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米国公的医療保健導入の苦闘 

米国で、公的医療保険を導入しようと政治的なせめぎ合いが行われている。幾度も試みられてきたが、尽く失敗した国民皆保険政策。自助努力をうたい、小さな政府を目指す共和党と、民間保険資本等利権を握る当事者が、公的保険導入に強烈に反対している。民間保険に医療を委ねている米国では、富裕層は優れた医療を享受できるが、そうでない国民にとっては、重病になると破産する危機が待ち受けている。医療費の総額、または対GDP比の数値は、全世界でトップだ。

一方、日本では、公的保険が疎かにされ、さらに低医療費政策で医療システムそのものが疲弊している。官僚は、補助金行政を行い権益を増やすことを目指し、低医療費により公的医療機関を中心に現在の医療システムを破壊しようとしている。政官業の三者が目指すのは、混合診療の導入だ。いわば、医療の米国化である。特に、高年齢層の貯蓄を狙って、民間保険を導入する動きが盛んだ。現在の医療制度下では、ほころびが目立ってきているとは言え、低医療費下で医療の質と医療へのアクセスは一応確保されている(これはこれで改革が必要なことなのだが・・・)。

わが国では、医療が米国化される方向に動いている。さらに米国よりも悪いことには、強大な官僚システムが医療を支配し、利権を得ようとしている。一旦、そのようなシステムが出来上がったら、容易なことでは後戻りはできない。オバマ政権が、公的保険導入でどれだけ苦労しているかよく見ておく必要がある。



以下、引用~~~

米医療改革、総力戦に オバマ氏「最大の試練」
09/06/29
記事:共同通信社
提供:共同通信社

 オバマ米大統領が10月の法案成立を目指す医療保険改革を阻止しようと、政財界の「抵抗勢力」が一斉に動きだし、経済危機の克服に代わって米政局の焦点に浮上してきた。歴代政権が挫折を繰り返した改革議論は来年の中間選挙も左右しかねず、大統領自身が「最大の試練」と認める政治問題と化している。

 ▽政局の中心

 「実現不可能と思い込んでいる人たちに、大統領選の合言葉を贈りたい。イエス・ウィー・キャン」。改革実現は「危機」に陥ったとする米メディアの論調が強まった21日、大統領はホワイトハウスで「われわれは成し遂げてみせる」と強調、改革への熱意が冷めていないことを強調した。

 今の米政局を動かすのは経済危機ではなく、イランでも北朝鮮でもない。オバマ氏の支持組織オーガナイジング・フォー・アメリカは「大統領の最優先課題は医療保険改革法案の成立」と言い切り、メンバーに臨戦態勢を取るよう呼び掛けた。

 約3億600万人の米国民のうち医療保険に入っていないのは4570万人。高額の医療費が払えず破産する無保険者、急騰して家計を圧迫する保険料、従業員向けの医療保険を維持できず破綻(はたん)する企業-。いびつな医療制度が「超大国」の福祉と経済を脅かしてきた。

 ▽身内も異論

 大統領は「すべての国民への手ごろな医療保険」の提供を公約した。事実上の国民皆保険だ。しかし法案作成に向けた上下両院での審議が各論に入るにつれ、共和党だけでなく身内の民主党からも異論が出始めた。

 最大の対立点は新たな公的保険制度の導入。オバマ政権は、民間の保険料に値下げ圧力をかけて「健全な市場」を作るには新しい公的保険が必要と訴える。一方の共和党は民間企業が駆逐され、肥大化した公的保険が財政を圧迫して、つけを国民が払うことになるとの論陣を張る。1兆ドル(約96兆円)を上回るコストの財源確保も、大型景気対策などで財政が窮迫する中で深刻な問題だ。

 「国民は際限のない支出が始まることに気付き始めた」(キャンプ下院議員)と攻勢をかける共和党に、財政規律を重視する民主党の一部穏健派グループが同調。様子見だった保険業界も、政府の役割拡大は「破滅的な結末」を招くとする意見書を議会に出すなど、巻き返しに動き始めた。

 ▽国民は支持

 「小さい政府」を志向する共和党にとって、公的保険の肥大は「欧州型の福祉国家」(ローブ元大統領次席補佐官)への変質につながり、受け入れがたい。ローブ氏は「共和党はこの計画をつぶすことを今年の最優先目標とすべきだ。さもなくば米国は取り返しがつかない打撃を受ける」と徹底抗戦を促す。

 議会や業界との調整不足で失敗したクリントン政権時代の反省に立ち、議会の折衝に委ねる姿勢を示していた大統領も危機感を募らせ、国民との対話集会を重ねるなど自ら腰を上げ始めた。

 大統領の頼みの綱は国民の支持。ニューヨーク・タイムズ紙の世論調査では、72%が新たな公的医療保険の導入に賛意を示している。大統領は15日に全米医師会総会の演説で「就任後最も長い」(NBCテレビ)約1時間の熱弁を振るい、改革実現に理解を求めた。

 夏休み前に上下両院がそれぞれ法案を可決、9月に法案を一本化し、10月の成立を図るのがオバマ政権の描くシナリオだが、見通しは日増しに厳しくなっている。(ワシントン共同)

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