FC2ブログ

この医者はまだ若いので 

宮沢賢治がこんな詩を書いている。さまざまな意味で、このような医師は存在し得なくなってしまった。


                    ~~~~~~~~~~



この医者はまだ若いので

                            宮沢賢治


この医者はまだ若いので

夜もきさくにはね起きる、

薬価も負けてゐるらしいし、

注射や何かあんまり手の込むこともせず

いずれあんまり自然を冒涜してゐない

そこらが好意の原因だらう

そしてたうたうこのお医者が

すっかり村の人の気持ちになって

じつに渾然とはたらくときは

もう新らしい技術にも遅れ

郡医師会の講演などへ行っても

たゞ小さくなって聞いてゐるばかり

それがこの日光と水と

透明な空気の作用である

こゝを汽車で通れば、

主人はどういふ人かといつでも思ふ

この美しい医院のあるじ

カメレオンのやうな顔であるので

大へん気の毒な感じがする

誰か四五人おじぎをした

お医者もしづかにおじぎをかへす

コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://nuttycellist.blog77.fc2.com/tb.php/1252-b708c2f4