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Pleethの教えに学ぶ 

William Pleethは、かの名チェリストJacqueline du Preのチェロの師だ。彼女を追悼するドキュメンタリーに、二人で楽しそうに、オッフェンバックのduoを弾いている場面がある。du Preは、Casals等錚々たるチェリストに教えを受けるのだが、恩師と慕ったのは、Pleethだけだったそうだ。Pleethが記した「チェロを語る」という本を、読んでいて、面白いことを教えられた。

チェロのエンドピンを伸ばして(または、Tortelierのように、エンドピンを曲げて)、楽器を水平に近く保って弾く奏法がある。弓の重さの垂直成分が大きくなり、弓で弦さらに楽器本体をドライブするのが容易になるためと考えていた。オリジナルの考え方もそのようなことだったのだろう。

が、Pleethは、それを良しとしない。エンドピンは、適切な長さに保ち、楽器を抱きこむように構えることを勧める。その姿勢の方が、弓に力を加えることができる、と。楽器を強く抱きかかえたら、楽器を壊すことすらできる、というのだ。身体の大きさにもよるのだろうが、少なくとも日本人の体型には、Pleethの勧める姿勢の方が、より理にかなっていると思った。この姿勢は、弓を前方に構えるための余分な力も入らず、俊敏で確実な弓のコントロールを可能にする、ということでもある。

これは、チェロの専門家にとっては自明のことだったかもしれないが、抱きかかえる姿勢が楽器演奏に有利である理由の説明には、目から鱗が落ちたように思えた。両上肢を軽く屈曲位・回内位にする姿勢は、身体の自然な姿位でもある。無理の無い姿勢であり、かつ身体の動きで楽器をドライブする上でもっとも効果的な姿勢なのだ。

話が、大きく飛ぶが、パドルを握る手の形にも似たようなことが言えそうだ。指の三つの関節MPJ、PIPJ、DIPJ(親指は、MPJとIPJのみ)を軽く屈曲位にした手で、パドルを握るのが、疲れず、エラーの少ない打鍵を生む。これが手指の自然な姿勢、即ち余分な力の入っていない姿勢であるためなのだろう。余分な力が入っていると、動きを妨げ、さらに疲労を生じさせる。

パドルの握り方に関して、昔の某無線雑誌に、指を真っ直ぐ伸ばして構えるようにという記事があったが、それでは上達は覚束ないはずだ。

運動や、楽器演奏すべてにおいて、余分な力を入れないように指導される。それは、意図する身体の動きを、確実にすばやく実現させるためであるし、さらに疲労も少なくする効果もあるのだろう。

そう言えば、生き方も余分な力を抜いて・・・と、話を、生き方にまで敷衍しても当てはまることかと思ったが・・・少し、連想を逞しくしすぎかもしれない。生きるということは、もっともっと複雑な事象なのだ・・・。

コメント

こんにちは。
「アマチュアチェロ弾きは・・・」へのコメントありがとうございます。
「楽器を抱き込むように構える」を読み、ハンガリーのミクローシュ・ペレーニ(Miklós Perényi)氏を思い出しました。彼もエンドピンを短めにして楽器を垂直に近づけ、さらに楽器を左足だけに乗せて体側にあずけたうえで、上半身で覆うようにして弾いています。かなり異色の構え方だと思うのですが、私の先生も同じ構え方をしています。Nuttycellist様の記事を読んで、なるほどそういう合理性があったのかと思いました。

ペレーニは上手ですよね。過日、BSでドボコンを弾いている番組を観ました。確かに、楽器を立てて弾いておられたような記憶があります。番組を落としたDVDをまた観てみたいと思います。

彼は、力むことなく、かろやかに歌い上げる音楽を作り上げますね。テクニックも抜群ですね。惜しむらくは、録音が少ないような気がします。

観念的に考えると、楽器を立てて構えたときに、ハイポジで上行と下降で、腕の重さがかかるための違いが生じて、音程を決め難くなるということはないのでしょうか・・・私、ハイポジで下降する音型が不得手です。ハイポジ自体が不得手かも 笑。いえ、これは全く観念的なもので、練習することにより、克服すべきことなのでしょうね。

また、頑張って練習しなければ・・・。

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