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小児一次救急に県立病院非常勤医師を派遣 

埼玉県は、各都道府県の中でも単位人口当たり医師数が少ないことが知られている。ことに小児科医は、2005年のデータで、東京都の1/3程度の数しかいないようだ。東京のベッドタウンを抱え、小児科救急医療が厳しい状況にあることだろう。

埼玉県当局は、一次救急の現場に、県立病院の非常勤医師20から30名を派遣することにしたようだ。救急患者が、高次救急医療機関に集まってしまうのを改善するためらしい。

一見、小児救急の対策として、適切な行政と見えるが、問題はさほど単純ではなさそうな気がする。

まず、派遣するという医師の問題だ。県立病院の非常勤医師「ら」となっているが、休日夜間の小児一次救急に県が駆り出すことができる小児科医が、県立病院の医師以外にいるとは到底思えない。県が、指示を出すことができるのは、県立病院の職員である医師しかいないだろう。

とすると、この20から30名の小児科医師は、どの県立病院から派遣されるのか、が問題になる。埼玉県の県立病院は、専門センター医療機関が4つほどだるだけのようだ。その中で、小児科医がおり、派遣が可能なのは、埼玉県立小児医療センター(センターと略す)だけではないかと思われる。

その医師情報を見ると、確かに、非常勤医師が就業しているようだ。他病院に本職があるような医師は、そちらの救急の仕事で手一杯で無理なはず。ここからは想像なのだが、このセンターで常勤と同様の勤務体制で仕事をしている「非常勤」医師しか派遣できないのではないだろうか。彼等は、センター常勤ポストがないために、非常勤医員として仕事をしているのだろう。すると、そうした非常勤医師は、センターの救急も担当している可能性が極めて高い。そうした医師への負担を、この計画立案者は考えているのだろうか。

どうしても、非常勤医師を派遣するなら、「公務員の兼職禁止規定」を取っ払い、常勤医師もその任務に就くのが筋ではないだろうか。

センターの高次救急の負担を軽減するために、そのセンターで救急を担当しているはずの医師が、外に出て一次救急を行う・・・自己撞着ではなかろうか

これは「国の「地域医療再生臨時特例交付金」に基づき作成した計画(09-14年度)」だそうだが、この交付金が無くなったら、お仕舞いでは、ほんの一時しのぎの施策に過ぎない。より抜本的な対策を立てる必要があるのではないだろうか。

小児科は、今回の診療報酬改訂でも優遇される(はず)と聞くが、実際のところ、少なくとも開業医レベルでは、再診料の引き下げが行われると、多くの小児科医の最終的なキャリアーパスの行き着く先の開業小児科は、大きなダメージを蒙る。小児科医の志望者にどのような影響を及ぼすだろうか。交付金で一次しのぎをするのではなく、正当な診療報酬上の手当てをすべきだ。また、所謂コンビニ受診の小児科患者を抑制する方策を取ってもらいたいと、小児救急の現場の人間は思っているはずだ。こうした一時しのぎの施策ではなく、現場の声を聞き、より根本的な方策を取るべきだ

また、この県が行う医師の配置に、将来の行政による医師の強制配置の予兆のようなものを感じる。行政は、医師の数が飛躍的に増えれば、どのような職場にも行政の指示する通りに動くはずだと考えている。それは、医師にとって不幸なシステムになるだけでなく、患者にとってもモチベーションの無い医師に診療を受ける最悪の結果をもたらす。県の職員であれば、県当局が「自由に」動かせると考えてはならない。医師のモチベーションを保つように、派遣先の条件をより良くすることこそが必要なのだ。

毎日新聞も「小児科の軽症対応手厚く」等と県を持ち上げる記事にするのではなく、小児救急も問題を掘り下げて報道してもらいたい・・・無理か。


以下、引用~~~

初期救急、埼玉県が医師派遣 小児科の軽症対応手厚く
09/12/24
記事:毎日新聞社
提供:毎日新聞社
ID:1309041


初期救急:埼玉県が医師派遣 小児科の軽症対応手厚く



 風邪など軽症の子どもが重症者に対応する救急病院に集中する事態を避けるため、埼玉県は来年度から、県立病院の非常勤小児科医ら20-30人を軽症の子に対応する「初期救急医療機関」に派遣する方針だ。初期救急の体制整備は主に市町村の担当で、厚生労働省医政局指導課によると、県が医師を直接派遣するのは珍しい。

 初期救急医療機関は軽いけがや風邪など入院の必要がない軽症者の夜間・休日診療を行っており、埼玉県では各地域にある「休日夜間急患センター」や「在宅当番医」が担当している。

 県医療整備課によると、現場では慢性的に小児科医が不足しており、休日や夜間の当直医が不足。初期救急がパンクすれば、同様に医師不足に陥っている2次救急に軽症患者が流れてしまう悪影響が懸念される。このため県は医師派遣で初期救急を手厚くすることとした。

 県立病院の常勤医を派遣すると、公務員の兼職禁止規定に抵触するため、非常勤医が中心となり、それぞれが都合が付く休日や夜間に医療機関へ派遣する。

 県は国の「地域医療再生臨時特例交付金」に基づき作成した計画(09-14年度)に医師派遣事業を盛り込み、国の内示を得た。必要経費は市町村にも負担させる構想という。【岸本悠、西田真季子】

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