FC2ブログ

綱渡りの救急 

先週末、栃木県某所の救急診療所に、知り合い医師の手伝いに出かけた。文字通り半日の長丁場(私は、多忙な時間帯を数時間手伝っただけ)。インフルエンザと思われる患者が、多数訪れていた。結果として、11時間で130人超の患者数だった由。その前の週末は、180人超の受診者で、3時間待ちということもあったようだ。どのような症例も受けていた。一次救急だから、当然のことだが、初診の方ばかりを長時間に渡ってこの数こなすのは、医師・スタッフにとってかなりの労働になる。2次、3次救急を担当されている医師は、もっと厳しい状況にあるのだろうが、平均年齢60歳前後の開業医にとって、この救急診療所の負担はかなりのものだ。このようなシステムは、綱渡りでようやく成立しているに過ぎない。

下記のニュースはあいも変わらず、ピント外れも甚だしい。特に自治医大の救急センター長の、「救急の専門外診療を強制させるべき」という発言は、救急システムを破壊する発言だ。もし本当にこのような発言をしたのであれば、詳しく説明すべきだ。責任ある立場での発言は重い。

「たらい回し」というネガティブなニュアンスの強い表現を繰り返す、毎日新聞記者の良識を疑う。病院が受け入れられないとした症例は、医療面・ケアの面で問題が多い症例であり、すべてとは言わないが、受け入れ不能という対応を理解できる。情報システムを維持できるマンパワー等現場にはないし、もしあったとしても、多忙を極める現場には手助けにはならないだろう。

このような報道、さらに医療機関管理職・行政の対応が続くと、救急医療は、本当に機能しなくなる。



以下、良識を疑う新聞から引用~~~

救急搬送たらい回し防止 栃木県協議会が始動 ニュースワイドとちぎ
09/11/26
記事:毎日新聞社
提供:毎日新聞社
ID:1291276


ニュースワイドとちぎ:救急搬送たらい回し防止 県協議会が始動 /栃木



 ◇来年3月に実施基準

 救急搬送で患者がたらい回しされることを防ごうと、けがや病気の種類や程度に応じた医療機関のリストや、消防隊が受け入れ先を選ぶ基準などを定める県救急搬送受入協議会(会長・新沢敏章県医師会常任理事)の初会合が今月17日、県庁で開かれた。消防法の一部改正に伴うもので、来年3月までに実施基準を策定し、公表する。【戸上文恵】

 ◇情報システムも見直しへ

 県消防防災課によると、08年に救急車が通報を受けてから病院などに搬送するまでに要した時間は平均36分8秒で、98年の26分6秒に比べ、10分2秒伸びた。その原因の一つに、医療機関への照会回数が増えていることが挙げられる。重症以上の患者の搬送事案6361件のうち、照会4回以上は320件、現場で30分以上待たされたのは287件で、最大12回断られた例もあった。受け入れを拒否した理由は「手術中、患者対応中」が23・2%でトップ。次いで、「ベッド満床」が22・3%▽「処置困難」が17・5%の順。

 こうした「たらい回し」を減らすため、県は05年12月から、県内73の救急告示医療機関と13消防本部をオンラインで結び、受け入れの可否や空床の有無を表示する「県救急医療情報システム」を運用している。しかし、協議会の後に開かれた県救急医療運営協議会病院前救護体制検討部会では、システムが十分機能していない現状が指摘された。

 県が今年10月に実施したアンケート結果によると、73医療機関のうち、情報を毎日入力しているのは31にとどまり、平日のみ入力しているのが29、全く入力していないのが13だった。その理由としては医師や看護師、事務職員などの多忙がある。

 一方、13消防本部のうち、主たる照会システムとして利用している消防本部はなく、「補完的な照会システムとして利用」が6、「ほとんど利用していない」が4、「全く利用していない」が3だった。消防本部の中には、朝夕の2回、医療機関に空床情報や救急担当医の診療科を電話で聞き取り、各分署にファクス送信しているところもあった。

 システムが利用されるために必要なこととして、「リアルタイムの表示」や「受け入れ可能とした場合の確実な受け入れ」とした回答が多かった。県では救急搬送受け入れの実施基準策定に伴い、来年3月までにシステムの表示項目や入力方法についての見直し方針をまとめる。

 しかし、実施基準を定め、運用しやすいシステムを作るだけでは、たらい回しの根本的な解決にはつながらない。17日の協議会で、自治医科大付属病院の鈴川正之救命救急センター長は、病院が受け入れ不可能とした理由について「アルコール依存症や精神疾患、生活保護、独居老人、外国人などの問題が含まれている」と指摘した。

 同大が昨年7月実施した独自調査によると、軽症や外傷、若年、精神科関連では1回で受け入れ先が見つかる割合が少なかったという。また、外傷のうち、打撲は「専門外」を理由に搬送を拒否されたケースが半数近くあった。鈴川センター長は「打撲でも『内科の先生が当直だから』と断られるのが栃木県の現状だ。専門外を免罪符にしないように、ある程度の強制力が必要ではないか」と話している。

コメント

脳外科医が専門外の心嚢穿刺を失敗したら賠償しろとの判決が確定していますから、誰も専門外の救急など診ません。小生もかつては専門外でもとりあえず診ることにしていましたが今では電話口でお断りです。結果が悪くても仕方がないと言うのなら別ですが、お国の機関(裁判所)からは専門外でも適切な診療せよと言われていますので、お気の毒ですが無理ですね(笑)

そうですよね・・・救急原則免責にせず、強制だけするとなったら、救急の担い手はいなくなるでしょうね。

新聞社がインタビュー内容を捏造している可能性もありますから、自治医大のこの教授のリアクションを待ちたいと思います・・・本気なんですかね?

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://nuttycellist.blog77.fc2.com/tb.php/1579-d27ce351