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医療行政の問題が、医療事故の背景にあることが多い 

医療事故調について、本質的な議論がされぬままに、厚生労働省はなし崩し的に法案上程の機会を狙っているようすだ。

原因究明と責任追及は別な枠組みで別な組織が行うべき、即ち原因究明のための医療事故調では、原則的に責任追及は行わないこと。業務上過失(致死)罪を医療に適用するのかどうかを検討すること。故意に近い医療過誤とか、標準的治療から大きく外れた治療といった抽象的な文言で、刑事罰の対象にするかどうかを分けることはできない。これらを、当事者が徹底して議論し、医療事故調を立ち上げるべきなのだが、実際は、官僚主導の検討会(研究班)のなかだけで議論しているだけだ。

医療事故の当事者になる可能性が高く、厚生労働省案に強く反対している、麻酔学会と救急医学会の医師が、この検討会に加えられていない。また、警察・検察の方も入っていない。これでは、医療事故調が、本当に、原因究明のための組織になることは難しい。

さらに、大きな問題であるのは、あくまで厚生労働省が主導して、組織を立ち上げようとしていることだ。医療事故の背景には、システムエラーのあることが多い。医療のシステムは結局厚生労働省の作る枠組みと規則によって成立している。医療事故の本当の問題を追究するとなると、行政の問題に必ずぶつかる。厚生労働省管轄下の組織では、自らの組織の問題を究明することはできない。

この会合で挨拶してる厚生労働省担当者の佐原氏は、医療のプロであれば、医療事故の責任は逃れられないと述べているが、それはそっくりそのまま厚生労働省の行政官に当てはまるのだ。医療崩壊の現状では、システムエラーを明らかにすることが重要で、それはこうした厚生労働省の医療行政の問題を明らかにすることでなければならない。


以下、m3より引用~~~

 まず佐原氏の挨拶を紹介する。

 「厚労省では昨年4月に第3次試案、6月に大綱案を作成して、国民の皆様の意見を幅広く聞いて、議論していただいているところだ。賛否両論があり、まだ残念ながら意見集約には至っていないように思う。第3次試案、大綱案に批判的な意見の中には、医療事故の調査と責任追及は完全に切り離すべきだというものがある。今日はこのことについて述べさせていただきたい。

 例えば、病院で退院間近の患者が予期せずに急に亡くなったとする。なぜ予期せず亡くなったのか、原因究明や再発防止のために、調査委員会を立ち上げて、いろいろと調べ、結果として生理食塩水と間違えて、消毒薬を静脈内に注入していることが明らかになったという場合を想定してみる。

 医療事故の調査と責任追及を完全に切り離すべきという意見は、このような場合でも、この調査結果と医療者の責任は無関係であるべきという主張のようにも聞こえる。医師や看護師などは医療のプロとして、実施した医療に対する責任というものから完全に逃れることはできないのではないか。プロとしての責任からいたずらに逃れようとすれば、社会は逆にそれを医療界の無責任だと思うだろう。これでは医療界は社会からの信頼を失ってしまうのではないだろうか。

 ただ一方で、プロとしての責任が理不尽な方法で追及されることは適切ではないと思う。妊婦が出産中に死亡したからと言って、医療内容が不適切だったと一律に論じられるのか。そうではないと思う。高度で専門的かつ日常的に死と隣り合わせの医療において、死亡事故の調査や評価は医療者が中心となって、専門的かつ科学的に、また個々の医療現場の状況を十分に踏まえた上で行われなければならない。何より個人の責任追及を目的とするのではなく、医療の質や安全の向上に主眼を置いた調査や評価でなければならないと思う。そのような新しい社会システムを日本に作っていく必要がある。

 現在、大綱案まで来たが、制度設計にはまだ課題がある。第三者機関が調査すべき死亡事故とはどんなケースなのか、あるいは事故調査の具体的な方法や調査結果報告書の記載内容はどうあるべきなのか。また(第三者機関から捜査機関に通知する事故例である)『標準的医療から著しく逸脱している』と考えられる場合とは、具体的にはいったい何なのか。厚生労働科学研究である木村班には昨年1年間、精力的な議論をしていただいた。今日はその一部を発表していただくが、第三次試案や大綱案を補強するものもあれば、その修正を迫るものもある。国民の皆様にも研究班の内容を知っていただき、理解あるいは議論を深めていただければと思う。

 最後に、『法案はいつ国会に提出されるのか』と聞かれれば、厚労省では今、『関係者の理解が得られ次第』と答えている。実際の評価や調査を担当するのは私のような役人ではなく、医療者の皆様だ。患者や遺族をはじめ、国民の皆様の幅広い支持とともに、医療者の皆様の幅広い理解と協力がなければ、残念ながらこの制度は前には進まない。医療者、患者、法律関係者、様々な立場の方がその垣根を越えて議論し、相互の信頼の上に新しいシステムができるよう、厚労省としても引き続き努力していきたいと考えている」

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