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医療から信頼を損なわせたのは誰か 

読売新聞が、『信頼の医療を目指して』と題する座談会を開き、その内容を公表している。ここ

信頼の医療を目指すということは、読売新聞は、現在の医療には信頼感がない、または欠けているという認識のようだ。医療と一言でくくると、様々な領域・様々な医療機関・医療従事者がいるから、信頼感に欠けるというところはあるかもしれない。しかし、この読売新聞に言って欲しくはない。医療で不信が渦巻くような状況をもたらしたことに、同新聞に責任がないのか、同新聞がベッタリ癒着している行政の責任はないのか。まずはそこの反省をしてもらいたい。

この座談会の参加者の多くが、医療を崩壊させた張本人だ。特に、元厚生労働省官僚の中島正冶氏からは、真摯な反省の弁が聞かれるかと思ったが、彼の主張は医療崩壊ではない、危機的な状況だが、むしろ医療が効率化され、より良い結果を生んでいるという認識だ。事実に基づいた議論をしろと言っているが、つい最近医師数の認識を180度転換し、医療行政を猫の目のごとく変え続け、現場を混乱させているのは、厚生労働省ではないか。所謂、5分間ルールを診療現場に押し付ける際に、官僚が用いたデータは、救急診療におけるものであった。どこが事実に基づいているのだろうか。

さらに、帝王切開を行う施設、がん手術をする施設が減ったが、帝王切開・がん手術はむしろ増えている、即ち医療の能力が向上したと結論づけている。しかし、これは医療訴訟をさけ、症例が増えたことに対応するために、これまで以上に過酷な労働環境で医師・医療従事者が働いている結果に過ぎない。彼等、官僚は、医療費を削減しつつ、医療現場により過酷な労働条件を強要してきたのだ。それを、医療崩壊の現実はないとする論拠にするとは、開いた口が塞がらない。

以下、上記座談会記録から引用~~~

中島 ;現在、日本の医療は病院閉鎖や過重労働、医療事故などが問題視されている。では、本当に日本の医療は崩壊したのかというと、そうではない。
例えば、一番厳しい状況と言われる産科医療。帝王切開を行う病院の数は、ここ10年間で2割減ったが、帝王切開の実施件数は逆に2割増えた。乳児死亡率の低さは世界のトップクラスで、質の高い産科医療が確保されている。がん手術を見ても、実施施設数は10年間で15%減ったが、実施数は2割ほど増加した。困難な状況の下ではあるが、医療は、崩壊どころか、能力を向上させたと言える。
崩壊という言葉は不安や絶望、逃避につながり、よい結果を生まない。事実に基づいた議論をし、危機感を持って政策を進めるとともに、国民の理解と協力も不可欠だ。

コメント

その程度の人、その程度の読売

 >では、本当に日本の医療は崩壊したのかというと、そうではない。

中島氏が「崩壊した」と感じるまで崩壊すれば、焼野原どころか、廃墟状態になります。この程度の情報収集力、感性で有識者とは失笑を禁じ得ませんし、このレベルの意見を麗々しく掲載する読売の識見をよく示しているかと思われます。

仰られる通りですね。官僚には、現実が見えていないのでしょうか。それとも、立場上「強がって」いるのでしょうか。政権交代が出来てから、どのようになるのか、心配と期待が半々です。

私は産科のことは分かりませんが、帝王切開が増えたというのは防衛医療的側面が強いのじゃないでしょうかね。そうだとすると、中島氏のおっしゃることは何とまぁ無邪気なことで。

VVXさん

仰られる通りでしょうね。

私は、この中島某が言っていることが、二重の意味でピント外れというか、トンでも発言だと思います。

第一に、医療を内側から理解しようとしていない。盛んに、医療の中から、崩壊しつつあることを発信しているのに、まるで高みの見物のような物言いです。

第二に、医療システムを作る当事者として、こうした医療崩壊への責任が全く感じられない点です。医療は内部から崩壊していますが、それは制度設計の問題によって起きています。その点で、官僚には大きな責任があります。

さて、民主党が政権をとって、どのように変わるのか、変わらないのか、固唾をのんで見守りたいと思います。

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  • [2009/07/28 07:43]
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