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単純な、それでいて重大な・・・ 

薬品の取り違え投与によって、患者さんが死亡するという事故が起きた。サクシゾンというステロイド剤を、サクシンという筋弛緩剤と取り違えたものだ。単純なミスだが、重大な結果になったもので、痛ましい限りだ。

この事件を、業務上過失致死として立件するかどうか、警察が調べているようだ。この過失を犯した医師に一義的な責任があるが、問題はそれだけではない。

まず、これら二種類の薬品名が、紛らわしいことは以前から問題にされていた。こうした紛らわしい薬品名の薬品を市場に流通させ続けているシステムエラーがある。こうした思い込みによる過失は、人が扱う限り必ず起きる。それを放置している監督官庁の責任は大きい。

さらに、この事故を起した当直医がどのようなシフトで仕事をしていたかも問題にされるべきだ。本来、当直とは、ほとんど仕事をせずに済み、睡眠も取れる勤務状態を意味するが、実際は、日中の業務と同じ内容の仕事を行ない、睡眠がほとんど取れない夜間労働になっている。当直医は、当直前後の日中の勤務を含め、36時間連続労働を行なうことが常態になっている。そうした医師の労働環境を是非調べてみて欲しいものだ。

さらに、こうした単純でありながら、重大な結果に結びつく過失が、他の医療従事者ないし医療機関内のチェックシステムによって何故未然に防げなかったのかも検討されるべきである。医療機関内のシステムエラーの問題だ。

当直医だけの業務上の過失の問題に留めてはならない。同じ痛ましい事故を防ぐためには、上記の点を徹底して検討し、改善する必要がある。


以下、引用~~~

当直医らを聴取:名称似た薬剤取り違え 健保鳴門病院
08/11/21
記事:毎日新聞社
提供:毎日新聞社


健保鳴門病院の医療事故:名称似た薬剤取り違え 鳴門署、当直医らを聴取 /徳島



 ◇70歳患者死亡

 健康保険鳴門病院(鳴門市撫養町黒崎)で明らかになった薬剤の誤投与による医療事故。筋弛緩(しかん)剤を点滴された患者が死亡する深刻な事態に、19日夜会見した増田和彦院長は「事故を繰り返すことのないよう、医療安全への取り組みを見直し、再発防止に努める」と述べ、謝罪した。病院から届けを受けた鳴門署は、業務上過失致死の疑いもあるとみて、当直医ら関係者から事情を聴いている。【岸川弘明、深尾昭寛】

 死亡したのは、10月下旬から肺炎などで入院していた鳴門市内の男性患者(70)。病院によると、男性は近く退院できる状態まで回復していたが、17日午後9時過ぎに39・4度の高熱を出した。通常の解熱鎮痛剤では喘息(ぜんそく)発作を起こす患者だったため、女性当直医が解熱効果のある副腎皮質ホルモン剤「サクシゾン」の処方を決めた。

 当直医は電子カルテから薬剤を処方するため、コンピューターに「サクシ」と入力。検索結果の画面には筋弛緩剤「サクシン」のみが検出され、当直医は十分確認せず200ミリグラムを処方した。サクシンは手術時の麻酔などに使われるが、毒薬指定されており大量投与では死に至る可能性もあるという。

 薬剤師は使用目的を把握せず「通常の使用量を逸脱していない」と判断しサクシンを調剤。筋弛緩剤の使用を不安に思った看護師は「本当にサクシンでいいんですか」「どれくらいの時間で投与するのですか」と確認したが、サクシゾンと思い込んでいた当直医は「20分くらいで」と投与を指示したという。

 点滴後、病室を見回った看護師が午後11時45分ごろ、男性の異変に気付き医師や家族に連絡。男性は呼吸停止し、心臓マッサージや人工呼吸が施されたが18日午前1時45分に死亡が確認された。死因は急性薬物中毒による呼吸不全とみられる。

 名称が似た二つの薬剤を取り違える医療事故は過去にもあり、厚生労働省が注意喚起していた。00年11月には、富山県内の病院でサクシンを注射された男性患者(当時48歳)が死亡。その際、医師は「サク」の2文字で薬剤を検索していた。鳴門病院でも取り違えを防ぐため、5年ほど前からサクシゾンを取り扱っていなかったが、今春着任した当直医は事情を知らなかったという。

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