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事業仕分けという、政治・行政の劇場公演 

つい先日、マスコミを通して、開業医と勤務医の「所得格差」・・・即ち、開業医は勤務医の1.7倍の収入があるという情報・・・が流された。その後、その所得格差を平準化するという方向性が、例の「事業仕分け」で示された。どこかで既に聞いたことのある台詞。

この流れは、経済財政諮問会議を通して、医療費を削減しようとする時に用いられた手法と同じだ。

この「事業仕分け」を取り仕切っていたのは、財務省であることが強く疑われた。JCASTニュース等で、財務省が民主党に入れ知恵して仕立てた「事業仕分け」であったことを報じている。

勤務医と開業医が同列に並べられないことは、ここでも繰り返し記してきた。開業医の多くは勤務医も長年経験し、その上で、自分の事業を立ち上げた経営者だ。大きな初期投資が必要であり、設備の更新補修も常に必要となる。退職金も自分で得なければならない。そうした点で、勤務医と大きく異なる・・・といったことは、財務省の官僚は先刻承知のはずだ。

で、何故財務省官僚が、開業医を潰そうとするのか、ということが疑問として浮かぶ。待遇面や、医療訴訟で極めて厳しい状況にある勤務医を救うという名目で、医療費を更に削減し、開業医を窮乏化させることを目指しているのだろう。それが実現すれば、医療費削減とともに、これまで多くの勤務医のキャリアーパスであった開業が難しくなる。それによって、勤務医がどのような労働環境だろうが残らざるを得なくなる。医師の強制配置や、官僚支配化の医療体制の維持が可能になるのだ。今回の事業仕分けで、勤務医のことを考えていないことが、医療の項目の最後に図らずも堂々と記されている。曰く、医師の人件費削減は、医師の増員を行ってから行う、と書かれている。

話はそれだけではない。徹底して医療費を削減すれば、丁度歯科医療と同様に、医療側から進んで「混合診療」解禁を望むようになることを、官僚と保険資本が見越している。すると、医師の人事面での官僚支配と同時に、経済面での支配が、保険資本によって行われるようになる。保険資本は、言わずと知れた、官僚、特に財務官僚の天下り先である。

事業仕分けという作業を行う人物がどのようにして選ばれたのか、誰も知らない。結局、官僚の意向をそのまま主張するような人物が選ばれたのだろう。どの事業仕分けにも、必ず証券会社関係者が入っていたことが、この事業仕分けの特質を表している。証券会社は、保険資本を含む金融資本と密接な関係にある。昨年だったか、不正取引で営業停止処分になった、某保険会社(はっきり言おう、BNPパリバ証券である)の関係者が、事業仕分け作業で、開業医のことを、「利権に胡坐をかいている」と口汚く罵っていたのを目にした。こんな連中に罵られるようなことを、我々開業医はしたのだろうか。

民主党等政権与党は、大きく膨らんだ国家予算を少しでも削りたいという一心で、事業仕分けをする能力があるでもなく、財務省に丸投げし、公共の監視下という劇場舞台を作り上げ、そこでスケープゴートを仕立て上げ、予算の削減に努めた、というのが、今回の事業仕分けの本質だったのだろう。

こんな国家運営では、まともに機能しないのではないだろうか。でっち上げ、根拠の無いデータを基に、強引に官僚の筋書きを通そうとする。

少なくとも、このような官僚が支配する国で、医療を行う意欲・意気は失せた。

今夜、嘔吐の止まらぬお子さんを診るために、仕事場に出てきた。点滴をようやく差し、自室でPCに向かって、こんな台詞を打ち込んでいる自分・・・。やはり、仕事の規模をどんどん縮小しよう。我々の努力は、利権に胡坐をかいた醜い開業医の所業としてしか受け止められないのだから。

コメント

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Re: タイトルなし

Hさん、コメントをありがとうございます。同じように考え、同じように行動される方がいらっしゃるのは心強い反面、医療システムが今後機能しなくなることも心配になります。米国では、家庭医・プライマリーケア医が少なくなり、医療へのアクセスが低下していることを聞きます。今後、今のままで行くと、そうなるのではないかと思います。

確かに、民主党はこれまでの政権の尻拭いをさせられている側面があるので、まだ見守りたいと思うのですが、厚生労働省や財務省は、はっきりと官僚にコントロールされてしまっているように思えます。民主党には医師の議員も何人もいるのですが、何も発言する機会がないようです。足立さん以外は・・・。

お互い、身体を労わりつつ、リタイア目指しましょう。

>お互い、身体を労わりつつ、リタイア目指しましょう。

ここにももう一人おります~

行政刷新会議というのは単なるパフォーマンスですね。
レセプトオンライン化は開業医にもメリットがあるだろうと声高に主張しながら、何がメリットなのか自ら指摘できなかったり、美容整形と整形外科を混同しているとしか思えない節があったり、もう少しまじめにやれといいたい。こんな連中が取り仕切っているのかと思うと情けなくなります。

■仕分け、スパコン補助金「限りなく見送りに近い」―事業仕分け結局は、巨大ブーメランとなって、民主党の命脈を絶つか?

こんにちは。事業仕分けは、あまり意味がありません。企業経営でいえば、プロモーションばかりやって、マーケティングをしていない会社のようなものです。民主党の幹部は、そういう会社の幹部のようなものです。まさに、事業仕分けは、前政権の無駄(本当に無駄かどうかは別問題)を公表し、手っ取り早く民主党が国民のために活躍していることをアピールするための販促活動のようなものだと思います。長期にわたる国家ビジョンなしに、事業仕分けをしたとしても、根本的な問題の解決にはならず、かえって混乱するだけです。この事業仕分け、結局は何も解決にならず、ますます、国民に不満感、閉塞感をもたらし、結局は巨大ブーメランとなって、民主党の命脈を絶つことになるかもしれません。詳細は、是非私のブログをご覧になってください。

JA1VVXさん・yutakarisonさん

そのような「仕分け人・・・何という陳腐な命名」の発言があったようですね。私は、株屋、それも不正を行なって処分を受けたばかりの株屋が、「開業医は既得権益に胡坐をかいている」と怒鳴っていたのが印象に残りました。

1.7倍の収入差というのも、でっち上げられたデータのようですね。

こういう事実に基かない議論をさせない、ないし事実に基いて議論するために、民主党は政権を取ったのではないか、と苦々しく思います。少し感情的に反応してしまったように思いますが、冷静に、官僚に丸投げし、パフォーマンスでだけ訴える政治は行き詰まることを、様々な形で指摘し続けたいと思っています。

政権を取ってすぐに、何兆円も「無駄」を見出し、その予算を削ることは土台無理な話なのでしょう。世間受けをする、あのような即席の事業仕分けではなく、事実に基いた議論を地道に進めてもらいたいものだと思っています。

これで民主党がこけたら、日本の将来はなくなりますから。

VVXさん、まだリタイアは早すぎるんじゃないのですか?

yutakarisonさん、貴サイト、後で訪問させていただきます。

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