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臨床研修制度改変・・・朝令暮改の類? 

臨床研修制度が、始められて5年。目的は、オールラウンドの仕事ができる臨床医を育てることにあった・・・表面上は・・・。影の目的は、大学の医局制度を壊して、医師の人事権を行政側が得ることにあった。

ところが、大学医局が弱体化されたために、大学が地域医療機関に派遣していた医師を引き上げざるをえなくなった。また、そうでなくtも人出不足であった産科・小児科・救急等の医師不足が顕在化した。

そこで、臨床研修制度の改定だそうだ。

研修期間を1年に減らし、研修科目も減らすらしい。

もともとの目的は一体どうなったのか。大学病院に研修医を戻すつもりなら、大学病院での劣悪な研修体制も同時に根本的に改めなければならないのではないのか。その面での改善は進んでいるのだろうか。

研修医を取りたい大病院と大学病院のエゴがミエミエなのだが、これでよいのか。

医師不足とは、研修医不足ではなく、地域の中核病院で働く、中堅の医師の不足だが、こんな小手先の変更で、その不足が解消されるとは到底思えない。

官僚は、こうして少しずつ、医師の人事権を手中に収める積りかもしれないが、制度改変の目的と結果をごっちゃにして、さらに問題を複雑化させるように思える。



以下、引用~~~


医師臨床研修1年短縮へ 「短い」「甘い」現場反発 人手確保、効果疑問も
09/02/17
記事:毎日新聞社
提供:毎日新聞社


医師臨床研修:1年短縮へ 「短い」「甘い」現場反発 人手確保、効果疑問も



 医師不足の原因ともいわれる新人医師の臨床研修制度を見直す動きが、現場で波紋を広げている。厚生労働省と文部科学省は10年度から、人手確保のため研修期間の実質1年短縮を認める意向で、18日にも専門家検討会で結論をまとめる。しかし「1年で十分に学べるのか」と懸念する医師は多く、見直しの目的である医師不足解消にも、効果を疑問視する声が出ている。【清水健二、河内敏康】

 「専攻する気のない科の研修は、意欲をそぐ」(大学病院医師)

 「やる気がない研修医を甘やかして制度を変えていいのか」(患者団体代表)

 今月2日の検討会は、各委員の主張が激しくぶつかった。焦点は2年間で7診療科を回る現行制度の是非。1年短縮の賛成派は「必修科目を減らし、残りは専門分野で学んだ方がいい」、反対派は「診療能力向上の理念に逆行する」と、議論は平行線をたどった。

 新人医師の多くはかつて、出身大学の医局(診療科)に所属し、雑用に追われ、専門以外の診療能力も育ちにくい状況だった。これを是正するために現行制度が導入された。厚労省研究班の調査では、研修医が2年で経験する症例数は徐々に増えており、内容に過半数が満足している。

 だが厚労省は、効果の検証をしないまま、研修短縮ありきで見直しを始めた。舛添要一厚労相は早くから「2年を1年に」と話し、全国の病院の約6割が加入する四病院団体協議会などの反対意見は、事務局作成の「たたき台」に反映されなかった。

 期間短縮に強い危機感を抱くのが、必修から外される診療科の医師だ。日本精神神経学会の小島卓也理事長は「内科や外科の患者もうつ病などを併発するリスクは高く、どの専門でも精神科の研修は必要」と力説する。

 一方、研修が短くなれば地域の中核の大学病院に早く若手医師が戻ってくる、という厚労省の思惑にも、疑問の声が上がる。関東の大学の小児科講師は「研修医は都市部の大病院を選ぶ傾向が強く、期間や定員の変更では大学病院に残らない。地域医療を支える自負心を育てる教育が重要だ」と指摘。岩手医科大の小川彰学長も、見直しには賛成しつつ「診療科別の定員設定に踏み込まないと、産科など労働環境の厳しい診療科の医師不足は続く」と予測する。

 大学医学部の卒業生は毎年約8000人。その数の新人医師を働き手に組み入れても医師不足の根本解決にはならず、埼玉県済生会栗橋病院の本田宏副院長は「医師の絶対数を増やし、地域の実情に応じた細かい対策を取るべきだ」と訴える。

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 ■ことば

 ◇医師臨床研修

 医師法に基づき04年度から現行制度が始まり、原則1年目に内科(6カ月以上)、外科、救急・麻酔科を、2年目に小児科、産婦人科、精神科、地域保健・医療(各1カ月以上)を学ぶ。見直し案は、必修を内科(6カ月以上)、救急(3カ月以上)、地域医療(1カ月以上)のみとした。研修先は自由に希望できるが、地方や大学病院を選ぶ研修医が少なく、見直し案では都道府県ごとに募集定員を設けるとしている。



コメント

研修医様様様…

先生…「大学病院での劣悪な研修体制」というのは些かステレオタイプです。
今や「研修医様」ですから。かつてからは考えられぬほど大学の研修環境は改善されました。いわゆる雑用もほとんどありません。

それに制度に問題があれば、朝令暮改といわれようとも訂正する事が必要でしょう。

研修制度は研修医のためではありますが、医療制度は国民のためのものです。研修制度が医療制度に影響を与えている以上、研修制度に手を加えるのも是でありましょう。

臨床研修制度は、いい医者を育てて来なかった、というのが私の現場で感じる感覚です。
いい研修医はいますが、それは研修制度によっていい研修医になったわけではない。
いい研修医になれるかどうかのギリギリの奴は今の研修制度でダメになった、そう考えます。

研修医様様様のためにあれこれしてきましたが、もう嫌になりました。

No title

以前にも同じやり取りをさせて頂いたようにも思いますが、大学病院で研修医教育・診療他に苦労なさっているQWさんにしてみると、確かにそのように感じられるのだろうなとは思います。

ただ、それほど優れた研修制度になっているのならば、どうして大学に研修医が残らないのでしょうか。半強制的に残すような制度にしないとならないのでしょうか。

各県の研修医数の、臨床研修制度前後での変化は、大きな変化がない、むしろ東京等では減少しているようです。要するに、大学病院から市中病院に研修医が行く傾向が強くなっている。大都市志向ということではなさそうです。

この点の分析と、対策が、大学側でなされないと、前期研修で研修医をある程度囲い込めても、その後、市中病院に出てゆくということだけに終わらないでしょうか。パンドラの箱は、行政によって開けられてしまったのですが、その点は大学人の自覚は十分なのでしょうか。

後期研修以降も、行政主導の医師強制配置システムが構築されているようで、どんなことになるやらと半ば諦めの気持ちと、どこまで医療崩壊が進めば、行政・国民が分かるのかという好奇心半分で眺めているのですが・・・。

No title

よその大学は分かりませんが、私のよく知る当大学は、昨年の倍近くに研修医が増えました。また田舎とはいえ当県の研修医増加については今年度その数、率についても全国第一位となっております。

臨床研修制度は明らかに当県の研修医を減らしました。
H16年 100人
H17年 98人<<ここで臨床研修制度開始
H18年 91人
H19年 70人
H20年 73人
H21年 94人

H19年、H20年は関東指向が強く、多くの研修医が出ていきました。(…で実は結構、すぐに戻ってきてものもいます)。それから大都市指向も相当あります。今年度人口10万人当たりのマッチ者数というデータがあります。ダントツで東京がトップです。次が沖縄、次いで京都、福岡が続きます。まあ、過去のものとの比較はないので、制度がどれだけ影響しているかは定量化できないのですが…。当県の研修医の動向を併せて考えると、相当に大都市指向が強いだろう、と結論しています。

彼らのこの挙動は、きちんとしたデータや考えに基づいてされていたのではなく、雰囲気に流されていた、と思っています。逆に言うと、今彼らが戻ってきているのも雰囲気によるものである可能性があり、注意が必要ですけど。しかし、とにかく今では、関東でしくじった連中が後輩に正しいアドバイスしてくれているので大学に回帰してきています。そういう意味ではH19年、20年の2年間も無駄ではなかったかな、と。

かわいそうなのはこの5年間の臨床研修制度で育った研修医達です。大学離れはいいけれど、寄る辺を無くしてしまわないかどうか…。聖路加も、虎ノ門も、亀田も、国際医療センターだっていい研修病院のトップになる人たちは皆、その病院の叩き上げではありません。
そういった病院で後期研修までしても、彼らは5年たったら自分のつてで新しい就職先を探さなければなりません。そしてその時、移る病院は、今研修をしている病院よりも規模の小さい、そして中央からより離れた病院になる可能性が大きいです。大きな病院は研修医がどんどん来ますので、6年目でスタッフになりそうな(金のかかりそうな)くらいの若手を雇う必要はないわけです。専門医の取得も無ければ何のアドバンテージもありませんから。

結局、大学病院が搾取といってましたが、今度は大手の研修病院が若手の労働力を搾取しているだけですね。かわいそうな研修医達…。大学は面倒を見ますが、研修病院は後期研修が終わればそれで関係は絶えますのでなおさらタチが悪いです。(もちろんそうではない例もあるかも知れません)

この5年間の臨床研修制度で育って、かつ大学離れをしてしまった研修医達…今後一つの団塊として彼らの挙動に注視していきたい、と思っています。

…一つ誤解して頂きたくないのは、ここで私とSHINさんとで、考えていること、指向していることに大きな相違はないのであろう、ということです。
今回、私が不必要に噛み付いてしまったのは「劣悪な大学病院の研修環境」という一言です。現場では、その改善を図り、そして実際に成果も出てきている状況を踏まえ、それは何年前の話でしょうか?と思ったのが始まりです。m3や大学の教育現場を離れた方々のブログの雰囲気で語っているのではないでしょうか?と思ったのです。

また今回の制度改革は、大学病院の復権とも取られる向きもあり、一般病院の先生方、開業医の先生方から見れば面白くない面もあるのかも知れません。それでも現状よりは良くしたい、地域医療を何とかしたい、との現場からの必死な思いの結実であり、完全なものではありませんが、大学で実務を担当する私たちとしては、ある限りの知恵を絞り、今現在行っている高度医療を患者さんのために継続させ、研修医にとってもよりよい環境を提示し、そしてさらに今進行しつつある医療崩壊を少しでも食い止めるものになるよう、最大限のウルトラCを目論んでいるところです。

4月から当科は実働部隊がさらに減り、3分の2になります。広島大では小児科医が10人まとめて退職しました。ですが、医学部は医師を養成する唯一の機関です。医学部無くして医者は育ちません。その部分をご理解頂きますよう、お願いいたします。

長文、失礼いたしました。

No title

う~ん、新潟県の状況は、良く分かりませんが、私の見た臨床研修開始前後のデータでは、必ずしも、地方から大都市に研修医が集中したというデータではありませんでした(秋田・北海道・東京等のデータだったと思います・・・また探してみます)。

なるほど、各地域内での偏在なのだと納得した記憶があります。

確かに、大学は研修のあり方を改善してきているのでしょう。私は、大学から離れて久しく、臨床研修前後でのその改善振りを具体的には知りません。が、研修医諸君が「雰囲気だけで」研修先を選んでいるとは思えません。

研修体制を改善した大学に何故研修医が十分戻らず、このような臨床研修制度の改変が必要になったのでしょうか。

それと、大学の医局が、医局員の面倒をどれだけみるかは、医局や、その幹部の考え方次第でしょうが、「互恵の関係」だっただけではないでしょうか。教授や、医局スタッフも数年後とに入れ替わる医局に、人生を預けろというのは、研修医諸君には過度の要求のように思えます。これは私の経験から、明白に言えます。

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