FC2ブログ

ERが救急医療を救うのか? 

ERは、米国のテレビドラマで有名になった。あのドラマで、とても気になったこと・・・患者が搬送されてくると、たちまち診断が付き、時間単位で治療が効くかどうか、決着がつくこと・・・現実では、診断に苦労することはしばしば、さらにすぐに決着がつくなんてことは多くの場合あり得ない。東京で既存の医療機関にERの看板を付けさせた、某知事は、テレビの観すぎではないのか。

そのER型医療が、日本の救急医療の解決につながるかのような記事があった。

患者の重症度を、まずは救急隊員が判断、さらに救急医がトリアージするということだが、これは、多くの患者は、「後回し」にされることを意味している。そうして後回しにされた患者が、実は、重症で、不幸な転帰をとることは確率的に必ず生じる。その場合、どのようなことになるのだろうか。医療訴訟が多発するかもしれない。

また、救急の半数は、小児。その大半は、軽症とはいえ、必ず重症患者が少数混じっている。それをしっかり診断し、適切な医療を施せるのだろうか。小児科医療を軽く観ていないか。

米国のERは、健康保険に入っていない患者の駆け込み寺のようになっている。わが国でも、健康保険は破綻寸前であり、国家支出を減らすためにも、混合診療から民間保険診療に移行させるのが、政府・行政の意向だ。レセプトオンライン化も、民間保険での診療報酬請求をできるようにするインフラ整備であるらしい。高額な民間医療保険が導入されれば、現在、すでに相当数いる無保険の国民が、大幅に増える。

さらに、地域医療を担っている、診療所の多くが、低医療費政策のために、この数年以内に廃業ないし事業縮小する。開業を抑制させようという行政の意向で、今後新規開業は極めて厳しい。既存の診療所も、減り続ける収入に見切りをつけるところが多く出てくるはずだ。米国でも、同じ問題があり、最近号のNew Engl J Medで、家庭医の現象にどうやって歯止めをかけるか、という論文が出ていた。高齢化しつつある開業医は、早期退職に進む、進まざるをえなくなることが予想される。

すると、ER救急医療機関に、患者が殺到する事態が生まれることだろう。果たして、それに耐えられるだけの医療機関と救急医がいるのだろうか。

さて、今日は、地方の小さなERもどきの診療所で11時間連続の仕事である。ERでの仕事を味わってこよう・・・。


以下、引用~~~

全患者対応「ER」に期待 「昼間に受診」の要望も 「社会保障 ここが知りたい」どうなる救急医療
09/07/24
記事:共同通信社
提供:共同通信社


 救急車を呼んでも病院に断られ、たらい回しにされるかもしれない-。救急医療の在り方が問われる中、すべての患者を受け入れる「ER」(救急治療室)に期待する声も出てきた。専門家らに聞いた。

 ▽命拾い

 40代の竹田博(たけだ・ひろし)さん=仮名=は歩く時に息切れを感じ、夜、都内の帝京大病院のER外来を受診した。

 ERでは軽症、重症に関係なく原則としてすべての患者を受け入れ、初期診療にあたる。ER医が緊急性を判断し、症状の重い患者から処置をする。日本救急医学会によると、ERは全国で少なくとも150カ所ある。

 竹田さんに胸痛など典型的な症状はなかったが、ER医が心臓疾患を疑い、心電図や心エコーで検査。その結果、急性心筋梗塞(こうそく)と分かり、すぐに治療が施された。受け付け順では待ち時間に症状が進行し、命の危険もあったという。

 同病院は5月、約20人の専任医師によるER外来を開設。夜間に自分で歩いて訪れる患者を診るほか、救急搬送患者のうち救命救急センターでの処置が必要な患者以外を24時間、ERで受け入れる。

 狙いは(1)軽症に見えても重症化の可能性がある患者の救命(2)適切な診療科への患者の振り分け(3)各診療科の医師の負担軽減(4)研修医の初期診療教育-などだ。

 同大の坂本哲也(さかもと・てつや)教授は「これが当然の姿で緊急度より順番を優先するのは時代遅れ。ERで問題が解決するというわけではないが、特に地方でER医を確保できれば効果は大きい。ER化は全国的な流れ」と話す。

 ER化は患者受け入れ増にもつながる。2007年にERを導入した京都医療センター(京都市)は救急搬送患者が前年比で2割増加。病院の収益も良くなったという。

 こうした中、横浜市は昨年10月から、119番通報を受けた際、簡単な質問から瞬時に重症度を判別するシステムを全国で初めて導入。症状の重さに応じて救急隊員の人員体制などを変えた。重傷者に対する現場到着時間を短縮するなどの効果を挙げている。

 国レベルでは、医療機関の受け入れ拒否を防ぐため、容体に応じた搬送先リスト策定を都道府県に義務づける改正消防法が10月に施行される見通しだ。

 ▽長くなる搬送時間

 救急現場の現状は厳しい。すぐに搬送先が見つからないことなどを受け、現場から患者を医療機関に収容するまでの時間は07年は全国平均で26・4分とワースト記録を更新。10年間で6・5分も長くなった。

 背景にあるのは救急病院の減少や救急医不足。厚労省試算では将来、全国で5千人が必要だが、日本救急医学会によると、救急専門医は現在約2800人にとどまっており、慢性的な医師不足が続いている。

 患者の専門医志向の影響も大きい。医療裁判で「専門医なら救命できた」と判断されることもあり、専門医がいない場合、病院側が受け入れをためらうケースも多い。その結果、救命救急センターに患者が集中し、救急医の負担が増している。

 ▽法整備が必要

 専門医からは患者一人一人の心構えとして「緊急性のない場合は極力、平日の昼間に受診したり、かかりつけ医を確保して緊急時の連絡先を相談したりしてほしい」と要望する声も上がる。医療資源は限られているためだ。

 杏林大の島崎修次(しまざき・しゅうじ)教授は「救急医療を立て直すためには、救急医の労働環境の整備に加え、夜勤手当や診療報酬の引き上げなどの経済的支援、臨床研修での救急医療教育などが不可欠。救急医療に関する基本法などの法整備が必要だ」としている。

▽救急医療体制 

 救急医療体制 入院の必要がなく外来診療で済む軽症患者は休日夜間急患センターや在宅当番医などの1次救急、入院が必要な患者は輪番の救急病院などの2次救急、生死にかかわる重篤な症状の場合は3次救急の救命救急センターなどが受け持つ。搬送先は救急隊が判断する。一方、ERはエマージェンシー・ルームの略で、本来は北米型の救急診療を指す。すべての救急患者を診療するのが特徴。ER医は、初期診療だけを担当し、入院患者や手術には基本的に関与しない。

コメント

肝心の「マンパワー」「リソース」「キャパシティ」がなきゃ無理

いくらERなんて箱物を作っても、「マンパワー」「リソース」「キャパシティ」が無ければ意味が無い…って事を、お偉いさんはどれだけ認識してるんでしょうかねぇ…。

ドラマみたいに、「何としても患者を救うんだ!」と唱えれば、助からないはずの患者が奇跡的に助かったり、受け入れキャパシティが限界のはずなのに患者を奇跡的に救えてしまう…みたいな感じにでも思ってるのでしょうかね…。

医療は魔法じゃないんですけどねぇ…。

たちどころに診断がついて、治療の結果もすぐに出るというあのドラマは、罪作りだったと思いますね。それをまねたERは、更なる救急医療の荒廃と崩壊を招くと思います。

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://nuttycellist.blog77.fc2.com/tb.php/1474-1b1d58a7