで、若い医師の士気が落ちることでしょうね。医師や医療従事者の使命感だけで維持されてきた医療が崩壊して、初めて、官僚とお先棒担ぎのマスコミ人達は、自分達が何をしたのか理解するのでしょう。

落ちた士気を戻すことは、きわめて難しいでしょうね・・・。

お久しぶりです

やはり先生も取り上げてらっしゃいましたか。
うちは、読売新聞を‘愛読’していましたが、政治・医療に関する偏向報道が酷いのでやめました。
が、知人が「読売が医療の提言してますよ」と教えてくれたので、パソコンで見てみました。

酷い内容ですね。
素人の私でもツッコミどころが満載ですよ。
先生の解説が一々正論で、なんだか逆に笑えてきました。
まあ、以前よりは、医療に関する認識はマシにはなりましたよね、マスコミも。
でも、今更、こんな風に偉そうに提言されても腹立たしくなります。
まず、反省せよ、と言いたい。


どうしても言わずにいられなかったので、遅いコメント、お許し下さい。

たかさん

お久しぶりです。お元気でしたか。

そうですね・・・後で出た同新聞の記事で、この提言が、官僚の提灯持ちのプランであることがバレバレになりました。

マスコミは、自分で検証し、記事にする能力がなくなってきてしまっているのでしょうか。マスコミにより世論を誘導しようとする官僚の意図にも、何かどす黒いものを感じます。

我々は、マスコミをいつも批判的にみるリテラシーを持ち、せいぜいネットでの情報を吟味して、自分なりの見解を持つ必要がありますね。現状のマスコミは、余りにも酷いです。

医療問題については以前からおかしいと思ってきましたが、これでは、すべてのマスコミ報道に関してまずは批判的に見てゆく必要がありそうです。

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