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救急医療需要の抑制 

先日の日曜日、Alan AC2Kに14メガで会った。シアトル近郊に住む彼とは、何度となく交信している。やはりリタイアの話題になったが、彼はまだ数年間は仕事を続けるつもりのようだ。彼は、非常通信網の構築と保守関連の仕事をしているらしいが、カバーする地域がローカルから、州単位に広がり、州職員になったらしく、とても張り切っていた。

非常通信では、救急も取り扱うとのことだった。救急車の利用コストについて尋ねてみた。高機能の救急設備を備えた政府が運用する救急車の利用料はとても高い、とのことだった。後で、ネットで調べてみると、一度用いると大体500ドル以上はかかるらしい。走行距離、必要な処置等によっても異なるだろうが、かなりの費用である。一方、簡易な救急は、民間の救急車が扱い、こちらはそれほどはかからないとのことだった。

米国で救急車を使うのに、利用料金を取られることを以前から聞いてはいたが、これほどの利用料金とは驚きだ。

さて、わが国での現状はどうか。原則、無料である。救急車に医師が同乗して搬送した場合、医師の帰りの交通費は、医師・医療機関の持ち出しになる。救急隊員・医療従事者の人件費、救急車の償却費・維持費それに救急医療処置に要した費用などを考えると、かなりの額になるはずだ。それが、現状では無料なのだ。

救急医療の疲弊が語られて久しいが、少なくとも小児科に関する限り、軽症患者の夜間受診がその大きな理由になっている。救急医療のキャパシティを超える需要が生まれてしまっているのだ。救急車の利用も、それを反映している。私の仕事場のような小さな施設には、救急車が来ることは少ないが、救急車で運ばれてくる6,7割は軽症患者である。

この需要が、供給を超過している現実を、政府は、供給側がこれまで以上に効率化し、労働強化することによって乗り越えさせようとしている。医療がどんどん低コスト化される一方で、供給は、その効率化の要求には応じきれなくなっているというのが現実だろう。この現実を患者さん・その親御さんに理解していただくことが必要で、その教育は普段かかりつけの開業医が行うべきことなのだろうと私は考えている。その一方、救急受診のし易さに何らかの歯止めをかける、即ち需要を抑制する必要がある。

その対策の一つが、救急車の有料化ではないか、と考えるようになってきた。軽症患者が救急車を利用する問題は、救急医療の疲弊の一断面に過ぎないが、救急車有料化が、救急医療システムを改善してゆくきっかけになるかもしれない。米国ほどではなくとも、高度救急医療を提供する救急車の利用は有料化すべきである。低収入層には、一旦支払ってもらった後に、その一部または全額を還付すれば良いだろう。

下記の救急医療の「東京ルール」についての報道も、二次救急医療機関を「幹事」に指名し、そこで救急患者の搬送先を探すという、とても解決策とは言い難い制度を恰も解決策であるかのように報じているが、むしろ後段の「トリアージ」「患者の意識改革」の提言をこそ、この協議会の結論では評価すべきなのではないだろうか。

供給はアップアップしているのだ。いかに医療供給側の「合理化」を進めても、もう受け入れを増やす余地は少ない。需要側が無制限に、医療というインフラを利用することに歯止めをかけなければならないのだ。



以下、引用~~~

患者受け入れ調整で「地域救急センター」設置へ―東京都



 搬送患者受け入れの迅速化などを検討している東京都の「救急医療対策協議会」(会長=島崎修次・杏林大医学部救急医学教室教授)は11月14日、第2回会合を開き、最終報告案を大筋で了承した。報告案には、二次救急医療機関の機能と連携を強化するため、都内に12ある二次医療圏内にそれぞれ、患者の受け入れ調整などを行う「東京都地域救急センター(仮称)」を設置することなどが盛り込まれた。

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 報告案は、都民と医療、消防、行政の各機関が協力して救急医療を守るため、「東京ルール」を推進すべきだと提言。基本的な取り組みとして、(1)救急患者の迅速な受け入れ(2)「トリアージ」の実施(3)都民の理解と参画―の3つを挙げている。

■「地域救急センター」は患者受け入れの「幹事病院」
 (1)では、通常の対応で医療機関の選定が困難な場合、一時的に受け入れた救急医療機関が応急治療を行い、必要に応じて他の病院に転送する「一般受入・転送システム」導入の必要性を強調。都内に12ある二次医療圏に、それぞれ複数の「地域救急センター」を置くことを提言した。
 地域救急センターは、救命救急センターとも協力しながら、患者受け入れの調整や情報管理などで地域の「幹事病院」の役割を果たし、他の医療機関が受け入れ困難な場合は、一時的な搬入も含め積極的に受け入れるよう努めていく。地域救急センターで患者受け入れの調整が難航した場合は、東京消防庁司令室に配置されたコーディネーターが複数の医療圏間の調整を行う。
 報告案は、救急救命士など現場に精通した専門職がコーディネーターとなり、同庁に配置された救急隊指導医の助言、指導を受けながら調整することが望ましいとしている。

 東京消防庁が運用している救急医療の情報システム(周産期システムとは別)については、今年2月に総務省消防庁が実施した調査で、情報の即時更新を行っている全国の医療機関の7割が東京都所在だった実績が示されたが、現在、各医療機関が入力した情報は消防機関のみで共有されているため、同協議会は「救急医療機関が互いに参照できるように早急に改善する必要がある」と結論付けた。

 二次救急医療機関の機能強化の重要性の大きさから、特に同機関を地域救急センターに指定することが望ましいとして、指定要件の一例に、▽地域内の患者受け入れの調整役として、働く医師がいる▽休日、全夜間帯にも専任の救急看護師を配置している▽救急患者の受け入れ状況を検証する院内会議を設置している―などを挙げている。

■救急医療患者にも治療の優先順位
 (2)では、救急医療における「トリアージ」の必要性が指摘された。
 トリアージとは一般に、災害時など多数の傷病者が一度に発生した際、搬送や治療の効率化のため、重症度に応じて治療の優先順位を決めること。救急車で搬送された患者の約6割が、初診時で「軽症」とのデータもあることから、限られた医療資源で最大の効果を得るには、救急医療現場にもトリアージが必要であり、地域救急センターが先行的に実施・検証を行い、地域の救急医療機関に広げることが有効だとした。

■患者である都民も意識改革を
 (3)では、救急医療における医師など医療資源の不足から、「都民自らが『救急医療は重要な社会資源である』という認識を持ち、適切な受療行動を心がけることが重要」として、患者側の意識改革を提言。都民と医療従事者が交流するシンポジウムの開催など、救急医療の現状やその改善に向けた取り組みについて、患者側の理解促進を図る必要性があると強調している。
 さらに、昨年の総務省消防庁の調査で、人口10万人当たりの都内の救急医療機関数が2.7で、全都道府県で43位だったことを挙げ、都民に安心感を与える相談事業の重要性も指摘した。

■救命救急センターとの連携が必要
 報告案を受けて島崎会長は、「日本の救急医療の再生にかかわる素晴らしいモデルケース」と高く評価。「東京ルール」の中で相互補完の関係になる地域救急センターと救命救急センターについては、「うまく協調、連携してほしい」と要望した。
 青梅市健康福祉部長の関塚泰久委員は、「その他の課題」の項目に記載された「かかりつけ医」について、「都民に重要性を理解してもらえるように、(3)の文言の中にも入れてほしい」と提案した。

 また、母体搬送について事務局が、「東京ルールは救急車での搬送システムであり、病院間に関しては想定していない。周産期のシステムは、総合周産期母子医療センターが地域の元締の役割を担っているため、今回のルールで別のものを入れる必要はないと思う」と発言。
 これに対して昭和大病院副院長の有賀徹委員は、母体搬送に関連した事案でも、状況によって一時的な受け入れシステムを適用し、地域救急センターが応急治療や受け入れ調整を行えば、東京ルールの範囲内だとの認識を示した。その上で、「そのような事態をこちら側が考えていれば、産科医とのディスカッションの中で、(情報システムの)相互乗り入れのようなことが成就していくのではないか」と述べた。

 都は月内にまとまる予定の最終報告を踏まえ、必要経費を来年度予算に盛り込む方針だ。






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