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国立大医学部長会議の要望 

国立大学は、独立法人化された後、徐々に国からの財政援助を減らされ、一方、以前からの借金はそのまま引き継がされているようだ。さらに、評議員や理事に、文部科学省の役人等が天下っている、と聞く。

医学部では、数少ないスタッフで、診療・教育・研究を行わなければならず、予算は少なく、慢性的な人手不足だ。基礎は、臨床以上に大変だ。もう20年以上前になるが、出身校の基礎の教室に一時戻った時、研究の下働きは勿論のこと毎朝の床掃除から何から自分達でやらねばならなかったので、驚いたことがあった。米国等では、研究者は、研究だけを行う環境にある。この違いは、研究面の遅れを確実に生じさせている。

国立大医学部長会議が、医療費の削減そのものに反対する意見を公表した。自らのことだけでなく、開業医へのしわ寄せにも問題意識を示した点も評価したい。財界に牛耳られている政府・官僚は、こうした見識に裏打ちされた意見に耳を傾けるのだろうか。それとも、無視して、医療・医学を、回復し難いところまで貶めるつもりなのだろうか。


以下、引用~~~


国立大医学部長会議 財政審建議の医療費重点配分に懸念 次年度予算編成の要望書まとめる
09/06/15
記事:Japan Medicine
提供:じほう

 国立大学医学部長会議常置委員会(委員長=安田和則・北海道大医学部長)は12日、2010年度の予算編成に向けての要望書をまとめた。財政制度等審議会の建議をもとに、医療・医学教育を含む予算編成方針が決定されることを危惧。低医療費政策の見直しや医師定員数増加のほか、大学病院の借入金約1兆円の解消を強く求めた。なお要望書は、麻生太郎首相のほか、与謝野馨財務相、西室泰三財政審会長あて。

 要望書では、日本の医療費がOECD加盟30カ国中21位にとどまることが、医療崩壊の元凶との見方を表明。先進諸国並みへの医療費増額を求めた。財政審の建議で、医療費配分の重点を、開業医から勤務医に移行するとしたことにも問題意識を示した。

 日本の人口1000人当たり医師数も、国際水準まで引き上げるべきとし、「国立大医学部入学定員を計画的に増員する必要がある」と主張した。さらに教育の質を維持することも必須として、「学生当たりの医学部教職員数を国際水準まで増員し、また定員増に見合った教育施設の整備、教育経費の措置が必要」とした。建議で、国立大の運営費の削減と成果主義を推し進める方針が盛られたことには、「国立大の運営費が今後さらに削減されれば、日本の教育および研究は確実に崩壊する」と危機感を示した。

 ドイツの例をとり、自由開業医制を一部規制する考え方が、建議に採用されたことには、「専門職に強制や規制を強化すれば、その社会や業務が健全に機能しなくなる」と反発。外国の一部制度だけを採用することに強い違和感を主張した上で、「もし国家の医療制度をドイツに習うのであれば、すべての制度を同じにしなければ、その制度は機能しない」とし、意図的なデータの活用にも不快感をあらわにした。

 医学部のある42の国立大全体で、約1兆円に上る借入金の解消も要求。「本来、国立大が法人化されたときに解消すべきであった借入金を(病院で稼いだ)医療費から返金しており、法人経営の大きな足かせとなっている」とした。国立がんセンターなどの国立病院の法人化の際には、借入金が大幅に減額されたとして、「国立大病院の借入金も国立病院と同じ構図でできたもの」と、その解消を求めた。

 安田委員長は同日の記者会見で、「今回の要望内容はすべてが絡み合っているもので、どれかひとつをやればすむものではない」と強調。その上で、「まず医療を良くしたい。医療の質の低下を座視して待てない。さらに日本が良くなって欲しいとの願いで要望した」と訴えた。

 嘉山孝正氏(山形大医学部長)は、大学病院の借入金について、「国家がやらないといけない事業なのに、われわれの労働で借金を返している。そんな国はほかにない」と批判。「病院の所有権という権利はないのに、義務だけ果たしている。われわれの奉仕でやっているようなもの」と憤った。


コメント

No title

意図的に国民に曲解を与えようとする勢力はますますお盛んです。例によってアドバルーンを飛ばし始めてます。読んで腹が立った方も多かろうとは思いますが、一応引用。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090615-00000506-san-soci
>財界に牛耳られている政府・官僚は、こうした見識に裏打ちされた意見に耳を傾けるのだろうか。
まぁ期待できないでしょうね。

No title

あぁ、かの岩崎氏ですね。もう政府のお先棒担ぎの新聞屋さんで有名ですね。財政諮問会議の委員もなさっていて、その主張を新聞という媒体を通して、しこしことやっておられるようですね。今日の、「新小児科医のつぶやき」でも取り上げられていました。もっとも、彼の別な論説・・・景気刺激のために記念硬貨の発行をという主張の駄文に関してでしたが・・・。

私も、彼の論説について逐次反論をここでしてみようかと思いましたが、もう草臥れるので止めてしまいました。

安心安全な社会を目指して、だったか、政府の方針が公表されました。こちらは取り上げてみたいと思っているのですが、医療については、何も良くなる材料はありません。

1)IT化による「効率化」

2)病院同士の有機的な連携

3)医師増員

4)医療を、「産業」として位置づける

といったことでしたか・・・医療費が、諸外国と較べて低いことは認めていますが、その点の改善は全く記されていませんでした。

政府は、このまま医療崩壊を進めてゆくようです。

先は、暗闇ですね・・・。政権交代して、果たして、官僚主導の政治が変わりうるのでしょうか。

政権交代

>政権交代して、果たして、官僚主導の政治が変わりうる
小生も悲観的ですが、現政権が継続すれば、なおさら政官財のトライアングルは強固になるだけです。民主党がうまくできなければ別の政権に取り替えるだけでしょう。

No title

>医療を、「産業」として位置づける

要するに皆保険制度を止めて、自由診療+競争原理に放り込むわけですね。

No title

元外科医さん

仰る通りですね・・・時々、何か醒めてしまいますが・・・。とりあえずは、一度政権交代ですね。

Seisanさん

そうなのだと思います。特に、高齢者の貯蓄を医療で吐き出させようという魂胆なのだと思います。色々なところから、こうした発言が聞こえてきますね。保険資本の餌食にならなければ良いのですが。

国立大学法人

国立大学は「国立大学法人法」で規定される法人で、独立行政法人は「独立行政法人法」で規定される法人です。

独法の通則法が一部、適応されますが別個のものなのです。マスメディアでも混同されて使われています。

*国立大学法人法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H15/H15HO112.html

*独立行政法人通則法
http://www.kantei.go.jp/jp/cyuo-syocho/990427honbu/houjin1-h.html

No title

鶴亀松五郎さん

誤りのご指摘をありがとうございます。国立大学法人という法人格があることを知りませんでした。

No title

はじめまして。
確かに今の自民党政府では官僚主導の固持にしかなりませんね。
でも、民主党になったら官僚体制が変わるとも思えません。

一度政権交代も良いのですが、一度だけあった社会党村山政権の時の負の遺産(中国毒ガス処理:ttp://blogs.yahoo.co.jp/blogger2005jp/22160918.html)が未だに引きずっているのを見ていると、小沢や鳩山が目指している、人権保護法案や、外国人参政権などが不気味に思えてなりません。

まあ、どちらに転んでも医療崩壊は既定路線ですので、変わる事は無いでしょう。

No title

トリさん

返信が遅くなりました。

中国での遺棄化学兵器回収事業(特にその費用)については、内閣府から以下のコメントがあるようです。

http://www8.cao.go.jp/ikikagaku/h180120.pdf

どちらが正しいのか、私には判断しかねますが、問題は、ODAと同根のような気がします。

最初にこの事業を始めた村山内閣に問題がなかったのか、という視点もあるでしょうが、その後、づっと続けてきたのは自民党(または公明党も含む)政権であるということに注目すべきではないでしょうか。

この事業にPCIという企業が関わり、脱税等の問題を起こしたことも記憶にあります。

少なくとも、この問題が、民主党政権が生まれることを躊躇させるようなものではないように思います。

この事業内容の詳細は分かりかねますので、この事業についてこれ以上議論するのは遠慮させてください。

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